以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。図1は、電子部品検査装置としてのICハンドラ10を示す平面図である。
ICハンドラ10は、ベース11、安全カバー12、高温チャンバ13、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16、第2シャトル17、複数のコンベアC1〜C6を備えている。
ベース11は、その上面に前記各要素を搭載している。安全カバー12は、ベース11の大きな領域を囲っていて、この内部には、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16及び第2シャトル17が収容されている。
複数のコンベアC1〜C6は、その一端部側が、安全カバー12の外側に位置し、他端部が安全カバー12の内側に位置するように、ベース11に設けられている。各コンベアC1〜C6は、電子部品などのICチップTを複数収容したトレイ18を、安全カバー12の外側から安全カバー12の内側へ搬送したり、反対に、トレイ18を、安全カバー12の内側から安全カバー12の外側へ搬送したりする。
供給ロボット14は、X軸フレームFX、第1のY軸フレームFY1及び供給側ロボットハンドユニット20により構成されている。回収ロボット15は、該X軸フレームFX、第2のY軸フレームFY2及び回収側ロボットハンドユニット21により構成されている。X軸フレームFXは、X方向に配置されている。第1のY軸フレームFY1及び第2のY軸フレームFY2は、Y方向に沿って互いに平行となるように配置され、前記X軸フレームFXに対して、X方向に移動可能に支持されている。そして、第1のY軸フレームFY1及び第2のY軸フレームFY2は、X軸フレームFXに設けた図示しないそれぞれのモータによって、該X軸フレームFXに沿ってX方向に往復移動する。
第1のY軸フレームFY1の下側には、供給側ロボットハンドユニット20がY方向に移動可能に支持されている。供給側ロボットハンドユニット20は、第1のY軸フレームFY1に設けた図示しないそれぞれのモータによって、該第1のY軸フレームFY1に沿ってY方向に往復移動する。そして、供給側ロボットハンドユニット20は、例えば、コンベアC1のトレイ18に収容された検査前のICチップTを、例えば、第1シャトル16に供給する。
第2のY軸フレームFY2の下側には、回収側ロボットハンドユニット21がY方向に移動可能に支持されている。回収側ロボットハンドユニット21は、第2のY軸フレームFY2に設けた図示しないそれぞれのモータによって、該第2のY軸フレームFY2に沿ってY方向に往復移動する。そして、回収側ロボットハンドユニット21は、例えば、第1シャトル16から供給された検査後のICチップTを、例えば、コンベアC6のトレイ18に供給する。
ベース11の上面であって、供給ロボット14と回収ロボット15の間には、第1のレール24A及び第2のレール24BがそれぞれX軸方向に平行して配設されている。第1のレール24Aには、第1シャトル16がX軸方向に往復動可能に備えられている。また、第2のレール24Bには、第2シャトル17がX軸方向に往復動可能に備えられている。
第1シャトル16は、X軸方向に長い略板状のベース部材16Aを備えていて、その底面の図示しないレール受けによって第1のレール24Aに摺接されている。そして、第1シャトル16に設けた図示しないモータによって、第1のレール24Aに沿って往復動される。ベース部材16Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット25,27がネジなどで交換可能に固着されて、各チェンジキット25,27の各ポケット26にICチップTを保持するようになっている。
第2シャトル17は、X軸方向に長い略板状のベース部材17Aを備えていて、その底面の図示しないレール受けによって第2のレール24Bに摺接されている。そして、第2シャトル17に設けた図示しないモータによって、第2のレール24Bに沿って往復動される。ベース部材17Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット25,27がネジなどで交換可能に固着されて、各チェンジキット25,27の各ポケット26にICチップTを保持するようになっている。
ベース11の上面であって、第1及び第2シャトル16,17との間には検査部23が設けられており、その検査部23と第1シャトル16との間には第1カメラ28Aがその上方の撮像を可能なかたちに設置されており、同検査部23と第2シャトル17との間には第2カメラ28Bがこれもその上方の撮像を可能なかたちに設置されている。検査部23には、図2に示すように、その上部に開口部23hが開口されており、その開口部23hの下部には検査対象のICチップTが配置される検査用ソケット23Aが設けられている。すなわち検査用ソケット23Aには、ポケット26に収容されたICチップTが開口部23h内を通り配置される。また検査部23の上面には、ICチップTを検査用ソケット23Aにメカニカルアライメントにて配置させるときに用いられる先細り形状の位置決めピン23pが複数設置されているものの、この位置決めピン23pは検査用ソケット23AへのICチップTの配置にメカニカルアライメントが用いられないときにはなくてもよい。さらに、ベース11の上面であって検査部23の近傍には、ベース11の上面から検査用ソケット23Aと略同じ高さ位置にまで延びるソケットマーク支持部23Bが配置されており、そのソケットマーク支持部23Bの先端にはソケットマーク23Bmが設けられている。
第1及び第2シャトル16,17と検査用ソケット23Aとの上方には、各シャトル16,17と検査用ソケット23Aとの間でICチップTを相互に搬送する、Y方向に往復移動可能な検査用ヘッド22が設けられている。検査用ヘッド22は、ベース11上に設置された図示しないフレームに対して前後方向(Y方向)に移動可能な水平移動部31と、水平移動部31に対して連結されつつ上下(Z方向)動可能な垂直移動部32と、垂直移動部32に対してこれも連結されつつ上下(Z方向)動可能な把持部34とを有している。
水平移動部31は、フレームに設けられたY軸モータMY(図8参照)の正逆回転により同フレームに沿ってY方向に往復移動されるようになっている。また水平移動部31は、その下部に下方を撮像するハンドカメラ29が設置されており、そのハンドカメラ29は水平移動部31の前後方向(Y方向)の移動とともに移動されて検査用ソケット23A及びソケットマーク23Bmと対向したときにそれら検査用ソケット23Aとソケットマーク23Bmとを撮像することができるようになっている。
垂直移動部32は、水平移動部31に設けられたZ軸モータMZ(図8参照)の正逆回転により同水平移動部31に沿って上下方向に往復移動される。垂直移動部32は、その下部に設けられた同把持部34を、その上下動によりICチップTがポケット26へ給排されるときや検査用ソケット23Aに配置されるときの高さである配置高さと、検査用ヘッド22により前後方向(Y方向)へ移動されるときの高さである移動高さとに各工程に応じて配置させる。垂直移動部32には、その側面から下方に延出されるデバイスマーク支持部33が設けられている。デバイスマーク支持部33は、その先端が把持部34と略同じ高さ配置されており、その先端にはデバイスマーク33mが設けられている。
把持部34は、その底面にピン受け部34hが内部に向けて空けられた孔として複数形成されるとともに、その底面に吸着部35が設けられている。各ピン受け部34hは、把持部34が検査部23と対向する位置である所定の検査用原点位置に検査用ヘッド22により移動されたとき、検査部23に備えられている各位置決めピン23pと対向するそれぞれの位置にそれぞれ形成されている。ピン受け部34hは、開口部が広く内部が徐々に細くなる形状に形成されており、そこに先細り形状の位置決めピン23pが所定の密着深さまで挿入されたときに位置決めピン23pとの間にがたが生じないように嵌合するように形成されている。これにより、位置決めピン23pとピン受け部34hとが嵌合することにより検査部23に対する把持部34の位置が所定の基準位置に矯正される、いわゆるメカニカルアライメントがおこなわれるようになっている。なおこのときには、位置決めピン23pの細い先端部がピン受け部34hの広い開口部に挿入可能な範囲において、ピン受け部34hがそこに挿入された位置決めピン23pに案内されつつ密着深さまで挿入される態様でメカニカルアライメントが行なわれる。なお本実施形態では、把持部34が検査用ヘッド22により検査用原点位置に配置されたときには、少なくとも各ピン受け部34hの開口部にはそれらに対応する位置決めピン23pの先端部が挿入されることができるようになっている。
