JP5190225B2 - 半導体装置及びその作製方法 - Google Patents

半導体装置及びその作製方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5190225B2
JP5190225B2 JP2007187883A JP2007187883A JP5190225B2 JP 5190225 B2 JP5190225 B2 JP 5190225B2 JP 2007187883 A JP2007187883 A JP 2007187883A JP 2007187883 A JP2007187883 A JP 2007187883A JP 5190225 B2 JP5190225 B2 JP 5190225B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insulating film
semiconductor film
film
semiconductor
base substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007187883A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009026917A5 (ja
JP2009026917A (ja
Inventor
秀和 宮入
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP2007187883A priority Critical patent/JP5190225B2/ja
Publication of JP2009026917A publication Critical patent/JP2009026917A/ja
Publication of JP2009026917A5 publication Critical patent/JP2009026917A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5190225B2 publication Critical patent/JP5190225B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic Table or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/20Deposition of semiconductor materials on a substrate, e.g. epitaxial growth solid phase epitaxy
    • H01L21/2003Deposition of semiconductor materials on a substrate, e.g. epitaxial growth solid phase epitaxy characterised by the substrate
    • H01L21/2007Bonding of semiconductor wafers to insulating substrates or to semiconducting substrates using an intermediate insulating layer
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/70Manufacture or treatment of devices consisting of a plurality of solid state components formed in or on a common substrate or of parts thereof; Manufacture of integrated circuit devices or of parts thereof
    • H01L21/71Manufacture of specific parts of devices defined in group H01L21/70
    • H01L21/76Making of isolation regions between components
    • H01L21/764Air gaps

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Description

本発明は、SOI(Silicon on Insulator)基板を用いた半導体装置及びその作製方法に関する。本発明は特に貼り合わせSOI技術に関するものであって、絶縁膜を間に挟んで単結晶若しくは多結晶の半導体膜を基板に貼り合わせることで得られるSOI基板を用いた、半導体装置及びその作製方法に関する。
半導体集積回路に対する高集積化、高速化、高機能化、低消費電力化への要求が厳しさを増しており、その実現に向け、バルクのトランジスタに替わる有力な手段としてSOI基板を用いたトランジスタが注目されている。SOI基板を用いたトランジスタはバルクのトランジスタと比較すると、半導体膜が絶縁膜上に形成されているので、寄生容量が低減され、基板に流れる漏れ電流の発生を抑えることができ、高速化、低消費電力化がより期待できる。そして活性層として用いる半導体膜を薄くできるので、短チャネル効果を抑制し、よって素子の微細化、延いては半導体集積回路の高集積化を実現することができる。またSOI基板を用いたトランジスタは完全にラッチアップフリーであるため、ラッチアップによる発熱で素子が破壊される恐れがない。さらにバルクのトランジスタのようにウェルによる素子分離を行う必要がないため、素子間の距離を短くすることができ、高集積化を実現できるといったメリットをも有している。
SOI基板の作製方法の一つに、スマートカットに代表されるUNIBOND、ELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)、誘電体分離法、PACE(Plasma Assisted Chemical Etching)法などの、絶縁膜を介して半導体膜を基板に貼り合わせる貼り合わせ法がある。上記貼り合わせ法を用いることで、単結晶の半導体膜を用いた高機能な集積回路を安価なガラス基板上に形成することができる。
そして、SOI基板を用いたトランジスタの移動度を高めるために、活性層として用いる半導体膜に歪みを加える技術が確立されつつある。半導体膜に歪みが加わることで、バンド構造が変調してキャリアの有効質量が軽くなり、結果的にトランジスタの移動度を高めることができる。歪みは、例えば半導体膜上に形成される層間絶縁膜の応力を利用する方法、或いは格子定数の大きなシリコンゲルマニウム上にシリコンを堆積させる方法等が挙げられる。歪みが加えられたシリコンをトランジスタに代表される半導体素子に用いることで、半導体集積回路のさらなる高速駆動を実現することができる。
下記の特許文献1には、シリコン層の下部に形成された空洞をポリシリコンで埋め、熱処理による該ポリシリコンの体積膨張を利用して、上記シリコン層の上部に引っ張り応力を加える技術について記載されている。
特開2006−019662号公報
ところで、歪みを半導体膜に加えることで移動度を向上させる上記技術を用いた半導体素子は、特許文献1のように、引っ張り応力によりキャリアの移動度が向上するシリコンを半導体材料として用いたものが殆どであった。しかし、シリコンとは異なり、引っ張り応力とは逆の方向に力が働く圧縮応力により、キャリアの移動度が向上するゲルマニウムなどの半導体材料も存在する。ゲルマニウムは、キャリアの移動度がシリコンより数倍高い値を有しており、半導体集積回路の高速駆動を実現する上で、非常に有望な半導体材料であると言える。しかし、移動度を向上させることができる応力の種類がシリコンとは異なるので、特許文献1に記載された構成を有するトランジスタにおいて、単純にシリコンをゲルマニウムに置き換えても、該トランジスタの移動度をより高めることは難しい。
また、半導体膜上に形成される層間絶縁膜の応力を利用する方法では、層間絶縁膜の材料が限定されてしまう上に、層間絶縁膜の材料または膜厚の選択だけで適切な圧縮応力を半導体膜に生じさせるのが難しいという問題があった。
本発明は上述した問題に鑑み、層間絶縁膜の材料または膜厚にとらわれることなく、半導体膜のキャリアが移動する領域に圧縮応力を加えることができる半導体素子を用いた半導体装置の提案を課題とする。
本発明の第1の構成では、凹部が形成されたボンド基板(半導体基板)をベース基板(支持基板)上に貼り合わせることで、ボンド基板とベース基板の間に空洞を形成する。次に、ボンド基板を劈開させることで、ベース基板との間に空洞を有する半導体膜を形成する。
また本発明の第2の構成では、ベース基板上に開口部を有する絶縁膜を形成し、該開口部と重なるようにボンド基板を絶縁膜上に貼り合わせることで、ボンド基板とベース基板の間に空洞を形成する。次に、ボンド基板を劈開させることで、ベース基板との間に空洞を有する半導体膜を形成する。
さらに本発明の第1の構成と第2の構成では、半導体膜のうち空洞と重なる領域に力を加えることで、該領域をベース基板側に近づけるように歪ませる。半導体膜に力を加えるためには、上記空洞の内部と外部の間に圧力差を生じさせれば良い。例えば上記圧力差を生じさせるために、上記貼り合わせを減圧雰囲気下で行い、貼り合わせ直後における空洞内の気圧が、大気圧よりも低くなるようにする。そして、ベース基板に形成された半導体膜を大気雰囲気下においたときに、半導体膜のうち空洞と重なる領域を、ベース基板側に近づけるように歪ませることができる。半導体膜がベース基板側に引っ張られるように歪むと、半導体膜の内部において、ベース基板に近い領域に引っ張り応力が発生し、ベース基板とは反対側の領域、すなわちベース基板から遠い領域に圧縮応力が発生する。よって、半導体膜の空洞と重なっている領域のうち、ベース基板から遠い圧縮応力が発生する領域を、キャリアが移動する領域として用いることで、高速駆動が可能な半導体素子を形成することができる。
具体的に、本発明の半導体装置が有するトランジスタは、活性層として用いる半導体膜とベース基板の間に空洞を有する。また、半導体膜のうち空洞と重なる領域が、ベース基板側に近づくように歪んでいる。そして本発明の半導体装置が有するトランジスタは、半導体膜の空洞と重なる領域上に、順に積層されたゲート絶縁膜と電極とを有する。よって上記トランジスタは、半導体膜の歪んでいる領域にチャネル形成領域を有している。また上記トランジスタは、チャネル形成領域に加え、ソースまたはドレインが半導体膜の歪んでいる領域に形成されていても良い。
本発明では、空洞の内と外の圧力差を利用することで、空洞と重なる半導体膜に歪みを加えることができる。よって、層間絶縁膜の材料または膜厚にとらわれることなく、半導体膜に適切な圧縮応力を加えることができ、移動度のより高い半導体素子を有する半導体装置を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の半導体装置において、半導体素子が有する半導体膜と、該半導体膜と重なるように配置された空洞の構成について、図1を用いて説明する。図1(A)は、本発明で用いられる半導体素子が有する半導体膜100と、空洞101の断面図である。
図1(A)に示す半導体膜100は、接合によりベース基板102上に貼り合わされている。具体的に半導体膜100は、凹部を有するボンド基板を接合によりベース基板102上に貼り合わせた後、凹部以外の部分において該ボンド基板を劈開することで、ベース基板102上に形成される。図1(A)では、半導体膜100に接する絶縁膜103と、ベース基板102に接する絶縁膜104とが接合することで、ベース基板102上に半導体膜100が貼り合わされている。そして本実施の形態では、半導体膜100がベース基板102側に凹部を有しており、該凹部により、半導体膜100とベース基板102の間に空洞101が形成されている。空洞101は、半導体膜100とベース基板102の間に単数設けられていても良いし、複数設けられていても良い。
そして半導体膜100は、空洞101と重なる領域が、他の領域と比べると、ベース基板102側に引っ張られるように近くなっている。図1(B)に、図1(A)の破線105で囲まれた空洞101付近の拡大図を示す。図1(B)に示すように、半導体膜100のうち、空洞101と重なる領域106は、領域106以外の領域107に比べて、たわみ量δだけベース基板102に近づいている。
半導体膜100のうち空洞101と重なる領域106は、空洞101の内と外に圧力差を生じさせることで、ベース基板102側に近づけるように歪ませることができる。具体的には、接合による半導体膜100とベース基板102との貼り合わせを、減圧雰囲気下で行う。そして、貼り合わせにより内部が減圧雰囲気の状態である空洞101が形成された後で、ベース基板102及び半導体膜100を大気雰囲気下にさらすことで、領域106を空洞101内に向かって歪ませることができる。
なお、空洞101内を減圧雰囲気とすることで空洞101の内部と外部に圧力差を生じさせる場合、半導体膜100、ベース基板102、絶縁膜103または絶縁膜104を用いて空洞101を囲むことで、空洞101の内部と外部を隔てるようにする。ただし、半導体膜100に歪みを加えた後は、層間絶縁膜などの形成により該歪みをある程度保持できるのであれば、必ずしも空洞101の内部と外部を隔てる必要はない。
空洞101と重なる領域106がベース基板102に近づくことで、半導体膜100のうち空洞101と重なる領域106の内部には、よりベース基板102に近い領域に引っ張り応力が生じ、逆によりベース基板102から遠い領域に圧縮応力が生じる。
半導体中におけるキャリアの移動度μは、以下の式1で表される。ただし式1において、τはキャリアの緩和時間、qはキャリアの電荷、m*はキャリアの有効質量である。
(式1)
μ=τq/m*
そして、正孔の有効質量は、シリコンやゲルマニウムであれば、重い正孔(mh1)と、軽い正孔(mh2)と、分離した正孔(mh3)が存在しており、エネルギー的には重い正孔と軽い正孔の両方の有効質量で、総合的な正孔の有効質量m*が決まる。半導体膜に歪みを加えると、縮退していたバンドが分裂し、軽い正孔がエネルギー的に支配的となるため、総合的な正孔の有効質量m*を軽くすることができる。よって、式1から、半導体膜に歪みを加えることで、移動度μを高くできることが分かる。
ゲルマニウムなどの圧縮応力によりキャリアの移動度が向上する半導体材料を、半導体膜100に用いる場合、よりベース基板102から遠い圧縮応力の生じる領域を、キャリアの移動する領域として用いるように、半導体素子を形成する。
図1(C)に、図1(A)に示した半導体膜100を用いたトランジスタの断面図を一例として示す。図1(C)に示すトランジスタでは、半導体膜100のうち空洞101と重なる領域106に、チャネル形成領域108が形成されている。またチャネル形成領域108は、半導体膜100のうち領域106以外の領域107に形成された、一対の不純物領域109に挟まれている。そしてチャネル形成領域108上には、ゲート絶縁膜110を間に挟んで電極111が形成されている。
