JP5188402B2 - 光制御型フェーズドアレーアンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、受信電波に対する指向性を制御するための光制御型フェーズドアレーアンテナに関する。
複数N個のアンテナ素子からなるアレーアンテナを有し、所定の方向から到来するM個の電波を受信して出力する従来の光制御型フェーズドアレーアンテナとしては、光信号処理手段と、複数N個のマイクロ波ミキサと、合成器とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
光信号処理手段は、M個のマイクロ波信号を光学的に信号処理することにより、電波の到来方向に対応する位相傾斜を有する複数N個のマイクロ波信号を出力する。また、複数N個のマイクロ波ミキサは、対応するアンテナ素子によって受信される受信マイクロ波信号と、アンテナ素子に対応して光信号処理手段から出力されたマイクロ波信号とをミキシングし、周波数変換信号を出力する。さらに、合成器は、複数N個のマイクロ波ミキサのそれぞれから出力された複数N個の周波数変換信号を合成する。
特開平10−065434号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に記載された従来の光制御型フェーズドアレーアンテナは、複数N個のマイクロ波ミキサのそれぞれに、複数N個のローカル信号を入力することにより、アレーアンテナの各素子で受信した複数M個のマイクロ波信号を周波数変換している。通常、マイクロ波ミキサへのローカル信号は、飽和動作で使用しないと周波数変換したときの変換損失が大きくなる。
従って、従来の構成において、マイクロ波ミキサへ入力する、光信号処理回路から出力されたローカル信号の強度が低い場合には、ミキサでの変換損が増大する。このため、信号対雑音比(S/N比)が劣化する課題がある。一方、ローカル信号の強度が強い場合には、マイクロ波ミキサは、飽和動作となる。このため、光信号処理回路から出力されたマイクロ波(ローカル信号)の振幅情報を使用することができなくなり、ビーム形成の自由度が低下する課題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、光信号処理回路で生成した振幅情報を使用して柔軟なビーム形成を可能とする光制御型フェーズドアレーアンテナを得ることを目的とする。
本発明に係る光制御型フェーズドアレーアンテナは、複数N個のアンテナ素子からなるアレーアンテナを有し、所定の方向から到来する電波を受信して出力する光制御型フェーズドアレーアンテナにおいて、マイクロ波信号を光学的に信号処理することにより、電波の到来方向に対応する振幅位相分布をなす複数N個の変調光を出力する光信号処理手段を有し、光信号処理手段から出力された複数N個の変調光に基づいて複数N個のローカル信号を出力するローカル信号生成部と、アレーアンテナによって受信された複数N個の受信マイクロ波信号と、複数N個のアンテナ素子に対応してローカル信号生成部から出力された複数N個のローカル信号とをミキシングし、複数N個の中間周波数信号を出力するマイクロ波ミキサと、マイクロ波ミキサから出力された複数N個の中間周波数信号を合成して出力する合成器とを備え、ローカル信号生成部は、マイクロ波信号の合成処理あるいは変調光の合成処理を行うことで、マイクロ波ミキサの飽和レベルで固定された複数N個のマイクロ波信号と、光信号処理手段から出力された複数N個の変調光に基づいて生成した複数N個のマイクロ波信号とを合成した信号に相当する複数N個のローカル信号を生成して出力するものである。
本発明に係る光制御型フェーズドアレーアンテナによれば、光信号処理回路により形成されるマイクロ波の振幅/位相分布で、アレーアンテナで受信した電波を重み付け加算することにより、光信号処理回路で生成した振幅情報を使用して柔軟なビーム形成を可能とする光制御型フェーズドアレーアンテナを得ることができる。
本発明の実施の形態1における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。 本発明の実施の形態2における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。 本発明の実施の形態3における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。 本発明の実施の形態4における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。
