JP2011038133A - 圧粉磁心及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化性雰囲気中で熱処理を行う場合、非晶質合金粉末の表面の結晶化による磁気特性の低下を防止するとともに、機械的強度に優れた圧粉磁心を提供する。
【解決手段】第1の混合工程では、粒径が150μm以下の非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が406度の低融点ガラスと、ステアリン酸亜鉛とをV型混合機を使用して混合する。被覆工程では、第1の混合工程を経た混合物をアクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンを2.0wt%とを混合する。第2混合工程では、被覆工程を経た混合物に対して、0.2wt%のステアリン酸亜鉛を混合する。成形工程では、潤滑性樹脂を混合した混合物を加圧成形する。焼鈍工程では、大気中において、成形体に対して大気中で、350℃以下の温度で加熱を行う。その後、非酸化雰囲気で焼鈍を行う。その後、大気中でガラスの軟化点以上且つ焼鈍温度以下の温度で冷却を行うことで圧粉磁心を作製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチング電源等に用いられる平滑用チョークコイル等の磁心の製造方法およびその磁心に関する。
高周波で用いられるチョークコイルとして、フェライト磁心や圧粉磁心が使用されている。これらの中で、フェライト磁心は飽和磁束密度が小さいという欠点を有している。これに対して、金属合金粉末を成形して作製される圧粉磁心は、軟磁性フェライトに比べて高い飽和磁束密度を持つため、直流重畳特性に優れている。
この金属合金粉末として、珪素とアルミと鉄の合金であるセンダスト、ニッケルと鉄の合金であるパーマロイ、珪素と鉄の合金である珪素鋼等が用いられている。また、より低損失な合金として、非晶質軟磁性合金であるアモルファス合金を使用することが検討されている。
この非晶質合金粉を用いて磁気特性に優れた圧粉磁心を作製するためには、特許文献1のように、非晶質粉末の結晶化温度より低い低融点ガラスを固着させ、ホットプレス法で温度400〜480℃、圧力1G〜2GPaの高圧力で高密度成形を行う方法や、特許文献2のように、非晶質軟磁性合金粉末の一部を水素雰囲気中で脆化処理を行う方法が知られている。
特公平10−212503号公報 特開2006−176817号公報
しかしながら、特許文献1及び2の方法で作製される圧粉磁心は、高い磁気特性を得るために非酸化性雰囲気中にて熱処理を行うので、十分な強度を得ることができない。そのため作製した圧粉磁心の機械的強度が低くなり、その後の後工程(巻線、実装)でコアが破損する問題点があった。
一方、非晶質軟磁性合金粉末に対して酸化性雰囲気中で熱処理を行うと、非晶質合金粉末の表面には、数十nm厚の酸化ホウ素(B酸化ボロン)および酸化ケイ素(SiO2)層が形成される。これらの酸化層の直下では、低B成分領域及び低Si成分領域が存在する。特に低B成分領域は、結晶化温度が200℃以下に低下するので、極めて結晶化し易い領域となる。このため、酸化性雰囲気中で熱処理を行うと非晶質合金の表面で結晶化が起こり磁気特性が著しく低下するという問題点があった。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、その目的は、酸化性雰囲気中で熱処理を行った場合でも非晶質合金粉末表面の結晶化を防止することにより、磁気特性の低下を防止するとともに、機械的強度に優れた圧粉磁心とその製造方法を提供することである。
前記の目的を達成するために、本発明の圧粉磁心は、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度より低いガラスと、潤滑性樹脂とを混合し、その混合物を結着性絶縁樹脂で被覆し、表面を被覆した混合物を加圧成形処理して成形体を作製し、その成形体を大気中で脱脂し、非酸化性雰囲気中で焼鈍し、大気中で冷却してなるものであり、焼鈍時の温度は、非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度以下であり、冷却時の温度は、焼鈍時の温度以下且つ前記ガラス粉末の軟化点以上の温度であることを特徴とする。
なお、磁気特性と機械的強度を高めるために、前記冷却時の温度を一定時間保持したり、前記非晶質軟磁性合金粉末を、平均粒径が異なる2種類以上の非晶質軟磁性合金粉末を均一に分散させたものとしたり、前記ガラス粉末を、平均粒子径0.9〜5.0μmのビスマス系ガラス又はリン酸系ガラスとしたりした圧粉磁心も本発明の一態様である。