図1(C)に示すトランジスタでは、ゲート絶縁膜110及び電極111が、半導体膜100のうち空洞101と重なる領域106を間に挟んで、空洞101の反対側に形成されている。よってチャネル形成領域108には、空洞101及びベース基板102からより遠い領域にキャリアの移動するチャネルが形成されることになる。したがって、ゲルマニウムなどの圧縮応力によりキャリアの移動度が向上する半導体材料を、半導体膜100に用いることで、トランジスタの移動度を向上させることができる。
特にゲルマニウムであれば、(100)面においてキャリアの移動する方向が[011]となるように半導体素子を作製することで、最も正孔の移動度を高くすることができる。
なお、ベース基板102に対して垂直方向から見たときの空洞の形状が例えば矩形である場合、たわみ量δは、以下の式2で表される。ただしαは最大たわみ係数、Pは等分布荷重(圧力)、aは矩形の短辺方向における長さ、Eはヤング率、tは空洞101と重なる領域106における半導体膜100の膜厚である。
(式2)
δ=αPa/(Et
例えば、矩形の長辺方向における長さbと短辺方向における長さaの比がb/a=1とすると、最大たわみ係数αは0.0138である。またPは、大気圧だと0.1MPaである。aは65nmと仮定する。Eは、ゲルマニウムの(100)面だと102.7GPaとなる。上記値を式2に代入すると、t=50nmのときδ=0.004nm、t=20nmのとき、δ=0.0625nm、t=10nmのときδ=0.5002nmとなる。このように、半導体材料の特性に合わせて、空洞101の形状、膜厚tによりたわみ量δを設定することができる。よって、より高い移動度が得られるようなたわみ量δの値を得るために、空洞101の形状、膜厚tの値を適宜設定すれば良い。
なお、絶縁膜103と絶縁膜104は、単数の絶縁膜で形成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層されるように形成されていても良い。また、図1(A)では、半導体膜100の凹部以外の領域と接するように絶縁膜103が形成されているが、絶縁膜103が半導体膜100の凹部にも接するように形成されていても良い。絶縁膜104はベース基板102の全面に形成されていても良いし、少なくとも絶縁膜103と重なる領域をカバーするように部分的に形成されていても良い。
また図1(A)では、絶縁膜103及び絶縁膜104を用いて半導体膜100とベース基板102とを貼り合わせているが、本発明はこの構成に限定されない。絶縁膜103と絶縁膜104は、必ずしも両方設ける必要はなく、いずれか一方のみ設けても良いし、両方設けなくとも良い。例えば絶縁膜103と絶縁膜104のうち、絶縁膜104のみを形成する場合、絶縁膜104と半導体膜100を接合させることで、ベース基板102と半導体膜100とを貼り合わせることが出来る。逆に、絶縁膜103と絶縁膜104のうち絶縁膜103のみを形成する場合、絶縁膜103とベース基板102を接合させることで、ベース基板102と半導体膜100とを貼り合わせることが出来る。また絶縁膜103及び絶縁膜104を設けない場合、半導体膜100とベース基板102とを直接接合させれば良い。ただし、絶縁膜103と絶縁膜104を接合させる場合、ベース基板102の種類によらず、貼り合わせの強度を確実に確保することができる。
また本実施の形態では、半導体膜100と空洞101とが直接接しているが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜100が有する凹部に絶縁膜を形成しておくことで、半導体膜100と空洞101の間に絶縁膜を設けることができる。ただしこの場合、最適なたわみ量δの値を得るために、上記絶縁膜の存在を考慮に入れるようにする。
また図1(C)では、一対の不純物領域109は、その一部が、半導体膜100のうち空洞101と重なる領域106に形成されているが、本発明はこの構成に限定されない。一対の不純物領域109が、領域106以外の領域107にだけ形成されていても良い。ただし、チャネル形成領域108と、ドレインとして機能する不純物領域109との境目近傍において、セルフヒーティングによる発熱量は高くなる。よって、上記境目近傍と重なるように、空洞101をレイアウトすることで、セルフヒーティングによる熱を効率よく放射することができ、トランジスタの閾値電圧が熱により変動するのを防ぐことができる。
また、空洞101がチャネル形成領域108のみならず不純物領域109とも重なっていて、なおかつ不純物領域109が空洞101と直接接している場合、トランジスタの寄生容量または接合容量をより低減させることが出来る。ただしこの場合、酸化珪素などの無機絶縁膜に比べて比誘電率の低い空気、窒素、不活性ガスなどで空洞101を減圧雰囲気で満たしておく。なお、実際のところ、半導体膜100の空洞101と接する部分には、自然酸化膜が形成されやすい。しかし自然酸化膜の膜厚は数nm程度と飛躍的に薄いので、空洞101と半導体膜100の間に数μm以上の膜厚を有する絶縁膜を形成する場合に比べて、トランジスタの寄生容量または接合容量を低減できると言える。
本発明では、空洞101の内と外の圧力差を利用することで、空洞101と重なる半導体膜100に歪みを加えることができる。よって、層間絶縁膜の材料または膜厚にとらわれることなく、半導体膜100に適切な圧縮応力を加えることができ、移動度のより高い半導体素子を有する半導体装置を形成することができる。
なお本発明の範疇に含まれる半導体装置には、マイクロプロセッサ、画像処理回路などの集積回路や、質問器とデータの送受信が非接触でできるRFタグ、半導体表示装置等、ありとあらゆる半導体装置が含まれる。半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等や、半導体膜を用いた回路素子を駆動回路に有しているその他の表示装置がその範疇に含まれる。
(実施の形態2)
本発明の半導体装置において、半導体素子が有する半導体膜と、該半導体膜と重なるように配置された空洞の構成について、図2を用いて説明する。図2(A)は、本発明で用いられる半導体素子が有する半導体膜200と、空洞201の断面図である。
図2(A)に示す半導体膜200は、接合によりベース基板202上に貼り合わされている。具体的には、開口部を有する絶縁膜203をベース基板202上に形成した後、該絶縁膜203と半導体膜200とを接合させることで、半導体膜200がベース基板202上に貼り合わされている。そして本実施の形態では、半導体膜200が絶縁膜203の開口部と重なるように上記貼り合わせを行うことで、該開口部により、半導体膜200とベース基板202の間に空洞201が形成されている。空洞201は、半導体膜200とベース基板202の間に単数設けられていても良いし、複数設けられていても良い。
なお、絶縁膜203は、単数の絶縁膜で形成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層されるように形成されていても良い。また本実施の形態では、絶縁膜203が開口部を有する場合について述べたが、絶縁膜203が開口部の代わりに凹部を有していても良い。絶縁膜203が凹部を有する場合、半導体膜200が絶縁膜203の凹部と重なるように貼り合わせを行うことで、該凹部により、半導体膜200とベース基板202の間に空洞201が形成される。なお、この場合においても、絶縁膜203は、単数の絶縁膜で形成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層されるように形成されていても良い。
また本実施の形態では、開口部または凹部を有する絶縁膜203をベース基板202側に形成してから、半導体膜200とベース基板202とを貼り合わせているが、本発明はこの構成に限定されない。開口部または凹部を有する絶縁膜203を半導体膜200側に形成し、絶縁膜203を間に挟んで半導体膜200をベース基板202上に貼り合わせても良い。
また本実施の形態では、半導体膜200と空洞201とが直接接しているが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜200に接する絶縁膜を形成し、該絶縁膜とベース基板202上の絶縁膜203とを接合させることで、半導体膜200と空洞201の間に絶縁膜を設けることができる。絶縁膜どうしを接合させる場合、ベース基板202の種類によらず、貼り合わせの強度を確実に確保することができる。ただしこの場合、最適なたわみ量δの値を得るために、上記絶縁膜の存在を考慮に入れるようにする。
そして半導体膜200は、空洞201と重なる領域が、他の領域と比べると、ベース基板202側に引っ張られるように近くなっている。図2(B)に、図2(A)の破線205で囲まれた空洞201付近の拡大図を示す。図2(B)に示すように、半導体膜200のうち、空洞201と重なる領域206は、領域206以外の領域207に比べて、たわみ量δだけベース基板202に近づいている。
半導体膜200のうち空洞201と重なる領域206は、空洞201の内と外に圧力差を生じさせることで、ベース基板202側に近づけるように歪ませることができる。具体的には、接合による半導体膜200とベース基板202との貼り合わせは、減圧雰囲気下で行う。そして、貼り合わせにより内部が減圧雰囲気の状態である空洞201が形成された後で、ベース基板202及び半導体膜200を大気雰囲気下にさらすことで、領域206を空洞201内に向かって歪ませることができる。
なお、空洞201内を減圧雰囲気とすることで空洞201の内部と外部に圧力差を生じさせる場合、半導体膜200、ベース基板202、絶縁膜203、または絶縁膜203と半導体膜200の間に形成される絶縁膜を用いて空洞201を囲むことで、空洞201の内部と外部を隔てるようにする。ただし、半導体膜200に歪みを加えた後は、層間絶縁膜などの形成により該歪みをある程度保持できるのであれば、必ずしも空洞201の内部と外部を隔てる必要はない。
空洞201と重なる領域206がベース基板202に近づくことで、半導体膜200のうち空洞201と重なる領域206の内部には、よりベース基板202に近い領域に引っ張り応力が生じ、逆によりベース基板202から遠い領域に圧縮応力が生じる。
ゲルマニウムなどの圧縮応力によりキャリアの移動度が向上する半導体材料を、半導体膜200に用いる場合、よりベース基板202から遠い圧縮応力の生じる領域を、キャリアの移動する領域として用いるように、半導体素子を形成する。
図2(C)に、図2(A)に示した半導体膜200を用いたトランジスタの断面図を一例として示す。図2(C)に示すトランジスタでは、半導体膜200のうち空洞201と重なる領域206に、チャネル形成領域208が形成されている。またチャネル形成領域208は、半導体膜200のうち領域206以外の領域207に形成された、一対の不純物領域209に挟まれている。そしてチャネル形成領域208上には、ゲート絶縁膜210を間に挟んで電極211が形成されている。
図2(C)に示すトランジスタでは、ゲート絶縁膜210及び電極211が、半導体膜200のうち空洞201と重なる領域206を間に挟んで、空洞201の反対側に形成されている。よってチャネル形成領域208には、空洞201及びベース基板202からより遠い領域にキャリアの移動するチャネルが形成されることになる。したがって、ゲルマニウムなどの圧縮応力によりキャリアの移動度が向上する半導体材料を、半導体膜200に用いることで、トランジスタの移動度を向上させることができる。
特にゲルマニウムであれば、(100)面においてキャリアの移動する方向が[011]となるように半導体素子を作製することで、最も正孔の移動度を高くすることができる。そして、より高い移動度が得られるような最大のたわみ量δを得るために、空洞201の形状、領域206における半導体膜200の膜厚を適宜設定すれば良い。
なお図2(C)では、一対の不純物領域209は、その一部が、半導体膜200のうち空洞201と重なる領域206に形成されているが、本発明はこの構成に限定されない。一対の不純物領域209が、領域206以外の領域207にだけ形成されていても良い。ただし、チャネル形成領域208と、ドレインとして機能する不純物領域209との境目近傍において、セルフヒーティングによる発熱量は高くなる。よって、上記境目近傍と重なるように、空洞201をレイアウトすることで、セルフヒーティングによる熱を効率よく放射することができ、トランジスタの閾値電圧が熱により変動するのを防ぐことができる。
また、空洞201がチャネル形成領域208のみならず不純物領域209とも重なっていて、なおかつ不純物領域209が空洞201と直接接している場合、トランジスタの寄生容量または接合容量をより低減させることが出来る。ただしこの場合、酸化珪素などの無機絶縁膜に比べて比誘電率の低い空気、窒素、不活性ガスなどで空洞201を減圧雰囲気で満たしておく。なお、実際のところ、半導体膜200の空洞201と接する部分には、自然酸化膜が形成されやすい。しかし自然酸化膜の膜厚は数nm程度と飛躍的に薄いので、空洞201と半導体膜200の間に数μm以上の膜厚を有する絶縁膜を形成する場合に比べて、トランジスタの寄生容量または接合容量を低減できると言える。
本発明では、空洞201の内と外の圧力差を利用することで、空洞201と重なる半導体膜200に歪みを加えることができる。よって、層間絶縁膜の材料または膜厚にとらわれることなく、半導体膜200に適切な圧縮応力を加えることができ、移動度のより高い半導体素子を有する半導体装置を形成することができる。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の半導体装置が有するトランジスタの、より具体的な構成について説明する。図3(A)は、本実施の形態のトランジスタの上面図である。また図3(B)は、図3(A)に示す上面図の破線A−A’における断面図であり、図3(C)は、図3(A)に示す上面図の破線B−B’における断面図である。
図3に示すトランジスタは、半導体膜300と、ゲートとして機能する電極301と、半導体膜300と電極301の間に設けられたゲート絶縁膜302とを有している。また半導体膜300は、ソースまたはドレインとして機能する一対の不純物領域303、304と、不純物領域303、304の間に設けられたチャネル形成領域305と、不純物領域303、304とチャネル形成領域305の間に設けられたLDD(Lightly Doped Drain)領域308、309とを有する。電極301は、ゲート絶縁膜302を間に挟んでチャネル形成領域305と重なっている。
