JP5173240B2 - 顎歯模型用軟質再現歯牙 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科医師を目指す学生が、口腔内作業を体験し、治療の練習をする顎歯模型用に用いる歯牙である。具体的には支台歯形成、窩洞形成等の形体付与を体験する為に用いる歯牙の製造方法に関する。
口腔内治療練習用の顎歯模型用の歯牙は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂で製造されることが多く、一般に普及している。
しかし、エポキシ樹脂、メラミン樹脂では切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。具体的には、天然歯は硬いために思った様に切削できない傾向にあり、更にデンチン部分は硬いが、エナメル部分は更に硬い構造となっている為、エポキシ樹脂、メラミン樹脂は軟らかく切削を多くしてしまう傾向にある。その結果、強く削ってしまい、上手く形体を作れないことも発生する可能性がある。
もう少し、硬い材料を求められた結果、コンポジットタイプのものが市販されている。コンポジットタイプの歯牙であっても、デンチン部分とエナメル部分が同一の切削感であるから、天然歯と切削感が異なり、支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。分かりやすい表現では滑る感覚があり、天然歯とは大きく違う切削感である。
実開平1‐90068には、エナメル質層に金雲母結晶[NaMg3(Si3AlO10)F2]およびリチア・アルミナ・シリカ系結晶(Li2O・Al2O3・2SiO2,Li2O・Al2O3・4SiO2)が同時に析出したビッカース硬さ350〜450に制御されたガラス・セラミックスから構成され、歯根層には、ポリオール(主剤)に白色・赤色および黄色の着色剤を加え、さらにイソシアネートプレポリマー(硬化剤)を混入してシリコーンゴム母型に真空下で注入して、常温で硬化させ事前に準備をし、エナメル質層と歯根層との間に介在し、両者を合着している象牙質認識層はオペーク色を呈した接着性レジンで形成されていることが示している。
しかしながら、エナメル質層が金雲母結晶やリチア・アルミナ・シリカ系結晶にて構成されたものでは天然歯に比べ、切削感が硬すぎるため使用に耐える物ではなく、更に象牙質認識層は接着性レジンで形成されている為、接着剤の切削感が柔らかすぎる為、使用に耐える物ではなかった。
特開平5−224591には、天然歯と極めて類似した切削性を有し、歯科教育切削実習用として好適な歯牙模型を提供することが示されている。主要構成成分として、無機物粉体と架橋型樹脂とを、重量比で20%対80%乃至70%対30%の割合で含有している。
本発明の歯牙模型を構成する無機物粉体としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、等々が紹介され、上記化合物に限定されるものではなく、各種の無機物粉体を用いることができる。
しかし、天然歯と切削感が異なることから支台歯形成や窩洞形成の練習をしても実際の口腔内での作業をした場合では異なる切削感、作業性から当惑する事が多かった。また、無機物粉末体の開示のみである。特に天然歯独特の粘り気を有する歯牙を求める要望があり、また、エナメル部分とデンチン部分の切削性の違いを示せる歯牙模型ではなかった。
特開平5−216395には、天然歯と極めて類似した切削性を有し、歯科教育切削実習用として好適な歯牙模型及びその製造方法を提供することが紹介されている。歯牙模型の主要構成成分として、気孔率が40〜80%のヒドロキシアパタイト粉末と、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂とを、重量比で20%対80%乃至50%対50%の割合で含有しているものである。
従来の歯牙模型は、切削性において満足できる状況にない。従って、天然歯と切削性において類似する歯牙模型の開発が望まれていることが示されているものの、十分な切削感を示すものではなかった。特に天然歯独特の粘り気を有する歯牙を求める要望があり、また、エナメル部分とデンチン部分の切削性の違いを示せる歯牙模型ではなかった。
特開平5−224591には、歯科医学生の歯周疾患治療実習に最適に用いることができる歯牙模型を提供する。構成として歯牙模型は、歯冠部の少なくとも表面がヌープ硬度70以上を有し、歯根部の少なくとも表面がヌープ硬度10〜40を有するものである。
