JP5176603B2 - 弾性表面波デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主として移動体通信機器にて使用される表面実装型の弾性表面波デバイスおよびその製造方法に関するものである。
従来の弾性表面波デバイスは図6に示されるように、圧電基板1に設けられた櫛形電極2を樹脂からなる樹脂カバー3で覆い励振空間4を封止するとともに、樹脂カバー3の表面に外部電極5を設け、樹脂カバー3を貫通する柱状電極6を用いて外部電極5と櫛形電極2を接続する構造が知られている。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2007−208665号公報
しかしながら、このような弾性表面波デバイスにおいては、樹脂カバーが感光性樹脂で形成されるためその表面に形成される外部電極の密着強度が低くなってしまうので、弾性表面波デバイスにおける信頼性を高めることが命題となっていた。
そこで、本発明はこのような問題を解決し、弾性表面波デバイスの信頼性を向上させることを目的とする。
この目的を達成するために本発明は、圧電基板上に設けられた櫛形電極上の励振空間を覆う樹脂カバーの表面に外部電極を有する弾性表面波デバイスにおいて、樹脂カバーを形成する樹脂に無機フィラーを含有させたのである。
本発明の弾性表面波デバイスによれば、弾性表面波デバイスの信頼性を向上させることが出来るのである。
以下、本発明の一実施形態について図を用いて説明する。なお、上述した従来の弾性表面波デバイスと同様の構成については同じ符号を付して説明する。
図1は本発明の一実施形態における弾性表面波デバイスを示したものであり、その基本的な構造は、櫛形電極2およびこの櫛形電極2に接続されたパッド電極7が適宜配置された圧電基板1の主面において櫛形電極2上の励振空間4を封止する樹脂カバー8を設けた構造となっている。また、図2に示すように樹脂カバー8の表面には外部接続用の端子となる外部電極5が設けられ、この外部電極5は樹脂カバー8を貫通する柱状電極6によりパッド電極7に接続されている。
なお、圧電基板1はタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムといった圧電結晶体で構成され、この圧電基板1上に設けられた櫛形電極2やパッド電極7はアルミニウム或いはアルミニウムを主成分とする合金を用いて構成される。
また、樹脂カバー8は櫛形電極2の励振空間4を囲む内側壁9と、この内側壁9の開口を封口する天板10と、これら天板10及び内側壁9を覆う外側壁11により構成され、柱状電極6が延伸方向において内側壁9と外側壁11を貫通した構造としている。なお、内側壁9及び外側壁11は樹脂材料により形成され、天板10は金属材料で形成されている。
そして、この弾性表面波デバイスを形成する方法としては、図3に示すように、先ず、フォトリソグラフィーを用いて圧電基板1上に櫛形電極2やパッド電極7をパターン形成し、次いで感光性ポリイミド樹脂を塗布し、露光、現像して櫛形電極2の外周部分を囲むように内側壁9を形成するとともに貫通孔12を形成し、内側壁9の開口部分を銅箔10aで覆い厚膜めっき10bを施すことで天板10を形成する。
次に、天板10及び内側壁9を覆うようにレジスト層13を形成するとともに柱状電極6を形成する貫通孔12を形成する。そして、この貫通孔12に対してビアフィルめっきを施し柱状電極6を形成し、レジスト層13を除去する。その後、外側壁11を形成するエポキシ系樹脂を塗布し上面を研磨あるいは研削して柱状電極6の端面を露出させた後に外部電極5を形成する。
なお、外部電極5は樹脂カバー8との密着強度を確保するために下地層としてチタン層をスパッタリングにより形成し、その表面に銅電極層をスパッタリングにより形成している。
そして、この一実施形態の弾性表面波デバイスにおいては、外側壁11を形成するエポキシ系樹脂に酸化ケイ素からなる無機フィラー14を含有させることにより外部電極5の密着強度を高め弾性表面波デバイスの信頼性を高めているのである。
すなわち、外部電極5が設けられる樹脂カバー8の表面を形成する部分、つまり外側壁11を形成する樹脂に無機フィラー14を含有させることで、上述した外側壁11の表面を研磨あるいは研削において図4に示すように、研磨面に無機フィラー14が露出する部分15や研磨面から無機フィラー14が脱落し凹部16が多数形成されることになる。
そして、外部電極5が形成される部分に凹部16が存在することで、外側壁11の表面にスパッタリングにより形成される外部電極の接合面積が増すので密着強度が高められるのである。また、スパッタリング時に外部電極5が凹部16内に入り込むので外側壁11に対するアンカー効果も合わせて得ることが出来るのである。さらに、研磨時に形成された無機フィラー14の露出部分における外部電極5との密着強度は、外部電極5が外側壁11の樹脂表面に形成された場合の密着強度に比べ大きくなる。よって、これらの相乗効果により樹脂カバー8と外部電極5との密着強度が向上し、結果として弾性表面波デバイスの信頼性が高められるのである。
なお、このように樹脂カバー8の研磨面に無機フィラー14を露出させたり凹部16を形成することで外部電極5の密着強度を向上させるにあたっては、外側壁11における無機フィラー14の含有量が少ないと外側壁11が樹脂の弾性度の影響が大きくなり硬度不足となり、含有量が多すぎれば無機フィラー14間に介在し接合する樹脂が不足し脆くなるため、少なくとも外部電極5が設けられる樹脂カバー8における無機フィラー14の含有量は85重量パーセント〜95重量パーセントとすることが好ましい。
