JP5392708B2 - ヘテロエピタキシャル成長方法 - Google Patents

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本発明は、ヘテロエピタキシャル成長方法に関し、特に、高品質な酸化亜鉛(以下ZnO)系化合物半導体結晶のヘテロエピタキシャル成長方法に関する。
ZnO結晶は、バンドギャップが約3.37eV程度の直接遷移型半導体であり、ホールと電子が固体内で結合した励起子の束縛エネルギーが60meVと大きく、室温でも安定に存在するため、安価で環境負荷も小さく、青色領域から紫外領域までの発光デバイスとして期待されている。
ZnO結晶は、発光デバイス以外にも用途は広く、受光素子や圧電素子、トランジスタ、透明電極などの応用も期待されており、量産性に優れた高品質のZnO結晶成長技術の確立が要望されている。
高品質のZnO系半導体を製造する方法としては、以下の方法が知られている。例えば、分子線エピタキシャル成長(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法では、亜鉛とラジカル化(プラズマ化)された酸素とを分子線として供給し、成長基板上で反応させて高品質のZnO系半導体を成長させている。また、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法では、ZnO系半導体の焼結体や結晶にレーザ光を照射して蒸発したZnO系半導体を成長基板上に堆積させることによって高品質のZnO系半導体を成長させている。
しかしながら、上述したMBE法及びPLD法によりZnO系半導体を成長させる場合には、大面積の成膜が困難であり、また、真空中で成長を行う必要があるため、工業的に量産することは困難であるといった問題がある。
そこで、高真空を必要としないZnO系半導体の製造方法として、III−V族半導体の結晶成長に広く用いられている有機金属気相堆積成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によりZnO系半導体を成長させる方法が知られている。MOCVD法では、亜鉛を含む有機金属が基板近傍、または基板上で分解し、最終的に金属元素と酸素材料が反応し、ZnO系半導体を成長させている。
しかしながら、上述したMOCVD法では、II族元素である亜鉛の蒸気圧がIII族元素に比べて非常に高いため、高品質の成長が可能な高温下では成長基板に亜鉛が到達しても成長基板から離脱しやすい。このため、成長基板上でZnO系半導体の成長に寄与できる亜鉛の割合が小さいので、亜鉛を含む材料の効率が低いといった問題がある。
また、亜鉛を含む有機金属材料を分解させた際に生じる炭化水素基によってZnO系半導体中に炭素が混入するため、炭素を含まないZnO系半導体の成長が難しいといった問題がある。
ZnO系半導体を気相成長(VPE: Vapor Phase Epitaxy)法で成長させる場合、材料として亜鉛の金属単体と酸素を含む酸素材料(例えば、酸素)とを用いることが1つの方法として知られている。しかしながら、この化学反応の平衡定数はIII−V族半導体の平衡定数に比べて大きく、また、前述のように高温成長のためには蒸気圧の高い亜鉛の供給分圧を高く設定する必要があるため、反応を制御することが困難であるといった問題がある。
そこで、ZnO系半導体をVPE法で成長させる場合の別の方法として、亜鉛の塩化物と酸素材料とを用いた方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1におけるZnO系半導体の製造方法では、塩化亜鉛の粉末を反応管内に設置し、加熱することにより蒸気になった塩化亜鉛をキャリアガスにより輸送して酸素と反応させてZnO系半導体を成長させている。
この方法は、II族材料としてハロゲン化II族金属を用いたハライド(またはハイドライド)気相成長(HVPE:Halide/Hydride Vapor Phase Epitaxy)法と呼ばれている。なお、HVPE法は、III族材料にハロゲン化物(塩化物)を用い、V族材料に水素化物を用いることによって、窒化ガリウム基板などを工業的に製造するIII−V族半導体の製造方法として知られている。このHVPE法では、成長基板及びその周辺のみならず石英管をも高温とするホットウォール方式が一般的に用いられる。
しかしながら、上述した非特許文献1のZnO系半導体の製造方法では、塩化亜鉛を亜鉛材料として用いているが、塩化亜鉛は潮解性があるとともに、容易に入手できる塩化亜鉛の純度は約99.9%程度と低く、純度の高い塩化亜鉛は高価であるため、高品質のZnO系半導体を容易に製造できない。
ZnO結晶成長用基板として、同一材料種であるZnO基板を用いる場合、ZnO結晶成長用基板は、水晶作製と同様の方法の水熱合成法で作製されており、高レベルの不純物制御が必要な半導体分野で産業化できるかどうかまだ不明である。また、ZnO基板の物性上脆いという点が今後のZnO結晶成長用基板の大型化を困難にすると考えられる。
窒化物半導体は特にコスト削減を求められる発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)用途に用いられる場合、高価なホモエピタキシャル用基板を用いる代わりにサファイア基板、炭化ケイ素基板、シリコン基板などが用いられている。
MBE法やMOCVD法でサファイア基板上に直接高温成長を行った場合、ZnOが成長しないという現象があり、これはGaNでは起こらない現象である。
Ga,Alに代表されるIII族元素は蒸気圧が低く、高温領域でもサファイア上での濡れ性が良いため、バッファ層を介さない場合でも高温で結晶が成長するが、Znのような基板上の濡れ性の悪い元素はまず低温で基板上にZnO膜を形成して濡れ性を良くしてからでないと高温でZnOを成長するのは難しいからである。
低温で成長を行うと基板表面での原料の拡散が起こりにくくなり、成長膜はロッド状または芯状結晶の集まりとなり、配向膜ではあるものの半導体レベルの高品質結晶成長は困難であった。
異種基板上へのエピタキシャル成長のためにはバッファ層を介して成長させる方法が通常用いられている。特にサファイア基板上のGaNの場合、低温でAlNあるいはGaNから成るバッファ層を形成し、その後高温で成長することで結晶性が良く、平坦性の優れたGaN結晶を得ることに成功している(例えば、特許文献1および非特許文献2参照。)。
ZnO系半導体結晶の場合もGaN系半導体結晶と同様にバッファ層を形成することが提案されている(例えば、特許文献2および非特許文献3参照。)。この方法では、600℃よりも低い低温で膜厚約10−100nm程度の低温成長ZnO単結晶層を成長し、その後熱処理による平坦化処理を行った後に、800℃よりも低い温度でZnO成長を行うというものである。しかしこの方法においては、MBE法を前提としており、高温成長の成長温度は800℃程度が限界である。またZn単体原料または有機金属材料をZn原料源として利用する方法ではZnの高い蒸気圧のために、高温成長する程、原料効率が激減するという問題があった。
特許第3257344号公報 特許第3424814号公報
N.Takahashi,et al. "Atomospheric pressure vapor-phase growth of ZnO using chloride source", Journal of Crystal Growth. 209 (2000), 822 H.Amano, N.Sawaki and I.Akasaki, "Metalorganic vapor phase epitaxy growth of a high quality GaN film using an AlN buffer layer", Appl.Phys.Lett.48(5),3 February 1986,353 H.KATO, M.SANO, K. MIYAMOTO, and T. YAO, "Effect of O/Zn Flux Ratio on Crystalline Quality of ZnO Films Grown by Plasma-Assisted Molecular Beam Epitaxy", Jpn.J.Appl.Phys.Vol.42 (2003), 2241
サファイア基板などの異種基板上へのZnO系半導体結晶成長の場合、Znのハロゲン化物を原料とした場合でも、高温成長を行った場合は異種基板に対するZnOの濡れ性が悪く、異種基板上のZnOは膜にならずに結晶核がまばらに成長し、連続膜になりにくい。
