JP5189757B2 - 帯電防止フィルム - Google Patents
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Description
本発明の帯電防止フィルムの帯電防止層に用いられるカーボンナノチューブ(A)の種類は特に限定はなく、用途に応じ、単層、2層又は多層カーボンナノチューブの全てのものが使用できる。砕けたり潰れたりしにくいので分散させやすさの点からは多層カーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブの直径、長さにも特に限定はなく、あらゆる大きさのものが使用可能であるが、直径については0.5nm〜1000nmが好ましく、3.5nm〜400nmが特に好ましく、5nm〜200nmが更に好ましい。直径が大きすぎる場合は基材への密着性が劣る場合がある。また、長さについては0.1μm〜50μmが好ましく、0.2μm〜40μmが特に好ましく、0.5μm〜30μmが更に好ましい。長さが短すぎる場合は導電性に劣る場合があり、長さが長すぎる場合は基材への密着性が劣る場合がある。
本発明で用いられる分散剤(B)としては、一般に分散液を調製するのに用いられる分散剤であれば特に限定されず、例えば、高分子分散剤、界面活性剤、カップリング剤等を使用することができる。
(1)主鎖又は側鎖にカーボンナノチューブ親和性基と溶媒親和性基を有する櫛形構造の高分子。
(2)主鎖に複数のカーボンナノチューブ親和性基を有する高分子。
(3)主鎖の片末端にカーボンナノチューブ親和部を有する直鎖状の高分子。
本発明の分散液に含有される有機溶剤(C)としては、少なくとも、塩基性を示すカーボンナノチューブ(A)及び分散剤(B)を、溶解及び/又は分散させ得るものであれば特に限定はないが、20℃において水に任意の割合では相溶しない溶媒が分散性、分散安定性を保つ上で好ましい。
本発明の帯電防止フィルムの帯電防止層を形成させるための分散液には、実質的にバインダー樹脂を含有しないことが好ましい。すなわち、本発明の帯電防止フィルムが有する帯電防止層中には、実質的にバインダー樹脂が含有されていないことが好ましい。ここで、バインダー樹脂とは、種々の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、生分解性樹脂等であって、カーボンナノチューブ(A)を帯電防止層中に固定するためのものをいい、高分子界面活性剤や上記した高分子分散剤を意味するものではない。
本発明における分散液中の各成分の含有割合は、カーボンナノチューブ(A)の分散性、分散安定性が良好で、分散液の塗布性、塗膜の透明性、電気特性等が良好であれば特に限定はないが、好ましい範囲としては、以下の範囲が挙げられる。「%」は分散液全体に対しての質量%である。
カーボンナノチューブ(A) 0.01〜20%
分散剤(B) 0.1〜30%
有機溶剤(C) 50〜99.9%
カーボンナノチューブ(A) 0.03〜10%
分散剤(B) 0.2〜20%
有機溶剤(C) 70〜99.5%
カーボンナノチューブ(A) 0.1〜8%
分散剤(B) 0.5〜10%
有機溶剤(C) 82〜99.2%
分散方法については特に限定はなく、公知の方法が用いられる。具体的には、例えば、ビーズミル分散法等のメディア分散法;超音波分散法、ロールミル分散法等のメディアレス分散法等が挙げられる。このうち、分散安定性等の点から、好ましくは超音波分散法又はビーズミル分散法であり、特に好ましくはビーズミル分散法である。
本発明の帯電防止フィルムにおける帯電防止層の上には、樹脂層が設けられていても設けられていなくてもよいが、設けられていることが好ましい。樹脂層は、機械的強度向上、帯電防止層の保護、外観向上等のために設けられる。
本発明の帯電防止フィルムは、基材上に帯電防止層を有する。該基材としては帯電防止フィルムの物性を損なわなければ特に限定はなく、トリアセチルセルロース(以下、「TAC」と略記する)、ポリスチレン(以下、「PS」と略記する)、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する)、ポリプロピレン(以下、「PP」と略記する)、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。このうち、TAC、PS又はPETが透明性、密着性等の点で特に好ましい。基材の表面は接着性等の表面物性改良のため表面処理が施されていてもよい。
実施例におけるそれぞれの物性値は、以下のように測定した。また、本発明においては、かかる物性値等は以下のように測定した値として定義される。
・測定装置:ラコムテスター計 EUTECH Instruments、OAKTON Instruments(USA規格対応)
・測定方法:USA規格対応の標準液(pH=4.0、6.8、10.0、室温によって若干異なる)で機器を校正した後、20℃でイオン交換水20gにカーボンナノチューブ0.1gを添加し、超音波洗浄機にて5分間処理後、20℃でテスターの電極を懸濁液に入れ数値を読みとった。そして、この懸濁液のpHを「カーボンナノチューブのpH」と定義する。
測定試料数gを精秤し、氷酢酸に溶解させた。そこに、市販の検査用過塩素酸(HClO4)0.1N酢酸溶液をビュレットにて滴下し滴定した。電位差滴定により当量点に達した時点の滴下量から、mgKOH/gを算出し、「分散剤のアミン価(mgKOH/g)」とした。なお、分散剤が市販品等で既に溶液になっている場合には、その溶液をそのまま測定試料として精秤して測定に用い、後で測定値を分散剤濃度換算して分散剤単身(固形分又は不揮発分)でのアミン価を求めた。
