JP2016125585A - ダイナミックダンパ - Google Patents

ダイナミックダンパ Download PDF

Info

Publication number
JP2016125585A
JP2016125585A JP2014266842A JP2014266842A JP2016125585A JP 2016125585 A JP2016125585 A JP 2016125585A JP 2014266842 A JP2014266842 A JP 2014266842A JP 2014266842 A JP2014266842 A JP 2014266842A JP 2016125585 A JP2016125585 A JP 2016125585A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
link
rotating member
mass body
amount
dynamic damper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014266842A
Other languages
English (en)
Inventor
神山 栄一
Eiichi Kamiyama
栄一 神山
聡弘 塚野
Satohiro Tsukano
聡弘 塚野
守弘 松本
Morihiro Matsumoto
守弘 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2014266842A priority Critical patent/JP2016125585A/ja
Publication of JP2016125585A publication Critical patent/JP2016125585A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

【課題】振動減衰性能が広い周波数領域で優れているダイナミックダンパを提供する。
【解決手段】第1部材1と前記第2部材2との相対的な変位を慣性質量体4に伝達して慣性質量体4を動作させる伝達機構5,7,9を備え、その伝達機構5,7,9は、第1部材1と第2部材2との相対的な変位量が予め定めた所定量になっている状態から変位量が増大した場合の増大量に対する慣性質量体4の動作量または動作量の変化量の絶対値よりも、第1部材1と第2部材2との相対的な変位量が予め定めた所定量より大きくなっている状態から変位量が増大した場合の増大量に対する慣性質量体4の動作量または動作量の変化量の絶対値が大きくなるように構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、入力された力もしくはトルクの変動を小さくして出力側に伝達する装置に関し、特に上記の力もしくはトルクの変動によって動作するダイナミックダンパに関するものである。
慣性力は、加速度を生じさせる力に対する抵抗力として作用するので、振動系に慣性質量体を設けることにより、振動を減衰させることができる。その振動は、上下方向などの直線方向に変化する力に起因する振動および回転方向に作用するトルクの変化に起因するいわゆる捩り振動のいずれでも同様である。特許文献1には、入力側の第1フライホイールと出力側の第2フライホイールとを備え、それらのフライホイールの間にスプリングを配置したダンパ機構が記載されている。また、特許文献2には、同一軸線上で対向して配置された第1および第2の回転部材の間に、これらの回転部材の相対的な捩りによって圧縮されるコイルスプリングが配置され、その相対的な捩りによる圧縮力をカム部材を介してコイルスプリングに作用させるように構成された捩り振動減衰装置が記載されている。
さらに、特許文献3には、入力部材と出力部材との間に遊星歯車機構を配置し、入力されるトルクが変化した場合にその遊星歯車機構におけるピニオンギヤを回転させて、入力部材から出力部材に伝達されるトルクを変化させるように構成されたダンパ機構が記載されている。そのピニオンギヤは、円形歯車である第1ピニオンと楕円歯車である第2ピニオンとから構成され、これらのピニオンギヤは同一軸線上に配置されて一体化されており、さらにキャリヤによって保持されている。第1ピニオンギヤには、出力部材と一体化されている第1リングギヤが噛み合っている。また、第2ピニオンギヤには、第2リングギヤが噛み合っており、その第2リングギヤと入力部材との間に、コイルスプリングを備えたいわゆるバネダンパが配置されている。なお、キャリヤは入力部材に連結されている。したがって、引用文献3に記載されたダンパ機構では、入力部材のトルクが一定の状態では、遊星歯車機構の全体が一体となって回転する。これに対して入力部材のトルクが変化すると、コイルスプリングが圧縮されて第2リングギヤが入力部材に対して相対的に回転し、それに伴って第2ピニオンギヤおよび第1ピニオンギヤがキャリヤ上で自転する。その結果、入力部材から出力部材に伝達されるトルクの一部が、各ピニオンギヤや第2リングギヤを回転させるためのトルクとして消費され、あるいは各ピニオンギヤや第2リングギヤの慣性トルクが、入力部材から出力部材に伝達されるトルクに加えられる。そして、このようにして入力部材から出力部材に伝達されるトルクを減じるトルクあるいは増大させるトルクは、入力部材のトルクの変化に対して位相がずれたトルクとなるので、入力部材から出力部材に伝達されるトルクの振動を低減するように作用する。
特開2011−236941号公報 特開2013−190092号公報 国際公開第2014/012545号
特許文献1に記載されたダンパ機構の振動減衰特性は、各フライホイールの間に配置されたスプリングによって大きく制限される。そのスプリングのばね定数を大きくすると低周波数で振幅の大きい振動を減衰しにくくなり、反対にスプリングのばね定数を小さくすると、低周波数の振動の低減性能が向上する。しかしながら、スプリングのばね定数を小さくすると、大きい力もしくはトルクが急激に作用した場合にスプリングが大きく撓んでしまい、力あるいはトルクの伝達応答性が悪化する。そのため、例えば3気筒程度の少気筒エンジンや燃焼気筒を減じた減筒運転可能なエンジンのトルクを伝達する動力伝達系に特許文献1に記載されたダンパ機構を用いると、振動減衰性能の向上とトルク伝達応答性の向上とを両立させることが困難になる。特許文献2に記載された装置においても、第1および第2の回転部材の相対的な捩りによってコイルスプリングを圧縮して振動を減衰させるように構成されているから、特許文献1に記載されているダンパ機構と同様に、低周波数での振動減衰性能の向上とトルク伝達応答性の向上とを両立させることが困難である。