吸着部35は、その下面に図示しない真空装置への接続と大気圧への開放とを切り替える吸着用バルブV1(図8参照)に接続された図示しない吸着口が形成されており、図示しない真空装置に接続された吸着口に生じる負圧によりその下面にICチップTが吸着把持されるようになっている。すなわちICチップTは吸着部35の下面に吸着されることによって検査用ヘッド22に把持されるようになっている。
次に、垂直移動部32について図3〜7を参照して説明する。図3は垂直移動部32の部分断面構造を示す図であり、図4は図3の一部を拡大した部分断面構造を示す図であり
、図5は図4の一部の部分断面構造を示す図である。また、図6は図3の一部分が稼動した状態における垂直移動部32の部分断面構造を示す図であり、図7は図6の一部を拡大した部分断面構造を示す図である。なお、説明の便宜上、図3〜図7ではデバイスマーク支持部33とデバイスマーク33mの図示を省略し、図3及び図6ではソケットマーク支持部23Bとソケットマーク23Bmの図示を省略している。また、図6ではその使用態様においては不要とされる検査部23の各位置決めピン23pを図示していない。
図3において、垂直移動部32は、水平移動部31に上下動可能に接続される略L字形状の上部支持体40と、上部支持体40の下部に複数の連結柱41を介して水平連結された円形状の受けプレート42と、受けプレート42の下面に設けられた略円柱形状の押圧装置43とから構成されている。
上部支持体40は、上下方向に延びて上部が水平移動部31に連結される垂直部40Aと、同垂直部40Aの下部から水平方向に延びる水平部40Bとを有している。
垂直部40Aは、その上部が水平移動部31にて上下動されるようになっており、その上下方向中央部には補正機構45が固定設置けられている。
補正機構45は、同垂直部40Aに設けられたXY補正部45XYと、XY補正部45XYに対して水平方向への相対移動が可能な摺動レール受け46Aと、前記摺動レール受け46Aに対して上下方向への相対移動のみが可能な摺動レール46Bとを有している。また補正機構45は、摺動レール46Bが固定されたθ補正部45θと、θ補正部45θの下部に水平面に沿って回転可能にかつ水平に設けられた円板状の回動補正部47とを有している。
XY補正部45XYは、摺動レール受け46Aをその内部に設けられたX位置モータM1が駆動されると水平方向における左右方向(X方向)に移動させ、その内部に設けられたY位置モータM2が駆動されると水平方向における前後方向(Y方向)に移動させるようになっている。すなわち、摺動レール受け46AはX位置モータM1の駆動及びY位置モータM2の駆動によりXY補正部45XYに対して水平方向へ相対移動されるようになっており、摺動レール受け46Aに摺動レール46Bを介して連結されているθ補正部45θも同様にXY補正部45XYに対して水平方向へ相対移動されるようになる。θ補正部45θは、回動補正部47をその内部に設けられたθ位置モータM3が駆動されると水平面に沿って回転移動させるようになっている。すなわち、回動補正部47は、XY補正部45XYにより水平方向への相対移動がなされ、θ補正部45θにより水平面に沿った回転移動がなされることにより、上部支持体40の水平部40Bの上面に対して相対移動及び回転移動されるようになっている。
また、水平部40Bは、その中央部に円形状の貫通穴40hが貫通形成されおり、その下面にて貫通穴40hの周囲に円形配置された同じ長さの複数の連結柱41がそれぞれ下方に垂直に延設されている。なお本実施形態では、水平部40Bの貫通穴40hの径の大きさは、回動補正部47が水平方向に相対移動されつつ水平面に沿って回転移動されたときに移動され範囲よりも大きく形成されている。なお本実施形態では、水平部40Bに形成された貫通穴40hの水平方向中心位置を上下方向に垂直に延びる軸(図3において上矢印と下矢印とを結ぶ軸)をハンド中心軸と定義する。
複数の連結柱41は、その各先端が円板状に形成された受けプレート42に連結されている。受けプレート42は、水平状態に配置され、その外形は円周状に配置される複数の連結柱41が形成する円周と略同じ外径である。すなわち受けプレート42は、その上面外周部に複数の連結柱41が円周状に配置される。そして受けプレート42の下面には、押圧装置43が設けられている。
押圧装置43は、その内部に空気圧シリンダを有し、その下面から同空気圧シリンダの円柱状のピストン43Pが下方に向けて突出されている。空気圧シリンダは、圧縮空気の供給により所定の押圧力である検査圧にて所定のストロークである押下距離だけピストン43Pを突出(下動)させるようになっている。この突出により、ピストン43Pは下動開始位置である原点位置から下方の装着位置まで移動される。なお圧縮空気の供給されない空気圧シリンダは、ピストン43Pに上方へ押し返される力が印加されることによりピストン43Pが原点位置に戻される。押圧装置43のピストン43Pの先端部には倣い機構44が水平状態に接続されている。
倣い機構44は、水平方向の外径が受けプレート42よりも大きい略円柱状に形成されている。倣い機構44は、その内部には円筒形状の円筒空間44Aが形成されており、その円筒空間44Aの水平方向中央には円筒空間44Aの内径よりも小さい外径を有する円板状の支持プレート44Pが水平配置されている。支持プレート44P上面と円筒空間44A天井面との間及び支持プレート44P下面と円筒空間44A下面との間には、上下方向への隙間を有しない態様で複数のベアリング44Bがそれぞれ配置されている。すなわち、円筒空間44Aにおいて上下を複数のベアリング44Bに挟まれる支持プレート44Pは、円筒空間44A内の上下移動が規制されるようになっている。一方、支持プレート44Pは、各ベアリング44Bの水平方向への転がりにより水平方向には円筒空間44Aの内径とその外径との間の隙間の距離だけ相対移動することができるとともに、水平面に沿って回転移動することができるようになっている。そして、倣い機構44の円筒空間44Aには、その天井面に押圧装置43のピストン43Pよりも大きい外径を有する貫通孔が貫通形成されており、その貫通孔を挿入される同ピストン43Pの先端部が支持プレート44Pの中心部に固定連結されている。すなわち、倣い機構44は、押圧装置43(上部支持体40や、水平移動部31)に対して上下移動は規制されつつ水平方向へ相対移動することと水平面に沿って回転移動することとができるようになっている。そして倣い機構44の下部には前記把持部34が設けられている。
これにより、把持部34に把持されたICチップTは、検査用ヘッド22が検査用原点位置に配置されることにより検査用ソケット23Aに対向され、メカニカルアライメントが行われるようなときには垂直移動部32が移動高さから配置高さに下降されることにより検査用ソケット23Aに配置される。検査用ソケット23Aに配置されたICチップTは、押圧装置43によるピストン43Pの検査圧での下動が倣い機構44から把持部34、吸着部35を介して伝達される。これによりICチップTは、押圧装置43から受ける検査圧により検査用ソケット23Aに押圧されてその各接続端子を上方から検査用ソケット23Aの各検査用プローブに当接させ、それら検査用プローブを上方に付勢しているスプリングピンを下方に押し下げることにより検査圧によって該検査用ソケット23Aに電気的に接続される。
次に、ICチップTの位置を補正するための部品位置調整機構49について説明する。図3において、部品位置調整機構49は、垂直移動部32にて補正機構45の回動補正部47と倣い機構44との間に設けられている。部品位置調整機構49には、上部支持体40の水平部40Bと受けプレート42との間に倣い機構44とともに移動するアクチュエータ部50が設けられている。また部品位置調整機構49には、補正機構45の回動補正部47下面とアクチュエータ部50上面との間にクラッチ部60が、受けプレート42上面とアクチュエータ部50下面との間にセンタリング部70がそれぞれ設けられている。
図4において、アクチュエータ部50は、倣い機構44上面外周部から上部支持体40の水平部40Bと受けプレート42との間まで垂直に延出される筒状の側筒部51と、側筒部51の上端部に接続されるとともに倣い機構44と略同じ外径を有する円柱形状の第