また半導体膜300はベース基板306側に凹部を有しており、該凹部とベース基板306との間には、空洞307が形成されている。なお、空洞307は半導体膜300とベース基板306の間に形成されているため、図3(A)では、空洞307が形成されている領域を破線で示している。図3に示すように、本実施の形態では、空洞307の形成されている領域が、半導体膜300の形成されている領域に囲まれている。そして本実施の形態では、半導体膜300が有するチャネル形成領域305と、空洞307とが重なっている。半導体膜300は、空洞307と重なる領域が、他の領域と比べて、ベース基板306側に引っ張られるように近くなっている。
半導体膜300は、凹部を有するボンド基板を接合によりベース基板306上に貼り合わせた後、凹部以外の部分において該ボンド基板を劈開することで、ベース基板306上に形成される。なお図3では、1つの半導体膜300と1つの空洞307とが重なっている例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。1つの半導体膜300と複数の空洞とが重なっていても良い。
なお、半導体膜300に歪みを加えるために、空洞307内を減圧雰囲気とすることで空洞307の内部と外部に圧力差を生じさせる場合、半導体膜300、ベース基板306、または半導体膜300とベース基板306の間に形成された各種絶縁膜等を用いて空洞307を囲むことで、空洞307の内部と外部を隔てるようにする。ただし、半導体膜300に歪みを加えた後は、層間絶縁膜などの形成により該歪みをある程度保持できるのであれば、必ずしも空洞307の内部と外部を隔てる必要はない。
なお本発明で用いられるトランジスタは、ゲートとして機能する電極301を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造であっても良い。
また、図3に示すトランジスタは、半導体膜300がLDD領域308、309を有しているが、本発明はこの構成に限定されない。LDD領域308、309は必ずしも設けなくとも良いし、或いはいずれか一方のみが設けられていても良い。また図3に示すトランジスタは、半導体膜300のうち、電極301と重なっている領域とは異なる領域にLDD領域308、309が設けられているが、本発明はこの構成に限定されない。LDD領域308、309は、電極301と重なっている領域に設けられていても良い。或いは、電極301と重なっている領域と、それ以外の領域とに跨るように設けられていても良い。
また、図3に示すトランジスタは、LDD領域308、309を形成する際にマスクとして用いるサイドウォール310が電極301のサイドに設けられているが、本発明はこの構成に限定されない。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の半導体装置が有するトランジスタの、より具体的な構成について説明する。図4(A)は、本実施の形態のトランジスタの上面図である。また図4(B)は、図4(A)に示す上面図の破線A−A’における断面図であり、図4(C)は、図4(A)に示す上面図の破線B−B’における断面図である。
図4に示すトランジスタは、半導体膜400と、ゲートとして機能する電極401と、半導体膜400と電極401の間に設けられたゲート絶縁膜402とを有している。また半導体膜400は、ソースまたはドレインとして機能する一対の不純物領域403、404と、不純物領域403、404の間に設けられたチャネル形成領域405と、不純物領域403、404とチャネル形成領域405の間に設けられたLDD(Lightly Doped Drain)領域408、409とを有する。電極401は、ゲート絶縁膜402を間に挟んでチャネル形成領域405と重なっている。
また半導体膜400とベース基板406の間には、空洞407が形成されている。具体的に本実施の形態では、半導体膜400とベース基板406の間に形成された開口部を有する絶縁膜411と、半導体膜400と、ベース基板406とによって、空洞407が形成されている。
なお、空洞407は半導体膜400とベース基板406の間に形成されているため、図4(A)では、空洞407が形成されている領域を破線で示している。図4に示すトランジスタでは、空洞407の形成されている領域が、半導体膜400の形成されている領域に囲まれている。そして本実施の形態では、半導体膜400が有するチャネル形成領域405と、空洞407とが重なっている。半導体膜400は、空洞407と重なる領域が、他の領域と比べて、ベース基板406側に引っ張られるように近くなっている。
半導体膜400は、開口部を有する絶縁膜411上にボンド基板を接合により貼り合わせた後、ボンド基板を劈開することで、ベース基板406上に形成される。なお図4では、1つの半導体膜400と1つの空洞407とが重なっている例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。1つの半導体膜400と複数の空洞とが重なっていても良い。
なお、半導体膜400に歪みを加えるために、空洞407内を減圧雰囲気とすることで空洞407の内部と外部に圧力差を生じさせる場合、半導体膜400、ベース基板406、または開口部を有する絶縁膜411等を用いて空洞407を囲むことで、空洞407の内部と外部を隔てるようにする。ただし、半導体膜400に歪みを加えた後は、層間絶縁膜などの形成により該歪みをある程度保持できるのであれば、必ずしも空洞407の内部と外部を隔てる必要はない。
また、絶縁膜411は、単数の絶縁膜で形成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層されるように形成されていても良い。また本実施の形態では、絶縁膜411が開口部を有する場合について述べたが、絶縁膜411が開口部の代わりに凹部を有していても良い。絶縁膜411が凹部を有する場合、半導体膜400が絶縁膜411の凹部と重なるように貼り合わせを行うことで、該凹部により、半導体膜400とベース基板406の間に空洞407が形成される。なお、この場合においても、絶縁膜411は、単数の絶縁膜で形成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層されるように形成されていても良い。
また本実施の形態では、開口部または凹部をボンド基板側に有する絶縁膜411をベース基板406上に形成してから、絶縁膜411を間に挟んでボンド基板とベース基板406とを貼り合わせる場合について述べたが、本発明はこの構成に限定されない。開口部または凹部をベース基板406側に有する絶縁膜411をボンド基板上に形成し、絶縁膜411を間に挟んでボンド基板とベース基板406とを貼り合わせても良い。
また本実施の形態では、半導体膜400と空洞407とが直接接しているが、本発明はこの構成に限定されない。半導体膜400に接する絶縁膜を形成し、該絶縁膜とベース基板406上の絶縁膜411とを接合させることで、半導体膜400と空洞407の間に絶縁膜を設けることができる。絶縁膜どうしを接合させる場合、ベース基板406の種類によらず、貼り合わせの強度を確実に確保することができる。
なお本発明で用いられるトランジスタは、ゲートとして機能する電極401を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造であっても良い。
また、図4に示すトランジスタは、半導体膜400がLDD領域408、409を有しているが、本発明はこの構成に限定されない。LDD領域408、409は必ずしも設けなくとも良いし、或いはいずれか一方のみが設けられていても良い。また図4に示すトランジスタは、半導体膜400のうち、電極401と重なっている領域とは異なる領域にLDD領域408、409が設けられているが、本発明はこの構成に限定されない。LDD領域408、409は、電極401と重なっている領域に設けられていても良い。或いは、電極401と重なっている領域と、それ以外の領域とに跨るように設けられていても良い。
また、図4に示すトランジスタは、LDD領域408、409を形成する際にマスクとして用いるサイドウォール410が電極401のサイドに設けられているが、本発明はこの構成に限定されない。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の半導体装置が有するトランジスタの、より具体的な構成について説明する。図5(A)は、本実施の形態のトランジスタの上面図である。また図5(B)は、図5(A)に示す上面図の破線A−A’における断面図であり、図5(C)は、図5(A)に示す上面図の破線B−B’における断面図である。
図5に示すトランジスタは、半導体膜420と、ゲートとして機能する電極421と、半導体膜420と電極421の間に設けられたゲート絶縁膜422とを有している。また半導体膜420は、ソースまたはドレインとして機能する一対の不純物領域423、424と、不純物領域423、424の間に設けられたチャネル形成領域425と、不純物領域423、424とチャネル形成領域425の間に設けられたLDD(Lightly Doped Drain)領域428、429とを有する。電極421は、ゲート絶縁膜422を間に挟んでチャネル形成領域425と重なっている。
また半導体膜420とベース基板426の間には、空洞427が形成されている。具体的に本実施の形態では、半導体膜420とベース基板426の間に形成された開口部を有する絶縁膜431と、絶縁膜431と半導体膜420の間に形成された絶縁膜432と、ベース基板426とによって、空洞427が形成されている。
なお、空洞427は半導体膜420とベース基板426の間に形成されているため、図5(A)では、空洞427が形成されている領域を破線で示している。図5に示すトランジスタでは、空洞427の形成されている領域が、半導体膜420の形成されている領域と部分的に重なっている。そして本実施の形態では、半導体膜420が有するチャネル形成領域425と、空洞427とが重なっている。半導体膜420は、空洞427と重なる領域が、他の領域と比べて、ベース基板426側に引っ張られるように近くなっている。
半導体膜420は、絶縁膜432が形成されたボンド基板を、絶縁膜432と、開口部を有する絶縁膜431とを接合させることによりベース基板426上に貼り合わせた後、ボンド基板を劈開することで、ベース基板426上に形成される。本実施の形態では、絶縁膜432と絶縁膜431を接合させるので、ベース基板426の種類によらず、貼り合わせの強度を確実に確保することができる。なお図5では、1つの半導体膜420と1つの空洞427とが重なっている例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。1つの半導体膜420と複数の空洞とが重なっていても良い。
なお、半導体膜420に歪みを加えるために、空洞427内を減圧雰囲気とすることで空洞427の内部と外部に圧力差を生じさせる場合、ベース基板426、絶縁膜432、または開口部を有する絶縁膜431等を用いて空洞427を囲むことで、空洞427の内部と外部を隔てるようにする。ただし、半導体膜420に歪みを加えた後は、層間絶縁膜などの形成により該歪みをある程度保持できるのであれば、必ずしも空洞427の内部と外部を隔てる必要はない。
また、絶縁膜431は、単数の絶縁膜で形成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層されるように形成されていても良い。また本実施の形態では、絶縁膜431が開口部を有する場合について述べたが、絶縁膜431が開口部の代わりに凹部を有していても良い。絶縁膜431が凹部を有する場合、絶縁膜432が絶縁膜431の凹部と重なるように貼り合わせを行うことで、該凹部により、半導体膜420とベース基板426の間に空洞427が形成される。なお、この場合においても、絶縁膜431は、単数の絶縁膜で形成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層されるように形成されていても良い。
また本実施の形態では、開口部または凹部をボンド基板側に有する絶縁膜431をベース基板426側に形成してから、絶縁膜431を間に挟んでボンド基板とベース基板426とを貼り合わせる場合について述べたが、本発明はこの構成に限定されない。ベース基板426側に凹部を有する絶縁膜432をボンド基板上に形成し、絶縁膜432を間に挟んでボンド基板とベース基板426とを貼り合わせても良い。
なお本発明で用いられるトランジスタは、ゲートとして機能する電極421を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造であっても良い。
また、図5に示すトランジスタは、半導体膜420がLDD領域428、429を有しているが、本発明はこの構成に限定されない。LDD領域428、429は必ずしも設けなくとも良いし、或いはいずれか一方のみが設けられていても良い。また図5に示すトランジスタは、半導体膜420のうち、電極421と重なっている領域とは異なる領域にLDD領域428、429が設けられているが、本発明はこの構成に限定されない。LDD領域428、429は、電極421と重なっている領域に設けられていても良い。或いは、電極421と重なっている領域と、それ以外の領域とに跨るように設けられていても良い。
また、図5に示すトランジスタは、LDD領域428、429を形成する際にマスクとして用いるサイドウォール430が電極421のサイドに設けられているが、本発明はこの構成に限定されない。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、半導体基板(ボンド基板)を用いて、支持基板(ベース基板)上に、凹部を有する半導体膜を形成する、本発明の半導体装置の作製方法について説明する。
まず図6(A)に示すように、ボンド基板600上に絶縁膜601を形成する。ボンド基板600として、ゲルマニウムなどの圧縮応力により移動度が高まる単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を用いることができる。その他に、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体で形成された単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を、ボンド基板600として用いることができる。
絶縁膜601は、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜601は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。例えば本実施の形態では、ボンド基板600に近い側から、窒素よりも酸素の含有量が高い窒化酸化珪素、酸素よりも窒素の含有量が高い窒化酸化珪素の順に積層された絶縁膜601を用いる。
