JP2001004519A - プローブ型顕微鏡及び情報記録再生装置 - Google Patents

プローブ型顕微鏡及び情報記録再生装置

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JP2001004519A
JP2001004519A JP11171933A JP17193399A JP2001004519A JP 2001004519 A JP2001004519 A JP 2001004519A JP 11171933 A JP11171933 A JP 11171933A JP 17193399 A JP17193399 A JP 17193399A JP 2001004519 A JP2001004519 A JP 2001004519A
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Junichi Takahashi
淳一 高橋
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は探針と試料の衝突が生じず、かつ動
作速度の速いプローブ型顕微鏡及び情報記録再生装置を
提供することを目的とする。 【解決手段】 光ファイバのプローブの近傍に発生する
近接場光を利用するプローブ型顕微鏡において、プロー
ブと試料の表面間の距離を調整する距離調整機構と、プ
ローブと試料との間に電圧を印加する電圧印加手段と、
プローブに所定の共振周波数での振動を付与する加振手
段と、電圧印加手段によって印加した電圧による電場に
よって、又はプローブと試料とが接近することによって
発生するシアフォースによってプローブに生ずる振動振
幅の変化を測定する振動振幅測定手段とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプローブ型顕微鏡及
び情報記録再生装置に関し、特に情報記録媒体等のメデ
ィアに対して相対的に走査される情報記録再生用プロー
ブを用いて高密度の記録・再生を行う情報記録再生装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザ光線の高い空間コヒーレン
ト性を利用して、レーザ光線を回折限界まで集光したレ
ーザスポットを用いてメディアに記録し、あるいは情報
が記録されたメディアから情報を再生する光ディスク装
置がオーディオ用コンパクトディスクやコンピュータ用
光磁気ディスクファイルとして実用化されている。これ
らのメディアへの記録では、その記録密度がレーザ波長
でほぼ決定され、最近のメディアの大容量化の要求に応
えるために記録密度を更に向上させなければならない。
そこで、次世代超高密度光記録メモリとして注目されて
いる一つとして、エバネッセント波を用いて記録・再生
するフォトン走査型トンネル顕微鏡(以下P−STMと
称す)を応用した光メモリが提案されている。以下に、
このP−STMのいくつかの従来例について説明する。
【0003】先ず、特開平7−21564号公報(以下
第1の従来例と称す)には、P−STM型光メモリのい
かなる操作状況においても常にプローブと記録層との高
精度な距離の制御が行える方法および装置が開示されて
いる。この第1の従来例の概略構成を、第1の従来例の
概略断面を示す図7によって説明すると、同図に示すよ
うに先端部に微小開口部を有する透明体71中を導波す
る第1の光72が該微小開口部に形成する第1のエバネ
ッセント場73中に光記録媒体75の記録層74を設置
し、第1の光72を用いて該光記録媒体75へ情報を記
録しあるいは記録情報を再生する。また、光記録媒体7
5中に第1の光75とは異なる波長の第2の光76を導
波させてその導波光が光記録媒体75の表面に形成する
第2のエバネッセント波77を透明体71により検出
し、これを波長分離手段78を用いて第1の光72によ
る導波光と分離して第2の光の強度を検出することによ
り制御回路79が透明体71と光記録媒体75との距離
を調節可能としている。
【0004】また、特開平7−192280号公報(以
下第2の従来例と称す)には、エヴァネッセント光を利
用した高密度の記録・再生において、トラッキング制御
の精度を高め、ディスク状の記録媒体を使用可能にする
近視野光走査記録再生装置が開示されている。図8は第
2の従来例の概略構成を示す断面図である。同図に示す
ように、半導体レーザ80から放射させたレーザ光をレ
ンズ81で集束して光ファイバ83に、その開口82を
通じて与える。光ファイバ83の先細の先端部に形成さ
れた走査ヘッド84は、レーザ光の波長とほぼ同等かそ
れよりも小さい直径の開口85を突端面に有し、記録面
86は開口85に対し相対的に移動する。そして、記録
面86から走査ヘッド84を通じて取り出された反射光
は光検出器87で検出されてモニタ・出力器88にモニ
タされる。また、走査ヘッド84に一体的に並設された
走査制御ヘッド89は独自の光源たる半導体レーザ9
0、レンズ系および光電変換素子91を有し、走査ヘッ
ド84を記録面のトラックに位置合わせするためのトラ
ッキングエラー検知信号を発生する。走査ヘッド84は
エアースライダ92に固定されており、記録面86が高
速で移動することによってわずかに浮上し、その高さを
一定に保っている。更に、走査ヘッド84とこれに連な
る本体部分との間に、不本意な揺れを吸収させるための
緩衝器93を設けている。すなわち、本体部分の垂直方
向への揺らぎのダイナミックレンジは走査ヘッド84の
それと大きく異なるので、その差による歪みを緩衝器9
3で吸収させている。緩衝器93は図示したようなコイ
ル状のばねや、ハードディスク等に用いられている板ば
ねなどで構成できるが、垂直方向にのみクッション作用
を与えるものでなければならず、トラック方向に揺れを
生じさせないことが重要である。このように構成する
と、本体部分において垂直方向の揺れが生じても、走査
ヘッド84の開口85と記録面86との間隔を常に所定
値に安定に保持させることができる。
【0005】更に、特開平7−225975号公報(以
下第3の従来例と称す)には、プローブを記録媒体表面
に沿って走査させながら情報の記録再生を行なう情報記
録再生装置等において、実用上十分な速度でのプローブ
走査を実現する装置が開示されている。図9は第3の従
来例の概略構成を示す図である。同図に示すように、光
源101から出射した直線偏光の光束は、偏波面保存型
光ファイバ102を通り、光の波長よりも小さな微小開
口部104を有する金属マスク103を経てエバネッセ
ント波の形態をとる。ここで、金属マスク103,光磁
気記録媒体105は導体であるので、その双方に電極を
取り付けて容量距離センサ130に接続することによ
り、両者間の容量cから距離dを感知することができ
る。その効果としては、金属マスク103の光磁気記録
媒体105に正対した部分の面積が微小開口部104の
面積に比べて大きいため、高精度かつ高帯域な距離dの
情報を得ることができる。この距離dの情報をアクチュ
エータ114に帰還させて微小開口部104の位置を制
御することにより、高速プローブ走査が可能になる。な
お、再生時では、透明基板106を伝播した光がレンズ
