JP5185461B1 - エアコン室外機用冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷房時の電力消費量を節減し、電気料金が節約することが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置を構成する第1貯水槽3は、第1貯水空間300と、排水孔36とを有し、室外機本体1の天面部13上に配置される。排水孔36は、底部33に開口し、第1貯水空間300に通じている。第2貯水槽9は、第2貯水空間94を有し、天面部13以外の場所に配置され、第1貯水槽3と通水的に接続されている。冷却部4は、基体部41と、保水部42とを有し、吸気口12の側に取り付けられる。保水部42は、多孔質材料でなり、基体部41に取り付けられ、通気孔43を有している。透水シート5は、多孔質材料でなり、上面が排水孔36と向かい合い、且つ、底部33外面に直接接触する関係で天面部13に載置され、一端側が吸気口12の側において保水部4と接触する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアコン室外機用冷却装置に関する。
家庭用電気機械器具(家電製品)の普及に伴い、一般家庭の電力消費量は年々増加の一途を辿っており、現在では総電力消費量の約3割を一般家庭が占めているといわれている。他方、東日本大震災を契機として電力供給力不足が深刻な社会問題となっており、改めて節電の重要性が見直されている。
一般家庭における節電を実現しようとした場合、最初に検討されるべき家電製品の1つは、空気調和機、いわゆるエアコンである。特に、冷房のため電力消費量が飛躍的に高まる夏季の日中において、在宅世帯の全電力消費量の約半分をエアコンが占めているから、一般家庭における節電を効率的に達成するには、まずエアコンの節電が実現されなければならない。
上述したエアコンに係る節電技術について、例えば特許文献1には、エアコンを構成する室外機本体の天面部上に貯水槽を設置し、室外機本体の吸気口側に保水布を配置し、その保水布の上端を持ち上げて貯水槽に出し入れすることにより、保水布に冷却水を供給する冷却装置が開示されている。
しかし、特許文献1記載の冷却装置では、保水布を貯水槽に出し入れするために、小型モータなどの駆動機構が必要となるから、その分だけコスト高を招く。
また、特許文献1の冷却装置は、保水布を吸気口に吸い込ませ、熱交換器に接触させるものであるから、保水布が吸気口を塞ぎ、必要な量の外気を熱交換器に供給できない不具合が生じる。しかも、保水布を熱交換器の表面に均等に接触させることは難しく、冷却効果が不安定となる。従って、安定した節電効果を得ることができない。
さらに、特許文献1記載の冷却装置では、以下の点で新たな問題も生じる。すなわち、特許文献1記載の冷却装置において、その冷却効果の持続時間は、冷却水の貯水量に比例するから、貯水槽の大容量化が求められるところ、貯水槽を室外機本体の天面部上にのみ設ける構成では、充分な設置スペースを確保することが困難であり、貯水槽の大容量化の要請に応えることができない。
また、この種の室外機本体は、居住スペースを確保するため、隣家との間の路地部分や、ベランダの隅など狭いスペースに設置される傾向にある。その結果、そもそも天面部上に、大容量の貯水槽を設置できるだけのスペースを確保することができない場合もある。特に、特許文献2記載の据付装置などによって、室外機本体が、建物の外壁面に掛け止められている場合、地震や台風などによる落下事故防止の観点からも、天面部上に大容量の貯水槽を設置することはできない。
特開2010−216709号公報 特開平11−118210号公報
本発明の課題は、冷房時の電力消費量を節減し、電気料金を節約することが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することである。
本発明のもう1つの課題は、貯水槽の大容量化の要請に応えることが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することである。
本発明の更にもう一つの課題は、狭い場所に安全に設置することが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することである。
上述した課題を解決するため、本発明は、4つの態様に係るエアコン室外機用冷却装置を開示する。以下、個別に説明する。
1.本発明の第1態様に係るエアコン室外機用冷却装置
本発明の第1態様に係る冷却装置は、第1貯水槽と、第2貯水槽と、冷却部と、透水シートとを含む。第1貯水槽は、第1貯水空間と、排水孔とを有し、透水シートを挟んで室外機本体の天面部上に配置される。排水孔は、貯水槽の底部に開口し、貯水空間に通じている。第2貯水槽は、第2貯水空間を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、第1貯水槽と通水的に接続されている。
冷却部は、基体部と、保水部とを有し、室外機本体の吸気口の側に取り付けられる。保水部は、多孔質材料でなり、基体部に取り付けられ、通気孔を有している。透水シートは、多孔質材料でなり、上面が排水孔と向かい合い、且つ、第1貯水槽の底部外面に直接接触する関係で天面に載置され、一端側が吸気口の側において保水部と接触する。
まず、本発明の第1態様に係る冷却装置の冷却効果は、室外機本体の吸気口の側に取り付けられる冷却部によって奏される。すなわち、冷却部を構成する保水部は、多孔質材料でなり、通気孔を有しているから、保水部に冷却水が供給されているとき、通気孔を通って吸気口に吸い込まれる空気の熱が、冷却水の気化熱として奪われ、冷却される。その結果、冷却された吸込空気と、熱交換器との間で行われる熱交換の効率が向上し、その運転に伴う室外機本体の電力消費量が低減される。従って、電気料金を節約することが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することができる。
