JP5185438B2 - ねじり振動ダンパー - Google Patents

Description

本発明は、駆動システムと従動システムとの間にはめ込まれ、入力振動と出力振動とを制振するために用いられ、かつトルクの変動を補償する、ねじり振動ダンパーに関する。

駆動要素と従動要素とが、ねじりバネを介して（たとえば特許文献１）、トルクを伝達するために接続されている、多くのねじり振動ダンパーが知られている。さらに、半径方向または円周方向に印加可能なバネ要素によってねじり振動が制振されるシステムが知られている（特許文献２、特許文献３）。

特許文献４からは、側面に移動可能な制振要素を有するねじり振動ダンパーが知られている。特に車両の摩擦クラッチのクラッチ盤に適したねじり振動ダンパーは、共通の回転軸を中心にして互いに相対的に回転可能な２つのダンパー部品を備えており、当該ダンパー部品は、軸スラスト面と連結部品とを介して、互いに連結されている。ダンパー部品が相対的回転をする際に、連結部品は、バネの軸方向の力に対抗して移動する。連結部品はダンパー部品の１つと軸方向に固定されて接続されていてよく、軸方向に移動可能であるが、しかし当該ダンパー部品と回転不能に固定されて連結されている。連結部品は、外に向かって密閉されかつ少なくとも部分的にダンパー液によって満たされた空間を、スロットル通路を介して互いに接続されている２つの部分空間に分割する。トルクを伝達し、かつ回転振動を補償するための二重質量フライホイールは、特許文献５と特許文献６とに記載されている。二重のフライホイール質量が備えられており、複数の回転ロッドとバネとに互いに連結されている。その際バネは、円周方向に延伸する螺旋バネの形状で、またはエラストマー材料から形成されている。当該フライホイールは、複雑な構造と、大きな規模とを有しており、小さな回転角のみを可能とする。

エラストマーの制振要素を有する回転振動除去装置は、特許文献７、特許文献８、特許文献９からも知られている。

上述の解決法の欠点は、比較的複雑な製造技術を費やす必要があることと、応用するにはなお不充分な制振特性とである。

独国特許第１０２００５０３７９９６号明細書 独国特許出願公開第１９８１２３０３号明細書 独国特許出願公開第１９７３３３３４号明細書 独国特許出願公開第３２２８６７３号明細書 欧州特許０７７４０８５号明細書の翻訳ＤＥ６９６１５９８２号明細書 欧州特許０７２３６３５号明細書の翻訳ＤＥ６９５２１９８２号明細書 独国特許第２７４２５６０号明細書 英国特許出願公開第１５３４６７５号明細書 英国特許出願公開第２９８３１９号明細書

本発明の課題は、単純な構成上の構造を有し、幅広い応用の多様性に利用可能で、傑出した制振特性を備え、かつ両シャフト端部の±３０度以上の回転角を可能にするねじり振動ダンパーを開発することである。この課題は、請求項１の特徴によって解決される。有利な形態は、従属請求項からもたらされる。

ねじり振動ダンパーは、第１要素と第２要素との間に設けられた制振要素を備えており、第１要素と第２要素とは、互いに相対的に回転可能であり、かつ当該ねじり振動ダンパーは、第１要素と第２要素との間のハウジング内に設けられた、軸方向に移動可能な連結部品を有してまたは有さずに形成されており、連結部品を用いる場合には、当該連結部品は第１要素と第２要素との間に設けられ、第１要素は、回転運動可能に軸受けされた剛性の第１連結要素を介して連結部品と接続され、第２要素は、回転運動可能に軸受けされた剛性の第２連結要素を介して連結部品と接続されており、第１要素と第２要素との間の相対的回転の際に、
ａ）連結部品は、バネ要素のバネ力に対抗して移動し、および／または
ｂ）連結部品は、当該連結部品の両側で作用する媒体に対抗して移動するようになり、または、連結部品を有するもしくは有さない制振要素の形成の際に、
ｃ）弾力のある要素が第３連結要素に組み込まれており、当該連結要素が第１要素と第２要素とに接続されている。

好ましくは、ねじり振動ダンパーにおいては、少なくとも１つの第１バネ要素が、第１要素と連結部品との間に設けられており、少なくとも１つの第２バネ要素が、第２要素と連結部品との間に設けられており、当該バネ要素は、たとえば螺旋バネの形状で形成されている。さらに、少なくとも１つのバネ要素が、それぞれ１つの連結要素に組み込まれ、当該連結要素は、そのバネ力に逆らって、バネの長さの変化によって、長さを変化できることも可能である。