1の閉塞部材52とを有し構成されている。すなわちアクチュエータ部50は、筒状の側筒部51の下端部に設けられた第2の閉塞部材としての倣い機構44と、上端部に設けられた第1の閉塞部材52とにより、上下を塞がれた筒体のような形状に形成されている。なお本実施形態では、アクチュエータ部50の形状の筒体とは側壁が無端状の円筒形からなる筒体に限られるものではなく、多数の柱状の側壁が円周状に並べられて上下方向に隙間を有するかたちに形成される形状でもよい。また、少ない柱状の側壁から形成された場合であれ第1の閉塞部材52外周部と倣い機構44外周部とを連結してそれらの間の位置関係を保持するような形状であればよい。
第1の閉塞部材52は、側筒部51が連結されるよりも内側に複数の連結柱孔52hが上下方向に貫通形成されている。各連結柱孔52hは、上部支持体40の水平部40Bと受けプレート42とを連結する複数の連結柱41をそれぞれ通すためのものであり、挿通された連結柱41との間に所定の隙間が確保される大きさの孔としてそれぞれ形成されている。すなわちその隙間により、第1の閉塞部材52は、上部支持体40の水平部40Bと受けプレート42との間においても水平方向に所定距離移動できるとともに、水平面に沿って所定角度回転できるようになっている。これにより、アクチュエータ部50は、それが固定されている倣い機構44が押圧装置43に対して水平方向へ相対移動や水平面に沿った回転移動をするときに、それらに追従して相対移動及び回転移動することができるようになっているとともに、倣い機構44の相対移動や回転移動を規制しないようになっている。
第1の閉塞部材52は、その水平方向中央にアクチュエータ50ACを有している。アクチュエータ50ACは、第1の閉塞部材52の内部にシリンダ53を有している。シリンダ53は、その内部に円柱状の筒内空間を有し、同筒内空間の上には天井面53aが、下には底面53bがそれぞれ形成されており、それら天井面53aと底面53bとの間には同筒内空間を上下動可能なピストン54bが設けられている。ピストン54bは、シリンダ53の筒内空間の円形形状と略同じ大きさの外径を有する円板状に形成されていて、その外側面がシリンダ53筒内空間の内側面に摺接するようになっており、シリンダ53に対する水平方向への相対位置が変化されないようになっている。シリンダ53筒内空間の内側面とピストン54b外側面との間には、ピストン54b上面と天井面53aとにより形成される上部空間と、ピストン54b下面と底面53bとにより形成される下部空間との間の空気の流通を遮断するパッキン55が設けられている。また、上部空間は大気と連通されておりその内圧が大気圧とされ、下部空間は圧縮空気の給排によりその内圧が大気圧よりも高い正圧と大気圧とに切り替えられるようになっている。すなわちピストン54bは、下部空間に大気圧が供給されると自重や下方への付勢力によりシリンダ53内を下方に移動して下方の上動開始位置に配置されるようになっている。一方、図6及び図7において、下部空間に正圧が供給されるとその正圧に基づく上昇力を生じつつシリンダ53内を上方に移動して上方の下動開始位置に配置されるようになっている。
シリンダ53には、その水平方向中心において天井面53aから第1の閉塞部材52上面へ上部支柱孔53haが貫通形成されているとともに、底面53bから第1の閉塞部材52下面へ下部支柱孔53hbが貫通形成されている。ピストン54bには、その中央部に上下方向に延びる支柱54aが空密状態で挿通固定されており、ピストン54bから上方に延びている同支柱54aの先端部が上部支柱孔53haを、ピストン54bから下方に延びている同支柱54aの基端部が下部支柱孔53hbを、それぞれ空密状態を保ちながら上下方向へ摺動可能なかたちに挿通されている。これにより支柱54aは第1の閉塞部材52に対して、図3〜図5に示すように、ピストン54bの下動にしたがって下方に移動されて上動開始位置に配置され、図6及び図7に示すようにピストン54bの上動にしたがって上方に移動されて下動開始位置に配置されるようになっている。なお本実施形態では、ピストン54bと支柱54aにより駆動機構としての可動部54が構成されてい
る。
図5において、クラッチ部60は、第1の閉塞部材52に固定された固定クラッチ部と第1の閉塞部材52に対して上下動する可動クラッチ部とを有し構成されている。
固定クラッチ部は、第1の閉塞部材52の上面から上方に延出される複数の支持体61と、それら支持体61の上端に連結された第2クラッチプレート62とを有している。複数の支持体61は、第1の閉塞部材52の上面において上部支柱孔53haの周囲にハンド中心軸を中心とする円周状に配置されており、それらの長さはその上端に連結された第2クラッチプレート62が水平部40Bの下面に接触しない長さとされている。第2クラッチプレート62は、複数の支持体61が形成する円周よりも大きい円板形状に形成されており、その外周部と複数の支持体61の間には張り出し部が形成されている。第2クラッチプレート62は、その張り出し部の下面に、同張り出し部を外側に向かって先細り形状にさせる下面から外側面への逆テーパ面としての傾斜面62tが外周(張り出し部)を一周するかたちに形成されている。また第2クラッチプレート62は、その下面中央部に、係合凹部63が形成されている。
可動クラッチ部は、回動補正部47の下面外周から下方に延出される円筒形状の外筒部67と、外筒部67の下端部に連結されるとともに回動補正部47の外径と略同じ外径を有する円板形状の第1クラッチプレート64とを有し構成されている。すなわち、可動クラッチ部は、筒状の外筒部67の下端部に設けられた第1クラッチプレート64と、上端部に設けられた回動補正部47とにより、上下を塞がれた有底筒体のような形状に形成されている。なお本実施形態では、可動クラッチ部の形状の有底の筒体とは外壁が無端状の円筒形からなる筒体に限られるものではなく、多数の柱状の外壁が円周状に並べられて上下方向に隙間を有するかたちに形成される形状でもよい。また、少ない柱状の外壁から形成された場合であれ第1クラッチプレート64外周部と回動補正部47外周部とを連結してそれらの間の位置関係を保持するような形状であればよい。
外筒部67は、その上端部が連結された回動補正部47の外周下面から水平部40Bの貫通穴40hを所定の隙間を有し挿通されて、その下端部が第1の閉塞部材52と第2クラッチプレート62との間にまで延出されている。外筒部67は、その外側面と貫通穴40hの内側面との間に形成される隙間により水平方向に対する相対移動が可能になっており、補正機構45が回動補正部47を水平部40Bに対して水平方向に相対移動させたり水平面に沿って回転移動させた場合、それら相対移動や回転移動と同様の相対移動や回転移動がされるようになっている。すなわち回動補正部47は、その相対移動や回転移動が外筒部67と貫通穴40hとの接触により規制されないようになっている。
第1クラッチプレート64は、外筒部67の下端部に連結されることにより、第1の閉塞部材52と第2クラッチプレート62との間に水平配置されるようになっているとともに、その下面(裏面)にはピストン54bにより上下動される支柱54aが当接されている。
第1クラッチプレート64には、第1の閉塞部材52と第2クラッチプレート62との間に設置されている各支持体61の各位置に対応するそれぞれの位置に、それら支持体61を水平方向に所定の隙間を有して挿通させる支持体挿通孔64hがそれぞれ上下方向に貫通形成されている。このことにより、第1クラッチプレート64は、第1の閉塞部材52と第2クラッチプレート62との間において各支持体挿通孔64hに各支持体61を挿通された状態であれ、回動補正部47からの水平方向の相対移動や水平面に沿った回転移動に応じて、予め設定された範囲で同相対移動や同回転移動されるようになっている。
また、第1クラッチプレート64はその裏面に支柱54aからの上下動が伝達され、そ
の上下動が外筒部67を介して回動補正部47に伝達される。さらに回動補正部47に伝達された上下動は、θ補正部45θを介して摺動レール46Bに伝達される。摺動レール46Bは摺動レール受け46Aに対して上下方向への相対移動のみが可能であることからそこに支柱54aから伝達された上下動は摺動レール46Bと摺動レール受け46Aとの間の上下方向への相対移動により吸収されるようになっている。すなわち、支柱54aの上下動に伴って、第1クラッチプレート64、外筒部67、回動補正部47、θ補正部45θ及び摺動レール46Bも上下動されるようになっている。
