JP2010216709A - エアコン室外機水冷省エネ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却水の均一な散水を確保し、冷却水の引水工事や電磁弁による給水の制御などを必要としないエアコン室外機水冷省エネ装置を提供する。
【解決手段】エアコン室外機の天板上に設置された水槽と、エアコン室外機の放熱フィンの吸気側に配置された吸水性と拡散性のよい網状の繊維製品からなる散水機構と、エアコンの稼動と連動して前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水から出し入れする連動機構とから構成され、冷却水は毛細管現象により水槽から散水機構に供給される。
【選択図】図2
【解決手段】エアコン室外機の天板上に設置された水槽と、エアコン室外機の放熱フィンの吸気側に配置された吸水性と拡散性のよい網状の繊維製品からなる散水機構と、エアコンの稼動と連動して前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水から出し入れする連動機構とから構成され、冷却水は毛細管現象により水槽から散水機構に供給される。
【選択図】図2
Description
本発明はエアコンの省エネ装置に関し、特に水冷によりエアコン室外機の熱交換効率を向上させるエアコン室外機水冷省エネ装置に関する。
近年地球温暖化やエネルギー不足などが大きな問題となり、環境保護や省エネの観点から各分野で省エネの技術が開発されている。特に家電メーカではインバータ技術を応用してエアコンの効率を大幅に向上させている。しかし、インバータ技術によるエアコンの省エネ原理を簡単に説明すると、エアコンの運転過程において圧縮機やファンモータの回転数を調節することで圧縮機やファンモータが常に必要だけの出力の回転数で回転するようにして、つまり従来の一定回転数の運転中における圧縮機やファンモータの頻繁な停止と起動による効率の低下や必要以上の回転数による出力の無駄をなくして省エネを実現したものである。そのため、従来の一定回転の運転に比べて、気温があまり高くない期間(例えば夜間)の運転においては省エネの効果が大きいが、気温が高く高出力が必要な期間(例えば真夏日の昼ごろ)の運転においては省エネ効果があまり期待できない。
エアコンの省エネ技術は上記のインバータ技術以外に、大型空調システムでは水冷技術を応用して熱交換効率を向上させることで、空調機の効率を上げている。しかし、このような大型空調システムに使われている水冷技術は、設備の大型化やメンテナンスやランニングコストなどの問題があり、一般家庭用の小型エアコンでは空冷により熱交換を行っているのが現状である。小型エアコンでも水冷により熱交換効率を向上させるための技術としてはいくつかの特許が公開されているが、様々な問題点があり、実用性に欠けている。
例えば、特許文献1では、室外機の天板上に冷却水を溜める囲みを設けて、前記囲みの下部に開けてある小さい孔を通して水が熱交換器の手前に少しずつ落下し、熱交換器のファンの風力によって落下する水が熱交換器のフィンに吸い寄せられて附着し熱交換の効率を向上させる技術が公開されている。このような構造では、吸気側の冷却風の風力が弱いと落下する冷却水が熱交換器のフィンに吸い寄せられにくく、大半の冷却水はそのまま落下してしまう。特許文献2と特許文献3では、室内機で発生するドレン水を室外機の熱交換に散水または滴下させることで、熱交換器の熱交換効率を向上させる技術が公開されているが、このような技術では、ドレン水の量が少ないと省エネ効果が小さくなる欠点がある。さらに、特許文献4では、エアコンの作動や外気温度によって作動する電磁弁を通す水道水を熱交換器のフィンに滴下することで、熱交換器の熱交換効率を向上させる技術が公開されている。このような構造では、冷却水として水道水を配管で引いてくる必要があり、工事が難しくなり、電磁弁や制御装置が必要となるのでコストが高くなるなどの欠点がある。
上述したように、従来の技術は、有効な散水手段と実用性のある冷却水の供給手段が欠けているため、いずれも実用化することは困難である。本発明は、冷却水の放熱フィンへの均一な散水を確保し、冷却水の引水配管工事や電磁弁による給水の制御などを必要とせず、エアコンの作動と連動して冷却水の給水ができ、既存のエアコン室外機に誰もが簡単に取り付けることができる、実用性の高いエアコン室外機水冷省エネ装置を提供する。