本文中に「歯牙模型の作製法及び経済的な観点から如何なる硬度の素材、例えば金属、セラミクス、樹脂で形成されていてもよく、更には空洞であってもよい。」との記載があるが、切削感の観点から解決されていない。特に天然歯独特の粘り気を有する歯牙を求める要望があり、また、エナメル部分とデンチン部分の切削性の違いを示せる歯牙模型ではなかった。
特開平5−241498、特開平5−241499、特開平5−241500には、無機充填材の記載やハイドロキシアパタイト充填材の記載があるがいずれも樹脂を母材とするものであり、切削感の解決には至っていない。特に天然歯独特の粘り気を有する歯牙を求める要望があり、また、エナメル部分とデンチン部分の切削性の違いを示せる歯牙模型ではなかった。
特開2004−94049には、レーザー光線を利用した正確な形状計測を可能とする歯科実習用模型歯を提供する発明が記載している。
明細書中には、「本発明の模型歯の歯冠部表面を構成する材料としては、一般的に公知のものを用いることが可能であり、例えば、セラミックス等の磁器あるいはアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(ABS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂材料や、メラミン、ユリア、不飽和ポリエステル、フェノール、エポキシ等の熱硬化性樹脂材料、さらには、これらの主原料にガラス繊維、カーボン繊維、パルプ、合成樹脂繊維等の有機、無機の各種強化繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の各種充填材、顔料や染料等の着色剤、あるいは耐候剤や帯電防止剤等の各種添加剤を添加したものを用いることが出来る。」との記載があるが、好ましい材質の記載がなく、切削感を解決するものでは無かった。
今までの開発では天然歯独特の粘り気を有する歯牙のエナメル部分とデンチン部分は開発されておらず、切削性の違いを示せる歯牙模型ではなかった。特に、エナメル質、デンチン質の軟性を再現する方法が見つかっていなかった。更にこの切削感を実現する為の具体的な組成としての開示がなく、それらの製造方法についても記載されていない。顎歯模型はこれらの課題を抱えているにも関わらず、研究報告されているものは見当たらない。
特開平5−241498 特開平5−241499、 特開平5−241500 特開2004−94049 実開平1‐90068
従来の顎歯模型用歯牙は、天然歯形体をしているものの切削感が異なる。天然歯の切削感を体験するために、抜去歯を切削するなどの工夫は見られた。抜去歯は人体や動物からの材料であり衛生上の問題があり、衛生管理も十分に行なわないと感染の可能性があり、自由な練習を妨げられ感染予防を十分に行なわなければならなかった。また、天然生体であるため腐敗の問題があり、保存にも十分な注意が必要であった。
天然歯牙を用いずに歯牙の切削感を体験する方法が求められれていた。特に天然歯独特の粘り気を有する歯牙を求める要望があり、また、歯牙のエナメル部分からデンチン部分の切削感が変るところが求められており、当然にして、エナメル部分はエナメル質の切削感、デンチン部分はデンチン質の切削感が求められていたが、それを解決する方法は見つかっていなかった。
研究の結果、天然歯牙の切削感を出す為には無機系の焼成体を用いることが必要であり、それだけでは十分な切削感が得られない為に新たな工夫が必要であった。天然歯独特の粘り気を有する歯牙を求める要望があった。
天然歯独特の粘り気の切削感を表現する為には、数々の方法が試されてきたが、樹脂やコンポジット等々では十分な切削感を得ることができなかった。歯牙を切削した折に飛散する切削粉を軽減する方法が求められていた。
通常天然歯牙を切削すると生体を切削する時の独特の切削感が得られる。従来の顎歯模型用歯牙ではデンチン層では顕著に現れるが歯牙の象牙細管中に含まれる有機成分がバーに纏わり付く感覚や切削を阻害する感覚は注水しながらで有ってもこのような感覚を得られることは無かった。エナメル質で有っても同様な現象から無機材料の切削感よりも粘性を感じる切削感覚が求められている。