JP5191746B2 - 動弁機構の潤滑構造 - Google Patents
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Description
そこで、引用文献1では、カム軸受部の軸受部位から軸方向に離してボルト孔を設けており、そのためにシリンダヘッドを小型化することが困難であった。
前記シリンダヘッドに下側軸受面が形成されたカム軸受部が形成され、
前記カム軸受部の下側軸受面に対向して上側軸受面が形成されたカムホルダが、互いの軸受面でカム軸を挟み回転自在に軸支するように前記カム軸受部に結合される動弁機構において、
前記下側軸受面の一部に前記ヘッドボルトのボルト締結作業孔が形成され、
前記シリンダヘッドに、前記カム軸受部における前記カムホルダとの結合面に連結口を開口するヘッド内油路が形成され、
前記カムホルダに、前記ヘッド内油路の連結口に連通し前記ボルト締結作業孔の上方位置に配設される第1ホルダ内油路と、前記第1ホルダ内油路からカム軸の軸方向に延出して前記上側軸受面の少なくとも前記ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に連結口を開口する第2ホルダ内油路とが形成され、
前記カム軸における軸内中空油路からジャーナル部で径方向に貫通して形成される導入油路が、前記カムホルダの前記第2ホルダ内油路の連結口に連通し、
前記下側軸受面における前記ボルト締結作業孔の上方位置の周方向に形成されたスラスト受溝に、前記カム軸のジャーナル部に形成されたフランジを摺動自在に嵌合して該カム軸の軸方向の移動が規制され、
前記カムホルダは前記スラスト受溝から上方に貫通してオイル回収孔が形成された動弁機構の潤滑構造とした。
また、第1ホルダ内油路と環状油溝が、カム軸に対して垂直な互いに平行な面に沿って形成されるので、カムホルダの軸方向幅を極力小さくすることができる。
本実施の形態に係る内燃機関Eは、内燃機関Eの後方に変速機Mを一体に備えて自動二輪車に搭載される。
なお、本実施の形態において、前後左右は、車両を基準としたときの前後左右に一致するものとする。
左右一対のピボットプレート3p,3pの中央高さ位置に架設されたピボット軸5に、図示しない後輪を支持するリヤフォーク6が揺動自在に前端を軸支されている。
このようにシリンダが後傾姿勢にある内燃機関Eのクランクケース11の前半上部がクランク室Ccであり、後半部がミッション室Cmとなっている。
なお、クランク室Ccの下方のオイルパン室Coは、クランクケース11の下方に延出して一体に形成されたオイルパン15の内側の室である。
カウンタ軸22はリヤフォーク6を軸支するピボット軸5の前方近い位置にあり、カウンタ軸22に嵌着された駆動チェーンスプロケット23に巻き掛けられる駆動チェーン24が、リヤフォーク6の後端に設けられる図示されない被動チェーンスプロケットに架渡されてチェーン伝達機構が構成され後輪側に動力が伝達される。
また、若干後傾したシリンダヘッド13の後面からは、排気ポート13eの延長である排気通路16eが後方に略水平に延出しており、同排気通路16eに排気管18が左右一対のメインフレーム3,3間で連結されている。
他方、クランク軸20の右側には、図示しないバランサ駆動ギヤと主駆動ギヤが嵌合されている。
さらに、油圧テンショナリフタ117のほかに、テンションスリッパー115の上端近傍部位をシリンダヘッド13の後部に設けられたマニュアルテンショナリフタ118が適度に押圧しており、2つのテンショナリフタ117,118によりテンションスリッパー115の共振を抑制している。
図3を参照して、クランクケース11のクランク室Ccと下方のオイルパン室Coとを仕切る仕切壁11oは、クランクウエブ20wの回転軌跡に沿ってクランク室Ccの下半部を略円弧状に仕切っており、その後部にトロコイド型のスカベンジポンプ70のロータ収容室71が形成されている。
スカベンジポンプ70は、オイルパン室Coの上部にあって、吐出油口A2はオイルパン室Coの後方の上部空間に開口している。
このフィードポンプ80と前記スカベンジポンプ70は、ポンプ駆動軸72を共通として一体に回動する。
吸油管91は、クランクケース11内で、上端が通路壁81aの前端開口に連結されて左方に延出し、次いで下方へ湾曲した後にオイルパン室Co内を斜め下方に直線的に延び、下端に設けられたオイルストレーナ90がオイルパン室Coの前部の最低底面の近傍に配置されている。
オイルフィルタ92は、クランクケース11におけるクランク軸20の左端部を覆う円筒部41と後端の吐出ケース油路B4に対応する部分との間に有底円筒状のフィルタハウジング93を形成して設けられる。
ケース油路D2がさらにクランクケース11のピストンジェット油路J2(図3参照)に連通している。