さらに、特許文献3に記載されたダンパ機構においては、第2リングギヤやピニオンギヤはいわゆるバネダンパの出力側(もしくは従動側)に連結されているから、その慣性モーメントは、入力トルクが変動した場合に第2リングギヤを入力部材に対して相対回転させる力として作用する。その相対回転が生じた結果として、入力部材と出力部材との間に相対的な捩れが生じる。したがって、第2リングギヤやピニオンギヤの慣性モーメントおよびそれに伴う慣性力は、入力部材と出力部材との間に相対的な捩れを反映したものとはならず、低周波数振動の減衰特性の向上とトルク伝達応答性の向上とを両立させるためには未だ改善の余地がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、振動減衰性能が広い周波数領域で優れているダイナミックダンパを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、第1部材と第2部材とが弾性体を介して連結され、前記第1部材から前記第2部材に伝達される振動を慣性質量体の慣性力によって減衰するダイナミックダンパにおいて、前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位を前記慣性質量体に伝達して前記慣性質量体を動作させる伝達機構を備え、その伝達機構は、前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位量が予め定めた所定量になっている状態から前記変位量が増大した場合の増大量に対する前記慣性質量体の動作量または動作量の変化量の絶対値よりも、前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位量が前記予め定めた所定量より大きくなっている状態から前記変位量が増大した場合の増大量に対する前記慣性質量体の動作量または動作量の変化量の絶対値が大きくなるように構成されていることを特徴とするものである。
この発明では、前記第1部材は、第1回転部材によって構成され、前記第2部材は、前記第1回転部材と同一軸線上に配置されて前記第1回転部材との間でトルクを伝達する第2回転部材によって構成され、前記慣性質量体は、前記第1回転部材および第2回転部材と同一軸線上に配置された第3回転部材によって構成され、前記伝達機構は、前記第3回転部材の回転中心から外れた所定の半径の位置に一端部が回転可能に連結された第1リンクと、前記第1リンクの前記一端部と前記第1回転部材の回転中心から外れた所定の半径の位置とを連結するように前記第1リンクと前記第1回転部材とに回転可能に連結された第2リンクと、前記第1リンクの前記一端部と前記第2回転部材の回転中心から外れかつ前記第3回転部材における前記第1リンクの一端部が連結されている箇所の半径より大きい半径の位置とを連結するように前記第1リンクと前記第2回転部材とに回転可能に連結された第3リンクとを備えていてよい。
その場合、前記第1リンクと前記第3回転部材との連結部分と、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとを連結する連結部分とを結ぶ第1線分が、前記第2リンクと前記第1回転部材との連結部分と、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとを連結する連結部分とを結ぶ第2線分および前記第3リンクと前記第2回転部材との連結部分と、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとを連結する連結部分とを結ぶ第3線分の間にあってよい。
またこの発明では、前記第1部材は、第1回転部材によって構成され、前記第2部材は、前記第1回転部材と同一軸線上に配置されて前記第1回転部材との間でトルクを伝達する第2回転部材によって構成され、前記慣性質量体は、前記第1回転部材および第2回転部材と同一軸線上に配置された第3回転部材によって構成され、前記伝達機構は、前記第1回転部材または前記第2回転部材に設けられ、かつ前記第1回転部材または前記第2回転部材の回転中心からの半径が連続的に変化するカム面と、前記カム面に沿わされたカムフォロアーと、前記カムフォロアーと前記第1回転部材とを連結するように前記カムフォロアーと前記第1回転部材とに回転可能に連結された第1レバー部材と、前記第1レバー部材に一体化されかつ前記第1レバー部材から前記第3回転部材に向けて延びている第2レバー部材と、前記第3回転部材と前記第2レバー部材とをトルク伝達可能に連結しかつ前記第3回転部材と前記第2レバー部材とが相対回転する場合に前記第3回転部材の略半径方向もしくは前記第2レバー部材の長手方向に移動可能なスライド部材とを備えていてよい。
さらに、この発明では、前記第1部材は、固定部材によって構成され、前記第2部材は、前記第1部材に前記弾性体を介して連結されかつ前記弾性体の弾性力に抗して前記第1部材に接近および離隔する可動部材によって構成され、前記慣性質量体は、前記固定部材と可動部材との中間位置で前記固定部材と可動部材とを結ぶ直線に対して直交する回転中心軸線を中心に回転するように保持された回転体によって構成され、前記伝達機構は、前記回転体の回転中心から外れた位置と前記固定部材もしくは可動部材とを連結しかつ前記回転部材と固定部材とのそれぞれに対して回転可能に連結されたリンク部材によって構成されていてよい。
この発明は、更に、前記慣性質量体の動作に対して流体の粘性抵抗を付与する減衰部材を備えることができる。
一方、前述した第1リンクおよび第2リンクならびに第3リンクを備えている構成では、これらのリンクを相互に回転可能に連結されている連結部に作用する遠心力を減じるバランスウェイトが、前記第1リンクおよび第2リンクならびに第3リンクのうちの少なくともいずれか一つのリンクに設けられていてよい。
また、前述したカムフォロアーと前記スライド部材とを備えている構成では、前記カムフォロアーと前記スライド部材との少なくともいずれか一方に作用する遠心力を減じるバランスウェイトを更に備えていてよい。
この発明においては、第1部材と第2部材との相対変位量が大きい状態での慣性質量体の前記相対変位量に対する動作量が、前記相対変位量が小さい状態での慣性質量体の前記相対変位量に対する動作量より大きい。したがって、例えば第1部材と第2部材とが一定の速度で相対変位した場合、その相対変化量が大きくなるのに従って慣性質量体の動作速度が速くなる。その結果、慣性質量体による慣性トルク(すなわち慣性質量体の見掛け上の質量)が、第1部材と第2部材との相対変位量が大きくなるのに従って大きくなるから、低周波数域の振動に対する振動減衰作用が大きくなる。
前述したように第1ないし第3の回転部材を同一の軸線上に配置し、それらの回転部材を第1ないし第3のリンクによって上記のように連結した構成であれば、低周波数域の振動に対する減衰作用を向上させることができることに加えて、捩り振動低減機能のある軸継ぎ手として構成することができる。
また、この発明では、固定部材とその固定部材に対して接近および離隔する可動部材との間に慣性質量体としての回転体を設け、固定部材と可動部材との間の距離の変更に伴って回転体を回転させるリンク部材を設けた構成とすれば、低周波数域の振動に対する減衰作用に優れた支持部材(マウント部材)あるいはショックアブソーバーを得ることができる。
