JP5182425B2 - 識別装置 - Google Patents

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Description

本発明は、識別装置に関する。
運転者の生理状態を検出することは、生理状態悪化による事故発生の抑止に寄与する。このため、運転者の脈拍や心拍の状態を用いて運転者の生理状態を検出する検出手法がある。例えば、検出手法を実行する装置は、運転者と接触した2つの電極間の電位差信号を測定し、測定した電位差信号から運転者の脈拍や心拍を示す心電信号を識別する。そして、識別した心電信号を用いて、運転者の生理状態として眠気や覚醒度などを検出する。
ここで、検出手法を実行する装置によって測定される電位差信号には、車両に搭載された他の電子機器から発生するノイズや車両の周囲にて発生するノイズが含まれ、また、電位差信号に含まれる心電信号は微弱である。このため、検出手法を実行する装置は、電位差信号を所定の増幅率で増幅したうえで心電信号を識別する。
また、微弱な心電信号を識別するには、電位差がなるべく大きくなる2つの位置を用いて電位差信号を測定した方が良い。このため、検出手法を実行する装置は、心臓を挟んだ2つの位置にある電極間の電位差信号を測定する。心臓を挟んだ2つの位置とは、例えば、右手と左手との組み合わせや、右手と座面(臀部)との組み合わせ、左手と座面との組み合わせなどが該当する。
例えば、運転者によって接触される電極は、車両の操舵部(ハンドル)や座面などに予め複数設けられる。そして、運転者が座席に座わることで座面に設けられた電極が運転者の臀部によって接触され、運転者がハンドルを握ることでハンドルに設けられた電極が運転者の手によって接触されると、検出手法を実行する装置は、2つの電極間の電位差信号を測定する。
特開2008−237379号公報
しかしながら、上記の検出手法は、心電信号がノイズに埋もれがちであるという課題があった。心臓は、体の中心から少しずれた位置に位置する結果、心臓を挟んだ2つの位置の組み合わせごとに、電位差信号に含まれる心電信号の強さが異なる。この結果、心臓を挟んだ2つの位置の組み合わせごとに、電位差信号から心電信号を識別する際に用いるのに適した増幅率も異なると考えられる。ここで、上記の検出手法では、ハンドルに設けられた電極と接触したのが右手なのか左手なのかを区別しておらず、2つの位置の組み合わせに適した増幅率を適用できず、心電信号がノイズに埋もれがちであった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ハンドルに設けられた電極と接触したのが右手なのか左手なのかを区別可能な識別装置を提供することを目的とする。
開示の識別装置の一つの態様によれば、識別装置は、装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち運転者によって接触された2つの接触電極間の電位差信号、および/または、装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち1つの接触電極と該操舵部に設けられた電極とは別の接触電極との間の電位差信号を測定する測定部を備える。また、識別装置は、前記操舵部に設けられた複数の電極のうち運転者の手によって接触された接触電極を識別する電極識別部を備える。また、識別装置は、前記操舵部の回転状態と、前記電極識別部によって識別された接触電極の操舵部における位置とに基づいて、該接触電極が接触している運転者の手の左右の別を判別する判別部を備える。また、識別装置は、前記判別部による判別結果に基づいて決定された増幅率を用いて増幅された電位差信号から、心電の拍を識別する拍識別部を備える。
開示の識別装置の一つの態様によれば、ハンドルに設けられた電極と接触したのが右手なのか左手なのかを区別可能である。
図1は、実施例1に係る識別装置の構成の一例について説明するためのブロック図である。 図2は、実施例2に係る識別装置の構成の一例について説明するためのブロック図である。 図3は、実施例2におけるハンドル電極の一例について説明するための図である。 図4は、実施例2におけるシートに設けられるシート電極の一例について説明するための図である。 図5は、実施例2におけるハンドル電極とシート電極とが電気的状態を検知する処理について説明するための図である。 図6は、実施例2における選択回路の一例について説明するための図である。 図7は、実施例2における電位差測定部によって増幅処理部に送られる電位差信号の一例について説明するための図である。 図8−1は、フィルタリング処理が行われる前と後との違いについて説明するための図である。 図8−2は、フィルタリング処理が行われる前と後との違いについて説明するための図である。 図8−3は、フィルタリング処理が行われる前と後との違いについて説明するための図である。 図8−4は、フィルタリング処理が行われる前と後との違いについて説明するための図である。 図9は、実施例2における電位差記憶部によって記憶された情報の一例について説明するための図である。 図10は、実施例2における判別結果記憶部によって記憶された情報の一例について説明するための図である。 図11−1は、接触電極を識別する処理について説明するための図である。 図11−2は、接触電極を識別する処理について説明するための図である。 図11−3は、接触電極を識別する処理について説明するための図である。 図12−1は、ハンドルの回転状態とハンドル電極の位置との関係について説明するための図である。 図12−2は、ハンドルの回転状態とハンドル電極の位置との関係について説明するための図である。 図13は、実施例2における判別部による処理について説明するための図である。 図14は、実施例2における制御部による処理の流れの一例について説明するためのフローチャートである。 図15は、実施例2に係る識別プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
以下に、開示の識別装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係る識別装置100の構成の一例について説明する。図1は、実施例1に係る識別装置の構成の一例について説明するためのブロック図である。識別装置100は、図1に示す例では、測定部101と、電極識別部102と、判別部103と、拍識別部104とを有する。
測定部101は、装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち運転者によって接触された2つの接触電極間の電位差信号を測定する。また、測定部101は、装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち1つの接触電極と、操舵部に設けられた電極とは別の接触電極との間の電位差信号を測定する。
電極識別部102は、操舵部に設けられた複数の電極のうち運転者の手によって接触された接触電極を識別する。そして、判別部103は、操舵部の回転状態と、電極識別部102によって識別された接触電極の操舵部における位置とに基づいて、接触電極が接触している運転者の手の左右の別を判別する。
拍識別部104は、判別部103による判別結果に基づいて決定された増幅率を用いて増幅された電位差信号から、心電の拍を識別する。
すなわち、実施例1に係る識別装置100は、電極が設けられた操舵部を利用者が握ると、手が触れた電極の位置と操舵部の回転角度とから左右どちらの手が触れたかを判別し、判別した手に適した増幅率を用いて心電の拍を識別する。
上述したように、実施例1によれば、操舵部に設けられた電極と接触したのが右手なのか左手なのかを区別可能である。ここで、心臓は、体の中心から少しずれた位置に位置する結果、心臓を挟んだ2つの位置の組み合わせごとに、電位差信号に含まれる心電信号の強さが異なる。この結果、心臓を挟んだ2つの位置の組み合わせごとに、電位差信号から心電信号を識別する際に用いるのに適した増幅率も異なると考えられる。実施例1によれば、電極と接触したのが右手なのか左手なのかを区別できる結果、電位差信号が測定された2つの位置の組み合わせに適した増幅率を用いて心電の拍を識別でき、ノイズに埋もれがちな微弱な心電信号を高精度に識別可能である。また、右手であっても左手であっても精度良く心電信号を検出できるので、心電信号を検出できる継続的な時間を増加させることができる。
なお、実施例中では、車両に設けられた操舵部を例として説明している。しかし、操舵部は、心電検出対象とすべき人の両手または片手が継続的かつ電気的に接触される部位であれば、操舵部が設けられているのは車両に限る必要は無く、また操舵部に限る必要は無い。
[実施例2に係る識別装置の構成]