上記の課題を解決するための本発明のエアコン室外機水冷省エネ装置の構成は、冷却水を貯水する貯水機構と、冷却水をエアコン室外機の放熱フィンに散水する散水機構とを備えるエアコン室外機水冷省エネ装置であって、前記貯水機構はエアコン室外機の天板上に設置された水槽であり、前記散水機構はエアコン室外機の放熱フィンの吸気側に配置された吸水性と拡散性のよい網状の繊維製品からなる散水部材であり、前記散水機構の上端は前記水槽の冷却水に浸され、冷却水が毛細管現象によって前記散水部材へ供給されることを特徴とする。また、前記散水機構の上端には、前記散水部材と同幅の所定の長さを有する吸水性と拡散性のよい密織または不織布の繊維製品からなる吸水部材をさらに有することと、前記散水部材への給水を横方向で均一にするために、前記吸水部材の下端に所定の間隔でΛ型の切り口を設けることと、前記散水機構への給水量を調節するために、前記水槽または水槽蓋に高さ調節機構を設置し、前記散水機構の上端は前記高さ調節機構を経由してから冷却水に浸されることを特徴とする。
さらに、上記の構成において、前記貯水機構は、前記水槽より高い位置に水タンクをさらに有し、トリチェリーの真空の原理を応用して前記水槽内の水位を略一定に保ちながら前記水タンクから前記水槽へ冷却水を供給することを特徴とし、また、前記水タンクとして使用済みのベットボトルを利用することを特徴とする。
さらに、上記の構成において、エアコンの稼動と連動して前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水から出し入れする連動機構をさらに有することを特徴とし、前記連動機構は、電極切換機構と、前記電極切換機構の作動によって作動する電気駆動機構とから構成され、前記電極切換機構は、エアコンの稼動時にエアコン室外機から吹き出す冷却風によって回転する風車またはエアコン室外機の放熱フィンの温度変化によって作動する温度スイッチ、及び前記風車の回転または温度スイッチの作動によって作動する電極切換スイッチなどを含み、前記電気駆動機構は、電源、小型直流モータ、及び電源切断スイッチなどを含み、エアコンの未稼動時には前記散水機構の上端が前記水槽の冷却水から引き上げられる方向に回転するように前記小型直流モータに電源が印加され、エアコンの稼動時には前記散水機構の上端が前記水槽の冷却水に沈まれる方向に回転するように前記小型直流モータに電源が印加され、前記散水機構の上端が前記水槽の冷却水から引き上げられた後及び冷却水に沈まれた後には前記小型直流モータに印加された電源が切断されることを特徴とする。
または、前記連動機構は、重りまたは弾性部材、エアコンの稼動時にエアコン室外機から吹き出す冷却風によって回転する風車、及び連結糸などから構成され、エアコンの未稼動時には前記重りの重力または弾性部材の引っ張り力によって前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水から引き上げ、エアコンの稼動時には前記風車の回転に伴う連結糸の巻き取りによって前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水に引き込むことを特徴とする。
さらにまた、上記の各構成において、前記水槽にドレン水接続口を設け、エアコン室内機から排出されるドレン水を前記水槽に供給することを特徴とする
本発明によるエアコン室外機水冷省エネ装置は、冷却水の放熱フィンへの均一な散水を確保し、冷却水の引水配管工事や電磁弁による給水の制御などを必要とせず、エアコンの作動と連動して冷却水の給水ができ、既存のエアコン室外機に誰もが簡単に取り付けることができる。また、水冷により熱交換効率を向上させるので、特に高出力を必要とする真夏日の昼ごろにも省エネに大いに貢献でき、なおインバータ技術との相乗効果によりエアコンの全運転期間において高効率を実現できる。さらに、水タンクとして使用済みのベットボトルを使用することで、資源リサイクルにも貢献できる。さらにまた、エアコン室外機から排出される大量の熱が冷却水により吸収されるので、人口密度の高い都市部のヒートアイランド現象の緩和効果にも期待できる。