この発明に係るダイナミックダンパの一例を模式的に示す斜視図である。 その動作の状態を順に示す動作説明図である。 その各部の寸法および角度ならびに遠心力とその分力とを示す解析図である。 各ホイールの相対角度と、入力ホイールに対するディスクの相対角度との関係を示すグラフである。 各ホイールの相対角度と増速比との関係を示すグラフである。 捩りバネによって連結された入力ホイールと出力ホイールとの間に慣性質量体を設けない場合、および慣性質量体の慣性モーメントを異ならせた場合の振動伝達ゲインの例を示すグラフである。 この発明に係るダイナミックダンパの他の例を模式的に示す斜視図である。 図7に示すダイナミックダンパの機構図である。 図7に示すダイナミックダンパと、捩りバネによって連結されかつ粘性抵抗が作用する入力ホイールと出力ホイールとの間に慣性質量体を設けない例、および慣性質量体の慣性モーメントを異ならせた例についての振動伝達ゲインの例を示すグラフである。 出力ホイールとディスクとの間に粘性継手を設けた例を模式的に示す斜視図である。 バランスウェイトを設けた例を示す模式的な斜視図である。 伝達機構をカム機構によって構成した例を模式的に示す斜視図である。 伝達機構をカム機構によって構成しかつバランスウェイトを設けた例を模式的に示す斜視図である。 この発明を直動型のダイナミックダンパに適用した例を模式的に示す断面図である。 その動作を説明するための動作説明図である。 その相対変位量と慣性質量体の回転角速度との比率と、相対変位量との関係を示すグラフである。 その相対変位量に対する回転角の倍率を示すグラフである。 直動型に構成したダイナミックダンパに補助質量体を設けた例を模式的に示す斜視図である。 直動型に構成したダイナミックダンパの内部に粘性流体を封入した例を模式的に示す断面図である。
この発明に係るダイナミックダンパは、加振力が入力される駆動側部材とその駆動側部材から力が伝達される従動側部材とを弾性体を介して連結し、かつこれら駆動側部材と従動側部材との相対的な変位量が大きい場合には小さい場合に比較して見掛け上の慣性質量もしくは慣性モーメントが増大するように構成されている。より具体的には、この発明に係るダイナミックダンパは、駆動側部材と従動側部材とが相対的に変位することにより動作する慣性質量体を備え、前記相対変位量に対する慣性質量体の動作量(したがって動作速度および動作加速度)または動作量の変化量の絶対値が、振幅が大きいことにより前記相対変位量が大きい場合には、振幅が小さいことにより前記相対変化量が小さい場合に比較して大きくなるように構成されている。その加振力はトルクであってもよく、あるいは直線上で変化する押圧力あるいは引っ張り力であってよい。
図1には、捩り振動を低減するダンパとして構成した例を模式的に示してある。ここに示す例は、加振力としてトルクが入力される駆動側部材1とその駆動側部材1からトルクが伝達される従動側部材2とのそれぞれにフライホイールを使用したいわゆる2マスフライホイール式のダンパである。これら駆動側部材1および従動側部材2のいずれか一方がこの発明に係るダイナミックダンパにおける第1部材もしくは第1回転部材に相当し、他方が第2部材もしくは第2回転部材に相当する。なお、この発明における第1回転部材および第2回転部材はフライホイールに限られず、また円板状の部材あるいは板状の部材に限られないのであって、軸状の部材であってもよい。また以下の説明では、駆動側部材1を入力ホイール1と言い、従動側部材2を出力ホイール2と言う。
入力ホイール1と出力ホイール2とは、同一の回転軸線O上に相対回転可能に配置され、これらのホイール1,2の間には、捩りバネ3が配置されている。この捩りバネ3は各ホイール1,2の円周方向もしくは接線方向に向けて配置されたコイルスプリングであって、各ホイール1,2の間に相対的な回転(捩り)が生じた場合に圧縮されて、トルクの変動を緩和するように構成されている。この捩りバネ3がこの発明に係るダイナミックダンパにおける弾性体に相当する。すなわち、ホイール1,2の間にバネダンパが設けられており、その構成は、車両用のクラッチに広く用いられているバネダンパと同様であってよく、特には図示しないが、例えば入力ホイール1と一体の駆動プレートとその駆動プレートに接近させて配置されかつ出力ホイール2に一体の従動プレートとに、円周方向に長い窓孔を形成し、その窓孔の内部にコイルスプリングを配置した構成であってよい。
また、各ホイール1,2の相対的な変位(すなわち捩り)によって動作させられる慣性質量体が設けられている。この慣性質量体は、図1に示す例では、各ホイール1,2の間に、各ホイール1,2と同一の回転軸線O上に配置されたディスク4である。このディスク4がこの発明に係るダイナミックダンパにおける第3回転部材に相当している。なお、この発明における第3回転部材はディスクに限られず、また円板状の部材あるいは板状の部材に限られないのであって、軸状の部材であってもよい。また、その位置は、各ホイール1,2の間に限られない。図1に示す例では、ディスク4は前記各ホイール1,2より半径の小さい円板状をなしており、各ホイール1,2に対して相対回転するように保持されている。また、ディスク4は各ホイール1,2の間に相対的な捩りが生じることにより回転させられるように構成されている。
そのような回転を生じさせるための伝達機構について説明すると、ディスク4の所定の半径位置に、第1リンク5の一端部がピン6を介して回転可能に連結されている。そのピン6の向きは、ディスク4の回転中心軸線と平行な向きであり、したがって第1リンク5はディスク4と平行な平面内で回転できるようになっている。また一方、入力ホイール1の所定の半径位置に、第2リンク7の一端部がピン8によって回転可能に連結されている。そのピン8の向きは、入力ホイール1の回転中心軸線と平行な向きであり、したがって第2リンク7は入力ホイール1と平行な平面内で回転できるようになっている。さらに、出力ホイール2の所定の半径位置に、第3リンク9の一端部がピン10によって回転可能に連結されている。そのピン10の向きは、出力ホイール2の回転中心軸線と平行な向きであり、したがって第3リンク9は出力ホイール2と平行な平面内で回転できるようになっている。そして、各リンク5,7,9の他方の端部が、ピン11によって相互に回転できるように連結されている。
ここで、各リンク5,7,9の一端部の取り付け位置(連結点)の半径と各リンク5,7,9の長さについて説明すると、第1リンク5のディスク4上での連結点の半径r1 と、第2リンク7の入力ホイール1上での連結点の半径r2 と、第3リンク9の出力ホイール2上での連結点の半径r3 とは、一例として、
r1 =r2 <r3
となっている。なお、第1リンク5のディスク4上での連結点の半径r1 が半径r3 よりも小さくなっていればよく、他の半径r2 ,r3 の大小関係はリンクの動作に支障を来さない範囲であれば特に限定されない。また、第1リンク5の長さl1 と、第2リンクl2 と、第3リンクl3 とは、一例として、
l1 =l2<l3
となっている。なお、第3リンク9が他のリンクと同等以上の長さであれば、入力ホイール1と出力ホイール2との相対変位を大きくすることが容易になり、好ましい。詳しくは、第1リンク5の軸線が第2リンク7の軸線と第3リンク9の軸線との間に常々にあることが容易とを実際の動作において容易にしている(軸線とは、各リンクの両端の回転中心を結ぶ線のことを指す。)。第1リンク5と第2リンク7との長さの大小関係は特に限定されない。