次に、実施例2に係る識別装置200について説明する。まず、図2を用いて、実施例2に係る識別装置200の構成の一例について説明する。図2は、実施例2に係る識別装置の構成の一例について説明するためのブロック図である。実施例2に係る識別装置200は、図2に示す例では、ハンドル電極201と、シート電極202と、選択回路203と、電位差測定部204と、増幅処理部205と、記憶部300と、制御部400とを有する。
ハンドル電極201は、選択回路203と接続される。また、ハンドル電極201は、車両のハンドル501に複数設けられる。なお、ハンドル501は、操舵部やステアリングホイールとも称される。ここで、ハンドル電極201の構造の一例について、図3を用いて説明する。図3は、実施例2におけるハンドル電極の一例について説明するための図である。図3では、12個のハンドル電極201が、ハンドル501の円周方向に沿って均等な大きさで設けられた場合を例に示した。図3の「1」〜「12」は、それぞれ、ハンドル電極201を示す。なお、以下では、特に言及しない限り、ハンドル電極201がハンドル501に「12」個設けられる場合を例に説明する。また、以下では、「12」個あるハンドル電極201をそれぞれハンドル電極「1」やハンドル電極「2」などと記載する。
図2に戻ると、ハンドル電極201は、運転者によってハンドル501が握られることで、運転者によって接触される。図3の(2)に示す例では、ハンドル電極「3」が運転者の右手によって接触され、ハンドル電極「9」が運転者の左手によって接触される。
また、ハンドル電極201は、車両の電位を基準電位とした場合における自電極の電位を検知する。具体的には、複数あるハンドル電極201それぞれは、自ハンドル電極201の電位を検知する。より詳細には、ハンドル電極201のうち、運転者の手によって接触されたハンドル電極201は、車両の電位を基準電位とした場合における運転者の手の電位を検知する。
また、ハンドル電極201は、検知した電位を選択回路203に送る。具体的には、ハンドル電極201は、定期的に電位を検知し、検知するごとに検知した電位を送る。
シート電極202は、電位差測定部204と接続される。シート電極202の構造の一例について、図4を用いて説明する。図4は、実施例2におけるシートに設けられるシート電極の一例について説明するための図である。シート電極202は、ハンドル501に設けられた電極とは別の電極であり、車両のシート502に設けられる。図4に示す例では、シート電極202は、シート502の部材であるシート部材503上に、下部電極504、絶縁層505、上部電極506や507、保護部材508が順に積層された構造を有する。
ここで、保護部材508には、導電部509が設けられる。導電部509は、上部電極506や上部電極507と接続される。なお、導電部509は、例えば、保護部材508に設けられた開口部を有する孔部の内壁に設けられる。上部電極506や上部電極507は、運転者の臀部の右側と左側とからそれぞれ電気的状態を検知する。
下部電極504は、アースと接地され、絶縁層505を介して上部電極506や上部電極507と対向する。この結果、上部電極506若しくは上部電極507と、下部電極504との組み合わせが、シート502に設けられた電極として機能する。
なお、以下では、上部電極506と上部電極507とを区別しない場合を例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上部電極506と上部電極507とが、電気的に独立しており、運転者の臀部の右側と左側からそれぞれ別個に電気的状態を検知しても良い。また、上部電極506と上部電極507とが電気的に独立している場合には、上部電極ごとに個別の下部電極を設けても良い。
シート電極202は、運転者がシート502に着座することで運転者によって接触される。図4に示す例では、運転者がシート502に着座する結果、上部電極506や上部電極507が導電部509を介して運転者の臀部によって接触されることで、シート電極202は、運転者によって接触される。なお、実施例2では、特に言及しない限り、シート電極202が運転者によって接触されている場合を例に説明する。つまり、運転者がシート502に着座している場合を例に説明する。
また、シート電極202は、車両の電位を基準電位とした場合における自電極の電位を検知する。例えば、シート電極202は、運転者の臀部によって接触され、車両の電位を基準電位とした場合における運転者の臀部の電位を検知する。そして、シート電極202は、検知した電位を電位差測定部204に送る。具体的には、シート電極202は、定期的に電位を検知し、検知するごとに検知した電位を送る。
なお、シート電極202は、心電検出対象とすべき人の心臓を挟んで手と異なる側に位置する体の一部に継続的かつ電気的に接触できる位置であれば、シート502以外に設けられた電極であっても構わない。
ハンドル電極201とシート電極202とが電位を検知する処理について、図5を用いてさらに説明する。図5は、実施例2におけるハンドル電極とシート電極とが電位を検知する処理について説明するための図である。図5では、説明の便宜上、ハンドル501にハンドル電極201が「2」個設けられ、「2」個あるハンドル電極201が、それぞれ、運転者の左右の手によって接触された場合を例に説明する。
ここで、運転者の心臓513から腕までは、電気的には抵抗成分とみなせる。運転者の手は、電気的にはRC(resistor capacitor)並列回路とみなせる。運転者の心臓513から臀部までは電気的には抵抗成分とみなせる。また、ズボンやスカートなどの着衣は電気的にはRC並列回路とみなせる。この結果、運転者自身を含む等価回路は図5に示すようになる。なお、図5では、運転者の心臓513から右腕までの抵抗成分を抵抗514と記載し、右手をRC並列回路515と記載し、運転者の心臓513から左腕までの抵抗成分を抵抗516と記載し、左手をRC並列回路517と記載した。また、心臓513から臀部までの抵抗成分を抵抗518と記載し、着衣をRC並列回路519と記載した。また、オペアンプを「OP」と記載した。
図5に示すように、オペアンプ510は、2つの入力を有する。また、オペアンプ510は、一方の入力に対して、抵抗514とRC並列回路515とを経由して心臓513の心筋活動電位が入力され、他方の入力に対して、基準電位となる車体フレームの電位が入力される。そして、オペアンプ510は、車体フレームの電位を基準電位とした場合における心筋活動電位を増幅した上で出力する。また、オペアンプ511は、オペアンプ510と同様に、抵抗516とRC並列回路517とを経由して心臓513の心筋活動電位が入力され、心筋活動電位を増幅した上で出力する。また、オペアンプ512は、オペアンプ510と同様に、抵抗518とRC並列回路519とを経由して心臓513の心筋活動電位が入力され、心筋活動電位を増幅した上で出力する。
つまり、図5に示す例では、オペアンプ510は、運転者の右手から心筋活動電位を検知し、検出した心筋活動電位を増幅したうえで選択回路203に送る。また、オペアンプ511は、運転者の左手から心筋活動電位を検知し、増幅したうえで選択回路203に送る。また、オペアンプ512は、運転者の臀部から心筋活動電位を検知し、増幅したうえで電位差測定部204に送る。
なお、オペアンプ510〜512が心筋活動電位を増幅したうえで送るのは、車体フレームの電位を基準電位とした場合における心筋活動電位が微弱であることを踏まえてのことである。また、オペアンプ510〜512は、固定の増幅率を用いて増幅する。
図2に戻ると、選択回路203は、ハンドル電極201、電位差測定部204および制御部400と接続される。選択回路203は、ハンドル501に設けられた複数のハンドル電極201からそれぞれ電位を受信し、受信した電位を電位差測定部204に送る。
具体的には、選択回路203は、複数のハンドル電極201から受信した電位それぞれを同時に送るのではなく、任意のハンドル電極201から受信した電位を電位差測定部204に送る。また、選択回路203は、所定のタイミングごとに、電位差測定部204に送る電位の送信元となるハンドル電極201を切り替える。
ここで、選択回路203の一例について、図6を用いてさらに説明する。図6は、実施例2における選択回路の一例について説明するための図である。図6では、説明の便宜上、ハンドル501やハンドル電極201も併せて示した。図6に示す例では、選択回路203は、ハンドル501に設けられたハンドル電極201各々に対応するアナログスイッチ520を有する。そして、選択回路203は、各アナログスイッチ520のうち1つを「ON」に設定する。この結果、選択回路203は、「ON」に設定したアナログスイッチ520に対応するハンドル電極201からの電位を電位差測定部204に送る。また、選択回路203は、アナログスイッチ520のうち1つを「ON」に設定した際には、他のアナログスイッチ520を「OFF」に設定する。この結果、選択回路203は、「OFF」に設定したアナログスイッチ520に対応するハンドル電極201からの電位を、電位差測定部204に送らない。なお、図6の「GND」に示すように、選択回路203が、アースに接続されたアナログスイッチを有する場合を例に示した。