また、MOCVD法やMBE法で高温成長を行う場合、前述のようにバッファ層を用いた場合でも高温成長ではZnOの成長が困難であり、またZn原料の供給量を増やした場合、原料効率が悪くなるばかりでなく、Znと酸素原料が反応しやすいため、気相中での過早反応が起こりパーティクル発生の原因となる。
本発明の目的は、サファイア基板などの異種基板上へZnO系半導体結晶を800℃よりも高い温度で成長可能なヘテロエピタキシャル成長方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、異種基板上にバッファ層を形成する工程と、前記バッファ層上にハロゲン化II族金属と酸素原料を用いて酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程とを有し、前記酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程において、結晶成長温度は800℃以上であり、且つVI族元素とII族元素の供給比VI/IIは、1以上〜100以下であるヘテロエピタキシャル成長方法が提供される。
本発明によれば、サファイア基板などの異種基板上へZnO系半導体結晶を800℃よりも高い温度で成長可能なヘテロエピタキシャル成長方法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル結晶構造のヘテロエピタキシャル成長方法であって、(a)バッファ層形成工程を示す模式的断面構造図、(b)ハロゲン化物気相成長によるZnOファセットの形成工程を示す模式的断面構造図、(c)ハロゲン化物気相成長によるZnO層の形成工程を示す模式的断面構造図。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、ハロゲン化物気相成長によるZnO層の形成工程におけるヘテロエピタキシャル結晶構造の模式的鳥瞰構造図。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造であって、(a)ZnO層表面の光学顕微鏡写真、(b)ZnO層の鳥瞰SEM写真。 本発明の比較例に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造であって、(a)ZnO層表面の光学顕微鏡写真、(b)ZnO層の鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造(VI/II比=200の例)であって、(a)ZnO層表面の光学顕微鏡写真、(b)ZnO層の鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造(成長時間20minの例)であって、(a)ZnO層表面の光学顕微鏡写真、(b)ZnO層の鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造(成長時間60minの例)であって、(a)ZnO層表面の光学顕微鏡写真、(b)ZnO層の鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造(成長時間180minの例)であって、(a)ZnO層表面の光学顕微鏡写真、(b)ZnO層の鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造であって、(a)ZnO層表面の光学顕微鏡写真、(b)ZnO層の鳥瞰SEM写真。(成長時間360minの例) 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造のZnO結晶のX線ロッキング曲線(ZnO(002)面の例)。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造のZnO結晶のX線ロッキング曲線(ZnO(101)面の例)。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造のZnO結晶のX線ロッキング曲線の半値幅FWHM(arc sec)と結晶成長時間(分)との関係を示す図(ZnO(002)面の例、およびZnO(101)面の例)。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法に適用する結晶成長装置の模式図。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)金属亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面の光学顕微鏡写真、(b)塩化亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面の光学顕微鏡写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)金属亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面の鳥瞰SEM写真(ステップ1)、(b)水蒸気雰囲気中において窒素ガスとともに熱処理したZnOバッファ層表面の鳥瞰SEM写真(ステップ2)、(c)引き続き塩化亜鉛と水を反応させて形成したZnO層表面の鳥瞰SEM写真(ステップ3)。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、図15の各ステップに対応するZnO層の結晶の配向性を説明するX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果の例。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)図15の各ステップに対応するZnO層の結晶性を説明するX線ロッキング曲線(ZnO(002)面の例)、(b)図15の各ステップに対応するZnO層の結晶性を説明するX線ロッキング曲線(ZnO(101)面の例)。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、バッファ層の膜厚依存性を調べるための成長温度と成長時間との関係を示す図。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)バッファ層の成長時間を0minとした場合の光学顕微鏡写真、および(b)鳥瞰SEM写真、(c)バッファ層の成長時間を10minとした場合の光学顕微鏡写真、および(d)鳥瞰SEM写真、(e)バッファ層の成長時間を30minとした場合の光学顕微鏡写真、および(f)鳥瞰SEM写真、(g)バッファ層の成長時間を60minとした場合の光学顕微鏡写真、および(h)鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)a面サファイア基板上にバッファ層の成長時間を20min、ZnO層の成長時間を20minとした場合の鳥瞰SEM写真、および(b)その拡大鳥瞰SEM写真、(c)a面サファイア基板上にバッファ層の成長時間を60min、ZnO層の成長時間を20minとした場合の鳥瞰SEM写真、および(d)その拡大鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に、バッファ層を10min形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後のX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果の例。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に、バッファ層を30min形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後のX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果の例。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に、バッファ層を60min形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後のX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果の例。 (a)本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に、バッファ層をそれぞれ30minおよび60min形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後のX線ロッキング曲線の例(ZnO(002)面)、(b)ZnO層を同条件で成長したZnO(101)面の場合のX線ロッキング曲線の例。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に形成されたZnO層のX線ファイスキャンの説明図。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に形成されたバッファ層の有無によるZnO(101)面のX線ファイスキャンの測定結果。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)r面サファイア基板上に、バッファ層を形成せずに、結晶成長したZnO層の模式的断面構造図、(b)r面サファイア基板上に、バッファ層を形成せずに、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後の表面鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)r面サファイア基板上にバッファ層を形成後、結晶成長したZnO層の模式的断面構造図、(b)r面サファイア基板上にバッファ層を形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後の表面鳥瞰SEM写真。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、(a)r面サファイア基板上にバッファ層を400℃、60min結晶成長した表面鳥瞰SEM写真、(b)さらに、1000℃、60min結晶成長したZnO層の表面鳥瞰SEM写真。 図29において形成されたZnO層のX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果の例。 本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造を有する半導体装置の模式的断面構造図。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下において、同じブロックまたは要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
以下の説明において、「ZnO系化合物半導体」とはII元素Znを含有するII族酸化物半導体を意味する。
[第1の実施の形態]
(ヘテロエピタキシャル成長方法)
本発明の第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル結晶構造のヘテロエピタキシャル成長方法について、図1を用いて説明する。
バッファ層形成工程は、図1(a)に示すように表される。ハロゲン化物気相成長法によるZnOファセット44の形成工程は、図1(b)に示すように表される。ハロゲン化物気相成長によるZnO層の形成工程は、図1(c)に示すように表される。
(a)まず、図1(a)に示すように、異種基板40として、例えば、a面サファイア基板を用い、異種基板40上に、レーザアブレーション(Laser Ablation)法によって、ZnOテンプレートを形成する。ZnOテンプレートは、バッファ層42からなる。バッファ層42は、酸化物の配向膜もしくは窒化物の配向膜で形成することもできる。具体的には、例えば、ZnOもしくはMgOなどからなる酸化物の配向膜、或いはAlNもしくはGaNなどからなる窒化物の配向膜を適用することができる。ZnOテンプレートを形成する温度は、例えば、約500℃程度である。また、バッファ層42の厚さは、例えば、約0.3μm程度である。
ZnOテンプレートの他の形成方法としては、例えば、スパッタ法、パルスレーザ法、MBE法、HVPE法などを利用することができる。或いはZnの蒸気を水蒸気と単に反応させるVPE法などを適用することもできる。なお、これらの形成方法において、成長温度は、例えば400℃以上が望ましい。高温になるほど下地結晶基板の性能を良好にZnOテンプレートに反映することができるからである。Znの蒸気を水蒸気と単に反応させるVPE法については、図14〜図30を用いて、後述する。
特にその後のハロゲン化II族金属を使用した高温成長との整合性を考えると、同じ成長炉の中で実現可能なHVPE法、VPE法などが望ましい。
バッファ層42の成長温度も特に規定しないが、異種基板40を中温(〜500℃)程度に加熱しながら形成することで、バッファ層42の配向性を向上させることができ、その後の高温成長膜の結晶性も向上する。膜厚も特に規定しないが、バッファ層42の成膜方法によって、厚すぎるとバッファ層42の配向性や平坦性が悪化する可能性があり、薄すぎると連続膜になっていないため、例えば、約0.02μm〜約0.5μm程度が望ましい。
上述のa面サファイア基板上に形成されるZnO結晶は、c軸方向に配向したc面が得られる。
なお、上記のa面サファイア基板以外にも異種基板40として、シリコン基板、SiC基板、GaAs基板、GaP基板、GaN系基板などを適用することができる。
(b)次に、図1(b)に示すように、HVPE法により、バッファ層42上にZnOファセット44を形成する。具体的には、塩化亜鉛(ZnCl2)と水(H2O)を用いるハロゲン化物気相成長を適用する。結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を、全圧1atmに対して、例えば、約2.2×10-5atm程度、VI族元素である酸素とII族元素であるZnとの供給比であるVI/II比を、例えば、約20〜200程度とし、結晶成長温度Tgを、例えば、約1000℃程度、結晶成長時間を、例えば、約1時間程度とする。ここで、ZnCl2の分圧PZnCl2=2.2×10-5atmの場合、VI/II比=20〜200とすると、H2Oの分圧PH2O=4.4×10-4〜4.4×10-3atmとなる。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法においては、結晶成長の温度Tgは、800℃よりも高い高温成長方法を実施している。ZnO結晶の融点1975℃を考慮すると、融点の1/3〜1/2程度は必要であり、結晶成長の温度Tgは、高いほど品質の良好な結晶を得ることができる。したがって、上記の例では、GaNと同様の1000℃程度の成長を実施している。
(c)次に、図1(c)に示すように、結晶成長時間をさらに長く設定して、HVPE法により、バッファ層42上に形成されたZnOファセット44をさらにラテラル成長およびバーティカル成長させて、所望の厚さのZnO層46を形成する。具体的には、ZnOファセット44の形成と同様に、塩化亜鉛(ZnCl2)と水(H2O)/N2を用いるハロゲン化物気相成長を適用する。結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を、例えば、約2.2×10-5atm程度、VI族元素である酸素とII族元素であるZnとの供給比であるVI/II比を、例えば、約20〜200程度とし、結晶成長温度Tgを、例えば、約1000℃程度、結晶成長時間を、例えば、約1時間〜6時間程度とする。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法においては、異種基板上に低温でZnOのバッファ層を堆積し、その後800℃以上の高温でZnのハロゲン化物からなるZn原料と酸素材料を気相中で混合することでZnOの単結晶を得ることを特徴としている。
ZnOなど、異種基板40上のZnOの濡れ性を向上する目的のバッファ層42をハロゲン化物からなるZn原料を使用した高温成長前に形成することで、ZnOの濡れ性を向上させることができる。