以下図面を参照しながら本発明によるエアコン室外機水冷省エネ装置の実施例について説明をする。
図1は本発明によるエアコン室外機水冷省エネ装置の実施例1を示す前部斜視図で、図2は本発明によるエアコン室外機水冷省エネ装置の実施例1を示す後部斜視図で、図3は本発明によるエアコン室外機水冷省エネ装置の実施例1を示す断面図である。図1〜3に示すように、実施例1のエアコン室外機水冷省エネ装置は、大きく分けて、冷却水を貯水する貯水機構、冷却水を散水する散水機構、及びエアコンの稼動と連動する連動機構の三つの部分から構成される。そして、貯水機構は水槽21、水槽蓋22、ベットボトル23(実施例1では使用済みベットボトルを水タンクとして利用する)、専用ボトル蓋24、及び逆止弁体25などから構成され、散水機構は散水部材31、吸水部材32、浸水棒33、高さ調節棒34、下端固定棒35、及び受水部36などから構成される。連動機構はさらに電極切換機構と電気駆動機構に分けることができ、電極切換機構はフレーム41、風車42、スイッチ糸43、及び電極切換スイッチ44などを含み、電気駆動機構は小型直流モータ51、小型減速機52、電源切断スイッチ53、巻取部材54、スイッチ押圧部材55、巻取糸56、電源57(2本の単3乾電池、未図示)、及び電源コード58などを含む。
水槽21は長さ約600mm・幅約250mm・高さ約30mmの樹脂成形品であり、両面接着テープ(片面に接着剤を有するマグネットシートでもよい、未図示)を用いてエアコン室外機の天板11上に固定する。そして、水槽蓋22は樹脂成形品であり、散水機構の上端を出し入れするための長方形の開口部221を有し、開口部221の長手方向の両サイドには高さ調節部222を一体的に成形し、水槽蓋22の上面に開口部221の略中央部分の位置で電気駆動機構を設置するための電気駆動機構設置台223を設ける。電気駆動機構設置台223の直立部分に乾電池を収納する収納ケース(未図示)を設置する。
図4のAはベットボトル23と水槽蓋22の取付方法を示す部分拡大断面図で、図4のBは図3のAにおけるS−S面の矢印方向図である。図4のAとBに示すように、水槽蓋22には、ベットボトル23を取り付けるための取付用溝224と取付用孔225が設けられており、専用ボトル蓋24のフランジ部241を取付用溝224に差し込むことでベットボトル23を水槽蓋22に取り付ける。専用ボトル蓋24には水流出用の円孔242が開けられており、ボール251、当接板252、及び連結棒253からなる逆止弁体25を用いてベットボトル23を取り付ける際に円孔242の開閉を簡単に実現する。専用ボトル蓋24は樹脂成形品(金属加工品でもよい)で、ボール251は直径が円孔242よりは大きくベットボトル23のボトル口の内径よりは小さい柔らかい樹脂(ゴムなどの他の柔らかいお素材でもよい)製ボールであり、当接板252と連結棒253は溶接などで一体的に形成されたステンレス製品(防錆膜を有する他の金属製品や樹脂成形品でもよい)であり、逆止弁体25の重さは水中での浮力より大きく設定する。また、ボール251に連結棒253の径よりちょっと小さい穴を開けて、連結棒253の一端をその穴に差し込むことで、ボール251と当接板252を連結させる。
ベットボトル23を水槽蓋22に取り付ける具体的な手順は次の通りである。ベットボトル23に冷却水をいっぱい入れた後に、専用ボトル蓋24でボトル口をしっかり閉めてからベットボトル23を逆さまにすると、逆止弁体25は自重が浮力より重いので下に下がり、図4のAの点線で示すように、ボール251が円孔242を塞いで水の流出を防ぐ。続いて、ベットボトル23を図4のAに示す矢印の方向に沿って下に移動させてフランジ部241が水槽蓋22の上面と接触するまで水槽蓋22に設けた取付用孔225に差し込んだ後、図4のBに示す矢印方向に沿ってベットボトル23を回転させてフランジ部241を取付用溝224に差し込んでベットボトル23を水槽蓋22に固定させる。このとき、逆止弁体25は、当接板252が水槽21の底面に当たってベットボトル23と一緒に移動できず、ボール251が円孔242から離れて円孔242が開けられる。当接板252の大きさは取付用孔225よりは小さく円孔242よりは大きく設定し、連結棒253の長さは専用ボトル蓋24がちょうど取付用孔225に入った後に水槽21の底面と当接する長さに設定する。
