JP4730225B2 - ダンパ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関から変速機へのトルクの伝達径路に配置され内燃機関のトルク変動を吸収するダンパ装置に関する。
自動車において燃費の向上を図るには、内燃機関から変速機を経て車輪に至るまでの動力の伝達効率を高めることが肝要である。しかし、この動力伝達系を単純にリジットに構成したのでは、伝達効率は向上するものの、内燃機関の爆発に起因するトルク変動も駆動系に伝えてしまい、こもり音や車両振動が増大するという不具合が発生することになる。このような不具合を防止する手段として、内燃機関と変速機との間にトルク変動を吸収するダンパ装置が設けられている。
従来のダンパ装置は、例えば、特許文献1に記載されるように、内燃機関の出力軸と一体回転する回転体と、変速機の入力軸と一体回転する回転体とを、それらの回転方向に伸縮する複数のコイルバネ(詳しくは、トーションスプリング)を介して互いに連結した構成になっている。この構成により、内燃機関のトルク変動は、回転体間においてコイルバネの伸縮によって吸収され、トルク変動の変速機への伝達は抑制される。
特開2004−84681号公報
ところで、車両の乗員に不快感を与えるこもり音は、内燃機関の爆発1次の振動に起因して発生する。こもり音の発生を防ぐためには、コイルバネのバネ定数をできる限り小さくして振動を滑らかに吸収することが有効である。ただし、内燃機関のトルクに応じたバネ力をコイルバネに発生させるためには、バネ定数を小さくする分、コイルバネのストローク量を大きくとる必要がある。
しかしながら、従来のダンパ装置は、回転体の回転軸を中心とする円周上に複数のコイルバネを配置して各コイルバネを2つの回転体で挟んだ構成のため、回転体間でとりうる最大捩れ角は幾何学的に制限されている。このため、回転体間に挟まれるコイルバネのストローク量にも制限があり、バネ定数を小さくするにも限界があった。つまり、従来のダンパ装置の構成では、バネ定数の制約によってこもり音を十分に抑制できないおそれがあった。
なお、コイルバネのストローク量を大きくとる方法として、円周上に配置するコイルバネの数を減らし、回転体間でとりうる最大捩れ角を大きくすることが考えられる。例えば、円周上に長いコイルバネを一本のみ配置すれば、極めて大きなストローク量を確保することができる。しかし、コイルバネの長さを長くするほど、コイルバネと回転体との接触長さが長くなり、また、接触圧も大きくなるため、コイルバネの伸縮時に回転体との間で生じるフリクションは増大する。フリクションの増大は内燃機関から変速機へのトルクの伝達ロスを増大させるだけでなく、実質的なバネ定数(動バネ定数)を大きくしてしまう。つまり、単にコイルバネの数を減らして一本あたりのコイルバネのストローク量を大きくするだけでは、こもり音を効果的に抑制することはできない。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、内燃機関の振動に起因するこもり音を効果的に抑制することのできるダンパ装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のダンパ装置は以下のような構成を採った。
第1の発明としてのダンパ装置は、
駆動軸と被駆動軸の何れか一方に連結される第1の回転体と、
前記第1の回転体と同一の回転軸を有し、前記駆動軸と前記被駆動軸の何れか他方に連結される第2の回転体と、
前記第1の回転体に接続される第1の弾性部材、及び前記第2の回転体に接続される第2の弾性部材を含む、前記回転軸からの距離を異ならせて配置された前記回転軸の回転方向を変位方向とする複数の弾性部材と、
前記複数の弾性部材を直列に接続する接続手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、
前記弾性部材はコイルバネであることを特徴としている。
第3の発明は、第2の発明において、
直列に接続される前記複数のコイルバネは、前記回転軸から遠くに配置されるものほどバネ長さを長く設定されていることを特徴としている。
第4の発明は、第3の発明において、
前記コイルバネの伸縮を制限する制限手段をさらに備え、
前記回転軸から遠くに配置されるコイルバネは、前記第1及び第2の回転体間の捩れに対し、前記回転軸の近くに配置されるコイルバネよりも小さい捩れ角で伸縮を制限されることを特徴としている。
第5の発明は、第2乃至第4の何れか1つの発明において、
前記コイルバネは前記回転軸を中心とする径の異なる複数の円周上に円周毎に複数ずつ分散して配置され、
前記接続手段は同一の円周上に配置されたコイルバネ同士を並列に接続し、径の異なる円周上に配置されたコイルバネ同士を直列に接続していることを特徴としている。
第6の発明は、第5の発明において、
前記接続手段は同一の円周上に配置された各コイルバネの一端を連結する連結部材を含み、一つの連結部材が径の異なる円周上に配置されたコイルバネの2つの組間で共用されていることを特徴としている。
第7の発明は、第6の発明において、
前記回転軸を中心とする弧状の溝によって前記コイルバネを保持するバネ保持部材をさらに備えることを特徴としている。
第8の発明は、第7の発明において、
前記バネ保持部材には前記回転軸からの距離を異ならせて前記溝が2重に設けられ、内側の溝内に配置される各コイルバネがその所定方向の端部を前記バネ保持部材に連結され、且つ、外側の溝内に配置される各コイルバネが前記所定方向とは逆方向の端部を前記バネ保持部材に連結されることで前記連結部材が構成されていることを特徴としている。
第9の発明は、第8の発明において、
前記バネ保持部材は前記内側及び外側の溝を前記回転軸に直交する同一の平面上に有していることを特徴としている。
第10の発明は、第8又は第9の発明において、
前記コイルバネの前記バネ保持部材に連結されていない側の端部は、前記第1或いは第2の回転体に直接或いは他の部材を介して連結されたバネ座によって支持され、
前記溝には前記バネ座の前記溝に沿った移動を制限するストッパが形成されていることを特徴としている。
第11の発明は、第7の発明において、
前記バネ保持部材は前記回転軸に直交する同一の平面上に配置された径の異なる複数の円筒部材として構成され、
前記複数の円筒部材は内側の円筒部材の外周面によって外側の円筒部材の内周面を回転可能に支持することで互いに位置決めされ、最も外側に配置される円筒部材は前記第1及び第2の回転体の何れか一方に固定され、最も内側に配置される円筒部材は前記第1及び第2の回転体の何れか他方に固定されており、
前記円筒部材のそれぞれに、並列接続される1組の前記コイルバネが保持され、
隣接する前記円筒部材によって保持される2組の前記コイルバネが前記連結部材によって直列に接続されていることを特徴としている。
第12の発明は、第11の発明において、
前記複数の円筒部材はそれぞれ同一面に前記溝が形成されており、
前記連結部材は、前記溝の蓋となる環状のプレート部と、前記プレート部に形成されて内側の円筒部材の溝内に突出する第1のバネ座と、前記プレート部に形成されて外側の円筒部材の溝内に突出する第2のバネ座とから構成されていることを特徴としている。
第13の発明は、第11又は第12の発明において、
隣接する前記円筒部材間には前記円筒部材間の相対的な回転を制限するストッパが設けられていることを特徴としている。