本発明によれば、非晶質軟磁性合金粉末にガラス粉末を混合して作製した成形体を窒素雰囲気中で焼鈍し、その後の冷却過程をガラスの軟化点以上の温度で大気中にて行うことにより、ガラスの機械的強度を増加させる。また、非晶質軟磁性合金粉末の表面が酸化することで、ガラスとの密着強度が増加する。これにより、磁気特性の低下を防止するとともに、機械的強度に優れた圧粉磁心とその製造方法を提供する。
本発明の実施例において、焼鈍工程の第3領域で冷却温度を保持した場合の温度の変化及び各領域の大気の種類を示したグラフ。 本発明の実施例において、焼鈍工程の第3領域で冷却温度を保持しない場合の温度の変化及び各領域の大気の種類を示したグラフ。 本発明の実施例において、焼鈍工程の第3領域へガラスの軟化点より低い温度で切り換えた場合のグラフ。
[1.製造工程]
本実施形態の圧粉磁心の製造方法は、次のような各工程を有する。
(1)非晶質軟磁性合金粉末と、低融点ガラス粉末と、潤滑性樹脂とを混合する第1の混合工程。
(2)混合工程を経た混合物を結着性絶縁樹脂とで被覆する被覆工程。
(3)被覆工程を経た混合物と潤滑性樹脂を混合する第2の混合工程。
(4)第2の混合工程を経た混合物を、加圧成形処理して成形体を作製する成形工程。
(5)成形工程を経た成形体を焼鈍処理する焼鈍工程。
以下、各工程を具体的に説明する。
(1)第1の混合工程
第1の混合工程では、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が365〜440度の低融点ガラスと、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛0.5wt%とを混合機(V型混合機)を使用して混合する。非晶質軟磁性合金粉末として、Si成分が6.7%、B成分が2.5%、Cr成分が2.5%、C成分が0.75%、残り成分がFeであるFe基非晶質軟磁性合金粉末を使用した。表1は、本実施例で使用したガラスの粉末の種類、成分及び特性をあらわした表である。この表の中で、この表の中でガラス粉末の特性として、平均粒度、線膨張係数、ガラス転移点、軟化点、比重について記載した。
Figure 2011038133
表1に記載の通り、各ガラス粉末の融点は365〜440℃である。ここで添加した低融点ガラスは、軟化点より高い温度まで加熱すると、軟化して流動性を呈する。この時に、周囲が酸化雰囲気であると酸素Oを内部に取り込んで密着力が高くなる。この流動性を呈した低融点ガラスが、非晶質軟磁性合金粉末の粒子間の隙間を埋めるように侵入することにより、圧粉磁心の成形密度が高くなる。このガラス粉末は、成形した圧粉磁心においては、強固なバインダーとして機能し、圧粉磁心に機械的強度を与える。さらに、非晶質軟磁性合金粉末間の絶縁剤としても機能することにより、渦電流の発生を防止し、抑制する。
また、ガラス粉末の平均粒径は0.9〜5.0μmの範囲が望ましい。平均粒径が0.9μmより小さくなると、非晶質軟磁性合金粉末に対して、ガラス粉末が小さくなりすぎ、非晶質軟磁性合金粉末同士の接触を十分に防止することが困難になり、渦電流の発生を十分に防止、抑制することが困難となる。また、ガラス粉末の平均粒径が5.0μmより大きくなっても、非晶質軟磁性合金粉末同士の接触を十分に防止することが困難になり、渦電流の発生を十分に防止、抑制することが困難となる。
非晶質軟磁性合金粉末は、平均粒径が30〜100μmの第1の非晶質軟磁性合金粉末と、前記第1の非晶質軟磁性合金粉末より平均粒径が小さい1〜15μmの第2の非晶質軟磁性合金粉末を混合したものでも良い。第1の粉末にそれより平均粒径の小さい第2の粉末を加えることにより、成形時に第1の粉末の隙間が第2の粉末で埋められ、成形密度が高くなる。ここで、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を添加することにより、非晶質軟磁性合金粉末同士の滑りを良く出来るので、混合時の密度を向上することができ成形密度を高くすることができる。
(2)被覆工程