図5のAは図3における散水機構の上端の周りの部分拡大図であり、図5のBは図3におけるS−S面の矢印方向図である。散水部材31は純綿の衛生ガーゼ(他の吸水性と拡散性のよい網状の繊維製品を使用してもよい)を使用し、吸水部材32は市販の純綿布(他の吸水性と拡散性のよい密織または不織布の繊維製品でもよい)を使用し、図5のAに示すように、散水部材31の衛生ガーゼの先端部を折り曲げてから吸水部材32と二重に縫い合わせる。なお、折り曲げ端部には未縫合部分を残し、未縫合部分の中に浸水棒33を挿入した後に、2本の巻取糸56の一端と浸水棒33の両端をそれぞれ結び付ける。そして、散水機構の上端は高さ調節棒34を経由した後水槽蓋22の開口部221から水槽21内に入る。
散水部材31の下端は、衛生ガーゼを二重に折り曲げた後折り曲げ端部に未縫合部分を残して縫い合わせ、未縫合部分に下端固定棒35を挿入してから、図3に示すように、受水部36内に入れて下端固定棒35の両端を受水部36の両端に固定する。
次に連動機構について説明をする。図1〜3に示すように、電極切換機構のフレーム41はL字型端面を有するフレーム取付部411、風車取付部412、風車取付軸413、ストッパ414、及びスイッチ取付部415などを含む樹脂成形品(金属加工品、または樹脂成形品と金属加工品の組み合わせ部材でもよい)である。風車42は回転自在に風車取付軸413に取り付けられ、円筒状の巻取部421を風車42と一体的に設ける。電極切換スイッチ44はスイッチ取付部415にボルトなどで固定されており、スイッチ糸43の一端は巻取部421に固定され、他端はスイッチアーム441の一端に結びつける。そして、電極切換機構はフレーム取付部411によって両面接着テープ(片面に接着剤を有するマグネットシートでもよい、未図示)を介してエアコン室外機の天板11に取り付けられる。
図1〜3及び図5のBに示すように、電気駆動機構の小型直流モータ51、小型減速機52、及び電源切断スイッチ53はボルトなどで電気駆動機構設置台223に固定されており、小型減速機52の出力軸521上には巻取部材54及びスイッチ押圧部材55が装着固定されている。巻取糸56は巻取部材54の左右両側に2本からなり、それぞれの一端が浸水棒33の両端と結び付き、他端が巻取部材54に固定され、略半円柱体226と227を経由して方向を変更する。本実施例において、略半円柱体226と227は巻取糸56に対する抵抗を小さくするためであり、その意味では固定された略半円柱体の代わりに自由に回転するローラまたは滑車のような機構を設置してもよい。
図6は連動機構の電気回路を示す略図である。図6に示すように、電極切換スイッチ44、小型直流モータ51、電源切断スイッチ53、及び電源57(2本の単3乾電池)は電源コード58によって電気接続される。電極切換スイッチ44の作動原理は次の通りである。エアコンが稼動していないときには、スイッチアーム441が実線に示す位置にあり、電源側の回路581と電気駆動側の回路582は電極切換スイッチ44において実線で示すように接続される。エアコンが稼動しているときには、スイッチ糸43が巻取部421に巻き取られて(図1と図3を参照)スイッチアーム441を下に引っ張り、スイッチアーム441が点線に示す位置になり、スイッチボタン442が押し圧されて電源側の回路581と電気駆動側の回路582は電極切換スイッチ44において点線で示すように接続される。電源切断スイッチ53の作動原理は次の通りである。スイッチ押圧部材55(図1と図2を参照)がスイッチボタン531と532のいずれも押し圧していないとき、電気駆動側の回路582は電源切断スイッチ53において実線で示すように両接続点がともに接続状態で回路がオンになり、小型直流モータ51は電極切換スイッチ44の接続状況に従って浸水棒33を巻き上げる方向に回転するかまたは浸水棒33を下げる方向に回転する。浸水棒33が所定の位置まで上がる(または下がる)と、小型減速機52の出力軸521(図5のBを参照)上に巻取部材54と同軸固定されて回転するスイッチ押圧部材55はスイッチボタン531(または532)を押し圧し、押し圧された側は図6の点線で示すように接続点が切断状態で回路がオフになり、小型直流モータ51への電源の供給が切断される。小型直流モータ51への電源の供給は、エアコンが稼動していないときは浸水棒33が巻き上げる方向に回転し、エアコンが稼動しているときは浸水棒33が下がる方向に回転するように設定する。