また、例えば、選択回路203は、所定の時間が経過するごとに「ON」に設定するアナログスイッチ520を変更する。より詳細には、選択回路203は、電位差測定部204に送る電気信号の検知元となるハンドル電極201をハンドル電極「1」から順にハンドル電極「12」へと変更する。また、選択回路203は、ハンドル電極「12」の次にはハンドル電極「1」に変更し、検知元となるハンドル電極201を変更する処理を繰り返す。
図2に戻ると、電位差測定部204は、選択回路203、シート電極202および増幅処理部205と接続される。電位差測定部204は、車両のハンドル501に設けられた複数のハンドル電極201のうち運転者によって接触された接触電極と、運転者によって接触されたシート電極202との間の電位差を測定する。
具体的には、まず、電位差測定部204は、ハンドル電極201によって検知された電位を選択回路203から受信し、また、シート電極202によって検知された電位をシート電極202から受信する。そして、電位差測定部204は、選択回路203から受信した電位と、シート電極202から受信した電位との電位差を測定する。この結果、ハンドル電極201が運転者によって握られている場合には、電位差測定部204は、接触電極についての電位を受信することになり、接触電極とシート電極202との間の電位差を測定する。
また、電位差測定部204は、測定した電位差を増幅処理部205に送る。電位差測定部204によって送られる電位差について、図7を用いてさらに説明する。図7は、実施例2における電位差測定部によって増幅処理部に送られる電位差信号の一例について説明するための図である。図7において、縦軸は電位差を示し、横軸は時間軸を示す。以下では、ある瞬間の電位差の値に限定せず、ある時間位置から継続して測定された電位差の値各々を電位差信号と記載する。
ここで、図7の「測定周期」は、複数のハンドル電極201各々の検知電位を用いて測定された電位差信号の出力が一巡するのに要する周期を示す。すなわち、図7の「測定周期」は、ハンドル電極「1」についての電位差信号を出力し始めてから、ハンドル電極「12」についての電位差信号を出力し終わるまでに要する時間を示す。図7に示す例では、図7の時間軸上における「1」は、ハンドル電極「1」についての電位差信号を示し、図7の時間軸上における「2」は、ハンドル電極「2」についての電位差信号を示す。
ところで、ハンドル501には複数のハンドル電極201が設けられており、複数あるハンドル電極201には運転者の手によって接触されたものもあれば、接触されていないものもある。ここで、運転者の手によって接触された接触電極についての電位差と、運転者の手によって接触されていない未接触電極についての電位差とは、異なる値を示す。
具体的には、運転者は車両と接触している。このため、ハンドル電極201は、運転者によって接触されると、車両の電位である基準電位に近い電位を検知する。言い換えると、接触電極は、未接触電極によって検知される電位と比較して、基準電位に近い値を検知する。また、シート電極202は、運転者の臀部によって接触される。このため、シート電極202は、未接触電極にて検知される電位よりも基準電位に近い値を検知する。
この結果、「シート電極202にて検知された電位」と「接触電極にて検知された電位」との電位差は、「シート電極202にて検知された電位」と「未接触電極にて検知された電位」との電位差と比較して、小さな値になる。例えば、運転者の手によってハンドル電極「3」と「9」とが接触された場合には、図7に示すように、ハンドル電極「3」やハンドル電極「9」についての電位差は、他のハンドル電極201についての電位差と比較して、小さな電位差になる。
図2に戻ると、増幅処理部205は、電位差測定部204および制御部400と接続される。増幅処理部205は、電位差測定部204によって測定された電位差信号を受信する。そして、増幅処理部205は、受信した電位差信号に対して各種フィルタリングを行うことで、受信した電位差信号に含まれるノイズを軽減する。つまり、増幅処理部205は、受信した電位差信号に含まれる成分のうち、心筋活動電位に関する成分以外の成分を軽減する。
例えば、増幅処理部205は、ノッチフィルタや、バンドパスフィルタ、相関フィルタを順に用いてフィルタリングする。なお、ノッチフィルタは、特定の周波数の信号を減衰させるフィルタである。また、バンドパスフィルタは、特定の周波数を通過させるフィルタである。また、相関フィルタは、信号に対して、逆拡散処理(相関処理)を行うフィルタである。
増幅処理部205によるフィルタリング処理が行われる前と後との違いについて、図8−1〜図8−4を用いて説明する。図8−1〜図8−4は、フィルタリング処理が行われる前と後との違いについて説明するための図である。なお、図8−1〜図8−4において、縦軸は電位差を示し、横軸は時間軸を示す。図8−1〜図8−4に示す例では、座面から運転者の右手までの抵抗値が「200kΩ」である場合に測定されたデータを例に示した。
ここで、まず、図8−1は、増幅処理部205が電位差測定部204から受信した段階の電位差信号を示す。つまり、増幅処理部205によるフィルタリング処理が行われる前の電位差信号の一例を示す。なお、説明の便宜上、図8−1に示す電位差信号は、接触電極についての電位差信号であるものとして説明する。例えば、図8−1に示す電位差信号は、図7の時間軸上の「3」や「9」における電位差信号を拡大したものである。
次に、図8−2は、図8−1に示す電位差信号に対して、ノッチフィルタによるフィルタリングを行うことで得られる電位差信号を示す。また、図8−3は、図8−2に示す電位差信号に対して、バンドパスフィルタを用いてフィルタリングを行うことで得られる電位差信号を示す。また、図8−4は、図8−3に示す電位差信号に対して、相関フィルタを用いてフィルタリングを行うことで得られる電位差信号を示す。
図8−1に示すように、増幅処理部205が電位差測定部204から受信した段階の電位差信号は、ノイズを多く含んでおり、心筋活動電位に関する成分を容易に識別可能な状態にない。しかし、図8−2〜図8−4に示すように、各種フィルタリングが行われた後の電位差信号では、ノイズが減少しており、心筋活動電位に関する成分を容易に識別可能な状態になる。
なお、増幅処理部205がフィルタリングの対象とする電位差信号が、未接触電極についての電位差信号である場合は、ノイズが残る。例えば、未接触電極についての電位差信号は、図7の時間軸上における「3」や「9」以外についての電位差信号である。電位差信号には、そもそも、心筋活動電位に関する成分が含まれておらず、フィルタリング後であっても、ノイズだけが残ることになる。
また、増幅処理部205は、各種フィルタリングを行う際に電位差信号に対して適用する増幅率を変更する。具体的には、増幅処理部205は、各種フィルタリングを行う際に用いる増幅率を変更する「タイミング」と変更内容に関する「指示」とを判別部403から受信する。そして、増幅処理部205は、判別部403から受信した「タイミング」にて、判別部403から受信した「指示」に基づいて、各種フィルタリングを行う際に用いる条件を変更する。
例えば、ハンドル電極「3」が右手によって接触された場合を例に、さらに説明する。増幅処理部205は、ハンドル電極「3」についての電位差信号を受信する「タイミング」を、判別部403から受信する。また、増幅処理部205は、増幅処理部205は、右手と臀部との組み合わせを用いた場合に適した増幅率を用いて処理する旨の「指示」を受信する。そして、増幅処理部205は、受信した「タイミング」にて、各種フィルタリングを行う際に用いる増幅率を右手と臀部との組み合わせに適した値に変更する。
このように、増幅処理部205は、判別部403から受信した「タイミング」と「指示」とに基づいて、受信した電位差信号に対応する「心臓を挟んだ2つの位置の組合せ」に適した増幅率にて、電位差信号を増幅する。この結果、増幅処理部205は、複数あるハンドル電極201のうちどれが接触電極であっても、「心臓を挟んだ2つの位置の組合せ」が何であっても、拍識別部404が識別しやすい状態の電位差信号を制御部400に送る。
図2に戻ると、記憶部300は、制御部400と接続され、制御部400による各種処理に必要なデータを記憶する。記憶部300は、例えば、RAM(Random Access Memory)や ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置である。記憶部300は、図2に示す例では、電位差記憶部301と、判別結果記憶部302とを有する。
