JP5191746B2 - 動弁機構の潤滑構造 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の動弁機構における潤滑構造に関する。
シリンダヘッドに形成されたカム軸受部とカムホルダとが、互いに対応した半円軸受面でカム軸を挟むようにして回転自在に軸支する動弁機構において、オイルポンプから吐出された潤滑油をカムホルダの上側軸受面に形成された環状油溝に導き、同環状油溝からカムジャーナル部に穿孔された導入油路を介してカム軸の軸内中空油路に導入し、軸内中空油路から動弁機構の各摺動部位に潤滑油を供給して潤滑する潤滑構造が、特許文献1等に開示されている。
特開2004−293435号公報
同特許文献1に開示された動弁機構の潤滑構造では、カムホルダに潤滑油を導くのに、シリンダヘッドをシリンダブロックとともにクランクケースに締結するヘッドボルトのボルト孔を利用しており、このボルト孔は、カム軸受部の軸受部位を避けて軸方向に離れた位置に形成されている。
ヘッドボルトをカムホルダと重なる位置にしてカム軸受部の軸受部位にヘッドボルトを締結するボルト締結作業孔を設けると、カム軸のカムジャーナル部がボルト締結作業孔で露出することになり、カムホルダの上側軸受面に形成された環状油溝からカム軸の軸内中空油路に導入しようとする潤滑油がカムジャーナル部の露出面からボルト締結作業孔に容易に漏れることになり、そうなるとカム軸の軸内中空油路に十分潤滑油が導入されず動弁機構の他の潤滑部位を良好に潤滑することができない。
そこで、引用文献1では、カム軸受部の軸受部位から軸方向に離してボルト孔を設けており、そのためにシリンダヘッドを小型化することが困難であった。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、ヘッドボルトをカムホルダと重なる位置に設けてシリンダヘッドの小型化を図るとともに、カム軸の軸内中空油路への潤滑油の導入を良好に維持することができる動弁機構の潤滑構造を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、クランクケースにシリンダブロックとシリンダヘッドを順次重ねてヘッドボルトにより締結されて内燃機関が構成され、
前記シリンダヘッドに下側軸受面が形成されたカム軸受部が形成され、
前記カム軸受部の下側軸受面に対向して上側軸受面が形成されたカムホルダが、互いの軸受面でカム軸を挟み回転自在に軸支するように前記カム軸受部に結合される動弁機構において、
前記下側軸受面の一部に前記ヘッドボルトのボルト締結作業孔が形成され、
前記シリンダヘッドに、前記カム軸受部における前記カムホルダとの結合面に連結口を開口するヘッド内油路が形成され、
前記カムホルダに、前記ヘッド内油路の連結口に連通し前記ボルト締結作業孔の上方位置に配設される第1ホルダ内油路と、前記第1ホルダ内油路からカム軸の軸方向に延出して前記上側軸受面の少なくとも前記ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に連結口を開口する第2ホルダ内油路とが形成され、
前記カム軸における軸内中空油路からジャーナル部で径方向に貫通して形成される導入油路が、前記カムホルダの前記第2ホルダ内油路の連結口に連通し
前記下側軸受面における前記ボルト締結作業孔の上方位置の周方向に形成されたスラスト受溝に、前記カム軸のジャーナル部に形成されたフランジを摺動自在に嵌合して該カム軸の軸方向の移動が規制され、
前記カムホルダは前記スラスト受溝から上方に貫通してオイル回収孔が形成された動弁機構の潤滑構造とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の動弁機構の潤滑構造において、前記カムホルダの前記第2ホルダ内油路は、前記第1ホルダ内油路から軸方向に延びる軸方向油路と、同軸方向油路の端部に連通し前記上側軸受面の前記ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に周方向に延び前記カム軸のジャーナル部に向けて連結口を開口する環状油溝とから構成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の動弁機構の潤滑構造において、前記カムホルダの前記第1ホルダ内油路と前記環状油溝が、カム軸に対して垂直な互いに平行な面に沿って形成され、前記カムホルダを前記シリンダヘッドの前記カム軸受部に結合するボルトのホルダ固定ボルト孔が、カム軸の軸方向で前記第1ホルダ内油路と前記環状油溝との間に穿孔されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の動弁機構の潤滑構造において、前記シリンダヘッドの前記ヘッド内油路は、前記カム軸の軸方向で前記ボルト締結作業孔と同じ位置に形成されていることを特徴とする。
請求項1記載の動弁機構の潤滑構造によれば、カム軸受部の下側軸受面の一部にヘッドボルトのボルト締結作業孔が形成され、カムホルダに重なる位置にヘッドボルトが配設される構成なので、シリンダヘッドの小型化を図ることができる。
そして、カムホルダにヘッド内油路の連結口に連通する第1ホルダ内油路とボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に連結口を開口する第2ホルダ内油路とが形成され、該連結口に連通するカム軸の導入油路を介して軸内中空油路に潤滑油が導かれるので、ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置の第2ホルダ内油路の連結口からカム軸の軸内中空油路に潤滑油が導入される簡単な油路構成で、ボルト締結作業孔への潤滑油の漏れが抑制されて軸内中空油路へ十分に潤滑油の導入が行われ、軸内中空油路から動弁機構の各所要潤滑部位に潤滑油を円滑に供給して良好に潤滑することができる。
