JP6362138B2 - 皮膚外用剤、皮膚角化促進剤、タイトジャンクション強化剤、皮膚バリア機能強化剤、トランスグルタミナーゼ遺伝子発現促進剤、ロリクリン遺伝子発現促進剤、フィラグリン遺伝子発現促進剤、インボルクリン遺伝子発現促進剤、ケラチン遺伝子発現促進剤、クローディン遺伝子発現促進剤、オクルディン遺伝子発現促進剤。 - Google Patents
皮膚外用剤、皮膚角化促進剤、タイトジャンクション強化剤、皮膚バリア機能強化剤、トランスグルタミナーゼ遺伝子発現促進剤、ロリクリン遺伝子発現促進剤、フィラグリン遺伝子発現促進剤、インボルクリン遺伝子発現促進剤、ケラチン遺伝子発現促進剤、クローディン遺伝子発現促進剤、オクルディン遺伝子発現促進剤。 Download PDFInfo
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Description
皮膚の加齢や外部環境の変化への不完全な角層の対応によって、シワの形成、肌理の不正常、荒れ肌等が起こるが、角層水分量の低下が重要な因子になっている。
角質の水分保持には天然保湿因子が関わっているがこの天然保湿因子の多くの部分がタンパク質の分解によって生じたアミノ酸が関わっている。
この天然保湿成分の主成分であるアミノ酸は、ケラトヒアリン顆粒に由来するフィラグリンが角質層内で分解することによって産生する。このフィラグリンは、表皮ケラチノサイトにおいてプロフィラグリンとして発現し、直ちにリン酸化し、ケラトヒアリン顆粒に蓄積する。その後脱リン酸、加水分解を経てフィラグリンへと分解され、角質層へと移行し、ケラチンフィラメントの凝集効率を高め、角質細胞の内部構築に関与する。近年、このフィラグリンが皮膚の水分保持に非常に重要かつ必要不可欠であること、及び乾燥などの条件によりフィラグリンの合成力が低下し、角質層におけるアミノ酸量が低下することが明らかになっている。
表皮細胞の角化過程において表皮顆粒層に存在するケラトヒアリン顆粒を構成するプロフィラグリンが角化する時に、脱リン酸化とプロテアーゼの作用で分解され、フィラグリンというタンパク質を遊離し、そのフィラグリンのアルギニン残基がペプチジルアルギニンデイミナーゼという酵素によってシトルリン残基になる等の修飾を受けて、フィラグリンが徐々にケラチン繊維の間からはずれ、分解されてNMF成分が作り出される。
また、フィラグリンの分解によって生じたヒスチジンからヒスチダーゼの作用によってtrans-ウロカニン酸が産生され、紫外線から皮膚を守る。
このようにフィラグリンの合成促進が角質の水分保持や紫外線からの防御機能に重要な役割を果たしている。
しかし、様々な要因で表皮におけるインボルクリン、ケラチン、トランスグルタミナーゼの産生量が減少すると、コーニファイドエンベロープ形成が不完全な状態となり、角化が正常に行われなくなる。その結果、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能が低下し、肌荒れや乾燥肌等の皮膚症状を呈するようになると考えられる。
このようなことから、角化細胞の表皮におけるインボルクリン、ケラチン、トランスグルタミナーゼの産生を高め、コーニファイドエンベロープの形成を促進して角化を正常化することによれば、乾燥や紫外線等の外部刺激に伴う皮膚バリア機能の低下を抑制し、肌の乾燥や肌荒れなど、様々な皮膚症状を予防・改善することができると考えられる。
しかし老化等によってこの角化の速度が低下すると、皮膚のくすみや肌荒れなどを引き起こすことが知られている。そのためこの角化を改善する原料や皮膚外用剤が積極的に開発されてきた。
クローディンやオクルディンの産生を促進することにより、タイトジャンクション機能強化し、皮膚のバリア機能及び水分保持機能を高め、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状を予防する。
これらの用途でいくつかの物質が知られている。(特許文献1〜4参照)
また、ソラヤシンは選択的に大腸菌に対して抗菌性を発揮することが知られている。
ソラヤシンは、生体より分離しても、遺伝子組み換え等の技術を用いてもよく、また、試薬としても販売されているので、必要な精製を行ったソラヤシンを用いればよい。