次に、本発明の第1態様に係る冷却装置において、保水部に冷却水を供給するための供給経路は、第1貯水槽と、透水シートとによって構成されている。詳細に説明すると、第1貯水槽は、底部に貯水空間に通じる排水孔を有している。透水シートは、多孔質材料でなり、一端側が排水孔と向かい合う関係で第1貯水槽の底部外面に配置され、他端側が保水部と接触する。この構造によると、第1貯水槽に冷却水を貯水されているとき、冷却水は、重力などにより排水孔から透水シートに排出され、排出された冷却水は毛細管現象により透水シートに広く染み渡りながら、透水シートと保水部との接触部分を通じて、保水部に供給されることとなる。
本発明の第1態様に係る冷却装置は、上述した供給経路に係る構成を有することにより、供給経路の始点となる第1貯水槽に冷却水が貯水されている限り、第1貯水槽から、中継点となる透水シートを介し、終点である保水部へ自動的に冷却水を供給し続けることができる。従って、製造コスト、施工コスト、及び、維持管理コストを低減することが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することができる。
本発明に係る冷却装置は、上述した冷却効果に係る基本的構成、及び、冷却水の供給経路に係る基本的構成に加え、第2貯水槽を有する点に特徴の一つがある。
すなわち、従来、この種の冷却装置において、その冷却効果の持続時間は、冷却水の貯水量に比例するから、貯水槽の大容量化が求められるところ、貯水槽を室外機本体の天面部上にのみ設ける構成では、充分な設置スペースを確保することが困難であり、貯水槽の大容量化の要請に応えることができないという問題が生じる。
また、この種の室外機本体は、居住スペースを確保するため、隣家との間の路地部分や、ベランダの隅など狭いスペースに設置される傾向にある。その結果、そもそも天面部上に、大容量の貯水槽を設置できるだけのスペースを確保することができない場合もある。特に、室外機本体が、建物の外壁面に掛け止められている場合、地震や台風などによる落下事故防止の観点からも、天面部上に大容量の貯水槽を設置することはできないという問題が生じる。
上述した貯水槽の大容量化に係る問題を解決するため、本発明の第1態様に係る冷却装置は、第2貯水槽を有している。第2貯水槽は、第2貯水空間を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、第1貯水槽と通水的に接続されている。この構成によると、第2貯水空間の容量分だけ、冷却水の総量を増加させることができる。その結果、天面部上に大容量の貯水槽を設置できるだけのスペースがない場合でも、貯水槽の大容量化の要請に応えることができる。
また、室外機本体の天面部以外の場所に配置される第2貯水槽を有することにより、第1貯水槽の容量を維持した状態で冷却水の総量を増加させること、又は、第2貯水空間の容量分だけ第1貯水槽を小型化することが可能となる。従って、地震や台風などによる落下事故が回避するとともに、狭い場所に安全に設置することが可能な却装置を提供することができる。
2.本発明の第2態様に係るエアコン室外機用冷却装置
本発明の第2態様に係る冷却装置は、支持台と、第1貯水槽と、第2貯水槽と、冷却部と、透水シートとを含む。支持台は、一方向に沿って高さが低くなる傾斜面を有し、傾斜面の最低端が室外機本体の吸気口の側を向く関係で、室外機本体の天面部に取り付けられる。
第1貯水槽は、第1貯水空間と、排水孔とを有し、透水シートを挟んで傾斜面上に配置される。排水孔は、貯水槽の底部に開口し、貯水空間に通じている。第2貯水槽は、第2貯水空間を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、第1貯水槽と通水的に接続されている。
冷却部は、基体部と、保水部とを有し、室外機本体の吸気口の側に取り付けられる。保水部は、多孔質材料でなり、基体部に取り付けられ、通気孔を有している。透水シートは、多孔質材料でなり、上面が排水孔と向かい合い、且つ、第1貯水槽の底部外面に直接接触する関係で傾斜面に載置され、一端側が傾斜面の最低端の側において保水部と接触する。
上述したように、本発明の第2態様に係る冷却装置は、第1態様に係る冷却装置の基本的構成を全て含むから、上述した作用効果を全て奏することができる。
さらに、本発明の第2態様に係る冷却装置は、支持台を有している点に特徴がある。すなわち、支持台は、一方向に沿って高さが低くなる傾斜面を有している。第1貯水槽は、傾斜面上に配置され、透水シートは、第1貯水槽の底部外面と、傾斜面との間に配置されている。この構成によると、保水部に冷却水を供給するための供給経路において、透水シートにおける冷却水の移動に対し、既に説明した毛細管現象以外に、傾斜面の高低差に基づく重力が働くから、冷却水の移動効率が向上する。その結果、冷却部に対して円滑に冷却水が供給されるから、冷房時の電力消費量の節減をより効率的に達成することができる。
3.本発明の第3の態様に係るエアコン室外機用冷却装置
本発明の第3の態様に係る冷却装置は、第1貯水槽と、第2貯水槽と、冷却部と、透水シートとを含む。第1貯水槽は、第1貯水空間と、排水孔とを有し、透水シートを挟んで室外機本体の天面部上に配置される。排水孔は、第1貯水槽の底部に開口し、貯水空間に通じている。第2貯水槽は、第2貯水空間を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、第1貯水槽と通水的に接続されている。冷却部は、基体部と、保水部とを有し、室外機本体の排気口の側に取り付けられる。保水部は、多孔質材料でなり、基体部に取り付けられ、通気孔を有している。透水シートは、多孔質材料でなり、上面が排水孔と向かい合い、且つ、第1貯水槽の底部外面に直接接触する関係で天面に載置され、一端側が排気口の側において保水部と接触する。