(バッファ層上への高温ZnO成長)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、HVPE法によるZnO層の形成工程におけるヘテロエピタキシャル結晶構造の模式的鳥瞰構造は、図2に示すように表される。異種基板40の表面40a上において、ZnOファセット44をラテラル成長(GL)およびバーティカル成長(GV)させる様子が模式的に示されている。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造において、ZnO層表面の光学顕微鏡写真の一例は、図3(a)に示すように表される。また、図3(a)に対応するZnO層の鳥瞰SEM写真は、図3(b)に示すように表される。図3(a)および図3(b)の例は、図1(b)および図2の構造に対応している。すなわち、異種基板40として、a面サファイア基板を用い、a面サファイア基板上に形成されたバッファ層42上にZnOファセット44を形成した例である。
結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を、2.2×10-5atm、VI/II比を20とし、結晶成長温度Tgを1000℃、結晶成長時間を1時間としている。
また、本発明の比較例に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造において、ZnO層表面の光学顕微鏡写真の一例は、図4(a)に示すように表される。また、図4(a)に対応するZnO層の鳥瞰SEM写真は、図4(b)に示すように表される。図4(a)および図4(b)の例は、図1(b)の構造において、バッファ層42を用いず、a面サファイア基板上に直接ZnO結晶を形成した例に対応している。
結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を、2.2×10-5atm、VI/II比を600とし、結晶成長温度Tgを1000℃、結晶成長時間を1時間としている。
図3と図4の比較により、バッファ層42がある場合には、ZnOファセット44の横方向成長(GL)が促進され、さらに縦方向成長(GV)も行われる。これに対して、バッファ層42がない場合には、ZnOファセット44の横方向成長(GL)がほとんど発生せず、主として縦方向成長(GV)のみが発生している。このため、ZnOファセット44面上に形成されるZnO結晶自体の結晶性が良好であっても面内成長が行われないため、ZnOエピタキシャル成長層を形成することが難しい。なお、図3と同様のVI/II比=20の条件でa面サファイア基板上にZnOを直接成長を行った場合、ZnOの核成長が非常にまばらにしか観察されなかった。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造において、VI/II比=20の例におけるZnO層表面の光学顕微鏡写真は、図3(a)に示すように表され、図3(a)に対応するZnO層のSEM写真は、図3(b)に示すように表される。同様に、VI/II比=200の例におけるZnO層表面の光学顕微鏡写真は、図5(a)に示すように表され、図5(a)に対応するZnO層の鳥瞰SEM写真は、図5(b)に示すように表される。
結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を2.2×10-5atm、結晶成長温度Tgを1000℃、結晶成長時間を1時間としている。
図3(a)および図3(b)から明らかなように、VI/II比=20の場合には、H2Oの分圧PH2Oは、4.4×10-4atmとなり、ZnCl2分子の表面マイグレーションが起こり易いため、ZnOファセット44の横方向成長が起こり易い。これに対して、図5(a)および図5(b)から明らかなように、VI/II比=200の場合には、H2Oの分圧PH2Oは、4.4×10-3atmとなり、H2Oの分圧PH2Oが高いほど、ZnCl2分子の表面マイグレーションが抑制され、縦方向成長(GV)は生じるものの横方向成長(GL)が起こりにくいという結果が得られている。
したがって、ZnOファセット44の横方向成長(GL)を促進し、所望の厚さのZnO層46を得る上で、低Vl/II比成長が重要な成長条件となることがわかる。
このように、結晶成長の際のVI/II比が大きい場合には、横方向成長の速度が遅くなってしまうので、VI/II比は例えば100以下とするとよい。また、結晶成長の際のVI/II比が小さい場合には結晶成長の速度が遅くなってしまうので、VI/II比は例えば1以上とするとよい。
また、これに限るものではなく、例えばファセットが合体して連続膜ができるまではVI/II比を1以上〜100以下の値(例えば20)とし、その後にVI/II比を100以上の値(例えば200)としてもよい。
(高温ZnOの成長時間依存性)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造において、成長時間が20minの場合のZnO層表面の光学顕微鏡写真は図6(a)に示すように表され、図6(a)に対応するZnO層の鳥瞰SEM写真は、図6(b)に示すように表される。同様に、成長時間が60minの場合のZnO層表面の光学顕微鏡写真は図7(a)に示すように表され、図7(a)に対応するZnO層の鳥瞰SEM写真は、図7(b)に示すように表され、成長時間が180minの場合のZnO層表面の光学顕微鏡写真は図8(a)に示すように表され、図8(a)に対応するZnO層の鳥瞰SEM写真は、図8(b)に示すように表され、成長時間が360minの場合のZnO層表面の光学顕微鏡写真は図9(a)に示すように表され、図9(a)に対応するZnO層の鳥瞰SEM写真は、図9(b)に示すように表される。
結晶成長条件としては、ZnCl2の分圧PZnCl2を2.2×10-5(atm)、VI/II比=20、結晶成長温度Tgを1000℃としている。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により、高温ZnO層は、結晶成長時間の経過とともに、横方向結晶成長(GL)が進み、さらに縦方向結晶成長(GV)が進み、エピタキシャル層が成長される様子がわかる。
ハロゲン化物を使用した高温成長は、MBE法やMOCVD法と比較してバッファ層42の上の結晶核を減らすことができる。またバッファ層42は、ZnOの濡れ性を良くする。このため、MOCVD法によるバッファ層上の高温GaNと同様に、ハロゲン化物を使用した高温成長は、バッファ層42上の大きな結晶核が横方向に繋がって膜を形成していく成長過程をたどる。
特に結晶核の横方向成長を促進するために、高温成長および低VI/II比の条件を採用すると、図6〜図9に示すように、早期に結晶核を結合させることができ、高温成長膜の平坦化を可能にする。
Znのハロゲン化物を用いた高温成長の場合、Znのハロゲン化物と酸素原料の反応性はZnと酸素原料程高くはない。このため、Znのハロゲン化物を用いた高温成長は、気相中での反応が少なく、パーティクルの発生が少ない。
この反応性の低さは結晶核成長過程にも大きな影響を及ぼしている。すなわち、Znのハロゲン化物を用いた高温成長は、結晶核がバッファ層42上に無数に発生して膜を形成するのではなく、まばらな結晶核を大きく成長させることができるため、結晶粒界が少ない結晶性の良いZnO層46を成長させることができる。
(ZnO結晶の結晶性)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造において、ZnOの(002)面のX線ロッキング曲線は、図10に示すように表される。図10において、各曲線は、結晶成長時間0min,20min,60min,180min,360minの例をパラメータとして表している。結晶成長時間0minは、バッファ層を形成した後の状態に相当する。ZnO結晶において、(002)面は、c軸に平行な面であり、図10に示すX線ロッキング曲線は、成長方向であるc軸方向の揺らぎであるチルト分布を表している。結晶成長時間20min,60min,180min,360minの経過とともに、ZnO結晶の成長膜厚が上昇し、ZnO結晶のX線ロッキング曲線の半値幅が減少し、(002)面を有するZnO結晶の結晶性が向上していることがわかる。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造において、ZnOの(101)面のX線ロッキング曲線は、図11に示すように表される。図10と同様に、各曲線は、結晶成長時間0min,20min,60min,180min,360minの例をパラメータとして表している。結晶成長時間0minは、バッファ層を形成した後の状態に相当する。ZnO結晶において、(101)面は、半極性面であり、図11に示すX線ロッキング曲線は、半極性面に垂直な方向の揺らぎであるツイスト分布+チルト分布を表している。結晶成長時間の経過とともに、ZnO結晶の成長膜厚が上昇し、ZnO結晶のX線ロッキング曲線の半値幅が減少し、ZnO結晶の結晶性が向上していることがわかる。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造において、ZnO結晶のX線ロッキング曲線の半値幅FWHM(arc sec)と結晶成長時間(分)との関係は、図12に示すように表される。図12には、ZnO(002)面の例、およびZnO(101)面の例が示されている。図12の縦軸は、半値幅FWHM(Full Width at Half Maximun)(arc sec)を表す。ここで、3600(arc sec)=1(degree)に相当する。
