JP5172331B2 - 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー及びそれを具備する走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
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Description
上記した顕微鏡の例では、走査型近接場顕微鏡部は、ベース上に取り付けられたXYZスキャナと、測定ヘッドに組み込まれたプローブホルダと変位検出機構からなる。
カンチレバーホルダに取り付けられた、励振用圧電素子により、カンチレバーを共振周波数近傍で加振させながら粗動機構(図示せず)により測定ヘッドをサンプルに近づける。サンプルとプローブ間に原子間力や間欠的な接触力が作用してプローブの振幅や位相が変化し始めたら粗動機構を止める。振幅や位相が一定となるようにZスキャナで距離制御を行う。距離制御を行いながらXYスキャナでラスタスキャンを行い、各々のスキャナに印加する電圧を三次元表示することでサンプルの凹凸像が測定できる。このようにカンチレバーを振動させながら測定を行うことによりサンプルに対するダメージを軽減できて、細胞などの柔らかいサンプルでもサンプルを破壊することなしに測定することが可能である。なお、カンチレバーを振動させずに、コンタクトAFMにより距離制御を行ってもよい。
カンチレバー背面に半導体レーザを集光させ、反射光を4分割フォトダイオードで受光し光てこ系を構成して変位を検出する。試料面と、カンチレバーホルダに取り付けられたガラス面の間に溶液の膜を作り、光てこの光が散乱しないような構成とすることで液中での測定が可能となる。試料としては、例えば生体細胞などを例示できる。なお、電気化学測定は溶液中で行われるので、例えば光ファイバーのように断面形状が円形材料によりカンチレバーやプローブを作製することで、カンチレバーまたはストレート型のプローブを振動させて距離制御を行う場合に溶液の抵抗による振動減衰が小さくなるので、正確な距離制御が可能となる。また、生体細胞など柔らかなサンプルを測定する場合には、材料となる光ファイバーの直径をエッチングなどで例えば50μm以下まで小さくしてバネ定数を下げることで、サンプルに対するダメージを少なくすることができ、溶液の抵抗をさらに小さくすることもできる。
試料を予め蛍光染色しておく。カンチレバー末端からレーザ(Arレーザ波長488nmなど)を入射し、プローブ先端からサンプルに照射する。照射された部分から蛍光を発する。この光を対物レンズで集光する。集光された光には(i)励起光(488nm)(ii)蛍光(500〜600nm)(iii)光てこの半導体レーザの漏れ光(785nm)が混ざっている。ダイクロイックミラーと吸収フィルタで励起光を取り除く。次に光検出器の前に閾値が650nmのロングパスフィルターを入れ、光てこの光を分離することで蛍光のみを選択的に光検出器に入射させる。検出器に入射した信号は電気信号に変換されて、フォトンカウンターに送られる。プローブとサンプル間の距離を一定に保ちながらラスタスキャンを行い、各ピクセルごとのフォトン数をカウントしSPMコントローラに送り、強度分布を画像化することで近接場イメージングを行うことができる。
上記の通り、試料ホルダに、参照電極と対極を設け、プローブ先端を作用極とする。プローブ先端は遮光用の導体層とつながっているので、溶液中にない部分の絶縁膜を剥ぎ取りこの部分に配線を行う(上述)。参照電極、対極、作用極をポテンシオスタットに接続し、電気化学応答をSPMコントローラに送ることで電気化学イメージングを行うことができる。作用極の材料はAu、対極及び参照電極の材料はPtとした。他にもイリジウム、パラジウム、チタン、カーボン、銅、ニッケルなどが使用できる。
基材として、コアの直径が3.2μm、クラッドの直径が125μmである市販のシリカ光ファイバーを用いた。まず、光ファイバーのクラッド部分に炭酸ガスレーザを集光し、加熱しながら両端に引き伸ばして破断させた。これにより、先端の直径を100nmまで先鋭化した。次にエッチングにより、プローブを更に先鋭化させた。エッチングには、50%フッ酸溶液上にフッ酸の気化防止のためにヘプタンなどの有機溶媒を展開して2相状態とし、その界面より下のフッ酸溶液中で10分間先端を浸漬することによってエッチングを行い先端の直径を約30nmまで先鋭化した。このような方法を用いることにより、プローブ部分は段差や角を持たず滑らかに形成することができた。
作製されたプローブ先端のサイズを、サイクリックボルタモグラムを測定することにより調べた。すなわち、上記した電着の場合と同様に、対電極としての白金コイル中に、作成されたプローブを挿入し、10mMのK3[Fe(CN)6]溶液中に浸し、スキャン速度10mV/秒で電圧をかけ、流れる電流の大きさを調べた。結果を図5に示す。