以下本装置の作動原理について説明をする。まず、本装置の各部分を上述したようにエアコン室外機に取り付ける。次に、ベットボトル23に水をいっぱい入れた後専用ボトル蓋24でボトル口をしっかり閉めてから水槽蓋22にセットすると(図4のAとBを参照)、専用ボルト蓋24の円孔242は開けられた状態となり、ベットボトル23内の水は水槽21に流出するとともに空気がベットボトル23内に入る。水槽21内の水位が円孔242を塞ぐところまで上がって空気がベットボトル23内に入れなくなると、ベットボトル23内の真空圧は水の流出につれて段々大きくなる。ベットボトル23内の真空圧と大気圧の気圧差がベットボトル23内の水位と水槽21内の水位との差による水圧差に等しくなると、水の流出は止まる。
エアコンが稼動していないときに、電極切換えスイッチ44は図6の実線で示すようになり、小型直流モータ51は浸水棒33を巻き取る方向に回転し、浸水棒33は上に上がる。浸水棒33が所定の高さまで上がると、スイッチ押圧部材55がスイッチボタン531を押し圧して電源を切断し、浸水棒33の上がりは止まり、散水機構の上端は水から離れた所定の高さに保持される(図5のAの点線)。これは本装置のエアコンの非稼動時の状態である。
エアコンが稼動してエアコン室外機のファンモータ14が回転すると、冷却風が前面から吹き出し、風車42は冷却風の風力によって回転し、スイッチ糸43が風車42に設けられた巻取部421に巻かれてスイッチアーム441を下の方向に引っ張る(図1〜3を参照)。このとき、スイッチアーム441は図6の点線で示す位置になり、小型直流モータ51は浸水棒33が下がる方向に回転し、浸水棒33は自重により下に下がる。浸水棒33が所定の位置まで下がると、スイッチ押圧部材55がスイッチボタン531から離れてスイッチボタン532を押し圧して電源を切断し、浸水棒33の下がりは止まり、散水機構の上端は水の中に浸水された状態に保持される(図5のAの実線)。一方、スイッチアーム441はストッパ414によって下方向への移動が止められて、風車42の回転も止められた状態を保つ。これは本装置のエアコンの稼動時の状態である。
この稼動時の状態で、水槽21内の冷却水は毛細管現象により散水部材31に流れ、散水部材31は水に濡れる。吸水部材32の役割は毛細管現象による冷却水の散水部材31への流れをしやすくすることである。一方、散水部材31は冷却風によって放熱フィン12に寄り付き、散水部材31と放熱フィン12は互いに接触する(図3と図5のAを参照)。低温の散水部材31と高温の放熱フィン12の直接接触と水の蒸発効果によって、放熱フィン12は冷却風のみによって熱交換するときに比べて効率よく冷却される。また、冷却風の流れによって散水部材31の水は小さな水滴になって放熱フィン12の内部まで届くので、放熱フィン12の熱交換効率は大きく向上される。このようにして、エアコンの効率がよくなり、省エネが実現される。散水部材31の冷却に利用された後の残りの水は下に設けた受水部36に流れ込み、排水ホース37から排出される。排出される水の量が多い場合、高さ調節棒34の高さを高くすると、毛細管現象による散水部材31への水の流れが減り、水の節約が図れる。また、排水ホース37の出口にベットボトルまたは水タンク(未図示)などを設置し、排出される水を溜めて再利用することで、水の節約を図ることもできる。
一方、水槽21内の水が散水部材31に供給されて水位が下がり、円孔242が水面から露出すると、空気がベットボトル23内に入るとともにベットボトル23内の水が水槽21に流出する。水槽21内の水位が再び円孔242を塞いで空気がベットボトル23内に入らなくなると、水の流出につれてベットボトル23内の真空圧は段々大きくなる。ベットボトル23内の真空圧と大気圧の気圧差がベットボトル23内の水位と水槽21内の水位との差による水圧差に再び等しくなると、水の流出が止まる。このようなことを繰り返しながら、冷却水は水槽21内の水位を略一定に保持されながらベットボトル23から水槽21に供給される。