107で集光され、この光の偏波面回転成分をアナライ
ザ117によって抽出し、レンズ118で集光したもの
を光検出器119で検出することにより、微小開口部1
04近傍の光磁気記録媒体105の磁化情報mを検出す
る。検出した磁化情報mはコントロール110に送られ
てデジタル情報化される。
【0006】また、特開平10−172172号公報
(以下第4の従来例と称す)には、光プローブの形状の
ばらつきや経時変化などの光プローブの分解能を変化さ
せる原因があっても、所定の記録密度を維持する手段を
備えた高密度情報記録再生装置が開示されている。図1
0は第4の従来例の概略構成を示す図である。同図に示
すように、記録媒体150上に異なる周期を有する周期
パターン151,152を設け、これらの周期パターン
151,152を光プローブ153で検出し、得られる
信号を周波数分析して比較し、光プローブ153と記録
媒体150との間隔を検出する。空間周波数と光量変化
の基本波成分との特性を示す図11に示すように、距離
Hが大きいと高い空間周波数の成分が小さくなりこれか
ら距離Hを測定できる。
【0007】更に、「Khaled Karrai, et al, "Piezoel
ectric tip-sample distance control for near field
optical microscopes", pp.1842, Applied Physics Let
ters66(14), 3 April 1995」(以下第5の従来例と称
す)によれば、この従来例のFig.1に示すように、
プローブが水晶振動子の片方の片持ち梁に接着され、図
中の左側の水晶振動子で、X方向に図示されていない圧
電素子により水晶振動子はその共振周波数で加振され
る。試料表面がプローブ先端に近づくと試料表面とプロ
ーブ先端に原子間力に基づくせん断応力(シアフォース)
が働く。この力が試料表面とプローブ先端間のばねとし
て働き、この振動系全体の共振周波数が変化する。しか
し、圧電素子により、加振されている周波数は以前と変
わらないので、振動系全体は共振状態から外れ、これに
より振動の振幅は小さくなる。振幅は水晶振動子の圧電
効果により生じる電圧から知ることができる。以上のよ
うにして、プローブ先端と試料表面間の距離を振動の振
幅から知ることができる。測定開始時に、まず最初はス
トロークが大きいが距離制御の精度の低いアクチュエー
タ(例えばステッピングモータ)により振動振幅を常に監
視ししつつプローブを試料表面に近づける。振幅が小さ
くなったところで、アクチュエータを停止する。更に、
微動のアクチュエータ(圧電素子など)により、プローブ
先端と試料表面間の距離が所望の距離になるように両者
を接近させて測定を始める。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】第1の従来例は、近接
場光により記録媒体上に情報を記録再生しようとするも
のであり、これにより大容量の記憶装置とするものであ
る。ここでは、記録媒体表面のごく近傍数十nmに発生
しているエバネッセント光(近接場光)によりプローブ先
端と試料表面間の距離を測定する。したがって、両者間
が数十nmにならないと両者の接近を知ることができ
ず、シアフォースによる距離検出と同じく、エバネッセ
ント光が検知されるまでのアプローチを非常にゆっくり
としないとプローブが記録媒体表面に衝突する可能性が
高い。また、アプローチをゆっくりすると、アプローチ
に時間がかかり、記録装置としての読み出し、書き込み
時間が非常にかかり動作が遅い装置となってしまう。つ
まり、第1の従来例ではプローブの破壊防止と速い動作
の両立ができない。また、記録再生を行う光源以外にプ
ローブ先端と記録媒体表面間の距離を測定するための別
な波長の光源が必要であるため、構成が複雑となりコス
ト高や故障が増えてしまう。
【0009】また、第2の従来例は、走査ヘッド9(フ
ァイバプローブ)とスライダ22間に緩衝器を設け、ス
ライダの不要な振動を吸収し、走査ヘッドのとメディア
間の間隔を所定値に安定に保持させるようにしている
が、スライダがメディアから離れた時に先の間隔を一定
にするということはスライダ底辺よりもヘッド先端が突
出することがある。すなわち、スライダがメディアから
離れ続いて近づく時緩衝器による吸収(今度はヘッドを
引っ込ませる)する動作が間に合わない場合があり、ヘ
ッドは、メディアに衝突することとなる。よって、第2
の従来例によれば、このようにヘッドが破損する危険性
が高い。
【0010】更に、第3の従来例は、元々プローブ側面
からの光の漏れを防止するための遮光金属膜(従来技術
内では金属マスク)の500nm×500nmと大きく
し、これと導電性の記録媒体間の静電容量を測定するこ
とにより両者間の距離を測定するものである。静電容量
は比較的遠方からも検出することができるので、シアフ
ォースやエバネッセント光を用いた場合よりも改善され
る。しかし、プローブ先端は非常に面積が小さいために
静電容量は非常に微少になり、浮遊容量等により実際の
測定は非常に困難である。また、感度を高めるためにプ
ローブ先端の金属膜の面積を大きくする必要がある。一
般的に厚いマスク金属膜(厚さ500nm以上)を持つ
プローブに微少な開口(直径50nm以下)のプローブ
を作製することは困難になる。更に、たとえできたとし
ても記録媒体とフ゜ローフ゛先端の金属面には表面の凹凸があ
るので、金属膜と媒体表面間の距離は最適にできたとし
ても、開口と媒体表面の距離は金属面の凹凸により必ず
しも最適にはならない。特に、金属膜の膜厚、すなわち
媒体表面に平行な面で考えれば面積が大きくなればこの
確立は著しく高くなる。また、第3の従来例ではメディ
アとプローブ間の距離を両者間の静電容量で測定し、こ
れから両者間の距離を調整するアクチュエータを制御
し、距離を一定にする。しかし、高速に回転しているメ
ディアに対してはこの帰還動作が間に合わないことが多
く、プローブとメディアが衝突する。
【0011】また、第4の従来例は、プローブ先端と記
録媒体表面の距離を測定するために記録媒体に空間周波
数の異なるパターンを設ける必要があり、記録密度が低
くなる。また得られた信号を周波数分析する必要があ
り、これらの処理に時間がかかり、充分なスピードで、
距離を制御することができず、衝突の可能性が高い。ま
た、メディアを動かしながらプローブとメディア間の間
隔測定を行わなければいけないので間隔を一定に制御す
ることを失敗した時のダメージが大きい。
【0012】更に、第5の従来例では、測定の最初にプ
ローブと試料表面を接近させる(アプローチ)シーケンス
において、両者間の距離をシアフォースにより検出して
いて、これをもとに粗動アクチュエータを停止させる。
シアフォースは両者間の距離が数十nm以下にならない
と働かない。したがって、粗動アクチュエータによりプ
ローブを試料表面に接近させる速度を遅くしないと、ア
プローチ時の停止動作が間に合わず、プローブと試料表
面が衝突し、プローブが破壊することになる。粗動アク
チュエータの移動速度を遅くするとアプローチに時間が
かかってしまい、測定の効率が著しく悪くなる。