・樹脂層を有しない(樹脂層を形成する前の)帯電防止フィルムを、8cm×12.5cmに切り出し、精密天秤で精秤し、その後、基材を溶解せずに帯電防止層を溶解する溶剤で帯電防止層を除去し、乾燥後、再度精密天秤で、その重量を測定することにより、その差をとって、帯電防止層の膜厚(g/m2)とした。
膜厚計(マイクロメーター)(ソニー社製「μ−mate」)にて膜厚(μm)を測定した。樹脂層又は「比較例の帯電防止層」の膜厚は、樹脂層又は「比較例の帯電防止層」形成前後の膜厚を膜厚計(マイクロメーター)にて測定し、その膜厚の差をとることにより求めた。
・測定装置:ハイレスターUP MCP−HT450(三菱化学社製)
・測定原理:MCC−B法
・測定方法:装置の測定方法説明資料に従い、帯電防止フィルムの上から、表面に電極(プローブ)を押し当て、20℃で、表面を流れる電流値から表面抵抗(Ω)を測定した。
・測定装置:MODEL 406D STATIC DECAYMETER(Electro−Tech Systems,Inc社製)
・測定原理:帯電防止フィルムの上から、表面に電荷を与え、材料をアースした時、その拡散する時間(秒)を測定した。
・測定方法:装置の測定方法説明資料に従い測定する。電源を入れた後15分間ウォーミングアップし、校正器「STM−1」をセットし、取扱説明書記載の校正手順に従って校正した。「STM−1」を外し、試料を電極間に挟み込み、電圧を5kV印加、アースし、印加電圧が印加時の実質1%以下になるまでの時間(秒)を計測した。
・測定装置:ヘイズメーター HM−150(村上色彩技術研究所製)
・測定方法:全光線透過率測定新規格(ISO 13468−1、JIS K7361)に準じて測定した。
検出部位に何もない状態(空気)で校正を行い(自動校正)、次いで、帯電防止フィルムごと検出部位にはさみ、帯電防止層側(樹脂層がある場合は樹脂層側)を光源側にして測定した。
・測定装置:ヘイズメーター HM−150(村上色彩技術研究所製)
・測定方法:ヘーズ測定新規格(ISO 14782,JIS K 7136)に準じて測定した。
検出部位に何もない状態(空気)で校正を行い(自動校正)、次いで、帯電防止フィルムごと検出部位にはさみ、帯電防止層側(樹脂層がある場合は樹脂層側)を光源側にして測定した。
帯電防止フィルムの帯電防止層面に、24mm幅の市販の透明粘着テープを密着させ、密着部分の半分はゆっくりはがし(弱剥離)、密着部分の残り半分は勢いよくはがし(強剥離)、それぞれの剥離具合を目視で観察して以下の基準で判定した。
◎:帯電防止層が全く剥離していない
○:剥離はないが、剥離面が変形している
△:弱剥離又は強剥離のどちらか一方で剥離している
×:弱剥離及び強剥離の両方で剥離している
実施例1
メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と略記する)21g中に、表1に示すカーボンナノチューブ「CNT−1」を1.5g、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」をプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と略記する)に40%となるように溶解させた液7.5gを加え、直径2mm及び0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェイカーで常法に従って、分散処理を施した。この分散液に、シクロヘキサノン470gを加え、カーボンナノチューブ分散液を得た。なお、「アジスパーPB821」の有効成分単身のアミン価は、9mgKOH/gであった。
実施例1において、カーボンナノチューブ「CNT−1」を、表1及び表2に記載したものに代えた以外は、実施例1と同様にして帯電防止フィルムを製造した。「ATO」は酸化アンチモンスズを示す。
比較例1において、乾燥塗布量を0.24g/m2から0.60g/m2に変更した以外は、比較例1と同様にして帯電防止フィルムを製造した。
実施例5
実施例1において、基材をTACからPSに代えた以外は、実施例1と同様にして帯電防止フィルムを製造した。
実施例1において、基材をTACから易接着性PETに代えた以外は、実施例1と同様にして帯電防止フィルムを製造した。
PS :ポリスチレンフィルム、シーアイ化成社製「BONSET EPS−45T」
PET:易接着性ポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡社製「A4300」
実施例7
実施例1で得られた帯電防止フィルムの帯電防止層の上に、更に、下記「樹脂1溶液」を塗布・乾燥し、その後、FUSION(フュージョンUVシステムズジャパン社製)を用いて、積算照度約150mJ/cm2で光照射して樹脂1を光硬化させ、樹脂層を膜厚12μmとなるように設けて帯電防止フィルムを製造した。
実施例1で得られた帯電防止フィルムの帯電防止層の上に、更に、下記「樹脂2溶液」を塗布・乾燥し、樹脂層を乾燥膜厚12μmとなるように設けて帯電防止フィルムを製造した。