ケース油路E1は、シリンダブロック12との合せ面に形成されたケース油溝E2に開口し、ケース油溝E2は左後のヘッドボルトh2のボルト孔を利用したシリンダ油路E3に連通しており、シリンダ油路E3の上端がシリンダヘッド13との合せ面においてシリンダヘッド13に形成されたヘッド油路E4に連通し、上方に延びるヘッド油路E4からカムホルダ150にオイルが供給され、動弁装置65の所要部が潤滑される。
このカムチェーン室131より右方の矩形部分において、吸気弁62のバルブリフタ62lをガイドするリフタガイド穴132iが、前半部に左右一対形成され、排気弁63のバルブリフタ63lをガイドするリフタガイド穴132eが、後半部に左右一対形成され、4つのリフタガイド穴132i,132eの中央には点火栓61を取り付ける点火栓取付穴133が形成されている。
ボルト孔134の取付座面134sは、周壁130の合せ面130sよりはずっと低い位置にある(図12参照)。
同カム軸受部135の下方には空洞139が形成され、カム軸受部135の下面中央部を偏平板状の支柱136が一体に支持する形状を構成している(図12参照)。
この合せ面135sの下側軸受面135i,135eの前後に、ホルダ固定ボルト孔137が形成されている。
ボルト締結作業孔138i,138eとボルト孔134,134とは同軸上にあり、ボルト締結作業孔138i,138eの直径は取付座面134sの直径と略同じである。
ボルト締結作業孔138i,138eの下方は、空洞139があり、空洞139を介してボルト孔134,134および取付座面134s,134sが位置している。
すなわち、このボルト締結作業孔138i,138eに上方から挿入された締結具によりフランジ付きナットn1,n2がヘッドボルトh1,h2に螺合される。
ヘッド油路E4は、左側のボルト孔134と略左右方向位置を同じくして穿孔されている。
ヘッド油路E4は、シリンダブロック12とシリンダヘッド13との合せ面において左後のヘッドボルトh2のボルト孔134と連通するので、ヘッド油路E4とボルト孔134が左右方向同じ位置にあることは、ヘッド油路E4の穿孔作業を容易にしている。
カム軸受部141の上端面もリフタガイド穴132i,132eと略同じ各前後位置に下側軸受面141i,141eが形成され、下側軸受面141i,141eを除いた3つの部分が、カムホルダ160との合せ面141sとなっていて、合せ面141sは周壁130の上端合せ面130sと同じ高さにある。
合せ面141sの下側軸受面141i,141eの前後に、ホルダ固定ボルト孔142が形成されている。
カム軸受部135の合せ面135sに対向するカムホルダ150の合せ面150sは、上側軸受面150i,150eの前後に形成され、同合せ面150sにはホルダ固定ボルト孔137に対応してホルダ固定ボルト孔152が穿設されている。
なお、ホルダ内縦油路E5の連結口寄りに小径のオリフィス151が設けられる。
そして、ホルダ内縦油路E5は、上側軸受面150i,150eの僅かに上方を前後方向に穿孔された第1ホルダ内油路E6に連通する。
第1ホルダ内油路E6は、ホルダ内縦油路E5から排気側の上側軸受面150eの上を通り、連結部を経て、吸気側の上側軸受面150iの上まで長尺に形成されている。
第1ホルダ内油路E6に対して軸方向油溝E7,E7と環状油溝E8,E8は、第2ホルダ内油路に相当し、ともにカム軸のジャーナル部に向けて開口しており、特に環状油溝E8,E8は連結口として開口している。
オイル回収孔156は前後に長い扁平な長孔であり、上方に行くほど開口面積が大きくなっている。
なお、カムホルダ150の前後軸受部の上面からは、シリンダヘッドカバー14を取り付けるための取付ボス部158,158が突出している。
ただし、中央には点火栓取付孔が形成されている。
吸気カム軸66は、左端に被動カムチェーンスプロケット66sを取り付ける取付フランジ66aが形成され、同取付フランジ66aから右側に、順にジャーナル部66j、吸気カムロブ66c、ジャーナル部66j、吸気カムロブ66cが形成されて右端フランジ66bに至っている。
左側ジャーナル部66jには、周方向に環状に給油溝66vとスラスト受フランジ66fが左右に形成されている。
排気カム軸67も略同様の構造をしているとともに、排気カム軸67には、始動時に排気弁63を押圧して燃焼室内の圧力を下げるオートデコンプ機構180(マニュアルデコンプ機構でも可)が備えられている。
カムホルダ150により軸支される吸気カム軸66の左側ジャーナル部66jと排気カム軸67の左側ジャーナル部67jは、上半円弧面全面がカムホルダ150,160の上側軸受面150i,150eに摺接するが、下半円弧面は右端部分がカム軸受部135の下側軸受面135e,141eに摺接し、他の部分はボルト締結作業孔138i,138eに臨んで露出している(図13参照)。