被覆工程では、混合工程を経た混合物を結着性絶縁樹脂で被覆する。すなわち、混合工程を経た混合物に結着性絶縁樹脂としてアクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンを2.0wt%混合して、120℃で2時間乾燥後する。ここで添加するアクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンは、種々の架橋剤・諸物性付与剤を配合したソープフリーコロイド状のエマルジョンであり結着性絶縁樹脂として作用する。すなわち、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンは、加熱乾燥により水分を蒸発させると、水に再溶解せず、殆ど吸湿性がない架橋構造を持った被膜を形成する。この被膜は粘着性があり、成形時のバインダーとして最適に作用する。また、結着性絶縁樹脂としては、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンの他に、ポリプロピレン(PP)エマルジョン、ポリエチレン(PE)エマルジョン、エチレン系共重合樹脂のエマルジョンなどを使用することができる。
また、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョンを混合する前に、シランカップリング剤を混合してもよい。シランカップリング剤を添加することで、非晶質軟磁性粉末の表面にシリカ(SiO)層を形成する。このシリカ層は非晶質軟磁性合金粉末の表面に残り、非晶質軟磁性粉末の表面の結晶化を防止する。これにより、圧粉磁心の透磁率を増加することができる。
(3)第2混合工程
前記被覆工程を経た混合物に潤滑性樹脂を混合する第2混合工程では、結着性絶縁樹脂を被覆した第1の混合物に潤滑性樹脂を混合する。前記被覆工程を経た混合物に対して、潤滑性樹脂として0.2wt%のステアリン酸亜鉛を混合機(V型混合機)を使用して混合する。ここで潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を添加することにより、非晶質軟磁性合金粉末同士の滑りを良く出来るので、混合時の密度を向上することができ成形密度を高くすることができる。さらに、成形時の上パンチの抜き圧低減、金型と粉末の接触によるコア壁面の縦筋の発生を防止することが可能である。
第1及び第2混合工程で使用する潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を使用したが、ステアリン酸亜鉛の他にもステアリン酸及びその金属塩ならびにエチレンビスステアラマイドなどのワックスを使用しても良い。潤滑性樹脂は、前述の通り粉末同士の滑りを良くすることや、金型と成形体の滑りを良くする作用がある。
(4)成形工程
第2混合工程を経た混合物を、加圧成形処理して成形体を作製する成形工程では、潤滑性樹脂を混合した第2の混合物を加圧成形する。前記第2混合工程を経た第2混合物に対して、室温にて成形圧力1500MPaで加圧成形することにより、成形体を形成する。この時、加圧乾燥された結着性絶縁樹脂は、成形時のバインダーとして作用する。
(5)焼鈍工程
焼鈍工程では、前記成形体に対して焼鈍処理を行うことで圧粉磁心が作製される。この焼鈍工程は、図1に示すように第1〜第3の3つの領域に分かれる。
第1領域は、脱バイ(脱脂)を目的して、大気中において、350℃以下の温度になるように加熱を行う。この時、350℃を超えると非晶質軟磁性合金粉末が酸化することにより、磁気特性の低下してしまう。
第2領域では、焼鈍を目的として、窒素雰囲気などの非酸化雰囲気において、成形体を焼鈍温度になるよう加熱を行う。この第2領域での加熱により、成形体を焼鈍し成形時の応力除去をすることができる。
第3領域では、ガラス強化を目的とし、大気中において、第2領域で焼鈍温度まで加熱した成形体をガラスの軟化点以上且つ焼鈍温度以下の温度になるように冷却を行う。すなわち、第3領域では、成形体の温度がガラスの軟化点以上且つ焼鈍温度以下の温度のうちに、第2領域で非酸化雰囲気であった雰囲気を大気などの酸化雰囲気に切り換える。これにより、成形体が大気などの酸化性雰囲気中で冷却されるため、成形体に混合したガラスが酸素Oを内部に取り込むことにより強度を高くすることができる。
また、図2に示すように、第3領域での成形体を大気などの酸化性雰囲気中で冷却中に、成形体の温度を一定に保ってもよい。これにより、ガラスが軟化し流動性がある状態を長く維持することができるので、ガラスの内部に酸素Oを取り込む時間が増えるため、圧粉磁心の強度よりを高くすることができる。
一方、図3に示すように、ガラスの軟化点以下の温度で窒素雰囲気と酸化雰囲気の切替を行うと、ガラスの流動性が失われた状態で酸化雰囲気に切り換ることになる。従って、ガラス内部に酸素Oを取り込むことができないので、十分な強度を得ることができない。