電位差記憶部301は、増幅処理部205によってフィルタリングが行われた後の電位差信号を記憶する。ここで、電位差記憶部301によって記憶された電位差信号の一例について、図9を用いて説明する。図9は、実施例2における電位差記憶部によって記憶された情報の一例について説明するための図である。なお、図9において、縦軸は電位差を示し、横軸は時間軸を示す。
電位差記憶部301によって記憶された電位差信号は、増幅処理部205によるフィルタリング処理が行われた後の電位差信号である。このため、図9の(1)に示すように、運転者によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号は、ノイズが減少しており、心筋活動電位に関する成分を容易に識別可能な状態にある。一方、図9の(2)に示すように、未接触電極についての電位差信号は、そもそも心筋活動電位に関する成分が含まれておらず、ノイズしか識別できない状態にある。なお、電位差記憶部301によって記憶される情報は、制御部400の電位差格納処理部401によって格納され、制御部400の電極識別部402によって用いられる。
判別結果記憶部302は、判別部403による判別結果と判別結果の対象となった接触電極を識別する識別情報との組み合わせを示す情報を記憶する。実施例2における判別結果記憶部によって記憶された情報の一例について、図10を用いて説明する。図10は、実施例2における判別結果記憶部によって記憶された情報の一例について説明するための図である。
図10に示す例では、判別結果記憶部302は、時刻に対応付けて、識別情報と判別結果との組み合わせを示す情報を記憶する。例えば、判別結果記憶部302は、時刻「10時10分10秒」に対応付けて、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報と、識別情報「9」と判別結果「左手」との組み合わせを示す情報とを記憶する。図10に示す「時刻」は、判別部403による判別処理が行われた時刻を示す。
すなわち、図10に示す例では、判別結果記憶部302は、判別部403によって「10時10分10秒」に行われた判別結果を記憶する。具体的には、判別結果記憶部302は、判別結果として、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたことを示す判別結果と、運転者の左手によってハンドル電極「9」が接触されたことを示す判別結果とを記憶する。
なお、運転者の片手がハンドル電極201と接触した場合には、判別結果記憶部302は、「時刻」に対応付けて、識別情報と判別結果との組み合わせを1つ記憶する。また、図10に示す例では、識別情報として接触電極を示す識別情報を判別結果記憶部302が記憶する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、判別結果記憶部302は、ハンドル電極201各々を識別する識別情報ごとに、運転者によって接触されたか否かを示す情報や左右の手の別を示す情報を記憶しても良い。
また、判別結果記憶部302によって記憶される情報は、判別部403が判別処理を行うごとに判別部403によって入力される。つまり、判別部403が判別処理を行う際に、判別部403が以前に判別処理を行っていた場合には、判別結果記憶部302に前回の判別結果が記憶されている。
図2に戻ると、制御部400は、増幅処理部205および記憶部300と接続される。また、制御部400は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、種々の処理を実行する。制御部400は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。制御部400は、図2に示す例では、電位差格納処理部401と、電極識別部402と、判別部403と、拍識別部404とを有する。電位差格納処理部401は、増幅処理部205から電位差信号を受信し、受信した電位差信号を電位差記憶部301に格納する。
電極識別部402は、電位差記憶部301によって記憶された電位差信号を取得し、複数のハンドル電極201のうち運転者の手によって接触された接触電極を識別する。実施例2における電極識別部による接触電極を識別する処理について、図11−1〜図11−3を用いて説明する。図11−1〜図11−3は、接触電極を識別する処理について説明するための図である。なお、図11において、縦軸は電位差を示し、横軸は時間軸を示す。
例えば、電極識別部402は、受信した電位差信号のうち、他の箇所と比較して電位差が小さい箇所を識別し、識別した箇所に対応するハンドル電極201が接触電極であると識別する。図11−1に示す例では、測定周期内に電位差が小さい箇所が2箇所あり、電極識別部402は、ハンドル電極「3」と「9」とに対応する箇所が小さいと識別する。この結果、電極識別部402は、ハンドル電極「3」と「9」とが接触電極であると識別する。
また、図11−2に示す例では、測定周期内に電位差が小さい箇所が1箇所であるが、電位差が小さい箇所の幅が長く、電極識別部402は、ハンドル電極「3」と「4」とについての電位差が小さいと識別する。この結果、電極識別部402は、ハンドル電極「3」と「4」とが接触電極であると識別する。
また、図11−3に示す例では、測定周期内に電位差が小さい箇所が1箇所であり、電極識別部402は、ハンドル電極「3」に対応する箇所が小さいと識別する。この結果、電極識別部402は、ハンドル電極「3」が接触電極であると識別する。
電極識別部402は、例えば、測定周期ごとに平均電位差を測定し、測定した平均電位差よりも小さい電位差を示す箇所を電位差が小さい箇所として識別する。また、例えば、電位差が小さい箇所と小さくない箇所とを区別するための閾値が利用者によって予め設定された場合、電極識別部402は、設定された閾値を用いて電位差が小さい箇所を識別しても良い。
また、電極識別部402は、接触電極を識別することで、運転者の両手によってハンドル電極201が接触されたか、運転者の片手によってハンドル電極201が接触されたかを識別する。電極識別部402は、図11−1や図11−2に示すように、接触電極を2つ識別した場合には、運転者の両手によってハンドル電極201が接触されたと識別する。また、例えば、電極識別部402は、図11−3に示すように、接触電極を1つ識別した場合には、運転者の片手によってハンドル電極201が接触されたと識別する。
また、電極識別部402は、測定周期ごとに接触電極を識別し、識別した識別結果を判別部403に送る。例えば、電極識別部402は、接触電極がハンドル電極「3」「9」であり、運転者の「両手」によってハンドル電極201が接触された旨を判別部403に送る。
図2に戻ると、判別部403は、選択回路203、増幅処理部205、判別結果記憶部302および電極識別部402と接続される。また、図2では図示していないが、判別部403は、車両の制御装置と接続される。また、判別部403は、電極識別部402から識別結果を受信し、車両の制御装置からハンドル501の回転状態を取得する。
判別部403は、初めて判別処理を行う場合には、ハンドル501の回転状態と、現に電極識別部402から受信した識別結果とに基づいて、接触電極が接触された運転者の手の左右の別を判別する。現に電極識別部402から受信した識別結果とは、つまり、今回の識別結果である。また、判別部403は、初めて判別処理を行う場合以外では、判別結果記憶部302に記憶された前回の判別結果と、今回の識別結果とに基づいて、接触電極が接触された運転者の手の左右の別を判別する。
なお、「初めて判別処理を行う場合」とは、初回処理時や、前回の判別結果が判別結果記憶部302に記憶されていない場合が該当する。また、「前回の判別結果が判別結果記憶部302に記憶されていない場合」とは、判別部403が判別を行う際に、所定の時間内に行われた前回の判別結果がない場合が該当する。
また、「初めて判別処理を行う場合」には、前回の判別結果が、今回の識別結果に対応しない場合も該当する。例えば、「初めて判別処理を行う場合」には、今回の接触電極が「3」「9」である一方、判別結果記憶部302が、接触電極「3」や「9」についての判別結果を最新の時間に対応付けて記憶していない場合が該当する。
判別部403が運転者の手の左右の別を判別する処理について、さらに詳細に説明する。判別部403は、今回の識別結果と前回の識別結果とを用いて、以下に説明する5つのケースのうちいずれに該当するかを識別する。そして、判別部403は、識別したケースに対応する判別処理を実行する。
「ケース1」は、今回の識別結果が「両手によって接触された」旨を示し、前回の判別結果が「ない」場合である。
「ケース2」は、今回の識別結果が「両手によって接触された」旨を示し、前回の判別結果が「両手によって接触された」旨を示す場合である。