【0013】本発明はこれらの問題点を解決するための
ものであり、探針と試料の衝突が生じず、かつ動作速度
の速いプローブ型顕微鏡及び情報記録再生装置を提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る、光ファイ
バのプローブの近傍に発生する近接場光を利用するプロ
ーブ型顕微鏡は、プローブと試料の表面間の距離を調整
する距離調整機構と、プローブと試料との間に電圧を印
加する電圧印加手段と、プローブに所定の共振周波数で
の振動を付与する加振手段と、電圧印加手段によって印
加した電圧による電場によって、又はプローブと試料と
が接近することによって発生するシアフォースによって
プローブに生ずる振動振幅の変化を測定する振動振幅測
定手段とを具備する。このような構成を有する本発明の
プローブ型顕微鏡は、先ずプローブと試料との間に電圧
印加手段によって電圧を印加したとき発生する電場によ
るプローブにおける振動振幅の変化を振動振幅測定手段
によって測定する。その測定結果に基づいて距離調整機
構を制御してプローブと試料の表面間の距離を所定の位
置まで粗動調整して互いに接近させる。その後、電圧印
加をやめるか、あるいは一定に保った状態で、プローブ
と試料とが接近したとき発生する近接場によるプローブ
の振動振幅の変化を振動振幅測定手段によって測定し、
測定結果に基づいて距離調整機構を制御してプローブと
試料の表面間の距離を更に急接近可能とする微動調整を
行う。よって、プローブと試料が衝突することない、動
作速度の速いプローブ型顕微鏡を提供できる。
【0015】また、別の発明に係る、光ファイバのプロ
ーブの近傍に発生するエバネッセント場中に設置された
メディアの記録層に近接場光を利用して情報を記録再生
する情報記録再生装置は、プローブとメディアの表面間
の距離を調整する距離調整機構と、プローブとメディア
との間に電圧を印加する電圧印加手段と、プローブに所
定の共振周波数での振動を付与する加振手段と、電圧印
加手段によって印加した電圧による電場によって、又は
プローブと試料とが接近することによって発生するシア
フォースによってプローブに生ずる振動振幅の変化を定
する振動振幅測定手段とを具備する。このような構成を
有する情報記録再生装置は、先ずプローブとメディアと
の間に電圧印加手段によって電圧を印加したとき発生す
る電場によるプローブにおける振動振幅の変化を振動振
幅測定手段によって測定する。その測定結果に基づいて
距離調整機構を制御してプローブとメディアの表面間の
距離を所定の位置まで粗動調整して互いに接近させる。
その後、プローブとメディアとが接近したとき発生する
近接場によるプローブの振動振幅の変化を振動振幅測定
手段によって測定し、測定結果に基づいて距離調整機構
を制御してプローブとメディアの表面間の距離を更に急
接近可能とする微動調整を行う。よって、プローブ先端
とメディア間の衝突が少なく、かつ動作速度の速い装置
を実現できる。
【0016】更に、情報記録再生装置の距離調整機構
は、プローブと接するように設けられ、かつメディアの
表面に摺動可能に設けられ、電圧印加によって生じる圧
電効果に伴う変位現象によってプローブとメディアの距
離を可変する圧電素子を含んで構成している。よって、
回転するメディアの変動に対応してプローブとメディア
の間の距離を一定に保つことができる。
【0017】また、情報記録再生装置の距離調整機構に
おける圧電素子に電荷制御回路を設けたことにより、圧
電素子に生じるクリープ現象を防ぎ、圧電素子の変位を
一定に保つことができ、強いてはプローブとメディアの
間の距離を一定に保つことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のプローブ型顕微鏡は、プ
ローブと試料の表面間の距離を調整する距離調整機構
と、プローブと試料との間に電圧を印加する電圧印加手
段と、プローブに所定の共振周波数での振動を付与する
加振手段と、電圧印加手段によって印加した電圧による
電場によって、又はプローブと試料とが接近することに
よって発生するシアフォースによってプローブに生ずる
振動振幅の変化を測定する振動振幅測定手段とを具備す
る。
【0019】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例の概略構成を示
す図である。同図において、レーザ光源11はカップリ
ングレンズ12によりファイバからなるプローブ13の
端面に集光されてファイバからなるプローブ13のコア
内に入る。その光は先端が先鋭化されているプローブ1
3の先端のごく近傍(数十nm)に近接場光として存在す
る。試料14の表面をプローブ13の先端から数十nm
以下の距離に近づけるとプローブ先端から染み出してい
る近接場光は試料に伝播し、プリズム15、カップリン
グレンズ16を通してフォトマルティプライアテューブ
(以下PMTと称す)17に入る。PMT17は入射し
た光を電気信号に変換し、プリアンプ18、A/D変換
器19を通してコンピュータ20に試料14の透過率の
ディジタル情報を供給して貯えられる。円筒圧電スキャ
ナ21によりx,yにラスタスキャンを行いながら、こ
れに同期してコンピュータ20は、先の情報を記憶して
いくので、2次元の透過率の分布像を作成することがで
きる。
【0020】ここでは、試料14の表面とプローブ先端
との間隔は数十nmにしなければならない。実際の試料
は凹凸があるのが普通なので、この間隔を一定にするよ
うに制御を行う必要がある。このため、試料14の表面
とプローブ13の先端に原子間力に基づくせん断応力
(シアフォース)や静電引力を利用する。プローブ13は
水晶振動子22の片方の片持ち梁に接着されている。水
晶振動子22は互いに接する圧電素子23によりその共
振周波数で加振される。試料14の表面がプローブ13
の先端に近づくと試料14の表面とプローブ13の先端
に原子間力に基づくシアフォースや静電引力が働く。こ
の力が試料14の表面とプローブ13の先端間のばねと
して働き、この振動系全体の共振周波数が変化する。し
かし、圧電素子23により、加振されている周波数は以
前と変わらないので、振動系全体は共振状態から外れ、
これにより振動の振幅は小さくなる。水晶振動子22に
生じる電圧は差動増幅器25で増幅され、ロックインア
ンプ26に入力される。ロックインアンプ26は振動周
波数に同期して水晶振動子22の振幅を直流電圧に増幅
・変換する。帰還回路27は所望のプローブ13と試料
14の表面間の距離に対応する参照信号との差を積分、
あるいは高いゲインで増幅し、円筒ピエゾのZ方向に試
料14を移動させるアクチュエータを駆動する。
【0021】このような帰還動作によりプローブ13と
試料14の表面の間隔は一定に保たれる。帰還回路27
の電圧を、A/D変換器28を介してコンピュータ20
に取り込めば先の透過像と同様に試料14の表面の凹凸
像(トポ像)を作成することができる。試料14をセッ
ティングする時はプローブ13と試料14が接触しない
ようにプローブ13は試料14から遠くに離しておく。
【0022】さて、このような測定を始める前に、プロ
ーブ13と試料14の表面を近づける作業が必要であ