本発明の実施例1〜15を、表2,3を参照して、以下に説明する。
[1.測定項目]
測定項目として、圧環強度と透磁率とコアロスを次のような手法により測定する。圧環強度は、JIS 2507に基づき測定した。透磁率は、作製された圧粉磁心に1次巻線(20ターン)を施し、インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー:4294A)を使用することで、100kHz、0.5Vにおけるインダクタンスから算出した。
コアロスは、圧粉磁心に1次巻線及び2次巻線を施し、磁気計測機器であるBHアナライザ(岩通計測株式会社:SY−8232)を用いて、周波数100kHz、最大磁束密度Bm=0.1Tの条件下で測定した。
[2.第1の特性比較(ガラスの添加量の比較)]
第1の特性比較では、非晶質軟磁性合金粉末と混合するガラス粉末の添加量の比較を行った。本特性比較で使用する試料は、平均粒径が150μm以下の非晶質軟磁性合金粉末に対して、下記の処理を行うことにより作製した。また、添加するガラス粉末としては、表1に記載したビスマス系1及びリン酸系1のガラス粉末を利用した。
項目Aでは、比較例1〜3及び実施例1〜4として、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が406℃の低融点ガラス(ビスマス系1)を3.0wt%と、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.5wt%とをV型混合機で2時間混合した。その後、結着性絶縁樹脂として、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョン溶液を2.0wt%混合し、120℃で2時間乾燥後、篩通し(目開き300μm)を行った。
項目Bでは、比較例4〜6及び実施例5〜8として、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が406℃の低融点ガラス(ビスマス系1)を3.0wt%と、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.5wt%とをV型混合機で2時間混合した。その後、シランカップリング剤を0.5wt%と混合し、結着性絶縁樹脂として、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョン溶液を2.0wt%混合し、120℃で2時間乾燥後、篩通し(目開き300μm)を行った。
項目Cでは、比較例7,8及び実施例9〜13として、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が365℃の低融点ガラス(リン酸系1)を1.0wt%と、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.5wt%とをV型混合機で2時間混合した。その後、結着性絶縁樹脂として、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョン溶液を2.0wt%混合し、120℃で2時間乾燥後、篩通し(目開き300μm)を行った。
これらの項目A〜Cの試料に対して、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.2wt%を混合機(V型混合機)を使用して2時間混合した。その後、1500MPaの圧力で加圧成形し、外径16mm、内径8mm、高さ5mmのリング状の成形体を作製し、大気中又は窒素雰囲気中で30分間焼鈍を行った。その後の大気中または窒素雰囲気中で冷却を行うことにより圧粉磁心を作製した。
表2は、この項目A〜Cについて、比較例1〜8及び実施例1〜13として成形体の焼鈍工程における焼鈍条件と圧粉磁心の特性について示した表である。この表の中で、圧粉磁心の特性として、相対密度、透磁率、コアロス(Pcv)、成形体強度について測定した。
Figure 2011038133
表2の項目Aの比較例1と比較例2を比較すると、焼鈍工程の第2領域の焼鈍を大気中から窒素雰囲気に切り換えて行った比較例1と、焼鈍工程の第2領域の焼鈍を大気中で行った比較例2とでは、比較例2は比較例1より、強度が上昇するが透磁率が低下していることが判る。