サファイア基板上にヘテロエピタキシャル成長されたZnO結晶において、(101)面および(002)面のロッキングカーブの半値幅FWHMの値は、結晶成長時間の経過と共に改善されている。特に、0.1(degree)=360(arc sec)よりも減少しており、結晶性が良好である。
ここで、本実施形態の場合、結晶成長時間180minの場合はバッファ層上のZnO結晶層が約1.5μm程度成長しており、また結晶成長時間360minの場合はバッファ層上のZnO結晶層が約3μm程度成長していた。したがって、本実施形態では、ZnO結晶層が約1.5μm以上成長した結晶成長時間180min以後は、結晶面(002)(101)ともに半値幅FWHMが0.1(degree)以下となっている。特に、本実施形態では半極性面の一例として(101)を計測したが、これに限るものではない。他の半極性面についても、同様の半値幅FWHMの推移が得られることはもちろんである。他の半極性面の例としては、(102)面、(103)面、(111)面、(112)面、(113)面、(201)面、(203)面、(221)面、(223)面などがある。また、(001)面に垂直な非極性面(100)や(110)でも同様の半値幅が得られる。
(結晶成長装置)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法に適用するヘテロエピタキシャル結晶成長装置20の模式的構成は、図13に示すように、塩素ガス供給手段2と、キャリアガス供給手段3と、原料ゾーン4と、加熱手段5と、水供給手段6と、キャリアガス供給手段7と、成長ゾーン8と、加熱手段9と、基板保持手段10とを備えている。
ヘテロエピタキシャル結晶成長装置20には、MgZnO半導体(ZnO系半導体)のヘテロエピタキシャル成長方法に適用するための構成も配置されている。すなわち、図13に示すように、塩素ガス供給手段12と、キャリアガス供給手段13と、マグネシウムの金属単体を含むII族金属材料25が保持された原料ゾーン14とを備えている。
ヘテロエピタキシャル結晶成長装置20には、ZnO系半導体(ZnO、MgZnO)のヘテロエピタキシャル成長方法において、n型不純物もしくはp型不純物を不純物添加するための装置構成も配置されている。すなわち、図13に示すように、n型不純物を不純物添加するためのn型ドーピングガスを供給する第1ドーピングガス供給手段22と、p型不純物を不純物添加するためのp型ドーピングガスを供給する第2ドーピングガス供給手段24とを備えている。
原料ゾーン4は、亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15を保持するためのものである。また、原料ゾーン4は、塩素ガス供給手段2から供給される塩素ガスと亜鉛とを反応させて塩化亜鉛ガスを生成するゾーンである。原料ゾーン14は、原料ゾーン4の亜鉛の代わりに、単体のマグネシウムを保持するためのものである。
成長ゾーン8は、供給管により繋がれた原料ゾーン4から供給される塩化亜鉛ガスと、酸素材料として水供給手段6から供給される水(水蒸気)とを反応させて、基板保持手段10上に保持された成長基板16上にZnO半導体を成長させるゾーンである。
なお、原料ゾーン4、成長ゾーン8及び各ガス供給手段と成長ゾーン8とを繋ぐ各供給管は、石英により構成されている。
加熱手段5は、原料ゾーン4,14及び水の供給路を加熱するためのものである。加熱手段9は、成長ゾーン8を加熱するためのものである。これらの加熱手段5、9によって、ヘテロエピタキシャル結晶成長装置20はホットウォール方式を実現している。なお、加熱手段5は図示した構成に限るものではない。例えば、図示しない加熱手段5a・5b・5c・5dを用いて、加熱手段5aが原料ゾーン14を加熱し、加熱手段5bが原料ゾーン4を加熱し、加熱手段5cが水供給手段6・キャリアガス供給手段7の石英管を加熱し、加熱手段5dがn型ドーピングガス供給手段22・p型ドーピングガス供給手段24の石英管を加熱する構成としてもよい。
キャリアガス供給手段3,7および13から供給される窒素ガスは、原料ゾーン4で生成される塩化亜鉛ガス、水供給手段6から供給される水および原料ゾーン14で生成される塩化マグネシウムガス、を成長ゾーン8へと輸送するためのものである。
次に、上述したヘテロエピタキシャル結晶成長装置20によるZnO半導体の製造方法について説明する。
まず、塩素ガス供給手段2及びキャリアガス供給手段3からそれぞれ塩素ガス及び窒素ガスが、原料ゾーン4に輸送される。そして、原料ゾーン4では、保持されている亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15と供給された塩素ガスとによって、以下の反応式(1)による反応が起こり、塩化亜鉛ガスが生成される。
Zn(s,l)+Cl2(g) ⇔ ZnCl2(g) (1)
ここで、原料ゾーン4に保持される亜鉛の金属単体は、純度の高いものが好ましく、例えば、99.99999%以上のものがよい。なお、反応式における(s)、(l)、(g)はそれぞれ、固体、液体、気体を示す。
原料ゾーン4は、反応式(1)における反応をほとんど右辺へと進行させて、塩化亜鉛ガスの流量を塩素ガスの供給量によって制御できるよう、亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15の表面積を大きくした構造及び適切な温度となっている。なお、このような適切な温度としては、約300℃〜約450℃程度が望ましい。また、原料ゾーン4の温度は、金属の中でも非常に蒸気圧の高い、亜鉛ガスが成長ゾーン8へと輸送されることを抑制するために、約500℃以下に設定されている。そして、上述の反応式(1)によって生成された塩化亜鉛ガスは、キャリアガス供給手段3から供給される窒素ガスによって成長ゾーン8に輸送される。
また、他の経路を介して、キャリアガス供給手段7から供給される窒素ガスにより、水供給手段6から供給される水(水蒸気)が、酸素材料として成長ゾーン8に輸送される。
そして、成長ゾーン8では、輸送された塩化亜鉛ガスと水とによって、以下に示す反応式(2)の反応が右辺に進行することにより、ZnO半導体の薄膜が成長基板16上に成長する。
ZnCl2(g)+H2O(g) ⇔ ZnO(s)+2HCl(g) (2)
ここで、成長ゾーン8の温度は、塩化亜鉛ガスが成長ゾーン8までの途中の経路で析出しないように、原料ゾーン4の温度よりも高温に設定される。具体的には、成長ゾーン8の温度は約500℃〜約1100℃程度に設定される。
ヘテロエピタキシャル結晶成長装置20によるMgZnO半導体の製造方法では、キャリアガスとともに塩素ガスを原料ゾーン14に輸送し、原料ゾーン14で塩化マグネシウムガスを生成する。そして、キャリアガス供給手段13から供給される窒素ガスにより塩化マグネシウムガスを成長ゾーン8に輸送して、成長ゾーン8で塩化亜鉛ガス、塩化マグネシウムガス及び水を反応させることにより、MgZnO半導体を成長基板16上に成長させることができる。
ZnO系半導体(ZnO、MgZnO)のヘテロエピタキシャル成長方法において、n型ドーピングガス供給手段22およびp型ドーピングガス供給手段24を用いて、成長層に対して、所望のn型不純物もしくはp型不純物を不純物添加することができる。
上述したように、第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル結晶成長装置20では、塩化亜鉛ではなく、純度の高い亜鉛の金属単体をII族金属材料15として採用しているので、高品質のZnO系半導体を容易に製造することができる。
