JP2011254046A - 三次元曲面構造体の製造方法 - Google Patents

三次元曲面構造体の製造方法 Download PDF

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真一 中平
Tadashi Miyagishima
規 宮城島
Kensuke Katagiri
健介 片桐
Kentaro Okazaki
賢太郎 岡崎
Yuki Matsunami
由木 松並
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Abstract

【課題】電磁波遮蔽性と光透光性を兼ね備え、低温製膜が可能であり、かつ金属ナノワイヤーの含有量が少なくても、十分な導電性を発現できる三次元曲面構造体を効率よく製造することができる三次元曲面構造体の製造方法の提供。
【解決手段】三次元曲面を有する基材上に、少なくとも導電性繊維及びバインダーを含有する導電層用塗布液を塗布して導電層を形成する導電層形成工程を少なくとも含み、前記導電層用塗布液の25℃での粘度が1cps〜100cpsである三次元曲面構造体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、三次元曲面を有する基材上に導電層を有し、電磁波遮蔽性と光透光性を兼ね備えている三次元曲面構造体の製造方法に関する。
電磁波遮蔽と可視光域の透光性を兼ね備えた透光性シールドとしては、例えば2枚の透明基板に金属繊維や有機繊維に金属メッキを施したメッキ繊維からなる導電性メッシュを介在させて接着樹脂で一体化したものが提案されている(特許文献1参照)。
また、透明プラスチックフィルムと導電性材料とを接着剤を介して貼り合せた導電性材料にケミカルエッチングにより幾何学図形を形成させたものが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これらの提案では、金属繊維やメッキ繊維をメッシュ状に成形する工程、ケミカルエッチングによって幾何学図形を形成する工程が複雑であり、コスト高を招いてしまうという課題がある。
また、In−Sn酸化物(ITO)等の酸化物透明導電体のみを用いた電磁波シールド体が知られているが、電磁波遮蔽能を高くするために膜厚を厚くすると反射率が高くなり、視認性が低下するという問題がある。
また、金属薄膜と酸化物透明導電体を積層させた透光性シールドが提案されている(特許文献3参照)。しかし、この提案では、成膜を行うのにスパッタリング装置等の大がかりな装置が必要であり、コスト高となる。更に、基材と導電層のヤング率や熱膨張係数が異なるため、電磁波遮蔽性能を上げるために導電層を厚く形成すると応力が発生してひびが入ってしまうという問題がある。
前記課題を解決するため、金属ナノワイヤーのネットワークを有する導電膜について提案されている(特許文献4参照)。
また、メッシュ状の導電性金属パターンを有する透明フレキシブルフィルムヒーター及びその製造方法について提案されている(特許文献5参照)。
しかし、これらの提案においても、カレンダー等による加熱処理や加圧処理をしないと導電性が低いため、ガラス転移点が低く加熱による変形が問題になる基材種や加圧処理が難しい曲面等の三次元基材は導電化処理ができず、十分な導電性が得られないという問題がある。また、金属ナノワイヤー含有層を厚みが2μmまで積層しないと十分な電磁波遮蔽性がでないため、曲面等の三次元基材に対しては導電膜自身が剥れ易かったり、導電層のヘイズが高くなり視認性が低下するという問題がある。
したがって、電磁波遮蔽性と光透光性を兼ね備え、低温製膜が可能であり、かつ金属ナノワイヤー塗布量が少なくても、十分な導電性を発現できる三次元曲面構造体の製造方法は、未だ提供されていないのが現状である。
特開2000−174488号公報 特開平10−41682号公報 特開平10−217380号公報 特許第4341005号公報 特開2008−77879号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、電磁波遮蔽性と光透光性を兼ね備え、低温製膜が可能であり、かつ金属ナノワイヤーの塗布量が少なくても、十分な導電性を発現できる三次元曲面構造体を効率よく製造することができる三次元曲面構造体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 三次元曲面を有する基材上に、少なくとも導電性繊維及びバインダーを含有する導電層用塗布液を塗布して導電層を形成する導電層形成工程を少なくとも含み、
前記導電層用塗布液の25℃での粘度が1cps〜100cpsであることを特徴とする三次元曲面構造体の製造方法である。
<2> 導電層用塗布液の25℃での粘度が1cps〜50cpsである前記<1>に記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<3> 三次元曲面を有する基材の平均厚みが1mm以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<4> バインダーが、酸性基を有する感光性樹脂を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<5> 導電層用塗布液の塗布がスプレーコート法で行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<6> 導電層をアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<7> 三次元曲面を有する基材の表面がプラズマ処理されている前記<1>から<6>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<8> 導電性繊維が、平均短軸長さが100nm以下であり、平均長軸長さが5μm以上である前記<1>から<7>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<9> 導電性繊維が、金属ナノワイヤーである前記<1>から<8>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<10> 金属ナノワイヤーが銀を含有する前記<9>に記載の三次元曲面構造体の製造方法である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法により製造されたことを特徴とする三次元曲面構造体である。
<12> 光透過率が65%以上である前記<11>に記載の三次元曲面構造体である。
<13> 導電層の表面抵抗が0.1Ω/□〜5,000Ω/□である前記<11>から<12>のいずれかに記載の三次元曲面構造体である。
<14> 三次元曲面構造体を長さ方向に1%伸ばしたときの導電層の表面抵抗の変化が±5%以内である前記<11>から<13>のいずれかに記載の三次元曲面構造体である。
<15> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法により製造された三次元曲面構造体における導電層に対し、露光し、現像することを特徴とするパターン形成方法である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、電磁波遮蔽性と光透光性を兼ね備え、低温製膜が可能であり、かつ金属ナノワイヤーの塗布量が少なくても、十分な導電性を発現できる三次元曲面構造体を効率よく製造することができる三次元曲面構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の三次元曲面構造体の製造方法は、導電層形成工程を少なくとも含み、露光工程、アルカリ処理工程、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<導電層形成工程>
前記導電層形成工程は、三次元曲面を有する基材上に、少なくとも導電性繊維及びバインダーを含有する導電層用塗布液を塗布して導電層を形成する工程である。
本発明においては、前記導電層用塗布液の25℃での粘度は、1cps〜100cpsであり、1cps〜50cpsであることが好ましく、1cps〜20cpsであることがより好ましく、1cps〜10cpsであることが更に好ましい。前記粘度が、100cpsを超えると、スプレーコート法、エアブラシ法において均一な吐出ができなくなることがあり、均一な導電性繊維の塗布ができなくなり、導電性が低下し電磁波シールド性能が不十分となる。前記好ましい範囲において、塗布液が基材に付着した際に、均一なウェット塗布膜が形成でき、導電性繊維の密着性がよくなり、加工性が向上する。