例えば酸化珪素を絶縁膜601として用いる場合、絶縁膜601はシランと酸素、TEOS(テトラエトキシシラン)と酸素等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の気相成長法によって形成することができる。この場合、絶縁膜601の表面を酸素プラズマ処理で緻密化しても良い。また、窒化珪素を絶縁膜601として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。また、窒化酸化珪素を絶縁膜601として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガス、またはシランと酸化窒素の混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。
また、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を、絶縁膜601として用いても良い。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
次に図6(A)に示すように、ボンド基板600に、矢印で示すように水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを注入し、ボンド基板600の表面から一定の深さの領域に、微少ボイドを有する欠陥層602を形成する。欠陥層602が形成される位置は、上記注入の加速電圧によって決まる。そして欠陥層602の位置により、ボンド基板600からベース基板606に転置する半導体膜608の厚さが決まるので、注入の加速電圧は上記半導体膜608の厚さを考慮して行う。また上記注入の加速電圧のみならず、絶縁膜601の膜厚によっても、欠陥層602の位置を変えることができる。例えば、絶縁膜601の膜厚をより大きくすることで、半導体膜608の膜厚をより小さくすることができる。半導体膜608の厚さは、例えば10nm乃至200nm、好ましくは10nm乃至50nmの厚さとする。例えば水素をボンド基板600に注入する場合、ドーズ量は1×1016乃至1×1017/cmとするのが望ましい。本実施の形態では、ドーズ量を1.75×1016/cm、加速電圧を40kVとし、水素または水素イオンのイオン注入を行う。
なお、欠陥層602を形成する上記工程において、ボンド基板600に高い濃度の水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを注入するので、ボンド基板600の表面が粗くなってしまい、ベース基板606との間における接合で十分な強度が得られない場合がある。絶縁膜601を設けることで、水素又は希ガス、或いは水素と希ガスのイオンを注入する際にボンド基板600の表面が保護され、ベース基板606とボンド基板600の間における接合を良好に行うことが出来る。
次に図6(B)に示すように、絶縁膜601上に絶縁膜605を形成する。絶縁膜605は、絶縁膜601と同様に、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜605は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。また、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を、絶縁膜605として用いても良い。本実施の形態では、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を、絶縁膜605として用いる。
なお絶縁膜601または絶縁膜605に窒化珪素、窒化酸化珪素などのバリア性の高い絶縁膜を用いることで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物が、ベース基板606から、ベース基板606上に形成される半導体膜608に入るのを防ぐことができる。
なお本実施の形態では、欠陥層602を形成した後に絶縁膜605を形成しているが、絶縁膜605は必ずしも設ける必要はない。ただし絶縁膜605は欠陥層602を形成した後に形成されるので、欠陥層602を形成する前に形成される絶縁膜601よりも、その表面の平坦性は高い。よって、絶縁膜605を形成することで、後に行われる接合の強度をより高めることができる。
次に図6(C)に示すように、絶縁膜601、絶縁膜605及びボンド基板600を部分的にエッチングすることで、絶縁膜601、絶縁膜605及びボンド基板600に凹部604を形成する。凹部604は、欠陥層602に到達しない程度の深さになるように、すなわち欠陥層602の深さよりも浅くなるように形成する。凹部604は、後にトランジスタの半導体膜610とベース基板606の間に形成される空洞609となる。よって凹部604の形成は、トランジスタ611の半導体膜610のレイアウトを考慮して行われる。
なお本実施の形態では、凹部604を形成する前に絶縁膜605を形成しているが、絶縁膜605の形成は、凹部604を形成した後に行うようにしても良い。この場合、凹部604の内部を覆うように絶縁膜605が形成される。
一方、ベース基板606上に絶縁膜607を形成する。絶縁膜607は、絶縁膜601と同様に、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜607は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。また絶縁膜607として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いていても良い。本実施の形態では、絶縁膜607として酸化珪素を用いる。
次に、ボンド基板600とベース基板606とを接合により貼り合わせる前に、ボンド基板600に水素化処理を行うようにしても良い。水素化処理は、例えば、水素雰囲気中において350℃、2時間程度行う。
そして図6(D)に示すように、ボンド基板600と、ベース基板606とを、絶縁膜601、絶縁膜605、絶縁膜607を間に挟むように貼り合わせる。ボンド基板600とベース基板606の貼り合わせは、凹部604がベース基板606側を向くように行う。絶縁膜605と絶縁膜607とが、凹部604以外の領域において接合することで、ボンド基板600とベース基板606とを貼り合わせることができる。なお、本発明では、上記接合による貼り合わせを、減圧雰囲気下で行う。具体的には、ターボ分子ポンプまたはドライポンプなどを用いて、窒素等の不活性ガスが10−6Pa〜10−10Paである雰囲気で行うと良い。
接合の形成はファン・デル・ワールス力を用いて行われているため、室温でも強固な接合が形成される。なお、上記接合は低温で行うことが可能であるため、ベース基板606は様々なものを用いることが可能である。例えばベース基板606としては、アルミノシリケートガラスバリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板の他、石英基板、サファイア基板などの基板を用いることが出来る。さらにベース基板606として、シリコン、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの半導体基板などを用いることができる。或いは、ステンレス基板を含む金属基板をベース基板606として用いても良い。
なおベース基板606とボンド基板600とを貼り合わせた後に、加熱処理又は加圧処理を行っても良い。加熱処理又は加圧処理を行うことで接合の強度を向上させることができる。
ボンド基板600とベース基板606の間で、絶縁膜605と絶縁膜607との接合を行った後、熱処理を行うことにより、欠陥層602において隣接する微少ボイドどうしが結合して、微少ボイドの体積が増大する。その結果、図7(A)に示すように、欠陥層602においてボンド基板600が劈開し、ボンド基板600の一部であった半導体膜608が乖離する。熱処理の温度はベース基板606の耐熱温度以下で行うことが好ましく、例えば400℃乃至600℃の範囲内で熱処理を行えば良い。この剥離により、半導体膜608が、絶縁膜601及び絶縁膜605と共にベース基板606上に形成される。その後、絶縁膜605と絶縁膜607の接合をさらに強固にするため、400℃乃至600℃の熱処理を行うのが好ましい。絶縁膜607の凹部604が絶縁膜605とベース基板606の間に挟まれることで、空洞609が形成される。
半導体膜608の結晶面方位はボンド基板600の面方位によって制御することができる。形成する半導体素子に適した結晶面方位を有するボンド基板600を、適宜選択して用いればよい。またトランジスタ611の移動度は半導体膜608の結晶面方位によって異なる。より移動度の高いトランジスタを得たい場合、チャネルの向きと結晶面方位とを考慮し、ボンド基板600の貼り合わせの方向を定めるようにする。
なお、ベース基板606は、その表面に絶縁膜607が必ずしも形成されていなくとも良い。この場合、ベース基板606とボンド基板600との貼り合わせは、ベース基板606と、絶縁膜605との接合により行われる。ただし、ベース基板606の表面に絶縁膜607を形成しておくことで、ベース基板606から半導体膜608に、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。
次に、形成された半導体膜608の表面を平坦化する。平坦化は必ずしも必須ではないが、平坦化を行うことで、後に形成されるトランジスタにおいて半導体膜608とゲート絶縁膜の界面の特性を向上させることが出来る。具体的に平坦化は、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)または液体ジェット研磨法などにより、行うことができる。半導体膜608の厚さは、上記平坦化により薄膜化される。
なお、半導体膜608にエネルギービームを照射して、結晶欠陥を補修しても良い。エネルギービームは、半導体膜608に選択的に吸収されるもの、例えばレーザビームを用いるのが望ましい。レーザビームは、エキシマレーザなどの気体レーザ、YAGレーザなどの固体レーザを光源として用いることができる。レーザビームの波長は、紫外光から可視光域であることが好ましく、波長190nm〜700nmの領域のレーザ光を用いるのが望ましい。その他、ハロゲンランプ若しくはキセノンランプなどを用いたフラッシュランプアニールを、結晶欠陥の補修のために用いても良い。
なお本実施の形態では、欠陥層602の形成により半導体膜608をボンド基板600から剥離するスマートカット法を用いる場合について示すが、ELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)、誘電体分離法、PACE(Plasma Assisted Chemical Etching)法などの、他の貼り合わせ法を用いて半導体膜608をベース基板606に貼り合わせるようにしても良い。
次に、図7(B)に示すように、半導体膜608をパターニングすることで、島状の半導体膜610を形成する。半導体膜608をパターニング後においても、島状の半導体膜610とベース基板606の間には、凹部604によって形成される空洞609が維持されている。
なお、本実施の形態では、ボンド基板600を用いて半導体膜608を形成した後、該半導体膜608をパターニングすることで、島状の半導体膜610を形成する例について説明したが、ボンド基板600を予め所望の形状に加工しておくことで、島状の半導体膜610を直接ベース基板606上に形成することも可能である。
上記工程を経て形成された半導体膜610を用い、本発明はトランジスタ等の各種半導体素子を形成することが出来る。図7(C)には、半導体膜610を用いて形成されたトランジスタ611を例示している。
なお、本発明では、ボンド基板600とベース基板606の貼り合わせを減圧雰囲気下で行っているので、トランジスタ611を大気雰囲気下にさらしたとき、半導体膜610のうち空洞609と重なる領域が、ベース基板606に近づくように歪む。よって、半導体膜610のうちチャネルが形成される領域に圧縮応力を加えることができ、トランジスタ611の移動度をより高めることができる。なお、本実施の形態では、図7(C)においてのみ、半導体膜610に歪みが加えられている状態を図に反映させているが、図7(C)に至るまでの作製の過程においても、半導体膜608または半導体膜610が大気雰囲気下にさらされたときに、半導体膜608または半導体膜610には歪みが加えられる。
また図7では、1つの半導体膜610と1つの空洞609とが重なっている例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の半導体膜610と1つの空洞609とが重なっていても良いし、1つの半導体膜610と複数の空洞609とが重なっていても良い。
なお本発明の作製方法を用いて形成されるトランジスタは、図7に示す構成に限定されない。例えば半導体膜610がLDD領域を有していても良いし、ゲートとして機能する電極を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造であっても良い。
また、半導体膜608を所望の形状に加工することで素子分離を行うのではなく、選択酸化法(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)、トレンチ分離法(STI:Shallow Trench Isolation)などを用いて行っても良い。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、半導体基板(ボンド基板)を用いて、開口部を有する絶縁膜が形成された支持基板(ベース基板)に半導体膜を形成する、本発明の半導体装置の作製方法について説明する。
まず図8(A)に示すように、ボンド基板700上に絶縁膜701を形成する。ボンド基板600として、ゲルマニウムなどの圧縮応力により移動度が高まる単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を用いることができる。その他に、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体で形成された単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を、ボンド基板600として用いることができる。
絶縁膜701は、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜701は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。例えば本実施の形態では、ボンド基板700に近い側から、窒素よりも酸素の含有量が高い窒化酸化珪素、酸素よりも窒素の含有量が高い窒化酸化珪素の順に積層された絶縁膜701を用いる。
例えば酸化珪素を絶縁膜701として用いる場合、絶縁膜701はシランと酸素、TEOS(テトラエトキシシラン)と酸素等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の気相成長法によって形成することができる。この場合、絶縁膜701の表面を酸素プラズマ処理で緻密化しても良い。また、窒化珪素を絶縁膜701として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。また、窒化酸化珪素を絶縁膜701として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガス、またはシランと酸化窒素の混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。