第3の態様に係るエアコン室外機用冷却装置は、第1態様に係るエアコン室外機用冷却装置の基本的構成を全て含むから、上述した作用効果を全て奏することができる。
さらに第3の態様に係るエアコン室外機用冷却装置は、冷却部が室外機本体の排気口の側に取り付けられる点に特徴がある。すなわち、この種のエアコンでは、その熱交換作用により室外機から高温の空気(排熱風)が放出される。この排熱風は、ヒートアイランド現象の一因となるなど環境に悪影響を及ぼすという問題が生じる。また、排熱風によって室外機に吸引されるべき周囲の空気が暖められることで、室外機の熱交換効率が低下するという悪循環も生じさせる。
上述した排熱風に係る問題を解決するため、第3の態様に係る冷却装置の冷却部は、室外機本体の排気口を覆っている。この構成によると、室外機本体の熱交換作用により排気口から放出された高温の空気(排熱風)は、通気孔を通るとき、保水部における冷却水の気化潜熱により冷却されるから、環境への悪影響を低減することができる。また、排熱風を冷却することにより、排熱風によって室外機に吸引されるべき周囲の空気が暖められる不具合が回避されるから、室外機の熱交換効率を向上させることができる。
さらに、冷却部の冷却効果は、貯水槽から冷却水が排出されている限り、自動的かつ継続的に奏されるから、室外機本体内に吸引されるべき周囲の空気が自動的かつ継続的に冷却される。その結果、吸入空気と熱交換器との間で行われる熱交換の効率が改善され、その運転に伴う室外機本体の電力消費量が低減される。従って、冷房時の電力消費量を節減することが可能な冷却装置を提供することができる。
4.本発明の第4の態様に係るエアコン室外機用冷却装置
本発明の第4の態様に係る冷却装置は、支持台と、第1貯水槽と、第2貯水槽と、冷却部と、透水シートとを含む。支持台は、一方向に沿って高さが低くなる傾斜面を有し、傾斜面の最低端が室外機本体の排気口の側を向く関係で、室外機本体の天面部に取り付けられる。
第1貯水槽は、第1貯水空間と、排水孔とを有し、透水シートを挟んで傾斜面上に配置される。排水孔は、貯水槽の底部に開口し、貯水空間に通じている。第2貯水槽は、第2貯水空間を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、第1貯水槽と通水的に接続されている。
冷却部は、基体部と、保水部とを有し、室外機本体の排気口の側に取り付けられる。保水部は、多孔質材料でなり、基体部に取り付けられ、通気孔を有している。透水シートは、多孔質材料でなり、上面が排水孔と向かい合い、且つ、第1貯水槽の底部外面に直接接触する関係で傾斜面に載置され、一端側が傾斜面の最低端の側において保水部と接触する。
本発明の第4の態様に係る冷却装置は、第3の態様に係る冷却装置の基本的構成を全て含むから、上述した作用効果を全て奏することができる。
さらに本発明の第4の態様に係るエアコン室外機用冷却装置は、支持台を有している点に特徴がある。すなわち、支持台は、一方向に沿って高さが低くなる傾斜面を有ている。貯水槽は、傾斜面上に配置され、透水シートは、第1貯水槽の底部外面と、傾斜面との間に配置されている。この構成によると、保水部に冷却水を供給するための供給経路において、透水シートにおける冷却水の移動に対し、既に説明した毛細管現象以外に、傾斜面の高低差に基づく重力が働くから、冷却水の移動効率が向上する。その結果、冷却部に対して円滑に冷却水が供給され、冷房時の電力消費量を節減することができる。
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)冷房時の電力消費量を節減し、電気料金を節約することが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することができる。
(2)貯水槽の大容量化の要請に応えることが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することができる。
(3)狭い場所に安全に設置することが可能なエアコン室外機用冷却装置を提供することができる。
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
本発明の一実施形態に係るエアコン室外機用冷却装置の正面図である。 図1の冷却装置の分解斜視図である。 図2の第1貯水槽の分解断面図である。 図2に示した冷却部の正面図である。 図4の冷却部の拡大断面図である。 図1乃至図5に示した冷却装置の使用状態を示す正面図である。 図6の一部を省略して示す拡大断面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る冷却装置の分解斜視図である。 図8の冷却装置の使用状態を示す拡大断面図である。 本発明のさらにもう一つの実施形態に係る冷却装置の正面図である。 図10の冷却装置の分解斜視図である。 図10及び図11の冷却装置の使用状態を示す拡大断面図である。
図1乃至図12において同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。また、図1乃至図12の説明において、室外機本体の奥行き方向と、冷却部の厚み方向とは、それぞれ一致するから、全て符号Tに統一して示す。
本発明に係るエアコン室外機用冷却装置は、室外機本体と組み合わせて用いられ、エアコン室外機を構成する。本明細書において「エアコン」とは、「エアコンディショナ」の略であり、日本語では「空気調和機」と総称されるものであって、室内の空気の温度および湿度を調節する空調機器をさす。