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されており、セラミックス焼成体の空隙部分にワックスまたは水溶性材料が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されており、セラミックス焼成体の空隙部分に水溶性材料が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されたデンチン部分とエナメル部分からなる顎歯模型用歯牙において、デンチン部分のセラミックス焼成体の空隙部分にワックスが含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されたデンチン部分とエナメル部分からなる顎歯模型用歯牙において、デンチン部分のセラミックス焼成体の空隙部分に多糖類の内少なくとも一つ以上が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されたデンチン部分とエナメル部分からなる顎歯模型用歯牙において、デンチン部分のセラミックス焼成体の空隙部分にタンパク系が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されたデンチン部分とエナメル部分からなる顎歯模型用歯牙において、デンチン部分のセラミックス焼成体の空隙部分にゼラチンが含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、デンチン部分およびエナメル部分が無機粉末焼成体からなることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、デンチン部分とエナメル部分からなり、デンチン部分とエナメル部分を作製した後に、デンチン部分とエナメル部分を接着することを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明の接着剤が有機性樹脂組成物であることを特徴とする顎歯模型用歯牙である。
本発明は、CIM技術を用いて射出成形し、脱脂、焼成の工程を経てデンチン部分およびエナメル部分を成形し、接着剤を用いてデンチン部分およびエナメル部分を接着させることを特徴とする顎歯模型用歯牙の製造方法である。
本発明の方法によれば、デンチン部分、エナメル部分両方とも天然歯と同じ様な切削感を得られ、エナメル部分からデンチン部分へ移行する切削感が天然歯に近いことから、模型であっても天然歯牙を削る練習が容易に行なえる。
抜去歯は生体からの材料であり衛生上の問題があるため、感染予防等の処置を取らなくても安全に用いることができ、抜去歯の様な体感ができる歯牙が求められていた。また、衛生管理も特に必要なく、腐敗の恐れもない材料が求められていた。
本発明の歯牙を用いて支台歯形成、窩洞形成をすることによって、一早く天然歯牙と同様な切削感を体験でき、形成体験が容易に行える。また、これらの形成技術を早く取得することができる。
本顎歯模型用歯牙は人体の中で最も硬い天然歯牙の代用物質で、通常の材料では切削時に軟らかく感じてしまうのに対し、天然歯牙と同様な切削感を得ることができる。口腔内での400000回転/分という高速回転するダイヤモンド研削材(エアータービン使用)を用いた切削と同じような切削体験ができる。
本発明は顎歯模型用歯牙のデンチン部分が天然歯牙のデンチン部分とよく似た切削感を得ることができる。粉末焼成体のみでは十分な切削感を表現することができなかったが今回の発明で表現することができた。
更に、歯牙模型の歯冠の形状も重要であり、支台歯形成や窩洞形成の目標となり隆起部分や窩、咬頭などが正確に表現されていることが重要であり、CIMでの成形が適している。 本発明の歯牙は歯質と同じように白色、アイボリー色、乳白色、半透明色とすることができるため、よりリアルな切削体験をすることができる。好ましくは白色、アイボリー色、乳白色である。
歯牙切削時に飛散する粉塵を軽減する効果があり、模型などの粉塵による汚れを押さえることができた。勿論、練習している学生の粉塵の吸い込みも軽減することができた。天然歯牙の様に粘りけのある切削感があり、生体歯牙を切削時に発生するダイヤモンドバーへの纏わり付きの感覚を再現できた。
顎歯模型用歯牙とは、大学などで顎歯模型を用いて口腔内の治療行為をシミュレーションや治療の練習をするために用いられる歯牙であって、本発明は歯牙を切削し、形成する為に用いられる場合に関する。特に天然歯牙と切削性が近似した歯牙であって、窩洞形成、支台歯形成の練習に用いられる歯牙に関する。