比較例1の強度は8MPa、比較例2の強度は40MPaであり、比較例2の強度は比較例1の強度の5倍である。また、比較例1の透磁率の89、比較例2の透磁率は51であり、比較例2の透磁率は比較例1の透磁率より38低くなっている。すなわち、焼鈍を窒素雰囲気で行うと、透磁率に優れるが強度が低くなる。一方、焼鈍を大気中で行うと強度が優れるが透磁率が低くなることが判る。
表2の項目Aの比較例1と実施例1とを比較すると、焼鈍工程の第2領域の焼鈍を窒素雰囲気で比較例1と、焼鈍工程の第2領域の焼鈍を窒素雰囲気で行い、第3領域の冷却を窒素雰囲気から大気中に切り換えて冷却を行った実施例1とでは、実施例1は比較例1より、強度が上昇するが透磁率が低下していることが判る。
比較例1の強度は8MPa、実施例1の強度は40MPaであり、実施例1の強度は比較例1の強度の5倍である。また、比較例1の透磁率の89、実施例1の透磁率は64であり、実施例1の透磁率は比較例1の透磁率より25低くなっており、比較例1と比較例2の透磁率の差よりも少なくなっていることが判る。すなわち、焼鈍を窒素雰囲気で行い、冷却を窒素雰囲気から大気中に切り換えて行うことで、焼鈍を大気中で行った場合に比べて、同じ強度で透磁率が高くなることが判る。
表2の項目Aの実施例1〜4及び比較例3を比較すると、実施例1〜4からは、焼鈍を窒素雰囲気で行い、冷却を窒素雰囲気から大気中に切り換えて行った場合、冷却時の温度の低下に伴い、透磁率は上昇するが強度は低下することが判る。一方、比較例3からは、第3領域の冷却の温度が添加したガラス粉末の軟化点を下回ると、冷却を窒素雰囲気から大気中に切り換えて冷却を行っても、効果が無いことが判る。
表2の項目Bの実施例5〜8からは、焼鈍を窒素雰囲気で行い、その後冷却をガラスの軟化点以上の温度の大気中で冷却を行うことで、焼鈍を窒素雰囲気で行った場合に比べて、同じ強度で透磁率が高くなることが判る。また、項目Aの実施例1〜4と比較することで、シランカップリング剤を使用を使用すると、透磁率を上昇させることが判る。
表2の項目Cの実施例9〜13と項目Aの実施例1〜4及び比較例3とを比較すると、軟化点が低いリン酸系ガラスを使用した実施例9〜13では、冷却温度が低くてもガラスの軟化点以上であれば、強度を高くしつつ透磁率の低下を低減させることが判る。
以上より、焼鈍を窒素雰囲気で行い、その後冷却をガラスの軟化点以上の温度の大気中で行うことで、酸化性雰囲気中で熱処理を行う場合、非晶質合金粉末の表面の結晶化による磁気特性の低下を防止するとともに、機械的強度に優れた圧粉磁心とその製造方法を提供することできる。
[3.第2の特性比較(非晶質軟磁性合金粉末に添加するガラスの種類の比較)]
第2の特性比較では、非晶質軟磁性合金粉末に添加するガラスの種類の比較を行った。本特性比較で使用する試料は、平均粒径が150μm以下の非晶質軟磁性合金粉末に対して、下記の処理を行うことにより作製した。また、添加する低融点ガラスとしては、表1に記載したビスマス系1〜3及びリン酸系1のガラス粉末を利用した。
項目D〜Gでは実施例2,10,14,15として、非晶質軟磁性合金粉末と、粒径が0.9〜4.7μmの低融点ガラス(ビスマス系1〜3,リン酸系1)を1.0〜3.0wt%と、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.5wt%とをV型混合機で2時間混合した。その後、結着性絶縁樹脂として、アクリル酸共重合樹脂(EAA)エマルジョン溶液を2.0wt%混合し、120℃で2時間乾燥後、篩通し(目開き300μm)を行った。
この項目D〜Gの試料に対して、潤滑性樹脂としてステアリン酸亜鉛を0.2wt%を混合機(V型混合機)を使用して2時間混合した。その後、1500MPaの圧力で加圧成形し、外径16mm、内径8mm、高さ5mmのリング状の成形体を作製し、窒素雰囲気中で30分間焼鈍を行い圧粉磁心を作製した。その後の大気中で冷却を行うことにより圧粉磁心を作製した。窒素雰囲気中で焼鈍を行う場合の保持時間は30分とした。
表3は項目D〜Gについて、実施例2,10,14,15として焼鈍工程の第1領域(脱脂)、第2領域(焼鈍)、第3領域(冷却)の条件と圧粉磁心の特性について示した表である。この表の中で圧粉磁心の特性として、相対密度、透磁率、コアロス(Pcv)、成形体強度について測定した。
Figure 2011038133
表3の実施例2,10,14,15からは、ガラスの粒径が0.9〜4.7μmの場合でも、圧粉磁心の強度は20MPa以上となることが判る。すなわち、ガラス粉末の平均粒子が5.0μmより大きくなると、非晶質軟磁性合金粉末の粒子間のバインダーとして機能にくくなり、圧粉磁心の機械的強度の低下をまねくことが判る。