また絶縁膜701として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いていても良い。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
次に図8(A)に示すように、ボンド基板700に、矢印で示すように水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを注入し、ボンド基板700の表面から一定の深さの領域に、微少ボイドを有する欠陥層702を形成する。欠陥層702が形成される位置は、上記注入の加速電圧によって決まる。そして欠陥層702の位置により、ボンド基板700からベース基板704に転置する半導体膜707の厚さが決まるので、注入の加速電圧は半導体膜707の厚さを考慮して行う。また上記注入の加速電圧のみならず、絶縁膜701の膜厚によっても、欠陥層702の位置を変えることができる。例えば、絶縁膜701の膜厚をより大きくすることで、半導体膜707の膜厚をより小さくすることができる。半導体膜707の厚さは10nm乃至200nm、好ましくは10nm乃至50nmの厚さとする。例えば水素をボンド基板700に注入する場合、ドーズ量は1×1016乃至1×1017/cmとするのが望ましい。本実施の形態では、ドーズ量を1.75×1016/cm、加速電圧を40kVとし、水素または水素イオンのイオン注入を行う。
なお、欠陥層702を形成する上記工程において、ボンド基板700に高い濃度の水素又は希ガス、或いは水素イオン又は希ガスイオンを注入するので、ボンド基板700の表面が粗くなってしまい、ベース基板704との間における接合で十分な強度が得られない場合がある。絶縁膜701を設けることで、水素又は希ガス、或いは水素と希ガスのイオンを注入する際にボンド基板700の表面が保護され、ベース基板704とボンド基板700の間における接合を良好に行うことが出来る。
次に図8(B)に示すように、絶縁膜701上に絶縁膜703を形成する。絶縁膜703は、絶縁膜701と同様に、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜703は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。また絶縁膜703として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いていても良い。本実施の形態では、絶縁膜703として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いる。
なお絶縁膜701または絶縁膜703に窒化珪素、窒化酸化珪素などのバリア性の高い絶縁膜を用いることで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がベース基板704から半導体膜709に入るのを防ぐことができる。
なお本実施の形態では、欠陥層702を形成した後に絶縁膜703を形成しているが、絶縁膜703は必ずしも設ける必要はない。ただし絶縁膜703は欠陥層702を形成した後に形成されるので、欠陥層702を形成する前に形成される絶縁膜701よりも、その表面の平坦性は高い。よって、絶縁膜703を形成することで、後に行われる接合の強度をより高めることができる。
一方、図8(C)に示すように、ベース基板704上に、開口部705を有する絶縁膜706を形成する。開口部705は、例えばレジストで形成されたマスクを用い、エッチングにより形成することができる。ベース基板704は開口部705において露出している。開口部705は、後にトランジスタの半導体膜709とベース基板704の間に形成される空洞となる。よって開口部705の形成は、トランジスタの半導体膜のレイアウトを考慮して行われる。
なお、本実施の形態では絶縁膜706が開口部705を有する場合について例示しているが、絶縁膜706が開口部705の代わりに凹部を有していても良い。この場合、凹部においてベース基板704は露出せず、絶縁膜706に覆われていることになる。絶縁膜706は、絶縁膜701と同様に、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素等の絶縁性を有する材料を用いて形成する。絶縁膜706は、単数の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。また絶縁膜706として、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化珪素を用いていても良い。本実施の形態では、絶縁膜706として酸化珪素を用いる。
次に、ボンド基板700とベース基板704とを接合により貼り合わせる前に、ボンド基板700に水素化処理を行うようにしても良い。水素化処理は、例えば、水素雰囲気中において350℃、2時間程度行う。
そして図8(D)に示すように、ボンド基板700と、ベース基板704とを、絶縁膜701、絶縁膜703、絶縁膜706を間に挟むように貼り合わせる。ボンド基板700とベース基板704の貼り合わせは、開口部705がボンド基板700側を向くように行う。絶縁膜703と絶縁膜706とが、開口部705以外の領域において接合させる、ボンド基板700とベース基板704とを貼り合わせることができる。なお、本発明では、上記接合による貼り合わせを、減圧雰囲気下で行う。具体的には、ターボ分子ポンプまたはドライポンプなどを用いて、窒素等の不活性ガスが10−6Pa〜10−10Paである雰囲気で行うと良い。
接合の形成はファン・デル・ワールス力を用いて行われているため、室温でも強固な接合が形成される。なお、上記接合は低温で行うことが可能であるため、ベース基板704は様々なものを用いることが可能である。例えばベース基板704としては、アルミノシリケートガラスバリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板の他、石英基板、サファイア基板などの基板を用いることが出来る。さらにベース基板704として、シリコン、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの半導体基板などを用いることができる。或いは、ステンレス基板を含む金属基板をベース基板704として用いても良い。
なおベース基板704とボンド基板700とを貼り合わせた後に、加熱処理又は加圧処理を行っても良い。加熱処理又は加圧処理を行うことで接合の強度を向上させることができる。
ボンド基板700とベース基板704の間で、絶縁膜703と絶縁膜706との接合を行った後、熱処理を行うことにより、欠陥層702において隣接する微少ボイドどうしが結合して、微少ボイドの体積が増大する。その結果、図9(A)に示すように、欠陥層702においてボンド基板700が劈開し、ボンド基板700の一部であった半導体膜707が乖離する。熱処理の温度はベース基板704の耐熱温度以下で行うことが好ましく、例えば400℃乃至600℃の範囲内で熱処理を行えば良い。この剥離により、半導体膜707が、絶縁膜701及び絶縁膜703と共にベース基板704に転置される。その後、絶縁膜703と絶縁膜706の接合をさらに強固にするため、400℃乃至600℃の熱処理を行うのが好ましい。絶縁膜706の開口部705が絶縁膜703とベース基板704の間に挟まれることで、空洞708が形成される。
半導体膜707の結晶面方位はボンド基板700の面方位によって制御することができる。形成する半導体素子に適した結晶面方位を有するボンド基板700を、適宜選択して用いればよい。またトランジスタ710の移動度は半導体膜707の結晶面方位によって異なる。より移動度の高いトランジスタ710を得たい場合、チャネルの向きと結晶面方位とを考慮し、ボンド基板700の貼り合わせの方向を定めるようにする。
次に、形成された半導体膜707の表面を平坦化する。平坦化は必ずしも必須ではないが、平坦化を行うことで、後に形成されるトランジスタにおいて半導体膜707とゲート絶縁膜の界面の特性を向上させることが出来る。具体的に平坦化は、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)または液体ジェット研磨法などにより、行うことができる。半導体膜707の厚さは、上記平坦化により薄膜化される。
なお、半導体膜707にエネルギービームを照射して、結晶欠陥を補修しても良い。エネルギービームは、半導体膜707に選択的に吸収されるもの、例えばレーザビームを用いるのが望ましい。レーザビームは、エキシマレーザなどの気体レーザ、YAGレーザなどの固体レーザを光源として用いることができる。レーザビームの波長は、紫外光から可視光域であることが好ましく、波長190nm〜700nmの領域のレーザ光を用いるのが望ましい。その他、ハロゲンランプ若しくはキセノンランプなどを用いたフラッシュランプアニールを、結晶欠陥の補修のために用いても良い。
なお本実施の形態では、欠陥層702の形成により半導体膜707をボンド基板700から剥離するスマートカット法を用いる場合について示すが、ELTRAN(Epitaxial Layer Transfer)、誘電体分離法、PACE(Plasma Assisted Chemical Etching)法などの、他の貼り合わせ法を用いて半導体膜707をベース基板704に貼り合わせるようにしても良い。
次に、図9(B)に示すように、半導体膜707を所望の形状に加工(パターニング)することで、島状の半導体膜709を形成する。半導体膜707をパターニング後においても、島状の半導体膜709とベース基板704の間には、開口部705によって形成される空洞708が維持されている。
なお、本実施の形態では、ボンド基板700を用いて半導体膜707を形成した後、該半導体膜707をパターニングすることで、島状の半導体膜709を形成する例について説明したが、ボンド基板700を予め所望の形状に加工しておくことで、島状の半導体膜709を直接ベース基板704上に形成することも可能である。
上記工程を経て形成された半導体膜709を用い、本発明はトランジスタ等の各種半導体素子を形成することが出来る。図9(C)には、半導体膜709を用いて形成されたトランジスタ710を例示している。
なお、本発明では、ボンド基板700とベース基板704の貼り合わせを減圧雰囲気下で行っているので、トランジスタ710を大気雰囲気下にさらしたとき、半導体膜709のうち空洞708と重なる領域が、ベース基板704に近づくように歪む。よって、半導体膜709のうちチャネルが形成される領域に圧縮応力を加えることができ、トランジスタ710の移動度をより高めることができる。なお、本実施の形態では、図9(C)においてのみ、半導体膜709に歪みが加えられている状態を図に反映させているが、図9(C)に至るまでの作製の過程においても、半導体膜707または半導体膜709が大気雰囲気下にさらされたときに、半導体膜707または半導体膜709には歪みが加えられる。
また図9では、1つの半導体膜709と1つの空洞708とが重なっている例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。複数の半導体膜709と1つの空洞708とが重なっていても良いし、1つの半導体膜709と複数の空洞708とが重なっていても良い。
なお本発明の作製方法を用いて形成されるトランジスタは、図9に示す構成に限定されない。例えば半導体膜709がLDD領域を有していても良いし、ゲートとして機能する電極を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造であっても良い。
また、半導体膜707を所望の形状に加工することで素子分離を行うのではなく、選択酸化法(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)、トレンチ分離法(STI:Shallow Trench Isolation)などを用いて行っても良い。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体装置におけるトランジスタの具体的な作製方法の一例について説明する。なお、本実施の形態では実施の形態7に示す作製方法により形成された半導体膜を用いる場合について説明するが、実施の形態6に示す作製方法により形成された半導体膜を用いていても良い。
まず図10(A)に示すように、開口部を有する絶縁膜502を、ベース基板501との間に有する島状の半導体膜503、島状の半導体膜504を形成する。絶縁膜502が有する開口部により、ベース基板501と島状の半導体膜503及び島状の半導体膜504との間に空洞505が形成されている。
島状の半導体膜503、504には、閾値電圧を制御するために不純物が添加されていても良い。例えば、p型を付与する不純物としてボロンを添加する場合、5×1017cm−3以上1×1018cm−3以下の濃度で添加すれば良い。閾値電圧を制御するための不純物の添加は、ベース基板501上に半導体膜を形成する前に行っても良いし、形成後に行っても良い。
また島状の半導体膜503、504を形成した後、ゲート絶縁膜506を形成する前に水素化処理を行っても良い。水素化処理は、例えば、水素雰囲気中において350℃、2時間程度行う。
次に図10(B)に示すように、島状の半導体膜503、504を覆うように、ゲート絶縁膜506を形成する。ゲート絶縁膜506は、高密度プラズマ処理を行うことにより島状の半導体膜503、504の表面を酸化または窒化することで形成することができる。高密度プラズマ処理は、例えばHe、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスとを用いて行う。この場合プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化または窒化することにより、1〜20nm、望ましくは5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に接するように形成される。この5〜10nmの絶縁膜をゲート絶縁膜506として用いる。
上述した高密度プラズマ処理による半導体膜の酸化または窒化は固相反応で進むため、ゲート絶縁膜506と島状の半導体膜503、504の界面準位密度をきわめて低くすることができる。また高密度プラズマ処理により半導体膜を直接酸化または窒化することで、形成される絶縁膜の厚さのばらつきを抑えることが出来る。また半導体膜が結晶性を有する場合、高密度プラズマ処理を用いて半導体膜の表面を固相反応で酸化させることにより、結晶粒界においてのみ酸化が速く進んでしまうのを抑え、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁膜を形成することができる。高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜を、ゲート絶縁膜の一部または全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを抑えることができる。