図1及び図2の実施形態は、室外機本体1と、冷却装置2とを含み、室外機本体1は、周知のエアコン室内機(図示しない)と冷媒配管を通じて接続される。室外機本体1は、当該技術分野において周知の構成部分であるから、以下、冷却装置2と関連する範囲で、簡単に説明する。
まず、図1及び図2の室外機本体1は、ハウジング10と、熱交換器11とを有している。ハウジング10は、収納空間100と、収納空間100に通じる吸気口12とを有している。
ハウジング10は、直方体状であって、天面部13と、天面部13を構成する4辺のそれぞれから、高さ方向Hに沿って立ち下がる側面部14とを有している。収納空間100は、ハウジング10の内部において、天面部13の内面と、側面部14の内面とによって画定されている。吸気口12は、4つの側面部14の少なくとも1つに設けられている。図1及び図2からは必ずしも明らかではないが、吸気口12が設けられている側面部14の反対側の側面部には、吸気口12と向かい合う関係で、収納空間100に通じる排気口が設けられている。
熱交換器11は、収納空間100において、吸気口12と向かい合う位置に収納されている。図1及び図2からは必ずしも明らかではないが、熱交換器11は、吸気口12と、排気口との間に配置されており、さらに熱交換器11と、排気口との間には送風ファンが配置されている。この構成により、送風ファンを駆動させたとき、吸気口12に吸い込まれた外気は、熱交換器11に接触した後、送風ファンを通じて、排気口から外部に排出される。
次に、図1及び図2の冷却装置2は、第1貯水槽3(図3参照)と、冷却部4(図4、図5参照)と、透水シート5と、第2貯水槽9とを含む。
第1貯水槽3は、槽本体部31と、蓋部32とを有している。第1貯水槽3に係る図3を参照すると、槽本体部31は、貯水空間300と、底部33と、側面部34と、開口部35と、第1排水孔36と、第2排水孔37とを有している。貯水空間300は、底部33の内面と、側面部34の内面とによって画定されている。開口部35は、高さ方向Hでみて底部33の内面と向かい合う位置において、貯水空間300に開口している。
第1排水孔36は、底部33に開口し、貯水空間300に通じている。図3からは明らかではないが、第1排水孔36は、複数であって、底部33において幅方向Wに所定の間隔を隔てて、断続的に整列配置されている。第1排水孔36の口径(内寸法)は、貯水空間300の容積と、排水量との相対関係に基づいて適宜調節される。一例として、貯水空間300の容積が16リットル程度のとき、第1排水孔36の口径は0.2〜1.0mm程度である。
第2排水孔37は、側面部34において、高さ方向Hでみた底部33の側に開口し、貯水空間300に通じている。第2排水孔37は、複数であって、側面部34において幅方向Wに間隔を隔てて、断続的に整列配置されている。第2排水孔37の口径(内寸法)は、第1排水孔36と同程度の口径とすることもできるし、又、第1排水孔36の口径よりも大きな口径とすることもできる。
蓋部32は、開口部35に着脱可能に取り付けられ、開口部35を覆うことにより、貯水空間300を密閉している。開口部35に蓋部32が設けられ、蓋部32により貯水空間300が密閉されている構成によると、貯水空間300に冷却水(7)を貯水したとき、自然蒸発による冷却水(7)の減少を回避し、冷却装置2の作動期間を延ばすことができる。蓋部32は、面内に冷却水(7)を注入するための給水口を有し、給水口にはキャップ38が取り付けられている。
第1貯水槽3の内面において、第1排水孔36の開口端、及び、第2排水孔37の開口端は、目詰まり防止用フィルタ39によって覆われている。この構造によると、第1貯水槽3に貯留されている冷却水(7)に塵埃などが混入した場合でも、第1、第2排水孔36、37を通じて、冷却水(7)を円滑に排出し続けることができる。
第2貯水槽9は、第2貯水空間920を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、第1貯水槽3と通水的に接続されている。図1及び図2の第2貯水槽9は、外槽部91と、内槽部92と、蓋部93と、配水管95とを有し、室外機本体の側面の側の設置面に配置されている。
外槽部91は、第2貯水槽9のハウジング部分であり、高さ方向Hでみて上側に、開口部97を有している。開口部97は、外槽部91の内部空間を外部に開放している。蓋部93は、開口部97に着脱可能に取り付けられている。
内槽部92は、内部に冷却水を貯めるための第2貯水空間920を有し、開口部97を通じて外槽部91の内部へ案内され、外槽部91に出し入れ可能に収納されている。図1及び図2の内槽部92は、端的に言えば石油ストーブの給油タンクと同様の構造を有し、底面側に、開閉弁(図示しない)内蔵の送水口94を有する。他方、外槽部91は、内槽部92の送水口94と対応する部位に、送水口94を受け入れる受口96が脱着自在に嵌め込まれている。受口96は、中央に送水口94に内蔵の開閉弁を押上げる操作ピン(図示しない)が突設される。
配水管95は、第2貯水空間920に貯められた冷却水を外部に供給するためのものであり、受口96に接続されている。配水管95は、第2貯水空間920と、第1貯水槽3の貯水空間(300)とを通水的に接続している。すなわち、第1貯水槽3と、第2貯水槽9とは、配水管95によって通水的に接続され、一体的に連続する大容量の貯水槽(3、9)を構成している。
内槽部92は、外槽部91内に収納されたとき、送水口94が受口96に挿着される。受口96には操作ピンが突設されており、送水口94の開閉弁が押上げられるため、送水口94が開口状態となり、第2貯水空間920の冷却水が受口96を通過し、さらに配水管95を通じて第1貯水槽3へ送り出される。