る。先に述べたように、プローブ13と試料14の表面
間の距離をシアフォースのみで知ろうとすると、両者の
距離が数十nmに近づくまで、試料14の表面のプロー
ブ13への接近を知ることができない。これにより衝突
が生じ易い。そこで、本実施例では、プローブ13と試
料14の表面間に電位差を生じさせることによりこれを
解決する。その前提として、プローブ13はその先端ま
で導電性のものであることと、試料14もまた導電性の
ものであることである。近接場光測定に用いられるファ
イバプローブはクラッドからの光の放出がノイズとなる
ため、これを防ぐために、ファイバクラッド上に金属コ
ートを施しているので、一般的に前者の条件は満たして
いる。また、試料14も半導体を用いる集積回路、メモ
リディスクに用いられる光磁気材料、相変化材料などは
導体または半導体であり比抵抗が低いので、多くの場
合、後者の条件も満たしている。コンピュータ20で制
御できるスイッチ29を設ける。先ずスイッチ29によ
り電圧Vaの電圧可変供給器30とファイバプローブの
金属遮光膜を接続する。金属膜はファイバ全体に付着さ
せることができるので、ファイバプローブの根元に電圧
Vaの電圧可変供給器30を接続することでファイバ先
端に電圧を印加することができる。試料14は基準電位
に接続(接地)させておく。このようにしておくとファイ
バ先端の金属膜と試料14の表面間に電圧Vaが印加さ
れる。したがって、両者の間に静電引力が働く。静電引
力は電圧Vaの2乗に比例し、プローブ13と試料14
の表面間の距離dの2乗に逆比例する。
【0023】一方、原子間力すなわちシアフォースはプ
ローブ13と試料14の表面間の距離dの指数関数で減
少する。したがって、静電引力は距離に対する減衰がシ
アフォースに比べて遥かに緩やかであるため、プローブ
13と試料14の表面間の距離が大きくても両者の接近
を水晶振動子22の振幅の減少として捉えることができ
る。この距離は電圧Vaの値にもよるが、数十Vの場
合、プローブ13と試料14の表面間の距離が数十μm
程度でも水晶振動子22の振幅減少を捉えることができ
る。どの程度のプローブ13と試料14の表面間の距離
から、両者の接近を捉えるかは、電圧Vaにより調整可
能である。より遠くから両者の接近を捉えたい場合は電
圧Vaを大きくすればよい。測定開始時に、まず最初は
ストロークが大きいが距離制御の精度の低いアクチュエ
ータ(例えばステッピングモータ)により振動振幅を常に
監視ししつつプローブを試料14の表面に近づける。振
幅が小さくなったところで、アクチュエータを停止す
る。さらに、微動のアクチュエータ(圧電素子など)によ
り、プローブ13の先端と試料14の表面間の距離が所
望の距離になるように両者を接近させ、この後、測定を
始める。
【0024】例えば、Vaを20V程度にし、粗動ステ
ージ31により試料14をプローブ13に接近させる。
粗動ステージ31はステッピングモータなどを用いた機
械的なステージで、ストロークは数ミリ程度、1ステッ
プで20nmから1μm程度の物を用いる。プローブ1
3と試料14の表面間の距離が20μmぐらいになると
プローブ13と試料14の表面間の静電引力により水晶
振動子22の振動振幅が小さくなる。これをコンピュー
タ20が捉えて粗動ステージ31の移動を停止する。2
0μm程度からプローブ13と試料14の表面の接近を
検知し停止させれば、検知から停止までの間の粗動ステ
ージ31のオーバーランによりプローブ13と試料14
の表面が衝突することはない。したがって、比較的速い
速度(数μm/s)で最初のアプローチを行うことができ
る。次に、更なるアプローチを行うために、Vaを5V
程度にするこれにより、1μm程度までプローブ13と
試料14の表面が接近するとプローブ13と試料14の
表面間の静電引力により水晶振動子22の振動振幅が小
さくなる。これをコンピュータ20が捉えて粗動ステー
ジ31の移動を停止する。この時は0.数μm/s程度
の速度でアプローチさせる。この時はアプローチの速度
が前の段階より遅くなっているので、オーバーランが少
なくなる。したがって、停止時のプローブ13と試料1
4の表面間の距離が小さくなっても両者が衝突すること
はない。更に、今度はスイッチ29を接地側に切り替え
る。これによりプローブ13と試料14の表面間の電位
差はなくなり、両者には静電引力は働かなくなる。この
後、微動ステージ32により数十nm/sの速度でプロー
ブ13と試料14の表面を接近させる。数十nm程度ま
でプローブ13と試料14の表面が接近するとプローブ
13と試料14の表面間のシアフォースにより水晶振動
子22の振動振幅が小さくなる。これをコンピュータ2
0が捉えて微動ステージ32の移動を停止する。この時
もプローブ13と試料14の表面間の距離の衝突は先に
述べたことと同じ理由により生じることはない。
【0025】このように、プローブ13と試料14の表
面間の距離が大きい時は速いスピードで両者を接近させ
つつ、静電引力を用いてプローブと試料表面間の距離が
大きい段階から両者の接近を捉えることにより衝突を防
ぐことができる。プローブ13と試料14の表面間の電
位差と接近速度を段階的に小さくして、以上のシーケン
スを行うことができる。最後のアプローチでは両者の電
圧印加をなくしてシアフォースによるプローブ13と試
料14の表面間の距離検出を行ってアプローチを終了す
る。
【0026】従来のシアフォースだけのプローブと試料
表面間の距離検出の場合は、数十nmに接近してからで
ないと両者の接近を検知できないので、アプローチの最
初から数十nm/sの非常にゆっくりとした速度でアプロ
ーチを行う必要があり、測定開始までに非常に時間がか
かった。しかし、本実施例により、プローブと試料表面
間の距離に対応した接近速度を選ぶことができるので、
測定開始までの時間を短縮することができる。
【0027】なお、第1の実施例では最後のアプローチ
で、プローブと試料表面間の電位差をなくしていたが、
このような方法に限定されるものでない。例えば、最後
のアプローチにおいて、一つ前のアプローチの段階での
電圧よりも更に電圧を下げ、電圧を印加したままで静電
引力を働かせ、アプローチを終了させることもできる。
そして、電圧を印加し、静電引力を検出しながらプロー
ブと試料表面間の距離を一定に保ちながら測定を行うこ
とができる。また、最後のアプローチにおいて、一つ前
のアプローチの段階での電圧よりも更に電圧を下げなく
ても同様の動作・測定を行うことができる。
【0028】図2は本発明の第2の実施例の概略構成を
示す図である。同図において、レーザ光源11は連続発
振していてその光はカップリングレンズ12によりファ
イバからなるプローブ13の端面に集光されてプローブ
13のコア内に入る。その光は先端が先鋭化されている
プローブ13の先端のごく近傍(数十nm)に近接場光と
して存在する。メディア41はスピンドルモータ42に
より回転させられる。メディア41の表面には透過率の
コントラストを持つ領域(マーク)により情報が記録され
ている。プローブ13の先端をメディア41の表面から
数十nm以下の距離に近づけるとプローブ13の先端か