第1クラッチプレート64は、その上面の第2クラッチプレート62と相対向する位置に、同第2クラッチプレート62を嵌合させるためのクラッチ受け部65が凹設されている。クラッチ受け部65には、第2クラッチプレート62の厚みと略同じ長さの深さを有する底面65bと、第2クラッチプレート62の外側面と同じ高さで同外側面と隙間無く嵌合する内側面65aと、第2クラッチプレート62の傾斜面62tに対向するように底面65bの深さを内側面65a方向に浅くするテーパ面65tとがそれぞれ形成されている。すなわち、クラッチ受け部65に第2クラッチプレート62が嵌合されるとき、クラッチ受け部65の中心位置と第2クラッチプレート62の中心位置とが水平方向にずれていたときであれ、クラッチ受け部65の開口部に接するテーパ面65tが第2クラッチプレート62の中心位置をクラッチ受け部65の中心位置に案内する。同案内によりクラッチ受け部65の中心位置と第2クラッチプレート62の中心位置とが一致され、クラッチ受け部65に第2クラッチプレート62が好適に嵌合(結合)されるようになっている。
これにより、図6及び図7に示すように、アクチュエータ50ACにて支柱54aが上動され下動開始位置に配置されたときに、第1クラッチプレート64も上動されてそのクラッチ受け部65を第2クラッチプレート62に嵌合されるクラッチ結合位置に移動される。すなわち、第1クラッチプレート64がクラッチ結合位置に移動されることにより第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とが結合されてクラッチ部60が結合状態とされるようになっている。一方、図3〜図5に示すように、アクチュエータ50ACにて支柱54aが下動され上動開始位置に配置されたときには、第1クラッチプレート64も下動されてそのクラッチ受け部65と第2クラッチプレート62とが相互に離間され分離されるクラッチ分離位置に移動される。すなわち、第1クラッチプレート64がクラッチ分離位置に移動されることにより第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とが分離されてクラッチ部60が分離状態とされるようになっている。
結合状態のクラッチ部60は、第2クラッチプレート62の外側面と内側面65aの間には隙間が無いことから、第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とは水平方向に対して相対移動しないように固定結合されるようになっている。また結合状態のクラッチ部60は、クラッチ受け部65に第2クラッチプレート62が隙間なく嵌合されることに伴い相対的に高い摩擦力を有し接触されるようになることから、第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とは水平面に沿って回転移動しないように固定結合されるようにもなっている。一方、分離状態のクラッチ部60は、各支持体挿通孔64hと各支持体61との間に形成される隙間により、第1クラッチプレート64に回動補正部47から伝達された水平方向の相対移動や水平面に沿った回転移動が第2クラッチプレート62に伝達されないようになっている。すなわち各支持体挿通孔64hと各支持体61との間に形成される隙間により、第2クラッチプレート62は第1クラッチプレート64に対して予め設定された範囲で水平方向への相対移動や水平面に沿った回転移動されるようになっている。
さらにクラッチ受け部65には、その水平方向中央の底面に係合凸部66が形成されている。係合凸部66は、第2クラッチプレート62の中央に形成された係合凹部63と対向する位置に形成されており、クラッチ部60の結合状態においてそこに係合凹部63が
嵌合されるとき、第2クラッチプレート62の中心位置をクラッチ受け部65の中心位置に高い精度に位置合わせ(芯出し)をするようになっている。なお本実施形態では、係合凸部66と係合凹部63とにより凹凸係合機構が構成されている。
これにより、クラッチ部60が結合状態のときは、アクチュエータ部50と補正機構45とが高い精度の位置あわせにより結合されて、補正機構45による回動補正部47の水平方向の相対移動や水平面に沿った回転移動がアクチュエータ部50を介して倣い機構44を移動させる。すなわち、補正機構45により把持部34が位置補正されるようになり、把持部34の位置補正に対して補正機構45がその補正機能を能動的な状態とされるとともに、倣い機構44は補正機構45にしたがって移動するようになりその倣い機能が非能動とされる。
一方、クラッチ部60が分離状態のときは、アクチュエータ部50と補正機構45とが分離されて、倣い機構44は補正機構45に拘束されずに移動されるようになっている。すなわち、補正機構45により把持部34が位置補正されないようになり、把持部34の位置補正に対して補正機構45がその補正機能を非能動的な状態とされるとともに、倣い機構44は把持部34を把持部34への外力にしたがって移動させるようになりその倣い機能が能動とされる。
センタリング部70は、図4に示すように、受けプレート42上面に相対向するようにして支柱54aの基端部に連結された支持プレート71と、支柱54aの周囲を取り巻くようにして支持プレート71上面と第1の閉塞部材52下面との間に予圧縮状態で設けられた弾性部材としての圧縮ばね75とを有している。またセンタリング部70は、受けプレート42上面に凹設された複数の収容部73を有し、各収容部73には上部が突出されるとともに水平方向の移動が規制された態様の球体74がそれぞれ収容されている。
支持プレート71は、その下面(裏面)において受けプレート42の各収容部73と相対向する位置にテーパ状の凹部72がそれぞれ形成されている。テーパ状の凹部72は、支持プレート71の中心位置と受けプレート42の中心位置がともにハンド中心軸に重なるときに対応する収容部73に対向する位置に配置されるようになっており、支持プレート71の裏面側に逆円錐形状の穴として形成されている。すなわち、各収容部73に収容された球体74上部がテーパ状の凹部72に入り込むかたちになっている。なお本実施形態では、テーパ状の凹部72と球体74とにより係合機構が構成されている。
これにより、圧縮ばね75からの付勢力によりピストン54bが下動されて支持プレート71がその裏面を受けプレート42に押し付けられるとき、テーパ状の凹部72に球体74の球面が押し付けられるようになる。テーパ状の凹部72が球体74球面に押し付けられるときに、上下方向における球体74の中心位置とテーパ状の凹部72の中心位置とがずれている場合、球体74球面とテーパ状の凹部72とが一点で接触する。このときその接触点においてテーパ状の凹部72から球体74球面に伝達される力の向きは上下方向に対して傾きを有するため、支持プレート71に付勢された上下方向への付勢力が、下方向への押圧力と水平方向への押圧力とに分力される。これにより支持プレート71には水平方向への反力が印加されるようになり、その水平方向への反力により支持プレート71が水平方向に移動されるようになる。なおこの水平方向への反力は、球体74とテーパ状の凹部72との接触点が円形に配置されるような場合には相殺されて消滅する。すなわち支持プレート71は、球体74とテーパ状の凹部72とが円形接触されるような位置、換言すれば上下方向における球体74の中心位置とテーパ状の凹部72の中心位置とがハンド中心軸に重なるようなセンタリング位置に移動されると水平方向への押圧力を受けなくなり同位置に保持されるようになる。これにより、ハンド中心軸からずれた位置にある支持プレート71の中心位置をハンド中心軸に一致させるセンタリングが能動的に行なわれ
るようになる。すなわち、把持部34の中心位置は、その位置がハンド中心軸からずれているような場合であれ、把持部34に水平方向への移動不可能に連結されている支持プレート71へのセンタリングにより、ハンド中心軸に一致されるようにセンタリングされるようになっている。
逆に、把持部34側にメカニカルな力などからなる水平方向への調整力が加えられたときには、それが伝達された支持プレート71においてその調整力が反力よりも大きい場合には支持プレート71が調整力に従い移動され、その調整力が反力よりも小さい場合には支持プレート71は移動されずにセンタリング位置に保持されるようになる。
一方、図6及び図7に示すように、ピストン54bが圧縮ばね75の付勢力に抗して上動されて支持プレート71の下面が球体74から離間されるときには、支持プレート71は球体74からの反力を受けず、センタリング部70におけるセンタリングが行われない非能動的な状態とされる。
次に、ICハンドラ10が検査用ソケット23Aに対してICチップTの位置を補正するための電気的構成について図8を参照して説明する。
