JP6032918B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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<1> 1)セラミド分泌促進剤と、2)セラミド合成促進剤とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
<2> 前記セラミド分泌促進剤が、ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物であることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
<3> 前記セラミド合成促進剤が、バラ科オランダイチゴ属に属する植物より得られる植物抽出物であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚外用剤。
<4> 前記バラ科オランダイチゴ属に属する植物が、バラ科オランダイチゴ属イチゴ(Fragaria x ananassa Duch.)であることを特徴とする、<1>〜<3>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<5> 前記セラミド分泌促進剤が、角化細胞から細胞間脂質へのセラミド分泌促進剤であることを特徴とする、<1>〜<4>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<6> 前記セラミド分泌促進作用が、タイトジャンクション機能促進作用に起因することを特徴とする、<5>に記載の皮膚外用剤。
<7> タイトジャンクション機能促進作用が、経上皮細胞電気抵抗値(TER:transepithelial electrical resistance)を向上せしめる作用であることを特徴とする、<6>に記載の皮膚外用剤。
<8> 前記セラミド分泌促進剤を皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、<1>〜<7>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<9> 前記セラミド合成促進剤を皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、<1>〜<8>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<10> 化粧料(医薬部外品を含む)であることを特徴とする、<1>〜<9>の何れかに記載の皮膚外用剤。
<11> 肌荒れ改善用、又は、抗老化用であることを特徴とする、<1>〜<10>の何れかに記載の皮膚外用剤。
本発明の皮膚外用剤は、1)セラミド分泌促進剤と、2)セラミド合成促進剤とを含有することを特徴とする。セラミドは、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合したスフィンゴ脂質の一種であり、角層細胞間脂質の重要な構成成分である。本発明のセラミド分泌促進剤は、合成されたセラミドを細胞間脂質に効率的に分泌する作用を有する成分であれば特段の限定なく適応することが出来、好ましいものとしては、角化細胞内のラメラボディに存在するセラミド関連物質(セラミド、並びに、グルコシルセラミド及びスフィンゴミエリン等のセラミド前駆体)の分泌を促進する作用を有する成分、より好ましくは、前記セラミド分泌促進作用がTJ機能促進作用によるセラミド分泌促進剤であることが好ましい。本発明のセラミド分泌促進剤の内、好ましいものを具体的に挙げれば、後述する「正常ヒト表皮細胞を用いたセラミド分泌量の評価」において、ベヒクルに比較し、セラミド分泌量が増加した物質、より好ましいものとしては、ベヒクルに比較し、セラミド分泌量が統計的に有意に増加している物質が好適に例示出来る。また、本発明のセラミド分泌促進剤には、TJ機能促進作用を有する成分も存する。本発明のセラミド分泌促進剤の内、TJ機能促進作用を有する成分とは、セラミド分泌促進作用に加えTJ機能促進作用を有する成分であれば、特段の限定なく適応出来、より好ましいものとしては、経上皮細胞電気抵抗値(TER:transepithelial electrical resistance)を測定することによりTJ機能促進作用が認められる成分が好適に例示出来る。
本発明のセラミド分泌促進剤であるロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物は、例えば、特開2002−20226号公報に記載の方法に従い製造することも出来るし、片倉チッカリン株式会等により市販されているロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物として入手することも出来る。本発明の実施例においては、片倉チッカリン株式会社より購入したロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物(図中、「ロイヤルビオサイト」と記載)を被験物質として用いた。また、本発明のセラミド分泌促進剤のリンドウ科リンドウ属ゲンチアナより得られる植物抽出物は、丸善製薬株式会社より市販されている植物抽出物を購入し使用した。