つぎに上記のように構成されたダイナミックダンパの作用について説明する。入力ホイール1を例えば図示しないエンジンのクランク軸に連結し、出力ホイール2を図示しない変速機の入力軸に連結する。入力ホイール1に伝達されたトルクは捩りバネ3を介して出力ホイール2に伝達される。各ホイール1,2の間で伝達されるトルクがほぼ一定になっている場合には、そのトルクに応じて捩りバネ3が撓み、トルクが安定している静的状態もしくはトルクの変動がわずかである準静的状態であれば、その撓み状態を維持して各ホイール1,2の間でトルクが伝達される。このような状態がいわゆる中立状態であって、各ホイール1,2およびディスク4の相対位置は以下のようになっている。図2の(a)は中立状態の一例を示しており、入力ホイール1に第2リンク7を連結しているピン8の中心と入力ホイール1の回転中心Oとを結ぶ線を基準線とした場合、出力ホイール2に第3リンク9を連結しているピン10の中心と出力ホイール2の回転中心Oとを結ぶ線と、基準線とのなす角度θd が、ディスク4に対して第1リンク5を連結しているピン6の中心とディスク4の回転中心Oとを結ぶ線と前記基準線とのなす角度θa より大きくなっている。
入力ホイール1に伝達されるトルクの変動によって入力ホイール1が捩り振動すると、捩りバネ3が圧縮され、また圧縮が解除されるために、各ホイール1,2の相対角度θd が変化する。図2の(b)〜(e)はその相対角度θd が次第に増大する過程を示している。図1に示す構成では、第1リンク5が他の二つのリンク7,9よりも短く、第1リンク5をディスク4に連結されているピン6の中心の回転半径r1 が他の回転半径r2 ,r3 より小さいので、各ホイール1,2の相対角度θd が増大するのに従って、入力ホイール1に対するディスク4の相対角度θa が次第に増大するとともに、入力ホイール1に対するディスク4の相対角度θa の増大率が次第に大きくなる。
ここで、これらの相対角度θd ,θa の関係について説明する。図3は上記の基準線をY軸、その基準線に直交する横軸をX軸、前述した回転中心軸線Oの位置を原点としたX−Y座標で各ピン6,8,10,11の位置を示した図である。この図3に示す関係を元にして各相対角度θd およびθa の関係を求める。相対角度θd は設計上決められている。また、任意の相対角度θd を与えたときのθa は下記の(1)式のようになる。
Figure 2016125585
ここで、上記の(1)式におけるA,B,C,D,E,Fならびにα、φおよびδは、以下のとおりである。
Figure 2016125585
各相対回転角θd ,θa の関係は、各ホイール1,2の相対回転角θd によって変化する。中立状態(中立位置)における各ホイール1,2の相対回転角θd が所定の角度θd0になっている場合のディスク4の入力ホイール1に対する相対回転角θa が所定の角度θa0になっている例を図4に示してある。図4に示すように、各ホイール1,2の相対角度θd が中立位置の角度θd0から増大もしくは減少すると、すなわち、各ホイール1,2の間に相対的な捩りが生じると、ディスク4が入力ホイール1に対して相対的に回転させられ、その相対回転角θa が変化し、ディスク4の入力ホイール1に対する捩りが生じる。そのディスク4の入力ホイール1に対する捩り角度は、出力ホイール2の入力ホイール1に対する捩り角度が小さい状態では、出力ホイール2の入力ホイール1に対する捩り角度にほぼ比例して変化するが、出力ホイール2の入力ホイール1に対する捩り角度が大きくなるのに従って、出力ホイール2の入力ホイール1に対する捩り角度の変化量よりも大きく変化する。
図5は、各相対回転角θd ,θa の変化速度の比率、すなわち入力ホイール1に対する出力ホイール2の相対回転角速度(捩り角速度)Δθd と、入力ホイール1に対するディスク4の相対回転角速度Δθa との比率(増速比:Δθa /Δθd )と、各ホイール1,2の相対回転角θd との関係を示している。図5に示すように、前述した各半径r1 ,r2 ,r3 や各リンク5,7,9の長さl1 ,l2 ,l3 を適宜に設定することにより、中立位置付近で各ホイール1,2の相対的な捩りが生じている状態では、増速比が「1」より僅かに大きい程度である。また、ディスク4のいわゆる捩り回転角速度Δθa は、各ホイール1,2の相対回転角θd が大きくなると、すなわち捩り振動の振幅が大きい場合には、上記の増速比が急激に大きくなり、ディスク4の回転角速度Δθa が速くなる。このようにこの発明に係るダイナミックダンパでは、慣性質量体であるディスク4の速度を、各ホイール1,2の相対的な捩り角度が大きくなるのに従って増速させる作用が生じる。すなわち、ディスク4の回転角速度および回転角加速度は、各ホイール1,2の中立状態からの捩り角が大きいほど大きくなり、その変化の傾向は非線形となる。
ディスク4がこのように回転することに起因する慣性力(慣性トルク)が振動の減衰力として作用する。その慣性力(慣性トルク)は、ディスク4の慣性モーメントと回転角加速度との積で表される。したがって、この発明に係る上述したダイナミックダンパでは、捩り角度が大きいほど、振動減衰力が大きくなる。上記の捩り角度が大きくなる振動は、エンジンについて見れば、燃焼気筒数が少ない場合や出力回転数が低回転数の場合に発生するから、上記のダイナミックダンパによれば、低周波数域での振動減衰能が優れる。また、反対に、燃焼気筒数が多い場合あるいは出力回転数が高回転数の場合には、前述した捩り角が小さくなるから、振動の伝達ゲインの増大が抑制もしくは防止される。
ここで、各ホイール1,2の間に設ける慣性質量体の質量による振動減衰能への影響について説明すると、図6は、慣性質量体を設けない例と、慣性質量体の質量を異ならせた例とにおける振動伝達ゲインを示している。なお、振動伝達ゲインは、各ホイールにおいて、任意の周波数における振幅と、無限小周波数における振幅の比である。その測定に供されたダンパは、それぞれ等しい慣性モーメントの一対のディスクを、捩り振動を吸収する所定のばね定数のバネを介して連結したダンパ(慣性質量体を設けない例)と、それらのディスクの間に各ディスクの相対的な捩りに応じて捩り振動する慣性質量体を設け、その慣性質量体の慣性モーメント(質量)を異ならせたダンパである。この慣性質量体を設けた例は、各ディスクの捩れ角と慣性質量体の振幅もしくは捩り方向への変位量とは線形の関係になるように構成された例である。図6では縦軸に振動の伝達ゲインを採り、横軸に周波数(各ホイール1,2の角速度)を採ってある。図6における線C1は慣性質量体を設けていない場合の周波数に応じた伝達ゲインを示し、以下同様に、線C2は小さい慣性モーメントの慣性質量体を設けた場合、線C3は中程度の慣性モーメントの慣性質量体を設けた場合、線C4は大きい慣性モーメントの慣性質量体を設けた場合の振動伝達ゲインを示している。実使用域は、車両においては走行時の角速度(回転数)の領域である。
図6に示すように、共振周波数から実使用域での最低周波数までの間では、大きい慣性モーメントの慣性質量体を使用した場合に最も伝達ゲインが小さくなり、慣性モーメントが大きくなるのに従って振動減衰能が低下することが認められる。また、慣性質量体の慣性モーメントが大きくなるのに従って反共振点(伝達ゲインが最小になる周波数)が高周波数側に変化することが認められる。さらに、反共振点より周波数が高くなると、伝達ゲインが大きくなり(振動減衰作用が小さくなり)、慣性質量体の慣性モーメントが大きいほど伝達ゲインが大きくなって振動減衰作用が小さくなることが認められる。