ここで、前記粘度は、例えばビスコメイト社製の振動粘度計などにより測定することができる。
<三次元曲面を有する基材>
前記三次元曲面を有する基材における三次元曲面とは、所定厚みの二次元平面の基材を湾曲させたものを意味する。即ち、これまで導電性繊維を含有する導電層用塗布液はPETフィルム等の厚みが300μm以下の薄いフィルムに塗布されていた。本発明では、そのような二次元平面のフィルムに塗布するのではなく、例えば、自動車用フロントガラスのように一定の形状を保持するものに塗布する。フィルム等に塗布する場合には、塗布方法としては、従来より使用されていたバーコートなどのコーティング方法が適用できたが、本発明で意図する自動車用フロントガラスのような三次元曲面を有するものは塗布方法が確立されておらず、塗布方法についても検討する必要がある。
前記三次元曲面を有する基材としては、例えば、自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の三次元曲面を有する各種乗り物用窓ガラス、戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の三次元曲面を有する建材用ガラス、プラズマディスプレイ、液晶表示装置、有機EL表示装置等の三次元曲面を有する表示装置、三次元曲面を有するタッチパネル、三次元曲面を有する電子ペーパー、三次元曲面を有する調光材料、三次元曲面を有する太陽電池、などが挙げられる。
なお、基材の少なくとも一部が三次元曲面を有していればよいが、基材全体が三次元曲面を有していても構わない。
前記三次元曲面を有する基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば透明ガラス基板、樹脂成型体、合成樹脂性シート、フィルム、金属基板、セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などを挙げることができる。
前記透明ガラス基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、グリーンガラス、シリカコート青板ガラスなどが挙げられる。
前記樹脂成型体、合成樹脂製シート、フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、FRP(繊維強化プラスチック)などが挙げられる。
前記金属基板としては、例えば、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板などが挙げられる。
なお、前記基材の強度を増すためにガラス繊維や炭素繊維を含有させてもよく、紫外線遮蔽性を付与するためにITO、ATO等の金属酸化物粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色するための顔料や染料などを目的に応じて含有させてもよい。
前記三次元曲面を有する基材の大きさとしては、特に制限はなく、用いる用途などに応じて適宜選定することができる。
前記三次元曲面を有する基材において、前記導電層との密着性を向上させる手法としては、物理的手法と化学的手法が挙げられる。前記物理的手法としては、サンドブラスト法などにより基材表面を荒らしてアンカー効果を付与する方法が挙げられる。前記化学的手法としては、プラズマ処理やコロナ処理などにより基材表面を活性化する方法、シランカップリング剤処理により導電層と化学的に密着性を上げる方法、プライマー層等の下塗り層を設ける方法などが挙げられる。前記下塗り層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外線吸収能や酸化防止能などを付与してもよい。
これらの中でも、簡便性と三次元曲面への処理均一性の点でプラズマ処理が特に好ましい。
前記三次元曲面を有する基材の平均厚みは、1mm以上であることが好ましく、2mm〜10mmであることがより好ましい。前記平均厚みが、1mm未満であると、三次元曲面の保持が困難となることがある。また、前記平均厚みが、1mm未満のものは通常の塗布方法で導電性繊維を含む塗布液を塗布することができる。一方、前記平均厚みが、1mm以上であると通常の塗布では塗布できないことから、後述するスプレーコート法による塗布の効果が大きくなる。
前記三次元曲面を有する基材の平均厚みは、例えばノギス、超音波厚み計などにより測定することができる。
<導電層用塗布液>
前記導電層用塗布液は、少なくとも導電性繊維及びバインダーを含有し、感光性化合物、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<<導電性繊維>>
前記導電性繊維の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中実構造及び中空構造のいずれかであることが好ましい。
ここで、中実構造の繊維をワイヤーと呼ぶことがあり、中空構造の繊維をチューブと呼ぶことがある。
前記導電性繊維の平均短軸長さが5nm〜1,000nmであって、平均長軸長さが1μm〜100μmの導電性繊維をナノワイヤーと呼ぶことがある。
また、平均短軸長さが1nm〜1,000nm、平均長軸長さが0.1μm〜1,000μmであって、中空構造を持つ導電性繊維をナノチューブと呼ぶことがある。
前記導電性繊維の材料としては、導電性を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属及びカーボンの少なくともいずれかであることが好ましく、これらの中でも、前記導電性繊維は、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ、及びカーボンナノチューブ、金属で被覆したカーボンナノチューブ、グラフェンの少なくともいずれかであることが好ましい。
−金属ナノワイヤー−
前記金属ナノワイヤーの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2族〜第14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
前記金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、これらの合金などが挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀、及び銀との合金が特に好ましい。
前記銀との合金で使用する金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウム、錫、ビスマス、ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記金属ナノワイヤーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面の多角形の角が丸まっている断面形状であることが好ましい。
ここで、前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、ミクロトームにより作製した断面切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、100nm以下であることが好ましく、5nm〜45nmがより好ましく、10nm〜40nmが更に好ましく、15nm〜35nmが特に好ましい。
前記平均短軸長さが、5nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、100nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じ、十分な透明性を得ることができないことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとした。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、5μm以上であることが好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
前記平均長軸長さが、5μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、40μmを超えると、金属ナノワイヤーが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均長軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長さとした。