ら染み出している近接場光は試料に伝播し、先のマーク
の透過率に対応したパワーを持つ透過光がメディア41
のプローブ13側と反対側に出てくる。この光はカップ
リングレンズ16を通してPMT17に入る。PMT1
7は入射した光を電気信号に変換し、この信号はプリア
ンプ18で増幅された後、2値化回路43でディジタル
情報に変換され、コンピュータ20に入力され、メディ
ア41上の情報が読み取られる。メディア41はプロー
ブ13と相対運動をしているので、円周方向に並んでい
るマークに記録されている情報が時系列にコンピュータ
に蓄えられていく。メディア41が書き込み可能なもの
であれば、同じようにデータを書き込むこともできる。
必要な書き込みパルスがコンピュータ20によりLDド
ライバ44に与えられ、これがレーザ光源11を駆動し
て、メディア41の表面に情報を書き込んでいく。ここ
では、メディア41の表面とプローブ13の先端との間
隔は数十nmにしなければならない。実際のメディア4
1は凹凸があるし、メディア41も回転に伴い面ぶれを
起こして上下するのが普通なので、この間隔を一定にす
るように制御を行う必要がある。
【0029】このため、メディア41の表面とプローブ
13の先端に原子間力に基づくシアフォースや静電引力
を利用する。プローブ13は水晶振動子22の片方の片
持ち梁に接着されている。水晶振動子22はL字型のホ
ルダ45を介して積層圧電素子46に接続されている。
積層圧電素子46は耐摺動パッド47の上に接続されて
いる。耐摺動パッド47はメディア41の表面に接触し
ている。メディア41が回転すると、メディア41上を
耐摺動パッド47が摺動し、メディア41とプローブ1
3間で相対運動が生じる。積層圧電素子46はこれに電
圧が印加されるとZ方向に伸び縮みするので、プローブ
13とメディア41表面間の距離を変えることができ
る。水晶振動子22は互いに接する圧電素子23により
その共振周波数で加振される。メディア41の表面がプ
ローブ13の先端に近づくとメディア41の表面とプロ
ーブ13の先端に原子間力に基づくシアフォースや静電
引力が働く。この力がメディア41の表面とプローブ1
3の先端間のばねとして働き、この振動系全体の共振周
波数が変化する。
【0030】しかし、圧電素子23により、加振されて
いる周波数は以前と変わらないので、振動系全体は共振
状態から外れ、これにより振動の振幅は小さくなる。水
晶振動子22に生じる電圧は差動増幅器25で増幅さ
れ、ロックインアンプ26に入力される。ロックインア
ンプ26は振動周波数に同期して水晶振動子22の振幅
を直流電圧に増幅・変換する。ロックインアンプ26の
出力はA/D変換器28を介してコンピュータ20に取
り込まれる。
【0031】そして、コンピュータ20は所望のプロー
ブ13とメディア41の表面間の距離に対応する基準値
との差から、プローブ13とメディア41の表面間の距
離を制御する数値を計算して出力する。D/A変換器4
8でこの出力値がアナログ電圧に変換された後、パワー
アンプにより増幅されて、積層圧電素子46に入力され
る。これにより、プローブ13とメディア41の表面間
の距離がコンピュータ20により制御される。耐摺動パ
ッド47も含めてその上に搭載されているもの全体をス
ライダと呼ぶ。スライダは図示しないサスペンション、
アーム、アームモータを介してスピンドルモータ42が
固定されている基板に固定されている。但しスライダは
図示していないアームモータによりトラッキング方向に
は移動できる。また、サスペンションによりZ方向に上
下できる。しかし、サスペンションにより、適当な力
で、メディア41の表面にスライダは押しつけられてい
て、耐摺動パッド47はメディア41の表面に接触して
いる。
【0032】以上のような情報記録再生装置が待機状態
にある時は、プローブとメディアが接触しないようにプ
ローブはメディアから遠くに離しておく。さて、先に述
べた書き込みあるいは読み取り動作を始める前に、プロ
ーブとメディア表面を近づける作業が必要である。先に
述べたようにプローブとメディア表面間の距離をシアフ
ォースのみで知ろうとすると、両者の距離が数十nmに
近づくまで、メディア表面のプローブへの接近を知るこ
とができない。これにより衝突が生じ易い。そこで、本
実施例では、プローブとメディア表面間に電位差を生じ
させることによりこれを解決する。その前提として、プ
ローブはその先端まで導電性のものであることとメディ
アもまた導電性のものであることである。近接場光測定
に用いられるファイバプローブはクラッドからの光の放
出がノイズとなるため、これを防ぐために、ファイバク
ラッド上に金属コートを施しているので、一般的に前者
の条件は満たしている。また、メディアも光磁気材料、
相変化材料などは導体または半導体であり比抵抗が低い
ので、多くの場合、後者の条件も満たしている。
【0033】そこで、コンピュータで制御できるスイッ
チ29を設ける。まず、スイッチ29により電圧Vaと
ファイバプローブの金属遮光膜を接続する。金属膜はフ
ァイバ全体に付着させることができるので、ファイバプ
ローブの根元に電圧Vaを印加することでプローブ13
の先端に電圧を印加することができる。メディア41は
スピンドルモータ軸を介して、基準電位に接続(接地)さ
せておく。このようにしておくとプローブ13の先端の
金属膜とメディア41の表面間に電圧Vaが印加され
る。したがって、両者の間に静電引力が働く。静電引力
は電圧Vaの2乗に比例し、プローブ13とメディア4
1の表面間の距離dの2乗に逆比例する。一方、原子間
力すなわちシアフォースはプローブ13とメディア41
の表面間の距離dの指数関数で減少する。したがって、
静電引力は距離に対する減衰がシアフォースに比べて遥
かに緩やかであるため、プローブ13とメディア41の
表面間の距離が大きくても両者の接近を水晶振動子の振
幅の減少として捉えることができる。この距離は電圧V
aの値にもよるが、数十Vの場合、プローブ13とメデ
ィア41の表面間の距離が数十μm程度でも水晶振動子
22の振幅減少を捉えることができる。どの程度のプロ
ーブ13とメディア41の表面間の距離から、両者の接
近を捉えるかは、電圧Vaにより調整可能である。より
遠くから両者の接近を捉えたい場合は電圧Vaを大きく
すればよい。待機時は、スライダはメディア41の上に
接触している。この時、スピンドルモータ42は回転ま
たは停止している。プローブ13とメディア41の表面
が接触する危険性を考えると停止している方が好まし
い。
【0034】書き込み・読み取りを行う前に、プローブ
13とメディア41間に電圧を印加した状態で、圧電素
子23により水晶振動子22、プローブ13を共振周波
数で加振し、水晶振動子22の出力からプローブ13の
振動振幅を常に監視しつつ、ランプレートの速い電圧を
積層圧電素子45に印加して速いスピードで、プローブ
13をメディア41の表面に近づける。振幅が小さくな
ったところで、積層圧電素子45の電圧をホールドして
プローブ13とメディア41の表面を接近させることを
停止する。更に、プローブ13とメディア41間に電位
差をなくし、ランプレートの遅い電圧を積層圧電素子4