ICハンドラ10には、画像処理手段を構成するとともに位置補正装置及びクラッチ制御手段としての制御装置80が備えられている。制御装置80は、中央演算処理装置(CPU)、不揮発性メモリ(ROM)、揮発性メモリ(RAM)、画像プロセッサ81及び画像メモリ82を有するマイクロコンピュータを中心に構成されており、メモリに格納されている各種データ及びプログラムに基づいて各種制御を実行する。本実施形態では、制御装置80にて検査用ソケット23Aなどに対するICチップTの位置補正機構の切り替えを行うためにクラッチ部60の結合状態及び分離状態を切り替えるクラッチ制御が実行される。またRAMには、クラッチ制御に必要な各種のパラメータなどが予め保存されている。
制御装置80は、入出力装置85と電気的に接続されている。入出力装置85は、各種スイッチと状態表示機を有しており、前記各処理の実行を開始する指令信号や、各処理を実行するための初期値データ等を制御装置80に出力する。本実施形態では、ICチップTの種類に応じて設定されている各工程におけるクラッチ部の結合状態及び分離状態を示すデータなどが制御装置80に出力される。
制御装置80は、Y軸モータ駆動回路MYD及びZ軸モータ駆動回路MZDとそれぞれ電気的に接続されている。
Y軸モータ駆動回路MYDは、制御装置80から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいてY軸モータMYを駆動制御するようになっている。また制御装置80には、Y軸モータ駆動回路MYDを介してY軸モータエンコーダEMYによって検出されたY軸モータMYの回転速度が入力される。これにより制御装置80は、検査用ヘッド22の前後方向の位置を把握するとともに、その把握した位置と検査用ソケット23Aの上方位置や第1又は第2シャトル16,17の上方位置などの目標位置とのずれを求めて、Y軸モータMYを駆動制御して検査用ヘッド22を目標位置移動させるようになっている。
Z軸モータ駆動回路MZDは、制御装置80から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいてZ軸モータMZを駆動制御するようになっている。また制御装置80には、Z軸モータ駆動回路MZDを介してZ軸モータエンコーダEMZによって検出されたZ軸モータMZの回転速度が入力される。これにより制御装置80は、把持部34の上下方向の位置を把握するとともに、その高さと目標の高さである配置高さや移動高さとのずれを求めて、Z軸モータMZを駆動制御して把持
部34を目標の高さに移動させるようになっている。
制御装置80は、バルブ駆動回路V1Dと電気的に接続されている。バルブ駆動回路V1Dは、制御装置80から受けた制御信号に応答して吸着用バルブV1を駆動制御するようになっている。また制御装置80により駆動制御される吸着用バルブV1は、吸着部35底面の吸着口の圧力を大気圧と負圧とに切り替える。吸着口が負圧にされたときにICチップTが吸着部35に吸着把持される。
制御装置80は、押圧装置43に対応して設けられた電空レギュレータ回路AR1と電気的に接続されている。電空レギュレータ回路AR1は、制御装置80から入力される制御信号に応答して、圧縮空気を押圧装置43に供給する。これにより押圧装置43では、そのピストン43Pが圧縮空気により原点位置から装着位置まで下動される。
制御装置80は、アクチュエータ50ACに対応して設けられた電空レギュレータ回路AR2と電気的に接続されている。電空レギュレータ回路AR2は、制御装置80から入力される制御信号に応答して、圧縮空気をアクチュエータ50ACに供給する。これによりアクチュエータ50ACでは、そのピストン54bが圧縮空気により上動開始位置(クラッチ分離位置)から下動開始位置(クラッチ結合位置)まで移動され、クラッチ部60が分離状態から結合状態にされる。
制御装置80は、X位置モータ駆動回路M1Dに接続されている。X位置モータ駆動回路M1Dは、制御装置80からの駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく移動量を演算して、演算された移動量に基づいてX位置モータM1を駆動制御するようになっている。そして制御装置80は、X位置モータM1を駆動して、摺動レール受け46Aを垂直移動部32に対して左右方向(X方向)に移動させるようになっている。そして制御装置80には、X位置モータ駆動回路M1Dを介してX位置モータエンコーダEM1によって検出されたX位置モータM1の回転速度が入力され、その回転速度から摺動レール受け46Aの左右方向(X方向)位置が把握されるようになっている。
制御装置80は、Y位置モータ駆動回路M2Dに接続されている。Y位置モータ駆動回路M2Dは、制御装置80からの駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく移動量を演算して、演算された移動量に基づいてY位置モータM2を駆動制御するようになっている。そして制御装置80は、Y位置モータM2を駆動して、摺動レール受け46Aを垂直移動部32に対して前後方向(Y方向)に移動させるようになっている。そして制御装置80には、Y位置モータ駆動回路M2Dを介してY位置モータエンコーダEM2によって検出されたY位置モータM2の回転速度が入力され、その回転速度から摺動レール受け46Aの前後方向(Y方向)位置が把握されるようになっている。
制御装置80は、θ位置モータ駆動回路M3Dに接続されている。θ位置モータ駆動回路M3Dは、制御装置80からの駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく移動量を演算して、演算された移動量に基づいてθ位置モータM3を駆動制御するようになっている。そして制御装置80は、θ位置モータM3を駆動して、回動補正部47をθ補正部45θに対して水平面を回転させるようになっている。そして制御装置80には、θ位置モータ駆動回路M3Dを介してθ位置モータエンコーダEM3によって検出されたθ位置モータM3の回転速度が入力され、その回転速度から回動補正部47の水平面に沿った回転角度が把握されるようになっている。
制御装置80は、画像処理手段を構成する第1カメラ制御回路CC1と電気的に接続されている。第1カメラ制御回路CC1は、制御装置80からの制御信号に応答して第1カメラ28Aを駆動制御する。そして制御装置80は、第1カメラ28Aがその上方を第1
シャトル16から検査部23の方向へ検査用ヘッド22とともに通過するICチップT底面とデバイスマーク33mとを撮像するように駆動制御されて、同第1カメラ28AからICチップT底面とデバイスマーク33mとが撮像された「デバイス認識処理」用の画像データが取得される。制御装置80は、取得された前記画像データを画像プロセッサ81に処理させることにより、吸着部35に吸着されたICチップTとデバイスマーク33mの画像認識処理(デバイス認識処理)を行なう。
デバイス認識処理では、取得した画像データに所定の処理が施されデバイスマーク33mとICチップTとの相対位置及び相対角度が算出される。そして、同算出された相対位置及び相対角度がデバイスマーク33mとICチップTとの適正な位置関係を示す基準位置及び基準角度と対比され、相対位置と基準位置との間に生じているずれ位置量と、相対角度と基準角度との間に生じているずれ角度量とがそれぞれ演算される。そしてメモリの所定の領域に記憶されているICチップTの相対位置データをそれらずれ位置量及びずれ角度量の値に更新する。
制御装置80は、画像処理手段を構成する第2カメラ制御回路CC2と電気的に接続されている。第2カメラ制御回路CC2は、制御装置80からの制御信号に応答して第2カメラ28Bを駆動制御する。そして制御装置80は、第2カメラ28Bがその上方を第2シャトル17から検査部23の方向へ検査用ヘッド22とともに通過するICチップT底面とデバイスマーク33mとを撮像するように駆動制御されて、同第2カメラ28BからICチップT底面とデバイスマーク33mとが撮像された「デバイス認識処理」用の画像データが取得される。制御装置80は、取得された画像データを画像プロセッサ81に処理させることにより、吸着部35に吸着されたICチップTとデバイスマーク33mに対して上述の画像認識処理(デバイス認識処理)を行ない、メモリの所定の領域に記憶されているICチップTの相対位置データを同処理で演算されたずれ位置量及びずれ角度量の値に更新する。