凍結正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)(倉敷紡績株式会社製)を解凍し、0.15mM−Ca2+含有培養液(Humadia−KG2:倉敷紡績株式会社製)にて、37℃、50%二酸化炭素雰囲気下にて培養した。この正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)をMillicell Tissue Culture Plate(ミリポア社製)にコ−ニング社製トランズウェル(直径12mm、ポリエチレンテレフタレ−ト0.4μmポア)をセットし、上層0.5ml、下層1.5mlの前記培養液を入れ、1×105cells/cm2で播種し、さらに72時間培養した。コンフルエントになったことを確認し、1.45mM−Ca2+含有−Humedia−KG2培地に交換し、その後96時間培養した。その後、ロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物(「ロイヤルビオサイト」、図1中:エキスと記載)を含有する培養液に交換して、培養を継続し、一定時間後にTER(Transepitherial Electrical Resistance)値(Ω・cm2)を測定する。また、ロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物(「ロイヤルビオサイト」)を含有しない培養液にて培養したサンプルをコントロ−ル(図1中、controlと記載)とし、TER値を測定した。ロイヤルゼリ−由来の加水分解物(「ロイヤルビオサイト」)の濃度は、(v/v%)で表示する。結果を図1に示す。図1において、縦軸は、TER値(Ω・cm2)、横軸は、測定時間を表す。図1の結果より、本発明のロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物(図1中、「ロイヤルビオサイト」には、顕著なタイトジャンクション機能促進作用が認められた。一方、同様の方法に従いリンドウ科リンドウ属ゲンチアナより得られる植物抽出物(最終濃度1×10−4v/v%)のTER値を測定したところ、TER値の上昇は認められず、タイトジャンクション機能促進作用は認められなかった。
凍結正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)(倉敷紡績株式会社製)を解凍し、培養液(Humadia−KG2:倉敷紡績株式会社製)にて、サブコンフルエントになるまで培養した。トリプシン処理により、48well plate(0.75cm2/well)に1×105cells/cm2となるように播種した。その際、バックグランド補正のため、Cer-FL非導入用の細胞も用意した。播種3日目に培養培地を1.45mM Ca2+ Humedia-KG2培地に置換し、分化誘導を行った。Ca2+添加後3日目にCer-FL導入細胞のみ培地を7.5μM Cer-FLを含有する1.45mM Ca2+ Humedia KG2 150μL/wellに置換し、4℃にて30分間静置し、Cer-FLを細胞膜に吸着させた。Cer-FL溶液を抜き取り、1.45mM Ca2+ Humedia KG2 200μL/wellで2回洗浄した後、37℃、5%−CO2で30分間培養し、エンドサイト−シスにより細胞内にCer-FLを取り込ませた。5% defatted BSAを含有した1.45mM Ca2+ Humedia KG2 200μL/wellに置換し、4℃にて10分間静置する操作を2回〜4回繰り返し、細胞膜に吸着した残存Cer-FLを除去した。1mM C10を含有する1.45mM Ca2+ Humedia KG2 300μL/wellに置換し、37℃、5%−CO2で4時間培養した。それぞれの培地を回収し、96well plateに200μLずつ加え、蛍光プレ−トリ−ダ−にて蛍光強度(励起485nm/蛍光535nm)を測定した。1mM C10を含有する1.45mM Ca2+ Humedia KG2 300μL/wellにロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物(図2中、「ロイヤルビオサイト」と記載)を含有させた溶液を調整し、培地を回収した後の細胞に300μL/wellを加え、培養を続けた。16時間後にそれぞれ培地を回収し、蛍光強度を測定した。結果を図2に示す。図2における縦軸は、ベヒクル及び「ロイヤルビオサイト」のセラミド分泌能を示し、それぞれコントロ−ルに対する比率として表示した。図2の結果より、本発明のセラミド分泌促進剤のロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物(図2中、「ロイヤルビオサイト」と記載)は、0.001(v/v%)の濃度において、統計的な有意なセラミド分泌促進作用を示した。一方、同様の方法に従いリンドウ科リンドウ属ゲンチアナより得られる植物抽出物(最終濃度1×10−4v/v%)のセラミド分泌量を測定したところ、セラミド分泌量の増加(123% vs コントロ−ル)が認められた。
本発明の皮膚外用剤は、1)セラミド分泌促進剤と、2)セラミド合成促進剤とを含有することを特徴とする。セラミド生合成は、角化細胞内におけるL−セリン及びパルミトイルCoAよりセリンパルミトイルトランスフェラ−ゼ(SPT)によるスフィンゴイドを合成する段階に始まり、数段階を経た後にセラミド又はアシルセラミドが生成される。これらは、角化細胞内においてスフィンゴミエリン、グルコシルセラミド、アシルグルコセラミドへと変換された後、セラミド及びグルコシルセラミド及びスフィンゴミエリン等のセラミド前駆体)、並びに、スフィンゴミエリナ−ゼやβ−グリコセラプロシダ−ゼ等によりセラミドに変換され、細胞が顆粒層から角質層に移行する間にラメラボディより角層細胞間脂質中に分泌される。角質細胞間脂肪質中のセラミド量は、前述の生合成及び分泌等の複雑な過程を経由し制御されているため、セラミド合成促進剤は、セラミド合成促進作用、更には、前述のセラミド分泌促進剤と併用することによる、顕著な角層細胞間脂質中のセラミド量の増加が期待出来る。本発明のセラミド合成促進剤は、細胞内のセラミド生合成に関与する酵素であるセリンパルミトイルトランスフェラ−ゼ(SPT)、スフィンゴミエリナ−ゼ(SMase)、グルコセレブロシダ−ゼ(GBA)などの遺伝子発現又は酵素活性を高めることにより、角層細胞間脂質中におけるセラミド量を増加させる作用を有する成分を意味し、より好ましいものとしては、セリンパルミトイルトランスフェラ−ゼの酵素発現を促進することによりセラミド合成を促進する物質が好適に例示出来る。