「ケース3」は、今回の識別結果が「両手によって接触された」旨を示し、前回の判別結果が「片手によって接触された」旨を示す場合である。
「ケース4」は、今回の識別結果が「片手によって接触された」旨を示し、前回の判別結果が「ない」場合である。
「ケース5」は、今回の識別結果が「片手によって接触された」旨を示し、前回の判別結果が「両手によって接触された」旨や「片手によって接触された」旨を示す場合である。
以下では、判別部403による判別処理について、上記の「ケース1」〜「ケース5」に分けて順に説明する。なお、上記の「ケース1」と「ケース4」とは、前回の判別結果が「ない」場合であり、「初めて判別処理を行う場合」に該当する。また、上記の「ケース2」と「ケース3」と「ケース5」とは、前回の判別結果が「ある」場合であり、「初めて判別処理を行う場合以外」に該当する。
[ケース1について]
まず、上記の「ケース1」について説明する。判別部403は、ハンドル501の回転状態と、今回の識別結果とに基づいて、運転者の左右の手の別を判別する。具体的には、判別部403は、運転者から見て右側にある接触電極と接触した手が右手であると判別する。また、判別部403は、運転者から見て左側にある接触電極と接触した手が左手であると判別する。つまり、「ケース1」の場合には、前回の判別結果が全く利用できない状態であり、判別部403は、ハンドルの回転状態に基づいて改めて、運転者の手の左右の別を判別する。
ここで、「ケース1」について、今回の接触電極が「3」「9」である場合を例に説明する。この場合、判別部403は、ハンドル501の回転状態を用いて、接触電極「3」や「9」が運転者の左側にあるか右側にあるかを識別する。そして、接触電極「3」が運転者の右側にあり、接触電極「9」が運転者の左側にある場合には、判別部403は、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別し、運転者の左手によってハンドル電極「9」が接触されたと判別する。なお、ハンドル501の回転状態を用いて判別する処理の詳細については、後述するためここでは説明を省略する。
[ケース2について]
次に、上記の「ケース2」について説明する。判別部403は、前回の判別結果を判別結果記憶部302から取得し、取得した前回の判別結果をそのまま判別結果とする。つまり、「ケース2」の場合には、前回の判別結果も今回の識別結果も運転者の両手によって接触されたことを示しており、判別部403は、引き続き前回と同様の接触がされていると判別する。
ここで、「ケース2」について、今回の接触電極が「3」「9」である場合を例に説明する。また、前回の判別結果は、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報と、識別情報「9」と判別結果「左手」とを示す情報とであるものとして説明する。この場合、判別部403は、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別し、運転者の左手によってハンドル電極「9」が接触されたと判別する。
[ケース3について]
次に、上記の「ケース3」について説明する。判別部403は、前回の判別結果を判別結果記憶部302から取得する。そして、判別結果部403は、まずは、取得した前回の判別結果をそのまま使用して判別結果とする。その後、判別部403は、残りの接触電極と接触したのが残った手であると判別する。つまり、「ケース3」の場合には、2つある今回の接触電極のうち、前回の判別結果と共通する接触電極については、判別部403は、引き続き前回と同様の接触がされていると判別する。そして、2つある今回の接触電極のうち、前回の判別結果と共通しない接触電極については、判別部403は、前回接触していなかった手であると判別する。
ここで、「ケース3」について、今回の接触電極が「3」「9」である場合を例に説明する。また、前回の判別結果は、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報であるものとして説明する。この場合、判別結果部403は、まずは、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別する。その後、判別部403は、残りの接触電極であるハンドル電極「9」が、残った手である運転者の「左手」によって接触されたと判別する。
[ケース4について]
次に、上記の「ケース4」について説明する。判別部403は、ハンドル501の回転状態と、今回の識別結果とに基づいて、運転者の左右の手の別を判別する。具体的には、判別部403は、接触電極が運転者から見て右側にあれば、接触電極と接触した手が右手であると判別し、一方、接触電極が運転者から見て左側にあれば、接触電極と接触した手が左手であると判別する。つまり、「ケース4」の場合には、前回の判別結果が全く利用できない状態であり、判別部403は、「ケース1」と同様に、ハンドルの回転状態に基づいて改めて、運転者の手の左右の別を判別する。
ここで、「ケース4」について、今回の接触電極が「3」である場合を例に説明する。この場合、判別部403は、ハンドル501の回転状態を用いて、接触電極「3」が運転者の左側にあるか右側にあるかを識別する。そして、接触電極「3」が運転者の右側にある場合には、判別部403は、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別する。あるいは、接触電極「3」が運転者の左側にある場合には、判別部403は、運転者の左手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別する。なお、ハンドル501の回転状態を用いて判別する処理の詳細については、後述するためここでは説明を省略する。
[ケース5について]
次に、上記の「ケース5」について説明する。判別部403は、今回の接触電極に対応する前回の判別結果を判別結果記憶部302から取得する。そして、判別部403は、取得した前回の判別結果をそのまま判別結果とする。つまり、判別部403は、前回の判別結果と共通する今回の接触電極とついて、引き続き前回と同様の接触がされていると判別する。
ここで、「ケース5」について、今回の接触電極が「3」である場合を例に説明する。また、前回の判別結果は、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報であるものとして説明する。この場合、判別部403は、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別する。
[判別部がハンドルの回転状態を考慮することについて]
上記したように、判別部403は、「ケース1」と「ケース4」とにおいて、ハンドル501の回転状態を用いて、接触電極が運転者の左側にあるか右側にあるかを識別する。ここでは、判別部403がハンドル501の回転状態を考慮する理由について、図12−1および図12−2を用いて説明する。図12−1および図12−2は、ハンドルの回転状態とハンドル電極の位置との関係について説明するための図である。図12−1および図12−2では、運転者によって握られたハンドル501の一例を示し、ハンドル501が手前にあり、ハンドル501の奥に運転者が位置する場合を例に示した。
ここで、図12−1に示すように、運転者から見て左側にハンドル電極「3」があり、右側にハンドル電極「9」があるかもしれず、図12−2に示すように、運転者から見て左側にハンドル電極「9」があり、右側にハンドル電極「3」があるかもしれない。すなわち、ハンドル501は回転するため、接触電極が「3」と「9」であるとわかったとしても、判別部403は、いずれの接触電極が運転者の右側にあるのか、若しくは、左側にあるのかを識別することはできない。
このため、判別部403は、例えば、車両が直進する場合におけるハンドルの位置を基準として、ハンドル501が運転者によって右側(若しくは左側に)回転された回転角度を取得する。そして、判別部403は、2つある接触電極のうち、他方よりもより右側にある接触電極が運転者の右側にあると判別し、他方よりもより左にある接触電極が運転者の左側にあると判別する。
図12−2に示す例では、判別部403は、ハンドル電極「9」はハンドル電極「3」よりも左側にあることを回転角度から識別する。この結果、判別部403は、ハンドル電極「9」と接触したのが運転者の左手であると判別する。また、判別部403は、ハンドル電極「3」はハンドル電極「9」よりも右側にあることを回転角度から識別する。この結果、判別部403は、ハンドル電極「3」と接触したのが運転者の右手であると判別する。
[判別部による判別処理の一例]