カムホルダの上側軸受面におけるボルト締結作業孔の上方位置の周方向に形成されたスラスト受溝に、カム軸のジャーナル部に形成されたフランジを摺動自在に嵌合して該カム軸の軸方向の移動が規制され、スラスト受溝から上方に貫通してオイル回収孔が形成されているので、カム軸の回転に伴い飛散した潤滑油のうちカムホルダの上方に開口したオイル回収孔に入った潤滑油が、スラスト受溝に至って、カムホルダのフランジとの摺動部を潤滑し、潤滑油をボルト締結作業孔に直接漏らすことなく有効に使用することができる。
請求項2記載の動弁機構の潤滑構造によれば、カムホルダの前記第2ホルダ内油路が軸方向油路と、同軸方向油路の端部に連通し上側軸受面のボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に周方向に延びカム軸のジャーナル部に向けて連結口を開口する環状油溝とから簡易に構成されており、軸受部位の潤滑とともに、下側軸受面のボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に周方向に延びて形成された環状油溝からカム軸のジャーナル部の導入油路を介して軸内中空油路に潤滑油が効率良く導入される。
請求項3記載の動弁機構の潤滑構造によれば、カムホルダの第1ホルダ内油路と環状油溝が、カム軸に対して垂直な互いに平行な面に沿って形成され、カムホルダをシリンダヘッドのカム軸受部に結合するボルトのホルダ固定ボルト孔が、カム軸の軸方向で第1ホルダ内油路と環状油溝との間に穿孔されるので、第1ホルダ内油路と環状油溝の間のホルダ固定ボルト孔をカム軸に近接して形成することができ、動弁機構をさらに小型化し軽量化することができる。
また、第1ホルダ内油路と環状油溝が、カム軸に対して垂直な互いに平行な面に沿って形成されるので、カムホルダの軸方向幅を極力小さくすることができる。
請求項4記載の動弁機構の潤滑構造によれば、シリンダヘッドのヘッド内油路は、カム軸の軸方向でボルト締結作業孔と同じ位置に形成されているので、ヘッド内油路はヘッドボルトのボルト孔とカム軸の軸方向で同じ位置にあり、ボルト孔と連通するヘッド内油路の穿孔の加工作業が容易であるとともに、ヘッド内油路からボルト締結作業孔の上方位置に配設される第1ホルダ内油路への連通を短く構成することができる。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図13に基づいて説明する。
本実施の形態に係る内燃機関Eは、内燃機関Eの後方に変速機Mを一体に備えて自動二輪車に搭載される。
なお、本実施の形態において、前後左右は、車両を基準としたときの前後左右に一致するものとする。
自動二輪車の一部省略した部分側面図である図1を参照して、車体フレーム1のヘッドパイプ2から2股に分かれて後方へ斜め下向きに延出したメインフレーム3が後部を下向きに屈曲させてピボットプレート3pを形成しており、同左右一対のメインフレーム3の中央よりヘッドパイプ2寄り位置から垂設されたブラケット3bの下端の支軸4aとピボットプレート3pの上下部位の支軸4b,4cの3支軸4a,4b,4cで内燃機関Eは、メインフレーム3に懸架される。
左右一対のピボットプレート3p,3pの中央高さ位置に架設されたピボット軸5に、図示しない後輪を支持するリヤフォーク6が揺動自在に前端を軸支されている。
内燃機関Eは、水冷式の単気筒4ストローク内燃機関であり、図2,図3を参照して、車両の車幅方向でもある左右方向に指向してクランク軸20を軸支するクランクケース11は、クランク軸20が配置されるクランク室Ccを形成するとともに、クランク室Ccの後方には垂直な仕切壁11mで仕切られて変速機Mを収容するミッション室Cmが形成され、クランク室Ccの下方には略水平な仕切壁11oで仕切られてオイルを貯留するオイルパン室Coが一体に形成される構造をしている。
単気筒4ストローク内燃機関Eは、上記クランクケース11のクランク室Ccの上に、1本のシリンダ12aを有するシリンダブロック12と、シリンダブロック12の上部にガスケットを介してヘッドボルトh1,h2により結合されるシリンダヘッド13と、シリンダヘッド13の上部に結合されるシリンダヘッドカバー14とから構成される機関本体を備える。
クランクケース11の上に重ねられるシリンダブロック12,シリンダヘッド13,シリンダヘッドカバー14は、クランクケース11から若干後傾した姿勢で上方に延出している。
このようにシリンダが後傾姿勢にある内燃機関Eのクランクケース11の前半上部がクランク室Ccであり、後半部がミッション室Cmとなっている。
なお、クランク室Ccの下方のオイルパン室Coは、クランクケース11の下方に延出して一体に形成されたオイルパン15の内側の室である。
メインフレーム3に支持された内燃機関Eは、メインフレーム3より下方で、ブラケット3bとピボットプレート3pとの間に懸架され、下方のクランクケース11から後傾して上方に延出したシリンダブロック12,シリンダヘッド13,シリンダヘッドカバー14のうちシリンダヘッド13とシリンダヘッドカバー14が、左右一対のメインフレーム3,3間に位置している。