実施例1又は実施例7で用いた「カーボンナノチューブ分散液」膜厚0.24g/m2となる量、及び、実施例7で用いた「樹脂1溶液」膜厚12μmとなる量を、その量比で予め混合し、TAC上に乾燥膜厚12μmとなるように塗布・乾燥し、その後、実施例7と同様にして樹脂1を光硬化させて、「バインダー樹脂を含有する帯電防止層」を有する帯電防止フィルムを製造した。このときの混合比は、帯電防止フィルムの単位面積中に存在するカーボンナノチューブとバインダー樹脂が、実施例7のカーボンナノチューブと「樹脂層中の樹脂」の比率と同様になるようにした。
実施例1又は実施例7で用いた「カーボンナノチューブ分散液」膜厚0.24g/m2となる量、及び、下記「樹脂3溶液」膜厚12μmとなる量を、その量比で予め混合し、TAC上に乾燥膜厚12μmとなるように塗布・乾燥して、「バインダー樹脂を含有する帯電防止層」を有する帯電防止フィルムを製造した。このときの混合比は、帯電防止フィルムの単位面積中に存在するカーボンナノチューブとバインダー樹脂が、実施例7のカーボンナノチューブと「樹脂層中の樹脂」の比率と同様になるようにした。
実施例1又は実施例7で用いた「カーボンナノチューブ分散液」膜厚0.24g/m2となる量、及び、下記「樹脂4溶液」膜厚12μmとなる量を、その量比で予め混合し、TAC上に乾燥膜厚12μmとなるように塗布・乾燥し、その後、オーブンを用いて、120℃で30分間加熱して樹脂4を熱硬化させて、「バインダー樹脂を含有する帯電防止層」を有する帯電防止フィルムを製造した。このときの混合比は、帯電防止フィルムの単位面積中に存在するカーボンナノチューブとバインダー樹脂が、実施例7のカーボンナノチューブと「樹脂層中の樹脂」の比率と同様になるようにした。
比較例3において、カーボンナノチューブをCNT−1からL−MWNTs−5に代えた以外は比較例3と同様にして、「バインダー樹脂を含有する帯電防止層」を有する帯電防止フィルムを製造した。
比較例3において、カーボンナノチューブをCNT−1からA−MWNTs−1020に代えた以外は比較例3と同様にして、「バインダー樹脂を含有する帯電防止層」を有する帯電防止フィルムを製造した。
下記(1)、(2)、(3)及び(4)の混合物
(1)ウレタンオリゴマー(日本合成化学社製「紫光1700B」) 40質量部
(2)アクリル系多官能モノマー(東亞合成社製「アロニクスM−9050」) 27質量部
(3)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガキュア184」 2質量部
(4)メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略記する) 31質量部
樹脂2溶液:
ポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「ダイヤナールBR83」の40%MIBK溶液
樹脂3溶液:
下記(1)、(2)及び(3)の混合物
(1)ポリエステル(東洋紡社製「バイロン200」 11質量部
(2)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合ポリマー(ダウケミカル社製「VAGH」) 9質量部
(3)MEK 80質量部
樹脂4溶液:
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート1004」)の20%MEK溶液
)を測定した。結果を表5に示す。
Claims (3)
- 基材上に帯電防止層及び該帯電防止層の上に更に樹脂層を有する帯電防止フィルムであって、
該帯電防止層が、実質的にバインダー樹脂を含まないものであり、かつ、酸性処理を行なわないか又は表面が塩基性となるような処理を行なってpHを7〜12としたカーボンナノチューブ(A)、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基及びオレイル基からなる群より選ばれるカーボンナノチューブ親和性基を有し、アミン価6〜80mgKOH/gの高分子分散剤である分散剤(B)及び有機溶剤(C)を含有する分散液を塗布してなるものであり、
該樹脂層が、ウレタン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及び光硬化性樹脂からなる群より選ばれる樹脂からなる膜厚10μm〜50μmのものであることを特徴とする帯電防止フィルム。 - 基材上に帯電防止層及び該帯電防止層の上に更に樹脂層を有する帯電防止フィルムの製造方法であって、
該帯電防止層を、酸性処理を行なわないか又は表面が塩基性となるような処理を行なってpHを7〜12としたカーボンナノチューブ(A)、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基及びオレイル基からなる群より選ばれるカーボンナノチューブ親和性基を有し、アミン価6〜80mgKOH/gの高分子分散剤である分散剤(B)及び有機溶剤(C)を含有し、バインダー樹脂を実質的に含まない分散液を塗布して形成し、
該樹脂層を、ウレタン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及び光硬化性樹脂からなる群より選ばれる樹脂を、膜厚10μm〜50μmとなるように形成することを特徴とする帯電防止フィルムの製造方法。 - 請求項1に記載の帯電防止フィルム製造用のカーボンナノチューブ分散液であって、pHが7〜12であるカーボンナノチューブ(A)、分散剤(B)及び有機溶剤(C)を含有し、実質的にバインダー樹脂を含まないカーボンナノチューブ分散液。
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