ここで、判別部403による判別処理の一例について、図13を用いてさらに説明する。図13は、実施例2における判別部による処理について説明するための図である。図13の(1)〜(3)では、12個のハンドル電極201が、ハンドル501の円周方向に沿って均等な大きさで設けられた場合を例に示した。また、図13の(1)〜(3)は、それぞれ、運転者がハンドルを左側にきる操作を行う場合におけるハンドル501と運転者の手との関係の一例を示す。
まず、図13の(1)に示すように、運転者が両手でハンドルを握っている。この結果、判別結果記憶部302は、前回の判別結果として、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報と、識別情報「9」と判別結果「左手」との組み合わせを示す情報とを記憶している。
その後、図13の(2)に示すように、運転者がハンドルを左側にきりはじめ、左手を離したとする。この段階において、判別部403は、初めての判別処理ではないと判定し、接触電極「3」を識別する識別情報に対応付けられた前回の判別結果を判別結果記憶部302から読み出す。例えば、判別部403は、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報を読み出す。この結果、判別部403は、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別する。
続いて、図13の(3)に示すように、運転者がさらにハンドルを左側にきり、運転者から見て左側にあるハンドル電極「6」が左手によって接触されたとする。この段階において、判別部403は、初めての判別処理ではないと判定し、接触電極「3」や「6」を識別する識別情報に対応付けられた前回の判別結果を読み出す。例えば、判別部403は、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報を読み出す。この結果、判別部403は、まず、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別し、その後、残りの接触電極であるハンドル電極「6」が、残った手である運転者の「左手」によって接触されたと判別する。
[判別部による判別後の処理]
次に、判別部403について、判別後の処理について説明する。判別部403は、判別結果を判別結果記憶部302に格納する。例えば、ハンドル電極「9」と接触したのが運転者の左手であり、ハンドル電極「3」と接触したのが運転者の右手であると判別した場合を例に、さらに説明する。この場合、判別部403は、現在時刻に対応付けて、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせと、識別情報「9」と判別結果「左手」との組み合わせを判別結果記憶部302に格納する。
また、判別部403は、判別結果に基づいて、「タイミング」と「指示」とを増幅処理部205に送る。この結果、判別部403は、判別結果に基づいて決定される増幅率を用いて、増幅処理部205に電位差信号を増幅させる。
例えば、ハンドル電極「9」と接触したのが運転者の右手であり、ハンドル電極「3」と接触したのが運転者の左手であると判別した場合を例に、さらに説明する。この場合、判別部403は、増幅処理部205に対して、ハンドル電極「9」についての電位差信号に対しては、右手と臀部との組み合わせに適した増幅率を用いて処理する旨の指示を送る。また、判別部403は、ハンドル電極「9」についての電位差信号を増幅処理部205が受信するタイミングを送る。また、例えば、判別部403は、増幅処理部205に対して、ハンドル電極「3」についての電位差信号に対しては、左手と臀部との組み合わせに適した増幅率を用いて処理する旨の指示を送る。また、判別部403は、ハンドル電極「3」についての電位差信号を増幅処理部205が受信するタイミングを送る。
つまり、心臓が体の中心から少しずれて位置する結果、心臓を挟む2つの位置の組み合わせごとに心電信号の強さが異なってくることを踏まえ、判別部403は、2つの位置の組み合わせごとに適した増幅率を用いて処理する旨の指示を送る。例えば、右手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号に対しては、臀部と右手との組み合わせにて測定した電位差に含まれる心電信号の強さに適した増幅率を使用する旨の指示を送る。
また、例えば、右手と座面との組み合わせを用いて測定された電位差信号には、左手と座面との組み合わせを用いて測定された電位差信号と比較して、電位差信号に含まれる心電信号が強い。このため、判別部403は、右手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号に対して、右手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号に使用される増幅率と比較して、高い増幅率を使用する旨の指示を送る。
図2の説明に戻ると、拍識別部404は、電位差記憶部301に記憶された電位差信号を取得し、取得した電位差信号から心筋活動電位に関する成分を識別する。つまり、拍識別部404は、心電の拍を識別する。上記したように、増幅処理部205は、判別部403による指示に基づいた増幅率を用いて、電位差信号を増幅する。この結果、電位差記憶部301は、判別部403による指示に基づいて増幅された電位差信号を記憶する。このため、拍識別部404は、判別部403による指示に基づいて増幅された電位差信号から、心電の拍を識別する。
心電の拍を識別する処理について、運転者の両手によってハンドル電極201が接触された場合と、運転者の片手によってハンドル電極201が接触された場合とに分けてさらに説明する。
まず、運転者の両手によってハンドル電極201が接触された場合について説明する。拍識別部404は、運転者の右手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号から、運転者の左手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号を減算することで、右手と左手との組み合わせに対応する電位差信号を測定する。例えば、電位差記憶部301によって記憶された電位差信号のうち、運転者の右手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号を取得し、また、運転者の左手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号を取得する。そして、拍識別部404は、取得した電位差信号を用いて減算処理することで、右手と左手との組み合わせに対応する電位差信号を測定する。そして、拍識別部404は、右手と左手との組み合わせに対応する電位差信号から、心電の拍を識別する。
なお、運転者の左手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号から、運転者の右手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号を減算することで測定しても良い。ここで、右手と左手との組み合わせに対応する電位差信号を用いる場合には、右手と座面の組み合わせや左手と座面の組み合わせに対応する電位差信号を用いる場合と比較して、ノイズをさらに軽減でき、拍識別部404が心筋活動電位をより明確に識別可能になる。
運転者の片手によってハンドル電極201が接触された場合について説明する。拍識別部404は、運転者の手によって接触されたハンドル電極201についての電位差信号を取得し、取得した電位差信号から心電の拍を識別する。例えば、接触電極がハンドル電極「3」である場合には、ハンドル電極「3」についての電位差信号を取得し、心拍の拍を識別する。
このように、判別部403は、車両のハンドル501に設けられた複数の電極のうち運転者によって接触された2つの接触電極間の電位差信号であるハンドル電位差信号を測定可能な場合には、ハンドル電位差信号を用いて心電信号を識別する。一方、判別部403は、ハンドル電位差信号が測定可能でない場合には、車両のハンドル501に設けられた複数の電極のうち1つの接触電極とハンドルに設けられた電極とは別の接触電極との間の電位差信号を用いて心電信号を識別する。
なお、拍識別部404は、運転者の両手によって接触されたか片手によって接触されたかについて、電位差記憶部301に記憶された電位差信号を用いて識別する。例えば、拍識別部404は、図11−1や図11−2に示すように、測定周期ごとに2箇所電位差が小さい箇所があれば、両手が接触していると識別する。また、例えば、拍識別部404は、図11−3に示すように、測定周期ごとに1箇所電位差が小さい箇所があれば、両手が接触していると識別する。なお、拍識別部404は、判別部403から判別結果を受信することで運転者の両手が接触しているか片手が接触しているかを識別しても良い。
[識別装置による処理]