クランクケース11のミッション室Cmには、変速機Mのメイン軸21とカウンタ軸22とが、クランク軸20と平行に左右水平方向に指向して配設されており、カウンタ軸22はクランクケース11を左方に貫通して外部に突出して出力軸となっており、突出した左端に駆動チェーンスプロケット23が嵌着されている。
カウンタ軸22はリヤフォーク6を軸支するピボット軸5の前方近い位置にあり、カウンタ軸22に嵌着された駆動チェーンスプロケット23に巻き掛けられる駆動チェーン24が、リヤフォーク6の後端に設けられる図示されない被動チェーンスプロケットに架渡されてチェーン伝達機構が構成され後輪側に動力が伝達される。
シリンダヘッド13は、前面から斜め上方に吸気ポート13iの延長である吸気通路16iが延出し、同吸気通路16iにスロットルボディ17が左右一対のメインフレーム3,3間で連結されており、スロットルボディ17の吸気通路上流側は開放されている。
また、若干後傾したシリンダヘッド13の後面からは、排気ポート13eの延長である排気通路16eが後方に略水平に延出しており、同排気通路16eに排気管18が左右一対のメインフレーム3,3間で連結されている。
ピストン30のピストン頂部の裏面に突出された一対のピンボス間にピストンピン38が架設され、同ピストンピン38に小端部が軸支されクランク軸20のクランクピン20pに大端部が大端メタル39aを介して軸支されたコンロッド39によりピストン30とクランク軸20が連接されてクランク機構が構成されている。
クランクケース11は左側にチェーン室が形成され、クランク軸20の左側は、チェーン室を貫通し、さらにクランクケース11の左側壁の開口を貫通しており、チェーン室に相当する部分にはオイルポンプ駆動スプロケット(図示せず)と駆動カムチェーンスプロケット20csが形成されている。
他方、クランク軸20の右側には、図示しないバランサ駆動ギヤと主駆動ギヤが嵌合されている。
クランク室Ccの後方のミッション室Cmに配設される変速機Mは、メインギヤ群21gおよびカウンタギヤ群22gがそれぞれ設けられた前記メイン軸21およびカウンタ軸22と、変速操作機構により操作されるシフトドラム53およびシフトフォーク54a,54b,54cを有する変速切換え機構52とを備える(図3参照)。
したがって、内燃機関Eの動力は、クランク軸20から、変速機Mに伝達され、変速機Mのメインギヤ群21gとカウンタギヤ群22gとの噛合において変速された出力が、カウンタ軸22からチェーン伝達機構を介して図示されないチェーン被動スプロケットに伝達され、さらに2次減速機構(図示されず)を介して後輪に伝達される。
内燃機関Eの前方には、図1に2点鎖線で示すように、ラジエタ110が配設され、ラジエタ110のアッパタンク110uとシリンダヘッド13の前方に突出した水出口13weとをラジエタホース111が連結し、ラジエタ110のロアタンク110lとクランクケース11の右前部に設けられた水ポンプの水吸入口とをラジエタホース112が連結している。
内燃機関Eは、DOHC型の動弁機構を備え、図5を参照して、シリンダヘッド13には、シリンダ12aに対応して、シリンダ軸線方向でピストン30に対向して燃焼室60が構成され、該燃焼室60に前記吸気ポート13iが前半部左右に1対開口し、前記排気ポート13eが後半部左右に1対開口しており、燃焼室60の天井壁中央には点火栓61が先端を燃焼室60に臨ませて取り付けられる。
シリンダヘッド3に一体に嵌着された弁ガイド64i,64eにそれぞれ摺動可能に支持される吸気弁62および排気弁63は、内燃機関Eに備えられる動弁装置65により駆動されて、吸気ポート13iの吸気開口および排気ポート13eの排気開口をクランク軸20の回転に同期して開閉する。
動弁装置65は、シリンダヘッド13とシリンダヘッドカバー14により形成される動弁室14v内に設けられ、左右1対の吸気弁62の上を左右方向に指向して配設された吸気カム軸66と左右1対の排気弁63の上を左右方向に指向して配設された排気カム軸67が、シリンダヘッド13とカムホルダ150,160に挟まれるようにして回転自在に軸支されている。
吸気カム軸66のカムロブ66cが弁ばね62sにより上方に付勢された吸気弁62の上端に被せられたバルブリフタ62lの上面に接し、吸気カム軸66と一体のカムロブ66cの回転により吸気弁62が所要のタイミングで開閉駆動し、同様に排気カム軸67のカムロブ67cが弁ばね63sにより上方に付勢された排気弁63の上端に被せられたバルブリフタ63lの上面に接し、排気カム軸67と一体のカムロブ67cの回転により排気弁63が所要のタイミングで開閉駆動する。
吸気カム軸66と排気カム軸67は、それぞれの左軸端部に被動カムチェーンスプロケット66s,67sが嵌着されて、この2つの被動カムチェーンスプロケット66s,67sと前記クランク軸20の左軸体20Lに形成された駆動カムチェーンスプロケット20csとの間にカムチェーン69が架渡され(図4参照)、クランク軸20の回転動力がカムチェーン69を介して吸気カム軸66と排気カム軸67の回転に伝達され、クランク軸20に同期して吸気カム軸66と排気カム軸67が回転して吸気弁62と排気弁63が開閉駆動する。
図4を参照して、前側の吸気カム軸66の被動カムチェーンスプロケット66sと駆動カムチェーンスプロケット20csとの間のカムチェーン69を僅かに内側(後方)に湾曲させてガイドするチェーンガイド110が、下端をクランクケース11のクランク軸20より前寄りに突設された支軸111に軸支されて上方に長尺に延設されて設けられている。
