JP5174758B2 - 圧粉磁心及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態の圧粉磁心の製造方法は、次のような各工程を有する。
(1)非晶質軟磁性合金粉末と、低融点ガラス粉末と、潤滑性樹脂とを混合する第1の混合工程。
(2)混合工程を経た混合物を結着性絶縁樹脂とで被覆する被覆工程。
(3)被覆工程を経た混合物と潤滑性樹脂を混合する第2の混合工程。
(4)第2の混合工程を経た混合物を、加圧成形処理して成形体を作製する成形工程。
(5)成形工程を経た成形体を焼鈍処理する焼鈍工程。
以下、各工程を具体的に説明する。
第1の混合工程では、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が365〜440度の低融点ガラスと、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛0.5wt%とを混合機(V型混合機)を使用して混合する。非晶質軟磁性合金粉末として、Si成分が6.7%、B成分が2.5%、Cr成分が2.5%、C成分が0.75%、残り成分がFeであるFe基非晶質軟磁性合金粉末を使用した。表1は、本実施例で使用したガラスの粉末の種類、成分及び特性をあらわした表である。この表の中で、この表の中でガラス粉末の特性として、平均粒度、線膨張係数、ガラス転移点、軟化点、比重について記載した。
被覆工程では、混合工程を経た混合物を結着性絶縁樹脂で被覆する。すなわち、混合工程を経た混合物に結着性絶縁樹脂としてアクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンを2.0wt%混合して、120℃で2時間乾燥後する。ここで添加するアクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンは、種々の架橋剤・諸物性付与剤を配合したソープフリーコロイド状のエマルジョンであり結着性絶縁樹脂として作用する。すなわち、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンは、加熱乾燥により水分を蒸発させると、水に再溶解せず、殆ど吸湿性がない架橋構造を持った被膜を形成する。この被膜は粘着性があり、成形時のバインダーとして最適に作用する。また、結着性絶縁樹脂としては、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンの他に、ポリプロピレン(PP)エマルジョン、ポリエチレン(PE)エマルジョン、エチレン系共重合樹脂のエマルジョンなどを使用することができる。
前記被覆工程を経た混合物に潤滑性樹脂を混合する第2混合工程では、結着性絶縁樹脂を被覆した第1の混合物に潤滑性樹脂を混合する。前記被覆工程を経た混合物に対して、潤滑性樹脂として0.2wt%のステアリン酸亜鉛を混合機(V型混合機)を使用して混合する。ここで潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を添加することにより、非晶質軟磁性合金粉末同士の滑りを良く出来るので、混合時の密度を向上することができ成形密度を高くすることができる。さらに、成形時の上パンチの抜き圧低減、金型と粉末の接触によるコア壁面の縦筋の発生を防止することが可能である。
第2混合工程を経た混合物を、加圧成形処理して成形体を作製する成形工程では、潤滑性樹脂を混合した第2の混合物を加圧成形する。前記第2混合工程を経た第2混合物に対して、室温にて成形圧力1500MPaで加圧成形することにより、成形体を形成する。この時、加圧乾燥された結着性絶縁樹脂は、成形時のバインダーとして作用する。
焼鈍工程では、前記成形体に対して焼鈍処理を行うことで圧粉磁心が作製される。この焼鈍工程は、図1に示すように第1〜第3の3つの領域に分かれる。
[1.測定項目]
測定項目として、圧環強度と透磁率とコアロスを次のような手法により測定する。圧環強度は、JIS 2507に基づき測定した。透磁率は、作製された圧粉磁心に1次巻線(20ターン)を施し、インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー:4294A)を使用することで、100kHz、0.5Vにおけるインダクタンスから算出した。
第1の特性比較では、非晶質軟磁性合金粉末と混合するガラス粉末の添加量の比較を行った。本特性比較で使用する試料は、平均粒径が150μm以下の非晶質軟磁性合金粉末に対して、下記の処理を行うことにより作製した。また、添加するガラス粉末としては、表1に記載したビスマス系1及びリン酸系1のガラス粉末を利用した。
項目Bでは、比較例4〜6及び実施例5〜8として、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が406℃の低融点ガラス(ビスマス系1)を3.0wt%と、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.5wt%とをV型混合機で2時間混合した。その後、シランカップリング剤を0.5wt%と混合し、結着性絶縁樹脂として、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョン溶液を2.0wt%混合し、120℃で2時間乾燥後、篩通し(目開き300μm)を行った。