本発明の歯牙の組成はセラミックスから作製されることが好ましい。本発明の歯牙の組成はアルミナ系、ジルコニア系、シリカ系、窒化アルミ、窒化ケイ素などのセラミックスまたはガラスから作製される。また、アルミナ系、ジルコニア系で作製されることは好ましい。アルミナ系、ジルコニア系とはアルミナまたはジルコニアが焼成体組成の60%〜100%、好ましくは80%〜100%、更に好ましくは95%〜100%であることである。特にアルミナの組成が50%〜100%、好ましくは70%〜100%、更に好ましくは90%〜100%であることである。歯牙の組成がアルミナ粉末から成形されることが好ましい。
エナメル部分とデンチン部分の硬さの調整には、粒度を荒くする、空隙を多くする、材質を変えるなどの方法、焼成温度を変える、係留時間を変える等々の方法があるが、最も適した方法は、同一組成で粒度を変えることである。
デンチン部分の平均粒子径に対して、エナメル部分の平均粒子径を10倍以上にすることが好ましい。エナメル部分の平均粒子径が0.1〜0.5μmである場合は、デンチン部分の平均粒子径は1.0〜10.0μmに設定することが好ましい。
焼成温度に関しては組成によって異なるが、シリカ等のガラス成分が多い場合は焼成温度が800〜1200℃、アルミナの場合は1200〜1600℃の焼成温度、好ましくは1400〜1550℃の焼成温度となる。
エナメル部分とデンチン部分の成形はセラミックスの成形方法でCIM技術を用いることは好ましい。
CIM技術を用いて、エナメル部分とデンチン部分とを射出成形し、脱脂、焼成の工程を経て、焼成されたエナメル部分とデンチン部分に界面に熱硬化性樹脂や化学重合性樹脂を用いて接着することも好ましい。
本発明は、顎歯模型用歯牙のセラミックス焼成体中の空間部分に水溶性材料または熱溶解性材料を含浸させることに特徴がある。水溶性材料は空間部分に含浸させる必要があるが水溶性の高分子であれば特にこだわり無く使用することができる。
本発明の空間部分に含浸させる水溶性材料は、多糖類、タンパク系の内少なくとも一つ以上であることが好ましい。水溶性材料は注水や水を予め含浸させることにより効果を発揮する事ができる。好ましくはたんぱく質である。
本発明の空間部分に含浸させる熱溶解性材料しては、ワックス系を用いる事ができる。熱溶解性材料切削時に発生する摩擦熱で効果を発揮する事ができる。
多糖類としてはデキストリン、グリコーゲン、セルロース、ペクチン、コンニャクマンナンとグルコマンナン、アルギン酸が好ましい。好ましくはセルロース、ペクチン、コンニャクマンナンとグルコマンナンである。ある程度の粘性が必要であるからである。
タンパク系としては約20種類の L -α-アミノ酸からなるポリペプチドを主体とする高分子化合物であればよい。組成の上から、アミノ酸だけからなる単純タンパク質と、核酸・リン酸・脂質・糖・金属などを含む複合タンパク質を用いることが好ましい。更に好ましいのはゼラチン、寒天系、コラーゲンとエラスチンである。また更に好ましくはゼラチン、寒天系である。水にどんどん溶けるのでなく、焼成体の空隙部分で形状を保つ必要があるからである。
ワックス系としては水を利用しなくとも、多糖類やたんぱく質と同じ様な効果を示すものであり、注水設備が無いところでも簡単に歯牙研削練習を行なうことができる。ワックス系の組成としては、天然ワックス、合成ワックス両方用いることができる。天然ワックスとは、動植物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックス等が代表される。合成ワックスとは、配合ワックスやポリエチレンワックス等を用いることができる。好ましくはパラフィンワックスである。ワックス系には油脂も含まれる。油脂とは脂肪酸のグリセリンエステルである。水に溶けず、アルコールなどに溶ける。常温(37℃、大気圧)で固体の脂肪であることが好ましい。植物性の木蝋(もくろう)、動物性の牛脂・豚脂などがある。具体的にはラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸、生体から抽出した油脂などを利用することができ、生体から抽出した油脂が好ましい。特に、豚由来、牛由来の脂肪が好ましい(代表として、ラード、ヘットなどがある)。
含浸時に界面活性剤を混合することで、含浸を手助けすることができる。即ち、焼成体の空隙部分にこれらの水溶性材料または熱溶解性材料を含浸させるためには界面活性剤の助剤は重要な役目をする。
界面活性剤は水溶性材料として用いることもできる。
界面活性剤は陰イオン系、非イオン系、陽イオン系、両性イオン系など適宜用いることができる。好ましくは陰イオン系、非イオン系である。