また、原料ゾーン4の設定温度を成長ゾーン8の成長温度よりも低くすることによって、原料ゾーン4で生成された塩化亜鉛ガスが成長ゾーン8まで輸送されるまでの間に析出することを抑制できる。
また、酸素材料として酸素単体ではなく水を採用することによって、成長ゾーン8において塩素ガスではなく塩酸ガスが生成されるので、熱力学的により安定した状態で反応式(2)を右辺に進行させることができる。
例えば、II族金属材料として、マグネシウムの金属単体の代わりにカドミニウムの金属単体を採用してもよい。
また、酸素材料として、水の代わりに酸素ガスを採用してもよい。
また、ハロゲンガスとして、塩素ガスの代わりに臭素ガスを採用してもよい。
また、II族金属材料の種類は2種類に限定するものでなく、3種類以上のII族金属材料を用いてもよい。
(ZnOテンプレートの形成方法)
ZnOテンプレートの形成方法として、Znの蒸気を水蒸気と単に反応させるVPE法について、以下に説明する。なお、これらの形成方法において、成長温度は、例えば400℃以上が望ましく、高温になるほど下地結晶基板の性能を良好にZnOテンプレートに反映することができる。
結晶成長装置20は、ZnOテンプレートの形成方法として、Znの蒸気を水蒸気と単に反応させるVPE法についても、図13に示された構成を使用することができる。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、金属亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面の光学顕微鏡写真は図14(a)に示すように表され、塩化亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面の光学顕微鏡写真図14(b)に示すように表される。図14において、成長温度は、約400℃、成長時間は、約60minである。図14(a)において、H2Oの分圧PH2Oは、2.2×10-2atm、図14(b)において、H2Oの分圧PH2Oは、1.32×10-2atmである。図14(b)から明らかなように、塩化亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面の光学顕微鏡写真の結果では、厚さ約0.93μmが得られているが、不均一な核形成が観測されている。これに対して、金属亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面の光学顕微鏡写真の結果では、厚さ約0.28μmが得られているが、連続膜の成長が観測されている。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、金属亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層を形成した後、HVPE法によってZnO半導体の薄膜を成長基板16上に成長する方法は、以下に示すように表される。
(a)まず、ステップ1として、キャリアガス供給手段3から窒素ガスが、原料ゾーン4に輸送される。そして、原料ゾーン4では、保持されている亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15が気化され、成長ゾーン8内に導入される。一方、水供給手段6から成長ゾーン8内に導入された水蒸気と、気化された亜鉛が反応し、(3)式による反応にしたがって、ZnO半導体の薄膜が成長基板16上に成長する。ここで、ZnOバッファ層42の結晶成長温度は、例えば約400℃以上であり、厚さは、例えば約0.3μm以下である。
Zn(g)+H2O(g) ⇔ ZnO(s)+H2(g) (3)
(b)次に、ステップ2として、水蒸気H2O(g)の雰囲気中で、窒素ガスとともに熱処理(アニール)する。熱処理温度は、例えば約1000℃程度である。このように熱処理することによって、ZnOバッファ層42の結晶性および表面の平坦性を向上させることができる。
(c)次に、ステップ3として、塩素ガス供給手段2から塩素ガスが原料ゾーン4に輸送され、同時にキャリアガス供給手段3から窒素ガスが、原料ゾーン4に輸送される。そして、原料ゾーン4では、保持されている亜鉛の金属単体からなるII族金属材料15と供給された塩素ガスとによって、反応式(1)による反応が起こり、塩化亜鉛ガスが生成される。そして、反応式(1)によって生成された塩化亜鉛ガスは、キャリアガス供給手段3から供給される窒素ガスによって成長ゾーン8に輸送される。また、他の経路を介して、キャリアガス供給手段7から供給される窒素ガスにより、水供給手段6から供給される水(水蒸気)が、酸素材料として成長ゾーン8に輸送される。そして、成長ゾーン8では、輸送された塩化亜鉛ガスと水とによって、反応式(2)の反応が右辺に進行することにより、ZnO半導体の薄膜が成長基板16上に成長する。ここで、結晶成長温度は、例えば約1000℃程度である。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、金属亜鉛と水を反応させて形成したZnOバッファ層表面のSEM写真(ステップ1)は、例えば図15(a)に示すように表され、水蒸気雰囲気中において窒素ガスとともに熱処理したZnOバッファ層表面のSEM写真(ステップ2)は、例えば図15(b)に示すように表され、塩化亜鉛と水を反応させて形成したZnO層表面のSEM写真(ステップ3)は、例えば図15(c)に示すように表される。
図15(a)において、成長温度は約400℃、成長時間は約60min、H2Oの分圧PH2Oは、約2.2×10-2atmである。
図15(b)において、熱処理温度は約1000℃、熱処理時間は約60min、H2Oの分圧PH2Oは、約4.4×10-3atmである。
図15(c)において、成長温度は約1000℃、成長時間は約60min、H2Oの分圧PH2Oは、約4.4×10-4atmであり、VI/II比は約20である。図15(a)〜図15(c)に示すように、ステップ1〜3にしたがって、結晶性は良好になる様子が観測されている。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、図15の各ステップに対応するZnO結晶の結晶の配向性を説明するX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果の例は、図16に示すように表される。図16において、縦軸はXRD強度(a.u.)を表し、横軸は、2θを表す。a面サファイア基板に対してZnO(002)面が配向しており、ステップ1〜ステップ3に移行するにしたがって、ZnO(002)のピーク強度が増大して、結晶の配向性が向上していることが観測される。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、図15の各ステップに対応するZnO結晶の結晶性を説明するX線ロッキング曲線(ZnO(002)面の例)は、例えば図17(a)に示すように表され、図15の各ステップに対応するZnOバッファ層の結晶性を説明するX線ロッキング曲線(ZnO(101)面の例)は、例えば図17(b)に示すように表される。
図17(a)から明らかなように、ZnOの(002)面のロッキング曲線の半値幅FWHM(arcsec)の値は、ステップ1では約1209(arcsec)、ステップ2では約460(arcsec)、ステップ3では約327(arcsec)である。また、図17(b)から明らかなように、ZnOの(101)面のロッキング曲線の半値幅FWHM(arcsec)の値は、ステップ1では約1458(arcsec)、ステップ2では約702(arcsec)、ステップ3では約493(arcsec)である。図17(a)および図17(b)から明らかなように、ステップ1〜ステップ3と進行するにしたがって、(002)面、および(101)面のロッキング曲線の半値幅が減少していることから、(002)配向しているZnO層のツイスト分布、チルト分布ともに減少し結晶性が向上していることがわかる。
(バッファ層の膜厚依存性)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、結晶成長温度と成長時間との関係は、図18に示すように表される。バッファ層の成長時間が0minの場合は、バッファ層が無い場合に相当している。