或いは、プラズマCVD法またはスパッタリング法などを用い、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウムまたは酸化タンタルを含む膜を、単層で、または積層させることで、ゲート絶縁膜506を形成しても良い。
次に図10(C)に示すように、ゲート絶縁膜506上に導電膜を形成した後、該導電膜を所定の形状に加工(パターニング)することで、島状の半導体膜503、504の上方に電極507を形成する。導電膜の形成にはCVD法、スパッタリング法等を用いることが出来る。導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等を用いることが出来る。また上記金属を主成分とする合金を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。または、半導体膜に導電性を付与するリン等の不純物元素をドーピングした、多結晶珪素などの半導体を用いて形成しても良い。
2つの導電膜の組み合わせとして、1層目に窒化タンタルまたはタンタル(Ta)を、2層目にタングステン(W)を用いることが出来る。上記例の他に、窒化タングステンとタングステン、窒化モリブデンとモリブデン、アルミニウムとタンタル、アルミニウムとチタン等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、2層の導電膜を形成した後の工程において、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層目の導電膜の組み合わせとして、例えば、n型を付与する不純物がドーピングされた珪素とNiSi(ニッケルシリサイド)、n型を付与する不純物がドーピングされたSiとWSix等も用いることが出来る。
また、本実施の形態では電極507を単層の導電膜で形成しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。電極507は積層された複数の導電膜で形成されていても良。3つ以上の導電膜を積層する3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
なお電極507を形成する際に用いるマスクとして、レジストの代わりに酸化珪素、酸化窒化珪素等をマスクとして用いてもよい。この場合、パターニングして酸化珪素、酸化窒化珪素等のマスクを形成する工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレジストよりも少ないため、所望の幅を有する電極507を形成することができる。またマスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的に電極507を形成しても良い。
なお液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出または噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
また電極507は、導電膜を形成後、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることができる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl、BCl、SiClもしくはCClなどの塩素系ガス、CF、SFもしくはNFなどのフッ素系ガス又は酸素を適宜用いることができる。
次に図10(D)に示すように、電極507をマスクとして一導電型を付与する不純物元素を半導体膜503、504に添加する。本実施の形態では、半導体膜503にp型を付与する不純物元素(例えばボロン)を、半導体膜504にn型を付与する不純物元素(例えばリンまたはヒ素)を添加する。なお、p型を付与する不純物元素を半導体膜503に添加する際、n型の不純物が添加される半導体膜504はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。逆にn型を付与する不純物元素を半導体膜504に添加する際、p型の不純物が添加される半導体膜503はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。或いは、先に半導体膜503及び半導体膜504にp型もしくはn型のいずれか一方を付与する不純物元素を添加した後、一方の半導体膜のみに選択的により高い濃度でp型もしくはn型のうちの他方を付与する不純物元素のいずれか一方を添加するようにしても良い。上記不純物の添加により、半導体膜503に不純物領域508、半導体膜504に不純物領域509が形成される。
次に、図11(A)に示すように、電極507の側面にサイドウォール510を形成する。サイドウォール510は、例えば、ゲート絶縁膜506及び電極507を覆うように新たに絶縁膜を形成し、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより、新たに形成された該絶縁膜を部分的にエッチングすることで、形成することが出来る。上記異方性エッチングにより、新たに形成された絶縁膜が部分的にエッチングされて、電極507の側面にサイドウォール510が形成される。なお上記異方性エッチングにより、ゲート絶縁膜506も部分的にエッチングしても良い。サイドウォール510を形成するための絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層または積層して形成することができる。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化珪素膜をプラズマCVD法によって形成する。またエッチングガスとしては、CHFとHeの混合ガスを用いることができる。なお、サイドウォール510を形成する工程は、これらに限定されるものではない。
次に図11(B)に示すように、電極507及びサイドウォール510をマスクとして、半導体膜503、504に一導電型を付与する不純物元素を添加する。なお、半導体膜503、504には、それぞれ先の工程で添加した不純物元素と同じ導電型の不純物元素をより高い濃度で添加する。なお、p型を付与する不純物元素を半導体膜503に添加する際、n型の不純物が添加される半導体膜504はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。逆にn型を付与する不純物元素を半導体膜504に添加する際、p型の不純物が添加される半導体膜503はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。
上記不純物元素の添加により、半導体膜503に、一対の高濃度不純物領域511と、一対の低濃度不純物領域512と、チャネル形成領域513とが形成される。また上記不純物元素の添加により、半導体膜504に、一対の高濃度不純物領域514と、一対の低濃度不純物領域515と、チャネル形成領域516とが形成される。高濃度不純物領域511、514はソース又はドレインとして機能し、低濃度不純物領域512、515はLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。
なお、半導体膜504上に形成されたサイドウォール510と、半導体膜503上に形成されたサイドウォール510は、キャリアが移動する方向における幅が同じになるように形成しても良いが、該幅が異なるように形成しても良い。p型トランジスタとなる半導体膜504上のサイドウォール510の幅は、n型トランジスタとなる半導体膜503上のサイドウォール510の幅よりも長くすると良い。なぜならば、p型トランジスタにおいてソース及びドレインを形成するために注入されるボロンは拡散しやすく、短チャネル効果を誘起しやすいためである。p型トランジスタにおいて、サイドウォール510の幅より長くすることで、ソース及びドレインに高濃度のボロンを添加することが可能となり、ソース及びドレインを低抵抗化することができる。
次に、ソース及びドレインをさらに低抵抗化するために、半導体膜503、504をシリサイド化することで、シリサイド層を形成しても良い。シリサイド化は、半導体膜に金属を接触させ、加熱処理、GRTA法、LRTA法等により、半導体層中の珪素と金属とを反応させて行う。シリサイド層としては、コバルトシリサイド若しくはニッケルシリサイドを用いれば良い。半導体膜503、504の厚さが薄い場合には、この領域の半導体膜503、504の底部までシリサイド反応を進めても良い。シリサイド化に用いる金属の材料として、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、Ha(ハフニウム)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nb)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。また、レーザ照射やランプなどの光照射によってシリサイドを形成しても良い。
上述した一連の工程により、nチャネル型トランジスタ517と、pチャネル型トランジスタ518とが形成される。
次に図11(C)に示すように、トランジスタ517、518を覆うように絶縁膜519を形成する。絶縁膜519は必ずしも設ける必要はないが、絶縁膜519を形成することで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がトランジスタ517、518へ侵入するのを防ぐことが出来る。具体的に絶縁膜519として、窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素などを用いるのが望ましい。本実施の形態では、膜厚600nm程度の酸化窒化珪素膜を、絶縁膜519として用いる。この場合、上記水素化の工程は、該酸化窒化珪素膜形成後に行っても良い。
次に、トランジスタ517、518を覆うように、絶縁膜519上に絶縁膜520を形成する。絶縁膜520は、ポリイミド、アクリル、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ等を用いることができる。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有していても良い。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜520を形成しても良い。絶縁膜520は、その表面をCMP法などにより平坦化させても良い。
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち、少なくとも1種を有していても良い。
絶縁膜520の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
次に図12に示すように、島状の半導体膜503、504がそれぞれ一部露出するように絶縁膜519及び絶縁膜520にコンタクトホールを形成する。そして、該コンタクトホールを介して島状の半導体膜503、504に接する導電膜521、522を形成する。コンタクトホール開口時のエッチングに用いられるガスは、CHFとHeの混合ガスを用いたが、これに限定されるものではない。
導電膜521、522は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。具体的に導電膜521、522として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、珪素(Si)等を用いることが出来る。また上記金属を主成分とする合金を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。導電膜521、522は、上記金属が用いられた膜を単層または複数積層させて形成することが出来る。
アルミニウムを主成分とする合金の例として、アルミニウムを主成分としニッケルを含むものが挙げられる。また、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素または珪素の一方または両方とを含むものも例として挙げることが出来る。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜521、522を形成する材料として最適である。特にアルミニウムシリコン(Al−Si)膜は、導電膜521、522をパターニングで形成するとき、レジストベークにおけるヒロックの発生をアルミニウム膜に比べて防止することができる。また、珪素(Si)の代わりに、アルミニウム膜に0.5%程度のCuを混入させても良い。
導電膜521、522は、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン(Al−Si)膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデンまたはモリブデンの窒化物を用いて形成された膜である。アルミニウムシリコン(Al−Si)膜を間に挟むようにバリア膜を形成すると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生をより防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンを用いてバリア膜を形成すると、島状の半導体膜503、504上に薄い酸化膜ができていたとしても、バリア膜に含まれるチタンがこの酸化膜を還元し、導電膜521、522と島状の半導体膜503、504が良好なコンタクトをとることができる。またバリア膜を複数積層するようにして用いても良い。その場合、例えば、導電膜521、522を下層からTi、窒化チタン、Al−Si、Ti、窒化チタンの5層構造とすることが出来る。
なお、導電膜521はnチャネル型トランジスタ517の高濃度不純物領域511に接続されている。導電膜522はpチャネル型トランジスタ518の高濃度不純物領域514に接続されている。
図12には、nチャネル型トランジスタ517及びpチャネル型トランジスタ518と、空洞505の上面図が示されている。ただし図12では導電膜521、522を省略した図を示している。チャネル形成領域513とチャネル形成領域516は、それぞれ空洞505と重なっており、ベース基板501側に近づくように歪んでいる。
また本実施の形態では、nチャネル型トランジスタ517とpチャネル型トランジスタ518が、それぞれゲートとして機能する電極507を1つずつ有する場合を例示しているが、本発明はこの構成に限定されない。本発明の半導体装置が有するトランジスタは、ゲートとして機能する電極を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造を有していても良い。