項目Cでは、比較例7,8及び実施例9〜13として、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が365℃の低融点ガラス(リン酸系1)を1.0wt%と、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.5wt%とをV型混合機で2時間混合した。その後、結着性絶縁樹脂として、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョン溶液を2.0wt%混合し、120℃で2時間乾燥後、篩通し(目開き300μm)を行った。
第2の特性比較では、非晶質軟磁性合金粉末に添加するガラスの種類の比較を行った。本特性比較で使用する試料は、平均粒径が150μm以下の非晶質軟磁性合金粉末に対して、下記の処理を行うことにより作製した。また、添加する低融点ガラスとしては、表1に記載したビスマス系1〜3及びリン酸系1のガラス粉末を利用した。
本発明は、前記の実施例に限定されるものではない。以下のような他の実施例も包含する。
(a)本実施例において使用した潤滑性樹脂は、ステアリン酸亜鉛の他にエチレンビスステアラマイト、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミまたはステアリン酸亜鉛などのワックスとすることができる。潤滑性樹脂を添加することにより、非晶質軟磁性粉末同士の滑りを良く出来るので、混合時の密度を向上することができ成形密度を高くすることができる。
(b)本発明は、上記のような実施例において作製された圧粉磁心に限定されるものではなく、この圧粉磁心にコイルを巻回することによりチョークコイルを作製する実施形態も包含する。これにより、上述したような第1〜21の実施例において得られた効果を当該チョークコイルにおいても同様に奏することが可能となる。
Claims (8)
- 非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度より低いガラス粉末と、潤滑性樹脂とを混合し、その混合物を結着性絶縁樹脂で被覆し、表面を被覆した混合物を加圧成形処理して成形体を作製し、
前記成形体を大気中で脱脂し、非酸化性雰囲気中で焼鈍し、大気中で冷却してなる圧粉磁心において、
焼鈍時の温度は、前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度以下であり、
非酸化雰囲気であった雰囲気を大気に切り換える温度は、焼鈍時の温度以下且つ前記ガラス粉末の軟化点以上の温度であることを特徴とする圧粉磁心。 - 前記非酸化雰囲気であった雰囲気を大気に切り換える温度を一定時間保持することを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
- 前記非晶質軟磁性合金粉末が、平均粒径が異なる2種類以上の非晶質軟磁性合金粉末を均一に分散させたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧粉磁心。
- 前記ガラス粉末が、平均粒子径0.9〜5.0μmのビスマス系ガラス又はリン酸系ガラスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧粉磁心。
- 非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度より低いガラス粉末を混合し、潤滑性樹脂を混合する混合工程と、
前記混合工程を経た混合物を結着性絶縁樹脂で被覆する被覆工程と、
前記被覆工程を経た表面を被覆した混合物を加圧成形処理して成形体を作製する成形工程と、
前記成形工程を経た成形体を焼鈍処理する焼鈍工程とを有する圧粉磁心の製造方法において、
前記焼鈍工程は、
大気中で脱脂を行う第1領域と、非酸化性雰囲気中で焼鈍を行う第2領域と、大気中で冷却を行う第3領域とからなり、
第2領域の焼鈍時の温度は、前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度以下であり、
第3領域の非酸化雰囲気であった雰囲気を大気に切り換える温度は、第2領域での焼鈍温度以下且つ前記ガラス粉末の軟化点以上の温度であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。 - 前記第3領域の非酸化雰囲気であった雰囲気を大気に切り換える温度を一定時間保持することを特徴とする請求項5に記載の圧粉磁心の製造方法。
- 前記非晶質軟磁性合金粉末が、平均粒径が異なる2種類以上の非晶質軟磁性合金粉末を均一に分散させたものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の圧粉磁心の製造方法。
- 前記ガラス粉末が、平均粒子径0.9〜5.0μmのビスマス系ガラス又はリン酸系ガラスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の圧粉磁心の製造方法。
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