また、先に述べた製造方法は弾性表面波個片をベースとして説明したが、図5に示すごとく大判の圧電基板1を用いて複数の弾性表面波デバイスを一括成形し、完成した集合体をダイシングにより個片分割するものであり、ダイシングライン17を外側壁11部分に設け、弾性表面波フィルタの外周側面を同一平面とすることで、弾性表面波デバイスの生産性が高まるのである。これは、外側壁11は酸化ケイ素からなる無機フィラー14を含んだ樹脂であることから、ダイシングの際にダイシングブレード18に埋め込まれたダイヤモンド粒子間のボンド材に無機フィラー14が接触しこのボンド材を掻き取るので、ダイシングブレード18はドレスを行いながらダイシングすることになり、この結果として切削スピードのアップやメンテナンス回数の低減が可能となり生産性を高めることが出来るのである。
なお、ダイシングブレード18に含まれるダイヤモンド粒子と外側壁11に含まれる無機フィラー14の粒径を比較した場合、無機フィラー14の平均粒径をダイヤモンド粒子の平均粒径の半分より大きくすることでドレス効果を高めることができ、本実施形態においてはダイヤモンド粒子の平均粒径を10μmとし、無機フィラー14の平均粒径をその半分より大きい6μmのものを使用している。
この点については、ダイシングブレード18に埋め込まれているダイヤモンド粒子はブレード表面に突出する高さは粒径(最大頂点間距離)の半分より小さくなるので、このダイヤモンド粒子間のボンド材を効率よくドレスするためには、無機フィラー14の粒径がダイヤモンドの突出量より大きく設定することで、ダイシング時に無機フィラー14粒子がダイヤモンド粒子で破断され、ダイヤモンド粒子間に侵入しボンド材を掻き取ることになるのでドレス効率を向上させることが出来るのである。
また、このようなドレス効率の向上については、図3を用いて説明した外部電極5を形成する前工程である柱状電極6の端面を露出させる際に、研削工法を用いた場合の研削砥石に対しても同様の効果を奏するものである。
なお、上述した一実施形態では、樹脂カバー8を内側壁9、外側壁11および天板10で構成し、外部電極5が設けられる外側壁11を形成する樹脂にのみ無機フィラー14を含有させた構成を挙げて説明したが、本発明はこのような樹脂カバー8の構成に関わらず、少なくとも樹脂カバー8における外部電極5が設けられる部分を形成する樹脂に無機フィラー14を含有させることで同様の効果を得ることが出来るのである。
本発明に係る弾性表面波デバイスは、弾性表面波デバイスの信頼性を向上させることができ、主として移動体通信機器に用いられる面実装型の弾性表面波フィルタや弾性表面波デュプレクサなどの弾性表面波デバイス等において有用となるものである。
本発明の一実施形態における弾性表面波デバイスの分解斜視図 同弾性表面波デバイスの断面図 同弾性表面波デバイスの製造工程を示す模式図 同製造工程における外部電極形成を示す模式図 同製造工程における個片分割工程を示す模式図 従来の弾性表面波デバイスを示す断面図
符号の説明
1 圧電基板
2 櫛形電極
4 励振空間
5 外部電極
6 柱状電極
7 パッド電極
8 樹脂カバー
14 無機フィラー

Claims (6)

  1. 圧電基板と、この圧電基板上に設けられた櫛形電極およびパッド電極と、前記圧電基板上において前記櫛形電極上の励振空間を覆う樹脂カバーと、前記樹脂カバーの表面に設けられた外部電極と、前記樹脂カバーを貫通し前記パッド電極と前記外部電極を接続する柱状電極を備え、前記樹脂カバーを形成する樹脂は無機フィラーを含有し、前記樹脂カバーの表面は前記無機フィラーが脱落した凹部を有し、前記外部電極は前記樹脂カバーの表面において前記凹部を埋めるように形成した弾性表面波デバイス。
  2. 前記外部電極はチタンからなる下地層と、前記下地層の表面に形成した銅電極層とを有する請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
  3. 前記チタンからなる下地層および前記銅電極層はスパッタリングにより形成した請求項2に記載の弾性表面波デバイス。
  4. 圧電基板上に櫛形電極およびパッド電極を形成する工程と、前記パッド電極から上方に伸びる柱状電極を形成する工程と、前記圧電基板上において前記櫛形電極上の励振空間を覆う樹脂カバーを形成する工程と、前記樹脂カバーの上面を研削して前記柱状電極の上端面を露出させる工程と、前記柱状電極に接続される外部電極を前記樹脂カバーを研削した上面に設ける工程とを有する弾性表面波デバイスの製造方法において、前記樹脂カバーを構成する樹脂は無機フィラーを含有し、前記樹脂カバーの研削した上面は前記無機フィラーが脱落した凹部を有し、前記外部電極を形成する工程は、前記樹脂カバーの研削した上面にチタンからなる下地層をスパッタリングにより形成する工程と、前記下地層の表面に銅電極層をスパッタリングにより形成する工程とを含む弾性表面波デバイスの製造方法。
  5. 圧電基板上に櫛形電極およびパッド電極を形成する工程と、前記パッド電極から上方に伸びる柱状電極を形成する工程と、前記圧電基板上において前記櫛形電極上の励振空間を覆う樹脂カバーを形成する工程と、前記柱状電極に接続される外部電極を前記樹脂カバーの表面に設ける工程と、ダイヤモンド粒子を含有するダイシングブレードを用いて前記圧電基板を前記樹脂カバーとともにダイシングする工程とを有する弾性表面波デバイスの製造方法において、前記樹脂カバーを構成する樹脂は酸化ケイ素からなる無機フィラーを含有し、前記無機フィラーの平均粒径を前記ダイヤモンド粒子の平均粒径の半分より大きくした弾性表面波デバイスの製造方法。
  6. 前記樹脂カバーにおける前記無機フィラーの含有量を85〜95重量パーセントとした請求項5に記載の弾性表面波デバイスの製造方法。
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