この発明に係るダイナミックダンパは、前述したように、低周波数側で慣性質量体の回転角加速度が大きくなってその見掛け上の慣性モーメントもしくは慣性力が大きくなり、その反対に高周波数側で慣性質量体の回転角加速度が小さくなってその見掛け上の慣性モーメントもしくは慣性力が小さくなる。したがって、この発明に係るダイナミックダンパの振動伝達ゲインは、図6を参照して説明すれば、実使用域までの周波数領域では、慣性質量体もしくは前述したディスク4の慣性モーメントが大きくなって振動減衰能が高くなる。また、実使用域では振動数が高いことにより慣性質量体もしくは前述したディスク4の慣性モーメントが小さくなり、伝達ゲインの増大もしくは振動減衰能の低下を抑制もしくは防止することができる。
なお、図1に示す構成において、三つのリンク5,7,9を連結しているピン11には、各ディスク1,2と共に回転することによる遠心力が働く。その遠心力Fc は、図3に示すように、第2リンク7の延長方向の分力F2 と、第3リンク9の延長方向の分力F3 とに分解することができる。これらの分力はF2 ,F3 のうち第3リンク9の延長方向の分力F3 は、入力ホイール1に対する出力ホイール2の相対回転(捩り)を減じる方向の力となっている。したがって、各ホイール1,2の相対的な回転もしくは捩りをディスク4に伝達する機構を図1に示すリンク機構によって構成した場合には、各リンク5,7,9を連結している箇所に作用する遠心力Fc によっても振動を低減することができる。
つぎに、この発明の他の具体例について説明する。この発明に係るダイナミックダンパは、上述した捩りバネ3による弾性力および各ホイール1,2とディスク4との慣性力に加えて、粘性抵抗力をも振動減衰力として利用するように構成することができる。その例を図7に記載してある。ここに示す例は、入力ホイール1を円筒状に形成し、その内部に出力ホイール2およびディスク4ならびに各リンク5,7,9などを収容し、かつ入力ホイール1の内部に潤滑油などの所定の粘度のある粘性流体12を減衰部材として充填して構成されている。入力ホイール1の内部においては、ディスク4が入力ホイール1の一方の内側面に対向しかつ接近しており、これらディスク4と入力ホイール1の内側面との間が微小間隙部となっている。また同様に、出力ホイール2の側面と入力ホイール1の他方の内側面とが互いに対向しかつ接近しており、これら出力ホイール2の側面と入力ホイール1の他方の内側面との間が微小間隙部となっている。そして、これらの微小間隙部にも粘性流体12が充満している。なお、図7では、入力ホイール1の一部を破断し、かつ出力ホイール3やディスク4ならびに各リンク5,7,9を分解した状態で示してある。
図7に示す構成では、入力ホイール1と出力ホイール2との間で相対的な回転(捩り)が生じると、上記の各微小間隙部において粘性流体12に対する剪断作用が生じ、粘性流体12による粘性抵抗力が生じる。したがって、図7に示すダイナミックダンパを振動モデルで示せば、図8の(a)あるいは(b)に示すようになる。ここで、入力ホイール1の慣性モーメントをI1 、その回転角度をθ1 、出力ホイール2の慣性モーメントをI2 、その回転角度をθ2 、ディスク4の慣性モーメントをI3 、その回転角度をθ3 、捩りバネ3のバネ係数をk、入力ホイール1と出力ホイール2との間での粘性係数をc、入力ホイール1とディスク4との間の粘性係数をc3 、入力される起振力をP0・Sin(ωt)とすると、下記の式が成り立つ。
Figure 2016125585

もしくは
Figure 2016125585
この発明の一例である上記のダイナミックダンパでは、ディスク4の回転速度が各ホイール1,2の相対的な捩り角もしくはその角速度に対して非線形に変化するから、上記の二つの式においてディスク4の回転角速度を含む項(下線を付してある項)が非線形な減衰項である。このような粘性減衰作用を行うように構成した場合には、共振点での振幅もしくは伝達ゲインのピークを低く抑えることができ、また反共振点での振幅もしくは伝達ゲインの落ち込み(バリー)を抑制することができる。これに加えてこの発明の一例である上記のダイナミックダンパでは、慣性質量体としてのディスク4の回転速度が各ホイール1,2の捩れ角速度に対して非線形に変化するから、実使用域より低い周波数域で振動伝達ゲインを小さくして高い振動減衰能を得ることができるうえに、実使用域の周波数での振動伝達ゲインをも小さく抑え、振動減衰能が低下することを効果的に抑制もしくは防止することができる。これを図9によって説明する。
図9は、各ホイール1,2を捩りバネ3によって連結するとともに、所定の粘性減衰作用を各ホイール1,2の間に生じさせるように構成し、かつ各ホイール1,2の間に慣性質量体を設けない場合、各ホイール1,2の間に設けた慣性質量体の慣性モーメントを異ならせた場合、慣性質量体の動作速度と各ホイール1,2の相対回転速度とが非線形の関係になるように構成した場合の振動伝達ゲインを示している。図9では縦軸に振動の伝達ゲインを採り、横軸に周波数を採ってある。図9における線C11は慣性質量体を設けていない場合の周波数に応じた伝達ゲインを示し、以下同様に、線C12は小さい慣性モーメントの慣性質量体を設けた場合、線C13は中程度の慣性モーメントの慣性質量体を設けた場合、線C14は大きい慣性モーメントの慣性質量体を設けた場合、線C15は大きい慣性モーメントの慣性質量体を各ホイール1,2の相対回転に対して非線形に動作させるように構成した場合の振動伝達ゲインを示している。実使用域は、車両においては走行時の回転数の領域である。
ここに示す各例では、所定の粘性減衰作用を生じさせるように構成されているので、共振点でのピークおよび反共振点でのバリーが抑制されている。また、共振周波数から実使用域での最低周波数までの間では、大きい慣性モーメントの慣性質量体を使用した場合に最も伝達ゲインが小さくなり、慣性質量体の慣性モーメントが小さくなるのに従って振動減衰能が低下することが認められる。さらに、粘性減衰作用を生じさせるように構成されていることにより、実使用域での伝達ゲインが大きくなる。しかしながら、この発明の一例であるダイナミックダンパでは、慣性質量体であるディスク4の動作量(回転角速度)が各ホイール1,2の相対的な捩れ(すなわち振幅)が大きくなるのに非線形に変化するように構成されていることにより、実使用域での振動伝達ゲインは、慣性モーメントを異ならせた場合の各反共振点の振動伝達ゲインを滑らかに繋いだ線で表される値になる。すなわち、実使用域の振動の減衰能が他のいずれの例よりも優れている。
なお、粘性減衰作用を生じさせる減衰部材もしくは粘性減衰機構は、上述した微小間隙部とここに充填した粘性流体に限られない。例えば、図10に示すように、シリンダの内部に、貫通孔を有するピストンと粘性流体(それぞれ図示せず)とを収納した粘性継手13を用意し、そのシリンダとピストンとのいずれか一方を出力ホイール2に連結し、かつ他方をディスク4に連結した構成としてもよい。このような構成であっても、各ホイール1,2の相対捩り角が大きくなるほど、粘性継手13におけるシリンダとピストンとの相対すべ速度が大きくなるので、図7に示すように構成した場合と同様の振動減衰特性を得ることができる。