以下、本発明の光制御型フェーズドアレーアンテナの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示す。また、以下の説明において、M、Nは、2以上の整数とする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。図1に示す光制御型フェーズドアレーアンテナは、複数N個のアンテナ素子11(1)〜11(N)からなるアレーアンテナ10、N個のマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)、マイクロ波合成器30、マイクロ波帯域制限フィルタ40、およびローカル信号生成部100を備えている。
ここで、本実施の形態1におけるローカル信号生成部100は、第1のマイクロ波入力端子110、光信号処理回路120、複数N個の光電変換器130(1)〜130(N)、第2のマイクロ波入力端子140、マイクロ波分配器150、および複数N個の第1のマイクロ波合成器160(1)〜160(N)を備えている。
次に、本実施の形態1における光制御型フェーズドアレーアンテナの動作について説明する。光信号処理回路120の複数N個の出力のうち、i番目の出力端子からは、以下のような2光波Ai、Biを出力させる。
Ai=aicos(2π(fo1+flo1)t+φ1)
Bi=bicos(2πfo1・t)
ここで、ai、biはそれぞれ光波の振幅、fo1は光波の周波数、flo1はマイクロ波周波数、φ1iは2光波の位相差である。これらの2光波は、それぞれ第i番目の光電変換器130(i)にてヘテロダイン検波され、以下のようなマイクロ波Piに変換される。
Pi=αai×bicos(2πflo1t+φ1)
ただし、αは光電変換器130(1)〜130(N)の光/電気の変換効率に比例する定数である。
一方、第2のマイクロ波入力端子140から入力した第2のマイクロ波信号(周波数flo0とおく)は、マイクロ波分配器150により、複数Nに分割される。
そして、光電変換器130(1)〜130(N)のそれぞれから出力された複数Nの第1のマイクロ波と、マイクロ波分配器150から出力された複数Nの第2のマイクロ波とは、それぞれ第1のマイクロ波合成器160(1)〜160(N)にて合成され、出力される。
それぞれのマイクロ波合成器160(i)からは、光電変換器130(i)から出力されたマイクロ波信号、およびマイクロ波信号源である第2のマイクロ波入力端子140から出力され、マイクロ波分配器150で分割されたマイクロ波信号の2波が、それぞれ出力される。マイクロ波合成器160(i)から出力された2波は、マイクロ波ミキサ20(i)に、ローカル信号として入力される。
一方、複数Nのアンテナ素子で構成されるアレーアンテナ10の各アンテナ素子11(1)〜11(N)で受信されたマイクロ波信号(周波数をfmwとおく)は、必要に応じて、マイクロ波増幅器(図1には未記載)により受信信号強度が高められ、マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)のRFポートより入力される。
この結果、各マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)のIFポートからは、マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)のローカルポートに入力したマイクロ波信号の周波数(flo0およびflo1)と、信号ポートに入力した受信マイクロ波信号の周波数(fmw)の差成分(|flo0−fmw|、|flo1−fmw|)が出力される。
このとき、信号ポート、ローカルポートのそれぞれに入力したマイクロ波の和成分、高調波成分や、ローカルポートより入力した2波の差成分も出力されるが、これらは、必要に応じて、後述するマイクロ波帯域制限フィルタ40により除去する。
ここで、第2のマイクロ波入力端子140より入力され、マイクロ波分配器150で分配された第2のマイクロ波の強度を、マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)のローカル入力強度の飽和レベル以上に設定する。これにより、マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)を、常に、飽和状態で動作させることができる。
マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)は、飽和動作となっていることから、アレーアンテナ10の各アンテナ素子11(1)〜11(N)で受信したマイクロ波信号(周波数fmw)と、光信号処理回路120から出力され、光電変換された第1のマイクロ波(周波数flo1)とによる中間周波数信号(周波数|fmw−flo1|)の強度は、アンテナ受信マイクロ波と光信号処理出力によるマイクロ波の強度の積に比例する。
従って、光信号処理回路120から出力される複数Nの変調光の出力強度を制御することにより、中間周波数信号(周波数|fmw−flo1|)の強度を制御することができる。