上記の通りに作製した本発明のカンチレバーを、原子間力顕微鏡と近接場光顕微鏡を兼用する市販の走査型プローブ顕微鏡にカンチレバーとして組み込み、さらに、図3及び図4に示すように、プローブの金層を作用極とし、試料ホルダー内に対極と参照電極を配置し、これらをポテンシオスタットに接続し、ポテンシオスタットをSPMコントローラに接続した。この顕微鏡を用いて、幅1μmの金の畝部と石英の谷部とが交互に縞模様を形成して配置される櫛形電極を観察した。試料は、10mMメチルヒドロキシフェロセン溶液(KClを500mM含む)内に置き、印加電圧を500mV(Ag/AgCl)として、プローブを走査しながら作用極と対極間の電流を測定した。一方、原子間力顕微鏡及び近接場光顕微鏡としての測定は、同時にそれぞれ、常法により行った。
Claims (7)
- 先端にプローブが設けられた走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーであって、前記プローブは、少なくとも一部が光透過性である基材と、該基材上に形成された導体層と、該導体層上に積層された絶縁層を具備し、前記プローブの先端には、前記絶縁層が存在せず、前記カンチレバーは、前記プローブの前記光透過性基材に連通する光導波路を有し、前記光透過性基材は前記プローブの先端まで連続し、前記プローブの先端には、前記導体層が存在せず、前記光透過性の基材及び前記導体層の端面が露出しており、前記プローブを先端側から見た場合、前記導体層が存在しない前記プローブ先端の開口部の外周上に前記導体層が形成され、該導体層の外周上に前記絶縁層が形成され、前記開口部の基端部の直径が0.2nm〜200nmであり、走査型プローブ顕微鏡が、原子間力顕微鏡、電気化学顕微鏡及び近接場光顕微鏡としての機能を有するものであり、前記導体層が電気化学顕微鏡の作用極として用いられ、前記光透過性基材を介してエバネッセント光が照射され及び/又は試料表面に発生したエバネッセント光が集光される、走査型プローブ顕微鏡用カンチレバーの製造方法であって、基材上に導体層を形成する工程と、該導体層を一方の電極として絶縁性塗料により絶縁層を電着する工程と、形成された絶縁層を加熱してプローブ先端の導体層を前記絶縁層から露出させる工程を含み、プローブ先端において前記絶縁層から露出している導体層の少なくとも一部を除去して開口部を形成する工程をさらに含む、カンチレバーの製造方法。
- 前記カンチレバーが、前記プローブと一体に光ファイバーにより形成され、該光ファイバーの先端が先鋭化され、かつ、該光ファイバーの長軸に対して先端が湾曲している請求項1記載の方法。
- 前記導体層の最表面が金、金合金、白金又はカーボンから成る請求項1又は2記載の方法。
- 前記導体層の表面が、段差又は角を持たず滑らかに形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
- イオンビームを照射して、前記導体層の少なくとも一部を、その下の基材と共に除去する請求項1〜4のいずれか1項に記載の記載の方法。
- ストレート型の走査型プローブ顕微鏡用プローブであって、前記プローブは、少なくとも一部が光透過性であり先端が先鋭化された基材と、該基材上に形成された導体層であって、該導体層の表面が、段差又は角を持たず滑らかに形成されており、該導体層上に積層された絶縁層を具備し、前記プローブの先端には、前記絶縁層が存在せず、前記光透過性基材は前記プローブの先端まで連続し、前記プローブの先端には、前記導体層が存在せず、前記光透過性の基材及び前記導体層の端面が露出しており、前記プローブを先端側から見た場合、前記導体層が存在しない前記プローブ先端の開口部の外周上に前記導体層が形成され、該導体層の外周上に前記絶縁層が形成され、前記開口部の基端部の直径が0.2nm〜200nmであり、走査型プローブ顕微鏡が、原子間力顕微鏡、電気化学顕微鏡及び近接場光顕微鏡としての機能を有するものであり、前記導体層が電気化学顕微鏡の作用極として用いられ、前記光透過性基材を介してエバネッセント光が照射され及び/又は試料表面に発生したエバネッセント光が集光される、ストレート型の走査型プローブ顕微鏡用プローブの製造方法であって、基材上に導体層を形成する工程と、該導体層を一方の電極として絶縁性塗料により絶縁層を電着する工程と、形成された絶縁層を加熱してプローブ先端の導体層を前記絶縁層から露出させる工程を含み、プローブ先端において前記絶縁層から露出している導体層の少なくとも一部を除去して開口部を形成する工程をさらに含む、プローブの製造方法。
- 前記導体層の最表面が金、金合金、白金又はカーボンから成る請求項6記載の方法。
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JPN7012001728; 小川 証、他: 'EC-NSOM(走査型電気化学・近接場光学顕微鏡)の開発とバイオ応用' 第65回分析化学討論会講演要旨集 , 20040501, 第67頁 * |
JPN7012001729; 小川 証、他: '走査型電気化学・近接場光学顕微鏡(EC-NSOM)の開発とDNAチップイメージングへの応用' 電気化学会第71回大会講演要旨集 , 20040324, 第89頁 * |
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