制振媒体を用いる場合には、連結部品はハウジング内の１つの空間を、特に液体、気体、または液体と気体との混合物である媒体が存在する２つの部分空間に分割する。選択的には、部分空間に存在する媒体として、ジェルまたは粘弾性のある媒体を用いることも可能である。ピストンを移動させることで、媒体が弾性を有して圧縮される、および／またはパイプ接続を介して、外部の弾性緩衝器が操作される。

部分空間を互いに接続して、媒体が１つの部分空間から別の部分空間へ流れることができるようにすることも可能である。これは好ましくは、対応する弁を使用して、または断面が制振を決定するよう作用する孔を介して行われる。

連結要素は、好ましくは両端部で第１と第２要素と連結部品とに、回転継手式に軸受けされているボールロッドの形状で形成されている。連結部品は、その際ハウジング内に軸方向に移動可能かつ回転運動可能に軸受けされている。

第１要素が第１シャフトであり、第２要素がハウジングであることが可能である。さらに、第１要素が第１シャフトとして形成され、第２要素が第２シャフトとして形成され、もしくはシャフトと連結されていてもよく、この場合ハウジングは好ましくはフレームに固定されている。第１要素はたとえば駆動要素であり、第２要素は従動要素であってよく、またはその逆でもよい。

さらに連結要素は、ハウジングの環状空間内に突き出た円周カラーを備えてよい。当該環状空間は好ましくは、中心に、かつ円周状に設けられており、ハウジング内で半径方向外側に向かって延伸している。環状空間は、たとえば制振媒体で満たされており、当該制振媒体は、ピストンが軸方向に動く際に、カラーによって押しのけられる。たとえばカラーでの１つまたは複数の開口によって形成された、規定されたスロットル抵抗を介して押しのけられることが好ましい。付加的にまたは選択的に、カラーは、ピストンが軸方向に動く際に、エネルギーを蓄える要素、特にバネ（機械式バネまたはガス圧式バネ）のリセット力に対抗しても作用してよい。

本発明によって、ねじり振動ダンパーの単純かつ構成上の解決法が提供される。当該ねじり振動ダンパーは、フレキシブルに、極めて様々な使用領域に適用可能であり、当該ねじり振動ダンパーによって、傑出した制振特性が、連結要素をバネ要素および／または媒体と組み合わせることにより達成可能であり、当該ねじり振動ダンパーによって、高いトルクピークを下げることが可能であり、かつ大きな回転角を達成することが可能である。

本発明は、以下に、実施例とそれに付随する図とに基づいて、詳述される。図に示されるのは以下である。

連結部品の両側に設けられている２つの圧力バネを用いた、ねじり振動ダンパーの概略図である。 制振性と弾性のある媒体を用いた、ねじり振動ダンパーの概略図である。 連結部品を有せず、連結要素に組み込まれたバネ要素を用いた、ねじり振動ダンパーの概略図であって、ハウジングが連結要素の端部と接続されている。 バネが組み込まれた連結要素と連結部品とを有するねじり振動ダンパーの概略図であって、ハウジングが第２連結要素の端部と接続されている。

ハウジング２内に設けられ、軸方向に移動可能な連結部品３を備える制振要素１を有するねじり振動ダンパーが、図１と図２とに表されている。ハウジング２はフレームに固定されて軸受けされており、第１回転シャフトの形状をした第１要素４と、第２回転シャフトの形状をした第２要素５との間に連結部品３が設けられており、第１要素４と第２要素５とは、互いに相対的に回転可能である。第１要素４は、回転運動可能に軸受けされた剛性の第１連結要素４．１を介して連結部品３と接続され、第２要素５は、回転運動可能に軸受けされた剛性の第２連結要素５．１を介して連結部品３と接続されている。第１連結要素４．１はボールロッドの形状で形成されており、そのボール状の端部によって、一方では第１要素４の第１受容部４．２に回転運動可能に軸受けされ、他方では連結部品３の受容部３．１に回転運動可能に軸受けされている。同様に、第２連結要素５．１もボールロッドの形状で形成されており、そのボール状の端部によって、一方では第２要素５の第２受容部５．２に回転運動可能に軸受けされ、他方では連結部品３の受容部３．２に回転運動可能に軸受けされている。第１連結要素４．１と第２連結要素５．１とはその際、第１要素と第２要素との間でトルクを伝達するのに適している。ねじり振動を制振するために、図１に従えば、第１受容部４．２と連結部品３との間に第１圧力バネ６が設けられており、第２受容部５．２と連結部品との間には第２圧力バネ７がある。第１圧力バネ６と第２圧力バネ７とは、螺旋バネの形状で形成されており、予応力の下で隣接している。