複数Nのマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)から出力された複数Nの中間周波数信号は、第2のマイクロ波合成器30により合成される。このとき、マイクロ波合成器30に入力された複数Nの中間周波数信号の位相が同相の場合には、マイクロ波合成器30から出力される合成中間周波数信号の強度は、最大となる。
次に、光信号処理回路120からのN本の出力による、アレーアンテナ10で受信したマイクロ波信号の指向制御について説明する。例えば、アレーアンテナ10に対して図1に示した方向210から到来した電波を受信した場合、各マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)へ入力するマイクロ波信号の等位相面は、図中の破線201とおける。ただし、給電線は、等長化されているとして記載している。
このとき、光信号処理回路120から出力され、各光電変換器130(1)〜130(N)で光電変換されたマイクロ波信号の等位相面は、破線200のように、アンテナ受信信号の等位相面と同じになるとき(図中では、左右逆方向から入力しているため、逆方向の勾配で記述されている)、各マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)から出力される中間周波数信号の位相(等位相面を202とおいた)は、等しくなる。各マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)から出力された中間周波数信号は、マイクロ波合成器30に入力され、各中間周波数信号が加算されて出力される。
一方、前記と異なる方向からアレーアンテナ10に電波が到来した場合、ミキサ20(1)〜20(N)に入力されるマイクロ波の等位相面は、前記と異なる。このため、マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)から出力される中間周波数信号の位相は、素子により異なる値となる。
従って、マイクロ波合成器30に入力される中間周波数の位相も、素子により異なる。この結果、マイクロ波合成器30で加算されないため、強度は低くなり、所望の方向に指向性を制御することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、光信号処理回路により形成されるマイクロ波の振幅/位相分布で、アレーアンテナで受信した電波を重み付け加算することにより、受信電波に対する指向性を制御することが可能となる。
なお、実施の形態1においては、第2のマイクロ波入力端子140から入力される第2のマイクロ波を複数Nに分割した信号と、光信号処理回路120から出力され、光電変換された第1のマイクロ波信号とを、各々マイクロ波合成器160(1)〜160(N)にて合成する場合について説明した。しかしながら、第2のマイクロ波信号の入力端子140を複数N使用して、各々マイクロ波合成器160(1)〜160(N)に直接入力してもよく、同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。図2に示す光制御型フェーズドアレーアンテナは、複数N個のアンテナ素子11(1)〜11(N)からなるアレーアンテナ10、N個のマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)、マイクロ波合成器30、マイクロ波帯域制限フィルタ40、およびローカル信号生成部100を備えている。先の実施の形態1における図1の構成と比較すると、本実施の形態2における図2の構成は、ローカル信号生成部100の内部構成が異なっている。
ここで、本実施の形態2におけるローカル信号生成部100は、第1のマイクロ波入力端子110、光信号処理回路120、複数N個の光電変換器130(1)〜130(N)、第2のマイクロ波入力端子140、電気/光変換装置151、光分配器152、および複数N個の光合波器170(1)〜170(N)を備えている。
電気/光変換装置151は、第2のマイクロ波入力端子140から入力された第2のマイクロ波信号で強度変調された第2変調光を光信号として出力する。光分配器152は、電気/光変換装置151から出力された光信号を、複数Nに分配して出力する。また、複数N個の光合波器170(1)〜170(N)は、光分配器152による各分配出力光と、光信号処理回路120からの各出力光とを合波する。ここで、光信号処理回路120の出力光の波長と、光分配器152の出力光の波長を変えることにより、光合波器170(1)〜170(N)としては、波長多重型のものも使用可能である。これにより、合波時の挿入損を低減することができる。
次に、本実施の形態2における光制御型フェーズドアレーアンテナの動作について説明する。先の実施の形態1と同様に、光信号処理回路120の複数N個の出力のうち、i番目の出力端子からは、以下のような2光波Ai、Biを出力させる。