前記金属ナノワイヤーの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散添加剤とを溶解した溶媒中で加熱しながら金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。
また、金属ナノワイヤーの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
−金属ナノチューブ−
前記金属ナノチューブの材料としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、例えば、前記した金属ナノワイヤーの材料などを使用することができる。
前記金属ナノチューブの形状としては、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
前記金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)としては、3nm〜80nmが好ましく、3nm〜30nmがより好ましい。
前記厚みが、3nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、80nmを超えると、金属ナノチューブ起因の散乱が生じることがある。
前記金属ナノチューブの平均長軸長さは、5μm以上であることが好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
前記金属ナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよく、例えば、米国出願公開2005/0056118号明細書等に記載の公知の方法などを用いることができる。
−カーボンナノチューブ−
前記カーボンナノチューブ(CNT)は、グラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が、単層あるいは多層の同軸管状になった物質である。単層のカーボンナノチューブはシングルウォールナノチューブ(SWNT)、多層のカーボンナノチューブはマルチウォールナノチューブ(MWNT)と呼ばれ、特に、2層のカーボンナノチューブはダブルウォールナノチューブ(DWNT)とも呼ばれる。本発明の導電性繊維において、前記カーボンナノチューブは、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
前記カーボンナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよく、例えば、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等の公知の手段を用いることができる。
また、これらの方法で得られたカーボンナノチューブは、洗浄、遠心分離、ろ過、酸化、クロマトグラフ等の方法により、副生成物や触媒金属等の残留物を除去することが、高純度化されたカーボンナノチューブを得ることができる点で好ましい。
前記導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であることが好ましい。前記アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長軸長さ/平均短軸長さの比)を意味する。
前記アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記導電性繊維のアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記導電性繊維のアスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記導電性繊維の平均長軸長さと平均短軸長さとを各々別に測定することによって、前記導電性繊維全体のアスペクト比を見積もることができる。
なお、前記導電性繊維がチューブ状の場合には、前記アスペクト比を算出するための直径としては、該チューブの外径を用いる。
前記導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると、前記導電性繊維によるネットワーク形成がなされず導電性が十分取れないことがあり、1,000,000を超えると、導電性繊維形成時やその後の取り扱いにおいて、成膜前に導電性繊維が絡まり凝集するため、安定な液が得られないことがある。
前記アスペクト比が10以上の導電性繊維の比率としては、全導電層用塗布液中に体積比で、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が特に好ましい。これらの導電性繊維の割合を、以下、「導電性繊維の比率」と呼ぶことがある。
前記導電性繊維の比率が、5%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、導電性繊維以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
ここで、前記導電性繊維の比率は、例えば、導電性繊維が銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、導電性繊維の比率を求めることができる。ろ紙に残っている導電性繊維をTEMで観察し、300個の導電性繊維の平均短軸長さを観察し、その分布を調べることにより、平均短軸長さが200nm以下であり、かつ平均長軸長さが1μm以上である導電性繊維であることを確認する。なお、ろ紙は、TEM像で平均短軸長さが200nm以下であり、かつ平均長軸長さが1μm以上である導電性繊維以外の粒子の最長軸を計測し、その最長軸の2倍以上であり、かつ導電性繊維の長軸の最短長以下の長さのものを用いることが好ましい。
ここで、前記導電性繊維の平均短軸長さ及び平均長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、導電性繊維の平均短軸長さ及び平均長軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により300個の導電性繊維を観察し、その平均値から求めたものである。
<<バインダー>>
前記バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、前記酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
前記バインダーの製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。前記ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
前記線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー(酸性基を有する感光性樹脂)が好ましい。
前記側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
前記以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
前記バインダーの含有量は、前記導電層全体に対し25質量%〜80質量%であることが好ましく、30質量%〜75質量%がより好ましく、40質量%〜70質量%が更に好ましい。前記含有量の範囲にあると、現像性と金属ナノワイヤーの導電性の両立が図れる。
−感光性化合物−
前記感光性化合物とは、露光により画像を形成する機能を導電層に付与するか、又はそのきっかけを与える化合物を意味する。具体的には、(1)露光による酸を発生する化合物(光酸発生剤)、(2)感光性のキノンジアジド化合物、(3)光ラジカル発生剤等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、感度調整のために、増感剤などを併用して用いることもできる。
−−(1)光酸発生剤−−
前記(1)光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
前記(1)光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
また、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
−−(2)キノンジアジド化合物−−
前記(2)キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−キノンジアジドスルホニルクロリド類、ヒドロキシ化合物、アミノ化合物などを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られる。