図２に従えば、ハウジング２に対する方向に密閉された連結部品３は、ハウジング２内の空間を、連結部品３から第１要素４に対する方向に延伸する第１部分空間８と、連結部品３から第２要素５に対する方向に延伸する第２部分空間９とに分割する。部分空間８，９には、液体状の制振媒体１０があり、当該制振媒体１０は、連結部品３に組み込まれた少なくとも１つの弁１１を介して、一方の部分空間８，９から、それぞれもう一方の部分空間８，９へ流れることができる。制振媒体としては、好ましくは、液体と気体との混合物が使用される。

第１回転シャフト（第１要素４）と第２回転シャフト（第２要素５）とが互いに相対的に回転されるならば、連結要素５．１，４．１は、別の空間的な角度位置を占め、連結部品３は長手軸Ａに沿って、図１に従えば圧力バネ６，７のバネ力に逆らって、図２に従えば制振媒体１０の制振力に逆らって、動く。その際、連結部品３は同様に回転運動を行う。連結要素５．１，４．１と、バネ６，７の弾性（図１）、または制振媒体１０の弾性（図２）によって、第１要素４と第２要素５との間のねじり振動は制振され、トルクピークは引き下げられる。表されていない実施ヴァリエーションに従えば、たとえばハウジングを第１要素または第２要素として回転可能に形成することも可能であり、当該ハウジングにたとえばシャフトスタブを固定することも可能である。その場合ハウジングは、もちろんフレームに固定されずに軸受けされている。

図４には、制振要素１のヴァリエーションが表されており、当該制振要素においては、第１要素４は第１回転シャフトの形状で形成されており、それに対して相対的に回転可能な第２要素５はハウジング２である。

図４に従えば、第３連結要素４．３が、第１要素４の受容部４．２と、第２要素５の受容部５．２と、に旋回可能に固定されている。第３連結要素４．３は、ここではその長手軸を横切って半分ずつ２つに分けられており、２つの半分はそれぞれ、詳細には説明されないケーシング内にあるバネ１２によって、互いに接続されており、その結果第３連結要素４．３は、第１要素４と第２要素５との間での相対的回転の際に、バネ１２のバネ力に逆らって長さを変えることが可能である。連結部品３はここにはない。第３連結要素４．３は、その際湾曲可能ではなく、その長手軸に沿ってのみ長さが変化可能であり、その結果当該第３連結要素によって、トルクが伝達可能である。

図４に従えば、図１と図２とのように、連結部品３が備えられ、当該連結部品３は、第３連結要素４．３を介して、回転シャフトの形状をした第１要素４と旋回可能に接続され、第３連結要素４．３を介して、ハウジング２の形状をした第２要素５と旋回可能に接続されている。図３にあるように、第３連結要素４．３はバネ１２を備えており、当該バネによって第３連結要素は、第１要素４と第２要素５との間での相対的回転の際に、バネ力により長さが変化可能である。図４の第３連結要素の代わりに、図１にあるような第１連結要素４．１と第２連結要素５．１と螺旋バネ６，７が、または図２にあるような第１連結要素４．１と第２連結要素５．１と制振媒体１０とが使用されてもよい。

１ 制振要素
２ ハウジング
３ 連結部品
３．１ 受容部
３．２ 受容部
４ 第１要素
４．１ 第１連結要素
４．２ 第１受容部
４．３ 第３連結要素
５ 第２要素
５．１ 第２連結要素
５．２ 第２受容部
６ 第１圧力バネ
７ 第２圧力バネ
８ 第１部分空間
９ 第２部分空間
１０ 制振媒体
１１ 弁
１２ バネ

Claims (14)