Ai=aicos(2π(fo1+flo1)t+φ1)
Bi=bicos(2πfo1t)
ここで、先の実施の形態1と同様に、ai、biはそれぞれ光波の振幅、fo1は光波の周波数、flo1はマイクロ波周波数、φ1iは2光波の位相差である。これらの2光波は、それぞれ第i番目の光電変換器130(i)にてヘテロダイン検波され、以下のようなマイクロ波Piに変換される。
Pi=αai×bicos(2πflo1t+φ1)
ただし、αは光電変換器130(1)〜130(N)の光/電気の変換効率に比例する定数である。
一方、第2のマイクロ波入力端子140から入力した第2のマイクロ波信号は、電気/光変換装置151により、第2のマイクロ波で強度変調された変調光となる。電気/光変換装置151から出力された変調光は、光分配器152により複数Nに分配され、光合波器170(1)〜170(N)により、光信号処理回路120の各出力光と各々合波され、各々光電変換器130(1)〜130(N)に入力される。
各光電変換器130(1)〜130(N)において、これら、光信号処理回路120から出力された光信号は、先の実施の形態1と同様に、所定の振幅/位相分布をなすマイクロ波信号へと復調され、また、光分配器152から出力された光信号は、第2のマイクロ波信号へと復調される。
ここで、復調された第2のマイクロ波の強度を、マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)の飽和レベル以上に設定する。これにより、各マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)を、常に、飽和動作させることができ、先の実施の形態1と同様に、アレーアンテナ10からの受信ビームの指向性を制御することが可能となる。
以上のように、実施の形態2によれば、先の実施の形態1とは異なるローカル信号生成部を用いることによっても、光信号処理回路により形成されるマイクロ波の振幅/位相分布で、アレーアンテナで受信した電波を重み付け加算することにより、受信電波に対する指向性を制御することが可能となる。
なお、実施の形態2においては、第2のマイクロ波入力端子140から入力される第2のマイクロ波信号を、電気/光変換装置151より変調光に変換した後、光分配器152で複数Nの光信号に分配する場合について説明した。しかしながら、第2のマイクロ波入力端子140から入力される第2のマイクロ波信号を、複数Nに分配した後、各々を複数Nの電気/光変換装置により各々変調光に変換し、その後、複数N個の光合成器に入力してもよく、同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
図3は、本発明の実施の形態3における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。図3に示す光制御型フェーズドアレーアンテナは、複数N個のアンテナ素子11(1)〜11(N)からなるアレーアンテナ10、N個のマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)、マイクロ波合成器30、マイクロ波帯域制限フィルタ40、およびローカル信号生成部100を備えている。先の実施の形態1、2における図1、2の構成と比較すると、本実施の形態3における図3の構成は、ローカル信号生成部100の内部構成が異なっている。
ここで、本実施の形態3におけるローカル信号生成部100は、第1のマイクロ波入力端子110、光信号処理回路120、複数N個の光電変換器130(1)〜130(N)、および第2のマイクロ波入力端子140を備えている。本実施の形態3においては、第1のマイクロ波入力端子110および第2のマイクロ波入力端子140が、ともに光信号処理回路120につながれている。
次に、本実施の形態3における光制御型フェーズドアレーアンテナの動作について説明する。本実施の形態3において、光信号処理回路120からは、先の実施の形態1、2と同様に、第1のマイクロ波で周波数オフセットされた2光波A1i、B1i、
A1i=a1icos(2π(fo1+flo1)t+φ1)
B1i=b1icos(2πfo1t)
と、第2のマイクロ波で周波数オフセットされた2光波A0i、B0i、
A0i=a0icos(2π(fo0+flo0)t+φ)
B0i=b0icos(2π fo0t)
が出力される。
ここで、先の実施の形態1、2と同様に、a、bはそれぞれの光波の振幅、f1、f0は光波の周波数、flo0、flo1はそれぞれマイクロ波周波数である。
以上の4光波が、それぞれ第i番目の光電変換器130(i)にてヘテロダイン検波され、各々の差成分が出力される。ここで、|fo0−fo1|≫0であり、A1、B1とA0、B0間の周波数差が光電変換器130(1)〜130(N)の帯域外となる場合には、これらの周波数差成分は無視できる。