エアコンの稼動を中止すると、エアコン室外機から吹き出す冷却風がなくなる。風車42に作用する風力がなくなるので、スイッチアーム441は元の実線位置に戻り、小型直流モータ51への電源電極が切り換えられて小型直流モータ51は浸水棒33を巻き上げる方向に回転し、巻取糸56を巻取部材54に巻き取って散水機構の上端を水から引き上げる。浸水棒33が所定の位置まで上がると、スイッチ押圧部材55がスイッチボタン532から離れて再びスイッチボタン531を押し圧して電源を切断し、浸水棒33の上がりは止まり、本装置はエアコンの非稼動時の状態に戻る。
実施例1においてはベットボトルを3つ採用しているが、空間が許すところまでもっと多く設置したほうがよい。また、電極切換機構として、冷却風によって作動する風車と風車の作動によって作動する電極切換スイッチを採用しているが、放熱フィンの温度変化によって作動する温度スイッチなど他の手段を採用してもよい。
図7に本発明によるエアコン室外機水冷省エネ装置の実施例2を示す。図7に示すように、実施例2と実施例1の主な相違は連動機構にある。具体的に言うと、実施例1では電気駆動機構を利用して散水機構の上端を水槽21の冷却水から出し入れするが、実施例2では重りと風車を利用して散水機構の上端を水槽21の冷却水から出し入れする。図8は実施例2の連動機構と浸水棒33の部分拡大斜視図である。図7と8において、実施例1と同様の部分については同様の符号を付与し、説明に必要のない符号の記入と説明を省略する。
図7と8に示すように、実施例2の連動機構は左右対称に配置され、左右それぞれが風車42、重り61、回転自由なローラ621〜624、及び連結糸631と632から構成される。風車42の取り付け方法は実施例1と同じである。ローラ621はフレーム41に、ローラ622は水槽蓋22に、ローラ623は水槽21の底面に、ローラ624は高さ調節部222と一体的に設置する。そして、連結糸631の一端は風車42の巻取部421に固定し、他端はローラ621、622及び623を経由してから浸水棒33の一端に結びつける。連結糸632の一端は重り61に結びつけ、他端はローラ624を経由してから浸水棒33の一端に結びつける。重り61の重さの範囲は次のように設定する。エアコンの非稼動時、即ち風車42に風力が働いていないときには、散水機構の上端を冷却水から引き上げることができる重さと、エアコンの稼動時、即ち風車42に風力が働いているときには、風車42の回転による連結糸631の引っ張り力が重り61の重力を克服して散水機構の上端を冷却水に引き込むことができる重さの範囲内に設定する。また、ローラ623はその上部が水槽21の冷却水の水面より低くなるように設定する。
次に実施例2の作動について説明をする。エアコンが稼動していないときには、エアコン室外機からの冷却風がないので、風車42は風力を受けない。このとき、連結糸631には力が働かないので、連結糸632が重り61の重力によって引っ張られ、浸水棒33つまり散水機構の上端が上方向に引き上げられる。浸水棒33の両端がローラ624の下部に当たると、浸水棒33の上がりは止まり、散水機構の上端が水槽21の冷却水から出された状態に保持される。これは実施例2のエアコンの非稼動時の状態である。
エアコンが稼動しているときには、エアコン室外機からの冷却風が吹き出し、風車42は風力を受けて回転する。このとき、連結糸631には引っ張り力が働いて重り61の重力を克服して浸水棒33つまり散水機構の上端を水槽21の冷却水に引き込む。散水機構の上端がローラ623の上部に当たると、浸水棒33の下がりは止まり、散水機構の上端が水槽21の冷却水に引き込まれた状態に保持される。これは実施例2のエアコンの稼動時の状態である。
実施例2において、ベットボトル23の取り付け方法や他の作動原理は実施例1と全く同じであるため、説明を省略する。また、実施例2において、浸水棒33を上方向に上げる駆動力として重り61を利用しているが、重り61の代わりに、ばねやゴムなどの弾性部材を利用して浸水棒33を引っ張ってもよい。さらに、実施例2において、風車42を左右対称に二つ採用しているが、大きい風車を一つのみ採用してもよい。
実施例3では、水タンクとしてベットボトル23の代わりに専用の水タンク71を採用し、他の部分は実施例1と同じである。図9のAは本発明の実施例3の水タンク71と水槽21の一部を示す斜視図であり、図9のBは図9のAにおける冷却水接続口27部分の構造を示す部分拡大断面図である。図9のAとBにおいて、実施例1と同様の部分については同様の符号を付与し、説明に必要のない符号の記入と説明を省略する。