1. ねじり振動ダンパーであって、第１要素と第２要素との間に設けられた制振要素を有し、その際前記第１要素と前記第２要素とは、互いに相対的に回転可能であり、前記第１要素と前記第２要素との間のハウジング内に設けられた、軸（Ａ）に沿って軸方向に移動可能な連結部品を有するねじり振動ダンパーであって、
   前記ハウジング内の前記連結部品は、１つの空間を２つの部分空間に分割し、前記第１要素は、前記第１要素の第１受容部と前記連結部品の受容部とに回転運動可能に軸受けされた剛性の第１連結要素を介して前記連結部品と接続され、前記第２要素は、前記第２要素の第２受容部と前記連結部品の受容部とに回転運動可能に軸受けされた剛性の第２連結要素を介して前記連結部品と接続されており、前記第１連結要素と第２連結要素とが、両端部で回転継手式に軸受けされているボールロッドの形状で形成されており、前記第１要素と前記第２要素との間の相対的回転の際に、
   ａ１．前記連結部品は、前記軸（Ａ）に沿って、少なくとも１つのバネ要素のバネ力に対抗して移動し、少なくとも１つの第１バネ要素は、前記第１要素と前記連結部品との間の第１部分空間に設けられ、少なくとも１つの第２バネ要素は、前記第２要素と前記連結部品との間の第２部分空間に設けられており、
   および
   ｂ１．前記連結部品は、前記軸（Ａ）に沿って、前記連結部品の両側で作用する媒体に対抗して移動するか、または
   ａ２．前記連結部品は、前記軸（Ａ）に沿って、少なくとも１つのバネ要素のバネ力に対抗して移動し、少なくとも１つの第１バネ要素は、前記第１要素と前記連結部品との間の第１部分空間に設けられ、少なくとも１つの第２バネ要素は、前記第２要素と前記連結部品との間の第２部分空間に設けられているか、もしくは
   ｂ２．前記連結部品は、前記軸（Ａ）に沿って、前記連結部品の両側で作用する媒体に対抗して移動し、
   該媒体は、前記ハウジング内にある部分空間に存在することを特徴とするねじり振動ダンパー。
2. 前記ボールロッドは半分ずつ２つに分けられており、該半分は、弾力のある要素を用いて連結されていることを特徴とする請求項１に記載のねじり振動ダンパー。
3. 前記連結部品は前記ハウジング内において、軸方向に移動可能かつ回転運動可能に軸受けされていることを特徴とする請求項１または２に記載のねじり振動ダンパー。
4. 前記バネ要素は、螺旋バネの形状で形成されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
5. 前記部分空間に存在する前記媒体は、液体、気体または液体と気体との混合物、またはジェル、または粘弾性のある媒体であることを特徴とする請求項１から４のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
6. 連結部の移動によって、前記部分空間に存在する前記媒体が、圧力の影響で圧縮し、および／または対応するハウジング接続を介して、外部の緩衝器を操作することを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
7. 前記２つの部分空間が、制振定数を定義する流れ要素によって、互いに接続されていることを特徴とする請求項１から６のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
8. 前記２つの部分空間が、弁を介して互いに接続されていることを特徴とする請求項７に記載のねじり振動ダンパー。
9. 前記第１要素が第１シャフトであり、前記第２要素が前記ハウジングであること、または前記第１要素が前記第１シャフトであり、前記第２要素が第２シャフトであることを特徴とする請求項１から８のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
10. 前記ハウジングがフレームに固定されて設けられていることを特徴とする請求項９に記載のねじり振動ダンパー。
11. 前記第１要素が駆動要素であり、前記第２要素が従動要素であること、またはその逆であることを特徴とする請求項１から１０のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
12. 前記第１要素が、第１シャフトもしくは駆動要素と連結されていること、および／または前記第２要素が第２シャフトもしくは従動要素と連結されていることを特徴とする請求項１から１１のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
13. 前記部分空間（８，９）内の前記媒体（１０）が能動的に圧力制御され、ねじり振動制振は、制御アルゴリズムに従って進行することを特徴とする請求項１から１２のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。
14. 前記連結要素は円周カラーを備えており、該円周カラーは、前記ハウジングの中心に設けられた環状空間内で軸方向に、
    ‐規定された粘性抵抗を介して制振媒体を押しのけ、および／または
    ‐エネルギーを蓄える要素のバネ力に逆らって軸方向に移動され、
    かつそれによって、前記連結要素の動きに対抗して向けられている制振力を生み出すことを特徴とする請求項１から１３のいずれか一項に記載のねじり振動ダンパー。

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