したがって、カムホルダ150の第1ホルダ内油路E6から軸方向油溝E7,E7を経て環状油溝E8,E8に至ったオイルは、環状油溝E8,E8に対向する吸気カム軸66と排気カム軸67の給油溝66v,67vから導入油口66vh,67vhを介して軸内中空油路F,F内に導入される。
排気カム軸67の右側ジャーナル部および排気カムロブも軸内中空油路F内のオイルが同様に供給されて潤滑される。
第1ホルダ内油路E6より左方に延びる軸方向油溝E7,E7は、左端部がボルト締結作業孔138i,138eの上方位置から外れ、環状油溝E8,E8もボルト締結作業孔138i,138eの上方位置から外れている。
カムホルダ150の上面には、オイル回収孔156の開口を囲うようにコ字状のリブ157が前方を開放して形成されているので、カムホルダ150の上面に落ち後方に流れようとするオイルを前方を開放したコ字状のリブ157が効率良く集めオイル回収孔156に回収することができる。
油圧テンショナリフタ117もシリンダブロック12の左側であるが後部に設けられているので、ヘッド内上面の右後部に開口するヘッド内オイル戻し油路190を、後部に集中して形成することができ、短く簡素化することができる。
E…内燃機関、M…変速機、h1,h2…ヘッドボルト、
11…クランクケース、12…シリンダブロック、13…シリンダヘッド、14…シリンダヘッドカバー、15…オイルパン、20…クランク軸、
66…吸気カム軸、66c…カムロブ、66f…スラスト受フランジ、66j…ジャーナル部、66v…給油溝、66vh…導入油口、66jh,66ch,66ch…導出油口、67…排気カム軸、67v…給油溝、67vh…導入油口、
134…ボルト孔、134s…取付座面、135…カム軸受部、135i,135e…下側軸受面、135s…合せ面、137…ホルダ固定ボルト孔、138i,138e…ボルト締結作業孔、139…空洞、141…カム軸受部、141i,141e…下側軸受面、142…ホルダ固定ボルト孔、
150…カムホルダ、150i,150e…上側軸受面、150s…合せ面、151…オリフィス、152…ホルダ固定ボルト孔、155…スラスト受溝、156…オイル回収孔、157…リブ、158…取付ボス部、160…カムホルダ。
Claims (4)
- クランクケースにシリンダブロックとシリンダヘッドを順次重ねてヘッドボルトにより締結されて内燃機関が構成され、
前記シリンダヘッドに下側軸受面が形成されたカム軸受部が形成され、
前記カム軸受部の下側軸受面に対向して上側軸受面が形成されたカムホルダが、互いの軸受面でカム軸を挟み回転自在に軸支するように前記カム軸受部に結合される動弁機構において、
前記下側軸受面の一部に前記ヘッドボルトのボルト締結作業孔が形成され、
前記シリンダヘッドに、前記カム軸受部における前記カムホルダとの結合面に連結口を開口するヘッド内油路が形成され、
前記カムホルダに、前記ヘッド内油路の連結口に連通し前記ボルト締結作業孔の上方位置に配設される第1ホルダ内油路と、前記第1ホルダ内油路からカム軸の軸方向に延出して前記上側軸受面の少なくとも前記ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に連結口を開口する第2ホルダ内油路とが形成され、
前記カム軸における軸内中空油路からジャーナル部で径方向に貫通して形成される導入油路が、前記カムホルダの前記第2ホルダ内油路の連結口に連通し、
前記下側軸受面における前記ボルト締結作業孔の上方位置の周方向に形成されたスラスト受溝に、前記カム軸のジャーナル部に形成されたフランジを摺動自在に嵌合して該カム軸の軸方向の移動が規制され、
前記カムホルダは前記スラスト受溝から上方に貫通してオイル回収孔が形成されたことを特徴とする動弁機構の潤滑構造。 - 前記カムホルダの前記第2ホルダ内油路は、前記第1ホルダ内油路から軸方向に延びる軸方向油路と、同軸方向油路の端部に連通し前記上側軸受面の前記ボルト締結作業孔の上方位置から外れた位置に周方向に延び前記カム軸のジャーナル部に向けて連結口を開口する環状油溝とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の動弁機構の潤滑構造。
- 前記カムホルダの前記第1ホルダ内油路と前記環状油溝が、カム軸に対して垂直な互いに平行な面に沿って形成され、
前記カムホルダを前記シリンダヘッドの前記カム軸受部に結合するボルトのホルダ固定ボルト孔が、カム軸の軸方向で前記第1ホルダ内油路と前記環状油溝との間に穿孔されることを特徴とする請求項2記載の動弁機構の潤滑構造。 - 前記シリンダヘッドの前記ヘッド内油路は、前記カム軸の軸方向で前記ボルト締結作業孔と同じ位置に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の動弁機構の潤滑構造。
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