本発明の皮膚外用剤は、1)セラミド分泌促進剤と、2)セラミド合成促進剤を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、前記の両成分を共に皮膚外用剤に含有させることにより角層細胞間脂質中のセラミド含有量を効率的に増加させ、優れた肌荒れ予防又は改善作用、抗老化作用を発揮する。
本発明のセラミド分泌促進剤としては、前記のロイヤルビオサイト(片倉チッカリン株式会社)、リンドウ科リンドウ属ゲンチアナより得られる植物抽出物、セラミド合成促進剤としては、イチゴ種子抽出物(オリザ油化株式会社)を使用した。イチゴ種子抽出物は、オリザ油化株式会社より購入することも出来るし、前記方法に従い、イチゴ属イチゴより溶媒抽出により作製することも出来る。皮膚3次元培養表皮モデル(EPI−200、クラボウ社製)を使用し、ロイヤルビオサイト 0.01%及び/又はイチゴ種子抽出物 10 mg/mLを添加した後、4日間培養した(n=4)。皮膚モデルを剥離回収後、PBS(−)にて洗浄、除去後、凍結乾燥にて水分を除去した。クロロホルム(和光純薬工業株式会社):メタノ−ル(和光純薬工業株式会社)=(2:1)の混合溶液にて全脂質を抽出し、脂質濃縮サンプルを得た。薄層クロマトグラフィ−(シリカゲル60 HPLC プレ−ト:Merck会社製、展開溶媒:クロロホルム:メタノ−ル=2:1)により得られた脂質を展開し、バンドの濃さ及びサイズによりセラミド量を判断した。セラミド量の判断には、パラアニスアルデヒド(エタノ−ル溶液(東京化成工業社製)に浸し、完全に乾燥した後にホットプレ−トにて約10分加熱し、得られたバンドを画像として取り込み、PCソフトウェア(Scion image corporation社製)を使用しバンド面積の数値比(デンシトメトリ−)を算出し、比較した。各バンドの面積比は、算出された数値の内、コントロ−ルを100%とし、コントロ−ルに対する比率として表示した。結果を表1に示す。また、コントロ−ルには、ロイヤルビオサイト、リンドウ科リンドウ属ゲンチアナより得られる植物抽出物及びイチゴ種子抽出物を添加せずに同様に培養したサンプルを用いている。
表2に示す処方に従い、皮膚外用剤(化粧水)を作製した。即ち、処方成分を室温にて攪拌し、可溶可し化粧水1を得た。また、表2の成分中、本発明のセラミド分泌促進剤の「ロイヤルビオサイト(片倉チッカリン株式会社)」を、「リンドウ科リンドウ属ゲンチアナより得られる植物抽出物」に置換した化粧料2、本発明のセラミド分泌促進剤の「ロイヤルビオサイト(片倉チッカリン株式会社)」を、「水」に置換した比較例1、本発明のセラミド合成促進剤の「イチゴ種子抽出物(オリザ油化株式会社)」を水に置換した比較例2、本発明のセラミド分泌促進剤の「ロイヤルビオサイト(片倉チッカリン株式会社)」及び本発明のセラミド合成促進剤の「イチゴ種子抽出物(オリザ油化株式会社)を共に水に置換した比較例3を作製した。
パネラ−を使用し、化粧料1及び比較例1〜3に付いて、テ−プストリッピングによって作成した肌荒れモデルでの、肌荒れ改善作用を評価した。即ち、左右の前腕に3cm×5cmの試験部位を4つずつ設定し、テ−プストリッピングを各部位15回行い、前後の経皮的散逸水分量(TEWL)をインテグラル社製の「テヴァメ−タ−」で計測した。その後、一日一度検体を50μL塗布し、この作業を3日間続け、4日目に再度TEWLを計測した。最初の日のTEWL値から4日目のTEWL値を減じたものを、最初の日のテープストリッピングによるTEWL増加量で除し、100を乗じてTEWL改善率(%)を算出した。n数は15とした。結果を表3に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は肌荒れ改善作用に優れることがわかる。
Claims (8)
- 1)セラミド分泌促進剤と、2)セラミド合成促進剤とを含有し、
前記セラミド合成促進剤が、バラ科オランダイチゴ属に属する植物より得られる植物抽出物であることを特徴とする、皮膚外用剤。 - 前記バラ科オランダイチゴ属に属する植物が、バラ科オランダイチゴ属イチゴ(Fragaria x ananassa Duch.)であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
- 前記セラミド分泌促進剤が、角化細胞から細胞間脂質へのセラミド分泌促進作用を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
- 前記セラミド分泌促進剤が、ロイヤルゼリー蛋白質及び/又はその加水分解物であることを特徴とする、請求項3に記載の皮膚外用剤。
- 前記セラミド分泌促進剤を皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- 前記セラミド合成促進剤を皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- 化粧料(医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
- 肌荒れ改善用、又は、抗老化用であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の皮膚外用剤。
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