一方、後側の排気カム軸67の被動カムチェーンスプロケット67sと駆動カムチェーンスプロケット20csとの間のカムチェーン69を弓形に内側(前方)に湾曲させて押さえるテンションスリッパー115が、下端をクランクケース11のクランク軸20より後寄りに突設された支軸116に軸支されて上方に長尺に延設されて設けられている。
下端を支軸116に軸支されて上方に弓なりに延びるテンションスリッパー115は、その中央部位がシリンダブロック12の後部に設けられた油圧テンショナリフタ117により押圧され、そのテンションスリッパー115の揺動力でカムチェーン69を押えカムチェーン69に一定の張力を与えている。
さらに、油圧テンショナリフタ117のほかに、テンションスリッパー115の上端近傍部位をシリンダヘッド13の後部に設けられたマニュアルテンショナリフタ118が適度に押圧しており、2つのテンショナリフタ117,118によりテンションスリッパー115の共振を抑制している。
次に、内燃機関Eに備えられて潤滑油が循環する潤滑系について説明する。
図3を参照して、クランクケース11のクランク室Ccと下方のオイルパン室Coとを仕切る仕切壁11oは、クランクウエブ20wの回転軌跡に沿ってクランク室Ccの下半部を略円弧状に仕切っており、その後部にトロコイド型のスカベンジポンプ70のロータ収容室71が形成されている。
ロータ収容室71から前方に仕切壁11oの上側に仕切壁11oに沿って延びる水平壁11hにより仕切壁11oとの間に吸入油路A1が形成され、ロータ収容室71の上壁部に吐出油口A2が上方に向けて開口している。
スカベンジポンプ70は、オイルパン室Coの上部にあって、吐出油口A2はオイルパン室Coの後方の上部空間に開口している。
したがって、クランク室Ccおよびシリンダブロック12等のクランク室Ccより上方の各潤滑部位から仕切壁11o,11mで仕切られたクランク室Ccに戻ってきたオイルは、仕切壁11oの上に溜り、クランクウエブ20wの回転で掻き揚げられてクランク軸20等の潤滑部位に再び散布されるとともに、スカベンジポンプ70の駆動により仕切壁11oに沿って形成されたクランクケース11の左右中央の吸入油路A1から吸入され、吐出油口A2から上向きに吐出してオイルパン室Coの上部空間に効率良く排出される。
このスカベンジポンプ70の左方にトロコイド型のフィードポンプ80が、クランクケース11にロータ収容室81を形成して設けられている(図2参照)。
このフィードポンプ80と前記スカベンジポンプ70は、ポンプ駆動軸72を共通として一体に回動する。
ポンプ駆動軸72の蓋部材82より左方に突出した端部にオイルポンプ被動スプロケット86sが嵌着され、同オイルポンプ被動スプロケット86sと前記クランク軸20に形成されたオイルポンプ駆動スプロケット(図示せず)との間にオイルポンプ駆動チェーン87が架渡され、クランク軸20の回転動力がポンプ駆動軸72に伝達され、スカベンジポンプ70とフィードポンプ80が駆動される。
図2を参照して、フィードポンプ80のロータ収容室81は、その吸入ポートから前方に通路壁81aが延出しており、その前端開口に吸油管91の上端が連結される。
吸油管91は、クランクケース11内で、上端が通路壁81aの前端開口に連結されて左方に延出し、次いで下方へ湾曲した後にオイルパン室Co内を斜め下方に直線的に延び、下端に設けられたオイルストレーナ90がオイルパン室Coの前部の最低底面の近傍に配置されている。
したがって、オイルパン15のオイルパン室Coに貯留されたオイルは、フィードポンプ80の駆動によりオイルストレーナ90で浄化されて吸油管91内の吸入油路B1を吸い上げられ、通路壁81a内の吸入ケース油路B2を通って吸入される。
図2を参照して、クランクケース11におけるフィードポンプ80のロータ収容室81の吐出ポートからは、後方斜め下向きに吐出ケース油路B3が形成され、同吐出ケース油路B3の後部からクランクケース11の周壁に沿って左方に屈曲して吐出ケース油路B4が形成されている。
クランクケース11に左方から被せられる左サイドカバー40には、その合せ面で前記吐出ケース油路B4に連通する吐出ケース油路B5(図示せず)が、オイルフィルタ92まで延出形成されている。
オイルフィルタ92は、クランクケース11におけるクランク軸20の左端部を覆う円筒部41と後端の吐出ケース油路B4に対応する部分との間に有底円筒状のフィルタハウジング93を形成して設けられる。
オイルフィルタ92の左端開口を覆うフィルタ蓋部材94に、オイルフィルタ92から流出するオイルを案内する流出ケース油路B6が形成されており、同流出ケース油路B6に連通するケース油路B7が、左サイドカバー40に前記クランク軸20の左端部を覆う円筒部41内まで延びて形成されている(図2参照)。
図2を参照して、左サイドカバー40の円筒部41から左サイドカバー40の側壁内を後方斜め上向きにケース油路D1が延び、次いで右方向に屈曲したケース油路D2がクランクケース11との合せ面まで延びている。
ケース油路D2がさらにクランクケース11のピストンジェット油路J2(図3参照)に連通している。
図2を参照して、クランクケース11のケース油路D2とピストンジェット油路J2の連結部から上方にケース油路E1が分岐している。
ケース油路E1は、シリンダブロック12との合せ面に形成されたケース油溝E2に開口し、ケース油溝E2は左後のヘッドボルトh2のボルト孔を利用したシリンダ油路E3に連通しており、シリンダ油路E3の上端がシリンダヘッド13との合せ面においてシリンダヘッド13に形成されたヘッド油路E4に連通し、上方に延びるヘッド油路E4からカムホルダ150にオイルが供給され、動弁装置65の所要部が潤滑される。