以上より、粒径が0.9〜5.0μmのガラス粉末を利用し、焼鈍を窒素雰囲気で行い、その後冷却をガラスの軟化点以上の温度の大気中で冷却を行うことで、酸化性雰囲気中で熱処理を行う場合の非晶質合金粉末の表面の結晶化による磁気特性の低下を防止するとともに、機械的強度に優れた圧粉磁心とその製造方法を提供することできる。
[他の実施例]
本発明は、前記の実施例に限定されるものではない。以下のような他の実施例も包含する。
(a)本実施例において使用した潤滑性樹脂は、ステアリン酸亜鉛の他にエチレンビスステアラマイト、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミまたはステアリン酸亜鉛などのワックスとすることができる。潤滑性樹脂を添加することにより、非晶質軟磁性粉末同士の滑りを良く出来るので、混合時の密度を向上することができ成形密度を高くすることができる。
(b)本発明は、上記のような実施例において作製された圧粉磁心に限定されるものではなく、この圧粉磁心にコイルを巻回することによりチョークコイルを作製する実施形態も包含する。これにより、上述したような第1〜21の実施例において得られた効果を当該チョークコイルにおいても同様に奏することが可能となる。

Claims (8)

  1. 非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度より低いガラス粉末と、潤滑性樹脂とを混合し、その混合物を結着性絶縁樹脂で被覆し、表面を被覆した混合物を加圧成形処理して成形体を作製し、
    前記成形体を大気中で脱脂し、非酸化性雰囲気中で焼鈍し、大気中で冷却してなる圧粉磁心において、
    焼鈍時の温度は、前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度以下であり、
    冷却時の温度は、焼鈍時の温度以下且つ前記ガラス粉末の軟化点以上の温度であることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記冷却時の温度を一定時間保持することを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記非晶質軟磁性合金粉末が、平均粒径が異なる2種類以上の非晶質軟磁性合金粉末を均一に分散させたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記ガラス粉末が、平均粒子径0.9〜5.0μmのビスマス系ガラス又はリン酸系ガラスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧粉磁心。
  5. 非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度より低いガラス粉末を混合し、潤滑性樹脂を混合する混合工程と、
    前記混合工程を経た混合物を結着性絶縁樹脂で被覆する被覆工程と、
    前記被覆工程を経た表面を被覆した混合物を加圧成形処理して成形体を作製する成形工程と、
    前記成形工程を経た成形体を焼鈍処理する焼鈍工程とを有する圧粉磁心の製造方法において、
    前記焼鈍工程は、
    大気中で脱脂を行う第1領域と、非酸化性雰囲気中で焼鈍を行う第2領域と、大気中で冷却を行う第3領域とからなり、
    第2領域の焼鈍時の温度は、前記非晶質軟磁性合金粉末の結晶化温度以下であり、
    第3領域の冷却時の温度は、第2領域での焼鈍温度以下且つ前記ガラス粉末の軟化点以上の温度であることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記第3領域の冷却時の温度を一定時間保持することを特徴とする請求項5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記非晶質軟磁性合金粉末が、平均粒径が異なる2種類以上の非晶質軟磁性合金粉末を均一に分散させたものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の圧粉磁心の製造方法。
  8. 前記ガラス粉末が、平均粒子径0.9〜5.0μmのビスマス系ガラス又はリン酸系ガラスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の圧粉磁心の製造方法。
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