送水口94は、受口96に対して、固定式でも、脱着可能なねじ込み式のいずれでも良い。また、図1及び図2に示すように第2貯水槽9が、第1貯水槽3よりも低い位置に取り付けられる場合、第2貯水槽9は、送水ポンプ(図示しない)によって、第2貯水空間920の冷却水を第1貯水空間300に供給する。送水ポンプは、この種の水供給システムにおいて周知のものを用いることができる。
図4及び図5の冷却部4は、基体部41と、保水部42とを有している。保水部42は、多孔質材料でなり、基体部41に取り付けられ、通気孔43を有している。基体部41は、内部に格子状部分を有する枠体であって、棒状部材を複数交差させ、それぞれの交点で結合した構造を有している。この構造により、基体部41は、高さ方向Hに延びる縦格子部44と、高さ方向Hに交差する幅方向Wに延びる横格子部45とを有し、縦格子部44と、横格子部45とによって囲まれた部分の内部に、厚み方向Tに貫通する貫通部46が形成されている。
基体部41は、保水部42の骨(支持材)となるものであり、耐腐食性、耐候性、耐衝撃性などの観点から、アルミ、ステンレスなどの金属材料を主成分とする棒状部材を用いて構成することができる。また、上述した観点に加え、更に材料コスト、加工コストなどの観点から、合成樹脂材料を用いて構成することもできる。
保水部42は、多孔質材料でなり、基体部41に取り付けられている。すなわち、保水部42は、合成樹脂材料を主成分とする多孔質構造体、又は、スポンジ構造体である。用いられる合成樹脂材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)、スチロール樹脂(PS)、PET樹脂(PET)などをあげることができる。
ここで、保水部42は、多孔質構造を有することにより、各孔の空間内に水を吸収し、吸収した水を一定期間貯めた後、外部からの圧力や重力、熱、水の表面張力などに応じて排出することができる。すなわち、保水部42における「保水」とは、水を吸収し、好ましくは吸収した水を一定期間貯めた後、排出することができる機能を意味するものである。
保水部42は、貫通部46の開口端縁を構成する基体部41、すなわち縦格子部44、及び、横格子部45のそれぞれを中心線材として、その周囲に一定の厚みで形成されている(図5参照)。
保水部42は、通気孔43を有している。通気孔43は、基体部41、及び、保水部42を、厚み方向Tに貫通している。違う言葉で表現すれば、通気孔43は、貫通部46の開口端縁を構成する基体部41に形成されている保水部42の内側表面を開口端縁としており、通気孔43の開口端縁は、貫通部46の開口端縁を縮小した相似形となっている。すなわち、通気孔43の基本的な構成は、貫通部46を構成する基体部41の端縁に基づいており、この基体部41の端縁を中心線材とする保水部42によって最終的な開口端が決定される。
冷却部4は、ハウジング10の外面に取り付けられ、取り付けられた状態で吸気口12を覆っている。図1及び図2の冷却部4は、一対の掛止フック6、6によって側面部14に取り付けられ、取り付けられた状態で吸気口12を覆っている。冷却部4は、基体部41の上端縁部分のみが、一対の掛止フック6、6によって吊り下げられる構造となっているが、側面部14に対する冷却部4の取り付け構造は、安定性、施工効率などの観点から適宜変更することができる。
再び図1乃至図5を参照して、冷却装置の基本構成を説明する。透水シート5は、多孔質材料でなり、折り曲がり部分を挟んで一端側の面領域が第1排水孔36と向かい合う関係で第1貯水槽3の底部33の外面に配置され、他端側の面領域が保水部42と接触する。透水シート5は、保水部42と同一の構造を有することができる。すなわち、透水シート5は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)、スチロール樹脂(PS)、PET樹脂(PET)など合成樹脂材料を主成分とし、多孔質構造を有するシート状体、または、スポンジ構造を有するシート状体である。
透水シート5は、第1貯水槽3から、保水部42への冷却水(7)の供給経路を構成する部材である。透水シート5の「透水」とは、水を吸収し、排出することができる機能を意味するものである。従って、透水シート5としては、例えば、天然繊維または合成繊維を用いた織布、もしくは同繊維で構成した不織布を用いることもできる。
図1乃至図5を参照して説明したエアコン室外機は、冷却装置2を有する点に特徴の一つがあり、更に言えば図1乃至図2の冷却装置2は、保水部42に冷却水(7)を供給するための供給経路に特徴の一つがある。そこで、次に図6及び図7を参照し、冷却装置2における冷却水(7)の供給経路について説明する。
まず、第1貯水槽3と、透水シート5との相関関係について説明すると、図6及び図7に示すように、第1貯水槽3と、透水シート5とが、上述した順序で、室外機本体1の天面部13に積み重ねられている。
透水シート5は、天面部13の上に設置され、天面部13上から吸気口12のある側面部14に垂れ下がるように取り付けられており、側面部14に垂れ下がる部分の内面が、保水部42の外面と重なって面接触することにより、保水部42と通水的に接続されている。透水シート5と保水部42との面接触部分は、好ましくは通水可能な接触領域を残して相互に接着されている。
第1貯水槽3は、透水シート5を挟んでハウジング10の外面上に取り付けられている。より詳細に説明すると、第1貯水槽3は、底部33が透水シート5に向かい合う関係で、天面部13上に載置されている。第1貯水槽3は、転倒防止の観点からフックや紐など周知の固定具(図示しない)を用いて天面部13に固定されていることが好ましい。