シリンダヘッド13の上面図である図5を参照して、略矩形をなす周壁130の上端面がシリンダヘッドカバー14との合せ面130sであり、同周壁130の左側部の前後に拡張された部分がカムチェーン室131を形成している。
このカムチェーン室131より右方の矩形部分において、吸気弁62のバルブリフタ62lをガイドするリフタガイド穴132iが、前半部に左右一対形成され、排気弁63のバルブリフタ63lをガイドするリフタガイド穴132eが、後半部に左右一対形成され、4つのリフタガイド穴132i,132eの中央には点火栓61を取り付ける点火栓取付穴133が形成されている。
4つのリフタガイド穴132i,132eの各々の斜め外側4箇所に前記ヘッドボルトh1,h2のボルト孔134が穿設されている。
ボルト孔134の取付座面134sは、周壁130の合せ面130sよりはずっと低い位置にある(図12参照)。
図5を参照して、周壁130の前後壁間にカムチェーン室131を区画形成するように左右幅の狭いカム軸受部135が架設形成されている。
同カム軸受部135の下方には空洞139が形成され、カム軸受部135の下面中央部を偏平板状の支柱136が一体に支持する形状を構成している(図12参照)。
カム軸受部135の上端面には、吸気カム軸66を軸支する半円弧面である下側軸受面135iがリフタガイド穴132iと略同じ前後位置に形成され、排気カム軸67を軸支する下側軸受面135eがリフタガイド穴132eと略同じ前後位置に形成されている。
このカム軸受部135の上端面において、前後の下側軸受面135i,135eと周壁130近傍の前後端部を除いた3つの部分が、カムホルダ150との合せ面135sとなっていて、合せ面135sは周壁130の上端合せ面130sと同じ高さにある。
この合せ面135sの下側軸受面135i,135eの前後に、ホルダ固定ボルト孔137が形成されている。
ヘッドボルトh1,h2の前記4つのボルト孔134および取付座面134sのうち左側前後のボルト孔134および取付座面134sは、上面視(図5)で、カム軸受部135の前後の下側軸受面135i,135eにそれぞれ半分程重なり合っており、よってカム軸受部135には、下側軸受面135i,135eを切欠くようにしてボルト締結作業孔138i,138eが略半円弧状に形成されている。
ボルト締結作業孔138i,138eとボルト孔134,134とは同軸上にあり、ボルト締結作業孔138i,138eの直径は取付座面134sの直径と略同じである。
ボルト締結作業孔138i,138eの下方は、空洞139があり、空洞139を介してボルト孔134,134および取付座面134s,134sが位置している。
クランクケース11に螺着されたヘッドボルトh1,h2がシリンダブロック12およびシリンダヘッド13のボルト孔134,134を貫通して突出した上端の雄ねじ部にワッシャw1,w2を介してフランジ付きナットn1,n2が螺合されるが、この螺合作業に際して、ヘッドボルトh1,h2の真上に当たるカム軸受部135のボルト締結作業孔138i,138eが利用される。
すなわち、このボルト締結作業孔138i,138eに上方から挿入された締結具によりフランジ付きナットn1,n2がヘッドボルトh1,h2に螺合される。
このようなボルト締結作業孔138i,138eを利用した締結具によるフランジ付きナットn1,n2の螺合・緊締によりクランクケース11にシリンダブロック12とシリンダヘッド13が一体に締結される。
カム軸受部135において後側の合せ面135sは、多少右方に膨出して、膨出合せ面135sに前記ヘッド油路E4の連結口が開口している(図5参照)。
ヘッド油路E4は、左側のボルト孔134と略左右方向位置を同じくして穿孔されている。
ヘッド油路E4は、シリンダブロック12とシリンダヘッド13との合せ面において左後のヘッドボルトh2のボルト孔134と連通するので、ヘッド油路E4とボルト孔134が左右方向同じ位置にあることは、ヘッド油路E4の穿孔作業を容易にしている。
左右対をなすリフタガイド穴132i,132iの間およびリフタガイド穴132e,132eの間に、カム軸受部135と平行にもう1つのカム軸受部141が形成されている(図5参照)。
カム軸受部141の上端面もリフタガイド穴132i,132eと略同じ各前後位置に下側軸受面141i,141eが形成され、下側軸受面141i,141eを除いた3つの部分が、カムホルダ160との合せ面141sとなっていて、合せ面141sは周壁130の上端合せ面130sと同じ高さにある。
カム軸受部141の中央の合せ面141sは点火栓取付穴133により環状をなしている。
合せ面141sの下側軸受面141i,141eの前後に、ホルダ固定ボルト孔142が形成されている。
シリンダヘッド13の上記左右のカム軸受部135,141の下側軸受面135i,141iに吸気カム軸66が、下側軸受面135e,141eに排気カム軸67が支持され、カムホルダ150,160により上方から挟まれて回転自在に軸支される。
カム軸受部135に対応するカムホルダ150は、図6ないし図9を参照して、半円弧面である上側軸受面150i,150eが形成された幅広の前後軸受部が幅狭の連結部で連結されて形成されている。
カム軸受部135の合せ面135sに対向するカムホルダ150の合せ面150sは、上側軸受面150i,150eの前後に形成され、同合せ面150sにはホルダ固定ボルト孔137に対応してホルダ固定ボルト孔152が穿設されている。
