本開示の一態様に係る計測装置は、ステアリングホイールに配置される第1電極と、運転席の表面部又は前記ステアリングホイールに配置される第2電極と、第1ハイパスフィルタを介して、前記第1電極と電気的に接続される把持検出回路と、第1ローパスフィルタを介して少なくとも前記第1電極と電気的に接続されるとともに、前記第2電極と電気的に接続される心電検出回路とを備える。
一般的に、心電位の検出信号の周波数は、把持の検出信号の周波数よりも低いという特性がある。本開示では、運転者が運転席に座ってステアリングホイールを把持した状態において、把持検出回路には、第1電極の検出信号が第1ハイパスフィルタを介して入力され、心電検出回路には、第1電極の検出信号が第1ローパスフィルタを介して入力され、第2電極の検出信号も入力される。このため、把持検出回路は、第1ハイパスフィルタを介して入力された検出信号から、第1電極と運転者の手との間の静電容量の変化に基づいて、把持検出をすることができる。また、心電検出回路は、第1電極の電位と第2電極の電位との電位差から、運転者の心電位検出をすることができる。このため、従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
したがって、把持検出及び心電位検出の精度の低下を抑制することができる。
特に、第1電極及び第2電極は、把持検出の電極と心電位検出の電極とを共有することによって、同一の電極で把持検出及び心電位検出を行うことができる。このため、一部の領域で、ステアリングホイールの把持を検出しなくなったり、他の領域で心電位検出しなくなったりするという、双方の不感領域が存在し難くなる。このため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、この計測装置では、把持検出と心電位検出とを別々の電極で行う必要もないため、計測装置の製造コストが高騰化し難くなる。
また、この計測装置では、心電位検出用の電極と把持検出用の電極とをリムに巻き付ける必要も生じないため、ステアリングカバーの厚みの増加によって、ステアリングホイールが握り難くなるという不具合も生じ難くなる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記第2電極は、前記ステアリングホイールに配置された前記第1電極と異なる箇所に配置され、前記第1ハイパスフィルタと異なる第2ハイパスフィルタを介して、前記把持検出回路と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタを介して、前記心電検出回路と電気的に接続される。
これによれば、ステアリングホイールに第1電極と第2電極とを設けることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるようになるため、計測装置の設置が容易になる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記把持検出回路は、前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して出力する。
これによれば、両手でステアリングホイールを把持しているかどうかを判断することができるようになる。例えば、半自動運転状態又は自動運転状態からハンドオーバー時にステアリングホイールを両手で適切に把持しているかどうかの判断に用いることで、両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記第2電極は、前記表面部に配置される。
これによれば、人体において、右手から人体を通した左手までの距離よりも、一方の手から人体を通して運転者の大腿までの距離の方が長くなっている部分を活用することができる。つまり、運転者の右手を検出する第1電極の電位から運転者の左手を検出する第2電極の電位までの電位差よりも、運転者の一方の手を検出する第1電極の電位から運転者の大腿を検出する第2電極の電位までの電位差の方が大きくなる。これにより、本開示の計測装置では、より精度よく心電位計測を行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記ステアリングホイールに配置された前記第1電極と異なる箇所に配置される第3電極を備え、前記第3電極は、前記第1ハイパスフィルタと異なる第2ハイパスフィルタを介して前記把持検出回路と電気的に接続される。
これによれば、上述したように、両手でステアリングホイールを把持しているかどうかを判断することができるようになるため、例えば両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、計測装置は、第1電極も有しているため、一方の手を検出する第1電極又は第3電極と、大腿を検出する第2電極との電位差を計測できる。このため、計測装置は、より精度よく心電位計測を行うことができる。つまり、計測装置は、両手による把持検出と心電位検出の精度向上とを実現することができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記把持検出回路は、前記第1電極及び前記第3電極のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して出力する。
これによれば、上述したように、両手でステアリングホイールを把持しているかどうかを判断することができるようになる。このため、この計測装置では、車両を運転する運転者の安全性を、より高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記表面部に配置された前記第2電極と異なる箇所に配置される第4電極と、前記第1電極と電気的に接続される第1ローパスフィルタと、前記第3電極と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタと、前記心電検出回路と、前記第1ローパスフィルタ、前記第2ローパスフィルタ、前記第2電極及び前記第4電極との間であり、前記心電検出回路、前記第1ローパスフィルタ、前記第2ローパスフィルタ、前記第2電極及び前記第4電極と電気的に接続されるマルチプレクサと、前記マルチプレクサと電気的に接続される制御回路とを備え、前記心電検出回路は、前記マルチプレクサと電気的に接続される増幅回路を有し、前記制御回路は、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号で前記心電検出回路が検出結果を示す信号を出力するように、前記マルチプレクサを切換える。
これによれば、制御回路は、マルチプレクサを切換えることで、第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号を、マルチプレクサに抽出させることができる。つまり、制御回路は4つの電極のうちの任意の2つの電極を選択することができるため、この計測装置では、運転者の姿勢等に適した把持検出及び心電位検出を行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記表面部に配置された前記第2電極と異なる箇所に配置される第4電極と、前記第1電極と電気的に接続される第1ローパスフィルタと、前記第3電極と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタと、前記心電検出回路と電気的に接続される制御回路とを備え、前記心電検出回路は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2ローパスフィルタの少なくとも一方と電気的に接続され、かつ、前記第2電極と電気的に接続される第1増幅回路と、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2ローパスフィルタの少なくとも一方又は前記第4電極と電気的に接続され、かつ、前記第2電極と電気的に接続される第2増幅回路と、前記第1増幅回路及び前記第2増幅回路のそれぞれの出力側に電気的に接続されるマルチプレクサとを有し、前記制御回路は、前記第1電極、前記第3電極及び前記第4電極のいずれか1つと前記第2電極とが、前記心電検出回路と電気的に接続されるように、前記マルチプレクサを切換える。
これによれば、制御回路はマルチプレクサを切換えることで、第1電極の電位、第3電極の電位及び第4電極の電位のいずれか1つと第2電極の電位との差である3つの電位差のうち、任意の電位差を選択することができる。つまり、制御回路は、それぞれの増幅回路から出力される増幅信号のうちの1つの増幅信号を、マルチプレクサに抽出させることができる。これにより、制御回路は複数の増幅信号の中から適切な増幅信号を選択することができるため、この計測装置では、把持検出及び心電位検出の精度をより向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記制御回路は、前記心電検出回路と接続され、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第4電極のうちの2つの電極が前記心電検出回路と電気的に接続される組み合わせの全てを選択するように、前記マルチプレクサを順次切換え、2つの電極による全ての組み合わせのうちの、検出信号の出力幅が、最大となる2つの電極による組み合わせの検出信号を出力させるように、前記マルチプレクサを制御する。
これによれば、制御回路は、第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極の4つの電極の検出信号のうちの、出力幅が最大となる最適な組み合わせとなる2つの検出信号を抽出することで、抽出した2つの検出信号に応じた組み合わせである2つの電極を選択することができる。つまり、制御回路は、電位差が最大となる2つの電極の組み合わせを選択することができる。このため、この計測装置では、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記第3電極は、前記第2ローパスフィルタを介して前記心電検出回路と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタの出力と前記第2ローパスフィルタの出力とは、結合して前記心電検出回路に入力される。
これによれば、心電検出回路には、第1電極の検出信号と第3電極の検出信号とが結合されて入力される。このため、第1電極及び第3電極は、1つの電極として振る舞う。これにより、運転者の手に対向する電極の面積を増やすことができるため、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記第1ローパスフィルタと前記心電検出回路とに電気的に接続されるボルテージフォロワ回路を備え、前記第1ローパスフィルタ及び前記ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記第1電極までの配線距離は、前記第1ローパスフィルタ及び前記ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記心電検出回路までの配線距離よりも短い。
これによれば、第1ローパスフィルタ及びそれぞれのボルテージフォロワ回路は、第1電極から心電検出回路までの配線経路、及び、第2電極又は第3電極から心電検出回路までの配線経路において、心電検出回路側よりも、これら電極の近くに配置される。第1電極から心電検出回路までの配線経路、及び、第2電極又は第3電極から心電検出回路までの配線経路のうち、それぞれのボルテージフォロワ回路は、心電検出回路までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置では、ボルテージフォロワ回路から心電検出回路までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記第1電極、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ハイパスフィルタに電気的に接続される第1セレクタを備え、前記心電検出回路は、前記第1ローパスフィルタを介して前記第1電極と電気的に接続され、かつ、前記第2電極と電気的に接続され、前記第1セレクタは、前記第1ローパスフィルタと前記第1ハイパスフィルタとを選択する。
一般的に、心電位の検出信号の周波数は、把持の検出信号の周波数よりも低いという特性がある。本開示では、運転者が運転席に座ってステアリングホイールを把持した状態において、第1セレクタが第1ローパスフィルタと第1ハイパスフィルタとを選択することで、把持検出回路に第1電極の検出信号が第1ハイパスフィルタを介して入力されたり、心電検出回路に第2電極の検出信号が入力され、かつ、第1電極の検出信号が第1ローパスフィルタを介して入力されたりする。このため、把持検出回路は、第1ハイパスフィルタを介して入力された検出信号から、第1電極と運転者の手との間の静電容量の変化に基づいて、把持検出をすることができる。また、心電検出回路は、第1電極の電位と第2電極の電位との電位差から、運転者の心電位検出をすることができる。このため、従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
したがって、把持検出及び心電位検出の精度の低下を抑制することができる。
特に、第1電極は、第1セレクタによって、第1ローパスフィルタ及び第1ハイパスフィルタと同時に接続されない、つまり、把持検出回路及び心電検出回路と同時に接続しない。このため、心電検出回路に重畳されたノイズが第1セレクタによって遮断されるため、把持検出回路に伝搬し難くなる。その結果、この計測装置では、把持検出回路の把持検出精度を向上させることができる。
また、第1電極及び第2電極は、把持検出の電極と心電位検出の電極とを共有することによって、同一の電極で把持検出及び心電位検出を行うことができる。このため、一部の領域で、ステアリングホイールの把持を検出しなくなったり、他の領域で心電位検出しなくなったりするという、双方の不感領域が存在し難くなる。このため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、この計測装置では、把持検出と心電位検出とを別々の電極で行う必要もないため、計測装置の構造が複雑になり難くなるとともに、計測装置の製造コストが高騰化し難くなる。
また、この計測装置では、心電位検出用の電極と把持検出用の電極とをリムに巻き付ける必要も生じないため、ステアリングカバーの厚みの増加によって、ステアリングホイールが握り難くなるという不具合も生じ難くなる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記第2電極に電気的に接続される第2セレクタと、前記第2セレクタと電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタ、及び、前記第1ハイパスフィルタと異なる第2ハイパスフィルタとを備え、前記心電検出回路は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2ローパスフィルタと電気的に接続され、前記把持検出回路は、前記第1ハイパスフィルタ及び前記第2ハイパスフィルタと電気的に接続され、前記第2電極は、前記ステアリングホイールに配置された前記第1電極と異なる箇所に配置され、前記第2セレクタは、前記第1セレクタと同期して、前記第2ローパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタとを選択する。
これによれば、運転者が運転席に座ってステアリングホイールを把持した状態において、第2セレクタが第2ローパスフィルタと第2ハイパスフィルタとを選択することで、第2電極の検出信号が第2ハイパスフィルタを介して把持検出回路に入力されたり、第2電極の検出信号が第2ローパスフィルタを介して心電検出回路に入力されたりする。このため、上述した従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
また、ステアリングホイールに第1電極と第2電極とを設けることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるようになるため、計測装置の設置が容易になる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記心電検出回路が検出した心電位の振幅が所定値よりも小さい場合、前記第1セレクタは、所定期間、前記第1ハイパスフィルタを選択し、前記第2セレクタは、当該所定期間、前記第2ハイパスフィルタを選択する。
心電位に基づく心拍は一定周期ごとに行われる心臓の脈動であるため、脈動が行われる間隔つまり隣り合う2つの脈動の間の期間は、心拍を検出しない所定期間でもある。本開示の計測装置では、心電位の振幅が所定値よりも小さくなる当該所定期間、第1セレクタが第1ハイパスフィルタを選択し、かつ、第2セレクタが第2ハイパスフィルタを選択する。また、所定期間以外の期間では、第1セレクタが第1ローパスフィルタを選択し、かつ、第2セレクタが第2ローパスフィルタを選択することもできる。このため、この計測装置では、心電位のように所定期間と所定期間以外の期間とが繰り返されることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、さらに、前記第1セレクタは、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ハイパスフィルタの両方を選択する。
これによれば、心電検出と把持検出とを同時に行うことができる。このため、心電位検出及び把持検出の不感領域が減少するため、電極の感度を向上させることができる。また、心電検出と把持検出により、運転者によるステアリングホイールの把持及び座席への着座をしているかどうかの判断に用いることで、ステアリングホイールの把持を促したり、正しい姿勢で着座を促したりするように注意喚起する等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、さらに、前記第2セレクタは、前記第1セレクタと同期して、前記第2ローパスフィルタ及び前記第2ハイパスフィルタの両方を選択する。
この場合においても、心電検出と把持検出とを同時に行うことができる。このため、把持検出及び心電位検出の不感領域が減少するため、電極の感度を向上させることができる。また、把持検出及び心電検出により、運転者によるステアリングホイールの把持及び座席への着座をしているかどうかの判断に用いることで、ステアリングホイールの把持を促したり、正しい姿勢で着座を促したりするように注意喚起する等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、前記第1セレクタが、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ハイパスフィルタの両方を選択し、かつ、前記第2セレクタが、前記第2ローパスフィルタ及び前記第2ハイパスフィルタの両方を選択した状態で、前記心電検出回路に入力される検出信号、及び、前記把持検出回路に入力される検出信号の少なくとも一方が所定のノイズレベル以上であれば、前記心電検出回路が検出した心電位の振幅が所定値よりも小さい場合、前記第1セレクタは、所定期間、前記第1ハイパスフィルタを選択し、前記第2セレクタは、当該所定期間、前記第2ハイパスフィルタを選択する。
このように、心電検出回路に入力される検出信号、又は、把持検出回路に入力される検出信号が所定のノイズレベル以上であれば、心電位と把持の両方を同時に検出すると、精度が確保できなくなるので、心電位と把持のいずれかを選択して検出する。その際、心電位の振幅が所定値よりも小さい場合では、脈と脈との間(例えば隣り合う2つの脈)の、心臓が脈動を行っていない状態であるので、心臓が脈動を行っていない所定期間、第1セレクタに第1ハイパスフィルタを選択させ、かつ、第2セレクタに第2ハイパスフィルタを選択させることで、把持検出を行う。そして、所定期間経過後に第1セレクタに第1ローパスフィルタを選択させ、かつ、第2セレクタに第2ローパスフィルタを選択させることで、心電検出を行う。このような動作を繰り返すことで、ノイズが小さければ心電位と把持の両方を同時に検出して検出即時性を確保し、ノイズが大きければ心電位と把持を所定期間に基づく時間差で、それぞれ選択して検出し、ノイズによる心電位と把持の検出への相互影響を抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記第1ローパスフィルタと前記心電検出回路とに電気的に接続される第1ボルテージフォロワ回路と、前記第2ローパスフィルタと前記心電検出回路とに電気的に接続される第2ボルテージフォロワ回路とを備え、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記第1電極までの配線距離は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記心電検出回路までの配線距離よりも短く、前記第2ローパスフィルタ及び前記第2ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記第2電極までの配線距離は、前記第2ローパスフィルタ及び前記第2ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記心電検出回路までの配線距離よりも短い。
これによれば、第1ローパスフィルタ及びそれぞれの第1ボルテージフォロワ回路は、第1電極から心電検出回路までの配線経路において、心電検出回路側よりも、第1電極の近くに配置される。また、第2ローパスフィルタ及びそれぞれの第2ボルテージフォロワ回路は、第2電極から心電検出回路までの配線経路において、心電検出回路側よりも、第2電極の近くに配置される。第1電極から心電検出回路までの配線経路の第1ボルテージフォロワ回路、及び、第2電極から心電検出回路までの配線経路の第2ボルテージフォロワ回路は、心電検出回路までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置では、第1ボルテージフォロワ回路及び第2ボルテージフォロワ回路から心電検出回路までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記第2電極は、前記表面部に配置され、前記心電検出回路は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2電極と電気的に接続される。
これによれば、人体において、右手から人体を通した左手までの距離よりも、一方の手から人体を通して運転者の大腿までの距離の方が長くなっている部分を活用することができる。つまり、運転者の右手を検出する第1電極の電位から運転者の左手を検出する第2電極の電位までの電位差よりも、運転者の一方の手を検出する第1電極の電位から運転者の大腿を検出する第2電極の電位までの電位差の方が大きくなる。これにより、本開示の計測装置では、より精度よく心電位計測を行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記心電検出回路が検出した心電位の振幅が所定値よりも小さい場合、前記第1セレクタは、所定期間、前記第1ハイパスフィルタを選択する。
これによれば、心電位の振幅が所定値よりも小さくなる当該所定期間、第1セレクタが第1ハイパスフィルタを選択する。また、所定期間以外の期間では、第1セレクタが第1ローパスフィルタを選択することもできる。このため、この計測装置では、心電位のように所定期間と所定期間以外の期間とが繰り返されることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記ステアリングホイールに配置された前記第1電極と異なる箇所に配置される第3電極を備え、前記第3電極は、前記第1ハイパスフィルタと異なる第2ハイパスフィルタを介して前記把持検出回路と電気的に接続される。
これによれば、上述したように、両手でステアリングホイールを把持しているかどうかを判断することができるようになるため、例えば両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、計測装置は、第1電極も有しているため、一方の手を検出する第1電極又は第3電極と、大腿を検出する第2電極との電位差を計測できる。このため、計測装置は、より精度よく心電位計測を行うことができる。つまり、計測装置は、両手による把持検出と心電位検出の精度向上とを実現することができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記把持検出回路は、前記第1電極及び前記第3電極のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して出力する。
これによれば、上述したように、両手でステアリングホイールを把持しているかどうかを判断することができるようになる。このため、この計測装置では、車両を運転する運転者の安全性を、より高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記表面部に配置された前記第2電極と異なる箇所に配置される第4電極と、前記第3電極と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタと、前記第3電極と前記第2ハイパスフィルタとの間、及び、前記第3電極と第2ローパスフィルタとの間に電気的に接続される第2セレクタと、前記心電検出回路と、前記第1ローパスフィルタ、前記第2ローパスフィルタ、前記第2電極及び前記第4電極との間であり、前記心電検出回路、前記第1ローパスフィルタ、前記第2ローパスフィルタ、前記第2電極及び前記第4電極と電気的に接続されるマルチプレクサと、前記マルチプレクサと電気的に接続される制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号で前記心電検出回路が検出結果を示す信号を出力するように、前記マルチプレクサを切換える。
これによれば、制御回路は、マルチプレクサを切換えることで、第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号を、マルチプレクサに抽出させることができる。つまり、制御回路は4つの電極のうちの任意の2つの電極を選択することができるため、この計測装置では、運転者の姿勢等に適した把持検出及び心電位検出を行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記表面部に配置された前記第2電極と異なる箇所に配置される第4電極と、前記第3電極と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタと、前記第3電極と前記第2ハイパスフィルタとの間、及び、前記第3電極と第2ローパスフィルタとの間に電気的に接続される第2セレクタと、前記心電検出回路と電気的に接続される制御回路とを備え、前記心電検出回路は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2ローパスフィルタの少なくとも一方と電気的に接続され、かつ、前記第2電極と電気的に接続される第1増幅回路と、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2ローパスフィルタの少なくとも一方又は前記第4電極と電気的に接続され、かつ、前記第2電極と電気的に接続される第2増幅回路と、前記第1増幅回路及び前記第2増幅回路のそれぞれの出力側に電気的に接続されるマルチプレクサとを有し、前記制御回路は、前記第1電極、前記第3電極及び前記第4電極のいずれか1つと前記第2電極とが、前記心電検出回路と電気的に接続されるように、前記マルチプレクサを切換える。
これによれば、制御回路はマルチプレクサを切換えることで、第1電極の電位、第3電極の電位及び第4電極の電位のいずれか1つと第2電極の電位との3つの電位差のうち、任意の電位差を選択することができる。つまり、制御回路は、それぞれの増幅回路から出力される増幅信号のうちの1つの増幅信号を、マルチプレクサに抽出させることができる。これにより、制御回路は複数の増幅信号の中から適切な増幅信号を選択することができるため、この計測装置では、把持検出及び心電位検出の精度をより向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記制御回路は、前記心電検出回路と接続され、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第4電極のうちの2つの電極が前記心電検出回路と電気的に接続される組み合わせの全てを選択するように、前記マルチプレクサを順次切換え、前記第1セレクタが前記第1ローパスフィルタを選択し、かつ、前記第2セレクタが前記第2ローパスフィルタを選択している場合に、2つの電極による全ての組み合わせのうちの、検出信号の出力幅が、最大となる2つの電極による組み合わせの検出信号を出力させるように、前記マルチプレクサを制御する。
これによれば、制御回路は、第1ローパスフィルタ及び第2ローパスフィルタが選択されている場合に、第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極の4つの電極の検出信号のうちの、出力幅が最大となる最適な組み合わせとなる2つの検出信号を抽出することで、抽出した2つの検出信号に応じた組み合わせである2つの電極を選択することができる。つまり、制御回路は、電位差が最大となる2つの電極の組み合わせを選択することができる。このため、この計測装置では、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記第1ローパスフィルタの出力と前記第2ローパスフィルタの出力とは、結合して前記心電検出回路に入力され、前記第2セレクタは、前記第1セレクタと同期して、前記第2ローパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタとを交互に選択する。
これによれば、心電検出回路には、第1電極の検出信号と第3電極の検出信号とが結合されて入力される。このため、第1電極及び第3電極は、1つの電極として振る舞う。これにより、運転者の手に対向する電極の面積を増やすことができるため、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記第1ローパスフィルタと前記心電検出回路とに電気的に接続される第1ボルテージフォロワ回路を備え、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記第1電極までの配線距離は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記心電検出回路までの配線距離よりも短い。
これによれば、第1ローパスフィルタ及びそれぞれの第1ボルテージフォロワ回路は、第1電極から心電検出回路までの配線経路において、心電検出回路側よりも、これら電極の近くに配置される。第1電極から心電検出回路までの配線経路上の第1ボルテージフォロワ回路は、心電検出回路までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置では、第1ボルテージフォロワ回路から心電検出回路までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記第1ローパスフィルタと前記心電検出回路とに電気的に接続される第1ボルテージフォロワ回路と、前記第2ローパスフィルタと前記心電検出回路とに電気的に接続される第2ボルテージフォロワ回路とを備え、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記第1電極までの配線距離は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第1ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記心電検出回路までの配線距離よりも短く、前記第2ローパスフィルタ及び前記第2ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記第3電極までの配線距離は、前記第2ローパスフィルタ及び前記第2ボルテージフォロワ回路のそれぞれから前記心電検出回路までの配線距離よりも短い。
これによれば、第1ローパスフィルタ及びそれぞれの第1ボルテージフォロワ回路は、第1電極から心電検出回路までの配線経路において、心電検出回路側よりも、第1電極の近くに配置される。また、第2ローパスフィルタ及びそれぞれの第2ボルテージフォロワ回路は、第3電極から心電検出回路までの配線経路において、心電検出回路側よりも、第3電極の近くに配置される。第1電極から心電検出回路までの配線経路の第1ボルテージフォロワ回路、及び、第3電極から心電検出回路までの配線経路の第2ボルテージフォロワ回路は、心電検出回路までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置では、第1ボルテージフォロワ回路及び第2ボルテージフォロワ回路から心電検出回路までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
本開示の一態様に係る計測装置は、さらに、前記心電検出回路及び前記把持検出回路と電気的に接続される制御回路を備え、前記心電検出回路が心電位検出し、かつ、前記把持検出回路が把持検出した際に、前記制御回路は、正常信号を出力する。
一般的に、心電位の検出信号の周波数は、把持の検出信号の周波数よりも低いという特性がある。本開示では、運転者が運転席に座ってステアリングホイールを把持した状態において、把持検出回路には、第1電極の検出信号が第1ハイパスフィルタを介して入力され、かつ、第2電極の検出信号が第2ハイパスフィルタを介して入力される。また、この状態で、心電検出回路には、第1電極の検出信号が第1ローパスフィルタを介して入力され、かつ、第2電極の検出信号が第2ローパスフィルタを介して入力される。このため、把持検出回路は、第1ハイパスフィルタを介して入力された検出信号から、第1電極と運転者の手との間の静電容量の変化に基づいて、把持検出をすることができる。また、心電検出回路は、第1電極の電位と第2電極の電位との電位差から、運転者の心電位検出をすることができる。このため、従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
したがって、把持検出及び心電位検出の精度の低下を抑制することができる。その結果、制御回路は、把持検出回路が心電位を検出した場合に正常信号を確実に出力することができ、心電検出回路が心電位を検出した場合に正常信号を確実に出力することができる。
特に、第1電極及び第2電極は、把持検出の電極と心電位検出の電極とを共有することによって、同一の電極で把持検出及び心電位検出を行うことができる。このため、一部の領域で、ステアリングホイールの把持を検出しなくなったり、他の領域で心電位検出しなくなったりするという、双方の不感領域が存在し難くなる。このため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、この計測装置では、把持検出と心電位検出とを別々の電極で行う必要もないため、計測装置の構造が複雑になり難くなるとともに、製造コストが高騰化し難くなる。
また、この計測装置では、心電位検出用の電極と把持検出用の電極とをリムに巻き付ける必要も生じないため、ステアリングカバーの厚みの増加によって、ステアリングホイールが握り難くなるという不具合も生じ難くなる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記第2電極は、前記ステアリングホイールに配置された前記第1電極と異なる箇所に配置され、前記第1ハイパスフィルタと異なる第2ハイパスフィルタを介して、前記把持検出回路と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタを介して、前記心電検出回路と電気的に接続され、前記心電検出回路が心電位検出し、かつ、前記把持検出回路が把持検出した際に、前記制御回路は、正常信号を出力する。
これによれば、ステアリングホイールに第1電極と第2電極とを設けることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるようになるため、計測装置の設置が容易になる。
また、計測装置では、把持検出と心電位検出とが同時に行われれば、運転者が両手で正しくステアリングホイールを把持していると推定することができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記把持検出回路は、前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して前記制御回路に出力し、前記制御回路は、前記把持検出回路が前記第1電極及び前記第2電極の両方の把持を検出した場合に、正常信号を出力し、前記制御回路は、前記第1電極及び前記第2電極の一方のみの把持を検出した場合に、不十分信号を出力する。
これによれば、両手でステアリングホイールを把持している場合に正常信号を出力し、両手でステアリングホイールを把持していない場合に不十分信号を出力することができる。このため、例えば、半自動運転状態又は自動運転状態からハンドオーバー時にステアリングホイールを両手で適切に把持しているかどうかの判断に用いることで、両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記第2電極は、前記表面部に配置される。
これによれば、人体において、右手から人体を通した左手までの距離よりも、一方の手から人体を通して運転者の大腿までの距離の方が長くなっている部分を活用することができる。つまり、運転者の右手を検出する第1電極の電位から運転者の左手を検出する第2電極の電位までの電位差よりも、運転者の一方の手を検出する第1電極の電位から運転者の大腿を検出する第2電極の電位までの電位差の方が大きくなる。これにより、本開示の計測装置では、より精度よく心電位計測を行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、さらに、前記ステアリングホイールに配置された前記第1電極と異なる箇所に配置される第3電極を備え、前記第3電極は、前記第1ハイパスフィルタと異なる第2ハイパスフィルタを介して前記把持検出回路と電気的に接続される。
これによれば、上述したように、両手でステアリングホイールを把持しているかどうかを判断することができるようになるため、例えば両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、計測装置は、第1電極も有しているため、一方の手を検出する第1電極又は第3電極と、大腿を検出する第2電極との電位差を計測できる。このため、計測装置は、より精度よく心電位計測を行うことができる。つまり、計測装置は、両手による把持検出と心電位検出の精度向上とを実現することができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記把持検出回路は、前記第1電極及び前記第3電極のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果を、それぞれ独立して前記制御回路に出力し、前記制御回路は、前記把持検出回路が前記第1電極及び前記第3電極で両方の把持を検出した場合に、正常信号を出力し、前記制御回路は、前記第1電極及び前記第3電極の一方のみの前記把持を検出した場合に、不十分信号を出力する。
これによれば、上述したように、両手でステアリングホイールを把持しているかどうかを判断することができるようになる。このため、不十分信号に基づいて、例えば両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行う等、この計測装置では、車両を運転する運転者の安全性を、より高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記表面部に配置された前記第2電極と異なる箇所に配置される第4電極と、前記第1電極と電気的に接続される第1ローパスフィルタと、前記第3電極と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタと、前記心電検出回路と、前記第1ローパスフィルタ、前記第2ローパスフィルタ、前記第2電極及び前記第4電極との間であり、前記心電検出回路、前記第1ローパスフィルタ、前記第2ローパスフィルタ、前記第2電極及び前記第4電極と電気的に接続されるマルチプレクサとを備え、前記マルチプレクサは、前記制御回路と電気的に接続され、前記心電検出回路は、前記マルチプレクサと電気的に接続される増幅回路を有し、前記制御回路は、前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号で前記心電検出回路が検出結果を出力するように、前記マルチプレクサを切換える。
これによれば、制御回路は、マルチプレクサを切換えることで、第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号を、マルチプレクサに抽出させることができる。つまり、制御回路は4つの電極のうちの任意の2つの電極を選択することができるため、この計測装置では、運転者の姿勢等に適した把持検出及び心電位検出を行うことができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置は、さらに、前記表面部に配置された前記第2電極と異なる箇所に配置される第4電極と、前記第1電極と電気的に接続される第1ローパスフィルタと、前記第3電極と電気的に接続され、前記第1ローパスフィルタと異なる第2ローパスフィルタと、前記心電検出回路と電気的に接続される制御回路とを備え、前記心電検出回路は、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2ローパスフィルタの少なくとも一方と電気的に接続され、かつ、前記第2電極と電気的に接続される第1増幅回路と、前記第1ローパスフィルタ及び前記第2ローパスフィルタの少なくとも一方又は前記第4電極と電気的に接続され、かつ、前記第2電極と電気的に接続される第2増幅回路と、前記第1増幅回路及び前記第2増幅回路のそれぞれの出力側に電気的に接続されるマルチプレクサとを有し、前記制御回路は、前記第1電極、前記第3電極及び前記第4電極のいずれか1つと前記第2電極とが、前記心電検出回路と電気的に接続されるように、前記マルチプレクサを切換える。
これによれば、制御回路はマルチプレクサを切換えることで、第1電極の電位、第3電極の電位及び第4電極の電位のいずれか1つと第2電極の電位との差である3つの電位差のうち、任意の電位差を選択することができる。つまり、制御回路は、それぞれの増幅回路から出力される増幅信号のうちの1つの増幅信号を、マルチプレクサに抽出させることができる。これにより、制御回路は複数の増幅信号の中から適切な増幅信号を選択することができるため、この計測装置では、把持検出及び心電位検出の精度をより向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記制御回路は、前記心電検出回路が検出した心電位の振幅が所定値より小さい場合に、不十分信号を出力する。
例えば、心電検出回路に検出信号が入力されても、この検出信号が示す心電位の振幅が所定値より小さい場合、十分にステアリングホイールを把持していなかったり、運転者の姿勢が悪く運転席に正しく座っていなかったりする場合等がある。
本開示によれば、この検出信号が示す心電位の振幅が所定値より小さい場合、不十分信号に基づいて、例えば両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行ったり、運転席に正しく座るように注意喚起を行ったりすることができる。このため、この計測装置では、車両を運転する運転者の安全性を、より確実に高めることができる。
また、本開示の他の態様に係る計測装置において、前記制御回路は、前記把持検出回路が把持を検出し、かつ、前記心電検出回路が心電位を検出しない場合に、不正信号を出力する。
例えば、把持検出回路が把持を検出しても、心電検出回路が心電位検出しない場合、助手席からステアリングホイールを把持したり、導体をステアリングホイールに巻き付けたりする等の行為が行われている可能性がある。
本開示によれば、把持検出回路が把持を検出しても、心電検出回路が心電位検出しない場合、制御回路は、不正信号に基づいて、例えば、運転席に正しく座り、ステアリングホイールを把持するように注意喚起を行ったりすることができる。このため、この計測装置では、車両を運転する運転者の安全性を、より確実に高めることができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略T字などの表現を用いている。例えば、略T字状は、完全にT字状であることを意味するだけでなく、実質的にT字状である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略T字状は、本開示による効果を奏し得る範囲においてT字状という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態1)
[構成:車両]
図1は、実施の形態1に係る計測装置1が搭載された車両の車室の一例を示す図である。
図1に示すように、車両は、ステアリングホイール200、スピーカ、及び、液晶ディスプレイ等の表示装置、計測装置1等を備えている。スピーカ及び表示装置は、例えば注意喚起装置として構成されている。
ステアリングホイール200は、車両の操舵輪に対して操舵角を与える。ステアリングホイール200は、リム201と、リム201の内周面に一体的に形成された略T字状のスポーク202と、スポーク202の中央部分に配置されたホーンスイッチ(図示せず)を覆うホーンスイッチカバーとを有している。
リム201は、運転者(人)の手で握るためのグリップ部分であり、リング形状をなしている。リム201には、ステアリングカバー110が巻き付けられている。
[計測装置1]
図2は、実施の形態1に係るステアリングカバー110及び運転席203等を例示する模式図である。図3Aは、実施の形態1に係る計測装置1を示すブロック図である。
図2及び図3Aに示すように、計測装置1は、車両に搭載されて、運転者の生体情報である心電位を測定することで心電位検出したり、ステアリングカバー110への運転者の手を把持検出したりする。心電位検出は、後述する、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22が出力した検出信号に示される心電検出信号であり、心電検出信号に基づく心拍を検出することである。本実施の形態では、心電位検出は、それぞれの電極が出力した4つの検出信号のうちの2つの検出信号の電位差を表す心電検出信号に基づいて心拍を検出する。
計測装置1は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12と、第1シート電極21及び第2シート電極22と、第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32と、把持検出回路30と、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42と、複数のボルテージフォロワ回路50と、マルチプレクサ60と、制御回路61と、心電検出回路70と、情報処理装置80とを備える。
<第1カバー電極11及び第2カバー電極12>
第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、ステアリングホイール200に配置されるステアリングカバー110の内部に設けられ、運転者の手によるステアリングカバー110への接触を検出するセンサ電極である。第1カバー電極11は、ステアリングカバー110がリム201に巻き付けられた際に、リム201の周方向に沿ってリム201の一方側に配置される。また、第2カバー電極12は、ステアリングホイール200における第1カバー電極11と異なる箇所に配置され、ステアリングカバー110がリム201に巻き付けられた際に、リム201の周方向に沿ってリム201の他方側に配置される。例えば、ステアリングカバー110をリム201に巻き付けた際のリム201と対向した状態で見た場合に、第1カバー電極11は右側に配置され、第2カバー電極12は左側に配置される。第1カバー電極11は第1電極の一例であり、第2カバー電極12は第3電極の一例である。
ここで、接触とは、運転者の手がステアリングカバー110に直接的に接触するだけでなく、第1カバー電極11及び第2カバー電極12が人の手を検出可能であれば、物を介する間接的な接触、及び、ステアリングカバー110から離間している状態をも含む意味である。
また、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれは、導体又は抵抗体による面状構造のべた電極であり、薄板状金属からなる板状又はシート状の導電性の電極である。なお、第1カバー電極11及び第2カバー電極12をべた電極とすることで、手との対向面積を最大化することができるので、把持検出及び心電位検出のいずれも高感度化することができる。
第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、配線91、92を介して第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32と電気的に接続される。配線92は、配線91と電気的に接続され、配線91の途中で分岐している。
また、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、配線91を介して、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42と電気的に接続される。第1カバー電極11は、運転者の手によるステアリングカバー110への接触を検出すると、第1ハイパスフィルタ31及び第1ローパスフィルタ41に検出信号を入力し、第2カバー電極12は、第2ハイパスフィルタ32及び第2ローパスフィルタ42に、検出信号を入力する。
また、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれの表面は、表層部(不図示)で覆われている。表層部は、運転者の手が触れる部分であり、ステアリングカバー110の表面を構成している。つまり、表層部は、運転者がリム201を握る際に、ユーザの手と直接接触する部分である。表層部は、革、木材、又は、樹脂等からなる。
第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれの裏面は、基材(不図示)で覆われている。基材は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によって長尺のシート状に形成された不織布である。例えば、基材は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂によって構成されている。
また、基材の裏面には、グランド電極(不図示)が配置されている。つまり、グランド電極は、リム201と基材とに挟まれた状態で配置される。グランド電極は、例えば、銅線等の金属線(導電線)、又は、面状構造のべた電極等である。
また、本実施の形態では、ステアリングカバー110に第1カバー電極11及び第2カバー電極12の2つを用いているが、これら2つの電極が単一化された1つの電極であってもよい。また、ステアリングカバー110には、3つ以上の電極が用いられていてもよい。この場合、グランド電極は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12と一対一で対応するようにステアリングカバー110に2つ設けられてもよく、1つに単一化されていてもよく、3つ以上でもよい。センサ電極とグランド電極との数は、必ずしも一致しなくてもよい。
<第1シート電極21及び第2シート電極22>
第1シート電極21及び第2シート電極22は、図2の運転席203の表面部203aに配置され、運転席203を覆うシートカバーへの運転者の胴体の接触を検出するセンサ電極である。ここで、運転席203の表面部203aとは、運転者が運転席203に座る際に運転者と接触する側のシートカバー部分である。本実施の形態では、第1シート電極21は、運転者の大腿と接触するシートカバー部分の裏面に配置され、運転者の大腿によるシートカバーへの接触を検出する。また、第2シート電極22は、運転者の背中と接触するシートカバー部分の裏面に配置され、運転者の背中によるシートカバーへの接触を検出する。シートカバー部分の裏面は、運転者とシートカバーとが接触する側の面(表面)とは反対側の面である。第1シート電極21は第2電極の一例であり、第2シート電極22は第4電極の一例である。
また、第1シート電極21及び第2シート電極22は、シートカバーに配置される導体又は抵抗体による面状構造のべた電極であり、薄板状金属からなる板状又はシート状の導電性の電極である。第1シート電極21及び第2シート電極22は、シートカバーを介して運転者の皮膚と直接的に接触せずに、運転者の身体と仮想コンデンサを形成することで、静電容量の変化によって運転者の電位を検出する。
第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれは、配線93及びボルテージフォロワ回路50を介してマルチプレクサ60と電気的に接続されている。
また、本実施の形態では、運転席203に第1シート電極21及び第2シート電極22の2つを用いているが、これら2つの電極が単一化された1つの電極であってもよい。また、運転席203には、3つ以上の電極が用いられていてもよい。
<第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32>
第1ハイパスフィルタ31は、第1カバー電極11と把持検出回路30とを電気的に接続する配線91、92上(本実施の形態では配線92上)に配置され、第2ハイパスフィルタ32は、第1ハイパスフィルタ31と異なるフィルタであり、第2カバー電極12と把持検出回路30とを電気的に接続する配線91、92上(本実施の形態では配線92上)に配置される。第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32は、配線92を介して把持検出処理部35と電気的に接続される。
第1ハイパスフィルタ31は、第1カバー電極11の検出信号の低周波成分を除去することで、所定周波数以上の検出信号を取り出すフィルタ装置である。また、第2ハイパスフィルタ32は、第2カバー電極12の検出信号の低周波成分を除去することで、所定周波数以上の検出信号を取り出すフィルタ装置である。第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32のそれぞれは、所定周波数以上の検出信号を把持検出回路30に入力する。ここで、所定周波数とは、例えば100kHzである。
<把持検出回路30>
把持検出回路30は、例えばスポーク202に埋設されている。把持検出回路30は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12等と電気的に接続され、第1カバー電極11及び第2カバー電極12から出力されるそれぞれの検出信号に基づいて、運転者の手によるステアリングカバー110の表面への接触を検出するセンサである。把持検出回路30は、運転者の手がステアリングカバー110に接触しているか否か、つまり、その手の接触の検出、及び、その手の接触位置等の検出をする。
把持検出回路30は、把持検出処理部35を有する。
把持検出処理部35は、第1ハイパスフィルタ31を介して第1カバー電極11と電気的に接続され、第2ハイパスフィルタ32を介して第2カバー電極12と電気的に接続される。把持検出処理部35は、ステアリングカバー110への手の接触を検出するセンサ回路を有する。
また、把持検出回路30は第1カバー電極11及び第2カバー電極12とで、例えば静電容量式の近接センサを構成し、車両内の運転者(人)の把持を検出するグリップセンサとなる。グリップセンサは、運転者の手と第1カバー電極11との間の静電容量の変化、及び、運転者の手と第2カバー電極12との間の静電容量の変化によって、運転者の手がステアリングカバー110に接触したか否かを検出する。
具体的には、把持検出処理部35は、配線91、92を介して第1カバー電極11及び第2カバー電極12に交流の電流を流す。この際に、運転者の手がステアリングカバー110の表面に接触すると、接触部位に対応する第1カバー電極11及び第2カバー電極12の静電容量が変化するため、把持検出処理部35は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12に流れる電流の電流値に基づいて、第1カバー電極11及び第2カバー電極12における静電容量の変化を測定する。例えば、運転者の手がステアリングカバー110から離れている状態では、把持検出処理部35は、車両と第1カバー電極11及び第2カバー電極12との間の静電容量を検出する。また、運転者の手がステアリングカバー110に近付く又は接触すると、第1カバー電極11及び第2カバー電極12と車体との間に運転者の手が介在するため、静電容量が変化する。検出された静電容量が規定値以上となれば、運転者の手がステアリングカバー110に触れている、若しくは把持していると判断することができる。
また、把持検出処理部35は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して出力する。例えば、把持検出処理部35は、運転者の手がステアリングカバー110に接触していることを示す検出結果であり、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれに対応する検出結果を示す信号を、情報処理装置80等に入力する。
なお、本実施の形態では、把持検出回路30は、把持検出処理部35を有するが、さらに、第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32を有していてもよい。
<第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42>
第1ローパスフィルタ41は、第1カバー電極11とマルチプレクサ60とを電気的に接続する配線91上に配置され、第2ローパスフィルタ42は、第2カバー電極12とマルチプレクサ60とを電気的に接続する配線91上に配置される。第1ローパスフィルタ41は、第1カバー電極11と、ボルテージフォロワ回路50を介したマルチプレクサ60と電気的に接続され、第2ローパスフィルタ42は、第2カバー電極12と、ボルテージフォロワ回路50を介したマルチプレクサ60と電気的に接続される。
第1ローパスフィルタ41は、第1カバー電極11の検出信号の高周波成分を除去することで、所定周波数以下の検出信号を取り出すフィルタ装置である。第2ローパスフィルタ42は、第2カバー電極12の検出信号の高周波成分を除去することで、所定周波数以下の検出信号を取り出すフィルタ装置である。第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42のそれぞれは、所定周波数以下の検出信号を、ボルテージフォロワ回路50を介してマルチプレクサ60に入力する。ここで、所定周波数とは、例えば1kHzであり、好ましくは100Hzである。
<ボルテージフォロワ回路50>
複数のボルテージフォロワ回路50は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42のそれぞれとマルチプレクサ60との間、かつ、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれとマルチプレクサ60との間に配置される。複数のボルテージフォロワ回路50のそれぞれは、配線91上の第1ローパスフィルタ41の出力側、配線91上の第2ローパスフィルタ42の出力側、第1シート電極21の出力側、及び、第2シート電極22の出力側に配置される。具体的には、複数のボルテージフォロワ回路50のうちの一部のボルテージフォロワ回路50では、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれが、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及び配線91等を介してプラス側入力端子と電気的に接続される。また、残りのボルテージフォロワ回路50では、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれが、配線93を介してプラス側入力端子と電気的に接続される。また、それぞれのボルテージフォロワ回路50のマイナス側の入力端子は、ボルテージフォロワ回路50の出力端子からのフィードバックが入力される。それぞれのボルテージフォロワ回路50は、マルチプレクサ60と電気的に接続され、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22からの検出信号の出力インピーダンスをローインピーダンスにし、ローインピーダンスにした検出信号をマルチプレクサ60に入力する。
また、第1ローパスフィルタ41の出力側のボルテージフォロワ回路50及び第1ローパスフィルタ41から第1カバー電極11までの配線距離、及び、第2ローパスフィルタ42の出力側のボルテージフォロワ回路50及び第2ローパスフィルタ42から第2カバー電極12までの配線距離のそれぞれは、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及びこれら2つのボルテージフォロワ回路50のそれぞれから心電検出回路70までの配線距離よりも短い。つまり、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及びこれら2つのボルテージフォロワ回路50は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12からマルチプレクサ60までの配線経路において、第1カバー電極11及び第2カバー電極12の近傍に配置され、心電検出回路70から遠く離れた場所に配置される。
例えば第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及びこれら2つのボルテージフォロワ回路50は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12から心電検出回路70までの配線距離の1/2より短い位置に配置されてもよい。
また、第1シート電極21の出力側のボルテージフォロワ回路50から第1シート電極21までの配線距離、及び、第2シート電極22の出力側のボルテージフォロワ回路50から第2シート電極22までの配線距離のそれぞれは、これら2つのボルテージフォロワ回路50のそれぞれから心電検出回路70までの配線距離よりも短い。つまり、これら2つのボルテージフォロワ回路50は、第1シート電極21及び第2シート電極22の近傍に配置され、心電検出回路70から遠く離れた場所に配置される。
例えばこれら2つのボルテージフォロワ回路50は、第1シート電極21及び第2シート電極22から心電検出回路70までの配線距離の1/2より短い位置に配置されてもよい。
<マルチプレクサ60>
マルチプレクサ60は、例えば運転席203に内蔵されている。マルチプレクサ60は、心電検出回路70と、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42、第1シート電極21及び第2シート電極22との間であり、心電検出回路70及び複数のボルテージフォロワ回路50と電気的に接続される。マルチプレクサ60には、第1ローパスフィルタ41等を介して第1カバー電極11から出力された検出信号、第2ローパスフィルタ42等を介して第2カバー電極12から出力された検出信号、ボルテージフォロワ回路50等を介して第1シート電極21から出力された検出信号、ボルテージフォロワ回路50等を介して第2シート電極22から出力された検出信号が入力される。
また、マルチプレクサ60は、制御回路61と電気的に接続される。マルチプレクサ60には、制御回路61から切換信号が入力される。マルチプレクサ60は、制御回路61からの切換信号によって制御されることで、これら4つの検出信号のうちから2つの検出信号を選択するように切換える。つまり、マルチプレクサ60は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22の4つの電極から、組み合わされた2つの電極の検出信号を心電検出回路70に入力する。
<制御回路61>
制御回路61は、例えば運転席203に内蔵されている。制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のうちの2つの電極が心電検出回路70と電気的に接続される組み合わせの全てを選択するように、マルチプレクサ60を順次切換える。言い換えれば、制御回路61は、取得した4つの検出信号の全ての組み合わせのうちの、検出信号の出力幅(振幅)が最大となる2つの検出信号(組み合わせの検出信号)を出力させるように、マルチプレクサ60を制御する。
具体的には、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22から取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号の組み合わせの全てを選択し、選択した組み合わせの中で出力幅が最大となる2つの電極による組み合わせの検出信号を抽出する。
例えば、制御回路61は、心電検出回路70が検出した検出結果に基づいてこの抽出を行う。制御回路61は、マルチプレクサ60が取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号の組み合わせの全てを参照し、2つの検出信号が示す2つの電極の電位差が最大となる組み合わせを抽出する。
制御回路61は、2つの電極の電位差が最大となる組み合わせとなるように、切換信号を出力してマルチプレクサ60を制御する。
<心電検出回路70>
心電検出回路70は、マルチプレクサ60等を介して、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22と電気的に接続される。心電検出回路70には、マルチプレクサ60が出力した2つの検出信号が入力される。心電検出回路70は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22から出力されるそれぞれの検出信号のうちの2つの検出信号に基づいて、運転者の身体を心電位検出する心電計測器である。心電検出回路70は、例えば運転席203に内蔵されている。
心電検出回路70は、増幅回路71と、A/D変換器72とを有する。
増幅回路71は、マルチプレクサ60と電気的に接続され、かつ、A/D変換器72の入力側と電気的に接続される。増幅回路71は、マルチプレクサ60から入力された2つの検出信号の差分を増幅する差動アンプである。具体的には、増幅回路71は、マルチプレクサ60が組み合わせた2つの電極の電位差を差動利得で増幅した差動増幅信号(増幅信号の一例である)を生成する。増幅回路71は、生成した差動増幅信号をA/D変換器72に入力する。
A/D変換器72は、増幅回路71の出力側と電気的に接続され、情報処理装置80の入力側と電気的に接続される。A/D変換器72は、入力された差動増幅信号をアナログデジタル変換して、デジタル化した差動増幅信号を情報処理装置80に入力する。
なお、本実施の形態では、心電検出回路70は、増幅回路71及びA/D変換器72を有するが、さらに、マルチプレクサ60を有していてもよく、またさらに、複数のボルテージフォロワ回路50を有していてもよく、またさらに、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42を有していてもよい。
<情報処理装置80>
情報処理装置80は、車両の各部を統括制御するECU(Electronic Control Unit)等の車両制御ユニットであり、例えば運転席203に内蔵されている。情報処理装置80は、把持検出回路30から取得した運転者の手がステアリングカバー110に接触していることを示す検出結果に基づいて、運転者によって車両が運転されているにもかかわらず、ステアリングカバー110への手の接触を検出していない場合、運転者への注意喚起を注意喚起装置に実行させる。ステアリングカバー110への手の接触を検出していない場合は、例えば、両手でステアリングホイール200を同時に握っていない場合である。例えば、注意喚起装置は、警告音又は音声によって、運転者に注意を喚起したり、運転者にステアリングホイール200を両手でしっかり握るように促す注意喚起のメッセージを表示したりする。
また、情報処理装置80は、心電検出回路70から取得した差動増幅信号に基づいて、心電位に異常がある場合、運転者への注意喚起を注意喚起装置に実行させる。例えば、注意喚起装置は、警告音又は音声によって、運転者に注意を喚起したり、運転者に休憩を促す等の車両運転を中止するように促す注意喚起のメッセージを表示したりする。
このように、情報処理装置80は、把持検出回路30及び心電検出回路70の検出結果を示す信号(生体信号)に基づいて、運転者の身体的状態及び精神的状態を推定し、車両の走行を制御したりするドライバモニタリングとしての機能を有する。
[処理]
運転者が車室内で座席に座って両手でハンドルを握っている状態において、本実施の形態の計測装置1では、ステアリングカバー110の第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、ステアリングカバー110への運転者の手の接触を検出し、検出した検出信号を第1ハイパスフィルタ31、第2ハイパスフィルタ32、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42のそれぞれに入力する。また、第1シート電極21及び第2シート電極22は、運転席への運転者の大腿、臀部及び背中の接触を検出し、検出した検出信号を、配線93上のそれぞれのボルテージフォロワ回路50に入力する。
第1ハイパスフィルタ31には第1カバー電極11が検出した検出信号が入力され、第2ハイパスフィルタ32には、第2カバー電極12が検出した検出信号が入力される。第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32のそれぞれは、検出信号の低周波成分を除去し、所定周波数以上の検出信号を把持検出回路30に入力する。
把持検出回路30の把持検出処理部35は、検出信号が示す運転者の手と第1カバー電極11との間の静電容量の変化量、及び、検出信号が示す運転者の手と第2カバー電極12との間の静電容量の変化量によって、運転者の手がステアリングカバー110に接触したか否かを検出する。例えば、把持検出回路30は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果である、両手でステアリングホイール200を同時に握っているかどうかを、それぞれ独立して検出して出力する。
第1ローパスフィルタ41には第1カバー電極11が検出した検出信号が入力され、第2ローパスフィルタ42には、第2カバー電極12が検出した検出信号が入力される。第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42のそれぞれは、検出信号の高周波成分を除去し、所定周波数以下の検出信号を、配線91上のそれぞれのボルテージフォロワ回路50に入力する。
それぞれのボルテージフォロワ回路50は、検出信号の出力インピーダンスをローインピーダンスにし、ローインピーダンスにした検出信号をマルチプレクサ60に入力する。これにより、それぞれのボルテージフォロワ回路50から心電検出回路70までの間におけるノイズの影響を低減する。
マルチプレクサ60は、取得した4つの検出信号のうちから抽出された2つの検出信号を出力するように、制御回路61によって切換制御される。つまり、制御回路61は、2つの電極の電位差が最大となる組み合わせ(2つの検出信号)を抽出し、抽出した2つの検出信号を出力させるための切換信号をマルチプレクサ60に入力することで、マルチプレクサ60を切換制御する。マルチプレクサ60は、2つの電極の電位差が最大となる2つの検出信号を心電検出回路70に入力する。
心電検出回路70の増幅回路71は、マルチプレクサ60から出力された2つの検出信号に示される電位の電位差を差動利得で増幅する。A/D変換器72は、増幅した差動増幅信号をデジタル化して情報処理装置80に入力する。
このように、本実施の形態における計測装置1では、第1カバー電極11及び第2カバー電極12によって把持検出と心電位検出とを行う。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置1の作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置1では、運転者が運転席203に座ってステアリングホイール200を把持した状態において、把持検出回路30には、第1カバー電極11から第1ハイパスフィルタ31を介して把持による検出信号が入力され、かつ、心電検出回路70には、第1カバー電極11から第1ローパスフィルタ41を介して心電位の検出信号が入力される。また、例えば、心電検出回路70には、第2電極の一例である第2カバー電極12又は第1シート電極21の検出信号が入力される。このため、把持検出回路30は、第1ハイパスフィルタ31を介して入力された検出信号から、第1カバー電極11と運転者の手との間の静電容量の変化に基づいて、把持検出をすることができる。また、心電検出回路70は、第1カバー電極11の電位と、第2カバー電極12又は第1シート電極21の電位との電位差から、運転者の心電位検出をすることができる。このため、従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
したがって、把持検出及び心電位検出の精度の低下を抑制することができる。
特に、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、心電位検出の電極と把持検出の電極とを共有することによって、同一の電極で把持検出及び心電位検出を行うことができる。このため、一部の領域で、ステアリングホイール200の把持を検出しなくなったり、他の領域で心電位検出しなくなったりするという、双方の不感領域が存在し難くなる。このため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、この計測装置1では、把持検出と心電位検出とを別々の電極で行う必要もないため、計測装置1の製造コストが高騰化し難くなる。
また、この計測装置1では、心電位検出用の電極と把持検出用の電極とをリム201に巻き付ける必要も生じないため、ステアリングカバー110の厚みの増加によって、ステアリングホイール200が握り難くなるという不具合も生じ難くなる。
また、本実施の形態における計測装置1では、第1シート電極21が表面部203aに配置されることで、人体において、右手から人体を通した左手までの距離よりも、一方の手から人体を通して運転者の大腿までの距離の方が長くなっている部分を活用することができる。つまり、運転者の右手を検出する第1シート電極21の電位から運転者の左手を検出する第2シート電極22の電位までの電位差よりも、運転者の一方の手を検出する第1シート電極21の電位から運転者の大腿を検出する第1カバー電極11の電位までの電位差の方が大きくなる。これにより、本実施の形態の計測装置1では、より精度よく心電位計測を行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置1では、第2カバー電極12は、ステアリングホイール200における第1カバー電極11と異なる箇所に配置される。このため、両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断することができるようになる。例えば、半自動運転状態又は自動運転状態からハンドオーバー時にステアリングホイール200を両手で適切に把持しているかどうかの判断に用いることで、両手でステアリングホイール200を把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、計測装置1は、第1シート電極21も有しているため、一方の手を検出する第1カバー電極11又は第2カバー電極12と、大腿を検出する第1シート電極21との電位差を計測できる。このため、計測装置1は、より精度よく心電位計測を行うことができる。つまり、計測装置1は、両手による把持検出と心電位検出の精度向上とを実現することができる。
また、本実施の形態における計測装置1では、把持検出回路30が、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれの検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して出力するため、上述したように、両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断することができるようになる。このため、この計測装置1では、車両を運転する運転者の安全性を、より高めることができる。
また、本実施の形態における計測装置1では、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22から取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号で心電検出回路70が検出結果を示す信号を出力するように、マルチプレクサ60を切換える。このため、制御回路61は、マルチプレクサ60を切換えることで、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号を、マルチプレクサ60に抽出させることができる。つまり、制御回路61は4つの電極のうちの任意の2つの電極を選択することができるため、この計測装置1では、運転者の姿勢等に適した把持検出及び心電位検出を行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置1では、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22の4つの電極の検出信号のうちの、出力幅が最大となる最適な組み合わせとなる2つの検出信号を抽出することで、抽出した2つの検出信号に応じた組み合わせである2つの電極を選択することができる。つまり、制御回路61は、電位差が最大となる2つの電極の組み合わせを選択することができる。このため、この計測装置1では、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本実施の形態における計測装置1では、第1ローパスフィルタ41及びそれぞれのボルテージフォロワ回路50は、第1カバー電極11から心電検出回路70までの配線経路、及び、第2カバー電極12又は第1シート電極21から心電検出回路70までの配線経路において、心電検出回路70側よりも、これら電極の近くに配置される。第1カバー電極11から心電検出回路70までの配線経路、及び、第2カバー電極12又は第1シート電極21から心電検出回路70までの配線経路のうち、それぞれのボルテージフォロワ回路50は、心電検出回路70までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置1では、ボルテージフォロワ回路50から心電検出回路70までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
(実施の形態1の変形例)
図3Bは、実施の形態1の変形例に係る計測装置1aを示すブロック図である。
本変形例の計測装置1aの構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
上記実施の形態1の図3Aでは、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42の出力側にそれぞれボルテージフォロワ回路50が設けられているが、図3Bに示すように、本変形例では、第1ローパスフィルタ41の出力側と第2ローパスフィルタ42の出力側とが電気的に接続されている点で相違する。
図3Bに示すように、本変形例では、第1ローパスフィルタ41の出力と第2ローパスフィルタ42の出力とが結合(互いに電気的に接続)して、心電検出回路70に入力される。具体的には、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれが出力した検出信号は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42を介して1つに纏められて1つのボルテージフォロワ回路50に入力される。つまり、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42のそれぞれから出力された検出信号が1つの信号となるため、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、1つ電極として振る舞う。
このような、本変形例における計測装置1aでは、心電検出回路70には、第1カバー電極11の検出信号と第2カバー電極12の検出信号とが結合されて入力される。このため、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、1つの電極として振る舞う。これにより、運転者の手に対向する電極の面積を増やすことができるため、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本変形例においても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態2)
[構成:計測装置1b]
図4は、実施の形態2に係る計測装置1bを示すブロック図である。
上記実施の形態1の図3Aでは、ステアリングカバー110が第1カバー電極11及び第2カバー電極12を有するが、図4に示すように、本実施の形態の計測装置1bでは、第1カバー電極は2つの第1カバー電極11a、11bに分割され、第2カバー電極は2つの第2カバー電極12a、12bに分割された4つの電極を有している点で相違する。このため、本実施の形態では、一対の第1カバー電極11a、11bの出力側には、対応する一対の第1ハイパスフィルタ31及び一対の第1ローパスフィルタ41が電気的に接続され、一対の第2カバー電極12a、12bの出力側には、対応する一対の第2ハイパスフィルタ32及び一対の第2ローパスフィルタ42が電気的に接続される。
また、本実施の形態の計測装置1bでは、第1シート電極21及び第2シート電極22を設けていないが、実施の形態1の図3Aのように心電検出回路70に電気的に接続する第1シート電極21及び第2シート電極22が設けられていてもよい。本実施の形態では、一対の第1カバー電極11a、11bは第1電極の一例であり、一対の第2カバー電極12a、12bは第2電極の一例である。
本実施の形態の計測装置1bの構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図4に示すように、一対の第1カバー電極11a、11bは、リム201の周方向に沿ってリム201の一方側(例えば右側)に配置される。一対の第1カバー電極11a、11bのうちの、一方の第1カバー電極11bはリム201の内周側に配置され、他方の第1カバー電極11aはリム201の外周側に配置される。
一対の第2カバー電極12a、12bは、リム201の周方向に沿ってリム201の他方側(例えば左側)に配置される。一対の第2カバー電極12a、12bのうちの、一方の第2カバー電極12bはリム201の内周側に配置され、他方の第2カバー電極12aはリム201の外周側に配置される。
なお、一対の第1カバー電極11a、11b及び一対の第2カバー電極12a、12bの配置は、上述の配置に限定されない。例えば、円を径方向に四分割した円弧状の一対の第1カバー電極及び一対の第2カバー電極をリム201の周方向に沿って配置してもよい。具体的には、一方の第1カバー電極をリム201の一方側上部に配置し、他方の第1カバー電極をリム201の一方側下部に配置し、一方の第2カバー電極をリム201の他方側上部に配置し、及び、他方の第2カバー電極をリム201の他方側下部に配置してもよい。
一対の第1ローパスフィルタ41のそれぞれの出力が互いに電気的に接続されているため、一対の第1カバー電極11a、11bのそれぞれが出力した検出信号は、一対の第1ローパスフィルタ41を介して1つに纏められて1つのボルテージフォロワ回路50に入力される。つまり、一対の第1ローパスフィルタ41のそれぞれから出力された検出信号が1つの信号となるため、一対の第1カバー電極11a、11bは、1つ電極として振る舞う。
また、一対の第2ローパスフィルタ42のそれぞれの出力が電気的に接続されているため、一対の第2カバー電極12a、12bのそれぞれが出力した検出信号は、一対の第2ローパスフィルタ42を介して1つに纏められてボルテージフォロワ回路50に入力される。つまり、一対の第2ローパスフィルタ42のそれぞれから出力された検出信号が1つの信号となるため、一対の第2カバー電極12a、12bは、1つ電極として振る舞う。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置1bの作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置1bでは、ステアリングホイール200には、第1ローパスフィルタ41に電気的に接続される一対の第1カバー電極11a、11bと、第2ローパスフィルタ42が電気的に接続される一対の第2カバー電極12a、12bとが配置される。ステアリングホイール200に一対の第1カバー電極11a、11b及び一対の第2カバー電極12a、12bを設けることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるようになるため、計測装置1bの設置が容易になる。
また、本実施の形態における計測装置1bでは、把持検出回路30が、一対の第1カバー電極11a、11b及び一対の第2カバー電極12a、12bのそれぞれの検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して出力するため、上述したように、両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断することができるようになる。このため、この計測装置1bでは、車両を運転する運転者の安全性を、より高めることができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3)
[構成:計測装置1c]
図5は、実施の形態3に係る計測装置1cを示すブロック図である。
上記実施の形態1の図3Aでは、増幅回路71とボルテージフォロワ回路50との間にマルチプレクサ60が設けられているが、図5に示すように、本実施の形態では、複数の増幅回路とA/D変換器72との間にマルチプレクサ60が設けられている点で相違する。
本実施の形態の計測装置1cの構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図5に示すように、心電検出回路70は、複数の増幅回路を有する。本実施の形態では、3つの増幅回路である第1増幅回路71a、第2増幅回路71b及び第3増幅回路71cを有するが、増幅回路の数は、電極数に応じて変化するため、4つ以上の増幅回路が用いられもよく、2つの増幅回路が用いられてもよい。また、第1増幅回路71a、第2増幅回路71b及び第3増幅回路71cのうちの2つの増幅回路は、第1増幅回路、及び、第2増幅回路の一例である。
心電検出回路70のそれぞれの増幅回路は、複数のボルテージフォロワ回路50のうちの2つのボルテージフォロワ回路50と電気的に接続されている。具体的には、全ての増幅回路は、第1シート電極21に対応するボルテージフォロワ回路50と電気的に接続される。また、第2シート電極22、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれに対応するボルテージフォロワ回路50は、複数の増幅回路と一対一で電気的に接続される。本実施の形態では、第1シート電極21は、基準電位用の電極として設定されている。より具体的には、第1増幅回路71aは、入力側がそれぞれのボルテージフォロワ回路50を介して第1ローパスフィルタ41及び第1シート電極21と電気的に接続され、出力側がマルチプレクサ60と電気的に接続される。第2増幅回路71bは、入力側がそれぞれのボルテージフォロワ回路50を介して第2ローパスフィルタ42及び第1シート電極21と電気的に接続され、出力側がマルチプレクサ60と電気的に接続される。第3増幅回路71cは、入力側がそれぞれのボルテージフォロワ回路50を介して第1シート電極21及び第2シート電極22と電気的に接続され、出力側がマルチプレクサ60と電気的に接続される。
第1増幅回路71a、第2増幅回路71b及び第3増幅回路71cのそれぞれは、それぞれのボルテージフォロワ回路50から出力されたローインピーダンスにされた検出信号を差動増幅した差動増幅信号をマルチプレクサ60に入力する。
本実施の形態では、心電検出回路70は、マルチプレクサ60を有する。マルチプレクサ60は、取得した複数の差動増幅信号のうちの1つの差動増幅信号をA/D変換器72に入力する。具体的には、マルチプレクサ60は、制御回路61によって制御されることで、複数の差動増幅信号のうちから最も電位差の高い差動増幅信号を選択するように切換える。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置1cの作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置1cでは、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12及び第2シート電極22のいずれか1つと第1シート電極21とが、心電検出回路70と電気的に接続されるように、マルチプレクサ60を切換える。このため、制御回路61はマルチプレクサ60を切換えることで、第1カバー電極11の電位、第2カバー電極12の電位及び第2シート電極22の電位のそれぞれと第1シート電極21の電位との差である3つの電位差のうち、任意の電位差を選択することができる。つまり、制御回路61は、第1増幅回路71a、第2増幅回路71b及び第3増幅回路71cから出力される差動増幅信号のうちの1つの差動増幅信号を、マルチプレクサ60に抽出させることができる。これにより、制御回路61は複数の差動増幅信号の中から適切な差動増幅信号を選択することができるため、この計測装置1cでは、把持検出及び心電位検出の精度をより向上させることができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態4)
[構成:計測装置2]
図6は、実施の形態4に係る計測装置2を示すブロック図である。
本実施の形態4の図6では、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bを有する点で、実施の形態1等と相違する。
本実施の形態の計測装置2の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
計測装置2は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22、第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32、把持検出回路30、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42、第1ボルテージフォロワ回路50a、第2ボルテージフォロワ回路50b、第3ボルテージフォロワ回路50c、マルチプレクサ60、制御回路61、心電検出回路70及び情報処理装置80の他に、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bを備える。なお、以下、単にボルテージフォロワ回路と呼ぶ場合は、第1ボルテージフォロワ回路50a、第2ボルテージフォロワ回路50b及び第3ボルテージフォロワ回路50cを総称して呼ぶ。
<第1カバー電極11及び第2カバー電極12>
第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、配線91a、91b、92a、92bを介して第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32と電気的に接続される。配線92a、92bは、配線91a、91bと電気的に接続され、配線91a、91bの途中で分岐している。
また、第1カバー電極11及び第2カバー電極12はそれぞれ、配線90a及び90bを介して、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42と電気的に接続される。運転者の手によるステアリングカバー110への接触を検出すると、後述する第1セレクタ90aによって切換えられることで、第1カバー電極11は第1ハイパスフィルタ31又は第1ローパスフィルタ41に検出信号を入力し、後述する第2セレクタ90bによって第1セレクタ90aと略同一のタイミングで切換えられることで、第2カバー電極12は第2ハイパスフィルタ32又は第2ローパスフィルタ42に、検出信号を入力する。
<第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32>
第1ハイパスフィルタ31は、第1カバー電極11と把持検出回路30とを電気的に接続する配線91a、92a上(本実施の形態では配線92a上)に配置され、第2ハイパスフィルタ32は、第1ハイパスフィルタ31と異なるフィルタであり、第2カバー電極12と把持検出回路30とを電気的に接続する配線91b、92b上(本実施の形態では配線92b上)に配置される。第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32は、配線92a、92bを介して把持検出処理部35と電気的に接続される。
<第1セレクタ90a及び第2セレクタ90b>
第1セレクタ90aは、第1カバー電極11と第1ハイパスフィルタ31との間であり、かつ、第1カバー電極11と第1ローパスフィルタ41との間に配置される。また、第2セレクタ90bは、第2カバー電極12と第2ハイパスフィルタ32との間であり、かつ、第2カバー電極12と第2ローパスフィルタ42との間に配置される。
第1セレクタ90aは、配線91a上における、配線91aと配線92aとの接続点(分岐点)に設けられ、配線91aを介して第1ローパスフィルタ41及び第1カバー電極11と電気的に接続され、配線92aを介して第1ハイパスフィルタ31と電気的に接続される。また、第2セレクタ90bは、配線91b上における、配線91bと配線92bとの接続点(分岐点)に設けられ、配線91bを介して第2ローパスフィルタ42及び第2カバー電極12と電気的に接続され、配線92bを介して第2ハイパスフィルタ32と電気的に接続される。
また、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bは、制御回路61と電気的に接続される。第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bには、制御回路61から切換信号が入力される。第1セレクタ90aは、制御回路61からの切換信号によって制御されることで、第1ローパスフィルタ41と第1ハイパスフィルタ31との電気的な接続を選択するように切換える、スイッチである。また、第2セレクタ90bは、制御回路61からの切換信号によって制御されることで、第1セレクタ90aと同期して、第2ローパスフィルタ42と第2ハイパスフィルタ32との電気的な接続を選択するように切換える、スイッチである。なお、第1ローパスフィルタ41と第1ハイパスフィルタ31との電気的な接続を交互に選択ように切換えてもよく、第2ローパスフィルタ42と第2ハイパスフィルタ32との電気的な接続を交互に選択ように切換えてもよい。
具体的には、第2セレクタ90bが第2ローパスフィルタ42から第2ハイパスフィルタ32に切換えると同時に、第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41から第1ハイパスフィルタ31に切換える。これにより、第1カバー電極11が第1セレクタ90aを介して第1ハイパスフィルタ31と電気的に接続され、第2カバー電極12が第2セレクタ90bを介して第2ハイパスフィルタ32と電気的に接続される。また、第2セレクタ90bが第2ハイパスフィルタ32から第2ローパスフィルタ42に切換えると同時に、第1セレクタ90aが第1ハイパスフィルタ31から第1ローパスフィルタ41に切換える。これにより、第1カバー電極11が第1セレクタ90aを介して第1ローパスフィルタ41と電気的に接続され、第2カバー電極12が第2セレクタ90bを介して第2ローパスフィルタ42と電気的に接続される。
また、第1セレクタ90aは、所定期間、第1ハイパスフィルタ31を選択し、第2セレクタ90bは、所定期間、第2ハイパスフィルタ32を選択する。心電位に基づく心拍は一定周期ごとに行われる心臓の脈動であるため、所定期間は、隣り合う2つの脈動の間の期間(例えば、心電図波形におけるSQ間隔、RQ間隔、SR間隔等と呼ばれる期間)のうちの少なくとも一部の期間である。所定期間と所定期間以外の期間とは、心臓の脈動に応じて交互に繰り返される。ここでいう脈動とは、例えば、心電図波形におけるR波、Q波又はS波であってもよい。また、第1セレクタ90aは、第2セレクタ90bと同期するため、第1セレクタ90aの所定期間は、第2セレクタ90bの所定期間と略同一のタイミングである。
所定期間では、第1セレクタ90aは、第1ハイパスフィルタ31を選択して、第1カバー電極11と第1ハイパスフィルタ31とを電気的に接続し、所定期間以外の期間では、第1セレクタ90aは、第1ローパスフィルタ41を選択して、第1カバー電極11と第1ローパスフィルタ41とを電気的に接続する。また、所定期間では、第2セレクタ90bは、第2ハイパスフィルタ32を選択して、第2カバー電極12と第2ハイパスフィルタ32とを電気的に接続し、所定期間以外の期間では、第2セレクタ90bは、第2ローパスフィルタ42を選択して、第2カバー電極12と第2ローパスフィルタ42とを電気的に接続する。ここで、所定期間以外の期間は、心臓の脈動を検出する期間であり、例えば、心電図波形における、QRS幅、QR幅、RS幅又はR幅と呼ばれる期間を含む。
なお、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bが第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42を選択する所定期間以外の期間は、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bが第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32を選択する所定期間よりも長い期間である。例えば、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bが第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42を選択する所定期間以外の期間は、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bが第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32を選択する所定期間よりも約10倍長い。
<第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42>
第1ローパスフィルタ41は、第1カバー電極11とマルチプレクサ60とを電気的に接続する配線91a上に配置され、第2ローパスフィルタ42は、第2カバー電極12とマルチプレクサ60とを電気的に接続する配線91b上に配置される。第1ローパスフィルタ41は、第1カバー電極11と、第1ボルテージフォロワ回路50aを介したマルチプレクサ60と電気的に接続され、第2ローパスフィルタ42は、第2カバー電極12と、第2ボルテージフォロワ回路50bを介したマルチプレクサ60と電気的に接続される。
<ボルテージフォロワ回路>
複数のボルテージフォロワ回路は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42のそれぞれとマルチプレクサ60との間、かつ、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれとマルチプレクサ60との間に配置される。複数のボルテージフォロワ回路のうちの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bは、配線91a上の第1ローパスフィルタ41の出力側及び配線91b上の第2ローパスフィルタ42の出力側にそれぞれ配置され、複数のボルテージフォロワ回路のうちの第3ボルテージフォロワ回路50cは、第1シート電極21の出力側、及び、第2シート電極22の出力側に配置される。具体的には、複数のボルテージフォロワ回路のうちの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bでは、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれが、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及び配線91a、91b等を介してプラス側入力端子と電気的に接続される。また、第3ボルテージフォロワ回路50cでは、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれが、配線93を介してプラス側入力端子と電気的に接続される。
また、第1ローパスフィルタ41の出力側の第1ボルテージフォロワ回路50a及び第1ローパスフィルタ41から第1カバー電極11までの配線距離、及び、第2ローパスフィルタ42の出力側の第2ボルテージフォロワ回路50b及び第2ローパスフィルタ42から第2カバー電極12までの配線距離のそれぞれは、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及びこれら2つの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bのそれぞれから心電検出回路70までの配線距離よりも短い。つまり、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及びこれら2つの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bは、第1カバー電極11及び第2カバー電極12からマルチプレクサ60までの配線経路において、第1カバー電極11及び第2カバー電極12の近傍に配置され、心電検出回路70から遠く離れた場所に配置される。
例えば第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42及びこれら2つの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bは、第1カバー電極11及び第2カバー電極12から心電検出回路70までの配線距離の1/2より短い位置に配置されてもよい。
また、第1シート電極21の出力側の第1ボルテージフォロワ回路50aから第1シート電極21までの配線距離、及び、第2シート電極22の出力側の第2ボルテージフォロワ回路50bから第2シート電極22までの配線距離のそれぞれは、これら2つの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bのそれぞれから心電検出回路70までの配線距離よりも短い。つまり、これら2つの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bは、第1シート電極21及び第2シート電極22の近傍に配置され、心電検出回路70から遠く離れた場所に配置される。
例えばこれら2つの第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bは、第1シート電極21及び第2シート電極22から心電検出回路70までの配線距離の1/2より短い位置に配置されてもよい。
<制御回路61>
制御回路61は、例えば運転席203に内蔵されている。制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のうちの2つの電極が心電検出回路70と電気的に接続される組み合わせの全てを選択するように、マルチプレクサ60を順次切換える。言い換えれば、制御回路61は、第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41を選択し、かつ、第2セレクタ90bが第2ローパスフィルタ42を選択している場合に、取得した4つの検出信号の全ての組み合わせのうちの、検出信号の出力幅(振幅)が最大となる2つの検出信号(組み合わせの検出信号)を出力させるように、マルチプレクサ60を制御する。
具体的には、制御回路61は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42が選択されている場合に、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22から取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号の組み合わせの全てを選択し、選択した組み合わせの中で出力幅が最大となる2つの電極による組み合わせの検出信号を抽出する。
例えば、制御回路61は、心電検出回路70が検出した検出結果に基づいてこの抽出を行う。制御回路61は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42が選択されている場合に、マルチプレクサ60が取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号の組み合わせの全てを参照し、2つの検出信号が示す2つの電極の電位差が最大となる組み合わせを抽出する。
制御回路61は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42が選択されている場合に、2つの電極の電位差が最大となる組み合わせとなるように、切換信号を出力してマルチプレクサ60を制御する。
また、制御回路61は、運転者の心電位検出した検出結果を示す心電検出信号を心電検出回路70から取得する。制御回路61は、心電検出信号に示される心電位の振幅が所定値よりも小さいかどうかを判定する。制御回路61は、心電位の振幅が所定値以上の場合、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bに切換信号を出力し、第1セレクタ90aが第1ハイパスフィルタ31から第1ローパスフィルタ41に切換え(第1ローパスフィルタ41を選択)、第2セレクタ90bが第2ハイパスフィルタ32から第2ローパスフィルタ42に切換える(第2ローパスフィルタ42を選択)。また、制御回路61は、心電位の振幅が所定値よりも小さい場合、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bに切換信号を出力し、第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41から第1ハイパスフィルタ31に切換え(第1ハイパスフィルタ31を選択)、第2セレクタ90bが第2ローパスフィルタ42から第2ハイパスフィルタ32に切換える(第2ハイパスフィルタ32を選択)。
また、制御回路61は、心電検出信号が示す心臓の脈動が行われている期間と、隣り合う2つの脈動の間の期間とを算出し、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bを制御する。つまり、制御回路61は、隣り合う2つの脈動の間の期間のうちの少なくとも一部の期間である所定期間中、第1ハイパスフィルタ31と第1カバー電極11とを電気的に接続させるために、第1セレクタ90aに切換信号を出力して第1セレクタ90aを制御し、かつ、第2ハイパスフィルタ32と第2カバー電極12とを電気的に接続させるために、第2セレクタ90bに切換信号を出力して第2セレクタ90bを制御する。また、制御回路61は、所定期間以外の期間中、第1ローパスフィルタ41と第1カバー電極11とを電気的に接続させるために、第1セレクタ90aに切換信号を出力して第1セレクタ90aを制御し、かつ、第2ローパスフィルタ42と第2カバー電極12とを電気的に接続させるために、第2セレクタ90bに切換信号を出力して第2セレクタ90bを制御する。
なお、本実施の形態では、制御回路61が第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bを切換える機能を有するが、上述したように、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bのそれぞれが、心電検出信号に基づいてローパスフィルタとハイパスフィルタとの切換えを行ってもよい。この場合、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bのそれぞれは、心電検出回路70から心電検出信号を取得してもよい。
[処理]
運転者が車室内で座席に座って両手でハンドルを握っている状態において、本実施の形態の計測装置2では、ステアリングカバー110の第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、ステアリングカバー110への運転者の手の接触を検出し、検出した検出信号を、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bが第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32を選択することで入力したり、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bが第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42を選択することで入力したりする。また、第1シート電極21及び第2シート電極22は、運転席への運転者の大腿、臀部及び背中の接触を検出し、検出した検出信号を、配線93上のそれぞれの第3ボルテージフォロワ回路50cに入力する。
第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bの選択によって、第1ハイパスフィルタ31には第1カバー電極11が検出した検出信号が入力され、第2ハイパスフィルタ32には、第2カバー電極12が検出した検出信号が入力される。第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32のそれぞれは、検出信号の低周波成分を除去し、所定周波数以上の検出信号を把持検出回路30に入力する。
第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bの選択によって、第1ローパスフィルタ41には第1カバー電極11が検出した検出信号が入力され、第2ローパスフィルタ42には、第2カバー電極12が検出した検出信号が入力される。第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42は、検出信号の高周波成分を除去し、所定周波数以下の検出信号を、配線91a上の第1ボルテージフォロワ回路50a及び配線91b上の第2ボルテージフォロワ回路50bにそれぞれ入力する。
マルチプレクサ60は、取得した4つの検出信号のうちから抽出された2つの検出信号を出力するように、制御回路61によって切換制御される。つまり、制御回路61は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42が選択されている場合に、2つの電極の電位差が最大となる組み合わせ(2つの検出信号)を抽出し、抽出した2つの検出信号を出力させるための切換信号をマルチプレクサ60に入力することで、マルチプレクサ60を切換制御する。マルチプレクサ60は、2つの電極の電位差が最大となる2つの検出信号を心電検出回路70に入力する。
次に、制御回路61の処理について、図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態4に係る計測装置2の処理を示すフローチャートである。なお、図7では、特に第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bの制御処理について説明する。また、把持検出回路30、及び、心電検出回路70におけるそれぞれの検出は、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bの選択制御後(図7の、後述するS13及びS15の後)に行われる。
まず、制御回路61は、心電検出回路70から心電検出信号を取得したかどうかを判定する。制御回路61は、心電検出回路70から心電検出信号を取得していない場合(S11でNO)、処理をステップS11に戻し、同じ処理を繰り返す。
制御回路61は、心電検出回路70から心電検出信号を取得した場合(S11でYES)、心電検出信号に示される心電位の振幅が所定値よりも小さいかどうかを判定する。
制御回路61は、心電位の振幅が所定値以上の場合(S12でNO)、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bに切換信号を出力する。つまり、心電位の振幅が所定値以上の場合、心臓が脈動を行う所定期間以外の期間を示している。このため、制御回路61は、第1セレクタ90aに切換信号を出力し、第1セレクタ90aが第1ハイパスフィルタ31から第1ローパスフィルタ41に切換える(第1ローパスフィルタ41を選択)(S15)。これにより、第1ローパスフィルタ41と第1カバー電極11とが電気的に接続される。また、制御回路61は、第2セレクタ90bに切換信号を出力し、第2セレクタ90bが第2ハイパスフィルタ32から第2ローパスフィルタ42に切換える(第2ローパスフィルタ42を選択)(S15)。これにより、第2ローパスフィルタ42と第2カバー電極12とが電気的に接続される。そして、心電検出回路70は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれの検出信号のうちの2つの検出信号をマルチプレクサ60から取得する。なお、所定値は、心電図波形のS波を検出可能な値を閾値として設定してもよい。
そして、制御回路61は、心電検出信号を取得するたびにこの処理を繰り返す。
制御回路61は、心電位の振幅が所定値よりも小さい場合(S12でYES)、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bに切換信号を出力する。つまり、心電位の振幅が所定値よりも小さい場合、心臓が脈動を行っていない所定期間を示している。なお、所定期間は、前回検出した心電から得られる、脈と脈との間の期間として更新される。このため、制御回路61は、第1セレクタ90aに切換信号を出力し、第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41から第1ハイパスフィルタ31に切換える(第1ハイパスフィルタ31を選択)(S13)。これにより、第1ハイパスフィルタ31と第1カバー電極11とが電気的に接続される。また、制御回路61は、第2セレクタ90bに切換信号を出力し、第2セレクタ90bが第2ローパスフィルタ42から第2ハイパスフィルタ32に切換える(第2ハイパスフィルタ32を選択)(S13)。そして、第2ハイパスフィルタ32と第2カバー電極12とが電気的に接続される。これにより、把持検出回路30は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれから検出信号を取得する。
制御回路61は、切換信号を出力、つまり、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bが第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32を選択してから、所定期間が経過したかどうかを判定する(S14)。制御回路61は、所定期間が経過していない場合(S14でNO)、所定期間が経過するまで、この処理を繰り返す。
制御回路61は、所定期間が経過した場合(S14でYES)、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bに第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42を選択させる(S15)。
そして、制御回路61は、心電検出信号を取得するたびにこの処理を繰り返す。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置2の作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置2では、運転者が運転席203に座ってステアリングホイール200を把持した状態において、第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41と第1ハイパスフィルタ31とを選択することで、把持検出回路30に第1カバー電極11の検出信号が第1ハイパスフィルタ31を介して入力されたり、心電検出回路70に第1カバー電極11の検出信号が第1ローパスフィルタ41を介して入力されたりする。また、例えば、心電検出回路70には、第2電極の一例である第2カバー電極12又は第1シート電極21の検出信号が入力される。このため、把持検出回路30は、第1ハイパスフィルタ31を介して入力された検出信号から、第1カバー電極11と運転者の手との間の静電容量の変化に基づいて、把持検出をすることができる。また、心電検出回路70は、第1カバー電極11の電位と、第2カバー電極12又は第1シート電極21の電位との電位差から、運転者の心電位検出をすることができる。このため、従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
したがって、把持検出及び心電位検出の精度の低下を抑制することができる。
特に、第1カバー電極11は、第1セレクタ90aによって、第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31と同時に接続しない、つまり、把持検出回路30及び心電検出回路70と同時に接続されない。このため、心電検出回路70に重畳されたノイズが第1セレクタ90aによって遮断されるため、把持検出回路30に伝搬し難くなる。その結果、この計測装置2では、把持検出回路30の把持検出精度を向上させることができる。
また、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、心電位検出の電極と把持検出の電極とを共有することによって、同一の電極で把持検出及び心電位検出を行うことができる。このため、一部の領域で、ステアリングホイール200の把持を検出しなくなったり、他の領域で心電位検出しなくなったりするという、双方の不感領域が存在し難くなる。このため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、この計測装置2では、把持検出と心電位検出とを別々の電極で行う必要もないため、計測装置2の構造が複雑になり難くなるとともに、製造コストが高騰化し難くなる。
また、この計測装置2では、心電位検出用の電極と把持検出用の電極とをリム201に巻き付ける必要も生じないため、ステアリングカバー110の厚みの増加によって、ステアリングホイール200が握り難くなるという不具合も生じ難くなる。
例えば、心電位に基づく心拍は一定周期ごとに行われる心臓の脈動であるため、脈動が行われる間隔つまり隣り合う2つの脈動の間の期間は、心拍を検出しない所定期間でもある。
また、本実施の形態における計測装置2では、心電位の振幅が所定値よりも小さくなる当該所定期間、第1セレクタ90aが第1ハイパスフィルタ31を選択し、かつ、第2セレクタ90bが第2ハイパスフィルタ32を選択する。また、所定期間以外の期間では、第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41を選択し、かつ、第2セレクタ90bが第2ローパスフィルタ42を選択することもできる。このため、この計測装置2では、心電位のように所定期間と所定期間以外の期間とが繰り返されることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置2では、第1シート電極21が表面部203aに配置されることで、人体において、右手から人体を通した左手までの距離よりも、一方の手から人体を通して運転者の大腿までの距離の方が長くなっている部分を活用することができる。つまり、運転者の右手を検出する第1シート電極21の電位から運転者の左手を検出する第2シート電極22の電位までの電位差よりも、運転者の一方の手を検出する第1シート電極21の電位から運転者の大腿を検出する第1カバー電極11の電位までの電位差の方が大きくなる。これにより、本実施の形態の計測装置2では、より精度よく心電位計測を行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置2では、心電位の振幅が所定値よりも小さくなる当該所定期間、第1セレクタ90aが第1ハイパスフィルタ31を選択する。また、所定期間以外の期間では、第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41を選択することもできる。このため、この計測装置2では、心電位のように所定期間と所定期間以外の期間とが繰り返されることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置2では、第2カバー電極12は、ステアリングホイール200における第1カバー電極11と異なる箇所に配置される。このため、両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断することができるようになる。例えば、半自動運転状態又は自動運転状態からハンドオーバー時にステアリングホイール200を両手で適切に把持しているかどうかの判断に用いることで、両手でステアリングホイール200を把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、計測装置2は、第1シート電極21も有しているため、一方の手を検出する第1カバー電極11又は第2カバー電極12と、大腿を検出する第1シート電極21との電位差を計測できる。このため、計測装置2は、より精度よく心電位計測を行うことができる。つまり、計測装置2は、両手による把持検出と心電位検出の精度向上とを実現することができる。
また、本実施の形態における計測装置2では、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22から取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号で心電検出回路70が検出結果を示す信号を出力するように、マルチプレクサ60を切換える。このため、制御回路61は、マルチプレクサ60を切換えることで、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号を、マルチプレクサ60に抽出させることができる。つまり、制御回路61は4つの電極のうちの任意の2つの電極を選択することができるため、この計測装置2では、運転者の姿勢等に適した把持検出及び心電位検出を行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置2では、制御回路61は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42が選択されている場合に、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22の4つの電極の検出信号のうちの、出力幅が最大となる最適な組み合わせとなる2つの検出信号を抽出することで、抽出した2つの検出信号に応じた組み合わせである2つの電極を選択することができる。つまり、制御回路61は、電位差が最大となる2つの電極の組み合わせを選択することができる。このため、この計測装置2では、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本実施の形態における計測装置2では、第1ローパスフィルタ41及びそれぞれの第1ボルテージフォロワ回路50aは、第1カバー電極11から心電検出回路70までの配線経路において、心電検出回路70側よりも、これら電極の近くに配置される。第1カバー電極11から心電検出回路70までの配線経路上の第1ボルテージフォロワ回路50aは、心電検出回路70までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置2では、第1ボルテージフォロワ回路50aから心電検出回路70までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
また、本実施の形態における計測装置2では、第1ローパスフィルタ41及びそれぞれの第1ボルテージフォロワ回路50aは、第1シート電極11から心電検出回路70までの配線経路において、心電検出回路70側よりも、第1シート電極11の近くに配置される。また、第2ローパスフィルタ42及びそれぞれの第2ボルテージフォロワ回路50bは、第2シート電極12から心電検出回路70までの配線経路において、心電検出回路70側よりも、第2シート電極12の近くに配置される。第1シート電極11から心電検出回路70までの配線経路の第1ボルテージフォロワ回路50a、及び、第2シート電極12から心電検出回路70までの配線経路の第2ボルテージフォロワ回路50bは、心電検出回路70までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置では、第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bから心電検出回路70までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
(実施の形態4の変形例)
図8は、実施の形態4の変形例に係る計測装置2aを示すブロック図である。
本変形例の計測装置2aの構成は、特に明記しない場合、実施の形態4等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
上記実施の形態4の図6では、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42の出力側に第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bが設けられているが、図8に示すように、本変形例では、第1ローパスフィルタ41の出力側と第2ローパスフィルタ42の出力側とが電気的に接続されている点で相違する。
図8に示すように、本変形例では、第1ローパスフィルタ41の出力と第2ローパスフィルタ42の出力とが結合(互いに電気的に接続)して、心電検出回路70に入力される。具体的には、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれが出力した検出信号は、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42を介して1つに纏められて1つの第4ボルテージフォロワ回路50dに入力される。つまり、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42のそれぞれから出力された検出信号が1つの信号となるため、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、1つ電極として振る舞う。第4ボルテージフォロワ回路50dは、第1ボルテージフォロワ回路又は第2ボルテージフォロワ回路の一例である。
このような、本変形例における計測装置2aでは、心電検出回路70には、第1カバー電極11の検出信号と第2カバー電極12の検出信号とが結合されて入力される。このため、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、1つの電極として振る舞う。これにより、運転者の手に対向する電極の面積を増やすことができるため、心電位検出の精度を、より確実に向上させることができる。
また、本変形例においても、実施の形態4等と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態5)
[構成:計測装置2b]
図9は、実施の形態5に係る計測装置2bを示すブロック図である。
上記実施の形態4の図6では、図2のステアリングカバー110が第1カバー電極11及び第2カバー電極12を有するが、図9に示すように、本実施の形態の計測装置2bでは、第1カバー電極は2つの第1カバー電極11a、11bに分割され、第2カバー電極は2つの第2カバー電極12a、12bに分割された4つの電極を有している点で相違する。このため、本実施の形態では、一対の第1カバー電極11a、11bの出力側には、対応する一対の第1ハイパスフィルタ31及び一対の第1ローパスフィルタ41が電気的に接続され、一対の第2カバー電極12a、12bの出力側には、対応する一対の第2ハイパスフィルタ32及び一対の第2ローパスフィルタ42が電気的に接続される。
また、本実施の形態の計測装置2bでは、第1シート電極21及び第2シート電極22を設けていないが、実施の形態4の図6のように心電検出回路70に電気的に接続する第1シート電極21及び第2シート電極22が設けられていてもよい。本実施の形態では、一対の第1カバー電極11a、11bは第1電極の一例であり、一対の第2カバー電極12a、12bは第2電極の一例である。
本実施の形態の計測装置2bの構成は、特に明記しない場合、実施の形態4と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置2bの作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置2bでは、運転者が運転席に座ってステアリングホイール200を把持した状態において、第2セレクタ90bが第2ローパスフィルタ42と第2ハイパスフィルタ32とを選択することで、一対の第2カバー電極12a、12bの検出信号が第2ハイパスフィルタ32を介して把持検出回路30に入力されたり、一対の第2カバー電極12a、12bの検出信号が第2ローパスフィルタ42を介して心電検出回路70に入力されたりする。また、第2セレクタ90bと同期した第1セレクタ90aが第1ローパスフィルタ41と第1ハイパスフィルタ31とを選択することで、一対の第1カバー電極11a、11bの検出信号が第1ハイパスフィルタ32を介して把持検出回路30に入力されたり、一対の第1カバー電極11a、11bの検出信号が第1ローパスフィルタ41を介して心電検出回路70に入力されたりする。このため、上述した従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
また、ステアリングホイール200に一対の第1カバー電極11a、11bと一対の第2カバー電極12a、12bとを設けることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるようになるため、計測装置2bの設置が容易になる。
また、本実施の形態における計測装置2bでは、把持検出回路30が、一対の第1カバー電極11a、11b及び一対の第2カバー電極12a、12bのそれぞれの検出信号に応じた検出結果を示す信号を、それぞれ独立して出力するため、上述したように、両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断することができるようになる。このため、この計測装置2bでは、車両を運転する運転者の安全性を、より高めることができる。
また、本実施の形態における計測装置2bでは、第1ローパスフィルタ41及びそれぞれの第1ボルテージフォロワ回路50aは、一対の第1カバー電極11a、11bから心電検出回路70までの配線経路において、心電検出回路70側よりも、一対の第1カバー電極11a、11bの近くに配置される。また、第2ローパスフィルタ42及びそれぞれの第2ボルテージフォロワ回路50bは、一対の第2カバー電極12a、12bから心電検出回路70までの配線経路において、心電検出回路70側よりも、一対の第2カバー電極12a、12bの近くに配置される。一対の第1カバー電極11a、11bから心電検出回路70までの配線経路の第1ボルテージフォロワ回路50a、及び、一対の第2カバー電極12a、12bから心電検出回路70までの配線経路の第2ボルテージフォロワ回路50bは、心電検出回路70までの配線経路の出力インピーダンスをローインピーダンスにすることができる。このため、この計測装置では、第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bから心電検出回路70までの配線経路におけるノイズの影響を抑制することができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態4等と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態6)
[構成:計測装置2c]
図10は、実施の形態6に係る計測装置2cを示すブロック図である。
上記実施の形態4の図6では、増幅回路71とボルテージフォロワ回路との間にマルチプレクサ60が設けられているが、図10に示すように、本実施の形態では、複数の増幅回路とA/D変換器72との間にマルチプレクサ60が設けられている点で相違する。
本実施の形態の計測装置2cの構成は、特に明記しない場合、実施の形態4等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
心電検出回路70のそれぞれの増幅回路は、複数のボルテージフォロワ回路のうちの2つのボルテージフォロワ回路と電気的に接続されている。具体的には、全ての増幅回路は、第1シート電極21に対応する第3ボルテージフォロワ回路50cと電気的に接続される。また、第2シート電極22、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれに対応する第3ボルテージフォロワ回路50c、第1ボルテージフォロワ回路50a及び第2ボルテージフォロワ回路50bは、複数の増幅回路と一対一で電気的に接続される。本実施の形態では、第1シート電極21は、基準電位用の電極として設定されている。より具体的には、第1増幅回路71aは、入力側が第1ボルテージフォロワ回路50aを介して第1ローパスフィルタ41及び第3ボルテージフォロワ回路50cを介して第1シート電極21と電気的に接続され、出力側がマルチプレクサ60と電気的に接続される。第2増幅回路71bは、入力側が第2ボルテージフォロワ回路50bを介して第2ローパスフィルタ42及び第3ボルテージフォロワ回路50cを介して第1シート電極21と電気的に接続され、出力側がマルチプレクサ60と電気的に接続される。第3増幅回路71cは、入力側がそれぞれの第3ボルテージフォロワ回路50cを介して第1シート電極21及び第2シート電極22と電気的に接続され、出力側がマルチプレクサ60と電気的に接続される。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置2cの作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置2cでは、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12及び第2シート電極22のいずれか1つと第1シート電極21とが、心電検出回路70と電気的に接続されるように、マルチプレクサ60を切換える。このため、制御回路61はマルチプレクサ60を切換えることで、第1カバー電極11の電位、第2カバー電極12の電位及び第2シート電極22の電位のそれぞれと第1シート電極21の電位との差である3つの電位差のうち、任意の電位差を選択することができる。つまり、制御回路61は、第1増幅回路71a、第2増幅回路71b及び第3増幅回路71cから出力される差動増幅信号のうちの1つの差動増幅信号を、マルチプレクサ60に抽出させることができる。これにより、制御回路61は複数の差動増幅信号の中から適切な差動増幅信号を選択することができるため、この計測装置2cでは、把持検出及び心電位検出の精度をより向上させることができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態4等と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態7)
[構成:計測装置2e]
図11Aは、実施の形態7に係る計測装置2eを示すブロック図である。
本実施の形態の図11Aでは、セレクタがハイパスフィルタ及びローパスフィルタの両方を選択する場合がある点で、実施の形態1等と相違する。
本実施の形態の計測装置2eの構成は、特に明記しない場合、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
計測装置2eは、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21、第2シート電極22、第1ハイパスフィルタ31、第2ハイパスフィルタ32、把持検出回路30、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42、第1ボルテージフォロワ回路50a、第2ボルテージフォロワ回路50b、第3ボルテージフォロワ回路50c、マルチプレクサ60、制御回路61、心電検出回路70及び情報処理装置80の他に、第1セレクタ90a1及び第2セレクタ90b1と、ノイズ検知回路39とを備える。
第1セレクタ90a1は、第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の両方を選択できる。つまり、第1セレクタ90a1は、第1カバー電極11から出力された図2のステアリングカバー110への接触を示す検出信号を取得すると、取得した検出信号を第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の両方に出力する機能も備える。したがって、第1セレクタ90a1は、第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の少なくとも一方を選択することが可能な複数の切替スイッチを有する。
第1セレクタ90a1の構成について、図11Bを用いて説明する。図11Bは、実施の形態7に係る計測装置2eの第1セレクタ90a1及び複数の切替スイッチ90d1、90d2を示す模式図である。
第1セレクタ90a1は、複数の切替スイッチ90d1、90d2と、配線91eとを有する。切替スイッチ90d1は、第1カバー電極11側の配線91aと電気的に接続するように配置され、第1ハイパスフィルタ31側の配線92aと、第1ローパスフィルタ41側の配線91aとのいずれか一方の電気的な接続を選択する。また、切替スイッチ90d2は、配線91eと電気的に接続するように配置され、第1ハイパスフィルタ31側の配線92aと、第1ローパスフィルタ41側の配線91aとを電気的に接続(オン)したり、遮断(オフ)したりする。第1セレクタ90a1が第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の両方を選択する場合、切替スイッチ90d1、90d2は、制御回路61から出力された切替信号を取得する。これにより、切替スイッチ90d1は第1ハイパスフィルタ31側の配線92a又は第1ローパスフィルタ41側の配線91aと電気的に接続し、切替スイッチ90d2は第1ハイパスフィルタ31側の配線92aと、第1ローパスフィルタ41側の配線91aとを電気的に接続する。これにより、第1カバー電極11からの検出信号が第1ハイパスフィルタ31及び第1ローパスフィルタ41に導かれる。また、後述するが、検出信号のノイズレベルが所定のノイズレベル以上であれば、制御回路61は、切替スイッチ90d2をオフにさせ、切替スイッチ90d1を第1ハイパスフィルタ31側の配線92a、又は、第1ローパスフィルタ41側の配線91aと電気的に接続させる。
また、第2セレクタ90b1は、第1セレクタ90a1と同様の構成であるため、説明を省略する。これら第1セレクタ90a1及び第2セレクタ90b1の構成は一例であり、図11Bに限定されない。
また、第2セレクタ90b1は、第1セレクタ90a1と同期して、第2ローパスフィルタ42及び第2ハイパスフィルタ32の両方を選択できる。つまり、第2セレクタ90b1は、第2カバー電極12から出力された図2のステアリングカバー110への接触を示す検出信号を取得すると、取得した検出信号を第2ローパスフィルタ42及び第2ハイパスフィルタ32の両方に出力する機能も備える。したがって、第2セレクタ90b1は、第2ローパスフィルタ42及び第2ハイパスフィルタ32の少なくとも一方を選択することが可能な複数の切替スイッチを有する。
ノイズ検知回路39は、心電検出回路70に入力される検出信号、及び、把持検出回路30に入力される検出信号のノイズレベルを検知する。ノイズレベルは、把持検出及び心電検出の両方において、許容誤差を超える信号の出力値である。ノイズ検知回路39は、第1セレクタ90a1が、第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の両方を選択し、かつ、第2セレクタ90b1が、第2ローパスフィルタ42及び第2ハイパスフィルタ32の両方を選択した状態で、心電検出回路70に入力される検出信号、及び、把持検出回路30に入力される検出信号の少なくとも一方が所定のノイズレベル以上か否かを判定する。
ノイズ検知回路39は、制御回路61と電気的に接続され、かつ、第1ハイパスフィルタ31及び第2ハイパスフィルタ32を介して第1セレクタ90a1及び第2セレクタ90b1と電気的に接続される。つまり、ノイズ検知回路39は、第1ハイパスフィルタ31と把持検出回路30との間の配線92a、及び、第2ハイパスフィルタ32と把持検出回路30との間の配線92bと電気的に接続される。同様に、ノイズ検知回路39は、第1ローパスフィルタ41及び第1ボルテージフォロワ回路50aとの間の配線とも電気的に接続され、かつ、第2ローパスフィルタ42及び第2ボルテージフォロワ回路50bとの間の配線とも電気的に接続される。なお、ノイズ検知回路39は、配線93と電気的に接続されていてもよい。
ノイズ検知回路39は、心電検出回路70に入力される検出信号、及び、把持検出回路30に入力される検出信号の少なくとも一方が所定のノイズレベル以上であれば、判定結果に応じた切換信号を、制御回路61を介して第1セレクタ90a1及び第2セレクタ90b1に出力する。判定結果は、例えば、心電検出回路70が検出した心電位の振幅が所定値よりも小さい場合であるか否かである。これにより、心電位の振幅が所定値よりも小さければ、第1セレクタ90a1が第1ハイパスフィルタ31を選択し、第2セレクタ90b1が第2ハイパスフィルタ32を選択する。
つまり、検出信号が所定のノイズレベル以上であれば、把持検出及び心電検出の少なくとも一方を十分な精度で検出できなくなる。このため、心電検出回路70が検出した心電位の振幅が所定値よりも小さいときは、脈と脈との間の、心臓が脈動を行っていない状態であるので、把持を検出するために、第1セレクタ90a1が少なくとも心臓が脈動を行っていない所定期間だけ第1ハイパスフィルタ31を選択したり、第2セレクタ90b1が少なくとも上記の所定期間だけ第2ハイパスフィルタ32を選択したりする。そして、所定期間経過後に第1セレクタ90a1に第1ローパスフィルタ41を選択させ、かつ、第2セレクタ90b1に第2ローパスフィルタ42を選択させることで、心電検出を行う。
[処理]
図12は、実施の形態7に係る計測装置2eの処理を示すフローチャートである。なお、図12では、特に第1セレクタ90a1及び第2セレクタ90b1の制御処理について説明する。また、把持検出回路30、及び、心電検出回路70におけるそれぞれの検出は、第1セレクタ90a1及び第2セレクタ90b1の選択制御後(図12の、後述するS33でNOの後、S13及びS15の後)に行われる。
本実施の形態の計測装置2eの処理は、特に明記しない場合、図7と同様であり、同一の処理については同一の符号を付して処理に関する詳細な説明を省略する。
まず、第1セレクタ90a1は、第1カバー電極11から出力された図2のステアリングカバー110への接触を示す検出信号を取得すると、第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の両方に取得した検出信号を出力する。つまり、第1セレクタ90a1は、第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の両方を選択する(S31)。
次に、第2セレクタ90b1は、第2カバー電極12から出力された図2のステアリングカバー110への接触を示す検出信号を取得すると、第2ローパスフィルタ42及び第2ハイパスフィルタ32の両方に取得した検出信号を出力する。つまり、第2セレクタ90b1は、第1セレクタ90a1と同期して、第2ローパスフィルタ42及び第2ハイパスフィルタ32の両方を選択する(S32)。
次に、ノイズ検知回路39は、第1ハイパスフィルタ31と把持検出回路30との間、及び、第2ハイパスフィルタ32と把持検出回路30との間のノイズレベルを検出する。また、ノイズ検知回路39は、第1ローパスフィルタ41とマルチプレクサ60との間、及び、第2ローパスフィルタ42とマルチプレクサ60との間のノイズレベルを検出する。なお、ノイズ検知回路39は、第1ハイパスフィルタ31又は第1ローパスフィルタ41と第1カバー電極11との間、及び、第2ハイパスフィルタ32又は第2ローパスフィルタ42と第2カバー電極12との間のノイズレベルを検出してもよい。
ノイズ検知回路39は、検出した検出信号のうち、所定のノイズレベル以上の検出信号が存在するか否かを判定する(S33)。
ノイズ検知回路39は、検出信号のうち、所定のノイズレベル以上の検出信号が存在する場合(S33でYES)、ステップS11に進む。そして、図7と同様の処理を行う。
ノイズ検知回路39は、検出信号のうち、所定のノイズレベル以上の検出信号が存在しない場合(S33でNO)、図12の処理を終了する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置2eの作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置2eでは、第1セレクタ90a1が第1ローパスフィルタ41及び第1ハイパスフィルタ31の両方を選択することができる。これにより、心電検出と把持検出とを同時に行うことができる。このため、心電検出及び把持検出の不感領域が減少するため、電極の感度を向上させることができる。また、心電検出及び把持検出により、運転者によるステアリングホイール200の把持及び座席への着座をしているかどうかの判断に用いることで、ステアリングホイール200の把持を促したり、正しい姿勢で着座を促したりするように注意喚起する等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、第2セレクタ90b1が第1セレクタ90a1と同期して、第2ローパスフィルタ42及び第2ハイパスフィルタ32の両方を選択する場合も同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態における計測装置2eでは、心電検出回路70に入力される検出信号、又は、把持検出回路30に入力される検出信号が所定のノイズレベル以上であれば、心電位と把持の両方を同時に検出すると、精度が確保できなくなるので、心電位と把持のいずれかを選択して検出する。その際、心電位の振幅が所定値よりも小さい場合では、脈と脈との間の、心臓が脈動を行っていない状態であるので、心臓が脈動を行っていない所定期間、第1セレクタ90aに第1ハイパスフィルタ31を選択させ、かつ、第2セレクタ90bに第2ハイパスフィルタ32を選択させることで、把持検出を行う。そして、所定期間経過後に第1セレクタ90a1に第1ローパスフィルタ41を選択させ、かつ、第2セレクタ90b1に第2ローパスフィルタ42を選択させることで、心電検出を行う。このような動作を繰り返すことで、ノイズが小さければ心電位と把持の両方を同時に検出して検出即時性を確保し、ノイズが大きければ心電位と把持を所定期間に基づく時間差で、それぞれ選択して検出し、ノイズによる心電位と把持の検出への相互影響を抑制することができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態4等と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態8)
[構成:計測装置3]
図13は、実施の形態8に係る計測装置3を示すブロック図である。
本実施の形態8の図13では、制御回路61が正常信号、不正信号及び不十分信号を出力する点で、実施の形態1等と相違する。
本実施の形態の計測装置3の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
<把持検出回路30>
把持検出回路30の把持検出処理部35は、制御回路61と電気的に接続される。把持検出処理部35は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれが検出した検出信号に応じた検出結果を示す把持検出信号を、それぞれ独立して制御回路61及び情報処理装置80等に出力する。具体的には、把持検出信号は、運転者の手がステアリングカバー110に接触していることを示す検出結果であり、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれに対応する検出結果を示す信号である。
心電検出回路70のA/D変換器72は、増幅回路71の出力側と電気的に接続され、情報処理装置80の入力側と電気的に接続される。A/D変換器72は、入力された差動増幅信号をアナログデジタル変換して、デジタル化した差動増幅信号を制御回路61及び情報処理装置80等に入力する。制御回路61に入力される差動増幅信号は、運転者の心電位検出した検出結果を示す心電検出信号である。心電検出回路70は、運転者の心電位を検出しない場合、差動増幅信号を出力しない。
<制御回路61>
制御回路61は、例えば運転席203に内蔵されている。制御回路61は、把持検出回路30及び心電検出回路70と電気的に接続される。制御回路61は、運転者の手がステアリングホイール200を把持していることを示す把持検出信号を、把持検出回路30から取得する。具体的には、制御回路61は、第1カバー電極11が検出した検出信号に応じた検出結果である把持検出信号と、第2カバー電極12が検出した検出信号に応じた検出結果である把持検出信号とを、それぞれ独立して把持検出回路30から取得する。
また、制御回路61は、運転者の心電位を示す心電検出信号を、心電検出回路70から取得する。具体的には、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22の4つの電極の検出信号のうちの、出力幅が最大となる最適な組み合わせとなる2つの検出信号で表される心電検出信号を、それぞれ独立して心電検出回路70から取得する。
制御回路61は、把持検出回路30から把持検出信号と、心電検出回路70から心電検出信号とを取得した際に、正常信号を出力する。つまり、把持検出信号及び心電検出信号を、制御回路61が取得した場合、運転者は、運転席に座ってステアリングホイール200を把持していることを示す。本実施の形態では、制御回路61は、2つの把持検出信号と、心電検出信号とを取得することで、正常信号を出力するが、電極の数に応じて把持検出信号及び心電検出信号を取得する数は変化してもよい。また、把持検出信号を取得する数と心電検出信号を取得する数とが異なってもよい。
また、制御回路61は、第1カバー電極11及び第2カバー電極12の一方のみの把持を検出した場合に、不十分信号を出力する。つまり、第1カバー電極11が検出した検出信号である把持検出信号、又は、第2カバー電極12が検出した検出信号である把持検出信号だけを、制御回路61が取得した場合、運転者は両手でステアリングホイール200を把持していないことを示す。このため、制御回路61は、両手でステアリングホイール200を把持していないことを示す不十分信号を、情報処理装置80に入力する。
なお、制御回路61は、第1シート電極21及び第2シート電極22の一方のみが検出した検出信号が出力された場合に、不十分信号を出力してもよい。つまり、第1シート電極21が検出した検出信号、及び、第2シート電極22が検出した検出信号の少なくとも一方を、制御回路61が取得しない場合、運転者は、正しい姿勢で運転席に座っていないことを示す。このため、制御回路61は、正しい姿勢で運転席に座っていないことを示す不十分信号を、情報処理装置80に出力してもよい。
また、制御回路61は、把持検出回路30が把持を検出し、かつ、心電検出回路70が心電位を検出しない場合に、不正信号を出力する。例えば、助手席からステアリングホイール200を把持したり、導体をステアリングホイール200に巻き付けたりする等の行為が行われている可能性がある。つまり、不正信号は、運転者があたかも運転席に座ってステアリングホイール200を把持しているかの様に、なりすまされていると推定できるときに、制御回路61から出力される信号である。このため、制御回路61は、運転席に座り、ステアリングホイール200を把持していないことを示す不正信号を、情報処理装置80に入力する。
また、制御回路61は、心電検出回路70が検出した心電位の振幅が所定値より小さい場合に、不十分信号を出力する。つまり、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のうちの2つの検出信号の電位差が小さい場合、運転者は、正しい姿勢で運転席に座っていないことを示している。このため、制御回路61は、正しい姿勢で運転席に座っていないつまり、運転者の姿勢が悪いことを示す不十分信号を、情報処理装置80に入力する。
なお、心電位の振幅とは、心電位に基づく心拍つまり心臓の脈動であり、例えば、R波、Q波、S波等の振幅である。本実施の形態では、心電位の振幅とは、R波の振幅としている。
また、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のうちの2つの電極が心電検出回路70と電気的に接続される組み合わせの全てを選択するように、マルチプレクサ60を順次切換える。言い換えれば、制御回路61は、取得した4つの検出信号の全ての組み合わせのうちの、検出信号の出力幅(振幅)が最大となる2つの検出信号(組み合わせの検出信号)を出力させるように、マルチプレクサ60を制御する。
具体的には、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22から取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号の組み合わせの全てを選択し、選択した組み合わせの中で出力幅が最大となる2つの電極による組み合わせの検出信号を抽出する。