6に印加して遅いスピードで微動のアクチュエータ(圧
電素子など)により、プローブ13の先端とメディア4
1の表面間の距離が所望の距離になるように両者を接近
させ、この後、書き込み・読み取りを始める。一例とし
て、待機時は、プローブ13の先端と耐摺動パッド46
の表面(パッドはメディア表面に接触するので、メディ
ア表面と同じ高さになる)が約0.5μmになるように
予めスライダを作製しておく。
【0035】そして、例えば、Vaを2V程度にし、水
晶振動子22の出力からプローブの振動振幅を常に監視
しつつ、ランプレートの速い電圧を積層圧電素子46に
印加して速いスピードでプローブ13とメディア41の
表面を接近させる。プローブ13とメディア41の表面
間の距離が200nmぐらいになるとプローブ13とメ
ディア41の表面間の静電引力により水晶振動子22の
振動振幅が小さくなる。これをコンピュータ20が捉え
て積層圧電素子46の電圧をホールドしてプローブ13
とメディア41の表面を接近させることを停止する。2
00nm程度からプローブ13とメディア41の表面の
接近を検知し停止させれば、検知から停止までの間のオ
ーバーランによりプローブ13とメディア41の表面が
衝突することはない。したがって、比較的速い速度(約
0.1μm/s)で最初のアプローチを行うことができ
る。
【0036】そして、今度はスイッチ29を接地側に切
り替える。これによりプローブ13とメディア41の表
面間の電位差はなくなり、両者には静電引力は働かなく
なる。この後、ランプレートの遅い電圧を積層圧電素子
46に印加して遅いスピード(約10nm/s)でプロ
ーブ13の先端とメディア41の表面を接近させてい
く。数十nm程度までプローブ13とメディア41表面
が接近するとプローブ13とメディア41の表面間のシ
アフォースにより水晶振動子22の振動振幅が小さくな
る。所望の距離まで両者が近づいたところで、これをコ
ンピュータ20が捉えて積層圧電素子46の変位を停止
する。この時はアプローチの速度が前の段階より遅くな
っているので、オーバーランが少なくなる。したがっ
て、停止時のプローブ13とメディア41の表面間の距
離が小さくなっても両者が衝突することはない。この
後、書き込み・読み取りを始める。
【0037】このように、プローブ13とメディア41
の表面間の距離が大きい時は速いスピードで両者を接近
させつつ、静電引力を用いてプローブ13とメディア4
1の表面間の距離が大きい段階から両者の接近を捉える
ことにより衝突を防ぐことができる。プローブ13とメ
ディア41の表面間の電位差と接近速度を段階的に小さ
くして、以上のシーケンスを行うことができる。最後の
アプローチでは両者の電圧印加をなくしてシアフォース
によるプローブ13とメディア41の表面間の距離検出
を行ってアプローチを終了する。
【0038】従来のシアフォースだけのプローブ13と
メディア41の表面間の距離検出の場合は、数十nmに
接近してからでないと両者の接近を検知できないので、
アプローチの最初から数十nm/sの非常にゆっくりと
した速度でアプローチを行う必要があり、書き込み・読
み取り動作の開始までに非常に時間がかかった。しか
し、先に延べた方法により、プローブ13とメディア4
1の表面間の距離に対応した接近速度を選ぶことができ
るので、書き込み・読み取り開始までの時間を短縮する
ことができる。積層圧電素子としては数十Vで500μ
m程度の変位を得るために、厚さ2mm程度で20〜3
0層程度の積層数のものを用いる。電圧を印加すると積
層圧電素子45の厚さが増えるタイプのものでもよい
が、待機時や、電源off時にプローブ13とメディア
41の表面間の距離が大きくなるようにするために、電
圧を印加すると厚みが減るタイプを用いることが好まし
い。
【0039】上述の第1の実施例では最後のアプローチ
で、プローブ13と試料14の表面間の電位差をなくし
ていたが、第2の実施例はこのような方法に限定される
ものでない。第2の実施例として、例えば、最後のアプ
ローチにおいて、一つ前のアプローチの段階での電圧よ
りも更に電圧を下げ、電圧を印加したままで静電引力を
働かせ、アプローチを終了させることもできる。そし
て、電圧を印加し、静電引力を検出しながらプローブ1
3とメディア41の表面間の距離を一定に保ちながらメ
ディアへの書き込み・読み取りを行うことがきる。ま
た、最後のアプローチにおいて、一つ前のアプローチの
段階での電圧よりも更に電圧を下げなくても同様の動作
を行うことができる。
【0040】図3は本発明の第3の実施例の概略構成を
示す図である。ここで、第2の実施例ではプローブと試
料表面間の距離を常に帰還制御によって一定にするよう
にしていたが、実際にはメディア41は高速に回転して
いるので望ましくない振動が生じ、帰還制御が暴走した
りして、プローブ13とメディア41の表面が衝突して
しまうことがある。そこで、第3の実施例では、待機状
態で、プローブとメディア表面間の距離を決め、書き込
み・読み取り時はプローブとメディアの表面間の距離を
固定した状態で、帰還制御を行わずに書き込み・読み取
りを行う。本実施例では静電引力によりプローブ13と
メディア41の表面間の距離検出は行わない。
【0041】先ず、待機時において、スライダはメディ
ア41の上に接触している。この時、スピンドルモータ
42は回転または停止している。プローブ13とメディ
ア41の表面が接触する危険性を考えると停止している
方が好ましい。この時、プローブ13の先端と耐摺動パ
ッド47の表面(パッドはメディア表面に接触するの
で、メディア表面と同じ高さになる)が約0.5μmに
なるように予めスライダを作製しておく。この後、ラン
プレートの遅い電圧を積層圧電素子46に印加して遅い
スピード(約10nm/s)でプローブ13の先端とメ
ディア41の表面を接近させていく。数十nm程度まで
プローブ13とメディア41の表面が接近するとプロー
ブ13とメディア41の表面間のシアフォースにより水
晶振動子22の振動振幅が小さくなる。所望の距離まで
両者が近づいたところで、これをコンピュータ20が捉
えて積層圧電素子46の変位を停止する。ここで、帰還
制御を停止し、先の停止時の状態で積層圧電素子46の
厚みを固定する。つまりプローブ13とメディア41の
表面間の距離を固定する。ここで重要なことは、積層圧
電素子45はこれに印加する電圧を増減させ、変位を生
じさせると、その後、電圧を一定にしても変位がゆっく
りと変化してしまう、いわゆるクリープ現象が起きてし
まうことである。これが生じると、いったん積層圧電素
子46の位置(厚み)、すなわちプローブ13とメディ
ア41の表面間の距離を決めても、これが変化してしま
う。これを防止するため、電荷制御回路51、あるいは
定電流回路を用いた電荷制御による線形制御方式を用い
る。あるいは、積層圧電素子46に直列に適当な容量の
コンデンサを接続してもよい。これにより、積層圧電素
子46の変位は固定され、よってプローブ13とメディ
ア41の表面間の距離も固定される。この後、書き込み
・読み取りを行うのであるが耐摺動パッド47がメディ
ア41の表面に接触しサスペンションによって一定の力
で押し付けられているので、書き込み・読み取りの動作