カムホルダ150の前後軸受部は、カム軸受部135より幅広で、上側軸受面150i,150eおよび合せ面150sもカム軸受部135の下側軸受面135i,135eおよび合せ面135sより大きく、右側にはみ出して固定され、はみ出した上側軸受面150i,150eおよび合せ面150sの部分は対向するカム軸受部135がない。
カムホルダ150の後側の合せ面150sには、カム軸受部135側のヘッド油路E4に連通するホルダ内縦油路E5の連結口が開口している。
なお、ホルダ内縦油路E5の連結口寄りに小径のオリフィス151が設けられる。
そして、ホルダ内縦油路E5は、上側軸受面150i,150eの僅かに上方を前後方向に穿孔された第1ホルダ内油路E6に連通する。
第1ホルダ内油路E6は、ホルダ内縦油路E5から排気側の上側軸受面150eの上を通り、連結部を経て、吸気側の上側軸受面150iの上まで長尺に形成されている。
上側軸受面150i,150eの最上部位には、それぞれ一端が第1ホルダ内油路E6に連通して軸方向左側に延びる軸方向油溝E7,E7が外部に開口された溝条として形成されており、軸方向油路E7,E7は軸方向にホルダ固定ボルト孔152の位置を越えて軸受部の左側面近傍まで延び、同位置において前後周方向に延びて形成された環状油溝E8,E8に連通している。
カム軸66,67の軸方向で第1ホルダ内油路E6と環状油溝E8,E8との間にホルダ固定ボルト孔152がある。
第1ホルダ内油路E6に対して軸方向油溝E7,E7と環状油溝E8,E8は、第2ホルダ内油路に相当し、ともにカム軸のジャーナル部に向けて開口しており、特に環状油溝E8,E8は連結口として開口している。
カムホルダ150の上側軸受面150i,150eにおける左側の環状油溝E8,E8に対して右側には、周方向に環状のスラスト受溝155,155が形成されており、スラスト受溝155,155は、吸気カム軸66および排気カム軸67に形成されたフランジ66f,67fを回動自在に嵌合して吸気カム軸66および排気カム軸67の軸方向の移動を規制するものである。
スラスト受溝155,155の後方に寄った一部が上方に抜けてオイル回収孔156,156を形成している。
オイル回収孔156は前後に長い扁平な長孔であり、上方に行くほど開口面積が大きくなっている。
このオイル回収孔156のカムホルダ150の上面の開口を囲うようにコ字状のリブ157が前方を開放して形成されている(図6参照)。
なお、カムホルダ150の前後軸受部の上面からは、シリンダヘッドカバー14を取り付けるための取付ボス部158,158が突出している。
カム軸受部141に対応するカムホルダ160は、以上のカムホルダ150とは異なり、潤滑油の油路は構成されておらず、単に半円軸受面を備えた軸受構造のみが構成されている。
ただし、中央には点火栓取付孔が形成されている。
次に、吸気カム軸66について図10に図示し簡単に説明する。
吸気カム軸66は、左端に被動カムチェーンスプロケット66sを取り付ける取付フランジ66aが形成され、同取付フランジ66aから右側に、順にジャーナル部66j、吸気カムロブ66c、ジャーナル部66j、吸気カムロブ66cが形成されて右端フランジ66bに至っている。
左側ジャーナル部66jには、周方向に環状に給油溝66vとスラスト受フランジ66fが左右に形成されている。
吸気カム軸66は、円筒状をなし、両側開口をシールプラグ66p,66pで閉塞して内部を軸内中空油路Fとしており、給油溝66vには軸内中空油路Fに連通する導入油路66vhが周方向に複数箇所穿孔され、右側ジャーナル部66jおよび左右吸気カムロブ66c,66cにはそれぞれ軸内中空油路Fに連通する導出油路66jh,66ch,66chが1か所ずつ穿孔されている。
排気カム軸67も略同様の構造をしているとともに、排気カム軸67には、始動時に排気弁63を押圧して燃焼室内の圧力を下げるオートデコンプ機構180(マニュアルデコンプ機構でも可)が備えられている。
シリンダヘッド13の左右カム軸受部135,141における下側軸受面135i,141iに、吸気カム軸66のジャーナル部66j,66jを載置し、下側軸受面135e,141eに排気カム軸67のジャーナル部67j,67jを載置し、左側カム軸受部135にカムホルダ150を重ね4つのホルダ固定ボルト孔152にボルト170を貫通しホルダ固定ボルト孔137に螺合して上側軸受面150i,150eで吸気カム軸66の左側ジャーナル部66jと排気カム軸67の左側ジャーナル部67jを回転自在に挟持し、同様に右側カム軸受部141にカムホルダ160を重ね吸気カム軸66の右側ジャーナル部66jと排気カム軸67の右側ジャーナル部67jを回転自在に挟持する。
この吸気カム軸66と排気カム軸67が、シリンダヘッド13の左右カム軸受部135,141にカムホルダ150,160により上方から挟まれて回転自在に軸支された状態を図11ないし図13に示す。
カムホルダ150により軸支される吸気カム軸66の左側ジャーナル部66jと排気カム軸67の左側ジャーナル部67jは、上半円弧面全面がカムホルダ150,160の上側軸受面150i,150eに摺接するが、下半円弧面は右端部分がカム軸受部135の下側軸受面135e,141eに摺接し、他の部分はボルト締結作業孔138i,138eに臨んで露出している(図13参照)。
かかる吸気カム軸66の左側ジャーナル部66jと排気カム軸67の左側ジャーナル部67jの右側のフランジ66f,67fがカムホルダ150の半円弧状のスラスト受溝155,155に回動自在に嵌合して吸気カム軸66と排気カム軸67の軸方向の移動が規制される。