また本発明の半導体装置が有するトランジスタは、ゲートプレナー構造を有していても良い。
本発明の作製方法では、絶縁膜502をエッチングすることで空洞505を形成しているので、所望の深さ及び形状を有する空洞505を、簡単な手順で制御良く形成することが出来る。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の半導体装置が有する各種回路の具体的な構成について、インバータを例に挙げて説明する。インバータの回路図を図13(A)に、また図13(A)に示すインバータの上面図を図13(B)に、一例として示す。
図13(A)に示すインバータは、pチャネル型のトランジスタ2001と、nチャネル型のトランジスタ2002とを有する。トランジスタ2001とトランジスタ2002は直列に接続されている。具体的には、トランジスタ2001のドレインと、トランジスタ2002のドレインが接続されている。そして、トランジスタ2001のドレイン及びトランジスタ2002のドレインの電位は、出力端子OUTに与えられる。
またトランジスタ2001のゲートとトランジスタ2002のゲートは接続されている。そして、入力端子INに入力された信号の電位は、トランジスタ2001のゲート及びトランジスタ2002のゲートに与えられる。トランジスタ2001のソースにはハイレベルの電圧VDDが与えられ、トランジスタ2002のソースにはローレベルの電圧VSSが与えられる。
図13(B)に示すインバータでは、トランジスタ2001のドレインと、トランジスタ2002のドレインは、配線2003を介して電気的に接続されている。そして配線2003は配線2004に接続されている。よって、トランジスタ2001のドレイン及びトランジスタ2002のドレインの電位は、配線2003及び配線2004を介して、出力端子OUTの電位として後段の回路に与えられる。
また図13(B)に示すインバータでは、配線2005の一部がトランジスタ2001のゲート及びトランジスタ2002のゲートとして機能している。そして配線2005に与えられた電位が、入力端子INの電位としてトランジスタ2001のゲート及びトランジスタ2002のゲートに与えられる。そしてトランジスタ2001のソースには、配線2006を介して電圧VDDが与えられ、トランジスタ2002のソースには、配線2007を介して電圧VSSが与えられている。
トランジスタ2002が有する半導体膜2008と、トランジスタ2001が有する半導体膜2010とは、ベース基板との間に空洞2009が設けられている。半導体膜2008及び半導体膜2010と空洞2009との位置関係を明確にするため、図13(B)に示すインバータのうち、半導体膜2008、空洞2009、半導体膜2010のみを図13(C)に示す。図13(C)に示すように、空洞2009は、半導体膜2008及び半導体膜2010とベース基板との間に形成されている。そして、半導体膜2008及び半導体膜2010は、空洞2009と重なる領域において、ベース基板側に近づくように歪みが加えられている。
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の半導体装置が有する各種回路の具体的な構成について、NANDを例に挙げて説明する。NANDの回路図を図14(A)に、また図14(A)に示すNANDの上面図を図14(B)に、一例として示す。
図14(A)に示すNANDは、pチャネル型のトランジスタ3001と、pチャネル型のトランジスタ3002と、nチャネル型のトランジスタ3003と、nチャネル型のトランジスタ3004とを有する。トランジスタ3001と、トランジスタ3003と、トランジスタ3004とは、順に直列に接続されている。またトランジスタ3001と、トランジスタ3002とは並列に接続されている。
具体的にトランジスタ3001のソースとドレインは、一方にはハイレベルの電圧VDDが与えられ、他方は出力端子OUTに接続されている。トランジスタ3002のソースとドレインは、一方にはハイレベルの電圧VDDが与えられ、他方は出力端子OUTに接続されている。トランジスタ3004のソースとドレインは、一方にはローレベルの電圧VSSが与えられている。トランジスタ3003のソースとドレインは、一方は出力端子OUTに接続されている。そして、トランジスタ3003のソースとドレインの他方と、トランジスタ3003のソースとドレインの他方とが接続されている。トランジスタ3001のゲートと、トランジスタ3003のゲートには、入力端子IN1の電位が与えられる。またトランジスタ3002のゲートと、トランジスタ3004のゲートには、入力端子IN2の電位が与えられる。
図14(B)に示すNANDでは、直列に接続されているトランジスタ3001とトランジスタ3002とが、半導体膜3005を共有している。また直列に接続されているトランジスタ3003とトランジスタ3004とが、半導体膜3006を共有している。また配線3007の一部はトランジスタ3001のゲート及びトランジスタ3003のゲートとして機能している。そして配線3007に与えられた電位が、入力端子IN1の電位としてトランジスタ3001のゲート及びトランジスタ3003のゲートに与えられる。配線3008の一部はトランジスタ3002のゲート及びトランジスタ3004のゲートとして機能している。そして配線3008に与えられた電位が、入力端子IN2の電位としてトランジスタ3002のゲート及びトランジスタ3004のゲートに与えられる。
ハイレベルの電圧VDDは、配線3009を介してトランジスタ3001のソースとドレインの一方、及びトランジスタ3002のソースとドレインの一方に与えられる。またローレベルの電圧VSSは、配線3010を介してトランジスタ3004のソースとドレインの一方に与えられる。トランジスタ3001のソースとドレインの他方、トランジスタ3002のソースとドレインの他方、及びトランジスタ3003のソースとドレインの一方は、その電位が配線3011及び配線3012を介して出力端子OUTの電位として後段の回路に与えられる。
半導体膜3005及び半導体膜3006は、ベース基板との間に空洞3013が設けられている。半導体膜3005及び半導体膜3006と空洞3013との位置関係を明確にするため、図14(B)に示すNANDのうち、半導体膜3005、空洞3013、半導体膜3006のみを図14(C)に示す。図14(C)に示すように、空洞3013は、半導体膜3005及び半導体膜3006とベース基板との間に形成されている。そして、半導体膜3005及び半導体膜3006は、空洞3013と重なる領域において、ベース基板側に近づくように歪みが加えられている。
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の半導体装置の一つであるRFタグの構成について説明する。図15は本発明のRFタグの一形態を示すブロック図である。図15においてRFタグ900は、アンテナ901と、集積回路902とを有している。集積回路902は、電源回路903、復調回路904、変調回路905、レギュレータ906、制御回路907、メモリ909を有している。本発明の整流回路は、電源回路903、復調回路904において用いることができる。
質問器から電波が送られてくると、アンテナ901において該電波が交流電圧に変換される。電源回路903では、アンテナ901からの交流電圧を整流し、電源用の電圧を生成する。電源回路903において生成された電源用の電圧は、制御回路907とレギュレータ906に与えられる。レギュレータ906は、電源回路903からの電源用の電圧を安定化させるか、またはその高さを調整した後、集積回路902内の復調回路904、変調回路905、制御回路907またはメモリ909などの各種回路に供給する。
復調回路904は、アンテナ901が受信した交流信号を復調して、後段の制御回路907に出力する。制御回路907は復調回路904から入力された信号に従って演算処理を行い、別途信号を生成する。上記演算処理を行う際に、メモリ909は一次キャッシュメモリまたは二次キャッシュメモリとして用いることが出来る。また制御回路907は、復調回路904から入力された信号を解析し、質問器から送られてきた命令の内容に従って、メモリ909内の情報の出力、またはメモリ909内における命令の内容の保存を行う。制御回路907から出力される信号は符号化され、変調回路905に送られる。変調回路905は該信号に従ってアンテナ901が受信している電波を変調する。アンテナ901において変調された電波は質問器で受け取られる。そしてRFタグ900から出力された情報を知ることができる。
このようにRFタグ900と質問器との通信は、キャリア(搬送波)として用いる電波を変調することで行われる。キャリアは、125KHz、13.56MHz、950MHzなど規格により様々である。また変調の方式も規格により振幅変調、周波数変調、位相変調など様々な方式があるが、規格に即した変調方式であればどの変調方式を用いても良い。
信号の伝送方式は、キャリアの波長によって電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式など様々な種類に分類することが出来る。電磁結合方式や電磁誘導方式の場合、強い電波にRFタグがさらされることで、アンテナに過度に大きい交流電圧が生じてしまう恐れがある。本発明の整流回路を用いることは、過度に大きい交流電圧によって集積回路内の、集積回路において半導体素子が劣化または破壊されるのを防止することができるので、電磁結合方式や電磁誘導方式の場合は特に有効である。
メモリ909は不揮発性メモリであっても揮発性メモリであってもどちらでも良い。メモリ909として、例えばSRAM、DRAM、フラッシュメモリ、EEPROM、FeRAMなどを用いることが出来る。
本実施例では、アンテナ901を有するRFタグ900の構成について説明しているが、本発明のRFタグは必ずしもアンテナを有していなくとも良い。また図15に示したRFタグに、発振回路または二次電池を設けても良い。
また図15では、アンテナを1つだけ有するRFタグの構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。電力を受信するためのアンテナと、信号を受信するためのアンテナとの、2つのアンテナを有していても良い。アンテナが1つだと、例えば950MHzの電波で電力の供給と信号の伝送を両方行う場合、遠方まで大電力が伝送され、他の無線機器の受信妨害を起こす可能性がある。そのため、電力の供給は電波の周波数を下げて近距離にて行う方が望ましいが、この場合通信距離は必然的に短くなってしまう。しかしアンテナが2つあると、電力を供給する電波の周波数と、信号を送るための電波の周波数とを使い分けることができる。例えば電力を送る際は電波の周波数を13.56MHzとして磁界を用い、信号を送る際は電波の周波数を950MHzとして電界を用いることができる。このように機能合わせてアンテナを使い分けることによって、電力の供給は近距離のみの通信とし、信号の伝送は遠距離も可能なものとすることができる。
本発明の半導体装置の一つであるRFタグは、絶縁表面を有する基板もしくは絶縁基板上に接合された単結晶半導体層(SOI層)によって集積回路902が形成されているので、処理速度の高速化のみならず低消費電力化を図ることができる。
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の半導体装置の一つであるCPU(central processing unit)の構成について説明する。
図16に、本実施例のCPUの構成をブロック図で示す。図16に示すCPUは、基板800上に、演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)801、演算回路用制御部(ALU Controller)802、命令解析部(Instruction Decoder)803、割り込み制御部(Interrupt Controller)804、タイミング制御部(Timing Controller)805、レジスタ(Register)806、レジスタ制御部(Register Controller)807、バスインターフェース(Bus I/F)808、メモリ809、メモリ用インターフェース820を主に有している。メモリ809及びメモリ用インターフェース820は、別チップに設けても良い。勿論、図16に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
バスインターフェース808を介してCPUに入力された命令は、命令解析部803においてデコードされた後、演算回路用制御部802、割り込み制御部804、レジスタ制御部807、タイミング制御部805に入力される。演算回路用制御部802、割り込み制御部804、レジスタ制御部807、タイミング制御部805は、デコードされた命令にもとづき、各種制御を行なう。具体的に演算回路用制御部802は、演算回路801の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部804は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタ制御部807は、レジスタ806のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ806の読み出しや書き込みを行なう。
またタイミング制御部805は、演算回路801、演算回路用制御部802、命令解析部803、割り込み制御部804、レジスタ制御部807の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部805は、基準クロック信号をもとに、内部クロック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
本発明の半導体装置の一つであるCPUは、絶縁表面を有する基板もしくは絶縁基板上に接合された単結晶半導体層(SOI層)によって集積回路が形成されているので、処理速度の高速化のみならず低消費電力化を図ることができる。
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施の形態では、1枚のベース基板を用いて複数の半導体装置を形成する場合の手順について説明する。
図17(A)に、開口部1801を有する絶縁膜1802が形成された、ベース基板1803の外観を示す。図17(A)では、ベース基板1803の表面を部分的に拡大した図も併せて示している。
次に図17(B)に示すように、絶縁膜がその表面に形成されたボンド基板1804をベース基板1803に貼り合わせる。貼り合わせはボンド基板1804に形成された絶縁膜と絶縁膜1802とが接合することで行われる。絶縁膜と開口部1801を有する絶縁膜1802とが接合することで、凹部を有する絶縁膜が形成される。