中もプローブ13とメディア41の表面間の距離が変わ
ることはない。帰還動作がないので、これが暴走したり
して、プローブ13とメディア41の表面が衝突してし
まうことがない。
【0042】図4は本発明の第4の実施例の概略構成を
示す図である。ここで、第2の実施例ではプローブと試
料表面間の距離を常に帰還制御によって一定にするよう
にしていたが、実際にはメディア41は高速に回転して
いるので望ましくない振動が生じ、帰還制御が暴走した
りして、プローブとメディア41の表面が衝突してしま
うことがある。そこで、本実施例では待機状態で、プロ
ーブ13とメディア41の表面間の距離を決め、書き込
み・読み取り時はプローブとメディア41の表面間の距
離を固定した状態で、帰還制御を行わずに書き込み・読
み取りを行う。基本的構成は第3の実施例と同じだが、
ここでは静電引力によりプローブ13とメディア41の
表面間の距離検出を行う。レーザ光源11は連続発振し
ていてその光はカップリングレンズ12によりファイバ
からなるプローブ13の端面に集光されてプローブ13
のコア内に入る。その光は先端が先鋭化されているプロ
ーブ13の先端のごく近傍(数十nm)に近接場光として
存在する。メディア41はスピンドルモータ42により
回転させられる。メディア41の表面には透過率のコン
トラストを持つ領域(マーク)により情報を記録されてい
る。プローブ13の先端をメディア41の表面から数十
nm以下の距離に近づけるとプローブ13の先端から染
み出している近接場光はメディア41に伝播し、先のマ
ークの透過率に対応したパワーを持つ透過光がメディア
41のプローブ側と反対側に出てくる。この光はカップ
リングレンズ16を通してPMT17に入る。PMT1
7は入射した光を電気信号に変換し、プリアンプ18で
増幅された後、2値化回路42でディジタル情報に変換
され、コンピュータ20に供給され、メディア41上の
情報が読み取られる。メディア41はプローブ13と相
対運動をしているので、円周方向に並んでいるマークに
記録されている情報を時系列にコンピュータ20に蓄え
られていく。メディア41が書き込み可能なものであれ
ば、同じようにデータを書き込むこともできる。必要な
書き込みパルスがコンピュータ20によりLDドライバ
43に与えられ、これがレーザ光源11を駆動して、メ
ディア41表面に情報を書き込んでいく。プローブ41
は水晶振動子22の片方の片持ち梁に接着されている。
水晶振動子22は互いに接する圧電素子23及びL字型
のホルダ45を介して積層圧電素子46に接続されてい
る。積層圧電素子46は耐摺動パッド47の上に接続さ
れている。耐摺動パッド46はメディア41の表面に接
触している。メディア41が回転すると、メディア41
上を耐摺動パッド46が摺動し、メディア41とプロー
ブ13間で相対運動が生じる。積層圧電素子46はこれ
に電圧を印加するとZ方向に伸び縮みするので、プロー
ブ13とメディア41表面間の距離を変えることができ
る。水晶振動子22は互いに接する圧電素子23により
その共振周波数で加振される。メディア41の表面がプ
ローブ13の先端に近づくとメディア41の表面とプロ
ーブ13の先端に原子間力に基づくせん断応力(シアフ
ォース)や静電引力が働く。この力がメディア41の表
面とプローブ13の先端間のばねとして働き、この振動
系全体の共振周波数が変化する。しかし、圧電素子23
により、加振されている周波数は以前と変わらないの
で、振動系全体は共振状態から外れ、これにより振動の
振幅は小さくなる。水晶振動子22に生じる電圧は差動
増幅器25で増幅され、ロックインアンプ26に入力さ
れる。ロックインアンプ26は振動周波数に同期して水
晶振動子22の振幅を直流電圧に増幅・変換する。ロッ
クインアンプ26の出力はA/D変換器28を介してコ
ンピュータ20に取り込まれる。コンピュータ20は所
望のプローブ13とメディア41の表面間の距離に対応
する基準値との差をから、プローブ13とメディア41
の表面間の距離を制御する数値を計算して出力する。D
/A変換器47でこの出力値がアナログ電圧に変換され
た後電荷制御回路51を介して積層圧電素子に入力され
る。これにより、プローブ13とメディア41の表面間
の距離がコンピュータ20により制御される。スライダ
は図示しないサスペンション、アーム、アームモータを
介してスピンドルモータ42が固定されている基板に固
定されている。但しスライダはアームモータによりトラ
ッキング方向には移動できる。またサスペンションによ
りZ方向に上下できる。しかし、サスペンションによ
り、適当な力で、メディア41の表面にスライダは押し
付けられていて、耐摺動パッド47はメディア41の表
面に接触している。
【0043】以上のような情報記録再生装置が待機状態
にある時は、プローブ13とメディア41が接触しない
ようにプローブ13はメディア41から遠くに離してお
く。さて、前述の書き込みあるいは読み取り動作を始め
る前に、プローブ13とメディア41表面を近づける作
業が必要である。先に述べたようにプローブ13とメデ
ィア41の表面間の距離をシアフォースのみで知ろうと
すると、両者の距離が数十nmに近づくまで、メディア
41の表面のプローブ13への接近を知ることができな
い。これにより衝突が生じ易い。そこで、本実施例で
は、プローブ13とメディア41の表面間に電位差を生
じさせることによりこれを解決する。その前提として、
プローブ13はその先端まで導電性のものであることと
メディア41もまた導電性のものであることである。近
接場光測定に用いられるファイバからなるプローブ13
はクラッドからの光の放出がノイズとなるため、これを
防ぐために、ファイバクラッド上に金属コートを施して
いるので、一般的に前者の条件は満たしている。また、
メディアも光磁気材料、相変化材料などは導体または半
導体であり比抵抗が低いので、多くの場合、後者の条件
も満たしている。
【0044】そこで、コンピュータ20で制御できるス
イッチ29を設ける。先ずスイッチ29により電圧Va
とファイバからなるプローブ13の金属遮光膜を接続す
る。金属膜はファイバ全体に付着させることができるの
で、ファイバからなるプローブ13の根元に電圧Vaを
供給することでプローブ13の先端に電圧を印加するこ
とができる。メディア41はスピンドルモータ軸を介し
て、基準電位に接続(接地)させておく。このようにし
ておくとファイバ先端の金属膜とメディア41の表面間
に電圧Vaが印加される。したがって、両者の間に静電
引力が働く。静電引力は電圧Vaの2乗に比例し、プロ
ーブとメディア表面間の距離dの2乗に逆比例する。一
方、原子間力すなわちシアフォースはプローブ13とメ
ディア41の表面間の距離dの指数関数で減少する。し
たがって、静電引力は距離に対する減衰がシアフォース
に比べて遥かに緩やかであるため、プローブ13とメデ
ィア41の表面間の距離が大きくても両者の接近を水晶
振動子22の振幅の減少として捉えることができる。こ
の距離は電圧Vaの値にもよるが、数十Vの場合、プロ
ーブ13とメディア41の表面間の距離が数十μm程度
でも水晶振動子22の振幅減少を捉えることができる。