制御装置80は、ハンドカメラ制御回路CC3と電気的に接続されている。ハンドカメラ制御回路CC3は、制御装置80からの制御信号に応答してハンドカメラ29を駆動制御する。そして制御装置80は、ハンドカメラ29が検査用ヘッド22とともに検査部23とソケットマーク23Bmの上方を通過するときにそれら検査用ソケット23Aとソケットマーク23Bmとを撮像するように駆動制御させる。このハンドカメラ29の駆動制御により、ハンドカメラ29から検査用ソケット23Aとソケットマーク23Bmとが撮像された「ソケット認識処理」用の画像データが取得される。制御装置80は、取得された前記画像データを画像プロセッサ81に処理させることにより、検査用ソケット23Aとソケットマーク23Bmの画像認識処理(ソケット認識処理)を行なう。
ソケット認識処理では、取得した画像データに所定の処理が施されソケットマーク23Bmと検査用ソケット23Aとの相対位置及び相対角度が算出される。そして、同算出された相対位置及び相対角度がソケットマーク23Bmと検査用ソケット23Aとの適正な位置関係を示す基準位置及び基準角度と対比され、相対位置と基準位置との間に生じているずれ位置量と、相対角度と基準角度との間に生じているずれ角度量とがそれぞれ演算される。そしてメモリの所定の領域に記憶されている検査用ソケット23Aの相対位置データをそれらずれ位置量及びずれ角度量の値に更新する。なおソケットマーク23Bmと検査用ソケット23Aの位置関係は頻繁に変化するものではないため、ソケット認識処理は電子部品検査装置の始動時や温度上昇時、もしくは所定時間間隔毎に行われ、次に更新されるまでは前に更新された値がICチップTの検査用ソケット23Aへの配置に用いられるようになっている。
次に、図9を参照して、このような検査用ヘッド22を備えた電子部品検査装置におけ
るICチップTの搬送工程の一態様について説明する。図9は、外部端子の間隔の狭いボールデバイスや衝撃に弱いWLCSPなどのICチップTが検査用ソケット23Aへ高い精度の位置決めがなされるように、ビジュアルアライメントにより位置決めされる場合の工程の一態様について示すフローチャートである。なおこの例では、第1シャトル16の供給側のチェンジキット25には、把持部34に備えられたピン受け部34hとの共同により検査用ヘッド22の吸着部35の所定の位置にICチップTを位置決めさせる位置決めピンが備えられている。すなわち、第1シャトル16のICチップTの検査用ヘッド22への位置決めはメカニカルアライメントにより行なわれる。また説明の便宜上、この例では検査用ヘッド22が第1シャトル16からのみICチップTを供給排出する場合について説明するが、検査用ヘッド22がICチップTを供給されたり排出したりするときに用いられる各シャトル16,17の組合せはこれに限られない。
まず、検査前のICチップTが第1シャトル16の供給側のチェンジキット25のポケット26に載置されて検査部23の近傍まで搬送供給される。検査前のICチップTが検査部23の近傍まで供給されると、制御装置80は、ICチップTの把持されていない検査用ヘッド22をポケット26に載置された同ICチップTの直上に配置させるとともに、クラッチ部60を分離状態にさせる工程としてのクラッチ分離動作の工程を行なう(ステップS10)。クラッチ部60が分離状態にされてから、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を配置高さまで下降させながら、メカニカルアライメントによる吸着部35とICチップTとの位置決めをしてから、吸着部35にICチップTを吸着把持する工程である電子部品取得の工程を行う(ステップS11)。
吸着部35にICチップTを吸着把持してから、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を移動高さまで上昇させてからクラッチ部60を結合状態にさせる工程であるクラッチ結合動作の工程を行なう(ステップS12)。なお、ICチップTが取得された第1シャトル16は検査済みのICチップTが配置される場合に備えて検査部23の近傍に回収側のチェンジキット27を配置させておく。
クラッチ部60が結合状態にされてから、制御装置80は、検査部23への検査用ヘッド22の移動を開始させ、第1カメラ28Aに上方を通過するICチップTとデバイスマーク33mとを撮像させて、その撮像された画像データを画像プロセッサ81にてデバイス認識処理させる。そしてデバイス認識処理に基づいて算出されたずれ位置量及びずれ角度量を是正するべく、制御装置80は、例えば検査用ソケット23Aの中心位置とICチップTの中心位置を一致させるように補正機構45を駆動させて同補正機構45によるICチップTの位置補正を行う。これによりデバイス認識処理に基づいてICチップTがビジュアルアライメントされる工程が行なわれる(ステップS13)。なお、このビジュアルアライメントによる位置補正がされたICチップTは、検査用ヘッド22が検査用原点位置に配置されたときにその各接続端子が検査用ソケット23Aの検査用プローブに好適に接続される位置に配置されるようになっている。
ビジュアルアライメントされたICチップTが検査用原点位置まで移動されると、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を配置高さまで下降させてICチップTを検査用ソケット23Aに配置させる。さらに押圧装置43からの検査圧をICチップTに印加させて同ICチップTの各接続端子を検査用プローブに接続させる工程である電子部品配置の工程が行なわれる(ステップS14)。検査用ソケット23AにICチップTが配置されてから、制御装置80は、図示しない検査装置にICチップTの電気的特性などの検査を行わせる検査の工程を行う(ステップS15)。
ICチップTの電気的特性の検査などが終了されると、制御装置80は、ICチップTに対する押圧装置43からの検査圧の印加を終了させるとともに検査用ヘッド22の垂直
移動部32を移動高さまで上昇させてICチップTを検査用ソケット23Aから離脱させる工程である電子部品離脱の工程を行う(ステップS16)。
検査用ヘッド22の垂直移動部32が移動高さまで上昇したら、制御装置80は、第1シャトル16の回収側のチェンジキット27のポケット26の直上まで移動するとともに、クラッチ部60を分離状態にさせる工程であるクラッチ分離動作の工程を行う(ステップS17)。クラッチ部60が分離状態にされてから、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を配置高さまで下降させ、吸着部35の吸着孔を大気圧にしてICチップTをポケット26に配置させる工程である電子部品排出の工程を行う(ステップS18)。
その後、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を移動高さまで上昇させて第1シャトル16により未検査のICチップTが供給されるのを待ち、未検査のICチップTが供給される毎に上記動作を逐次繰り返すようになっている。
また次に、図10を参照して、このような検査用ヘッド22を備えた電子部品検査装置におけるICチップTの搬送工程のその他の態様について説明する。図10は、矩形状の4辺から外部端子の突き出ているQFPなどの外部端子の間隔の広いICチップTが検査用ソケット23Aへの高速な位置決め動作がなされるメカニカルアライメントにより位置決めされる場合の工程である一態様について示すフローチャートである。なおこの例では、第1シャトル16により供給されるICチップTへの検査用ヘッド22の位置決めはビジュアルアライメントにより行われるものとする。また説明の便宜上、この例においても検査用ヘッド22が第1シャトル16からのみICチップTを供給排出する場合について説明するが、検査用ヘッド22がICチップTを供給されたり排出したりするときに用いられる各シャトル16,17の組合せはこれに限られない。
まず、検査前のICチップTが第1シャトル16の供給側のチェンジキット25のポケット26に載置されて検査部23の近傍まで搬送供給されると、図示しないカメラにより撮像されたポケット26とICチップTとの撮像データに所定の処理が施されてポケット26に対するICチップTの相対位置や相対角度が算出される。
ICチップTの相対位置や相対角度が算出されると、制御装置80は、ICチップTの把持されていない検査用ヘッド22をポケット26に載置された未検査のICチップTの直上に配置させるとともに、クラッチ部60を結合状態にさせる工程としてのクラッチ結合動作の工程を行なう(ステップS20)。クラッチ部60が結合状態にされてから、上記算出された相対位置や相対角度を是正すべく、制御装置80は、例えば把持部34の中心位置とICチップTの中心位置が一致するように補正機構45を駆動させて同補正機構45による把持部34の位置補正を行う。これによりポケット26の検査前のICチップTに対する把持部34のビジュアルアライメントが行なわれる(ステップS21)。