以上説明した具体例では、第1ないし第3のリンク5,7,9を主体とするリンク機構を1組備えた例を挙げたが、回転する系全体の重心が回転中心からずれることを防止もしくは抑制するために、複数組のリンク機構を円周方向に等間隔に設けてもよい。また、各リンク5,7,9を連結するピン11の箇所に生じる遠心力の影響を軽減するように構成してもよい。その例を図11の(a)および(b)に示してある。図11の(a)に示す例は、前述した第2リンク7を、入力ホイール1に対するピン8を介した連結部から延長し、その延長部の先端部にバランスウェイト14を設けた例である。また、図11の(b)に示す例は、前述した第3リンク9を、出力ホイール2に対するピン10を介した連結部から延長し、その延長部の先端部にバランスウェイト14を設けた例である。これらの延長部は、3本のリンク5,7,9を連結しているピン11とは反対の方向に延びており、したがってバランスウェイト14に作用する遠心力が、ピン11の箇所に作用する遠心力を減じるように働く。その低減量は、バランスウェイト14の質量や前記延長部の長さ、バランスウェイト14の回転中心軸線Oからの距離(半径)などによって決まるから、これら質量や長さを適宜に調整することにより、遠心力の影響を必要に応じて低減することができる。
この発明の更に他の具体例を説明する。この発明において、入力側の部材と出力側の部材との相対的な捩れあるいは相対回転を慣性質量体の動作に置き換える伝達機構は、上述したリンク機構に替えて、カム機構によって構成してもよい。図12にその一例を示してある。ここに示す例では、出力ホイール2は、輪郭がいわゆる星形をなすプレートによって構成されており、その外周面(輪郭面)がカム面2Aとされている。したがってそのカム面2Aは、四つの頂部の間の中央部分が、回転中心軸線からの距離すなわち半径が最も小さい部分となり、その半径が最も小さい部分の両側の輪郭面が頂部に向けて滑らかに連続した面となっている形状である。このカム面2Aに沿って相対的に移動するカムフォロアー15が設けられ、このカムフォロアー15は二股に折れ曲がり、あるいはL字形に折れ曲がったレバー16の一方の腕部16aの先端部に回転可能に取り付けられている。そのレバー16は、屈曲部を貫通するピン8によって、入力ホイール1における出力ホイール2側の側面の外周部に回転可能に取り付けられている。
レバー16の他方の腕部16bはディスク4の一方の側面に対向する位置にまで延びている。これらの腕部16a,16bがこの発明の一例におけるレバー部材に相当している。ディスク4には、その回転中心軸線Oから外側に向けてディスク4の半径方向もしくは略半径方向に直線的に延びたガイド溝4aが形成されている。このガイド溝4aには、ガイド溝4aに沿って前後動するスライド部材17が配置されている。そして、このスライド部材17が、レバー16における他方の腕部16bの先端部に回転可能に取り付けられている。なお、カム面2Aの形状、各腕部16a,16bの開き角度や各腕部16a,16bの長さ、スライド部材17がディスク4に係合している箇所の回転中心軸線Oからの距離などは、各ホイール1,2の相対回転角度(相対的な捩り角度)が大きいほど、ディスク4の回転角速度が速くなるように設定されている。また、上記のカムフォロアー15がカム面2Aに接触した状態を維持するように、レバー16にトルクを付与する図示しない弾性部材が設けられている。その弾性部材の一例は、入力ホイール1に取り付けているピン8に図示しないトーションバネであってよい。前記カム面2Aが、前記出力ホイール2の輪郭面に替えて、出力ホイール2の一方の側面に形成された溝によって形成されている場合には、トーションバネなどの弾性部材を用いる必要はなくなる。
図12に示す構成では、入力されるトルクの振動によって各ホイール1,2に相対的な回転もしくは捩りが生じると、カムフォロアー15がカム面2Aに沿って移動することによりレバー16がピン8を中心にして回動もしくは揺動する。それに伴ってレバー16における他方の腕部16bがスライド部材17を介してディスク4を回転方向に押すので、ディスク4が回転する。その回転速度は、各ホイール1,2の相対回転角度(捩り角度)が大きいほど速くなる。したがって、図12に示すように、カム機構を用いて構成した場合であっても、前述した各具体例と同様に、慣性質量体であるディスク4の見掛け上の質量もしくは慣性モーメントを非線形に変化させ、低周波数域およびそれより高い高周波数域のいずれにおいても優れた振動減衰能を有するダイナミックダンパとすることができる。
なお、図12に示すように構成した場合であっても、遠心力の影響を低減するように構成することができる。その例を図13に示してあり、レバー16には第3の腕部16cが、ピン8との嵌合部分から前記一方の腕部16aとは反対方向に延びて形成されている。その第3の腕部16cの先端部にバランスウェイト14が取り付けられている。このバランスウェイト14で生じる遠心力によるモーメントは、カムフォロアー15で生じる遠心力によるモーメントとは反対方向のモーメントとなるから、遠心力の影響を抑制もしくは回避することができる。
つぎに、ショックアブソーバーなどのいわゆる直動型のダイナミックダンパとして構成した例を説明する。図14に示す例は、エンジンマウントとして構成した例であり、一対の円板41,42が互いに対向して配置され、これらの円板41,42が円筒状の弾性体(例えば防振ゴム)43によって連結されている。その弾性体43の内部に筒状もしくは軸状の慣性質量体44が配置されている。その慣性質量体44は、回転中心軸線を弾性体の中心軸線に対して直交する方向に向けて配置されており、保持機構45によって各円板41,42の中間部に位置するように保持されている。なお、円板41,42のいずれか一方がこの発明の一例における固定部材に相当し、他方が可動部材に相当し、さらに慣性質量体44が回転体に相当している。
その保持機構45は、慣性質量体44の中心軸線に沿う中心軸46の両端部を回転可能に保持するように構成されている。この構成を具体的に説明すると、図14に示すように、各円板41,42の互いに対向する内面に、固定ロッド47,48がほぼ垂直に取り付けられており、各固定ロッド47,48の先端部にアーム49,50の一端部が慣性質量体44の中心軸46と平行な軸線を中心にして回転するように取り付けられている。そして、慣性質量体44の中心軸46がこれらの各アーム49,50の他方の端部に回転可能に嵌合している。なお、図14には前記中心軸46の一方の端部側に設けられている保持機構45のみを示してあるが、他方の端部側にも図14に示す構成と同様の構成の保持機構が設けられている。
したがって、各円板41,42の間隔が変化すると、各アーム49,50の一方の端部の間隔が増大もしくは減少することにより、各アーム49,50はそれらの間の角度である開き角度が増大もしくは減少するように回動し、それに伴って各アーム49,50の他方の端部すなわち当該他方の端部によって保持されている慣性質量体44が図14の上下方向に平行移動する。その移動量は、各アーム49,50の長さが同じであれば、各円板41,42の間隔の変化量の半分である。すなわち、図14に示す保持機構45は差動リンク機構によって構成されている。したがって、保持機構45は、一対のラックと、それらのラックの間に挟み込まれて各ラックに噛み合っているピニオンギヤとからなる差動歯車機構によって構成することもできる。