次に、冷却装置2における冷却水(7)の供給経路について説明すると、供給経路の始点となる第1貯水槽3に冷却水7が貯水されている場合、冷却水7は、重力などにより第1排水孔36から透水シート5に排出される(図7参照)。この排出された冷却水7は、いわゆる毛細管現象により、第1排水孔36を中心として放射状に、透水シート5の内部に染み渡る。透水シート5に染み込んだ冷却水7の一部は、さらに透水シート5と保水部42との接触部分を通じ、保水部42に供給されることとなる。
上述した構造によると、第1排水孔36から排出された冷却水7は、透水シート5の内部に広範囲に染み渡ったあと、透水シート5と保水部42との接触部分を通じて保水部42に供給されることとなるから、第1排水孔36の開設位置および開設数にかかわらず、保水部42に対し広く、かつ、均一に冷却水7が供給される。
他方、第1貯水槽3は第2排水孔37を有しており、第2排水孔37からも冷却水7が透水シート5に排出される。第2排水孔37から透水シート5上に落下した冷却水7は、透水シート5の内部を通り、透水シート5と保水部42との接触部分を通じ、保水部42に供給されることとなる。
第2排水孔37は、猛暑の場合など、第1排水孔37からの排水量に対して冷却水7の蒸発量の方が多く、透水シート5が充分な量の冷却水7を保持しえない場合、透水シート5に対して冷却水7を補充する機能を有している。さらに言えば、図6に示すように、第2排水孔37は、正面からみて、縦格子部44を延長線上に設けられている。この構造によると、第2排水孔37から透水シート5上に落下した冷却水7は、透水シート5を最短距離で縦格子部44に形成された保水部42まで到達し、同保水部42に沿って、高さ方向Hに円滑に流動する。この縦格子部44に沿って流れる冷却水7は、横格子部45との交点で、横格子部45に形成された保水部42へ流動するから、冷却水7が蒸発しやすい猛暑の場合などであっても、保水部42の全体に対して効率的に冷却水7を供給することができる。
図6及び図7を参照して説明した供給経路を通じて、第1貯水槽3からの冷却水7が保水部42に供給され、保水部42において冷却水7が気化することにより、吸気口12に吸い込まれる外気が冷却(冷却水7の気化潜熱)され、冷却された外気が、吸気口12を通じて熱交換器11に供給される。その結果、外気と熱交換器11との間で行われる熱交換効率が向上し、その運転に伴う室外機本体1の電力消費量が低減される。
図1乃至図7の冷却装置2の基本的な冷却効果は、室外機本体1の吸気口12の側に取り付けられる冷却部4によって奏される。すなわち、冷却部4を構成する保水部42は、多孔質材料でなり、通気孔43を有しているから、保水部42に冷却水7が供給されているとき、通気孔43を通って吸気口12に吸い込まれる空気の熱が、冷却水7の気化熱として奪われ、冷却される。その結果、冷却された吸込空気と、熱交換器11との間で行われる熱交換の効率が向上し、その運転に伴う室外機本体1の電力消費量が低減される。従って、電気料金を節約することが可能な冷却装置を提供することができる。
次に、図1乃至図7の冷却装置2において、保水部42に冷却水7を供給するための供給経路は、第1貯水槽3と、透水シート5とによって構成されている。詳細に説明すると、第1貯水槽3は、底部33に貯水空間300に通じる第1排水孔36を有している。透水シート5は、多孔質材料でなり、一端側が第1排水孔36と向かい合う関係で第1貯水槽3の底部33外面に配置され、他端側が保水部42と接触する。この構造によると、第1貯水槽3に冷却水7を貯水されているとき、冷却水7は、重力などにより第1排水孔36から透水シート5に排出され、排出された冷却水7は毛細管現象により透水シート5に広く染み渡りながら、透水シート5と保水部42との接触部分を通じて、保水部42に供給されることとなる。図1乃至図7の冷却装置2は、上述した供給経路に係る構成を有することにより、供給経路の始点となる第1貯水槽3に冷却水7が貯水されている限り、第1貯水槽3から、中継点となる透水シート5を介し、終点である保水部42へ自動的に冷却水7を供給し続けることができる。従って、製造コスト、施工コスト、及び、維持管理コストを低減することが可能な冷却装置を提供することができる。
図1乃至図7の冷却装置2は、上述した冷却効果に係る基本的構成、及び、冷却水の供給経路に係る基本的構成に加え、第2貯水槽を有する点に特徴の一つがある。すなわち、従来、この種の冷却装置において、その冷却効果の持続時間は、冷却水の貯水量に比例するから、貯水槽(3)の大容量化が求められるところ、貯水槽(3)を室外機本体1の天面部13上にのみ設ける構成では、充分な設置スペースを確保することが困難であり、貯水槽(3)の大容量化の要請に応えることができないという問題が生じる。
また、この種の室外機本体1は、居住スペースを確保するため、隣家との間の路地部分や、ベランダの隅など狭いスペースに設置される傾向にある。その結果、そもそも天面部13上に、大容量の貯水槽(3)を設置できるだけのスペースを確保することができない。特に、室外機本体1が、建物の外壁面に掛け止められている場合、地震や台風などによる落下事故防止の観点からも、天面部13上に大容量の貯水槽(3)を設置することはできないという問題が生じる。
上述した貯水槽の大容量化に係る問題を解決するため、図1乃至図7の冷却装置2は、第2貯水槽9を有している。第2貯水槽9は、第2貯水空間94を有し、天面部13以外の場所に配置され、第1貯水槽3と通水的に接続されている。この構成によると、第2貯水空間94の容量分だけ、冷却水7の総量を増加させることができる。その結果、天面部13上に大容量の貯水槽(3)を設置できるだけのスペースがない場合でも、貯水槽の大容量化の要請に応えることができる。