ICチップTに対する把持部34のビジュアルアライメントが行なわれてから、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を配置高さまで下降させて吸着部35にICチップTを吸着把持する工程である電子部品取得の工程を行う(ステップS22)。吸着部35にICチップTが吸着把持されると、制御装置80は、クラッチ部60を分離状態にさせる工程であるクラッチ分離動作の工程を行う(ステップS23)。
クラッチ部60が分離状態にされてから、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を配置高さまで下降させながら、把持部34のピン受け部34hに検査部23の位置決めピン23pが嵌合される態様にてメカニカルアライメントが行なわれつつICチップTを検査用ソケット23Aに配置させる。さらに押圧装置43からの検査圧をICチ
ップTに印加させて同ICチップTの各接続端子を検査用プローブに接続させる工程である電子部品配置の工程が行なわれる(ステップS24)。検査用ソケット23AにICチップTが配置されてから、制御装置80は、図示しない検査装置にICチップTの電気的特性などの検査を行わせる検査の工程を行う(ステップS25)。
ICチップTの電気的特性の検査などが終了されると、制御装置80は、ICチップTに対する押圧装置43からの検査圧の印加を終了させるとともに検査用ヘッド22の垂直移動部32を移動高さまで上昇させてICチップTを検査用ソケット23Aから離脱させる工程である電子部品離脱の工程を行う(ステップS26)。
ICチップTが検査用ソケット23Aから離脱されると、制御装置80は、クラッチ部60を結合状態にさせる工程であるクラッチ結合動作の工程を行なう(ステップS27)。クラッチ部60が結合状態にされたら、制御装置80は、第1シャトル16の回収側のチェンジキット27のポケット26の直上まで移動するとともに、検査用ヘッド22の垂直移動部32を配置高さまで下降させ、吸着部35の吸着孔を大気圧にしてICチップTをポケット26に配置させる電子部品排出の工程を行う(ステップS28)。なお、検査用ヘッド22が第1シャトル16の回収側のチェンジキット27のポケット26の直上まで移動するとときに、第1カメラ28Aにその上方を通過するICチップTとデバイスマーク33mとを撮像させて、その撮像された画像データを画像プロセッサ81にてデバイス認識処理させるようにしてもよい。そして把持部34に対するICチップTの位置を確認(モニタ)して所定の位置と異なれば修正するようにする。このようにすれば、第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62との結合した角度がICチップTを把持したと異なるような場合であれICチップTの向きをポケット26の向きに補正機構45の補正機能を通じて是正することができる。
その後、制御装置80は、検査用ヘッド22の垂直移動部32を移動高さまで上昇させて第1シャトル16により未検査のICチップTが供給されるのを待ち、未検査のICチップTが供給される毎に上記動作を逐次繰り返すようになっている。
以上説明したように、本実施形態の電子部品検査装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)クラッチ部60による結合状態と分離状態との切り替えにより把持部34の検査用ヘッド22に対する水平方向を含む水平面への位置の補正を補正機構45により行なうのか、倣い機構44により行なうのかが選択的に切り替えられるようにした。これにより、検査用ヘッド22がICチップTを検査用ソケット23Aに配置するときに補正機構45と上記倣い機構44とのうちからICチップTや検査用ソケット23Aに適合する機構が選択されてICチップTの位置の補正を行うことができるようになる。例えば、外部端子の間隔の狭いボールデバイスや衝撃に弱いWLCSPなどのICチップTには、高精度の位置決めが行なわれるべく、それらを撮像した撮像画像の処理の結果に基づいて駆動制御される補正機構45による位置の補正が行なわれるビジュアルアライメントによる位置決めがなされるようにする。一方、矩形状の4辺から外部端子が突き出ているQFPなどの外部端子の間隔が広いICチップTには、メカニカルな相対移動により高速な位置決め動作が可能な倣い機構44による位置決めがなされるようにする。すなわち、電子部品検査装置としては多種の電子部品の検査に対応可能になるとともに、各電子部品に適合する位置決め動作をそれぞれ適切に選択することにより検査工程に要するリードタイムの低減などを図ることができるようになる。
(2)また、把持部34の位置を各々補正することのできる補正機構45と倣い機構44との切り替がクラッチ部60によりのみ行われるようにしたので、それら補正機構45と倣い機構44との切り替がきわめて簡単とされた。これにより、従来は位置を補整する
方法の変更に伴い必要とされていた検査用ヘッドの交換作業や調整作業が不要とされるようになり、それら作業に伴う非稼働時間が短縮されて電子部品検査装置における電子部品の検査効率が向上されるようになる。
(3)さらにこのようなクラッチ部60は、検査用ヘッド22の把持部34にICチップTが把持されている状態であれ上記切り替えを行うことを可能とした。すなわち、検査用ヘッド22によるICチップTの位置決めが、供給装置・排出装置としての各シャトル16,17から供給されたICチップTを取得する供給動作や各シャトル16,17へICチップTを排出する排出動作、検査用ソケット23Aに配置する配置動作においてクラッチ部60の切換えにより迅速かつ容易に変更されるようになる。例えばICチップTの検査用ソケット23Aへの配置のときにはクラッチ部60を結合状態にさせてビジュアルアライメントを行い、ICチップTの供給・排出動作のときにはクラッチ部60を分離状態にさせて倣い機構44による位置決めを行うようにすることができる。その結果、電子部品検査装置としての電子部品の検査効率が向上されるのみならず、前記供給装置や前記排出装置、検査用ソケットの構造の自由度が高められるようになり電子部品の検査に応じた同検査装置の最適化が図られるようになる。
(4)第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とを可動部54により結合及び分離させるようにした。これにより簡単な構造が望まれる検査用ヘッド22に対して補正機構45と把持部34との結合及び分離の切り替えを可能とするとともにその切り替えのためのクラッチ部60の構造も簡単にすることができるようになる。
(5)クラッチ部60の結合状態と分離状態とを切り替える可動部54が、圧縮ばね75による付勢力とその付勢力に抗するシリンダ53のピストン54bによる駆動力とからなる簡単な構造により構成された。これにより電子部品検査装置の実現が容易にされる。
(6)センタリング部70を設けた。これによりクラッチ部60が分離状態においては倣い機構44により自由な移動ができるようにされる把持部34がそこに外力の加えられていないときには一定の中心位置に保持されるようになり、倣い機構44による倣い動作の安定性が高められる。
(7)センタリング部70は、テーパ状の凹部72と球体74とから構成された。これにより、簡単な構造が望まれる検査用ヘッド22及び把持部34にセンタリング部70を比較的容易に設けることができるようになる。これにより電子部品検査装置の実現が容易にされる。
(8)第1クラッチプレート64にはテーパ面65tが設けられ第2クラッチプレート62には傾斜面62tが設けられ、クラッチ部60の結合状態のときに傾斜面62tにテーパ面65tが係合されるようにした。これにより第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62との中心位置がずれて接触されるようなときであれ中心位置のずれが傾斜面62tとテーパ面65tとの係合により補正されるようになり結合状態が適正とされその安定性も向上される。
(9)係合凸部66と係合凹部63とから構成される凹凸係合機構による芯出しを行うようにした。これにより分離状態の間などに第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62との相対位置がずれたような場合であれ、その相対位置のずれが第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とが結合するときにテーパ面65tなどによる補正に加えさらに芯出されて高い精度で補正されて結合されるようになる。これによりクラッチ部60による結合状態がより適切に行われるようになる。