陰イオン系としては、脂肪酸塩(セッケン) C11H23COONa、アルファスルホ脂肪酸エステル塩(α-SFE) C10H21-CH(SO33Na)COOCH3、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS) C12H25-(C6H4)SO3Na、アルキル硫酸塩(AS)[高級アルコール系] C12H25-OSO3Na、アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES) C12H25-O(CH2CH2O)3SO3Na、アルキル硫酸トリエタノールアミン
C12H25-OSO3-・+NH(CH2CH2OH)3等が用いれる。
非イオン系としては、脂肪酸ジエタノールアミド C11H23-CON(CH2CH2OH)2、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE) C12H25-O(CH2CH2O)8H、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE) C9H19-(C6H4)O(CH2CH2O)8H等が用いれる。
陽イオン系としてはアルキルトリメチルアンモニウム塩 C12H25-N+(CH3)3・Cl-、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド C12H25-N+(C8H17)(CH3)2・Cl-、アルキルピリジニウムクロリド C12H25-(N+C5H5)・Cl-等が用いれる。
両性イオン系としては、アルキルカルボキシベタイン[ベタイン系] C12H25-N+(CH3)2・CH2COO-等が用いれる。
水溶性材料または熱溶解性材料を含浸する方法を以下に示す。
含浸させる水溶性材料または熱溶解性材料をビーカーに入れ、適当な温度になるように加温して、粘度を下げる。適度の界面活性剤を入れる。粘度が下がった所で、セラミックス焼成体を投入し、真空デシケータ中に設置する。真空デシケータ中の空気を抜いていき、セラミックス焼成体中の空気を外へ出していく、減圧が進むにつれて、焼成体表面に空気に泡が出てきて内部の空気が抜けた事が分かる。様子を見て、空気が出たところでデシケータに空気を静かに戻すことで含浸する。
(歯牙の焼成体作製)
歯牙形体の形状を射出成形できる金型を作製した。歯牙の原料としてのCIM用アルミナ
ペレット(Alが26%、SiOが44%、平均粒径3.0μm、ステアリン酸30%)1kgを用いて、歯牙形体の金型に、射出成形し射出体を得た。
作製された歯牙部分の形をした射出体を、脱脂、焼成(1300℃、係留時間10分)として焼成体1を得た。
(エナメル部分とデンチン部分の焼成体作製)
歯牙形体のエナメル部分とデンチン部分のメス型の形状を射出成形できる金型を作製した。エナメル部分もデンチン部分も成型後、脱脂、焼成により収縮が発生する為、その部分を事前に大きく計算して金型を作製した。材料ごとに金型を調整して実施した。
エナメル部分の原料としてのCIM用アルミナ
ペレット(Alが68%、SiOが2%、平均粒径0.3μm、ステアリン酸30%)1kgを用いて、歯牙形体の金型に、射出成形し射出体を得た。
作製されたエナメル部分の形をした射出体を、脱脂、焼成(1550℃、係留時間10分)として焼成体2−1を得た。
デンチン部分の原料としてのCIM用アルミナ
ペレット(Alが68%、SiOが2%、平均粒径5.0μm、ステアリン酸30%)1kgを用いて、歯牙形体の金型に、射出成形し射出体を得た。
作製されたデンチン部分の形をした射出体を、脱脂、焼成(1400℃、係留時間15分)として焼成体2−2を得た。
(含浸)
得られた焼成体1、2−1、2−2を以下の各浸漬材料中に包埋し、真空容器に入れ、真空にすることで焼成体の空隙部分に十分に含浸したことを確認し、焼成体2−1、2−2は接合し、エポキシ樹脂の接着材で接着させた。
作製された歯牙の切削感を確認した。焼成体はそれぞれ30個作製し試験を行なった。
(試験を行なった浸漬材料)
パラフィンワックス(日本精株式会社、パラフィンワックス
標準品):浸漬前に十分に加熱し、液化していることを確認した。
蜜蝋(みざらし密ロウワックス):浸漬前に十分に加熱し、液化していることを確認した。
セルロース(信越化学工業株式会社、SM-8000):触媒を添加したシリコン樹脂を用いた。72時間放置後、ダイヤモンドバーで切削感を確認した。
コンニャクマンナン(伊那食品工業):適当な硬さになるようにお湯で溶かし、加熱した。デシケータに入れる前に凝固剤を投入した。