第1の発明によれば、弾性部材を回転軸からの距離を異ならせて配置することで、回転軸から等距離、つまり、同一円周上にのみ弾性部材を配置する場合に比較してより多くの弾性部材を回転体間に配置することができる。しかも、それら複数の弾性部材を直列に接続することで、弾性部材一つ当たりの変位可能量は小さくとも、ダンパ装置全体としての変位量は大きくとることができる。変位量を大きくとれる分、全体としての弾性係数を小さくすることができ、内燃機関の振動に起因するこもり音を効果的に抑制することが可能になる。
第2の発明によれば、弾性部材としてコイルバネを用いることで、回転体間の伝達トルクに応じた弾性力(バネ力)を容易に確保することができる。また、コイルバネによれば伝達トルクの振動に対する伸縮量の変化を大きくとることができるので、振動を効率良く吸収して効果的にこもり音を抑制することができる。さらに、複数のコイルバネの直列接続によれば、一本の長いコイルバネを用いる場合に比較して伸縮時のフリクションは低減されるので、動バネ定数を小さくして効果的にこもり音を抑制することができる。
コイルバネを配置可能なスペースは回転軸から離れるほど大きくなり、回転軸から離れるほどより長いコイルバネを配置することができる。材質、線形、外形等の条件が等しいならば、コイルバネのバネ定数はバネ長さに反比例し、直列接続されるコイルバネの全長が長くなるほど、全体としてのバネ定数は小さくなる。第3の発明によれば、回転軸から遠くに配置されるコイルバネほど、そのバネ長さを長くすることで、スペースを有効に利用しながらダンパ装置全体としてのバネ定数を小さくすることができる。
第4の発明によれば、回転体間に捩れが生じたとき、回転軸から遠くに配置されるコイルバネから順に伸縮を制限していくことができる。つまり、バネ定数の小さいコイルバネから順に伸縮を制限していくことができる。これによれば、こもり音の抑制効果が高いバネ定数の小さいコイルバネを有効に働かせつつ、トルクと回転体間の捩れ角との関係を多段階に変化させることができる。
第5の発明によれば、同一円周上に配置される複数のコイルバネの並列接続によって大トルクにも対応可能なバネ力を確保しつつ、径の異なる円周上に配置されたコイルバネ同士の直列接続によってダンパ装置全体としてのバネ定数を小さくすることができる。つまり、コイルバネの配置スペースを最大限に利用して、大トルクに対応可能なバネ力の確保とこもり音の抑制とを両立させることができる。
第6の発明によれば、同一円周上に配置される複数のコイルバネの並列接続と、径の異なる円周上に配置されたコイルバネ同士の直列接続とを簡素な構成によって実現することができる。
第7の発明によれば、バネ保持部材によってコイルバネを一定の姿勢に保持することができ、また、コイルバネを回転軸の回転方向に沿って伸縮させることができる。
第8の発明によれば、一つのバネ保持部材で内外2組のコイルバネを保持することができる。さらに、このバネ保持部材は連結部材としても機能し、各溝内に配置されるコイルバネの並列接続と、内外2組のコイルバネ間の直列接続とを行うことができる。第8の発明によれば、部品点数を少なくして構成を簡素化することができる。
第9の発明によれば、各コイルバネを回転軸に直交する一つの面内に集約して配置することができるので、軸方向の長さの短縮によるダンパ装置の小型化が可能になる。
第10の発明によれば、ストッパによってバネ座の溝に沿った移動が制限されることで、コイルバネの伸縮が制限される。コイルバネの伸縮が制限されるときの回転体間の捩れ角は、溝に形成するストッパの位置によって調整することができる。したがって、第10の発明によれば、回転体間に捩れが生じたとき、回転軸から遠くに配置されるコイルバネから順に伸縮を制限していくことは容易である。
第11の発明によれば、各コイルバネを回転軸に直交する一つの面内に集約して配置することができるので、軸方向の長さの短縮によるダンパ装置の小型化が可能になる。また、同心に配置する円筒部材の数に構造上の制約はなく、円筒部材の配置数によって直列接続されるコイルバネの本数を任意に設定することできる。また、各円筒部材はその円筒面で相互に支持されているので、高い位置決め精度を実現することができ部材間のフリクションを低減することができる。
第12の発明によれば、連結部材の薄型化によって軸方向の長さをより短縮することができ、ダンパ装置のさらなる小型化が可能になる。また、連結部材はプレートの成形によって容易に作製することができる。
第13の発明によれば、ストッパによって円筒部材間の相対的な回転が制限されることで、コイルバネの伸縮が制限される。コイルバネの伸縮が制限されるときの回転体間の捩れ角は、円筒部材間に設けるストッパの位置によって容易に調整することができる。
まず、本発明にかかるダンパ装置の基本構成について図1を用いて説明する。図1は本発明にかかるダンパ装置をモデル化して示す図である。このダンパ装置モデルでは、回転軸CLを中心に回転可能な2つの回転体2、10が備えられている。一方の回転体2は内燃機関(以下、エンジン)の駆動軸に連結され、もう一方の回転体10は変速機に繋がる被駆動軸に連結されている。
また、このダンパ装置モデルでは、回転軸CLからの距離を異ならせてコイルバネ4、8が2列配置されている。各コイルバネ4、8はその変位方向を回転軸CLの回転方向に向けられている。外側のコイルバネ4の回転軸CLからの距離をROUTとし、内側のコイルバネ8の回転軸CLからの距離をRIN(RIN<ROUT)とする。外側のコイルバネ4は一方の端部を回転体2に接続され、内側のコイルバネ8は外側のコイルバネ4とは逆方向の端部を回転体10に接続されている。各コイルバネ4、8の回転体2、10に接続されていない側の端部は、ともに連結部材6に接続されている。つまり、2つのコイルバネ4、8は、回転体2、10間で連結部材6を介して直列に接続されている。
上記のダンパ装置モデルでは、回転体2から回転体10へのトルクの伝達は、コイルバネ4、8を介して行われる。各コイルバネ4、8は伝達されるトルクの大きさに応じて圧縮され、圧縮量の二乗に比例する弾性エネルギを蓄える。また、回転体2に入力されるトルクに振動成分がある場合は、振動成分のエネルギはコイルバネ4、8の伸縮によって熱に変換される。これにより、トルクの振動成分はコイルバネ4、8において吸収され、回転体10からは振動成分が緩和されたトルクが出力される。
ダンパ装置には、エンジンの出力するトルクの範囲内においてトルク変動を滑らかに吸収することが求められる。特に、こもり音の発生原因となるエンジンの1次振動は可能な限り吸収したい。このような要求に対し、上記のダンパ装置モデルでは、複数のコイルバネ4、8を回転軸CLからの距離を異ならせて配置し、それらを直列に接続することとしている。このような配置によれば、回転軸CLから等距離、つまり、同一円周上にのみコイルバネを配置する場合に比較してより多くのコイルバネを回転体2、10間に配置することができる。しかも、それらコイルバネ4、8を直列に接続することで、コイルバネ一つ当たりの変位可能量は小さくとも、ダンパ装置全体としての変位量、すなわち、回転体2、10間の捩れ角は大きくとることができる。上記のダンパ装置モデルによれば、従来のダンパ装置に比較して捩れ角を大きくとれる分、ダンパ装置全体としてのバネ定数を小さくすることができ、エンジンの1次振動を効果的に吸収することが可能である。