そして、図18(A)に示すようにボンド基板1804を劈開させることで、図18(B)に示すようにボンド基板1804の一部である半導体膜1805を、ベース基板1803に形成する。半導体膜1805とベース基板1803の間には、上記凹部によって形成される空洞が設けられている。
そして図19に示すように、ベース基板1803上に形成された半導体膜1805を用いて、半導体装置1806を複数形成し、ダイシングなどでベース基板1803ごと半導体装置1806どうしを切り離す。上記構成により、複数の半導体装置1806を形成することが出来る。
なお、本実施の形態ではベース基板1803とボンド基板1804とを一対一で貼り合わせる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。1つのベース基板1803にボンド基板1804を複数貼り合わせるようにしても良い。この場合、各ボンド基板1804の面方位が揃うようにすることで、ベース基板1803上に形成される複数の半導体膜の結晶面方位を揃えるこができ、よって半導体装置1806の特性を揃えることができる。
本実施例は、上記実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本発明の半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図20に示す。
図20(A)は携帯電話であり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、音声出力部2104、操作キー2105を有する。表示部2102に本発明の表示装置を用いることで、高性能で高速駆動が可能な携帯電話が得られる。
図20(B)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を有する。表示部2602に本発明の表示装置を用いることで、高性能で高速駆動が可能なビデオカメラが得られる。
図20(C)は映像表示装置であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403等を有する。表示部2402に本発明の表示装置を用いることで、高性能で高速駆動が可能な映像表示装置が得られる。なお、映像表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの、映像を表示するための全ての映像表示装置が含まれる。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。
本実施例は、上記実施の形態または上記実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
本発明の半導体装置が有する半導体膜と、該半導体膜を用いたトランジスタの構成を示す断面図。 本発明の半導体装置が有する半導体膜と、該半導体膜を用いたトランジスタの構成を示す断面図。 本発明の半導体装置が有するトランジスタの上面図及び断面図。 本発明の半導体装置が有するトランジスタの上面図及び断面図。 本発明の半導体装置が有するトランジスタの上面図及び断面図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置が有するインバータの構成を示す図。 本発明の半導体装置が有するNANDの構成を示す図。 本発明の半導体装置の一つであるRFタグの構成を示す図。 本発明の半導体装置の一つであるCPUの構成を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置の作製方法を示す図。 本発明の半導体装置を用いた電子機器の図。
符号の説明
100 半導体膜
101 空洞
102 ベース基板
103 絶縁膜
104 絶縁膜
105 破線
106 領域
107 領域
108 チャネル形成領域
109 不純物領域
110 ゲート絶縁膜
111 電極
200 半導体膜
201 空洞
202 ベース基板
203 絶縁膜
205 破線
206 領域
207 領域
208 チャネル形成領域
209 不純物領域
210 ゲート絶縁膜
211 電極
300 半導体膜
301 電極
302 ゲート絶縁膜
303 不純物領域
305 チャネル形成領域
306 ベース基板
307 空洞
308 LDD領域
310 サイドウォール
400 半導体膜
401 電極
402 ゲート絶縁膜
403 不純物領域
405 チャネル形成領域
406 ベース基板
407 空洞
408 LDD領域
410 サイドウォール
411 絶縁膜
420 半導体膜
421 電極
422 ゲート絶縁膜
423 不純物領域
425 チャネル形成領域
426 ベース基板
427 空洞
428 LDD領域
430 サイドウォール
431 絶縁膜
432 絶縁膜
501 ベース基板
502 絶縁膜
503 半導体膜
504 半導体膜
505 空洞
506 ゲート絶縁膜
507 電極
508 不純物領域
509 不純物領域
510 サイドウォール
511 高濃度不純物領域
512 低濃度不純物領域
513 チャネル形成領域
514 高濃度不純物領域
515 低濃度不純物領域
516 チャネル形成領域
517 トランジスタ
518 トランジスタ
519 絶縁膜
520 絶縁膜
521 導電膜
522 導電膜
600 ボンド基板
601 絶縁膜
602 欠陥層
604 凹部
605 絶縁膜
606 ベース基板
607 絶縁膜
608 半導体膜
609 空洞
610 半導体膜
611 トランジスタ
700 ボンド基板
701 絶縁膜
702 欠陥層
703 絶縁膜
704 ベース基板
705 開口部
706 絶縁膜
707 半導体膜
708 空洞
709 半導体膜
710 トランジスタ
800 基板
801 演算回路
802 演算回路用制御部
803 命令解析部
804 制御部
805 タイミング制御部
806 レジスタ
807 レジスタ制御部
808 バスインターフェース
809 メモリ
820 メモリ用インターフェース
900 RFタグ
901 アンテナ
902 集積回路
903 電源回路
904 復調回路
905 変調回路
906 レギュレータ
907 制御回路
909 メモリ
1801 開口部
1802 絶縁膜
1803 ベース基板
1804 ボンド基板
1805 半導体膜
1806 半導体装置
2001 トランジスタ
2002 トランジスタ
2003 配線
2004 配線
2005 配線
2006 配線
2007 配線
2008 半導体膜
2009 空洞
2010 半導体膜
2101 本体
2102 表示部
2103 音声入力部
2104 音声出力部
2105 操作キー
2401 筐体
2402 表示部
2403 スピーカー部
2601 本体
2602 表示部
2603 筐体
2604 外部接続ポート
2605 リモコン受信部
2606 受像部
2607 バッテリー
2608 音声入力部
2609 操作キー
2610 接眼部
3001 トランジスタ
3002 トランジスタ
3003 トランジスタ
3004 トランジスタ
3005 半導体膜
3006 半導体膜
3007 配線
3008 配線
3009 配線
3010 配線
3011 配線
3012 配線
3013 空洞

Claims (3)

  1. ベース基板と、
    前記ベース基板側に凹部が設けられた半導体膜と、を有し、
    前記ベース基板と前記凹部の間には空洞が設けられており、前記半導体膜のうち前記空洞と重なる領域は前記ベース基板側に向かって歪んでおり、
    前記半導体膜はゲルマニウムを有し、
    前記半導体膜は(100)面においてキャリアの移動する方向が[011]であることを特徴とする半導体装置。
  2. ベース基板と、
    半導体膜と、
    前記ベース基板と前記半導体膜の間において開口部を有する絶縁膜と、を有し、
    前記開口部により前記半導体膜と前記ベース基板との間には空洞が設けられており、前記半導体膜のうち前記空洞と重なる領域は前記ベース基板側に向かって歪んでおり、
    前記半導体膜はゲルマニウムを有し、
    前記半導体膜は(100)面においてキャリアの移動する方向が[011]であることを特徴とする半導体装置。
  3. 開口部または凹部を有する絶縁膜をベース基板上に形成し、
    前記絶縁膜を間に挟んで、前記ベース基板上にボンド基板を減圧雰囲気下で貼り合わせ、
    前記ボンド基板を劈開させることで、前記絶縁膜上に、前記開口部または前記凹部を覆うように半導体膜を形成し、
    前記減圧雰囲気下での貼り合わせにより、前記絶縁膜の前記開口部または前記凹部が前記ベース基板と前記ボンド基板との間に挟まれることで空洞が形成され、
    大気雰囲気下にさらすことにより、前記半導体膜のうち前記空洞と重なる領域は、前記ベース基板側に向かって歪むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
JP2007187883A 2007-07-19 2007-07-19 半導体装置及びその作製方法 Expired - Fee Related JP5190225B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007187883A JP5190225B2 (ja) 2007-07-19 2007-07-19 半導体装置及びその作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007187883A JP5190225B2 (ja) 2007-07-19 2007-07-19 半導体装置及びその作製方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009026917A JP2009026917A (ja) 2009-02-05
JP2009026917A5 JP2009026917A5 (ja) 2010-07-08
JP5190225B2 true JP5190225B2 (ja) 2013-04-24

Family

ID=40398463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007187883A Expired - Fee Related JP5190225B2 (ja) 2007-07-19 2007-07-19 半導体装置及びその作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5190225B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI567985B (zh) * 2011-10-21 2017-01-21 半導體能源研究所股份有限公司 半導體裝置及其製造方法
CN111952238B (zh) * 2020-08-21 2024-06-14 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 具有空腔结构的soi衬底及其制备方法
CN111952240B (zh) * 2020-08-21 2024-06-14 中国科学院上海微系统与信息技术研究所 具有纳米级空腔结构的soi衬底及其制备方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002343977A (ja) * 2002-03-26 2002-11-29 Nec Corp 電界効果型トランジスタ
JP4556158B2 (ja) * 2002-10-22 2010-10-06 株式会社Sumco 貼り合わせsoi基板の製造方法および半導体装置
JP4794810B2 (ja) * 2003-03-20 2011-10-19 シャープ株式会社 半導体装置の製造方法
JP2008053403A (ja) * 2006-08-24 2008-03-06 Nec Corp 半導体装置および半導体装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009026917A (ja) 2009-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5350655B2 (ja) 半導体装置
KR101447936B1 (ko) 반도체 장치 및 그 제작 방법
US7968884B2 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
JP5250228B2 (ja) 半導体装置の作製方法
US7638408B2 (en) Manufacturing method of substrate provided with semiconductor films
US8633590B2 (en) Semiconductor device and method for manufacturing the same
US7692194B2 (en) Semiconductor device
JP5619474B2 (ja) Soi基板の作製方法
JP2009111375A (ja) 半導体装置の作製方法
JP2008311636A (ja) 半導体装置の作製方法、表示装置の作製方法、半導体装置、表示装置及び電子機器
US7816234B2 (en) Method for manufacturing semiconductor device
JP5268305B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP5527941B2 (ja) 半導体装置
US20080237780A1 (en) SOI substrate and method for manufacturing SOI substrate
JP2011077504A (ja) 半導体装置の作製方法
JP5190225B2 (ja) 半導体装置及びその作製方法
JP5255801B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP2008300709A (ja) 半導体装置及びその作製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100521

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130128

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160201

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5190225

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160201

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees