JP5177523B2 - ホモエピタキシャル成長方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホモエピタキシャル成長方法に関し、特に、高品質な酸化亜鉛(以下ZnO)系化合物半導体結晶のホモエピタキシャル成長方法に関する。
ZnO結晶は、バンドギャップが約3.37eV程度の直接遷移型半導体であり、ホールと電子が固体内で結合した励起子の束縛エネルギーが60meVと大きく、室温でも安定に存在するため、安価で環境負荷も小さく、青色領域から紫外領域までの発光デバイスとして期待されている。
ZnO結晶は、発光デバイス以外にも用途は広く、受光素子や圧電素子、トランジスタ、透明電極などの応用も期待されており、量産性に優れた高品質のZnO結晶成長技術の確立が要望されている。
高品質のZnO系半導体を製造する方法としては、以下の方法が知られている。例えば、分子線エピタキシャル成長(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法では、亜鉛とラジカル化(プラズマ化)された酸素とを分子線として供給し、成長基板上で反応させて高品質のZnO系半導体を成長させている。また、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法では、ZnO系半導体の焼結体や結晶にレーザ光を照射して蒸発したZnO系半導体を成長基板上に堆積させることによって高品質のZnO系半導体を成長させている。
しかしながら、上述したMBE法及びPLD法によりZnO系半導体を成長させる場合には、大面積の成膜が困難であり、また高真空中で成長を行う必要があるため、工業的に量産することは困難であるといった問題がある。
そこで、高真空を必要としないZnO系半導体の製造方法として、III−V族半導体の結晶成長に広く用いられている有機金属気相堆積成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によりZnO系半導体を成長させる方法が知られている。MOCVD法では、亜鉛を含む有機金属材料は、成長基板近傍または成長基板上で亜鉛と炭化水素基に分解され、ZnO系半導体が成長する。
しかしながら、上述したMOCVD法では、II族元素である亜鉛の蒸気圧がIII族元素に比べて非常に高いため、高品質の成長が可能な高温下では成長基板に亜鉛が到達しても成長基板から離脱しやすい。このため、成長基板上でZnO系半導体の成長に寄与できる亜鉛の割合が小さいので、亜鉛を含む材料の効率が低いといった問題がある。
また、亜鉛を含む有機金属材料を分解させた際に生じる炭化水素基によってZnO系半導体中に炭素が混入するため、炭素を含まないZnO系半導体の成長が難しいといった問題がある。
ZnO系半導体を気相成長(VPE: Vapor Phase Epitaxy)法で成長させる場合、材料として亜鉛の金属単体と酸素を含む酸素材料(例えば、酸素)とを用いることが1つの方法として知られている。しかしながら、この化学反応の平衡定数はIII−V族半導体の成長の場合の平衡定数に比べて大きく、また、前述のように高温成長のためには蒸気圧の高い亜鉛の供給分圧を高く設定する必要があるため、反応を制御することが困難であるといった問題がある。
そこで、ZnO系半導体をVPE法で成長させる場合の別の方法として、亜鉛の塩化物と酸素材料とを用いた方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1におけるZnO系半導体の製造方法では、塩化亜鉛の粉末を反応管内に設置し、加熱することにより蒸気になった塩化亜鉛をキャリアガスにより輸送して酸素と反応させてZnO系半導体を成長させている。
この方法は、II族材料としてハロゲン化II族金属を用いたハライド(またはハイドライド)気相成長(HVPE:Halide/Hydride Vapor Phase Epitaxy)法と呼ばれている。なお、HVPE法は、III族材料にハロゲン化物(塩化物)を用い、V族材料に水素化物を用いることによって、窒化ガリウム基板などを工業的に製造するIII−V族半導体の製造方法として知られている。このHVPE法では、成長基板及びその周辺のみならず石英管をも高温とするホットウォール方式が一般的に用いられる。
しかしながら、上述した非特許文献1のZnO系半導体の製造方法では、塩化亜鉛を亜鉛材料として用いているが、塩化亜鉛は潮解性があるとともに、容易に入手できる塩化亜鉛の純度は約99.9%程度と低く、純度の高い塩化亜鉛は高価であるため、高品質のZnO系半導体を容易に製造できない。
透明導電膜と異なり発光素子、受光素子用にZnO半導体膜を積層する場合、より欠陥の少ない高品質な膜が要求される。GaN系半導体膜の場合、サファイア基板上のヘテロエピタキシャル成長により作製されたデバイスが量産されているが、その膜の転位密度は108 cm-2台以上と多く、これはGaN系、特にInGaN膜以外の半導体膜では通常のデバイス動作が期待できない程度の転位密度である。
水熱合成法または化学気相輸送法で作製されたZnO基板は入手可能であり、より結晶欠陥の少ないZnO系半導体膜を成長させるためには、ZnO基板を使ってホモエピタキシャル成長させるのが望ましい。ホモエピタキシャル成長法は成長膜とZnO基板の格子定数が揃うだけでなく、ZnO基板と成長膜の熱膨張係数も同じため、結晶欠陥の少ない半導体膜の成膜として大変優れた方法である。
近年、水熱合成法で作製されたZnO基板は不純物の制御の点で課題があるものの、エックス線回折より測定される結晶性は、半導体用途としても十分に高くなっており、その上に格子整合しながらホモエピタキシャル成長するZnO膜は基板の良好な結晶性を引き継ぐため、内部量子効率の高いZnO系半導体膜の成長が期待される。
ZnO基板上へのホモエピタキシャル成長はPLD法、MBE法やMOCVD法などで報告がある。その中でもMOCVD法のような気相成長法は超高真空が不必要であり、また制御しやすいガス供給量で結晶成長を制御できるため、より量産に向いている。このためZnO系半導体でも量産に適した良好なホモエピタキシャル成長が可能な気相成長方法の確立、気相成長装置の開発が望まれている。
MOCVD法を用いたZnO成長の報告は多数あるが、結晶性の向上が期待できる高温成長の報告は少ない。これはZnOの高温領域(>800℃)のMOCVD法では、基板近傍は有機金属が亜鉛単体に分解しており、亜鉛の低い付着係数のために成長が困難になるからである。
またDMZn(ジメチル亜鉛)やDEZn(ジエチル亜鉛)などの有機金属と酸素材料の反応性が高く、通常のIII−V族半導体用MOCVDで採用されている数100 Torr程度の圧力での成長では、基板にガスが到達する前に気相中で有機金属と酸素材料が反応しやすく(過早反応)、原料吹き出し口部のつまりやパーティクルの原因となる。
MOCVD法を用いて高温成長を実施している報告がある(例えば、非特許文献2参照。)。
非特許文献2では、DMZnとO2ガスを用いてZnO基板上にホモエピタキシャル成長を行っている。基板温度を高VI/II比と1000℃を組み合わせることで原子ステップが現れる表面が得られたという報告がなされている。非特許文献2中の原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)像の結果によれば、ステップの方向はZnO基板のように揃ってはいない。また、ステップの高さも原子ステップに比べて高いという結果が得られている。また非特許文献2中に記載されているように、50nm程度の大きさの六角柱形状の異常部が現れており、高品質なホモエピタキシャル成長にはさらなる改善が必要である。
また発明者らの経験では、MOCVD法では高温成長する程、成長速度が低下し、それを回避するために原料分圧を上げると、前述のような過早反応により原料利用効率が低下し、現実的な原料利用効率が得られないという問題がある。
N.Takahashi,et al. "Atomospheric pressure vapor-phase growth of ZnO using chloride source", Journal of Crystal Growth. 209 (2000), 822 S.Heinze,et al. "Homoepitaxial growth of ZnO by metalorganic vapor phase epitaxy in two-dimensional growth mode", Jounal of Crystal Growth 308 (2007) 170
成長する半導体膜の結晶品質上、高温成長は必須である。一方、ZnOの融点1975℃を考慮すると、GaNと同様の1000℃程度の成長が望まれる。
本発明者らは、亜鉛および/またはマグネシウムのハロゲン化物と酸素含有材料を1000℃以上に設定したZnO基板上に供給し、良好な結晶品質のZnO系半導体層を成長することができることを見出した。また、本発明者らは、また亜鉛および/またはマグネシウムのハロゲン化物の原料分圧を1×10-4気圧以下、好ましくは3×10-5気圧以下とすることで、成長膜表面に明確な原子ステップが出ることを発見した。
本発明の目的は、ZnO基板上へZnO系半導体結晶を1000℃よりも高い温度で、成長可能なホモエピタキシャル成長方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、酸化亜鉛基板上に亜鉛含有ガスと酸素含有ガスを混合した反応ガスを導入して、前記酸化亜鉛基板上に酸化亜鉛半導体層を結晶成長する工程を有し、前記亜鉛含有ガスの分圧は、1×10-4気圧以下であり、1000℃よりも高い温度でハロゲン化気相エピタキシー法により前記酸化亜鉛半導体層を結晶成長し、前記酸化亜鉛半導体層を結晶成長する工程において、VI族元素とII族元素の供給比VI/IIは、1以上〜100以下であるホモエピタキシャル成長方法が提供される。
本発明によれば、ZnO基板上へZnO系半導体結晶を1000℃よりも高い温度で、成長可能なホモエピタキシャル成長方法を提供することができる。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下において、同じブロックまたは要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
以下の説明において、「ZnO系化合物半導体」とはII元素Znを含有するII族酸化物半導体を意味する。
[第1の実施の形態]
(ホモエピタキシャル成長方法)
本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル結晶構造のホモエピタキシャル成長方法について、図1を用いて説明する。
ZnO基板40を準備する工程を示す模式的断面構造は、図1(a)に示すように表される。ハロゲン化物気相成長によるZnO系半導体層46の形成工程を示す模式的断面構造は、図1(b)に示すように表される。
(a)まず、図1(a)に示すように、ZnO基板40として、例えば、+c面(0001)基板を準備する。結晶面は、c軸がm軸方向<1−100>に、例えば約0.5度微傾斜した面を備える。
(b)次に、図1(b)に示すように、ZnO基板40を約1000℃以上の高温に加熱し、HVPE法により、ZnO基板40上にZnO系半導体層46を形成する。具体的には、ZnO基板40上に亜鉛含有ガスと酸素含有ガスを混合した反応ガスを導入して、ZnO基板40上にZnO系半導体層46を結晶成長する。例えば、塩化亜鉛(ZnCl2)と水(H2O)を用いるハロゲン化物気相成長を適用する。