カムホルダ150のホルダ内縦油路E5が、シリンダヘッド13のカム軸受部135側のヘッド油路E4と連結されて、ヘッド油路E4を上昇してきたオイルは、カムホルダ150のホルダ内縦油路E5を途中オリフィス151を経てさらに上昇し、第1ホルダ内油路E6に移って前方に圧送される。
吸気カム軸66と排気カム軸67の左側ジャーナル部66j,67jの給油溝66v,67vが、カムホルダ150の半円弧状の環状油溝E8,E8と相対向する。
したがって、カムホルダ150の第1ホルダ内油路E6から軸方向油溝E7,E7を経て環状油溝E8,E8に至ったオイルは、環状油溝E8,E8に対向する吸気カム軸66と排気カム軸67の給油溝66v,67vから導入油口66vh,67vhを介して軸内中空油路F,F内に導入される。
軸方向油溝E7と環状油溝E8のオイルにより吸気カム軸66と排気カム軸67の左側ジャーナル部66j,67jは潤滑され、吸気カム軸66の軸内中空油路F内のオイルが導出油口66jhから導出して吸気カム軸66の右側ジャーナル部66jを潤滑し、導出油口66ch,66chから導出したオイルが吸気カムロブ66c,66cの表面を潤滑する。
排気カム軸67の右側ジャーナル部および排気カムロブも軸内中空油路F内のオイルが同様に供給されて潤滑される。
本シリンダヘッド13は、小型化を図るべく、カムホルダ150に上下方向で重なる位置にヘッドボルトh1,h2が配設され、同ヘッドボルトh1,h2の締結作業用のボルト締結作業孔138i,138eがカム軸受部135の下側軸受面135i,135eの一部を切欠いて形成される構造を構成し、シリンダヘッド13の小型化を図っている。
カム軸受部135に取り付けられたカムホルダ150において、カム軸受部135に形成されたボルト締結作業孔138i,138eの上方に上側軸受面150i,150eが位置しており、カムホルダ150内を前後方向に延びる第1ホルダ内油路E6は、ボルト締結作業孔138i,138eの上方に配設されている。
第1ホルダ内油路E6より左方に延びる軸方向油溝E7,E7は、左端部がボルト締結作業孔138i,138eの上方位置から外れ、環状油溝E8,E8もボルト締結作業孔138i,138eの上方位置から外れている。
したがって、軸方向油溝E7,E7は、下方開放部分が吸気カム軸66と排気カム軸67の左側ジャーナル部66j,67jで塞がれて、オイルが直接下方のボルト締結作業孔138i,138eに漏れることは抑制されて十分に半円弧状の環状油溝E8,E8に送られ、環状油溝E8,E8が左側ジャーナル部66j,67jの全周に亘る給油溝66v,67vの上半円弧部に対向し、給油溝66v,67vの下半円弧部はカム軸受部135の下側軸受面135i,135eにより塞がれるので、潤滑以外は漏れることなくオイルは導入油口66vh,67vhを介して軸内中空油路F,F内に十分に導入され、導入されたオイルは軸内中空油路F,Fから右側ジャーナル部およびカムロブの摺接部に供給されて良好に潤滑することができる。
すなわち、カムホルダ150に上下方向に重なる位置にヘッドボルトh1,h2が配設されシリンダヘッド13の小型化を図る構成であるにもかかわらず、本動弁機構65の潤滑構造は吸気カム軸66と排気カム軸67の所要の潤滑部位を良好に潤滑することができる。
カムホルダ150の上側軸受面150i,150eにおけるボルト締結作業孔138i,138eの上方位置の周方向にスラスト受溝155,155が形成され、同スラスト受溝155,155に、カム軸66,67のジャーナル部66j,67jに形成されたフランジ66f,67fを摺動自在に嵌合して該カム軸66,67の軸方向の移動を規制している。
そして、カムホルダ150の下面となる上側軸受面150i,150eに形成された該スラスト受溝155,155から上方に貫通してオイル回収孔156,156が形成されているので、カム軸66,67の回転に伴い飛散してカムホルダ150の上面に落ちたオイルのうちカムホルダ150の上方に開口したオイル回収孔156,156に入ったオイルが、スラスト受溝155,155に至って、カムホルダ150のフランジ66f,67fとの摺動部を潤滑し、オイルをボルト締結作業孔138i,138eに直接漏らすことなく有効に使用することができる。
いくらか後傾した姿勢にあるシリンダヘッド13のカム軸受部135に固定されるカムホルダ150の上面も後方が下がるように傾斜しているため、カムホルダ150の上面に落ちたオイルは後方に流れようとする。
カムホルダ150の上面には、オイル回収孔156の開口を囲うようにコ字状のリブ157が前方を開放して形成されているので、カムホルダ150の上面に落ち後方に流れようとするオイルを前方を開放したコ字状のリブ157が効率良く集めオイル回収孔156に回収することができる。
カムホルダ150の第1ホルダ内油路E6と環状油溝E8が、カム軸66,67に対して垂直な互いに平行な面に沿って形成されるので、カムホルダ150の軸方向幅を極力小さくすることができる。
カムホルダ150をシリンダヘッド13のカム軸受部135に結合するボルトのホルダ固定ボルト孔137,152が、カム軸66,67の軸方向で互いに平行な面に沿って形成された第1ホルダ内油路E6と環状油溝E8との間に穿孔されるので、第1ホルダ内油路E6と環状油溝E8の間でホルダ固定ボルト孔137,152をカム軸に近接して形成することができ、動弁機構をさらに小型化し軽量化することができる。
シリンダヘッド13のヘッド内油路E4は、カム軸66,67の軸方向でヘッドボルトh2のボルト孔134と同じ位置に形成され、すなわちヘッド内油路E4はヘッドボルトh2のボルト孔134とカム軸66,67の軸方向で同じ位置にあり、よってボルト孔134と連通するヘッド内油路E4の穿孔の加工作業が容易であるとともに、ヘッド内油路E4からボルト締結作業孔138i,138eの上方位置に配設される第1ホルダ内油路E6への連通路であるホルダ内縦油路E5を短く構成することができる。