図9のAに示すように、水タンク71は樹脂成形品(金属製品でもよい)で、頂面には水注入口(未図示)があり、水注入口蓋711で水注入口を閉める。また、水タンク71の側面の下部には蛇口712を設け、水槽蓋22には冷却水接続口27を設けて、ホース72で蛇口712と冷却水接続口27を連結することで水タンク71と水槽21を結ぶ水路を形成する。水タンク71はタンク台73によって底が水槽蓋22より高い位置に支持されている。水注入口蓋711には密封部材(未図示)を有し、蓋をしっかり閉めると空気が通らない。冷却水接続口27は、図9のBに示すように、水槽21の内部側に所定の長さを有する。
水タンク71への冷却水の注入手順は次の通りである。まず、蛇口712を閉めてから水注入口蓋711を開けて水を水タンク71内に注ぎ、水が一杯になったら、空気が水注入口から入らないように水注入口蓋711をしっかり閉める。そして、蛇口712を開けると、水タンク71内の水が水槽21内に流出し、その後のことは実施例1と同じなので説明を省略する。また、実施例3において、他の作動原理は実施例1と全く同じなので、説明を省略する。
実施例1〜3において、エアコン室内機のドレン水排出管を水槽蓋22に設けたドレン水接続口26に接続すると、エアコン室内機から排出されるドレン水を水槽21内に導入して冷却水として有効利用することができる。また、本発明について、実施例1〜3を用いて具体的に説明を行ったが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で色々な変形が可能で、なお、上記の各実施形態の構成要素を本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることができ、これらの変形や組み合わせはすべて本発明の範囲内とする。
本発明はエアコン室外機の水冷による省エネ装置であり、冷却水の引水配管工事や電磁弁による給水の制御などを必要とせず、既存のエアコン室外機に誰もが簡単に取り付けることができるため実用性が高く、また、水冷により熱交換効率を向上させて地球温暖化や省エネに大いに貢献できるので、産業上に利用されることが極めて期待される。
11…エアコン室外機の天板、12…放熱フィン、13…冷媒管、14…ファンモータ、21…水槽、22…水槽蓋、221…開口部、222…高さ調節部、223…電気駆動機構設置台、224…取付用溝、225…取付用孔、226、227…半円柱体、23…ベットボトル、24…専用ボトル蓋、241…フランジ部、242…円孔、25…逆止弁体、251…ボール、252…当接板、253…連結棒、26…ドレン水接続口、27…冷却水接続口、31…散水部材、32…吸水部材、33…浸水棒、34…高さ調節棒、35…下端固定棒、36…受水部、37…排水ホース、41…フレーム、411…フレーム取付部、412…風車取付部、413…風車取付軸、414…ストッパ、415…スイッチ取付部、42…風車、421…巻取部、43…スイッチ糸、44…電極切換スイッチ、441…スイッチアーム、442…スイッチボタン、51…小型直流モータ、52…小型減速機、521…出力軸、53…電源切断スイッチ、531、532…スイッチボタン、54…巻取部材、55…スイッチ押圧部材、56…巻取糸、57…電源(2本の単3乾電池)、58…電源コード、581…電源側の回路、582…電気駆動側の回路、61…重り、621〜624…ローラ、631、632…連結糸、71…水タンク、711…水注入口蓋、712…蛇口、72…ホース、73…タンク台。
Claims (10)
- 冷却水を貯水する貯水機構と、冷却水をエアコン室外機の放熱フィンに散水する散水機構とを備えるエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記貯水機構はエアコン室外機の天板上に設置された水槽であり、
前記散水機構はエアコン室外機の放熱フィンの吸気側に配置された吸水性と拡散性のよい網状の繊維製品からなる散水部材であり、