前記1,2−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリドなどが挙げられる。これらの中でも、感度の点ではナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリドが特に好ましい。
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]−エチリデン]ビスフェノール、などが挙げられる。
前記アミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、などが挙げられる。
前記1,2−キノンジアジドスルホニルクロリド、ヒドロキシ化合物、アミノ化合物などを、1,2−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基の合計が0.5〜1当量になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい割合は、1/1〜1/0.9の範囲である。好ましい反応温度は0℃〜40℃、好ましい反応時間は1〜24時間である。
反応溶媒としては、例えばジオキサン、1,3−ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記脱塩酸剤としては、例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。
前記(1)光酸発生剤、及び前記(2)キノンジアジド化合物の配合量は、露光部と未露光部の溶解速度差と、感度の許容幅の点から、前記バインダーの総量100質量部に対して、1質量部〜100質量部であることが好ましく、3質量部〜80質量部がより好ましい。
なお、前記(1)光酸発生剤と、前記(2)キノンジアジド化合物とを併用してもよい。
本発明においては、前記(1)光酸発生剤の中でもスルホン酸を発生する化合物が好ましく、下記のようなオキシムスルホネート化合物が高感度である観点から特に好ましい。
前記(2)キノンジアジド化合物として、1,2−ナフトキノンジアジド基を有する化合物を用いると高感度で現像性が良好である。
前記(2)キノンジアジド化合物の中で下記の化合物でDが独立して水素原子又は1,2−ナフトキノンジアジド基であるものが高感度である観点から好ましい。
−−(3)光ラジカル発生剤−−
前記光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する。前記光ラジカル発生剤は波長300nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
前記光ラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記光ラジカル発生剤の含有量は、前記導電層用塗布液全固形量に対して、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。前記数値範囲において、良好な感度とパターン形成性が得られる。
前記光ラジカル発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば特開2008−268884号公報に記載の化合物群が挙げられる。これらの中でも、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルホスフィン(オキシド)系化合物、オキシム系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
前記トリアジン系化合物としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)一s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)−フェニル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ベンゾフェノン系化合物としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセトフェノン系化合物としては、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。市販品の具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア907などが好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イミダゾール系化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、米国特許第4,311,783号、米国特許第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、などが挙げられる。
前記オキシム系化合物としては、例えばJ.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。具体例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアOXE−01、OXE−02等が好適である。
前記アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
これらの中でも、露光感度と透明性の観点から、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]が特に好ましい。
前記導電層用塗布液は、露光感度向上のために、光ラジカル発生剤と連鎖移動剤を併用してもよい。
前記連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記連鎖移動剤の含有量は、前記導電層用塗布液の全固形分に対し、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
−−架橋剤−−
前記架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、導電層を硬化させる化合物であり、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物;メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
前記エチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「重合性化合物」と称することもある)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ、好ましくは2つ以上有する化合物から選ばれる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
前記重合性化合物としては、例えばポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンやグリセリン、ビスフェノール等の多官能アルコールに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加反応した後で(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号等の各公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号等の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記エポキシ系化合物又はオキセタン系化合物としては、エポキシ基又はオキセタニル基を含む化合物であり、一般にエポキシ樹脂、オキセタン樹脂と呼ばれる化合物である。
前記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、脂環式エポキシ化合物、などが挙げられる。
前記ビスフェノールA型としては、例えばエポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170(以上、東都化成株式会社製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103(以上、ナガセ化成株式会社製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上、ダイセル化学株式会社製)、又はこれらの類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型などが挙げられる。また、Ebecryl 3700、3701、600(以上、ダイセルユーシービー社製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。