なお、後傾したシリンダヘッド13におけるヘッド内上面の右後部には、ヘッド内オイル戻し油路190が開口しており、ヘッド内オイル戻し油路190は、シリンダヘッド13およびシリンダブロック12を穿孔して形成されており、後傾したシリンダヘッド13のヘッド内の後部に集まるオイルをシリンダブロック12に設けられる前記油圧テンショナリフタ117に導く。
油圧テンショナリフタ117もシリンダブロック12の左側であるが後部に設けられているので、ヘッド内上面の右後部に開口するヘッド内オイル戻し油路190を、後部に集中して形成することができ、短く簡素化することができる。
本発明の一実施の形態に係る内燃機関を搭載した自動二輪車の一部省略した部分側面図である。 内燃機関の左側面図である。 内燃機関のクランクケースの合せ面で切断した左断面図である。 内燃機関の左サイドカバーを外した左側面図である。 シリンダヘッドの上面図である。 カムホルダの上面図である。 同下面図である。 図6のVIII−VIII線断面図である。 図6のIX−IX線断面図である。 吸気カム軸の一部断面とした側面図である。 シリンダヘッドに構成された動弁機構を示す上面図である。 図11のXII−XII線断面図である。 図11のXIII−XIII線断面図である。
符号の説明
E3…シリンダ油路、E4…ヘッド油路、E5…ホルダ内縦油路、E6…第1ホルダ内油路、E7…軸方向油溝、E8…環状油溝、F…軸内中空油路、
E…内燃機関、M…変速機、h1,h2…ヘッドボルト、
11…クランクケース、12…シリンダブロック、13…シリンダヘッド、14…シリンダヘッドカバー、15…オイルパン、20…クランク軸、
66…吸気カム軸、66c…カムロブ、66f…スラスト受フランジ、66j…ジャーナル部、66v…給油溝、66vh…導入油口、66jh,66ch,66ch…導出油口、67…排気カム軸、67v…給油溝、67vh…導入油口、
134…ボルト孔、134s…取付座面、135…カム軸受部、135i,135e…下側軸受面、135s…合せ面、137…ホルダ固定ボルト孔、138i,138e…ボルト締結作業孔、139…空洞、141…カム軸受部、141i,141e…下側軸受面、142…ホルダ固定ボルト孔、
150…カムホルダ、150i,150e…上側軸受面、150s…合せ面、151…オリフィス、152…ホルダ固定ボルト孔、155…スラスト受溝、156…オイル回収孔、157…リブ、158…取付ボス部、160…カムホルダ。

Claims (4)

  1. クランクケースにシリンダブロックとシリンダヘッドを順次重ねてヘッドボルトにより締結されて内燃機関が構成され、
    前記シリンダヘッドに下側軸受面が形成されたカム軸受部が形成され、
    前記カム軸受部の下側軸受面に対向して上側軸受面が形成されたカムホルダが、互いの軸受面でカム軸を挟み回転自在に軸支するように前記カム軸受部に結合される動弁機構において、
    前記下側軸受面の一部に前記ヘッドボルトのボルト締結作業孔が形成され、
    前記シリンダヘッドに、前記カム軸受部における前記カムホルダとの結合面に連結口を開口するヘッド内油路が形成され、
    前記カムホルダに、前記ヘッド内油路の連結口に連通し前記ボルト締結作業孔の上方位置に配設される第1ホルダ内油路と、前記第1ホルダ内油路からカム軸の軸方向に延出して前記上側軸受面の少なくとも前記ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に連結口を開口する第2ホルダ内油路とが形成され、
    前記カム軸における軸内中空油路からジャーナル部で径方向に貫通して形成される導入油路が、前記カムホルダの前記第2ホルダ内油路の連結口に連通し
    前記下側軸受面における前記ボルト締結作業孔の上方位置の周方向に形成されたスラスト受溝に、前記カム軸のジャーナル部に形成されたフランジを摺動自在に嵌合して該カム軸の軸方向の移動が規制され、
    前記カムホルダは前記スラスト受溝から上方に貫通してオイル回収孔が形成されたことを特徴とする動弁機構の潤滑構造。
  2. 前記カムホルダの前記第2ホルダ内油路は、前記第1ホルダ内油路から軸方向に延びる軸方向油路と、同軸方向油路の端部に連通し前記上側軸受面の前記ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に周方向に延び前記カム軸のジャーナル部に向けて連結口を開口する環状油溝とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の動弁機構の潤滑構造。
  3. 前記カムホルダの前記第1ホルダ内油路と前記環状油溝が、カム軸に対して垂直な互いに平行な面に沿って形成され、
    前記カムホルダを前記シリンダヘッドの前記カム軸受部に結合するボルトのホルダ固定ボルト孔が、カム軸の軸方向で前記第1ホルダ内油路と前記環状油溝との間に穿孔されることを特徴とする請求項2記載の動弁機構の潤滑構造。
  4. 前記シリンダヘッドの前記ヘッド内油路は、前記カム軸の軸方向で前記ボルト締結作業孔と同じ位置に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の動弁機構の潤滑構造。
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