また、一方の円板(図14の例では上側の円板)41の内面と慣性質量体44の端面における回転中心から外れた箇所とを連結する連結軸51が設けられ、その連結軸51は一方の円板41と慣性質量体44とのそれぞれに回転可能に取り付けられている。なお、各円板41,42の外面中心部には、取付用のネジ軸52,53が設けられている。
図15は動作説明図であって、図15の(b)は中立状態を示している。中立状態では、中心軸46と連結軸51が取り付けられている箇所とを結ぶ線が、各円板41,42とほぼ平行、すなわち振動方向とほぼ直交する方向を向いている。この中立状態から各円板41,42の間隔が所定寸法y、拡がると(図15の(a)に示す状態)、慣性質量体44は各円板41,42の間隔の拡大量yの半分の寸法だけ平行移動する。これに対して連結軸51は各円板41,42の間隔の拡大量yとほぼ同じ寸法、移動する。したがって慣性質量体44の中心軸46の移動量と、連結軸51が取り付けられている箇所の移動量とが異なるから、慣性質量体44にモーメントが作用して慣性質量体44が所定角度θ、回転する。これと同様に、各円板41,42の間隔が中立状態から所定寸法y、小さくなると(図15の(c)に示す状態)、慣性質量体44が上記の所定寸法yの半分の寸法だけ平行移動するのに対して、連結軸51が取り付けられている箇所が上記の所定寸法yとほぼ同じ寸法、移動するので、慣性質量体44にモーメントが作用して慣性質量体44が所定角度θ、回転する。したがって、上記の保持機構45および連結軸51がこの発明の一例であるダイナミックダンパにおける伝達機構に相当している。
上記の中立状態からの各円板41,42の間隔の変化量yがこの発明の一例としてのダイナミックダンパにおける相対的な変位に相当し、図14に示す構成におけるその変位量yと慣性質量体44の回転角速度Δθとの関係は、図16に示すようになる。図16の横軸は変位量yであり、縦軸は回転角速度Δθである。また、中立状態すなわち変位量yが「0」の状態における慣性質量体44の回転角を「1」とし、この回転角に対する所定の変位量yの時の回転角の倍率nを図17に示してある。図17で横軸は変位量yであり、縦軸は回転角の倍率nである。これら図16および図17に示すように、変位量yに対する慣性質量体44の回転角および回転角速度は非線形特性となり、また当然、変位量yに対する慣性質量体44の回転角加速度も非線形特性となる。したがって、この発明の一例であるダイナミックダンパをショックアブソーバーなどのいわゆる直動型もしくは往復運動系のダンパとして構成した場合であっても、慣性質量体44の見掛け上の慣性モーメントもしくは質量を周波数に応じて変化させることができ、その結果、低周波数の振動および高周波数の振動に対する振動減衰能を向上させることができる。
なお、図14に示す構成において、慣性質量体44の慣性モーメントもしくは質量を、より増大させる場合には、図18に示すように、中心軸46を前記弾性体43を貫通させてその外部にまで延ばし、その中心軸46の端部に補助質量体54を取り付ければよい。
また、この発明に係るダイナミックダンパでは、図19に示すように上記の円筒状の弾性体43の内部を液密構造とし、その内部に減衰部材として粘性流体55を封入してもよい。このような構成とすれば、慣性質量体44の回転に対して粘性抵抗を付与できるので、振動伝達ゲインの共振点でのピークおよび反共振点でのバリーを抑制できる。
以上、この発明の具体例を説明したが、この発明は上述した各具体例に限定されないのであって、この発明では、特許請求の範囲に記載されている構成を逸脱しない種々の構成を採用してよい。
1…駆動側部材(入力ホイール)、 2…従動側部材(出力ホイール)、 3…捩りバネ、 4…ディスク、 5…第1リンク、 6,8,10,11…ピン、 7…第2リンク、 9…第3リンク、 12…粘性流体、 13…粘性継手、 14…バランスウェイト、 2A…カム面、 15…カムフォロフー、 16…レバー、 16a、16B,16c…腕部、 O…回転中心軸線、 4a…ガイド溝、 17…スライド部材、 41,42…円板、 43…弾性体(防振ゴム)、 44…慣性質量体、 45…保持機構、 46…中心軸、 47,48…固定ロッド、 49,50…アーム、 51…連結軸、 52,53…ネジ軸、 54…補助質量体、 55…粘性流体。

Claims (8)

  1. 第1部材と第2部材とが弾性体を介して連結され、前記第1部材から前記第2部材に伝達される振動を慣性質量体の慣性力によって減衰するダイナミックダンパにおいて、
    前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位を前記慣性質量体に伝達して前記慣性質量体を動作させる伝達機構を備え、
    その伝達機構は、前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位量が予め定めた所定量になっている状態から前記変位量が増大した場合の増大量に対する前記慣性質量体の動作量または動作量の変化量の絶対値よりも、前記第1部材と前記第2部材との相対的な変位量が前記予め定めた所定量より大きくなっている状態から前記変位量が増大した場合の増大量に対する前記慣性質量体の動作量または動作量の変化量の絶対値が大きくなるように構成されている
    ことを特徴とするダイナミックダンパ。
  2. 前記第1部材は、第1回転部材によって構成され、
    前記第2部材は、前記第1回転部材と同一軸線上に配置されて前記第1回転部材との間でトルクを伝達する第2回転部材によって構成され、
    前記慣性質量体は、前記第1回転部材および第2回転部材と同一軸線上に配置された第3回転部材によって構成され、
    前記伝達機構は、前記第3回転部材の回転中心から外れた所定の半径の位置に一端部が回転可能に連結された第1リンクと、前記第1リンクの前記一端部と前記第1回転部材の回転中心から外れた所定の半径の位置とを連結するように前記第1リンクと前記第1回転部材とに回転可能に連結された第2リンクと、前記第1リンクの前記一端部と前記第2回転部材の回転中心から外れかつ前記第3回転部材における前記第1リンクの一端部が連結されている箇所の半径より大きい半径の位置とを連結するように前記第1リンクと前記第2回転部材とに回転可能に連結された第3リンクとを備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ。
  3. 前記第1リンクと前記第3回転部材との連結部分と、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとを連結する連結部分とを結ぶ第1線分が、前記第2リンクと前記第1回転部材との連結部分と、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとを連結する連結部分とを結ぶ第2線分および前記第3リンクと前記第2回転部材との連結部分と、前記第1リンクと前記第2リンクと前記第3リンクとを連結する連結部分とを結ぶ第3線分の間にあることを特徴とする請求項2に記載のダイナミックダンパ。