まず、図18において1000℃の高温で、H2中でサーマルクリーニング(T.C.)を実施して、a面サファイア基板表面を清浄化した後、キャリアガスをN2に切り替えステップ1として、バッファ層を成長する。バッファ層の膜厚依存性を調べるために、バッファ層の結晶成長時間は、0min〜60minと変化させている。バッファ層の成長温度は、約400℃程度であり、Zn(g)の分圧PZnは、約4×10-5atm程度、H2Oの分圧PH2Oは、約4.4×10-3atmである。
次に、ステップ2として、熱処理を実施する。この場合の熱処理温度は、約1000℃、熱処理時間は約10min、H2Oの分圧PH2Oは、約4.4×10-3atmである。
次に、ステップ3として、HVPE法によるZnO層の結晶成長を実施する。この場合の結晶成長温度は、約1000℃、結晶成長時間は約60min、ZnCl2の供給分圧PZnCl2は、約2.2×10-5atmであり、VI/II比は約20である。
図18に示す成長条件により得られた結果は、図19に示すように表される。図19(a)は、バッファ層の成長時間を0minとした場合のZnO結晶表面の光学顕微鏡写真、図19(b)は、その鳥瞰SEM写真を示す。図19(c)は、バッファ層の成長時間を10minとした場合のZnO結晶表面の光学顕微鏡写真、および図19(d)は、その鳥瞰SEM写真を示す。図19(e)は、バッファ層の成長時間を30minとした場合のZnO結晶表面の光学顕微鏡写真、図19(f)は、その鳥瞰SEM写真を示す。図19(g)は、バッファ層の成長時間を60minとした場合のZnO結晶表面の光学顕微鏡写真、図19(h)は、その鳥瞰SEM写真を示す。
約400℃の低温成長により形成されたバッファ層の膜厚(成長時間)を変化させることによって、その上にHVPE法で成長するZnO層の結晶表面の状態を調べた結果、図19(a)〜(h)から明らかなように、バッファ層の膜厚が厚い(成長時間が長い)程、ZnO層の結晶表面の状態は良好となっている。バッファ層の膜厚が厚い(成長時間が長い)程、HVPE法によるZnO層の2次元成長が促進されるためであると考えられる。
a面サファイア基板上にバッファ層の成長時間を20min、ZnO層の成長時間を20minとした場合のZnO層の結晶表面のSEM写真、およびその拡大鳥瞰SEM写真は、それぞれ図20(a)および図20(b)に示すように表される。また、a面サファイア基板上にバッファ層の成長時間を60min、ZnO層の成長時間を20minとした場合のZnO層の結晶表面のSEM写真、およびその拡大鳥瞰SEM写真は、それぞれ図20(c)および図20(d)に示すように表される。
図20(a)〜(d)から明らかなように、低温で形成したバッファ層上に形成されるZnO層の結晶表面も六角形状の成長核が生成して、これらの六角形状の成長核が互いに結合して、平坦化される成長モードが実現されている。また、低温で形成したバッファ層の厚さが厚い程、その上にHVPE法で形成されるZnO層の横方向成長が促進されている。
(X線回折測定(2theta-omega法))
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に、バッファ層を10min形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後のZnO層の結晶のX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果は、例えば図21に示すように表される。同様に、バッファ層を30min形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後のX線回折測定結果は、例えば図22に示すように表される。さらに、バッファ層を60min形成後、HVPE法でZnO層を60min結晶成長した後のX線回折測定結果は、例えば図23に示すように表される。図21の結果は、図19(c)および図19(d)に対応し、図22の結果は、図19(e)および図19(f)に対応し、図23の結果は、図19(g)および図19(h)に対応する。
図21に示すように、低温成長によって形成されるバッファ層の厚さが薄い場合には、その上にHVPE法で形成されるZnO層の配向性が揃わず、所望のZnO(002)面以外のZnO(101)面が検出されている。一方、図22および図23に示すように、低温成長によって形成されるバッファ層の厚さが厚くなる場合には、その上にHVPE法で形成されるZnO層の配向性が良好となり、所望のZnO(002)面が検出されている
(X線ロッキング曲線)
実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板上に、バッファ層をそれぞれ30minおよび60min形成後、その上にHVPE法でZnO層(ZnO(002)面)を60min結晶成長した後のX線ロッキング曲線の例は、(002)面では、図24(a)に示すように表され、(101)面では、図24(b)に示すように表される。
図24(a)から明らかなように、ZnOの(002)面のロッキング曲線の半値幅FWHM(arcsec)の値は、バッファ層を30minおよび60min成長した場合、それぞれ396(arcsec)および327(arcsec)である。同様に、図24(b)から明らかなように、ZnOの(101)面のロッキング曲線の半値幅FWHM(arcsec)の値は、バッファ層を30minおよび60min成長した場合、それぞれ504(arcsec)および493(arcsec)である。
図24(a)および図24(b)のように二次元成長が促進され、膜になったZnO層のXRDロックキング曲線の半値幅FWHM(arcsec)は、500(arcsec)以下と良好であり、図12と同様に、さらなる成長膜厚増加とともに、ロッキング曲線の半値幅の値の減少を見込むことができる。
(X線ファイスキャン)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、a面サファイア基板40上に形成されたc軸配向のZnO層のX線ファイスキャンは、図25に示すように、ZnO(101)面を検出するように入射X線とX線検出器とを合せc軸方向を中心に回転させることで実施される。a面サファイア基板40上に形成されたバッファ層42の有無によるZnO層46のX線ファイスキャンの測定結果は、図26に示すように表される。バッファ層42が無い場合(WITHOUT LT-Buffer)には、6回対称の大きなピークの他に図26中の破線部Aで示すように、30度回転した場合の結晶核が観測され、Φ方向であるツイスト(twist)方向の結晶性が乱れている。一方、バッファ層42を有する場合(WITH LT-Buffer)には、ZnO層46の六方晶の6回対称が正確に観測されている。しかも、バッファ層42を有する場合には、30度回転した場合の結晶核は観測されず、Φ方向であるツイスト(twist)方向にも結晶性を揃える効果がある。
(r面サファイア基板)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、r面サファイア基板41上に、バッファ層を形成せずに、結晶成長したZnO層47の模式的断面構造は、図27(a)に示すように表される。また、r面サファイア基板41上に、バッファ層を形成せずに、HVPE法でZnO層47を60min結晶成長した後の表面鳥瞰SEM写真は、図27(b)に示すように表される。図27(a)および図27(b)に示すように、r面サファイア基板41上に、バッファ層を形成せずに、結晶成長したZnO層47の形状は、六角形の柱状結晶が観測されている。
一方、第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、r面サファイア基板41上にバッファ層43を形成後、結晶成長したZnO層47の模式的断面構造は、図28(a)に示すように表される。また、r面サファイア基板41上にバッファ層43を形成後、HVPE法でZnO層47を60min結晶成長した後の表面鳥瞰SEM写真は、図28(b)に示すように表される。a面サファイア基板40上だけではなく、r面サファイア基板41上においてもZnOバッファ層43によって、その上に堆積するHVPE法によるZnO層47の平坦化形成に効果が認められる。