例えば、制御回路61は、心電検出回路70が検出した検出結果に基づいてこの抽出を行う。制御回路61は、マルチプレクサ60が取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号の組み合わせの全てを参照し、2つの検出信号が示す2つの電極の電位差が最大となる組み合わせを抽出する。
制御回路61は、2つの電極の電位差が最大となる組み合わせとなるように、切換信号を出力してマルチプレクサ60を制御する。
なお、制御回路61は、情報処理装置80に搭載されていてもよく、本実施の形態のように、別々の装置であってもよい。
[処理]
次に、制御回路61の処理について、図14を用いて説明する。
図14は、実施の形態8に係る計測装置3の処理を示すフローチャートである。
まず、制御回路61は、第1カバー電極11が検出した検出信号である把持検出信号と、第2カバー電極12が検出した検出信号である把持検出信号とを、取得したかどうかを判定する。つまり、制御回路61は、把持検出回路30から把持検出信号を取得したかどうかを判定する(S21)。つまり、本実施の形態では、運転者が両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断するために、制御回路61は、2つの把持検出信号を取得したかどうかを判定する。
この2つの把持検出信号の少なくとも1つを取得していない場合(S21でNO)、つまり、運転者が片手でステアリングホイール200を把持している場合、又は、ステアリングホイール200を把持していない場合である。このため、制御回路61は、両手でステアリングホイール200が把持されていないことを示す不十分信号を情報処理装置80に出力する(S25)。例えば、情報処理装置80は、両手でステアリングホイールを把持するように、注意喚起装置に注意喚起を行わせる。そして、制御回路61は、処理を終了する。
この2つの把持検出信号を取得した場合(S21でYES)、制御回路61は、第1シート電極21が検出した検出信号と、第2シート電極22が検出した検出信号とを、取得したかどうかを判定する(S22)。つまり、運転者が運転席に座っているかどうかを判断するために、制御回路61は、心電検出回路70から心電検出信号を取得したかどうかを判定する。なお、心電検出信号には、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のうちの、どの2つの電極の検出信号が選択されているかを示す情報が含まれる。
心電検出信号を取得していない場合(S22でNO)、つまり、運転者があたかも運転席に座ってステアリングホイール200を把持しているかの様に、なりすまされていると推定できるとき、制御回路61は、運転者が運転席に座り、ステアリングホイール200を把持していないことを示す不正信号を出力し、情報処理装置80に入力する(S26)。なお、制御回路61は、第1シート電極21及び第2シート電極22のうちの少なくとも1つの検出信号が出力された場合、運転者が運転席に座っていると判定してもよく、第1シート電極21が検出信号を出力した場合、運転者が運転席に座っていると判定してもよい。
例えば、情報処理装置80は、正しい姿勢で運転席に座るように、注意喚起装置に注意喚起を行わせる。そして、制御回路61は、処理を終了する。
この検出信号を取得した場合(S22でYES)、制御回路61は、心電検出信号が示す心電位の振幅が所定値より小さいかどうかを判定する(S23)。つまり、心電検出信号を取得しても、運転者が身体を捻ったり、上体を大きく反らしたりする等のように、運転者の姿勢が悪いかどうかを判定する。
心電検出信号が示す心電位の振幅が所定値より小さい場合(S23でYES)、つまり、運転者の姿勢が悪い場合、制御回路61は、運転者の姿勢が悪いことを示す不十分信号を出力し、情報処理装置80に入力する(S27)。例えば、情報処理装置80は、正しい姿勢で運転席に座るように、注意喚起装置に注意喚起を行わせる。そして、制御回路61は、処理を終了する。
心電検出信号が示す心電位の振幅が所定値以上の場合(S23でNO)、つまり、運転者が運転席に正しい姿勢で座っている場合、制御回路61は、正常信号を出力し、情報処理装置80に入力する(S24)。そして、制御回路61は、処理を終了する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置3の作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置3では、運転者が運転席203に座ってステアリングホイール200を把持した状態において、把持検出回路30には、第1カバー電極11から第1ハイパスフィルタ31を介して把持による検出信号が入力され、かつ、第2カバー電極12から第2ハイパスフィルタ32を介して把持による検出信号が入力される。また、この状態で、心電検出回路70には、第1カバー電極11から第1ローパスフィルタ41を介して心電位の検出信号が入力され、かつ、第2カバー電極12から第2ローパスフィルタ42を介して心電位の検出信号が入力される。また、例えば、心電検出回路70には、第2電極の一例である第2カバー電極12又は第1シート電極21の検出信号が入力される。このため、把持検出回路30は、第1ハイパスフィルタ31を介して入力された検出信号から、第1カバー電極11と運転者の手との間の静電容量の変化に基づいて、把持検出をすることができる。また、心電検出回路70は、第1カバー電極11の電位と、第2カバー電極12又は第1シート電極21の電位との電位差から、運転者の心電位検出をすることができる。このため、従来のように、把持検出及び心電位検出の不感領域が存在したり、電極の感度が低下したりといったことが生じ難くなる。
したがって、把持検出及び心電位検出の精度の低下を抑制することができる。その結果、制御回路61は、把持検出回路30が心電位を検出した場合に正常信号を確実に出力することができ、心電検出回路70が心電位を検出した場合に正常信号を確実に出力することができる。
特に、第1カバー電極11及び第2カバー電極12は、心電位検出の電極と把持検出の電極とを共有することによって、同一の電極で把持検出及び心電位検出を行うことができる。このため、一部の領域で、ステアリングホイール200の把持を検出しなくなったり、他の領域で心電位検出しなくなったりするという、双方の不感領域が存在し難くなる。このため、把持検出及び心電位検出を確実に行うことができる。
また、この計測装置3では、把持検出と心電位検出とを別々の電極で行う必要もないため、計測装置3の構造が複雑になり難くなるとともに、製造コストが高騰化し難くなる。
また、この計測装置3では、心電位検出用の電極と把持検出用の電極とをリム201に巻き付ける必要も生じないため、ステアリングカバー110の厚みの増加によって、ステアリングホイール200が握り難くなるという不具合も生じ難くなる。
また、本実施の形態における計測装置3では、第1シート電極21が表面部203aに配置されることで、人体において、右手から人体を通した左手までの距離よりも、一方の手から人体を通して運転者の大腿までの距離の方が長くなっている部分を活用することができる。つまり、運転者の右手を検出する第1シート電極21の電位から運転者の左手を検出する第2シート電極22の電位までの電位差よりも、運転者の一方の手を検出する第1シート電極21の電位から運転者の大腿を検出する第1カバー電極11の電位までの電位差の方が大きくなる。これにより、本実施の形態の計測装置3では、より精度よく心電位計測を行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置3では、第2カバー電極12は、ステアリングホイール200における第1カバー電極11と異なる箇所に配置される。このため、両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断することができるようになる。例えば、半自動運転状態又は自動運転状態からハンドオーバー時にステアリングホイール200を両手で適切に把持しているかどうかの判断に用いることで、両手でステアリングホイール200を把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、計測装置3は、第1シート電極21も有しているため、一方の手を検出する第1カバー電極11又は第2カバー電極12と、大腿を検出する第1シート電極21との電位差を計測できる。このため、計測装置3は、より精度よく心電位計測を行うことができる。つまり、計測装置3は、両手による把持検出と心電位検出の精度向上とを実現することができる。
また、本実施の形態における計測装置3では、把持検出回路30が、第1カバー電極11及び第2カバー電極12のそれぞれの検出信号に応じた検出結果を示す把持検出信号を、それぞれ独立して出力するため、上述したように、両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断することができるようになる。このため、不十分信号に基づいて、例えば両手でステアリングホイール200を把持するように注意喚起を行う等、この計測装置3では、車両を運転する運転者の安全性を、より高めることができる。
また、本実施の形態における計測装置3では、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22から取得した4つの検出信号のうちの2つの検出信号で心電検出回路70が検出結果を示す心電検出信号を出力するように、マルチプレクサ60を切換える。このため、制御回路61は、マルチプレクサ60を切換えることで、第1カバー電極11、第2カバー電極12、第1シート電極21及び第2シート電極22のそれぞれの4つの検出信号のうちの2つの検出信号を、マルチプレクサ60に抽出させることができる。つまり、制御回路61は4つの電極のうちの任意の2つの電極を選択することができるため、この計測装置3では、運転者の姿勢等に適した把持検出及び心電位検出を行うことができる。
また、本実施の形態における計測装置3では、例えば、心電検出回路70に検出信号が入力されても、この検出信号が示す心電位の振幅が所定値より小さい場合、十分にステアリングホイール200を把持していなかったり、運転者の姿勢が悪く運転席に正しく座っていなかったりする場合等がある。本実施の形態では、この検出信号が示す心電位の振幅が所定値より小さい場合、不十分信号に基づいて、例えば両手でステアリングホイール200を把持するように注意喚起を行ったり、運転席に正しく座るように注意喚起を行ったりすることができる。このため、この計測装置3では、車両を運転する運転者の安全性を、より確実に高めることができる。
また、本実施の形態における計測装置3では、例えば、把持検出回路30が把持を検出しても、心電検出回路70が心電位検出しない場合、助手席からステアリングホイール200を把持したり、導体をステアリングホイール200に巻き付けたりする等の行為が行われている可能性がある。本実施の形態では、把持検出回路30が把持を検出しても、心電検出回路70が心電位検出しない場合、制御回路61は、不正信号に基づいて、例えば、運転席に正しく座り、ステアリングホイール200を把持するように注意喚起を行ったりすることができる。このため、この計測装置3では、車両を運転する運転者の安全性を、より確実に高めることができる。
(実施の形態8の変形例)
図15は、実施の形態8の変形例に係る計測装置3aを示すブロック図である。
本変形例の計測装置3aの構成は、特に明記しない場合、実施の形態8と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
上記実施の形態8の図13では、第1ローパスフィルタ41及び第2ローパスフィルタ42の出力側にそれぞれボルテージフォロワ回路50が設けられているが、図15に示すように、本変形例では、第1ローパスフィルタ41の出力側と第2ローパスフィルタ42の出力側とが電気的に接続されている点で相違する。
また、本変形例においても、実施の形態8と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態9)
[構成:計測装置3b]
図16は、実施の形態9に係る計測装置3bを示すブロック図である。
上記実施の形態8の図13では、ステアリングカバー110が第1カバー電極11及び第2カバー電極12を有するが、図16に示すように、本実施の形態の計測装置3bでは、第1カバー電極は2つの第1カバー電極11a、11bに分割され、第2カバー電極は2つの第2カバー電極12a、12bに分割された4つの電極を有している点で相違する。
[処理]
次に、制御回路61の処理について、図17を用いて説明する。
図17は、実施の形態9に係る計測装置3bの処理を示すフローチャートである。
図17では、図14と同様の処理については、同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
まず、制御回路61は、把持検出回路30から把持検出信号と、心電検出回路70から心電検出信号とを、取得したかどうかを判定する(S111)。つまり、運転者が両手でステアリングホイール200を把持しているかどうかを判断するために、制御回路61は、2つの把持検出信号を取得したかどうかを判定する。
2つの把持検出信号、及び心電検出信号の少なくとも1つの信号を取得していない場合(S111でNO)、制御回路61は、ステップS25に進む。
2つの把持検出信号、及び心電検出信号を取得した場合(S111でYES)、制御回路61は、ステップS23に進む。以下の処理は、図14と同様である。
なお、ステップS111では、制御回路61が把持検出回路30から把持検出信号を取得したかどうかを判定するだけでもよい。つまり、制御回路61は、心電検出回路70から心電検出信号を取得したかどうかを判定しなくてもよい。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置3bの作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置3bでは、ステアリングホイール200には、第1ローパスフィルタ41に電気的に接続される一対の第1カバー電極11a、11bと、第2ローパスフィルタ42が電気的に接続される一対の第2カバー電極12a、12bとが配置される。ステアリングホイール200に一対の第1カバー電極11a、11b及び一対の第2カバー電極12a、12bを設けることで、把持検出と心電位検出とを行うことができるようになるため、計測装置3bの設置が容易になる。
また、把持検出と心電位検出とが同時に行われれば、計測装置3bでは、運転者が両手で正しくステアリングホイール200を把持していることが推定できる。
また、本実施の形態における計測装置3bでは、両手でステアリングホイール200を把持している場合に正常信号を出力し、両手でステアリングホイール200を把持していない場合に不十分信号を出力することができる。このため、上述したように、両手で適切に把持しているかどうかの判断に用いることで、両手でステアリングホイールを把持するように注意喚起を行う等、車両を運転する運転者の安全性を高めることができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態8と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態10)
[構成:計測装置3c]
図18は、実施の形態10に係る計測装置3cを示すブロック図である。
上記実施の形態8の図13では、増幅回路71とボルテージフォロワ回路50との間にマルチプレクサ60が設けられているが、図18に示すように、本実施の形態では、複数の増幅回路とA/D変換器72との間にマルチプレクサ60が設けられている点で相違する。
本実施の形態の計測装置3cの構成は、特に明記しない場合、実施の形態8と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
[作用効果]
次に、本実施の形態における計測装置3cの作用効果について説明する。
以上のように、本実施の形態における計測装置3cでは、制御回路61は、第1カバー電極11、第2カバー電極12及び第2シート電極22のいずれか1つと第1シート電極21とが、心電検出回路70と電気的に接続されるように、マルチプレクサ60を切換える。このため、制御回路61はマルチプレクサ60を切換えることで、第1カバー電極11の電位、第2カバー電極12の電位及び第2シート電極22の電位のそれぞれと第1シート電極21の電位との差である3つの電位差のうち、任意の電位差を選択することができる。つまり、制御回路61は、第1増幅回路71a、第2増幅回路71b及び第3増幅回路71cから出力される差動増幅信号のうちの1つの差動増幅信号を、マルチプレクサ60に抽出させることができる。これにより、制御回路61は複数の差動増幅信号の中から適切な差動増幅信号を選択することができるため、この計測装置3cでは、把持検出及び心電位検出の精度をより向上させることができる。
また、本実施の形態においても、実施の形態8等と同様の作用効果を奏する。
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例に係る計測装置において、4つの電極を備えているが、第1カバー電極及び第2カバー電極が1つの電極であってもよい。また、第1シート電極及び第2シート電極が1つの電極であってもよい。つまり、計測装置では、電極が3つ以下であってもよい。また、計測装置は、ステアリングカバーに第1カバー電極及び第2カバー電極の他にさらに、1以上の電極が設けられていてもよく、運転席に、第1シート電極及び第2シート電極の他にさらに、1以上の電極が設けられていてもよい。
また、上記実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例に係る計測装置において、第1カバー電極及び第2カバー電極に対応する、第1ローパスフィルタ及び第2ローパスフィルタ、並びに、第1ハイパスフィルタ及び第2ハイパスフィルタが設けられているが、電極の数に応じて、第1ローパスフィルタ及び第2ローパスフィルタの数、並びに、第1ハイパスフィルタ及び第2ハイパスフィルタの数が変更されてもよい。つまり、ローパスフィルタは、1つでもよく、3つ以上でもよい。また、ハイパスフィルタは、1つでもよく、3つ以上でもよい。
また、上記実施の形態1〜3及び実施の形態1の変形例に係る計測装置1dについて、図19に示す。図19は、変形例に係る計測装置1dを示すブロック図である。図19に示すように、計測装置1dにおいて、把持検出回路30、第1ハイパスフィルタ31、第2ハイパスフィルタ32、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42、及び、ボルテージフォロワ回路50は、ステアリング装置9として1つに纏められていてもよい。この場合、配線91上のボルテージフォロワ回路50には、正電源電圧Vccと電気的に接続されていてもよい。正電源電圧Vccは、把持検出回路30とも電気的に接続されている。これによれば、心電検出回路70からボルテージフォロワ回路50へ電力を供給する配線、及び、ボルテージフォロワ回路50から心電検出回路70への接地用の配線を引き回す必要がなくなる。このため、計測装置1dが小型化するとともに、製造コストの高騰化を抑制することができる。なお、上述のステアリング装置9は、さらに、マルチプレクサ60を有していてもよい。この場合、マルチプレクサ60は、配線95上のボルテージフォロワ回路50の出力側又は入力側に配置されていてもよい。第1シート電極21及び第2シート電極22の検出信号は、マルチプレクサ60に入力されてもよい。また、配線95は、2つの配線91の接続点からマルチプレクサ60までの配線である。
また、上記実施の形態4〜6及び実施の形態4の変形例に係る計測装置2dについて、図20に示す。図20は、変形例に係る計測装置2dを示すブロック図である。図20に示すように、計測装置2dにおいて、把持検出回路30、第1ハイパスフィルタ31、第2ハイパスフィルタ32、第1ローパスフィルタ41、第2ローパスフィルタ42、及び、第4ボルテージフォロワ回路50dは、ステアリング装置9として1つに纏められていてもよい。また、第1セレクタ90a及び第2セレクタ90bもステアリング装置9として1つに纏められていてもよい。この場合、第4ボルテージフォロワ回路50dには、正電源電圧Vccと電気的に接続されていてもよい。正電源電圧Vccは、把持検出回路30とも電気的に接続されている。これによれば、心電検出回路70から第4ボルテージフォロワ回路50dへ電力を供給する配線、及び、第4ボルテージフォロワ回路50dから心電検出回路70への接地用の配線を引き回す必要がなくなる。このため、計測装置2dが小型化するとともに、製造コストの高騰化を抑制することができる。なお、上述のステアリング装置9は、さらに、マルチプレクサ60を有していてもよい。この場合、マルチプレクサ60は、配線91上の第4ボルテージフォロワ回路50dの出力側又は入力側に配置されていてもよい。第1シート電極21及び第2シート電極22の検出信号は、マルチプレクサ60に入力されてもよい。また、配線91は、配線91aと配線91bとの接続点からマルチプレクサ60までの配線である。
また、上記実施の形態8〜10及び実施の形態8の変形例に係る計測装置は、図21に示すような計測装置3dであってもよい。図21は、変形例に係る計測装置3dを示すブロック図である。図21の計測装置3dは、図19の計測装置1dと、ブロック図上は同じ構成であるので、詳細な説明を省略する。
また、上記各実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例に係る計測装置を実現するプログラムは、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続及び設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
なお、上記各実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
その他、実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1〜10及び実施の形態1、4、8の変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。