  4. 前記第1部材は、第1回転部材によって構成され、
    前記第2部材は、前記第1回転部材と同一軸線上に配置されて前記第1回転部材との間でトルクを伝達する第2回転部材によって構成され、
    前記慣性質量体は、前記第1回転部材および第2回転部材と同一軸線上に配置された第3回転部材によって構成され、
    前記伝達機構は、前記第1回転部材または前記第2回転部材に設けられ、かつ前記第1回転部材または前記第2回転部材の回転中心からの半径が連続的に変化するカム面と、前記カム面に沿わされたカムフォロアーと、前記カムフォロアーと前記第1回転部材とを連結するように前記カムフォロアーと前記第1回転部材とに回転可能に連結された第1レバー部材と、前記第1レバー部材に一体化されかつ前記第1レバー部材から前記第3回転部材に向けて延びている第2レバー部材と、前記第3回転部材と前記第2レバー部材とをトルク伝達可能に連結しかつ前記第3回転部材と前記第2レバー部材とが相対回転する場合に前記第3回転部材の略半径方向もしくは前記第2レバー部材の長手方向に移動可能なスライダー部材とを備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ。
  5. 前記第1部材は、固定部材によって構成され、
    前記第2部材は、前記第1部材に前記弾性体を介して連結されかつ前記弾性体の弾性力に抗して前記第1部材に接近および離隔する可動部材によって構成され、
    前記慣性質量体は、前記固定部材と可動部材との中間位置で前記固定部材と可動部材とを結ぶ直線に対して直交する平面内にある回転中心軸線を中心に回転または揺動するように保持された回転体によって構成され、
    前記伝達機構は、前記回転体の回転中心から外れた位置と前記固定部材もしくは可動部材とを連結しかつ前記回転部材と固定部材とのそれぞれに対して回転可能に連結されたリンク部材によって構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ。
  6. 前記慣性質量体の動作に対して流体の粘性抵抗を付与する減衰部材が更に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
  7. 前記第1リンクおよび第2リンクならびに第3リンクを相互に回転可能に連結されている連結部に作用する遠心力を減じるバランスウェイトが、前記第1リンクおよび第2リンクならびに第3リンクのうちの少なくともいずれか一つのリンクに設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載のダイナミックダンパ。
  8. 前記カムフォロアーと前記スライダー部材との少なくともいずれか一方に作用する遠心力を減じるバランスウェイトを更に備えていることを特徴とする請求項4に記載のダイナミックダンパ。
JP2014266842A 2014-12-27 2014-12-27 ダイナミックダンパ Pending JP2016125585A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014266842A JP2016125585A (ja) 2014-12-27 2014-12-27 ダイナミックダンパ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014266842A JP2016125585A (ja) 2014-12-27 2014-12-27 ダイナミックダンパ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016125585A true JP2016125585A (ja) 2016-07-11

Family

ID=56359215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014266842A Pending JP2016125585A (ja) 2014-12-27 2014-12-27 ダイナミックダンパ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016125585A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018030443A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車両の制御装置
JP2021162112A (ja) * 2020-04-01 2021-10-11 株式会社Subaru ダイナミックダンパ装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018030443A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 トヨタ自動車株式会社 ハイブリッド車両の制御装置
JP2021162112A (ja) * 2020-04-01 2021-10-11 株式会社Subaru ダイナミックダンパ装置
JP7393284B2 (ja) 2020-04-01 2023-12-06 株式会社Subaru ダイナミックダンパ装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5664804B2 (ja) 捩り振動減衰装置
CN104455199B (zh) 扭转准零刚度隔振器
EP1402327B1 (en) Force-controlling mechanical device
JP6252686B2 (ja) ダンパ装置
WO2012124014A1 (ja) 振動減衰装置
JP2014098493A (ja) トルクコンバータ
JP5185438B2 (ja) ねじり振動ダンパー
WO2011101965A1 (ja) ダイナミックダンパ
WO2015108130A1 (ja) 遠心振子式吸振装置およびその次数設定方法
JP5970367B2 (ja) 遠心振子式吸振装置およびその次数設定方法
JP2012145190A (ja) ダイナミックダンパ
KR20160133366A (ko) 토션 진동 댐핑 장치
JP2016125585A (ja) ダイナミックダンパ
JP4890599B2 (ja) ねじり振動ダンパ
JP2016014425A (ja) 遠心振子式吸振装置
JP6235853B2 (ja) 回転変動試験機
US20190203800A1 (en) Damper device
JP2013148211A (ja) 振子ダンパ
US9732826B2 (en) Centrifugal pendulum vibration control device
JP7444150B2 (ja) 振動抑制装置
KR101836635B1 (ko) 차량용 진동 저감 장치
JP2021038833A (ja) 捩り振動低減装置
JP5381627B2 (ja) 捩り振動減衰装置
RU2276750C2 (ru) Устройство гашения крутильных колебаний
RU64722U1 (ru) Гаситель крутильных колебаний