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法において、r面サファイア基板41上にバッファ層43を400℃、60min結晶成長した表面鳥瞰SEM写真は、図29(a)に示すように表され、さらに、1000℃、60min結晶成長したZnO層の表面鳥瞰SEM写真は、図29(b)に示すように表される。図29から明らかなように、r面サファイア基板41上においてもZnOバッファ層43によって、その上に堆積するHVPE法によるZnO層47の平坦化形成に効果が認められる。
図29において形成されたZnO層のX線回折測定(2theta-omega法)の測定結果は、例えば図30に示すように表される。図30に示すように、ZnO(110)のピークが観測されることから、r面サファイア基板41上には、a軸配向したZnO層47が形成される。
(半導体装置)
第1の実施の形態に係るヘテロエピタキシャル成長方法により形成されたヘテロエピタキシャル結晶構造を有する半導体装置の模式的断面構造例は、図31に示すように、異種基板40と、異種基板40上に配置されたバッファ層42と、バッファ層42上に配置され、n型不純物を不純物添加されたn型ZnO系半導体層52と、n型ZnO系半導体層52上に配置されたZnO系半導体活性層54と、ZnO系半導体活性層54上に配置され、p型不純物を不純物添加されたp型ZnO系半導体層56とを備える。
n型ZnO系半導体層52、ZnO系半導体活性層54およびp型ZnO系半導体層56は、いずれも上述のヘテロエピタキシャル結晶成長装置20および上述のハロゲン化II族金属と酸素原料を用いるヘテロエピタキシャル成長方法により形成される。
p型ZnO系半導体層56上には、p側電極60が配置され、メサエッチングにより、露出されたn型ZnO系半導体層52の表面上には、n側電極70が配置されている。p側電極60の材料としては、例えば、Ni層およびAu層の積層構造を採用することができる。また、n側電極70の材料としては、例えば、Ti層およびAu層の積層構造を採用することができる。
また、図31に示す例では、異種基板40の裏面40bは、ZnO系半導体活性層54からの光の取り出し効率を上昇するために、粗面化処理などの凸凹のランダム形状が形成されている。
なお、n型ドーピングガスによって供給するn型不純物としては、例えば、B,Ga,Al,In,またはTlのいずれかを適用することができる。
また、p型ドーピングガスによって供給するp型不純物としては、例えば、N,P,As,Sb,Bi,Li,Cuのいずれかを適用することができる。
ZnO系半導体活性層54は、例えば、MgxZn1-xO(0<x<1)からなるバリア層と、ZnOからなる井戸層が積層された多重量子井戸(MQW:Multi-Quantum Well)構造を備える。
或いは、ZnO系半導体活性層54は、CdyZn1-yO(0<y<1)からなる井戸層と、ZnOからなるバリア層が積層されたMQW構造を備えていてもよい。
量子井戸のペア数は、電子、およびホールの走行距離から決まる。すなわち、電子、およびホールの再結合発光効率が、最も良好となるZnO系半導体活性層54の所定の厚さに対応したMQWのペア数により決定する。
ここで、ZnOのバンドギャップエネルギー3.37eVに対して、MgOのバンドギャップエネルギーは、7.8eVであることから、MgxZn1-xOの組成比xを調整して、MgxZn1-xOからなるバリア層と、ZnOからなる井戸層が積層されたMQW構造を形成することができる。
一方、ZnOのバンドギャップエネルギー3.37eVに対して、CdOのバンドギャップエネルギーは、0.8eVであることから、CdyZn1-yOの組成比y調整して、CdyZn1-yOからなる井戸層と、ZnOからなるバリア層が積層されたMQW構造を形成することもできる。
異種基板40は、例えば、サファイア基板で構成される。或いはシリコン基板、SiC基板、GaAs基板、GaP基板、GaN系基板、またはScAlMgO4基板などを適用してもよい。
バッファ層42としては、酸化物の配向膜もしくは窒化物の配向膜を適用することができる。酸化物の配向膜としては、例えば、ZnOもしくはMgOを用いることができる。
窒化物の配向膜としては、例えば、AlNもしくはGaNを用いることができる。
なお、上記の半導体装置からの発光(hν)は、図31に示すように、上面方向および裏面方向から取り出すことができる。最終的なデバイス構造としては、例えば、フリップチップ化実装構造とすることで、異種基板40の裏面40bから主として発光(hν)が取り出される構成としてもよい。
本発明のヘテロエピタキシャル成長方法によれば、サファイア基板などの異種基板上へZnO系半導体結晶を800℃よりも高い温度で形成することができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
本発明のヘテロエピタキシャル成長方法は、青色領域から紫外領域までのLEDまたはレーザダイオード(LD:Laser Dioide)などの発光デバイス、受光素子や圧電素子、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、HBT(Hetero-junction bipolar Transistor)、透明電極など幅広い分野に適用することができる。
2,12…塩素ガス供給手段
3,13…キャリアガス供給手段
4,14…原料ゾーン
5,9…加熱手段
6…水供給手段
7…キャリアガス供給手段
8…成長ゾーン
10…基板保持手段
15,25…II族金属材料
16…成長基板
20…ヘテロエピタキシャル結晶成長装置
22…第1ドーピングガス供給手段
24…第2ドーピングガス供給手段
40、41…サファイア基板
40a…サファイア基板の表面
40b…サファイア基板の裏面
42、43…バッファ層
44…ZnOファセット
46、47…ZnO層
52…n型ZnO系半導体層
54…ZnO系半導体活性層
56…p型ZnO系半導体層
60…p側電極
70…n側電極

Claims (8)

  1. 異種基板上にバッファ層を形成する工程と、
    前記バッファ層上にハロゲン化II族金属と酸素原料を用いて酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程と
    を有し、
    前記酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程において、結晶成長温度は800℃以上であり、且つVI族元素とII族元素の供給比VI/IIは、1以上〜100以下であることを特徴とするヘテロエピタキシャル成長方法。
  2. 前記酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程において、反応ガスは塩化亜鉛と水であることを特徴とする請求項1に記載のヘテロエピタキシャル成長方法。
  3. 前記バッファ層を形成する工程は、前記異種基板上に、II族金属と酸素原料を用いて酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヘテロエピタキシャル成長方法。
  4. 前記バッファ層を形成する工程は、さらに熱処理、レーザ処理またはプラズマ処理を実施する工程を有することを特徴とする請求項3に記載のヘテロエピタキシャル成長方法。
  5. 前記バッファ層を形成する工程は、さらに酸化雰囲気中において、窒素ガスとともに熱処理する工程を有することを特徴とする請求項3に記載のヘテロエピタキシャル成長方法。
  6. 前記バッファ層を形成する工程において、前記II族金属と前記酸素原料は、それぞれZnと水であることを特徴とする請求項3に記載のヘテロエピタキシャル成長方法。
  7. 前記バッファ層を形成する工程と、前記酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程は、同一の装置内にて実施することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のヘテロエピタキシャル成長方法。
  8. 前記バッファ層を形成する工程において、反応ガスは亜鉛と水、前記酸化亜鉛系半導体層を結晶成長する工程において、反応ガスは塩化亜鉛と水であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のヘテロエピタキシャル成長方法。
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