上記のように、ダンパ装置がトルク変動を吸収する性能は、ダンパ装置全体としてのバネ定数を小さくすることで高めることができる。上記のダンパ装置モデルにおいて、ダンパ装置全体としてのバネ定数、特に、こもり音が発生しやすいトルク域におけるバネ定数を最も小さくするためには、各コイルバネ4、8のバネ定数は以下に説明するようにして選定すればよい。以下の説明では、複数の選定方法を一定の条件のもとで比較するものとする。比較条件として、ダンパ装置の容量、すなわち、ダンパ装置に蓄えられるエネルギ量は、選定方法によらず同一とする。また、コイルバネ4、8が最小設定値まで縮んだときのトルクをストッパトルクSとし、こもり音の発生域の上限トルクをこもり音上限トルクKとすると、ストッパトルクSとこもり音上限トルクKとの比は、3対2とする。また、外側コイルバネ4の距離をROUTと内側コイルバネ8の距離RINとの比は、2対1とする。
図2は、ダンパ装置モデルのコイルバネ4、8のバネ定数の選定方法について説明するための図である。図2中に示す(a)、(b)、(c)及び(d)のグラフは、それぞれ異なる選定方法でバネ定数を選定した場合の捩れ角とトルクとの関係を示している。各グラフにおいて、実線は外側コイルバネ4の捩れ角とトルクとの関係を示し、破線は内側コイルバネ8の捩れ角とトルクとの関係を示し、一点鎖線はダンパ装置全体としての捩れ角とトルクとの関係を示している。
図2(a)は、各コイルバネ4、8の最大捩れ角を同一とする場合の、捩れ角とトルクとの関係を示す図である。外側コイルバネ4のバネ定数をkoとすると、内側コイルバネ8のバネ定数はko/2となる。各コイルバネ4、8の最大捩れ角は、回転体2、10間に作用するトルクがストッパトルクSに達したときの捩れ角となる。この場合、ダンパ装置全体のバネ定数は、内側コイルバネ8が最大捩れ角に達するまでは両コイルバネ4、8の合成バネ定数ko/3となり、それ以降の捩れ角では外側コイルバネ4のバネ定数koとなる。内側コイルバネ8はこもり音上限トルクKに達する前に最大捩れ角に達するため、ダンパ装置全体のバネ定数はこもり音域内でko/3からkoに変化する。
図2(b)は、各コイルバネ4、8の最大トルクを同一とする場合の、捩れ角とトルクとの関係を示す図である。図2(a)の場合とダンパ装置の容量が等しいとすると、外側コイルバネ4のバネ定数はkoとなり、内側コイルバネ8のバネ定数は2koとなる。この場合、ダンパ装置全体のバネ定数は、回転体2、10間に作用するトルクがストッパトルクSに達するまで一定値、すなわち、両コイルバネ4、8の合成バネ定数2ko/3となる。
図2(c)は、外側コイルバネ4の許容トルクをこもり音上限トルクKに設定する場合の、捩れ角とトルクとの関係を示す図である。この場合、ストッパトルクSは内側コイルバネ8に作用することになる。図2(a)の場合とダンパ装置の容量が等しいとすると、外側コイルバネ4のバネ定数を4ko/9となり、内側コイルバネ8のバネ定数は2koとなる。この場合、ダンパ装置全体のバネ定数は、回転体2、10間に作用するトルクがこもり音上限トルクKに達するまでは両コイルバネ4、8の合成バネ定数4ko/11となり、こもり音上限トルクK以上では内側コイルバネ8のバネ定数2koとなる。
図2(d)は、内側コイルバネ8の許容トルクをこもり音上限トルクKに設定する場合の、捩れ角とトルクとの関係を示す図である。この場合、ストッパトルクSは外側コイルバネ4に作用することになる。図2(a)の場合とダンパ装置の容量が等しいとすると、外側コイルバネ4のバネ定数をkoとなり、内側コイルバネ8のバネ定数は8ko/9となる。この場合、ダンパ装置全体のバネ定数は、回転体2、10間に作用するトルクがこもり音上限トルクKに達するまでは両コイルバネ4、8の合成バネ定数8ko/17となり、こもり音上限トルクK以上では外側コイルバネ4のバネ定数koとなる。
上記の4つの選定方法を比較すると、こもり音域におけるバネ定数を最も小さくすることができるのは、図2(c)に示す方法となる。つまり、外側コイルバネ4の許容トルクをこもり音上限トルクKに設定し、内側コイルバネ8の許容トルクをストッパトルクSに設定することで、ダンパ装置全体としてのバネ定数をこもり音域の全域にわたって小さくすることができる。
なお、各コイルバネ4、8バネ定数の選定結果は、ストッパトルクSとこもり音上限トルクKとの比や、外側コイルバネ4の距離ROUTと内側コイルバネ8の距離RINとの比によって異なった結果になる可能性がある。また、上記のダンパ装置モデルではコイルバネは径方向に2列配置されているが、コイルバネがより多数列配置されている場合には、上記の選定方法とは異なる方法で各コイルバネのバネ定数を選定する必要がある。しかしながら、上記の選定方法を応用することは可能であり、比較条件を明確にして複数の方法を比較することで、ダンパ装置全体としてのバネ定数をこもり音域の全域にわたって小さくするのに最適なバネ定数を選定することができる。
以下では、本発明にかかるダンパ装置のより具体的な実施の形態について説明する。なお、以下に説明する何れの実施の形態においても、ダンパ装置の構成には上記のダンパ装置モデルの構成が応用されている。
実施の形態1.
図3乃至図7を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
[実施の形態1のダンパ装置の構成]
図3は、本発明の実施の形態1としてのダンパ装置100の構成を示す断面図である。本実施の形態のダンパ装置100は、エンジンから変速機へのトルクの伝達径路に配置される。図3に示すように、ダンパ装置100は、駆動軸であるエンジン連結シャフト102と、被駆動軸である変速機連結シャフト120との間に設けられている。エンジン連結シャフト102と変速機連結シャフト120は、ともに同一の回転軸CLを有している。
ダンパ装置100の外殻は、エンジン側ケーシング104と変速機側ケーシング124とに分割されている。ケーシング104は、エンジン連結シャフト102の先端にエンジン連結シャフト102と一体に設けられている。ケーシング124は変速機連結シャフト120に回転自在に支持されている。ケーシング104は、ケーシング124の方へ延びてダンパ装置100の胴部を形成する外筒部106を有している。ケーシング104の外筒部106とケーシング124とは、ボルト及びナットからなる締結具128を介して結合されている。本実施の形態では、ケーシング104が本発明にかかる「第1の回転体」に相当している。
ケーシング104、124の内部であって変速機連結シャフト120の先端には、スリーブ130が嵌められている。スリーブ130と変速機連結シャフト120とは、スプラインによって結合されている。スリーブ130の変速機側の端部には、径方向に広がる円鍔132が形成されている。本実施の形態では、これらスリーブ130及び円鍔132が本発明にかかる「第2の回転体」に相当している。
スリーブ130には、厚みのないディスク140が回転自在に支持されている。ディスク140の中心部にはスリーブ142が形成され、このスリーブ142の内周面がスリーブ130の外周面に摺動自在に接触している。ディスク140の両側、すなわち、エンジン側と変速機側には、それぞれ厚みのあるディスク160、180が配置されている。エンジン側のディスク(以下、フロントディスク)160は、ケーシング104と中央のディスク(以下、センタディスク)140との間に配置され、中心部に形成された貫通孔をスリーブ142の外表面に回転自在に支持されている。変速機側のディスク(以下、リアディスク)180は、スリーブ130に形成された円鍔132とセンタディスク140との間に配置され、中心部に形成された貫通孔をスリーブ142の外表面に回転自在に支持されている。