そこで、光電変換器130(i)からは、以下の2つのマイクロ波P1i、P0iが出力される。
P1i=αa1i×b1icos(2πflo1t+φ1)
P0i=αa0i×b0icos(2πflo0t+φ)
ただし、αは光電変換器130(1)〜130(N)の光/電気の変換効率に比例する定数である。
ここで、P0iの強度がマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)の飽和レベル以上の場合には、各マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)を、常に、飽和動作させることができる。従って、アンテナ素子11(1)〜11(N)で受信したマイクロ波信号は、P1i、P0iでそれぞれ中間周波数信号に変換されるが、ここで、P0iをマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)の飽和レベルで固定した場合、P1iによる中間周波数信号成分の強度は、P1iに比例し、先の実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。
以上のように、実施の形態3によれば、マイクロ波ミキサを飽和動作させるためのマイクロ波信号を光信号処理回路で分配、給電することが可能となり、先の実施の形態1、2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
上述した各実施の形態1〜3では、1つのマイクロ波ビームを受信する場合の、受信ビームの方向および形状を制御する構成について説明した。これに対して、本実施の形態4では、複数のM本のビームを受信する場合の構成について説明する。
図4は、本発明の実施の形態4における光制御型フェーズドアレーアンテナの構成図である。図4に示す光制御型フェーズドアレーアンテナは、複数N個のアンテナ素子11(1)〜11(N)からなるアレーアンテナ10、N個のマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)、マイクロ波合成器30、マイクロ波帯域フィルタ50、およびローカル信号生成部100を備えている。先の実施の形態3における図3の構成と比較すると、本実施の形態4における図4の構成は、ローカル信号生成部100の内部構成が異なっているとともに、マイクロ波帯域制限フィルタ40の代わりにマイクロ波帯域フィルタ50が用いられている。
ここで、マイクロ波帯域フィルタ50は、マイクロ波の周波数により異なるポートに出力する機能を有している。また、本実施の形態4におけるローカル信号生成部100は、第1〜第Mのマイクロ波入力端子110(1)〜110(M)、光信号処理回路120、複数N個の光電変換器130(1)〜130(N)、および第M+1のマイクロ波入力端子140を備えている。先の実施の形態3における図3の構成と比較すると、本実施の形態4における図4の構成は、複数のM本のビームの受信に対応するために、(M+1)個のマイクロ波入力端子が光信号処理回路120に接続されている点が異なっている。
次に、本実施の形態4における光制御型フェーズドアレーアンテナの動作について説明する。本実施の形態4において、光信号処理回路120の出力素子iからは、先の実施の形態1〜3と同様に、第1から第Mのマイクロ波で各々周波数オフセットされた光波A1i、A2i、・・・、Amiと、B1i、B2i、・・・、Bmiの、2×M波の光波、
A1i=a1icos(2π(fo1+flo1)t+φ1)
B1i=b1icos(2πfo1t)
A2i=a2icos(2π(fo2+flo2)t+φ2)
B2i=b2icos(2πfo2t)
Ami=a1mcos(2π(fom+flom)t+φm)
Bmi=b1imcos(2πfomt)
および、第M+1のマイクロ波で周波数オフセットされた2光波A0i、B0i、
A0i=a0icos(2π(fo0+flo0)t+φ)
B0i=b0icos(2πfo0t)
が出力される。
ここで、先の実施の形態1〜3と同様に、a、bはそれぞれの光波の振幅、fo0、fo1、・・・は光波の周波数、flo0、flo1、・・・はそれぞれマイクロ波周波数である。
以上の2(M+1)の光波が、それぞれ第i番目の光電変換器130(i)にてヘテロダイン検波され、各々の差成分が出力される。ここで、|fo0−fo1|≫0などのように、各fo0、fo1、fo2、・・・、fomの周波数差が光電変換器130(1)〜130(N)の帯域外となる場合には、これらの周波数差により光電変換される成分は無視できる。
そこで、光電変換器130(i)からは、以下のM+1のマイクロ波P0i、P0i、P1i、・・・Pmiが出力される。