前記散水機構の上端は前記水槽の冷却水に浸され、冷却水が毛細管現象によって前記散水部材へ供給されることを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項1に記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記散水機構の上端には、前記散水部材と同幅の所定の長さを有する吸水性と拡散性のよい密織または不織布の繊維製品からなる吸水部材をさらに有することを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項1または2に記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記吸水部材の下端に所定の間隔でΛ型の切り口を設けることを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記水槽または水槽蓋に高さ調節機構を設置し、前記散水機構の上端は前記高さ調節機構を経由してから冷却水に浸されることを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記貯水機構は、前記水槽より高い位置に水タンクをさらに有し、トリチェリーの真空の原理を応用して前記水槽内の水位を略一定に保ちながら前記水タンクから前記水槽へ冷却水を供給することを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項5に記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記水タンクとして使用済みのベットボトルを利用することを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
エアコンの稼動と連動して前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水から出し入れする連動機構をさらに有することを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項7に記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記連動機構は、電極切換機構と、前記電極切換機構の作動によって作動する電気駆動機構とから構成され、
前記電極切換機構は、エアコンの稼動時にエアコン室外機から吹き出す冷却風によって回転する風車またはエアコン室外機の放熱フィンの温度変化によって作動する温度スイッチ、及び前記風車の回転または温度スイッチの作動によって作動する電極切換スイッチなどを含み、
前記電気駆動機構は、電源、小型直流モータ、及び電源切断スイッチなどを含み、
エアコンの未稼動時には前記散水機構の上端が前記水槽の冷却水から引き上げられる方向に回転するように前記小型直流モータに電源が印加され、エアコンの稼動時には前記散水機構の上端が前記水槽の冷却水に沈まれる方向に回転するように前記小型直流モータに電源が印加され、
前記散水機構の上端が前記水槽の冷却水から引き上げられた後及び冷却水に沈まれた後には前記小型直流モータに印加された電源が切断されることを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項7に記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記連動機構は、重りまたは弾性部材、エアコンの稼動時にエアコン室外機から吹き出す冷却風によって回転する風車、及び連結糸などから構成され、
エアコンの未稼動時には前記重りの重力または弾性部材の引っ張り力によって前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水から引き上げ、エアコンの稼動時には前記風車の回転に伴う連結糸の巻き取りによって前記散水機構の上端を前記水槽の冷却水に引き込むことを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。 - 請求項1〜9のいずれかに記載のエアコン室外機水冷省エネ装置であって、
前記水槽にドレン水接続口を設け、エアコン室内機から排出されるドレン水を前記水槽に供給することを特徴とするエアコン室外機水冷省エネ装置。ここから書き始めます。
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