図4は、フロントディスク160を軸方向に変速機側から見た平面図である。図3及び図4に示すように、フロントディスク160には、回転軸CLを中心とする弧状の溝162、164、166、168が形成されている。各溝162、164、166、168は回転軸CLからの距離を異ならせて形成されている。このうち最も内側の溝162と内側から3列目の溝166とはケーシング104の側(エンジン側)に形成され、内側から2列目の溝164と最も外側の溝168とはセンタディスク140の側(変速機側)に形成されている。つまり、回転軸CLの中心から径方向に向けて、フロントディスク160のエンジン側面と変速機側面とに交互に溝162、164、166、168が形成されている。なお、各溝162、164、166、168は、対応する円周上に4つずつ等間隔で設けられ、且つ、回転軸CLに対する弧の角度を同一角度に形成されている。
フロントディスク160の各溝162、164、166、168内には、コイルバネ(詳しくはトーションスプリング)200、204、208、212が配置されている。コイルバネ200、204、208、212は同一材質、同一巻き径、同一線形であって、回転軸CLから遠い距離に配置されものほど長いコイルバネが用いられている。つまり、各コイルバネ200、204、208、212は巻き数のみが異なり、その結果、回転軸CLから遠い距離にあるものほどバネ定数は小さくなっている。
ケーシング104のフロントディスク160に対向する面には、回転軸CLからの距離の異なる2つの円周上にレバー108、110が形成されている。外側のレバー110は溝166の位置に合わせて溝166の数だけ設けられている。レバー110は溝166の中まで延びている。図5は、溝166内のコイルバネ208の状態と、後述する溝168内のコイルバネ212の状態とを模式的に示す図である。この図に示すように、レバー110にはバネ座210が固定され、バネ座210と溝166の端部の壁面167との間でコイルバネ208が保持されている。コイルバネ208は、その一方の端部をレバー110を介してケーシング104に接続され、もう一方の端部をフロントディスク160に接続されている。
内側のレバー108は溝162の位置に合わせて溝162の数だけ設けられている。レバー108は溝162の中まで延びている。溝162内でのコイルバネ200の状態は、図5に示す溝166内でのコイルバネ208の状態と同様である。つまり、レバー108には図示しないバネ座が固定され、バネ座と溝162の端部壁面との間でコイルバネ200が保持されている。コイルバネ200の一方の端部はレバー108を介してケーシング104に接続され、もう一方の端部はフロントディスク160に接続されている。本実施の形態では、コイルバネ200、208が本発明にかかる「第1の回転体に接続される第1の弾性部材」に相当する。
センタディスク140のフロントディスク160に対向する面には、回転軸CLからの距離の異なる2つの円周上にレバー144、146が形成されている。外側のレバー146は溝168の位置に合わせて溝168の数だけ設けられている。レバー146は溝168の中まで延びている。図5に示すように、レバー146にはバネ座214が固定され、バネ座214と溝168の端部の壁面169との間でコイルバネ212が保持されている。コイルバネ212は、その一方の端部をレバー146を介してセンタディスク140に接続され、もう一方の端部をフロントディスク160に接続されている。
内側のレバー144は溝164の位置に合わせて溝164の数だけ設けられている。レバー144は溝164の中まで延びている。溝164内でのコイルバネ204の状態は、図5に示す溝168内でのコイルバネ212の状態と同様である。つまり、レバー144には図示しないバネ座が固定され、バネ座と溝164の端部壁面との間でコイルバネ204が保持されている。コイルバネ204の一方の端部はレバー144を介してセンタディスク140に接続され、もう一方の端部はフロントディスク160に接続されている。
リアディスク180は、フロントディスク160と略同一の形状を有している。リアディスク180には、回転軸CLを中心とする弧状の溝182、184、186、188が形成されている。各溝182、184、186、188は回転軸CLからの距離を異ならせて形成されている。このうち最も内側の溝182と内側から3列目の溝186とは円鍔132の側(変速機側)に形成され、内側から2列目の溝184と最も外側の溝188とはセンタディスク140の側(エンジン側)に形成されている。つまり、回転軸CLの中心から径方向に向けて、リアディスク180のエンジン側面と変速機側面とに交互に溝182、184、186、188が形成されている。なお、各溝182、184、186、188は、対応する円周上に4つずつ等間隔で設けられ、且つ、回転軸CLに対する弧の角度を同一角度に形成されている。
リアディスク180の各溝182、184、186、188内には、コイルバネ(詳しくはトーションスプリング)216、220、224、228が配置されている。コイルバネ216、220、224、228は、フロントディスク160内に保持されているコイルバネ200、204、208、212と同一材質、同一巻き径、同一線形のものが用いられている。コイルバネ216、220、224、228は、回転軸CLから遠い距離に配置されものほど長くなるように巻き数のみが異なり、その結果、回転軸CLから遠い距離にあるものほどバネ定数は小さくなっている。
センタディスク140のリアディスク180に対向する面には、回転軸CLからの距離の異なる2つの円周上にレバー148、150が形成されている。外側のレバー150は溝188の位置に合わせて溝188の数だけ設けられている。レバー150は溝188の中まで延びている。溝188内でのコイルバネ228の状態は、図5に示す溝168内でのコイルバネ212の状態と同様である。つまり、レバー150には図示しないバネ座が固定され、バネ座と溝188の端部壁面との間でコイルバネ228が保持されている。コイルバネ228は、その一方の端部をレバー150を介してセンタディスク140に接続され、もう一方の端部をリアディスク180に接続されている。
内側のレバー148は溝184の位置に合わせて溝184の数だけ設けられている。レバー148は溝184の中まで延びている。溝184内でのコイルバネ220の状態は、図5に示す溝168内でのコイルバネ212の状態と同様である。つまり、レバー148には図示しないバネ座が固定され、バネ座と溝184の端部壁面との間でコイルバネ220が保持されている。コイルバネ220の一方の端部はレバー148を介してセンタディスク140に接続され、もう一方の端部はリアディスク180に接続されている。
円鍔132のリアディスク180に対向する面には、回転軸CLからの距離の異なる2つの円周上にレバー134、136が形成されている。外側のレバー136は溝186の位置に合わせて溝186の数だけ設けられている。レバー136は溝186の中まで延びている。溝186内でのコイルバネ224の状態は、図5に示す溝166内でのコイルバネ208の状態と同様である。つまり、レバー136には図示しないバネ座が固定され、バネ座と溝186の端部壁面との間でコイルバネ224が保持されている。コイルバネ224は、その一方の端部をレバー136を介して円鍔132に接続され、もう一方の端部をリアディスク180に接続されている。