次に、図14を用いて、実施例2における制御部400による処理の流れの一例について説明する。図14は、実施例2における制御部400による処理の流れの一例について説明するためのフローチャートである。
図14に示すように、処理タイミングになると(ステップS101肯定)、電極識別部402は、ハンドル501に設けられた複数の電極のうち運転者の手によって接触された接触電極を識別する(ステップS102)。例えば、電極識別部402は、接触電極がハンドル電極「3」と「9」とであると識別する。
そして、電極識別部402は、両手によって接触されたか片手によって接触されたかを識別する(ステップS103)。例えば、接触電極を2つ識別した場合には、運転者の両手によってハンドル電極201が接触されたと識別する。また、例えば、電極識別部402は、接触電極を1つ識別した場合には、運転者の片手によってハンドル電極201が接触されたと識別する。
ここで、電極識別部402によって、運転者の両手によって接触されたと識別された場合について説明する(ステップS104肯定)。判別部403は、初めて判別処理を行うかを判定する(ステップS105)。そして、判別部403は、初めてであると判定すると(ステップS105肯定)、2つある接触電極のうち、他方よりもより右側にある接触電極が運転者の右手によって接触され、他方よりもより左にある接触電極が運転者の左手によって接触されたと判別する(ステップS106)。
また、上記したステップS105において、初めではないと判定すると(ステップS105否定)、判別部403は、判別結果記憶部302に記憶された判別結果のうち前回の判別結果を取得する(ステップS107)。ここで、前回の判別結果が、両手によって接触されたことを示す場合には(ステップS108肯定)、取得した判別結果をそのまま使用する(ステップS109)。例えば、判別部403が、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報と、識別情報「9」と判別結果「左手」との組み合わせを示す情報とを取得した場合について説明する。判別部403は、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触され、運転者の右手によってハンドル電極「9」が接触されたと判別する。
一方、前回の判別結果が、両手によって接触されたことを示す場合ではなければ(ステップS108否定)、つまり、片手によって接触されたことを示す場合には(ステップS110)、まず、取得した判別結果をそのまま使用する(ステップS111)。例えば、判別部403が、識別情報「3」と判別結果「右手」との組み合わせを示す情報を取得した場合には、運転者の右手によってハンドル電極「3」が接触されたと判別する。そして、判別部403は、残りの接触電極が残った手によって接触されたと判別する(ステップS112)。例えば、判別部403は、残りの接触電極であるハンドル電極「9」が、残った手である運転者の「左手」によって接触されたと判別する。
また、上記したステップS104において、電極識別部402によって、運転者の両手によって接触されたと識別されず(ステップS104否定)、運転者の片手によって接触されたと識別された場合について説明する(ステップS113)。
ここで、判別部403は、初めて判別処理を行うかを判定する(ステップS114)。そして、判別部403は、初めてであると判定すると(ステップS114肯定)、接触電極が運転者から見て右側にあれば、運転者の右手によって接触電極が接触されたと判別する。また、判別部403は、接触電極が運転者から見て左側にあれば、運転者の左手によって接触電極が接触されたと判別する(ステップS115)。
一方、判別部403は、上記したステップS114において、初めではないと判定すると(ステップS114否定)、前回の判別結果を取得し(ステップS116)、前回の判別結果を利用する(ステップS117)。
その後、判別部403は、判別結果に基づいて決定される増幅率を用いて、電位差測定部204によって測定された電位差信号を増幅処理部205に増幅させる(ステップS118)。そして、拍識別部404は、増幅処理部205によって増幅された電位差信号から、心電の拍を識別する(ステップS119)。
なお、上記した処理の流れは、図14に示した流れに限定されるものではない。例えば、上記した処理すべてを連続して実行しなくてもよい。例えば、識別装置200は、上記のステップS101からステップS118までの処理を連続して実行し、判別結果に基づいて決定される増幅率を用いて電位差信号を増幅処理部205に増幅しておく。その上で、識別装置200は、増幅処理を実行するタイミングとは別のタイミングにて、電位差信号から、心電の拍を識別してもよい。
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、識別装置200は、複数あるハンドル電極201のうち1つの接触電極とハンドル501に設けられた電極とは別のシート電極202との間の電位差信号を測定する。そして、識別装置200は、複数あるハンドル電極201のうち運転者の手によって接触された接触電極を識別し接触電極のハンドルにおける位置と、ハンドルの回転状態とに基づいて、接触電極が接触している運転者の手の左右の別を判別する。そして、識別装置200は、判別結果に基づいて決定された増幅率を用いて増幅された電位差信号から、心電の拍を識別する。この結果、ハンドル501に設けられたハンドル電極201によって接触されたのが右手なのか左手なのかを区別可能である。また、ハンドル上にある電極によって接触された手が右手なのか左手なのかを判別できる結果、電位差信号が測定された2つの位置の組み合わせに適した増幅率を用いて心電の拍を識別でき、ノイズに埋もれがちな微弱な心電信号を高精度に識別可能である。また、ハンドル電極201によって接触されたのが右手であっても左手であっても両手であっても精度良く心電信号を検出できるので、心電信号を検出できる継続的な時間を増加させることができる。
例えば、増幅処理部205が同じ増幅率を適用し続けると、心臓を挟んだ2つの位置の組合せが切り替わった際に、心筋活動電位に関する成分がノイズに埋もれやすくなる。例えば、2つの位置の組み合わせが切り替わった結果、心筋活動電位に関する成分が切替前と比較して微弱になった場合を例に、さらに説明する。この場合、心筋活動電位に関する成分が切替前よりも微弱である結果、心筋活動電位に関する成分は、ノイズに埋もれやすくなる。しかしながら、実施例2によれば、識別装置200は、電位差信号が測定された2つの位置の組み合わせに適した増幅率を用いて心電の拍を識別でき、2つの位置の組合せが切り替わったとしても、ノイズに埋もれがちな微弱な心電信号を高精度に識別可能である。
また、実施例2によれば、識別装置200は、判別部403による判別結果と該判別結果の対象となった接触電極を識別する識別情報とを対応付けて記憶する判別結果記憶部302をさらに備える。そして、識別装置200は、接触電極を識別することで、運転者の両手がハンドル電極201と接触したか、運転者の片手がハンドル電極201と接触したかを識別する。そして、識別装置200は、運転者の片手が接触したと識別すると、判別結果記憶部302を参照することで前回の判別結果を読み出し、読み出した前回の判別結果が右手によって接触電極が接触された旨である場合には、右手によって接触されたと判別する。また、同様に、識別装置200は、読み出した前回の判別結果が左手によって接触電極が接触された旨である場合には、左手によって接触されたと判別する。この結果、初回処理時でなくても、継続的に、ハンドル501に設けられたハンドル電極201が接触された手が右手なのか左手なのかを区別可能である。例えば、運転者がハンドルをきり、ハンドル電極201が接触された手の位置が変わったとしても、ハンドル電極201が接触された手が右手なのか左手なのかを区別可能である。
また、実施例2によれば、拍識別部404は、運転者の両手によってハンドル電極201が接触された場合には、ハンドル電位差信号を用いて心電信号を識別する。また、拍識別部404は、運転者の片手によってハンドル電極201が接触された場合には、ハンドル電極201のうち1つの接触電極とシート電極202との間の電位差信号を用いて心電信号を識別する。この結果、運転者の両手によってハンドル電極201が接触されていても、片手によって接触されていても、心電の拍を継続的に識別することが可能である。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、その他の実施例にて実施されても良い。そこで、以下では、その他の実施例について説明する。
[電極]
例えば、上記した実施例では、ハンドル501に設けられた電極とは別の電極として、車両のシート502に設けられた電極を用いる場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、車両のシートベルトに電極を設けて用いても良い。