寒天(伊那食品工業):適当な硬さになるようにお湯で溶かし、加熱した。
ゼラチン(新田ゼラチン):適当な硬さになるようにお湯で溶かし、加熱した。
比較例1,2は含浸させていない焼成体を用いた。
試験方法は、400000回転/分という高速回転するダイヤモンド研削材(エアータービン使用)を用いて切削を行なった。実施例1、2、7、8は、注水を行なわずに試験を行なった。その他の実施例および比較例は注水しながら試験を行なった。
◎:天然歯同様に良好な結果であった。
○(切削感):デンチンとエナメルとが十分に表現できていなかった。エナメル部分が柔らかかったが、天然歯と同様な粘りけを感じた。
○(切削ネバさ):粘りけというより、若干の弾性感があった。
△(切削ネバさ):天然歯に比べ、粘りけが軟かく感じた。
◎(生体的ウエット感):天然歯同様に生体のウエット感があり、肉質を感じるウエット感がある。良好な結果であった。
○(生体的ウエット感):天然歯同様に生体のウエット感があったが、肉質感はあるものの◎に比べてやや劣る。
△(生体的ウエット感):天然歯に比べ、生体のウエット感が異なる様に感じた。
×:切削時の粘りが感じられず、粉塵が大きく飛散した。
実施例1、2、7、8は比較例1、2と比べて粘りが感じられ天然歯牙と同様な切削感が得られた。象牙細管からの体液の感じも近似していた。切削された粉塵も比較例1と比べて少なく、飛散も少なかった。注水の必要も無く、容易に切削が行なえた。注水せずに容易に歯牙切削練習をできることを確認した。また、天然歯同様に生体のウエット感があったが、ワックスのとける感じが生体と少し異なっていた。
実施例3、9は比較例1、2と比べて粘りが感じられ天然歯牙に近い切削感が得られた。注水によりセルロースの溶出が見られたが、問題なく試験を終えた。切削された粉塵も比較例1と比べて少なく、飛散も少なかった。しかし、生体のウエット感が異なる様に感じた。
実施例4、5、6、10、11,12は実施例3、9と比べて粘りが感じられ天然歯牙と同様な切削感が得られた。象牙細管からの体液の感じも近似していた。切削された粉塵も比較例1と比べて少なく、飛散も少なかった。注水下でも、容易に切削体験が行なえた。注水下という実際の臨床使用環境にて容易に歯牙切削練習をできることを確認した。また、天然歯同様に生体のウエット感があり、良好な結果であった。
(実施例13)
浸漬材料として、ヘット(牛脂)を用いて焼成体1,2に浸漬して歯牙を作製した。浸漬前に十分に加熱し、液化していることを確認した。24時間冷却後、切削した結果、切削感や切削ネバさ、生体っぽいウエット感も良かった。特に生体っぽいウエット感については他の材料に比べて優れていた。切削時の滑る感じや強く切削し過ぎた場合の臭いまでも近かった。

Claims (5)

  1. 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されており、セラミックス焼成体の空隙部分にワックスまたは油脂が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙。
  2. 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されたデンチン部分とエナメル部分からなる顎歯模型用歯牙において、デンチン部分のセラミックス焼成体の空隙部分にワックスまたは油脂が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙。
  3. 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されており、セラミックス焼成体の空隙部分に水溶性材料が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙。
  4. 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、歯牙がセラミックス焼成体から作製されたデンチン部分とエナメル部分からなる顎歯模型用歯牙において、デンチン部分のセラミックス焼成体の空隙部分に水溶性材料が含浸していることを特徴とする顎歯模型用歯牙。
  5. 治療練習用の顎歯模型用の歯牙であって、
    デンチン部分およびエナメル部分が無機粉末焼成体からなることを特徴とする請求項1〜4記載の顎歯模型用歯牙。
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