内側のレバー134は溝182の位置に合わせて溝182の数だけ設けられている。レバー134は溝182の中まで延びている。溝182内でのコイルバネ216の状態は、図5に示す溝166内でのコイルバネ208の状態と同様である。つまり、レバー134には図示しないバネ座が固定され、バネ座と溝182の端部壁面との間でコイルバネ216が保持されている。コイルバネ216の一方の端部はレバー134を介して円鍔132に接続され、もう一方の端部はリアディスク180に接続されている。本実施の形態では、コイルバネ216、224が本発明にかかる「第2の回転体に接続される第2の弾性部材」に相当する。
以上説明したダンパ装置100の構成をモデル化したものが図6に示す構成である。この図に示すように、エンジン連結シャフト102と一体回転するケーシング104はコイルバネ200及び208によってフロントディスク160に接続され、フロントディスク160はコイルバネ204及び212によってセンタディスク140に接続されている。センタディスク140はコイルバネ220及び228によってリアディスク180に接続され、リアディスク180はコイルバネ216及び224によって変速機連結シャフト120と一体回転する円鍔132に接続されている。なお、コイルバネ200は同一円周上に4本配置されているが、これら4本のコイルバネ200は、フロントディスク160とセンタディスク140との間で互いに並列に接続されている。他のコイルバネ208、204、212、220、228、216、224についても同様である。
つまり、本実施の形態のダンパ装置100は、並列接続された8本のコイルバネ200及び208からなる組と、並列接続された8本のコイルバネ204及び212からなる組と、並列接続された8本のコイルバネ220及び228からなる組と、並列接続された8本のコイルバネ214及び224からなる組とがディスク160、140、180を介して直列に接続された構成を有している。そして、これら直列接続されたコイルバネの組によって、第1の回転体であるケーシング104と第2の回転体である円鍔132とが接続されている。
本実施の形態では、フロントディスク160、リアディスク180のそれぞれが本発明にかかる「バネ保持部材」に相当している。また、各ディスク160、140、180は本発明にかかる「接続手段」及び「連結部材」に相当している。
[実施の形態1のダンパ装置の動作]
上記の構成を有するダンパ装置100において、エンジンからエンジン連結シャフト102にトルクが入力され、エンジン連結シャフト102が回転すると、エンジン連結シャフト102と一体回転するケーシング104と、変速機連結シャフト120と一体回転する円鍔132との間に捩れが生じる。その捩れ角に応じて、ケーシング104と円鍔132との間に配置されるコイルバネ200、208、204、212、220、228、216、224が圧縮され、圧縮されたコイルバネ200、208、204、212、220、228、216、224からは、そのバネ力が反力としてケーシング104及び円鍔132に作用する。このバネ力とエンジンのトルクとが釣り合ったとき、ケーシング104と円鍔132はそのときの捩れ角を保ちながら一体回転するようになる。これにより、エンジン連結シャフト102から変速機連結シャフト120へエンジンのトルクが伝達される。
エンジンからエンジン連結シャフト102に入力されるトルクには、エンジンの爆発に起因する振動成分が含まれている。この振動成分によってケーシング104と円鍔132との間の捩れ角にも振動が生じ、それに応じてコイルバネ200、208、204、212、220、228、216、224の伸縮量も周期的に変化する。このときの各コイルバネ200、208、204、212、220、228、216、224のダンピング作用によって振動成分のエネルギは吸収され、ケーシング104から円鍔132には振動成分が緩和されたトルクが伝達される。
図7は、エンジンのトルクとシャフト102、120間の捩れ角との関係の一例を示す図である。この関係は、各コイルバネのバネ定数の設定によって任意に設定することが可能であり、バネ定数はコイルバネの長さ(巻き数)によって調整することができる。ここでは、コイルバネ204及び212の組の限界トルクをT1、コイルバネ220及び228の組の限界トルクをT2、コイルバネ200及び208の組の限界トルクをT3、コイルバネ216及び224の組の限界トルクをT4としている。
[実施の形態1のダンパ装置の効果]
エンジンのトルク変動をダンパ装置100で滑らかに吸収できるようにするには、ダンパ装置100全体としてのバネ定数を小さくすればよい。しかし、エンジンのトルクに応じた大きなバネ力をコイルバネに発生させるためには、バネ定数を小さくする分、コイルバネのストローク量を十分に確保する必要がある。この点に関し、ダンパ装置100では、図6にモデル化して示すように、複数のコイルバネが回転軸CLからの距離を異ならせて配置され、それら複数のコイルバネは直列に接続されている。これによれば、コイルバネ一本当たりのストローク量は小さくとも、ダンパ装置100全体としてのストローク量を大きくとることができる。ストローク量を大きくとれる分、全体としてのバネ定数をより小さくすることができ、エンジンの振動に起因するこもり音を効果的に抑制することが可能になる。
なお、コイルバネが伸縮するときには、コイルバネを保持している部材との間でフリクションが発生する。図5を例にして説明すると、コイルバネ208が溝166の壁面を摺動することでフリクションが発生する。しかし、ダンパ装置100のように複数のコイルバネを直列に接続することとすれば、一本の長いコイルバネを用いる場合に比較して伸縮時のフリクションは低減される。フリクションを低く抑えることで、ダンパ装置100全体としての動バネ定数を小さくしてより効果的にこもり音を抑制することができる。
コイルバネを配置可能なスペースは回転軸CLから離れるほど大きくなり、回転軸CLから離れるほどより長いコイルバネを配置することできる。材質、巻き径、線形等の条件が等しいならば、コイルバネのバネ定数はバネ長さ(巻き数)に反比例し、直列接続されるコイルバネの全長が長くなるほど、全体としてのバネ定数は小さくなる。ダンパ装置100では、回転軸CLから遠くに配置されるコイルバネほど、そのバネ長さは長くなっている。これによれば、回転軸CLの周りのスペースを有効に利用しながら、ダンパ装置100全体としてのバネ定数を小さくすることができる。
また、ダンパ装置100では、同一円周上に配置された4本のコイルバネが並列に接続され、さらに、異なる円周上に配置されたコイルバネ(例えばコイルバネ200及び208)も並列に接続されている。このように多数のコイルバネが並列に接続されることで、大きなトルクにも対応するだけのバネ力が確保される。つまり、ダンパ装置100の構成によれば、コイルバネの配置スペースを最大限に利用するが可能であり、コイルバネの直列接続によってこもり音を抑制しつつ、コイルバネの並列接続によって大きなトルクも伝達することができる。
また、ダンパ装置100は、同一円周上に配置される複数のコイルバネの並列接続と、径の異なる円周上に配置されたコイルバネ同士の直列接続とを1つのディスク160或いは180によって実現している。これらディスク160、180は、コイルバネを一定の姿勢に保持しつつ、その伸縮方向を回転軸CLの回転方向に矯正する機能も有している。これによれば、部品点数を少なくして構成を簡素化することができるだけでなく、コイルバネを回転軸CLに直交する一つの面内に集約して配置することができるので、軸方向の長さの短縮によるダンパ装置100の小型化が可能になるという利点もある。
実施の形態2.