また、上記した実施例では、運転者の手が同時に1つのハンドル電極201と接触する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、運転者の手が同時に複数のハンドル電極201と接触してもよい。つまり、例えば、上記したハンドル電極「1」や「2」各々が、複数の電極に分割されていてもよい。
[ハンドル電位差信号]
また、上記した実施例では、拍識別部404が、電位差記憶部301に記憶された電位差信号を用いてハンドル電位差信号を測定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電位差測定部204がハンドル電位差信号を測定しても良い。
例えば、選択回路203は、電位差測定部204に送る電位の検知元となるハンドル電極201を2つ選択し、選択した2つのハンドル電極201にて検知された電位各々を送る。また、選択回路203は、定期的に、2つのハンドル電極201の組み合わせを変更する。そして、電位差測定部204は、選択回路203から受信した2つの電位の差を測定する。この結果、運転者の両手によってハンドル電極201が接触された場合には、電位差測定部204がハンドル電位差信号を測定する。
その後、拍識別部404は、電位差記憶部301にハンドル電位差信号が記憶された場合には、ハンドル電位差信号から心電の拍を識別する。つまり、拍識別部404は、電位差記憶部301に記憶された電位差信号のうち、2つのハンドル電極201の組み合わせに対応する電位差信号のいずれかに、心電の拍を含む電位差信号があるかを識別する。そして、拍識別部404は、心電の拍を含む電位差信号があると識別すると、識別した電位差信号から心電の拍を識別する。一方、拍識別部404は、電位差記憶部301にハンドル電位差信号が記憶されていない場合には、運転者の片手と座面との間の電位差信号から心電の拍を識別する。
[システム構成]
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行っても良い。例えば、電位差信号から心電の拍を手動にて識別してもよい。この他、上記文書中や図面中で示した制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については(例えば、図1〜図14)、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、ハンドル電極201やシート電極202を識別装置200の外部装置としてネットワーク(無線LAN(Local Area Network)など)経由で接続するようにしてもよい。また、電位差記憶部301や判別結果記憶部302を別の装置がそれぞれ有し、ネットワーク経由で接続されて協働することで、上記した識別装置200の機能を実現するようにしてもよい。
[コンピュータ]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図15を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する識別プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。なお、図15は、実施例2に係る識別プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
図15に示すように、実施例1におけるコンピュータ3000は、電位差測定回路3001、増幅処理部3002、通信部3006、CPU3010、ROM3011、HDD3012、RAM3013をバス3009などで接続して構成されている。なお、電位差測定回路3001は、図2における電位差測定部204に対応し、増幅処理部3002は、図2における増幅処理部205に対応する。
ROM3011には、上記の実施例1で示した電位差格納処理部401と、電極識別部402と、判別部403と、拍識別部404と同様の機能を発揮する制御プログラム、つまり、図15に示すように、電位差格納処理プログラム3011aと、電極識別プログラム3011bと、判別プログラム3011cと、拍識別プログラム3011dとが予め記憶されている。なお、これらのプログラム3011a〜3011dについては、図2に示した識別装置200の各構成要素と同様、適宜統合または分離しても良い。
そして、CPU3010が、これらのプログラム3011a〜3011dをROM3011から読み出して実行することにより、図15に示すように、各プログラム3011a〜3011dについては、電位差格納プロセス3010aと、電極識別プロセス3010bと、判別プロセス3010cと、拍識別プロセス3010dとして機能するようになる。なお、各プロセス3010a〜3010dは、図2に示した、電位差格納処理部401と、電極識別部402と、判別部403と、拍識別部404とにそれぞれ対応する。
そして、HDD3012には、電位差テーブル3012aと、判別結果テーブル3012bとが設けられる。なお、各テーブル3012a〜3012bは、図2に示した電位差記憶部301と、判別結果記憶部302とにそれぞれ対応する。
そして、CPU3010は、電位差テーブル3012aと、判別結果テーブル3012bとを読み出してRAM3013に格納し、RAM3013に格納された電位差データ3013aと、判別結果データ3013bとを用いて、識別プログラムを実行する。
[その他]
なお、本実施例で説明した識別プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、識別プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
100 識別装置
101 測定部
102 電極識別部
103 判別部
104 拍識別部
200 識別装置
201 ハンドル電極
202 シート電極
203 選択回路
204 電位差測定部
205 増幅処理部
300 記憶部
301 電位差記憶部
302 判別結果記憶部
400 制御部
401 電位差格納処理部
402 電極識別部
403 判別部
404 拍識別部
501 ハンドル
502 シート

Claims (3)

  1. 装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち運転者によって接触された2つの接触電極間の電位差信号、および/または、装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち1つの接触電極と該操舵部に設けられた電極とは別の接触電極との間の電位差信号を測定する測定部と、
    前記操舵部に設けられた複数の電極のうち運転者によって接触された接触電極を識別する電極識別部と、
    前記操舵部の回転状態と、前記電極識別部によって識別された接触電極の操舵部における位置とに基づいて、該接触電極が接触された運転者の手の左右の別を判別する判別部と、
    前記判別部による判別結果に基づいて決定された増幅率を用いて増幅された電位差信号から、心電の拍を識別する拍識別部と
    を備えたことを特徴とする識別装置。
  2. 前記判別部による判別結果と該判別結果の対象となった接触電極を識別する識別情報とを対応付けて記憶する判別結果記憶部をさらに備え、
    前記電極識別部は、接触電極を識別することで、操舵部に設けられた電極が運転者の両手によって接触されたか、操舵部に設けられた電極が運転者の片手によって接触されたかを識別し、
    前記判別部は、前記電極識別部によって運転者の片手によって接触されたと識別されると、前記判別結果記憶部を参照することで、前記電極識別部によって識別された接触電極を識別する識別情報に対応付けられた前回の判別結果を読み出し、読み出した前回の判別結果が右手によって接触電極が接触された旨である場合には右手によって接触されたと判別し、読み出した前回の判別結果が左手によって接触電極が接触された旨である場合には左手によって接触されたと判別することを特徴とする請求項1に記載の識別装置。
  3. 前記拍識別部は、装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち運転者によって接触された2つの接触電極間の電位差信号である操舵部電位差信号が前記測定部によって測定された場合には、該操舵部電位差信号を用いて心電信号を識別し、該操舵部電位差信号が前記測定部によって測定されていない場合には、装置の操舵部に設けられた複数の電極のうち1つの接触電極と該操舵部に設けられた電極とは別の接触電極との間の電位差信号を用いて心電信号を識別することを特徴とする請求項1または2に記載の識別装置。
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