また、天面部13以外の場所に配置される第2貯水槽9を有することにより、第1貯水槽3の容量を維持した状態で冷却水7の総量を増加させること、又は、第2貯水空間94の容量分だけ第1貯水槽3を小型化することが可能となる。従って、地震や台風などによる落下事故が回避するとともに、狭い場所に安全に設置することが可能な却装置を提供することができる。
冷却装置2を構成する第1貯水槽3、冷却部4、及び、透水シート5のそれぞれは、周知の基本的構成を有する室外機本体1と組み合わされるものであって、しかも室外機本体1を構成するハウジング10の外面(天面部13)に取り付けられるものであるから、既設のエアコン室外機に対して後付けして用いることが可能となる。従って、エアコン及び室外機本体を新しく買い換えることなく、現に使用している室外機本体1に追加して使用することにより、電気料金を低減することが可能な冷却装置を提供することができる。
また、冷却装置2を構成する第1貯水槽3、冷却部4、及び、透水シート5のそれぞれは、室外機本体1のハウジング10の外面に取り付けられるものであるから、冷却装置2が取り付けられた部分、すなわち室外機本体1の天面部13、及び、吸気口12側の側面部14への直射日光が遮られ、室外機本体1の内部の温度の上昇が抑制される。従って、室外機の熱交換効率を向上させることができる。
保水部42は、基体部41に取り付けられているから、吸気口12を覆うように冷却部4を取り付けたとしても、基体部41の重さや剛性によって、保水部42の設置姿勢が安定する。その結果、例えば、保水部42が吸気口12を塞ぐ不具合は生じない。従って、維持管理コストを低減することが可能なエアコン室外機を提供することができる。
図8は本発明のさらにもう一つの実施形態に係る冷却装置の分解斜視図、図9は図8の冷却装置の使用状態を示す拡大断面図である。図8及び図9の実施形態は、支持台8を含む以外は、図1乃至図7を参照して説明した実施形態と基本的に同一の構造を有している。以下、相違点となる支持台8を中心に説明する。
まず、図8及び図9の冷却装置2を構成する支持台8は、一方向に沿って高さが低くなる傾斜面80を有している。支持台8は、傾斜面80の最低端81が吸気口12の側を向く関係で、ハウジング10の上部の天面部13に載置されている。
次に、支持台8と、第1貯水槽3および透水シート5との相関関係について説明すると、図8及び図9に示すように、第1貯水槽3と、透水シート5と、支持台8とは、上述した順序で、室外機本体1の天面部13に積み重ねられている。
透水シート5は、傾斜面80の上に設置され、傾斜面80の最低端81から吸気口12のある側面部14に垂れ下がるように取り付けられており、側面部14に垂れ下がる部分の内面が、保水部42の外面と重なって面接触することにより、保水部42と通水的に接続されている。透水シート5と保水部42との面接触部分は、好ましくは通水可能な接触領域を残して相互に接着されている。
第1貯水槽3は、透水シート5を挟んで支持台80、及び、ハウジング10の外面上に取り付けられている。より詳細に説明すると、第1貯水槽3は、底部33が透水シート5に向かい合う関係で、支持台80、及び、天面部13上に載置されている。図8及び図9の支持台8は、一対の嵌合凸部82を有し、一対の嵌合凸部82は、奥行き方向Tでみた最低端81とは反対側の端縁付近において、傾斜面80から高さ方向Hに立ち上がっている。第1貯水槽3は、底部33に嵌合凸部82に対応する凹部を有し、傾斜面80上に配置された状態で、嵌合凸部82との凹凸嵌合により固定されている。この構成によると、傾斜面80上に安定して第1貯水槽3を載置することができる。
図9に示すように、第1貯水槽3は全体として傾斜面80の傾斜角度に沿って傾斜しており、その結果、底部33および透水シート5も傾斜面80の傾斜角度に沿って傾斜する状態で、天面部13に配置されている。その結果、第1貯水槽3は、透水シート5上に配置された状態で、第2排水孔37が設けられている側面部が、第2排水孔37が設けられていない側面部よりも低い位置となるように傾斜している。
次に、冷却装置2における冷却水(7)の供給経路について説明すると、エアコン室外機を構成する冷却装置2において、供給経路の始点となる第1貯水槽3に冷却水7が貯水されている場合、冷却水7は、重力などにより第1排水孔36から透水シート5に排出される。ここで、支持台8は、傾斜面80の最低端81が吸気口12の側を向く関係で、天面部13に載置されている。この構成によると、保水部42に冷却水7を供給するための供給経路において、透水シート5における冷却水7の移動には、既に説明した毛細管現象以外に、傾斜面80の高低差に基づく重力が働くから、冷却水7の移動効率が向上する。その結果、吸気口12に取り付けられた冷却部4に対して円滑に冷却水7が供給されるから、冷房時の電力消費量を節減することが可能なエアコン室外機を提供することができる。
図8及び図9の冷却装置2は、図1乃至図7の冷却装置2の基本的構成を全て有するから、図1乃至図7を参照して説明した利点を全て有する。
さらに、図8及び図9の冷却装置2は、支持台80を有することにより、保水部42に冷却水7を供給するための供給経路において、透水シート5における冷却水7の移動に対し、毛細管現象以外に、傾斜面80の高低差に基づく重力が働くから、冷却水7の移動効率が向上する。その結果、冷却部4に対して円滑に冷却水7が供給されるから、冷房時の電力消費量の節減をより効率的に達成することができる。
図10は本発明のさらにもう一つの実施形態に係る冷却装置の正面図、図11は図10の冷却装置の分解斜視図、図12は図10及び図11の冷却装置の使用状態を示す拡大断面図である。
図10及び図12の実施形態は、冷却部4の取り付け位置以外は、図1乃至図9を参照して説明した実施形態と基本的に同一の構造を有している。以下、相違点を中心に説明する。