図8乃至図11を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
[実施の形態2のダンパ装置の構成]
本実施の形態のダンパ装置は、実施の形態1のダンパ装置100において、フロントディスク160及びリアディスク180の構成を図8及び図9に示す構成に変更することで実現される。図8は、本実施の形態にかるフロントディスク160を軸方向に変速機側から見た平面図、図9は、フロントディスク160に形成される溝166、168の構成と、溝166、168内のコイルバネ208、212の状態とを模式的に示す図である。
図9に示すように、本実施の形態にかかるフロントディスク160は、溝166のコイルバネ208の伸縮方向に沿った壁面に、コイルバネ208のストロークを制限するストッパ170を有している。レバー110によってコイルバネ208が圧縮される際、コイルバネ208のバネ座210がストッパ170に掛かることで、コイルバネ208のそれ以上の圧縮は制限される。ストッパ170が働いたときにコイルバネ208に作用するトルクが、コイルバネ208のストッパトルクT1となる。なお、図中では、コイルバネ208のストローク量に対応するフロントディスク160の捩れ角をθ1と表記している。
同様に、溝168のコイルバネ212の伸縮方向に沿った壁面にも、コイルバネ212のストロークを制限するストッパ174が形成されている。レバー146によってコイルバネ212が圧縮される際、コイルバネ212のバネ座214がストッパ174に掛かることで、コイルバネ212のそれ以上の圧縮は制限される。ストッパ174が働いたときにコイルバネ212に作用するトルクが、コイルバネ212のストッパトルクT2となる。なお、図中では、コイルバネ212のストローク量に対応するフロントディスク160の捩れ角をθ2と表記している。
また、図8に示すように、溝164にもストッパ176が形成されている。ストッパ176はコイルバネ204(図3参照)のバネ座に係合してコイルバネ204のストロークを制限する。このストッパ176は、溝168に形成されたストッパ174と同じ捩れ角θ1で働くようになっている。溝162にもストッパ172が形成されている。ストッパ172はコイルバネ200(図3参照)のバネ座に係合してコイルバネ200のストロークを制限する。このストッパ172は、溝166に形成されたストッパ170と同じ捩れ角θ2で働くようになっている。
同様に、図示は省略するが、リアディスク180の各溝182、184、186、188(図3参照)にも、コイルバネ216、220、224、228のストロークを制限するためのストッパが形成されている。本実施の形態では、ストッパとそれに係合するバネ座とによって本発明にかかる「制限手段」が実現されている。
[実施の形態2のダンパ装置の効果]
図9に示す構成をモデル化したものが図10に示す構成である。ダンパ装置100にトルク(ここでは力F)が作用すると、その力Fによってコイルバネ208、212は圧縮され、コイルバネ208、212には力Fに釣り合うバネ力が発生する。力Fが大きくなるほどコイルバネ208、212の圧縮量は大きくなり、やがて、バネ座210、214がストッパ170、174に掛かることで、コイルバネ208、212のそれ以上の圧縮は制限される。ここでは、バネ座214がストッパ174に係合し、さらに力Fが大きくなってからバネ座210がストッパ170に係合するように各ストッパ170、174の位置、つまり、捩れ角θ1、θ2が設定されているものとする。そうすることで、図11に示すように、コイルバネ212が先にストッパトルクT1に達してからコイルバネ208がストッパトルクT2に達するような捩れ角−トルク特性を実現することが可能になる。
ダンパ装置においてこもり音を抑制する効果は、コイルバネのバネ定数が小さいほど高くなる。2つのコイルバネ208、212を比較すると、回転軸から遠い位置にあって巻き数の多いコイルバネ212の方がバネ定数は小さい。図11に示す捩れ角−トルク特性によれば、コイルバネ212のストッパトルクT1をこもり音上限トルクに設定することで、こもり音の発生域内でバネ定数の小さいコイルバネ212を有効に働かせることができ、こもり音の抑制において高い効果を得ることができる。なお、各コイルバネ208、212のストッパトルクT1、T2は、ストッパ170、174の位置、つまり、捩れ角θ1、θ2の設定によって任意に調整することができる。
実施の形態3.
図12乃至図18を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
[実施の形態3のダンパ装置の構成]
図12は、本発明の実施の形態3としてのダンパ装置300の構成を示す断面図である。本実施の形態のダンパ装置300は、内燃機関(以下、エンジン)から変速機へのトルクの伝達径路に配置される。図12に示すように、ダンパ装置300は、駆動軸であるエンジン連結シャフト302と、被駆動軸である変速機連結シャフト310との間に設けられている。エンジン連結シャフト302と変速機連結シャフト310は、ともに同一の回転軸CLを有している。
ダンパ装置300の外殻は、エンジン側ケーシング304と変速機側ケーシング314とに分割されている。ケーシング304は、エンジン連結シャフト302の先端にエンジン連結シャフト302と一体に設けられ、ダンパ装置300の胴部を形成する外筒部306を有している。ケーシング314は厚みのないディスクであり、中央部に形成された孔を変速機連結シャフト310が貫通している。ケーシング314とケーシング304の外筒部306とはボルト及びナットからなる締結具318を介して結合されている。本実施の形態では、ケーシング304が本発明にかかる「第1の回転体」に相当している。また、本実施の形態では、変速機連結シャフト310が本発明にかかる「第2の回転体」に相当している。
ケーシング304、314の内部であって変速機連結シャフト310の先端には、第1のリング340が嵌められている。第1リング340と変速機連結シャフト310とは、スプラインによって結合されている。第1リング340の外周面は円筒面であり、この円筒面には、第1リング340よりも大径の第2リング330がその内周面を支持されている。また、第2リング330の外周面は円筒面であり、この円筒面には、第2リング330よりも大径の第3リング320がその内周面を支持されている。第3リング320の外周面は、ケーシング外筒部306の内周面に接触している。これら第1リング340、第2リング330及び第3リング320は、回転軸CLに直交する同一の平面内に配置されている。
以下では、各リング320、330、340の構成と、それらが組み付けられたときの構成について図12と図13乃至図15を用いて説明する。図13は、ダンパ装置300からケーシング314と後述する中間プレート350、360とを取り外した状態で、ダンパ装置300を軸方向に変速機側から見た平面図である。図14は、第3リング320の構成を示す図であり、(a)は軸方向にエンジン側から見た平面図、(b)はA−A断面図、(c)は軸方向に変速機側から見た平面図である。図15は、第2リング330の構成を示す図であり、(a)は軸方向にエンジン側から見た平面図、(b)はB−B断面図、(c)は軸方向に変速機側から見た平面図である。
第3リング320は、その変速機側の面に回転軸CLを中心とする弧状の溝322を有している。溝322は等間隔で4つ設けられ、各溝322は回転軸CLに対する弧の角度を同一角度に形成されている。第3リング320の外周面には複数箇所に凸部328が形成されている。これら凸部328に対応して、ケーシング外筒部306の内周面には凹部308が形成されている。凸部328が凹部308に嵌められることで、第3リング320はケーシング外筒部306に拘束され、第3リング320とケーシング304とは一体に回転するようになっている。
第2リング330は、その変速機側の面に回転軸CLを中心とする環状の溝332を有している。第2リング330の外周面には複数箇所に凸部334が形成されている。これら凸部334に対応して、第3リング320の内周面には周方向に沿って溝状のガイド326が形成されている。第2リング330に第3リング320が組み付けられたとき、凸部334はガイド326内に収まるようになっている。凸部334はガイド326の範囲内で第3リング320の内周面に沿って移動することができる。ガイド326の両端の壁面326a、326bは、第2リング330の第3リング320に対する回転角を制限するストッパとして機能している。
第1リング340は、その変速機側の面に回転軸CLを中心とする弧状の溝342を有している。溝342は等間隔で4つ設けられ、各溝342は回転軸CLに対する弧の角度を同一角度に形成されている。第1リング340の外周面には複数箇所に図示しない凸部が形成されている。これら凸部に対応して、第2リング330の内周面には周方向に沿って溝状のガイド336が形成されている。第1リング340に第2リング330が組み付けられたとき、凸部はガイド336内に収まるようになっている。第1リング340の凸部はガイド336の範囲内で第2リング330の内周面に沿って移動することができる。ガイド336の両端の壁面336a、336bは、第1リング320の第2リング330に対する回転角を制限するストッパとして機能している。
第3リング320に設けられた4つの弧状の溝322内には、それぞれコイルバネ370が配置されている。第2リング330に設けられた環状の溝332内にも、4本のコイルバネ374が配置されている。また、第1リング320設けられた4つの弧状の溝342内にも、それぞれコイルバネ378が配置されている。コイルバネ370、374、378は同一材質、同一巻き径、同一線形のトーションスプリングであって、回転軸CLから遠い距離に配置されものほど長いコイルバネが用いられている。つまり、各コイルバネ370、374、378は巻き数のみが異なり、その結果、回転軸CLから遠い距離にあるものほどバネ定数は小さくなっている。各リング320、330、340は、コイルバネ370を保持するバネ保持部材として機能しており、本発明にかかる「円筒部材」に相当している。
リング320、330、340とケーシング314との間には、第1中間プレート360及び第2中間プレート350が配置されている。2つのプレート360、350は、回転軸CLに直交する同一平面上に配置されている。図16は、第2中間プレート350の構成を示す図であり、(a)は軸方向に変速機側から見た平面図、(b)は一部分の側面図である。図17は、第1中間プレート360の構成を示す図であり、(a)は軸方向に変速機側から見た平面図、(b)は一部分の側面図である。
第1中間プレート360の中央部には孔が形成されている。この孔には変速機連結シャフト310が通されている。第2中間プレート350は環状の形状を有し、その環の内側に第1中間プレート360が配置される。第1中間プレート360は、第1リング340と第2リング330の略全面を覆う大きさであり、各リング340、330に形成された溝342、332の蓋となっている。第2中間プレート360は、第3リング340と略同じ大きさであり、第3リング320に形成された溝322の蓋となっている。
第1中間プレート360のリング330、340に対向する面には、回転軸CLからの距離の異なる2つの円周上にレバー362、364が形成されている。これらレバー362、364は、プレートの一部を折り曲げることで形成されている。外側のレバー362は第2リング330の溝332の位置に合わせて、溝332内に配置されるコイルバネ374の数だけ設けられている。レバー362は溝332の中まで延びている。図13に示すように、レバー362はコイルバネ374の正回転側の端部を支持するバネ座になっている。なお、図13では、回転軸CLに対して時計周り方向を正回転側とし、反時計方向を逆回転側と仮定している。
内側のレバー364は第1リング340の溝342の位置に合わせて、溝342内に配置されるコイルバネ378の数だけ設けられている。レバー364は溝342の中まで延びている。図13に示すように、レバー364はコイルバネ378の逆回転側の端部を支持するバネ座になっている。このレバー364と溝342の正回転側の端部壁面344との間でコイルバネ378が保持されている。つまり、コイルバネ378は、逆回転側の端部をレバー364を介して第1中間プレート360に接続され、正回転側の端部を第1リング340に接続されている。本実施の形態では、コイルバネ378が本発明にかかる「第2の回転体に接続される第2の弾性部材」に相当する。
第2中間プレート350の第3リング320に対向する面には、回転軸CLからの距離の異なる2つの円周上にレバー352、354が形成されている。これらレバー352、354は、プレートの一部を折り曲げることで形成されている。外側のレバー352は第3リング320の溝322の位置に合わせて、溝322内に配置されるコイルバネ370の数だけ設けられている。レバー354は溝322の中まで延びている。図13に示すように、レバー354はコイルバネ370の正回転側の端部を支持するバネ座になっている。このレバー354と溝322の逆回転側の端部壁面324との間でコイルバネ370が保持されている。つまり、コイルバネ370は、正回転側の端部をレバー352を介して第2中間プレート350に接続され、逆回転側の端部を第3リング320に接続されている。本実施の形態では、コイルバネ370が本発明にかかる「第1の回転体に接続される第1の弾性部材」に相当する。
内側のレバー354は第2リング330の溝332の位置に合わせて、溝332内に配置されるコイルバネ374の数だけ設けられている。レバー354は溝332の中まで延びている。図13に示すように、レバー354はコイルバネ374の逆回転側の端部を支持するバネ座になっている。このレバー354と第1中間プレート360のレバー362との間でコイルバネ374が保持されている。つまり、コイルバネ374は、正回転側の端部をレバー362を介して第1中間プレート360に接続され、逆回転側の端部をレバー354を介して第2中間プレート350に接続されている。
以上説明したダンパ装置300の構成をモデル化したものが図18に示す構成である。この図に示すように、エンジン連結シャフト302と一体回転する第3リング320はコイルバネ370によって第2中間プレート350に接続されている。第2中間プレート350は第2リング330に保持されるコイルバネ374によって第1中間プレート360に接続されている。第1中間プレート360はコイルバネ378によって変速機連結シャフト310と一体回転する第1リング320に接続されている。なお、コイルバネ370は同一円周上に4本配置されているが、これら4本のコイルバネ370は、第3リング320と第2中間プレート350との間で互いに並列に接続されている。他のコイルバネ374、378についても同様である。
つまり、本実施の形態のダンパ装置300は、並列接続された4本のコイルバネ370からなる組と、並列接続された4本のコイルバネ374からなる組と、並列接続された4本のコイルバネ378からなる組とが中間プレート360、350を介して直列に接続された構成を有している。そして、これら直列接続されたコイルバネの組によって、エンジン連結シャフト302と変速機連結シャフト310とが接続されている。
本実施の形態では、第1中間プレート360、第2中間プレート350のそれぞれが本発明にかかる「接続手段」及び「連結部材」に相当している。
[実施の形態3のダンパ装置の動作]
上記の構成を有するダンパ装置300において、エンジンからエンジン連結シャフト302にトルクが入力され、エンジン連結シャフト302が回転すると、エンジン連結シャフト302と一体回転する第3リング320と、変速機連結シャフト310と一体回転する第1リング340との間に捩れが生じる。その捩れ角に応じて、第3リング320と第1リング340との間に配置されるコイルバネ320、324、328が圧縮され、圧縮されたコイルバネ320、324、328からは、そのバネ力が反力として第3リング320及び第1リング340に作用する。このバネ力とエンジンのトルクとが釣り合ったとき、第3リング320と第1リング340はそのときの捩れ角を保ちながら一体回転するようになる。これにより、エンジン連結シャフト302から変速機連結シャフト310へエンジンのトルクが伝達される。
エンジンからエンジン連結シャフト302に入力されるトルクには、エンジンの爆発に起因する振動成分が含まれている。この振動成分によって第3リング320と第1リング340との間の捩れ角にも振動が生じ、それに応じてコイルバネ320、324、328の伸縮量も周期的に変化する。このときの各コイルバネ320、324、328のダンピング作用によって振動成分のエネルギは吸収され、第3リング320から第1リング340には振動成分が緩和されたトルクが伝達される。
なお、図18にモデル化して示すように、コイルバネ374は第2リング330によって保持されている。シャフト302、310間にトルクが作用して各コイルバネ370、374、378が圧縮されると、やがて、第1リング320が第2リング330に当接し、また、第3リング340が第2リング330に当接する。第1リング320と第2リング330との間、及び、第3リング340と第2リング330との間には、リング間の回転を制限するストッパが設けられているからである。リング320、330、340間の回転が制限されることで、各コイルバネ370、374、378の伸縮量も制限されることになる。リング間でストッパが働いたときにダンパ装置300に作用しているトルクが、ダンパ装置300のストッパトルクとなる。
[実施の形態3のダンパ装置の効果]
このダンパ装置300では、複数のコイルバネが回転軸CLからの距離を異ならせて配置され、それら複数のコイルバネは直列に接続されている。これによれば、コイルバネ一本当たりのストローク量は小さくとも、ダンパ装置300全体としてのストローク量を大きくとることができる。ストローク量を大きくとれる分、全体としてのバネ定数をより小さくすることができ、エンジンの振動に起因するこもり音を効果的に抑制することが可能になる。また、このように複数のコイルバネを直列に接続することとすれば、一本の長いコイルバネを用いる場合に比較して伸縮時のフリクションを低減することができ、ダンパ装置300全体としての動バネ定数を小さくすることができる。
また、ダンパ装置300では、回転軸CLから遠くに配置されるコイルバネほど、そのバネ長さは長くなっている。これによれば、回転軸CLの周りのスペースを有効に利用しながら、ダンパ装置300全体としてのバネ定数を小さくすることができる。
また、ダンパ装置300では、同一円周上に配置された4本のコイルバネが並列に接続されている。このように多数のコイルバネが並列に接続されることで、大きなトルクにも対応するだけのバネ力が確保される。つまり、ダンパ装置300の構成によれば、コイルバネの配置スペースを最大限に利用するが可能であり、コイルバネの直列接続によってこもり音を抑制しつつ、コイルバネの並列接続によって大きなトルクも伝達することができる。
また、ダンパ装置300は、全てのコイルバネが回転軸CLに直交する一つの面内に集約して配置されることにより、軸方向の長さの短縮による小型化が実現されている。各コイルバネを連結する連結部材(中間プレート350、360)が薄いプレートで形成され、それらが同一平面内に配置されていることも、ダンパ装置300の軸方向の長さを短縮するのに効いている。なお、コイルバネを保持する円筒部材(リング320、330、340)の数に構造上の制約はないので、円筒部材をより多重に配置することによって直列接続されるコイルバネの本数を増やすことも可能である。また、各円筒部材はその円筒面で相互に支持されているので、高い位置決め精度を実現することができ部材間のフリクションを低減することができるという利点もある。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において変形して実施することもできる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
上記の各実施の形態のダンパ装置において、トルクの入力側と出力側とを入れ替えてもよい。また、コイルバネはトーションスプリング以外のものでもよく、さらに、コイルバネ以外の弾性部材を用いてもよい。ただし、弾性部材としてコイルバネを用いることで、回転体間の伝達トルクに応じた弾性力(バネ力)を容易に確保することができるという利点がある。また、コイルバネによれば伝達トルクの振動に対する伸縮量の変化を大きくとることができるので、振動を効率良く吸収して効果的にこもり音を抑制することができるという利点もある。
本発明にかかるダンパ装置をモデル化して示す図である。 図1に示すダンパ装置モデルにおいてコイルバネのバネ定数の選定方法について説明するための図である。 本発明の実施の形態1としてのダンパ装置の構成を示す断面図である。 図3のダンパ装置においてフロントディスクを軸方向に変速機側から見た平面図である。 図4のフロントディスクにおいて溝内のコイルバネの状態を模式的に示す図である。 図3のダンパ装置の構成をモデル化して示す図である。 図3のダンパ装置におけるエンジントルクとシャフト間の捩れ角との関係の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2としてのダンパ装置においてフロントディスクを軸方向に変速機側から見た平面図である。 図8のフロントディスクにおいて溝内のコイルバネの状態を模式的に示す図である。 図9の構成をモデル化して示す図である。 図10のモデルで実現される捩れ角−トルク特性を示す図である。 本発明の実施の形態3としてのダンパ装置の構成を示す断面図である。 図12のダンパ装置の内部を軸方向に変速機側から見た平面図である。 図12のダンパ装置における第3リングの構成を示す図である。 図12のダンパ装置における第2リングの構成を示す図である。 図12のダンパ装置における第2中間プレートの構成を示す図である。 図12のダンパ装置における第1中間プレートの構成を示す図である。 図12のダンパ装置の構成をモデル化して示す図である。
符号の説明
2 エンジン側回転体
6 連結部材
4、8 コイルバネ
10 変速機側回転体
100 ダンパ装置
102 エンジン連結シャフト
104 エンジン側ケーシング
108、110 レバー
120 変速機連結シャフト
124 変速機側ケーシング
130 スリーブ
132 円鍔
134、136 レバー
140 センタディスク
144、146、148、150 レバー
160 フロントディスク
162、164、166、168 溝
170、172、174、176 ストッパ
180 リアディスク
182、184、186、188 溝
200、204、208、212、216、220、224、228 コイルバネ
210、214 バネ座
300 ダンパ装置
302 エンジン連結シャフト
304 エンジン側ケーシング
310 変速機連結シャフト
314 変速機側ケーシング
320 第3リング
322 溝
330 第2リング
332 溝
340 第1リング
342 溝
350 第2中間プレート
352、354 レバー(バネ座)
360 第1中間プレート
362、364 レバー(バネ座)
370、374、378 コイルバネ
CL 回転軸

Claims (5)

  1. 駆動軸と被駆動軸の何れか一方に連結される第1の回転体と、
    前記第1の回転体と同一の回転軸を有し、前記駆動軸と前記被駆動軸の何れか他方に連結される第2の回転体と、
    前記第1の回転体に接続される第1のコイルバネ、及び前記第2の回転体に接続される第2のコイルバネを含む、前記回転軸を中心とする径の異なる複数の円周上に円周毎に複数ずつ分散して配置された前記回転軸の回転方向を変位方向とする複数のコイルバネと、
    前記第1のコイルバネと前記第2のコイルバネとを両端として前記回転軸からの距離が異なる複数のコイルバネを直列に接続する手段であって、同一の円周上に配置された各コイルバネの一端を連結する連結部材を含み、一つの連結部材を径の異なる円周上に配置されたコイルバネの2つの組間で共用することによって、同一の円周上に配置されたコイルバネ同士は並列に接続して径の異なる円周上に配置されたコイルバネ同士は直列に接続する接続手段と、
    前記回転軸を中心とする弧状の溝によって前記コイルバネを保持するバネ保持部材とを備え、
    前記バネ保持部材は前記回転軸に直交する同一の平面上に配置された径の異なる複数の円筒部材として構成され、
    前記複数の円筒部材は内側の円筒部材の外周面によって外側の円筒部材の内周面を回転可能に支持することで互いに位置決めされ、最も外側に配置される円筒部材は前記第1及び第2の回転体の何れか一方に固定され、最も内側に配置される円筒部材は前記第1及び第2の回転体の何れか他方に固定されており、
    前記円筒部材のそれぞれに、並列接続される1組の前記コイルバネが保持され、
    隣接する前記円筒部材によって保持される2組の前記コイルバネが前記連結部材によって直列に接続されていることを特徴とするダンパ装置。
  2. 直列に接続される前記複数のコイルバネは、前記回転軸から遠くに配置されるものほどバネ長さを長く設定されていることを特徴とする請求項1記載のダンパ装置。
  3. 前記コイルバネの伸縮を制限する制限手段をさらに備え、
    前記回転軸から遠くに配置されるコイルバネは、前記第1及び第2の回転体間の捩れに対し、前記回転軸の近くに配置されるコイルバネよりも小さい捩れ角で伸縮を制限されることを特徴とする請求項2記載のダンパ装置。
  4. 前記複数の円筒部材はそれぞれ同一面に前記溝が形成されており、
    前記連結部材は、前記溝の蓋となる環状のプレート部と、前記プレート部に形成されて内側の円筒部材の溝内に突出する第1のバネ座と、前記プレート部に形成されて外側の円筒部材の溝内に突出する第2のバネ座とから構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のダンパ装置。
  5. 隣接する前記円筒部材間には前記円筒部材間の相対的な回転を制限するストッパが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のダンパ装置。
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