前記クレゾールノボラック型としては、例えばエポトートYDPN−638、YDPN−701、YDPN−702、YDPN−703、YDPN−704(以上、東都化成株式会社製)、デナコールEM−125(以上、ナガセ化成株式会社製)などが挙げられる。
前記ビフェニル型としては、例えば3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’ジグリシジルビフェニルなどが挙げられる。
前記脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2081、2083、2085、エポリードGT−301、GT−302、GT−401、GT−403、EHPE−3150(以上、ダイセル化学株式会社製)、サントートST−3000、ST−4000、ST−5080、ST−5100(以上、東都化成株式会社製)などが挙げられる。
その他としてアミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
これらのエポキシ樹脂の中でも、ノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物が好ましく、エポキシ当量が180〜250のものが特に好ましい。このような素材としてはエピクロンN−660、N−670、N−680、N−690、YDCN−704L(以上、DIC社製)、EHPE3150(ダイセル化学株式会社製)などが挙げられる。
前記オキセタン樹脂としては、例えばアロンオキセタンOXT−101、OXT−121、OXT−211、OXT−221、OXT−212、OXT−610、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成株式会社製)などが挙げられる。
また、前記オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
前記架橋剤の含有量は、前記バインダー総量100質量部に対して、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
−−分散剤−−
前記分散剤は、前記導電性繊維の凝集を防ぎ、分散させるために用いる。前記分散剤としては、前記導電性繊維を分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができ、例えば、市販の低分子顔料分散剤、高分子顔料分散剤を利用でき、特に高分子分散剤で導電性繊維に吸着する性質を持つものが好ましく用いられ、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
前記分散剤の含有量としては、前記バインダー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
前記含有量が、0.1質量部未満であると、分散液中で導電性繊維が凝集してしまうことがあり、50質量部を超えると、塗布工程において安定な液膜が形成できず、塗布ムラが発生することがある。
−−溶媒−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−金属腐食防止剤−−
前記金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
前記アゾール類としては、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾテトラゾール、(2−ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸などが挙げられる。
前記チオール類としては、アルカンチオール類、フッ化アルカンチオール類が挙げられ、例えばドデカンチオール、テトラデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、フルオロデカンチオール及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、並びにアミン塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。該金属腐食防止剤を含有することで、一段と優れた防錆効果を発揮することができる。前記金属腐食防止剤は導電層用塗布液に溶解した中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する導電層用塗布液による導電膜を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
前記導電層用塗布液は、少なくとも導電性繊維、及びバインダー、好ましくは感光性化合物、必要に応じてその他の成分を混合して、常法により調製することができる。
前記導電層用塗布液を、前記三次元曲面を有する基材上に塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばスプレーコート法、エアブラシ法、カーテンスプレー法、ディップコート法、ローラーコート法、スピンコート法、インクジェット法などが挙げられる。これらの中でも、広い面積の三次元曲面表面に導電層用塗布液を塗布できる点からスプレーコート法やエアブラシ法が特に好ましい。
前記導電層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば0.05μm〜2μmであることが好ましく、0.1μm〜1μmであることがより好ましい。
<露光(硬化)工程>
前記露光工程は、三次元曲面を有する基材上に、前記導電層用塗布液を塗布し、導電層を形成した後、露光し、硬化させるものである。
前記露光としては、特に制限はなく、用途などに応じて適宜選択することができるが、紫外線照射装置、紫外線照射ランプなどが好ましい。
<アルカリ処理工程>
前記露光後(硬化後)の導電層をアルカリ溶液で処理する工程である。
前記アルカリ溶液に含まれるアルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アルカリ溶液には、必要に応じて、メタノール、エタノール、又は界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤から選択して使用することができる。これらの中でも、ノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加すると、解像度が高くなるので特に好ましい。
前記アルカリ処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばディップ現像、パドル現像、シャワー現像のいずれも用いることができる。
前記アルカリ処理を行うことにより、前記三次元曲面構造体の導電層の導電性を上げることができる。
前記アルカリ溶液の浸漬時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10秒間〜5分間であることが好ましい。
<その他の工程>
本発明の三次元曲面構造体の製造方法は、必要に応じてパターニング工程を含んでいてもよい。
前記パターニング工程は、三次元曲面を有する基材上に、前記導電層用途布液を塗布し、導電層を形成した後、パターン露光し、現像する工程である。
なお、パターニングを行う場合には、前記現像が前記アルカリ処理工程を兼ねることになる。
<三次元曲面構造体>
本発明の三次元曲面構造体の製造方法により製造された三次元曲面構造体は、電磁波遮蔽性と光透光性を兼ね備え、低温製膜が可能であり、かつ金属ナノワイヤー塗布量が少なくても、十分な導電性を発現できるものである。
前記三次元曲面構造体の光透過率は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。前記光透過率が、65%未満であると、乗り物や建材の窓材として用いた場合に、視認性が低下することがある。
前記光透過率は、例えば分光光度計(V670、日本分光社製)により測定することができる。
前記三次元曲面構造体における導電層の表面抵抗は、0.1Ω/□〜5,000Ω/□であることが好ましく、0.1Ω/□〜30Ω/□であることがより好ましい。