P0i=αa0i×b0icos(2πflo0t+φ)
P1i=αa1i×b1icos(2πflo1t+φ1)
P2i=αa2i×b2icos(2πflo2t+φ2)
Pmi=αami×bmicos(2πflomt+φm)
ただし、αは光電変換器130(1)〜130(N)の光/電気の変換効率に比例する定数である。
ここで、P0iの強度がマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)の飽和レベル以上の場合には、各マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)を、常に、飽和動作させることができる。従って、アンテナ素子11(1)〜11(N)で受信した複数Mの受信マイクロ波信号は、P0i、P1i、・・・、Pmiでそれぞれ中間周波数信号に変換されるが、ここで、P0iをマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)の飽和レベルで固定した場合、P1i、P2i、・・・による中間周波数信号成分の強度は、それぞれP1i、P2i・・・に比例し、先の実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
また、アレーアンテナ10にて複数M本の電波を受信した場合には、各々に対して、複数Mのマイクロ波P1、P2、・・・、Pmのマイクロ波の周波数の設定により、マイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)で周波数変換された中間周波数信号の周波数を、受信電波毎に変えることが可能である。
異なる中間周波数に変換された各中間周波数信号を、マイクロ波帯域フィルタ50で分離することにより、複数の受信電波の指向性を独立に形成することが可能となる。
なお、本実施の形態4では、光信号処理回路120へ入力した光信号の1つで、マイクロ波ミキサを飽和動作としており、先の実施の形態3の構成を、複数のM本のビームを受信するように拡張した場合について説明した。これと同様に、先の実施の形態1あるいは2の構成を、複数のM本のビームを受信するように拡張することも可能である。
より具体的には、マイクロ波の信号を光電変換器130(1)〜130(N)の後段で合成してもよいし、光電変換器130(1)〜130(N)の入力段で、マイクロ波で変調された光波を合成して、その変調光により光電変換されたマイクロ波信号をマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)に入力してもよい。
以上のように、実施の形態4によれば、先の実施の形態1〜3で示した構成を、複数のM本のビームを受信する場合に拡張することが可能となり、同様の効果を得ることができる。
なお、以上の実施の形態1〜4において、光信号処理回路120を実現する手段としては、例えば、特開平10−065434号公報の図7の構成や、特許第4140734号など、種々の方法で実現可能である。
また、以上の実施の形態1〜4において、アンテナ素子11(1)〜11(N)とマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)との間、光電変換器130(1)〜130(N)とマイクロ波ミキサ20(1)〜20(N)との間などに、マイクロ波の増幅器や、不要スプリアスなどを除去するためのマイクロ波フィルタなどを備えてもよいことは言うまでもない。
10 アレーアンテナ、11(1)〜11(N) アンテナ素子、20(1)〜20(N) マイクロ波ミキサ、30 マイクロ波合成器、40 マイクロ波帯域制限フィルタ、50 マイクロ波帯域フィルタ、100 ローカル信号生成部、110、110(1)〜110(M) マイクロ波入力端子、120 光信号処理回路(光信号処理手段)、130(1)〜130(N) 光電変換器、140 マイクロ波入力端子、150 マイクロ波分配器、151 電気/光変換装置(光変調手段)、152 光分配器(光分配手段)、160(1)〜160(N) マイクロ波合成器(第2の合成器)、170(1)〜170(N) 光合波器。

Claims (5)

  1. 複数N個のアンテナ素子からなるアレーアンテナを有し、所定の方向から到来する電波を受信して出力する光制御型フェーズドアレーアンテナにおいて、
    マイクロ波信号を光学的に信号処理することにより、前記電波の到来方向に対応する振幅位相分布をなす複数N個の変調光を出力する光信号処理手段を有し、前記光信号処理手段から出力された前記複数N個の変調光に基づいて複数N個のローカル信号を出力するローカル信号生成部と、
    前記アレーアンテナによって受信された複数N個の受信マイクロ波信号と、前記複数N個のアンテナ素子に対応して前記ローカル信号生成部から出力された前記複数N個のローカル信号とをミキシングし、複数N個の中間周波数信号を出力するマイクロ波ミキサと、