(10)クラッチ部60を結合状態にさせたときに検査用ヘッド22に対してICチップTが予め設定された位置に把持されていない場合であっても、そのICチップTの位置をデバイス認識処理に基づいて予め設定された所定の位置に補正機構45により移動させる補正をするようにした。これにより、クラッチ部60を有する電子部品検査装置における電子部品の配置位置の精度が高められるようになる。
(11)検査用ヘッド22がクラッチ部60を分離状態にさせてICチップTをその供給装置から取得した場合であれ、同ICチップTを検査用ソケット23Aへ配置するときにはクラッチ部60を結合状態にさせて、すなわち補正機構45による補正を可能として配置させることができるようにした。これにより検査用ヘッド22は、検査用ソケット23Aに対する位置決め方法と、ICチップTの供給装置や排出装置に対する位置決め方法とが異なる場合にも対応することができるようになり、電子部品検査装置に設置される検査用ソケット、供給装置及び排出装置に対する位置決め方法の自由度が高められ、電子部品検査装置の実現が容易にされる。
(12)検査用ヘッド22がクラッチ部60を結合状態にさせてICチップTをその供給装置から取得した場合であれ、同ICチップTを検査用ソケット23Aへ配置するときにはクラッチ部60を分離状態にさせる。そして、ICチップTを倣い機構44のその倣い機能を能動にさせて検査用ソケット23A側の位置決めピン23pにピン受け部34hの把持部34が案内される位置にメカニカルに配置させることができるようにした。これによっても検査用ヘッド22は、検査用ソケット23Aに対する位置決め方法と、ICチップTの供給装置や排出装置に対する位置決め方法とが異なる場合にも対応することができるようになり、電子部品検査装置に設置される検査用ソケット、供給装置及び排出装置に対する位置決め方法の自由度が高められ、電子部品検査装置の実現が容易にされる。
(13)前記検査用ヘッド22は、押圧装置43によりICチップTを検査圧にて検査用ソケット23Aに押圧するようにした。これにより、検査用ヘッド22が検査用ソケット23AにICチップTを検査に好適な検査圧にて押圧させて、ICチップTと検査用ソケット23Aとの検査に好適な電気的な接続状態を確保させることができる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、押圧装置43は、空気シリンダにより押圧力を生じさせるようにしたが、これに限らず、押圧装置は押圧力を、その他の駆動源、例えば油圧などにより生じさせるようにしても、アクチュエータにより生じさせるようにしてもよい。これにより、検査用ヘッドに適用される押圧装置の自由度が高められるようになる。
・上記実施形態では、画像処理手段は、第1カメラ28Aと第2カメラ28Bとそれらにそれぞれ対応する第1カメラ制御回路CC1と第2カメラ制御回路CC2とを有していたが、画像処理手段を構成するカメラとその制御装置の数はそれぞれ1つでも複数でもよい。これによりこのような電子部品検査装置に用いられる画像処理手段の自由度が高められる。
・上記実施形態では、制御装置80には画像処理用の画像プロセッサと画像メモリとが備えられたが、制御装置のCPUがRAMをデータメモリとして用いて画像処理を行ってもよい。これにより、制御装置に用いられるコンピュータの自由度が高められる。
・上記実施形態では、第1クラッチプレート64の係合凸部66と第2クラッチプレート62の係合凹部63は中心位置に設けられた。しかしこれに限らず、係合凸部と係合凹部と(凹凸係合機構)は中心位置になくてもよい。そうすれば、係合凸部と係合凹部の係合により第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とが所定の回転角度によ
り嵌合されるようにもなる。また、上記実施形態では、凹凸係合機構は1つであったが、複数あってもよい。そうすればより高い精度による芯出がなされ結合されるようになる。これによりクラッチ部による結合状態がより適切に行われるようになる。
・上記実施形態では、第1クラッチプレート64と第2クラッチプレート62とは円形であったが、これに限らず、第1クラッチプレートと第2クラッチプレートの形状は他の形状、例えば楕円形や多角形でもよい。そうすれば分離状態の間などに第1クラッチプレートと第2クラッチプレートとの相対的な向きがずれたような場合であれ、それら第1クラッチプレートと第2クラッチプレートとが接触するときにはそれら楕円形や多角形が一致する向きとなるように矯正されて接触されるようになる。これにより、第1クラッチプレートと第2クラッチプレートとの間に生じた相対的する向きのずれが自動的に所定の位置関係になるように修正されて結合動作がなされるようになる。
・上記実施形態では、第1クラッチプレート64にはテーパ面65tが第2クラッチプレート62には傾斜面62tが形成されていたが、第1クラッチプレートにはテーパ面がなく第2クラッチプレート62には傾斜面がなくてもよい。テーパ面と傾斜面がなくとも、クラッチ受け部に第2クラッチプレートが嵌合されることによりクラッチ部は結合状態となる。これにより、クラッチ部の構造が簡単になる。
・上記実施形態では、センタリング部70は、テーパ状の凹部72と球体74とから構成されたが、センタリング部の構成はこれに限られない。すなわち、把持部の中心位置を受けプレートの中心位置に自動的にあわせるような構造であればよく、例えばテーパ状の凹部72に受けプレート42の上面に形成した凸部を係合させるような構造でもよい。これによりセンタリング部の構造の自由度が高められ、電子部品検査装置の実現が容易にされる。
・上記実施形態では、可動部54は圧縮ばね75により下方に付勢されたが、可動部は下方に付勢されるものであれば例えばゴムなどを用いてもよく、下方に付勢するための構造や弾性部材はどのようなものでもよい。
・上記実施形態では、可動部54は空気圧によりピストン54bが移動されたが、可動部の駆動方法は、可動部が上下動するものであれは、モータや油圧などその他の駆動源を用いた駆動方法でもよい。これにより可動部の駆動方法の自由度が高められる。
10…ICハンドラ、11…ベース、12…安全カバー、13…高温チャンバ、14…供給ロボット、15…回収ロボット、16…第1シャトル、16A…ベース部材、17…第2シャトル、17A…ベース部材、18…トレイ、20…供給側ロボットハンドユニット、21…回収側ロボットハンドユニット、22…検査用ヘッド、23…検査部、23A…検査用ソケット、23B…ソケットマーク支持部、23h…開口部、23p…位置決めピン、23Bm…ソケットマーク、24A…第1のレール、24B…第2のレール、25…チェンジキット、26…ポケット、27…チェンジキット、28A…画像処理手段を構成する第1カメラ、28B…画像処理手段を構成する第2カメラ、29…ハンドカメラ、31…水平移動部、32…垂直移動部、33…デバイスマーク支持部、33m…デバイスマーク、34…把持部、34h…ピン受け部、35…吸着部、40…上部支持体、40A…垂直部、40B…水平部、40h…貫通穴、41…連結柱、42…受けプレート、43…押圧装置、43P…ピストン、44…倣い機構、44A…円筒空間、44B…ベアリング、44P…支持プレート、45…補正機構、45θ…θ補正部、45XY…XY補正部、46A…摺動レール受け、46B…摺動レール、47…回動補正部、49…部品位置調整機構、50…アクチュエータ部、50AC…アクチュエータ、51…側筒部、52…第1の閉塞部材、52h…連結柱孔、53…シリンダ、53a…天井面、53b…底面、53ha…上部支柱孔、53hb…下部支柱孔、54…可動部、54a…支柱、54b…ピストン、55…パッキン、60…クラッチ機構としてのクラッチ部、61…支持体、62…第2クラッチプレート、62t…傾斜面、63…係合凹部、64…第1クラッチプレート、64h…支持体挿通孔、65…クラッチ受け部、65a…内側面、65b…底面、65t…テーパ面、66…係合凸部、67…外筒部、70…センタリング機構としてのセンタリング部、71…支持プレート、72…凹部、73…収容部、74…球体、75…圧縮ばね、80…制御装置、T…ICチップ、C1〜C6…コンベア、FX…X軸フレーム、M1…X位置モータ、M2…Y位置モータ、M3…θ位置モータ、MY…Y軸モータ、MZ…Z軸モータ、FY1…第1のY軸フレーム、FY2…第2のY軸フレーム。