前記三次元曲面構造体を長さ方向に1%伸ばしたときの導電層の表面抵抗の変化は、±20%以内であることが好ましく、±10%以内であることがより好ましい。前記表面抵抗の変化が、±20%を超えると、電磁波遮蔽性能が局所的に劣化してしまい、好ましく無い。
前記表面抵抗は、例えば表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)により、測定することができる。
前記三次元曲面構造体は、三次元曲面を有する基材上に導電層を有するあらゆる態様のものに適用することができ、例えば自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の三次元曲面を有する各種乗り物用窓ガラス、戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の三次元曲面を有する建材用ガラス、プラズマディスプレイ、液晶表示装置、有機EL表示装置等の三次元曲面を有する表示装置、三次元曲面を有するタッチパネル、三次元曲面を有する電子ペーパー、三次元曲面を有する調光材料、三次元曲面を有する太陽電池などに幅広く用いられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
<バインダー(A−1)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分としてメタクリル酸(MAA)7.79g、ベンジルメタクリレート(BzMA)37.21gを使用し、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gを使用し、これらを溶剤プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)55.00g中において重合反応させることにより、下記式で表されるバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は30,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.21であった。
(調製例1)
−銀ナノワイヤー水分散液(1)の調製−
予め、下記の添加液A、G、及びHを調製した。
〔添加液A〕
硝酸銀粉末0.51gを純水50mLに溶解した。その後、1Nのアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
〔添加液G〕
グルコース粉末0.5gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
〔添加液H〕
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤー水分散液を調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、前記添加液H 82.5mL、及び前記添加液G 206mLをロートにて添加した(一段目)。この液に、前記添加液A 206mLを流量2.0mL/min、攪拌回転数800rpmで添加した(二段目)。その10分間後、添加液Hを82.5mL添加した(三段目)。その後、3℃/分で内温75℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、5時間加熱した。
得られた水分散液を冷却した後、限外濾過モジュールSIP1013(旭化成株式会社製、分画分子量6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製チューブで接続して、限外濾過装置とした。
銀ナノワイヤー水分散液をステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。上記の洗浄を伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮を行い、銀ナノワイヤー水分散液(1)を得た。
(調製例2)
−銀ナノワイヤー水分散液(2)の調製−
調製例1において、一段目の混合液の初期温度20℃を40℃に変えた以外は、調製例1と同様にして、調製例2の銀ナノワイヤー水分散液(2)を作製した。
(調製例3)
−銀ナノワイヤー水分散液(3)の調製−
調製例1において、三段目の添加を二段目の添加後40分間に変えた以外は、調製例1と同様にして、調製例3の銀ナノワイヤー水分散液(3)を作製した。
(調製例4)
−銀ナノワイヤー水分散液(4)の調製−
エチレングリコール30mlを三口フラスコに入れ160℃に加熱した。その後、36mMのポリビニルピロリドン(PVP、K−55)、3μMのアセチルアセトナート鉄、60μMの塩化ナトリウムエチレングリコール溶液18mlと、24mMの硝酸銀エチレングリコール溶液18mlを毎分1mlの速度で添加した。160℃で60分間加熱後室温まで冷却した。水を加えて遠心分離し、伝導度が50μS/cm以下になるまで精製し、銀ナノワイヤーの水分散物を得た。
得られた水分散物を、限外濾過モジュールSIP1013(旭化成株式会社製、分画分子量6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製チューブで接続し、限外濾過装置とした。
銀ナノワイヤーの水分散液をステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。上記の洗浄を伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮を行い、銀ナノワイヤーの水分散液(4)を得た。
得られた銀ナノワイヤーについて、以下のようにして、平均短軸長さ(平均直径)、平均長軸長さ、アスペクト比が10以上の導電性繊維の比率、及び銀ナノワイヤー直径の変動係数を測定した。結果を表1に示す。
<銀ナノワイヤーの平均短軸長さ(平均直径)及び平均長軸長さ>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の銀ナノワイヤーを観察し、その平均値から銀ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さを求めた。
<銀ナノワイヤーの短軸長さの変動係数>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、銀ナノワイヤーの短軸長さを300個観察し、その平均値から銀ナノワイヤーの短軸長さを計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより変動係数を求めた。
<アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率>
各銀ナノワイヤー水分散物をろ過して銀ナノワイヤーとそれ以外の粒子を分離し、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPS−8000)を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、短軸長さが50nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上である銀ナノワイヤーをアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率(%)として求めた。
なお、銀ナノワイヤーの比率を求める際の銀ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
(実施例1)
<ポジ処方>
−導電層用塗布液の調製−
調製例1で調製した銀ナノワイヤーの水分散物(1)100質量部に、ポリビニルピロリドン(K−30、東京化成工業株式会社製)1質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)100質量部を添加し、遠心分離の後、デカンテーションにて上澄みの水を除去し、PGMEAを添加し、再分散を行い再び遠心分離を行い、遠心分離から再分散までの操作を3回繰り返し、最後にPGMEAを加え、銀ナノワイヤーのPGMEA分散液(1)を得た。最後のPGMEAの添加量は銀の含有量が、銀10質量%となるように調節した。
次に、銀ナノワイヤーPGMEA分散液(1)7.5質量部に、前記バインダー(A−1)4.19質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)、感光性化合物としての下記構造式で表されるTAS−200(エステル化率66%、東洋合成株式会社製)0.95質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.80質量部、及び溶媒としてのPGMEA 19.06質量部を加え、攪拌し、銀濃度が1.0質量%である導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例1の導電層用塗布液について、振動式粘度計(VM−10A−L、ビスコメイト社製)を用いて25℃で測定した粘度は、5cpsであった。