    前記マイクロ波ミキサから出力された前記複数N個の中間周波数信号を合成して出力する合成器と
    を備え、
    前記ローカル信号生成部は、マイクロ波信号の合成処理あるいは変調光の合成処理を行うことで、前記マイクロ波ミキサの飽和レベルで固定された複数N個のマイクロ波信号と、前記光信号処理手段から出力された複数N個の変調光に基づいて生成した複数N個のマイクロ波信号とを合成した信号に相当する前記複数N個のローカル信号を生成して出力する
    ことを特徴とする光制御型フェーズドアレーアンテナ。
  2. 請求項1に記載の光制御型フェーズドアレーアンテナにおいて、
    前記ローカル信号生成部は、
    第1のマイクロ波入力端子から入力されたマイクロ波信号を光学的に信号処理することにより、前記アレーアンテナで受信した電波の到来方向に対応する振幅位相分布をなす複数N個の変調光を出力する光信号処理手段と、
    前記複数N個の変調光を光電変換することにより、複数N個のマイクロ波信号を出力する光電変換器と、
    第2のマイクロ波入力端子から入力された第2のマイクロ波信号を、複数N個に分配する分配手段と、
    前記分配手段により複数N個に分配された前記第2のマイクロ波信号と、前記光電変換器により出力された複数N個のマイクロ波信号とをそれぞれ合成し、前記ローカル信号を生成する第2の合成器と
    を備えることを特徴とする光制御型フェーズドアレーアンテナ。
  3. 請求項1に記載の光制御型フェーズドアレーアンテナにおいて、
    前記ローカル信号生成部は、
    第1のマイクロ波入力端子から入力されたマイクロ波信号を光学的に信号処理することにより、前記アレーアンテナで受信した電波の到来方向に対応する振幅位相分布をなす複数N個の変調光を出力する光信号処理手段と、
    第2のマイクロ波入力端子から入力された第2のマイクロ波信号で強度変調された第2変調光を出力する光変調手段と、
    前記光変調手段により変調された前記第2変調光を複数N個に分配し、前記マイクロ波ミキサの飽和レベルで固定された複数N個の第2変調光を出力する光分配手段と、
    前記光分配手段で分配された前記複数N個の第2変調光と、前記光信号処理手段から出力された前記複数N個の変調光とを合成する光合波器と、
    前記光合波器で合成された前記複数N個の変調光を光電変換することにより、複数N個のマイクロ波信号を前記複数N個のローカル信号として出力する光電変換器と
    を備えることを特徴とする光制御型フェーズドアレーアンテナ。
  4. 請求項1に記載の光制御型フェーズドアレーアンテナにおいて、
    前記ローカル信号生成部は、
    第1のマイクロ波入力端子から入力された第1のマイクロ波信号、および第2のマイクロ波入力端子から入力された第2のマイクロ波信号を光学的に信号処理することにより、前記アレーアンテナで受信した電波の到来方向に対応する振幅位相分布をなす第1のマイクロ波による複数N個の第1の変調光と、前記マイクロ波ミキサの飽和レベルで固定された第2のマイクロ波による複数N個の第2の変調光とを合成して出力する光信号処理手段と、
    前記光信号処理手段で合成された変調光を光電変換することにより、複数N個のマイクロ波信号を前記ローカル信号として出力する光電変換器と
    を備えることを特徴とする光制御型フェーズドアレーアンテナ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光制御型フェーズドアレーアンテナにおいて、
    前記アレーアンテナは、それぞれ所定の方向から到来する複数M個の電波を受信し、
    前記ローカル信号生成部は、マイクロ波信号を光学的に信号処理することにより、前記複数M個の電波の到来方向に対応する振幅位相分布をなす複数N個の変調光を出力する光信号処理手段を有し、前記光信号処理手段から出力された前記複数N個の変調光に基づいて複数N個のローカル信号を出力し、
    前記マイクロ波ミキサは、前記複数M個の電波を前記複数N個のアンテナ素子からなる前記アレーアンテナによって受信した結果として生成された複数N個の受信マイクロ波信号と、前記複数N個のアンテナ素子に対応して前記ローカル信号生成部から出力された前記複数N個のローカル信号とをミキシングし、複数N個の中間周波数信号を出力し、
    前記合成器は、前記マイクロ波ミキサから出力された前記複数N個の中間周波数信号を合成し、
    前記合成器により合成された前記複数N個の中間周波数信号をその周波数により分離するマイクロ波帯域フィルタをさらに備えることを特徴とする光制御型フェーズドアレーアンテナ。
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