結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を、例えば、約1×10-4atm以下程度、VI族元素である酸素とII族元素であるZnとの供給比であるVI/II比を、例えば、約100以下程度とし、結晶成長温度Tgを、例えば、約1000℃程度、結晶成長時間を、例えば、約1〜6時間程度とする。ここで、ZnCl2の分圧PZnCl2=1×10-4atmの場合、供給比VI/II=100とすると、H2Oの分圧PH2O=10-2atmとなる。
VI族元素である酸素とII族元素であるZnとの供給比であるVI/II比の値としては、例えば、1以上〜約100以下程度であることが望ましい。
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法においては、結晶成長の温度Tgは、1000℃よりも高い高温成長方法を実施している。ZnO結晶の融点1975℃を考慮すると、融点の1/3〜1/2程度は必要であり、結晶成長の温度Tgは、高いほど品質の良好な結晶を得ることができる。したがって、上記の例では、GaNと同様の1000℃程度の成長を実施している。
ZnO系半導体層46を結晶成長する工程において、反応ガスは、さらにマグネシウム含有ガスを含んでいてもよい。また、マグネシウム含有ガスの分圧は、例えば、約1×10-4 気圧以下程度である。
ZnO系半導体層46を結晶成長する工程において、結晶成長温度は1000℃以上であることが望ましい。
ZnO系半導体層46を結晶成長する工程において、ガリウムまたはアルミニウムのハロゲン化物からなる不純物ガスを供給する工程をさらに有していてもよい。
この場合、ZnO系半導体層46は、例えば、約1×1016 cm-3以上のキャリア濃度を有するn型半導体層が形成されていてもよい。
(ZnO系半導体層の表面形状の温度依存性)
上述のホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=700℃)であって、2μm×2μmの部分のZnO系半導体層表面のAFM写真は、図2(a)に示すように表され、20μm×20μmの広範囲部分のZnO系半導体層のAFM写真は、図2(b)に示すように表される。同様に、結晶成長温度Tg=800℃の例は、図3(a)および(b)に示すように表され、結晶成長温度Tg=900℃の例は、図4(a)および(b)に示すように表され、結晶成長温度Tg=1000℃の例は、図5(a)および(b)に示すように表される。
従来のMOCVD法に用いる有機金属材料と比較して、亜鉛および/またはマグネシウムのハロゲン化物は1000℃程度の高温では亜鉛および/またはマグネシウムと塩素ガスに分解せず、ZnO基板上で亜鉛および/またはマグネシウムのハロゲン化物と酸素材料と直接反応が起こる。
亜鉛および/またはマグネシウムのハロゲン化物と酸素材料は、主な有機金属と酸素材料程、過早反応が起こらないため、ZnO基板上にパーティクルが発生する事もなく、かつ高温領域の原料効率もMOCVD法よりも高い。
(ZnO系半導体層の表面形状のVI/II比依存性)
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20の例)であって、2μm×2μmの部分のZnO系半導体層表面のAFM写真は、図6(a)に示すように表され、20μm×20μmの広範囲部分のZnO系半導体層のAFM写真は、図6(b)に示すように表される。同様に、結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=50の例は、図7(a)および(b)に示すように表され、結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=1000の例は、図8(a)および(b)に示すように表される。
結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を2.2×10-5atm、結晶成長温度Tgを1000℃とし、VI/II比=20〜1000まで変化させている。
酸素原料と亜鉛および/またはマグネシウムのハロゲン化物のモル供給比(VI/II比)も重要な成長パラメータである。VI/II比を100以下にすることで、ハロゲン化物原料の基板表面上のマイグレーションを促進するとともに、結晶成長の異常部(ピットや突起物)などの発生を抑える効果がある。また、VI/II比が小さい場合には結晶成長の速度が遅くなってしまうので、VI/II比は例えば1以上とするとよい。
(ZnO系半導体層の表面形状の成長時間依存性)
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20,結晶成長時間=1hの例)であって、2μm×2μmの部分のZnO系半導体層表面のAFM写真は、図9(a)に示すように表され、20μm×20μmの広範囲部分のZnO系半導体層のAFM写真は、図9(b)に示すように表される。同様に、結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20,結晶成長時間=2hの例は、図10(a)および図10(b)に示すように表され、結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20,結晶成長時間=6hの例は、図11(a)および図11(b)に示すように表される。
結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を2.2×10-5atm、VI/II比=20、結晶成長温度Tgを1000℃とし、結晶成長時間を1h〜6hまで変化させている。
ZnO系半導体層46の成長膜厚は、1hで、例えば、約0.42μm程度、2hで、例えば、約0.73μm程度、6hで、例えば、約2.27μm程度である。
ハロゲン化物を使用した気相成長法は数十〜百μm/hと高速成長が可能な方法として知られているが、原料分圧を通常のMOCVD法並に絞ることで、1μm/h程度以下の成長速度で成長が可能となり、原料分圧を絞ることで、余計な核形成や多結晶膜が形成されることをを防いでいる。
この1μm/h程度以下という値は、化合物半導体の薄膜形成速度として許容できる成長速度であり、ZnO系半導体膜の形成方法として十分に使用できる方法である。
(1MLステップ)
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、m軸方向<1−100>およびa軸方向<11−20>に沿う+c面を有するZnO系半導体層46の表面の1ML(Mono Layer)高さのステップを有する表面形状を示すAFM写真は、図12に示すように表される。
さらに、第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、m軸方向<1−100>およびa軸方向<11−20>に沿う+c面を有するZnO系半導体層46の表面の1ML高さのステップを有する表面形状を示すAFM写真の拡大図は、図13(a)に示すように表される。また、図13(a)に対応する1MLステップのステップ形状の模式的平面構造は、図13(b)に示すように表される。また、図13(b)に対応するA−B間のステップ形状の模式的断面構造は、図13(c)に示すように模式的に表すことができる。ZnO系半導体層表面はm軸方向<1−100>に約0.5度傾斜している。さらに、図13(a)に対応するZnO系半導体層表面上に六方晶形状を想定したm軸方向<1−100>およびa軸方向<11−20>を示した図は、図13(d)に示すように表される。
図13(a)の表面観察の結果、<11−20>方向に沿う縞状のストライプが観測され、図13(a)の画面上では、約13本存在している。さらに、このようなストライプの間には、波状の曲線は観測される。このような形状は、シリコンの(001)面における微傾斜面(傾斜方向[110],傾斜角度0.5度)において観測される(2×1)構造と同様に、1MLずつステップが出現している結果を表している。すなわち、図13(b)に示すように、A点とB点間には、ストライプが7本存在し、各ストライプの段差は、2MLに相当する。ストライプと波状の曲線との間隔が、1MLに相当する。
2MLステップの場合のテラス幅wは、次式のように表される。
w=h/tanθ (1)
ここで、hは、ZnO結晶のc軸方向の格子定数であり、θは、基板のc軸が基板の法線からm軸方向へ傾いた角度を表す。図13の例では、θ=0.5度である。テラス幅wは、図13の結果より、0.0597μmであり、h=0.5207(nm)が得られることがわかる。
成長温度を1000℃以上にすること、亜鉛のハロゲン化物の供給分圧を1×10-4気圧以下、VI/II比を100以下とすることで、広範囲にステップフローする表面が得られ、さらに1000℃で成長を行うと1MLステップ(ZnOのc軸の格子定数の半分)の表面が得られた。
ZnOの気相成長膜で1MLステップ表面を観測したのは初めてのことである。20μm×20μmの広範囲のAFM観察でもピットは観察されず、また顕微鏡観察からもピット密度は基板の転位密度と同様の1×103cm-2以下であった。MOCVD法のような他の製法と比べて、広範囲でピットフリーのきれいなZnO系半導体層が形成されていることがわかる。
(ZnO結晶の結晶性)
―X線ロッキング曲線―
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、(002)面を有するZnO結晶のX線ロッキング曲線は、図14に示すように表される。図14において、各曲線は、ZnO基板40と、ZnO系半導体層46をパラメータとして表している。ZnO結晶において、(002)面は、c軸に平行な面であり、図14に示すX線ロッキング曲線は、c軸方向の揺らぎであるチルト分布を表している。第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、(002)面を有するZnO結晶のX線ロッキング曲線の半値幅FWHM(Full Width at Half Maximum)(arc sec)は、ZnO基板の半値幅FWHMと略同等の結果が得られていることがわかる。すなわち、(002)面を有するZnO基板の半値幅FWHM=17.3(arc sec)に対して(002)面を有するZnO系半導体層46の半値幅FWHM=18.7(arc sec)であり、(002)面を有するZnO結晶の結晶性が良好であることがわかる。ここで、3600(arc sec)=1(degree)に相当する。
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、(101)面を有するZnO結晶のX線ロッキング曲線は、図15に示すように表される。図14と同様に、各曲線は、ZnO基板40と、ZnO系半導体層46をパラメータとして表している。ZnO結晶において、(101)面は、半極性面であり、、図15に示すX線ロッキング曲線は、半極性面に垂直な方向の揺らぎであるツイスト分布+チルト分布を表している。第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、(101)面を有するZnO結晶のX線ロッキング曲線の半値幅FWHMは、ZnO基板の半値幅FWHMと略同等の結果が得られていることがわかる。すなわち、(101)面を有するZnO基板40の半値幅FWHM=12.2(arc sec)に対して(101)面を有するZnO系半導体層46の半値幅FWHM=13.0(arc sec)であり、(101)面を有するZnO結晶の結晶性が良好であることがわかる。
―SIMS分析結果―
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶の2次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometry)結果(検出イオンの極性:−)は、図16に示すように表される。同様に、検出イオンの極性:+によるZnO結晶のSIMS分析結果は、図17に示すように表される。図16および図17において、縦軸は2次イオン強度(カウント)を示し、横軸は、質量(AMU)を示す。図16の検出イオンは、O2 -イオンを照射イオンとして検出した例であり、図17の検出イオンは、Cs+イオンを照射イオンとして検出した例である。
図16および図17の結果から明らかなように、ハロゲン系の塩素などの検出はされず、第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶中には、塩素が含有されていないことがわかる。
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶の塩素濃度の深さ方向依存性を示すSIMS分析結果は、図18に示すように表される。図18において、縦軸は、塩素濃度(cm-3)、横軸は深さ(μm)を表す。ZnO基板40とZnO系半導体層46との界面近傍で、塩素濃度は略塩素の検出限界レベルにある。
深さ方向依存性を示す図18の結果から明らかなように、第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造には、実質的に、塩素が含有されていないことがわかる。
SIMS分析結果による不純物測定からは、ZnO系半導体層46/ZnO基板40の構成元素以外のどの元素も検出限界であり、特にハロゲン化物が検出されなかったことは、第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法がZnO半導体膜の作製に十分適していることがわかる。
―電気的特性―
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO膜の電気的特性の測定結果であって、MOS構造のC−V特性例は、図19に示すように表される。また、図19のC−V測定に適用したサンプルの模式的断面構造は、図20に示すように、ZnO基板40と、ZnO基板40上に配置されたZnO系半導体層46と、ZnO系半導体層46上に配置された絶縁膜48と、絶縁膜48上に配置されたMOS電極50と、ZnO基板40と電気的に接続された基板電極38とを備える。ZnO系半導体層46の厚さは、2.3μm、絶縁膜48の厚さは、0.2μm、MOS電極50の材質はTi/Auの積層構造からなり、直径は100μmである。
図19において、縦軸はMOSキャパシタの容量(F/cm2)、横軸は順方向および逆方向に印加する電圧(V)を表す。測定時の小信号周波数は、100kHzである。図19から、CV曲線は0V付近を境に−印加側で空乏領域、反転領域が現れており、+印加側では蓄積領域が現れていることから、成長したZnO膜はn型半導体であることが分かる。
図19に示すように、最大容量Cmaxは、2.38×10-8(F/cm2)、最小容量Cmin は、4.4×10-9(F/cm2)が得られており、残留キャリア濃度は、例えば、約1×1015cm-3程度と高抵抗のZnO系半導体層46が形成されていることがわかる。
ここで、、残留キャリア濃度は以下のように求めることができる。
図20に示すように、。MOS電極50/絶縁膜48/ZnO系半導体層46/ZnO基板40/基板電極38からなるMOSキャパシタ構造において、最大空乏層幅Wmax(μm)は、一次元モデルとしては、次式のように表される。すなわち、
max={4εSkTln(ND/ni)/(q2D)}1/2 (2)
最小容量Cmin(F/cm2)は、次式のように表される。すなわち、
min=εi/[d+(εi/εS)Wmax]
=εi/[d+{4εi 2kTln(ND/ni)/(εS2D)}1/2] (3)
ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度を表す。ZnOの比誘電率εS=8.5、絶縁膜48の比誘電率εi=5.0、絶縁膜48の膜厚d=2.0(μm)、ZnOの真性キャリア密度ni=1×10-8cm-3として、(2)式および(3)式より求めたキャリア濃度ND(cm-3)に対する最小容量Cmin(F/cm2)と最大空乏層幅Wmax(μm)の関係は、図21に示すように表される。
図19より、最小容量Cmin の値は、4.4×10-9(F/cm2)が得られており、最小容量Cmin =4.4×10-9(F/cm2)に対応するキャリア濃度ND(cm-3)は、約1×1015(cm-3)程度、最大空乏層幅Wmax(μm)は、約2μm程度であることがわかる。
電気特性評価から、残留ドナー濃度は1×1015cm-3程度であり、化合物半導体の残留ドナー濃度としては十分に低く、ドーピングガスを添加することで、1×1015cm-3以上のキャリア濃度の制御ができることがわかる。主要原料にハロゲン化物を使用していることから、ドーピングガスにもハロゲン化物、特にn型の不純物を添加する場合はガリウム、またはアルミニウムのハロゲン化物を供給すると安定したドーピング量の制御が可能である。
(結晶成長装置)
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法に適用するホモエピタキシャル結晶成長装置20の模式的構成は、図22に示すように、塩素ガス供給手段2と、キャリアガス供給手段3と、原料ゾーン4と、加熱手段5と、水供給手段6と、キャリアガス供給手段7と、成長ゾーン8と、加熱手段9と、基板保持手段10とを備えている。
ホモエピタキシャル結晶成長装置20には、MgZnO半導体(ZnO系半導体)のホモエピタキシャル成長方法に適用するための構成も配置されている。すなわち、図22に示すように、塩素ガス供給手段12と、キャリアガス供給手段13と、マグネシウムの金属単体を含むII族金属材料25が保持された原料ゾーン14とを備えている。
ホモエピタキシャル結晶成長装置20には、ZnO系半導体(ZnO、MgZnO)のホモエピタキシャル成長方法において、n型不純物もしくはp型不純物を不純物添加するための装置構成も配置されている。すなわち、図22に示すように、n型不純物を不純物添加するためのn型ドーピングガスを供給する第1ドーピングガス供給手段22と、p型不純物を不純物添加するためのp型ドーピングガスを供給する第2ドーピングガス供給手段24とを備えている。
原料ゾーン4は、亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15を保持するためのものである。また、原料ゾーン4は、塩素ガス供給手段2から供給される塩素ガスと亜鉛とを反応させて塩化亜鉛ガスを生成するゾーンである。
成長ゾーン8は、供給管により繋がれた原料ゾーン4から供給される塩化亜鉛ガスと、酸素材料として水供給手段6から供給される水(水蒸気)とを反応させて、基板保持手段10上に保持された成長基板16上にZnO半導体を成長させるゾーンである。なお、成長ゾーン8には、結晶成長の駆動力を調整するための水素が水素供給手段11から供給される。ここで水素供給手段11から供給される水素は、塩素ガスと容易に反応するため、塩素ガスとは異なる供給経路で成長ゾーン8に供給される。
なお、原料ゾーン4、成長ゾーン8及び各ガス供給手段と成長ゾーン8とを繋ぐ各供給管は、石英により構成されている。
加熱手段5は、原料ゾーン4,14及び水の供給路を加熱するためのものである。加熱手段9は、成長ゾーン8を加熱するためのものである。これらの加熱手段5、9によって、ホモエピタキシャル結晶成長装置20はホットウォール方式を実現している。
なお、加熱手段5は、原料ゾーン4,14に対して個別に設定されていてもよい。また、各ガス供給経路に対しても、ヒータ線などによって、個別に配置されていてもよい。
キャリアガス供給手段3,7および13から供給される窒素ガスは、原料ゾーン4で生成される塩化亜鉛ガス、水供給手段6から供給される水および原料ゾーン14で生成される塩化マグネシウムガス、を成長ゾーン8へと輸送するためのものである。
成長ゾーン8は、ホットウォール型の反応炉で形成されていてもよい。
第2のII族金属材料は、例えば、マグネシウムを含む。
n型ドーピングガスとして、ガリウムまたはアルミニウムのハロゲン化物を供給するとよい。
次に、上述したホモエピタキシャル結晶成長装置20によるZnO半導体の製造方法について説明する。
まず、塩素ガス供給手段2及びキャリアガス供給手段3からそれぞれ塩素ガス及び窒素ガスが、原料ゾーン4に輸送される。そして、原料ゾーン4では、保持されている亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15と供給された塩素ガスとによって、以下の反応式(4)による反応が起こり、塩化亜鉛ガスが生成される。
Zn(s,l)+Cl2(g) ⇔ ZnCl2(g) (4)
ここで、原料ゾーン4に保持される亜鉛の金属単体は、純度の高いものが好ましく、例えば、99.99999%以上のものがよい。なお、反応式における(s)、(l)、(g)はそれぞれ、固体、液体、気体を示す。
原料ゾーン4は、反応式(4)における反応をほとんど右辺へと進行させて、塩化亜鉛ガスの流量を塩素ガスの供給量によって制御できるよう、亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15の表面積を大きくした構造及び適切な温度となっている。なお、このような適切な温度としては、約300℃〜約450℃程度が望ましい。また、原料ゾーン4の温度は、金属の中でも非常に蒸気圧の高い、亜鉛ガスが成長ゾーン8へと輸送されることを抑制するために、約500℃以下に設定されている。そして、上述の反応式(4)によって生成された塩化亜鉛ガスは、キャリアガス供給手段3から供給される窒素ガスによって成長ゾーン8に輸送される。
また、他の経路を介して、キャリアガス供給手段7から供給される窒素ガスにより、水供給手段6から供給される水(水蒸気)が、酸素材料として成長ゾーン8に輸送される。
そして、成長ゾーン8では、輸送された塩化亜鉛ガスと水とによって、以下に示す反応式(5)の反応が右辺に進行することにより、ZnO半導体の薄膜が成長基板16上に成長する。
ZnCl2(g)+H2O(g) ⇔ ZnO(s)+2HCl(g) (5)
ここで、成長ゾーン8の温度は、塩化亜鉛ガスが成長ゾーン8までの途中の経路で析出しないように、原料ゾーン4の温度よりも高温に設定される。具体的には、成長ゾーン8の温度は約500℃〜約1100℃程度に設定される。
ホモエピタキシャル結晶成長装置20によるMgZnO半導体の製造方法では、キャリアガスとともに塩素ガスを原料ゾーン14に輸送し、原料ゾーン14で塩化マグネシウムガスを生成する。そして、キャリアガス供給手段13から供給される窒素ガスにより塩化マグネシウムガスを成長ゾーン8に輸送して、成長ゾーン8で塩化亜鉛ガス、塩化マグネシウムガス及び水を反応させることにより、MgZnO半導体を成長基板16上に成長させることができる。
ZnO系半導体(ZnO、MgZnO)のホモエピタキシャル成長方法において、n型ドーピングガス供給手段22およびp型ドーピングガス供給手段24を用いて、成長層に対して、所望のn型不純物もしくはp型不純物を不純物添加することができる。
なお、本願発明者は、高温(例えば、約1000℃以上)でも、反応式(5)の反応を右辺へと進行させることが可能であることを熱力学的な解析によって確認している。
上述したように、第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル結晶成長装置20では、塩化亜鉛ではなく、純度の高い亜鉛の金属単体をII族金属材料15として採用しているので、高品質のZnO系半導体を容易に製造することができる。
また、原料ゾーン4の設定温度を成長ゾーン8の成長温度よりも低くすることによって、原料ゾーン4で生成された塩化亜鉛ガスが成長ゾーン8まで輸送されるまでの間に析出することを抑制できる。
また、酸素材料として酸素単体ではなく水を採用することによって、成長ゾーン8において塩素ガスではなく塩酸ガスが生成されるので、熱力学的により安定した状態で反応式(5)を右辺に進行させることができる。
例えば、II族金属材料として、マグネシウムの金属単体の代わりにカドミニウムの金属単体を採用してもよい。
また、酸素材料として、水の代わりに酸素ガスを採用してもよい。
また、ハロゲンガスとして、塩素ガスの代わりに臭素ガスを採用してもよい。
また、II族金属材料の種類は2種類に限定するものでなく、3種類以上のII族金属材料を用いてもよい。
(半導体装置)
第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造を有する半導体装置の模式的断面構造例は、図23に示すように、ZnO基板40と、ZnO基板40上に配置され、n型不純物を不純物添加されたn型ZnO系半導体層52と、n型ZnO系半導体層52上に配置されたZnO系半導体活性層54と、ZnO系半導体活性層54上に配置され、p型不純物を不純物添加されたp型ZnO系半導体層56とを備える。
n型ZnO系半導体層52、ZnO系半導体活性層54およびp型ZnO系半導体層56は、いずれも上述のホモエピタキシャル結晶成長装置20および上述のハロゲン化II族金属と酸素原料を用いるホモエピタキシャル成長方法により形成される。
p型ZnO系半導体層56上には、p側電極60が配置され、導電性のZnO基板40の裏面には、n側電極70が配置されている。p側電極60の材料としては、例えば、Ni層およびAu層の積層構造を採用することができる。また、n側電極70の材料としては、例えば、Ti層およびAu層の積層構造を採用することができる。
n型不純物としては、例えば、B,Ga,Al,In,またはTlのいずれかを適用することができる。
また、p型不純物としては、例えば、N,P,As,Sb,Bi,Li,Cuのいずれかを適用することができる。
ZnO系半導体活性層54は、例えば、MgxZn1-xO(0<x<1)からなるバリア層と、ZnOからなる井戸層が積層された多重量子井戸(MQW:Multi-Quantum Well)構造を備える。
或いは、ZnO系半導体活性層54は、CdyZn1-yO(0<y<1)からなる井戸層と、ZnOからなるバリア層が積層されたMQW構造を備えていてもよい。
量子井戸のペア数は、電子、およびホールの走行距離から決まる。すなわち、電子、およびホールの再結合発光効率が、最も良好となるZnO系半導体活性層54の所定の厚さに対応したMQWのペア数により決定する。
ここで、ZnOのバンドギャップエネルギー3.37eVに対して、MgOのバンドギャップエネルギーは、7.8eVであることから、MgxZn1-xOの組成比xを調整して、MgxZn1-xOからなるバリア層と、ZnOからなる井戸層が積層されたMQW構造を形成することができる。
一方、ZnOのバンドギャップエネルギー3.37eVに対して、CdOのバンドギャップエネルギーは、0.8eVであることから、CdyZn1-yOの組成比y調整して、CdyZn1-yOからなる井戸層と、ZnOからなるバリア層が積層されたMQW構造を形成することができる。
なお、上記の半導体装置からの発光(hν)は、図23に示すように、上面方向から取り出すことができる。最終的なデバイス構造としては、例えば、フリップチップ化実装構造とすることで、ZnO基板40の裏面側から主として発光(hν)が取り出される構成としてもよい。
本発明のホモエピタキシャル成長方法によれば、ZnO基板上へZnO系半導体結晶を1000℃よりも高い温度で形成することができる。
本発明によれば、上記ホモエピタキシャル成長方法を用いて形成したホモエピタキシャル結晶構造および半導体装置を提供することができる。
本発明のホモエピタキシャル結晶成長装置によれば、ZnO基板上へ1000℃よりも高い温度でZnO系半導体結晶を成長することができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
本発明のホモエピタキシャル成長方法、ホモエピタキシャル結晶構造および半導体装置は、青色領域から紫外領域までのLEDまたはレーザダイオード(LD:Laser Dioide)などの発光デバイス、受光素子や圧電素子、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)、透明電極など幅広い分野に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル結晶構造のホモエピタキシャル成長方法であって、(a)ZnO基板を準備する工程を示す模式的断面構造図、(b)ハロゲン化物気相成長によるZnO系半導体層の形成工程を示す模式的断面構造図。 ホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=700℃)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 ホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=800℃)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 ホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=900℃)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20の例)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=50の例)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=1000の例)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20,結晶成長時間=1hの例)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20,結晶成長時間=2hの例)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造(結晶成長温度Tg=1000℃,VI/II比=20,結晶成長時間=6hの例)であって、(a)2μm角部分のZnO系半導体層表面のAFM写真、(b)20μm角部分のZnO系半導体層のAFM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、m軸方向<1−100>およびa軸方向<11−20>に沿う+c面ZnO系半導体層表面の1MLステップの表面形状を示すAFM写真。 (a)本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造において、m軸方向<1−100>およびa軸方向<11−20>に沿う+c面ZnO系半導体層表面の1MLステップの表面形状を示すAFM写真の拡大図、(b)(a)に対応する1MLステップのステップ形状の模式的平面構造図、(c)(a)に対応するA−B間のステップ形状の模式的断面構造図、(d)六方晶形状におけるm軸方向<1−100>およびa軸方向<11−20>の説明図。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶のX線ロッキング曲線(ZnO(002)面の例)。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶のX線ロッキング曲線(ZnO(101)面の例)。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶のSIMS分析結果(検出イオンの極性:−)。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶のSIMS分析結果(検出イオンの極性:+)。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO結晶の塩素濃度の深さ方向依存性を示すSIMS分析結果。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造のZnO膜の電気的特性の測定結果であって、MOS構造のC−V特性。 図19のC−V測定に適用したサンプルの模式的断面構造図。 ドナー濃度ND(cm-3)に対する最小容量Cmin(F/cm2)と最大空乏層幅Wmax(μm)の関係図。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法に適用するホモエピタキシャル結晶成長装置の模式図。 本発明の第1の実施の形態に係るホモエピタキシャル成長方法により形成されたホモエピタキシャル結晶構造を有する半導体装置の模式的断面構造図。
符号の説明
2,12…塩素ガス供給手段
3,13…キャリアガス供給手段
4,14…原料ゾーン
5,9…加熱手段
6…水供給手段
7…キャリアガス供給手段
8…成長ゾーン
10…基板保持手段
15,25…II族金属材料
16…成長基板
20…ホモエピタキシャル結晶成長装置
22…第1ドーピングガス供給手段
24…第2ドーピングガス供給手段
40…酸化亜鉛(ZnO)基板
46…酸化亜鉛(ZnO)系半導体層
52…n型ZnO系半導体層
54…ZnO系半導体活性層
56…p型ZnO系半導体層
60…p側電極
70…n側電極

Claims (4)

  1. 酸化亜鉛基板上に亜鉛含有ガスと酸素含有ガスを混合した反応ガスを導入して、前記酸化亜鉛基板上に酸化亜鉛半導体層を結晶成長する工程を有し、
    前記亜鉛含有ガスの分圧は、1×10-4気圧以下であり、1000℃よりも高い温度でハロゲン化気相エピタキシー法により前記酸化亜鉛半導体層を結晶成長し、前記酸化亜鉛半導体層を結晶成長する工程において、VI族元素とII族元素の供給比VI/IIは、1以上〜100以下であることを特徴とするホモエピタキシャル成長方法。
  2. 前記亜鉛含有ガスはハロゲン化物、前記酸素含有ガスは水を用いることを特徴とする請求項1に記載のホモエピタキシャル成長方法。
  3. 前記酸化亜鉛半導体層を結晶成長する工程において、ガリウムまたはアルミニウムのハロゲン化物からなる不純物ガスを供給する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のホモエピタキシャル成長方法。
  4. 前記酸化亜鉛半導体層を結晶成長する工程において、前記酸化亜鉛半導体層は、1×10 16 cm -3 以上のキャリア濃度を有するn型半導体層が形成されることを特徴とする請求項3に記載のホモエピタキシャル成長方法。
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