−導電層の形成−
得られた実施例1の導電層用塗布液を、三次元曲面を有する基材として、表面がプラズマ処理された厚み3mmの湾曲させたポリカーボネート基材上に、塗布銀量が0.1g/mになるように、スプレーコート法により塗布し、室温(25℃)にて乾燥させることにより、導電層を形成した。
−硬化工程−
作製した導電層を、硬化させるために露光処理を行った。露光は、高圧水銀灯i線(365nm)を100mJ/cm(照度20mW/cm)露光を行った。
−アルカリ処理工程−
硬化後の導電層を、水酸化カリウム系現像液(CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)の1.0質量%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー現像30秒間を行い、アルカリ処理を行った。以上により、実施例1の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例2)
−導電層用塗布液の調製−
実施例1において、銀ナノワイヤー水分散液(1)を、銀ナノワイヤー水分散液(2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例2の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は5cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例2の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例2の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例3)
−導電層用塗布液の調製−
実施例1において、銀ナノワイヤー水分散液(1)を、銀ナノワイヤー水分散液(3)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例3の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は3cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例3の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例3の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例4)
−導電層用塗布液の調製−
実施例1において、銀ナノワイヤー水分散液(1)を、銀ナノワイヤー水分散液(4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例4の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は7cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例4の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例4の三次元曲面構造体としての導電層を作製した。
(実施例5)
<ネガ処方>
−導電層用塗布液の調製−
調製例1の銀ナノワイヤーの水分散物(1)100質量部に、ポリビニルピロリドン(K−30、東京化成工業株式会社製)1質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)100質量部を添加し、遠心分離の後、デカンテーションにて上澄みの水を除去し、PGMEAを添加し、再分散を行い再び遠心分離を行い、遠心分離から再分散までの操作を3回繰り返し、最後にPGMEAを加え、銀ナノワイヤーのPGMEA分散液(1)を得た。最後のPGMEAの添加量は銀の含有量が、銀10質量%となるように調節した。
次に、銀ナノワイヤーPGMEA分散液(1)7.5質量部に、前記バインダー(A−1)3.80質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)、感光性化合物としてのKAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製)1.59質量部、感光性化合物としてのIRGACURE379(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.159質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.150質量部、塗布面状改良のためメガファックF781F(DIC株式会社製)0.002質量部、及び溶媒としてのPGMEA 19.3質量部を加え、攪拌し、銀濃度が1.0質量%である導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例5の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は5cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例5の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例5の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例6)
−導電層用塗布液の調製−
実施例5において、銀ナノワイヤー水分散液(1)を、銀ナノワイヤー水分散液(2)に代えた以外は、実施例5と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例6の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は5cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例6の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例6の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例7)
−導電層用塗布液の調製−
実施例5において、銀ナノワイヤー水分散液(1)を、銀ナノワイヤー水分散液(3)に代えた以外は、実施例5と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例7の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は3cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例7の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例7の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例8)
−導電層用塗布液の調製−
実施例5において、銀ナノワイヤー水分散液(1)を、銀ナノワイヤー水分散液(4)に代えた以外は、実施例5と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例8の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は7cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例8の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例8の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例9)
−導電層の形成−
実施例1の導電層用塗布液を用いて、三次元曲面を有する基材として、表面がプラズマ処理された厚み1mmの湾曲させたポリカーボネート基材を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電層を形成した。
−硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた導電層を対して、実施例1と同様にして、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例9の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(実施例10)
実施例1において、バインダー(A−1)の比率を4.19質量部から7.1質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)に変更し、溶媒としてのPGMEA 19.06質量部を21.97質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた実施例10の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は50cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた実施例10の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、実施例10の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(比較例1)
三次元曲面構造体として、蒸着製膜されたITOフィルムとして、市販品(製品番号639311、Aldrich社製、厚み0.15mm)を用いた。このITOフィルムは、実施例1と同じ曲率に湾曲させることが可能である。
(比較例2)
特許第4341005号公報の実施例1に記載の手法に従って、アミノ基含有高分子系分散剤(ソルスパース24000SC、アビシア社製)で表面を保護した銀ナノワイヤー(平均長軸長さ1μm、平均短軸長さ10nm)のトルエン分散液2g(銀ナノワイヤー1.0g含有)をエポキシ樹脂溶液(固形分40質量%)0.625gと混合して、導電層用塗布液を調製した。
得られた導電層用塗布液を、実施例1と同じ厚み3mmの湾曲させたポリカーボネート基材上に、厚みが2μmとなるように塗布し、170℃で乾燥させて、三次元曲面構造体としての比較例2の導電体を作製した。
この比較例2の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は250cpsであった。
(比較例3)
実施例1において、バインダー(A−1)の比率を4.19質量部から12.3質量部(固形分40.0質量%、PGMEA溶液)に変更し、溶媒としてのPGMEA 19.06質量部を27.17質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、導電層用塗布液を調製した。
得られた比較例3の導電層用塗布液について、実施例1と同様にして測定した25℃での粘度は120cpsであった。
−導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程−
得られた比較例3の導電層用塗布液を用いて、実施例1と同様にして、導電層の形成、硬化工程、及びアルカリ処理工程を行い、比較例3の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
(参考例1)
実施例1において、導電層用塗布液を三次元曲面を有する基材表面に塗布し、導電層を形成し、該導電層を硬化後、アルカリ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、参考例1の三次元曲面構造体としての導電体を作製した。
次に、作製した実施例1〜10、比較例1〜3、及び参考例1の三次元曲面構造体としての導電体について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表2に示す。
<光透過率の測定>
得られた各導電体について、ガードナー社製ヘイズガードプラスを用いて、C光源下のCIE視感度関数yについて、測定角0°で測定した。
<表面抵抗の測定>
得られたアルカリ処理後の各導電体を、表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)を用いて、表面抵抗を測定した。
<密着性>
テープ剥離法により、各導電体における導電層の基材表面への密着性を評価した。導電層付基材表面をカッターナイフで30mmなぞった後、幅18mmのマイラーテープを貼りつけた。気泡が抜けるまでテープを基材に擦りつけた後、基材とテープの角度を約90度に保った状態で剥離した。導電層が剥がれなかった場合を密着性が「○」、一部剥離した場合を密着性が「△」、5割以上剥離した場合を密着性が「×」とした。
<可視光域反射性>
各導電体の可視光域反射特性は、例えば分光光度計(V670、日本分光製)を用いて評価できる。絶対反射測定ユニットを用い、垂直入射時の反射率を評価した。
<伸張時の表面抵抗の変化率(耐歪性)>
各導電体における導電層の耐歪性を評価するために、引張り試験機(テンシロン自動引張試験機、エーアンドデイ社製)でサンプルを長さ方向に1%延伸した後、表面抵抗を測定し、変化率の小さいサンプル程、耐歪性が良いことを示すため、変化率が5%以下を「○」、5%超20%未満を「△」、20%以上を「×」と評価した。
<電磁波遮蔽性>
各導電体の電磁波遮蔽性の代用物性として、表面抵抗値が用いられる。一般に、表面抵抗値が低い程、電磁波遮蔽性能が良いことを示すため、表面抵抗が20Ω/□以下を「○」、20Ω/□超100Ω/□以下を「△」、100Ω/□超を「×」と評価した。
本発明の三次元曲面構造体の製造方法により製造された三次元曲面構造体は、例えば自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の三次元曲面を有する各種乗り物用窓ガラス、戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の三次元曲面を有する建材用ガラス、プラズマディスプレイ、液晶表示装置、有機EL表示装置等の三次元曲面を有する表示装置、三次元曲面を有するタッチパネル、三次元曲面を有する電子ペーパー、三次元曲面を有する調光材料、三次元曲面を有する太陽電池などに幅広く用いられる。

Claims (10)

  1. 三次元曲面を有する基材上に、少なくとも導電性繊維及びバインダーを含有する導電層用塗布液を塗布して導電層を形成する導電層形成工程を少なくとも含み、
    前記導電層用塗布液の25℃での粘度が1cps〜100cpsであることを特徴とする三次元曲面構造体の製造方法。
  2. 導電層用塗布液の25℃での粘度が1cps〜50cpsである請求項1に記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  3. 三次元曲面を有する基材の平均厚みが1mm以上である請求項1から2のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  4. バインダーが、酸性基を有する感光性樹脂を含有する請求項1から3のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  5. 導電層用塗布液の塗布がスプレーコート法で行われる請求項1から4のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  6. 導電層をアルカリ溶液で処理するアルカリ処理工程を含む請求項1から5のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  7. 三次元曲面を有する基材の表面がプラズマ処理されている請求項1から6のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  8. 導電性繊維が、平均短軸長さが100nm以下であり、平均長軸長さが5μm以上である請求項1から7のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  9. 導電性繊維が、金属ナノワイヤーである請求項1から8のいずれかに記載の三次元曲面構造体の製造方法。
  10. 金属ナノワイヤーが銀を含有する請求項9に記載の三次元曲面構造体の製造方法。
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WO2022071422A1 (ja) * 2020-09-30 2022-04-07 大日本印刷株式会社 センサー、物品、センサーの製造方法、および導電体

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