本発明者らは、ソラヤシンがトランスグルタミナーゼ−1、トランスグルタミナーゼ−3、ロリクリン、フィラグリン、インボルクリン、ケラチン−1、ケラチン−10、クローディン−1、クローディン−3、クローディン−4、クローディン−7、クローディン−9、クローディン−14、オクルディンの各遺伝子の発現を増強することを確認し、皮膚角化促進、タイトジャンクション強化、皮膚バリア機能強化に有効であることを見出した。
色素類;黄色4号、青色1号、黄色202号等の厚生省令に定められたタール色素別表I及びIIの色素、クロロフィル、リボフラビン、クロシン、紅花、アントラキノン等の食品添加物として認められている天然色素等。
ビタミン類;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等。
その他;殺菌剤、防腐剤、その他製剤上必要な成分等。
なお、ソラヤシンの製剤への配合量は特に限定はないが0.000001重量%以上、好ましくは0.0001重量%以上である。
初代のヒト包皮由来ケラチノサイト(クラボウ)をHuMedia−KG2培地で培養後、トータルRNA抽出用に12ウェルプレートで増殖添加剤なしのHuMedia−KG2培地でソラヤシンを加えて培養した。(対照として、ソラヤシンを添加しない系でも試験した)
また、経上皮細胞電気抵抗値(TER)測定試験では細胞をコンフルエント後、カルシウム濃度の高い培地を使用し、0.72×105個をトランスウェルフィルター上に播種し、ケラチノサイト層を作成した。
なお、ソラヤシンは、株式会社サイクレックス社製、CY-R2257を用いた。
細胞からの Total RNAの抽出は、RNeasy mini kit(QIAGEN)を用い、添付マニュアルに従い調製した。RNA濃度は、NanoDrop1000(Thermo SCIENTIFIC)を用い算出した。
1.0μgのTotal RNAを使い、ReverTra Ace qPCR RT Kit(東洋紡社)を用い、添付マニュアルに従いRT反応を行った。
リアルタイムPCRは、StepOneplus リアルタイムPCR System(AppliedBiosystems)を用い、以下のように実施した。Taqman Fast Advanced Master Mix(AppliedBiosystems)およびトランスグルタミナーゼ−1、トランスグルタミナーゼ−3、ロリクリン、フィラグリン、インボルクリン、ケラチン−1、ケラチン−10、クローディン−1、クローディン−3、クローディン−4、クローディン−7、クローディン−9、クローディン−14、オクルディンのTaqmanプライマー(AppliedBiosystems)を用い、Comparative CT(△△CT)法(n=8)により遺伝子発現比較を実施した。内部標準としてβ−Actin(AppliedBiosystems)を使用した。
<経上皮細胞電気抵抗値(TER)試験>
細胞リアルタイムモニタリングシステム(商品名cellZscope、nanoAnalytics社製)を用いて0.6cm2のトランスウェルフィルター上に成長したケラチノサイト層の電気抵抗値をソラヤシン添加後0〜36時間の間、測定した。ブランク値を減算したのち、結果をΩ×cm2の値で示した。
また、濃度依存的にケラチノサイト層の電気抵抗を高めた。これはケラチノサイト層すなわち、ソラヤシンは皮膚のバリア機能を増強することを表している。
Claims (9)
- ソラヤシンを有効成分とする皮膚角化促進剤。
- ソラヤシンを有効成分とするタイトジャンクション強化剤。
- ソラヤシンを有効成分とするトランスグルタミナーゼ遺伝子発現促進剤。
- ソラヤシンを有効成分とするロリクリン遺伝子発現促進剤。
- ソラヤシンを有効成分とするフィラグリン遺伝子発現促進剤。
- ソラヤシンを有効成分とするインボルクリン遺伝子発現促進剤。
- ソラヤシンを有効成分とするケラチン遺伝子発現促進剤。
- ソラヤシンを有効成分とするクローディン遺伝子発現促進剤。
- ソラヤシンを有効成分とするオクルディン遺伝子発現促進剤。
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