まず、図10乃至図12の冷却部4は、ハウジング10の外面に取り付けられ、取り付けられた状態で排気口15を覆っている。図10及び図12の冷却部4は、一対の掛止フック6、6によって側面部14に取り付けられ、取り付けられた状態で排気口15を覆っている。冷却部4は、基体部41の上端縁部分のみが、一対の掛止フック6、6によって吊り下げられる構造となっているが、側面部14に対する冷却部4の取り付け構造は、安定性、施工効率などの観点から適宜変更することができる。この点は、図1及び図2を参照して説明したとおりである。
ところで、この種のエアコンでは、その熱交換作用により排気口15から排熱風が放出される。この排熱風は、ヒートアイランド現象の一因となるなど環境に悪影響を及ぼす。また、排熱風によって室外機に吸引されるべき周囲の空気が暖められることで、室外機の熱交換効率が低下するという悪循環も生じさせる。そこで、環境への悪影響を低減し、且つ、室外機の熱交換効率を向上させるには、排熱風を冷却することも重要となる。
上述した要請について、図10乃至図12の冷却装置2は、図1乃至図9の冷却装置2の基本的構成を全て有するから、上述した問題を全て解決することができる。さらに、冷却部4は、室外機本体1の排気口15を覆っている構成によると、室外機本体1の熱交換作用により排気口15から放出された排熱風は、通気孔43を通るとき、既に説明したとおり、保水部42における冷却水7の気化潜熱により冷却されるから、環境への悪影響を低減することができる。また、排熱風を冷却することにより、排熱風によって室外機に吸引されるべき周囲の空気が暖められる不具合が回避されるから、その運転に伴う室外機本体1の電力消費量が低減される。従って、冷房時の電力消費量を節減することが可能な冷却装置2、及び、これを用いたエアコン室外機を提供することができる。
また、冷却部4の冷却効果は、第1貯水槽3から冷却水7が排出されている限り、自動的かつ継続的に奏されるから、室外機本体1内に吸引されるべき周囲の空気が自動的かつ継続的に冷却される。その結果、吸入空気と熱交換器との間で行われる熱交換の効率が改善され、その運転に伴う室外機本体1の電力消費量が低減される。従って、冷房時の電力消費量を節減することが可能な冷却装置2を提供することができる。
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。例えば、図10及び図12の実施形態において、支持台80を含まない構成とすることもできる。図10及び図12の実施形態において、支持台80を設けない構成とした場合であっても、図1乃至図7を参照して説明した供給経路に従って、冷却部4に効率的に冷却水7を供給できることは明らかである。
1 室外機本体
12 吸気口
13 天面部
15 排気口
2 冷却装置
3 第1貯水槽
300 貯水空間
33 底部
36 第1排水孔
4 冷却部
41 基体部
42 保水部
43 通気孔
5 透水シート
8 支持台
80 傾斜面
9 第2貯水槽
94 第2貯水空間

Claims (3)

  1. 支持台と、第1貯水槽と、第2貯水槽と、冷却部と、透水シートとを含むエアコン室外機用冷却装置であって、
    前記支持台は、一方向に沿って高さが低くなる傾斜面を有し、前記傾斜面の最低端が室外機本体の吸気口の側を向く関係で、室外機本体の天面部に取り付けられ、
    前記第1貯水槽は、第1貯水空間と、排水孔とを有し、前記透水シートを挟んで前記傾斜面上に配置され、
    前記排水孔は、前記貯水槽の底部に開口し、前記貯水空間に通じており、
    前記第2貯水槽は、第2貯水空間を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、前記第1貯水槽と通水的に接続されており、
    前記冷却部は、基体部と、保水部とを有し、室外機本体の吸気口の側に取り付けられ、
    前記保水部は、多孔質材料でなり、前記基体部に取り付けられ、通気孔を有しており、
    前記透水シートは、多孔質材料でなり、上面が前記排水孔と向かい合い、且つ、前記第1貯水槽の底部外面に直接接触する関係で前記傾斜面に載置され、一端側が前記傾斜面の最低端の側において前記保水部と接触する、
    冷却装置。
  2. 支持台と、第1貯水槽と、第2貯水槽と、冷却部と、透水シートとを含むエアコン室外機用冷却装置であって、
    前記支持台は、一方向に沿って高さが低くなる傾斜面を有し、前記傾斜面の最低端が室外機本体の排気口の側を向く関係で、室外機本体の天面部に取り付けられ、
    前記第1貯水槽は、第1貯水空間と、排水孔とを有し、前記透水シートを挟んで前記傾斜面上に配置され、
    前記排水孔は、前記貯水槽の底部に開口し、前記貯水空間に通じており、
    前記第2貯水槽は、第2貯水空間を有し、室外機本体の天面部以外の場所に配置され、前記第1貯水槽と通水的に接続されており、
    前記冷却部は、基体部と、保水部とを有し、室外機本体の排気口の側に取り付けられ、
    前記保水部は、多孔質材料でなり、前記基体部に取り付けられ、通気孔を有しており、
    前記透水シートは、多孔質材料でなり、上面が前記排水孔と向かい合い、且つ、前記第1貯水槽の底部外面に直接接触する関係で前記傾斜面に載置され、一端側が前記傾斜面の最低端の側において前記保水部と接触する、
    冷却装置。
  3. 請求項1又は2の何れかに記載されたエアコン室外機用冷却装置であって、
    前記貯水槽に冷却水を貯水したとき、前記冷却水は、前記排水孔から前記透水シートに排出され、前記透水シートの内部を前記傾斜面に沿って流下され、前記透水シートと前記保水部との接触部分を通じて、前記保水部に供給される
    冷却装置。
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