どの程度のプローブ13とメディア41の表面間の距離
から、両者の接近を捉えるかは、電圧Vaにより調整可
能である。より遠くから両者の接近を捉えたい場合は電
圧Vaを大きくすればよい。待機時は、スライダはメデ
ィア41の上に接触している。この時、スピンドルモー
タ42は回転または停止している。プローブ13とメデ
ィア41の表面が接触する危険性を考えると停止してい
る方が好ましい。書き込み・読み取りを行う前に、プロ
ーブ13とメディア41間に電圧を印加した状態で、圧
電素子23により水晶振動子22、プローブ13を共振
周波数で加振し、水晶振動子22の出力からプローブ1
3の振動振幅を常に監視しつつ、ランプレートの速い電
圧を積層圧電素子46に印加して速いスピードで、プロ
ーブ13をメディア41の表面に近づける。振幅が小さ
くなったところで、積層圧電素子46の電圧をホールド
してプローブ13とメディア41の表面を接近させるこ
とを停止する。更に、プローブ13とメディア41間に
電位差を小さくし、ランプレートの遅い電圧を積層圧電
素子46に印加して遅いスピードで微動のアクチュエー
タ(圧電素子など)により、プローブ13の先端とメデ
ィア41の表面間の距離が所望の距離になるように両者
を接近させ、この後、書き込み・読み取りを始める。
【0045】一例として、待機時は、プローブ13の先
端と耐摺動パッド46の表面(パッドはメディア41の
表面に接触するので、メディア41の表面と同じ高さに
なる)が約0.5μmになるように予めスライダを作製
しておく。例えば、電圧Vaを2V程度にし、水晶振動
子22の出力からプローブの振動振幅を常に監視しつ
つ、ランプレートの速い電圧を積層圧電素子46に印加
して速いスピードでプローブ13とメディア41の表面
を接近させる。プローブ13とメディア41の表面間の
距離が200nmぐらいになるとプローブ13とメディ
ア41の表面間の静電引力により水晶振動子22の振動
振幅が小さくなる。これをコンピュータ20が捉えて積
層圧電素子46の電圧をホールドしてプローブ13とメ
ディア41の表面を接近させることを停止する。200
nm程度からプローブ13とメディア41の表面の接近
を検知し停止させれば、検知から停止までの間のオーバ
ーランによりプローブ13とメディア41の表面が衝突
することはない。したがって、比較的速い速度(約0.
1μm/s)で最初のアプローチを行うことができる。更
に、今度は電圧Vaを0.5V程度にする。これにより
プローブ13とメディア41の表面間の電位差は小さく
なり、両者には静電引力は小さくなる。この後、ランプ
レートの遅い電圧を積層圧電素子46に印加して遅いス
ピード(約10nm/s)でプローブ13の先端とメディ
ア41の表面を接近させていく。数十nm程度までプロ
ーブ13とメディア41の表面が接近するとプローブ1
3とメディア41の表面間の静電引力により水晶振動子
22の振動振幅が小さくなる。所望の距離まで両者が近
づいたところで、これをコンピュータ20が捉えて積層
圧電素子46の変位を停止する。この時はアプローチの
速度が前の段階より遅くなっているので、オーバーラン
が少なくなる。したがって、停止時のプローブ13とメ
ディア41の表面間の距離が小さくなっても両者が衝突
することはない。
【0046】このように待機時にプローブ13をメディ
ア41の表面にアプローチさせた後、帰還制御を停止
し、先の停止時の状態で積層圧電素子の厚みを固定す
る。つまりプローブ13とメディア41の表面間の距離
を固定する。両者の距離を固定した後も、プローブ13
に電圧を印加しつつ書き込み・読み取りを行ってもよ
い。あるいは、両者の距離を固定した後、スイッチを接
地側に接続して、プローブへの電圧印加を止めてから、
書き込み・読み取りを行ってもよい。
【0047】ここで重要なことは、積層圧電素子46は
これに印加する電圧を増減させ、変位が生じると、その
後、電圧を一定にしても変位がゆっくりと変化してしま
う、いわゆるクリープ現象が起きてしまうことである。
これが生じると、いったん積層圧電素子46の位置(厚
み)、すなわちプローブと試料表面間の距離を決めて
も、これが変化してしまう。これを防止するため、電荷
制御回路51、あるいは低電流回路を用いた電荷制御に
よる線形制御方式を用いる。あるいは、積層圧電素子4
6に直列に適当な容量のコンデンサを接続してもよい。
これにより、積層圧電素子46の変位は固定され、よっ
てプローブ13とメディア41の表面間の距離も固定さ
れる。この後、書き込み・読み取りを行うのであるが耐
摺動パッド47がメディア41の表面に接触しサスペン
ションによって一定の力で押し付けられているので、書
き込み・読み取りの動作中もプローブ13とメディア4
1の表面間の距離が変わることはない。帰還動作がない
ので、これが暴走したりして、プローブ13とメディア
41の表面が衝突してしまうことがない。
【0048】このように、アプローチ時に、プローブ1
3とメディア41の表面間の距離が大きい時は速いスピ
ードで両者を接近させつつ、静電引力を用いてプローブ
13とメディア41の表面間の距離が大きい段階から両
者の接近を捉えることによりアプローチ時の衝突を防ぐ
ことができる。プローブ13とメディア41の表面間の
電位差と接近速度を段階的に小さくして、以上のシーケ
ンスを行うことができる。最後のアプローチでは両者の
電位差を小さくして小さい静電引力によるプローブ13
とメディア41の表面間の距離検出を行ってアプローチ
を終了する。
【0049】従来のシアフォースだけのプローブとメデ
ィア表面間の距離検出の場合は、数十nmに接近してか
らでないと両者の接近を検知できないので、アプローチ
の最初から数十nm/sの非常にゆっくりとした速度で
アプローチを行う必要があり、書き込み・読み取り動作
の開始までに非常に時間がかかった。しかし先に延べた
方法により、プローブとメディア表面間の距離に対応し
た接近速度を選ぶことができるので、書き込み・読み取
り開始までの時間を短縮することができる。積層圧電素
子としては数十Vで500μm程度の変位を得るため
に、厚さ2mm程度で20〜30層程度の積層数のもの
を用いる。電圧を印加すると、この厚さが増えるタイプ
のものでもよいが、待機時や、電源off時にプローブ
13とメディア41の表面間の距離が大きくなるように
するために、電圧を印加すると厚みが減るタイプを用い
ることが好ましい。
【0050】次に、本発明の第5の実施例について説明
する。第4の実施例においては、先ず例えば電圧Vaを
2V程度にしてプローブ13とメディア41の表面を接
近させるアプローチを行った後電圧Vaを0.5V程度
にして微調整のアプローチを行っていたが、第5の実施
例では先ず例えば電圧Vaを2V程度にしてプローブ1
3とメディア41の表面を接近させるアプローチを行っ
た後電圧Vaを0V、つまり接地した場合の例である。
ここでは、接地したときのアプローチについて説明する
ものとする。
【0051】第4の実施例と同様に、例えば電圧Vaを
2V程度にし、水晶振動子の出力からプローブの振動振
幅を常に監視しつつ、ランプレートの速い電圧を積層圧
電素子に印加して速いスピードでプローブと試料表面を
接近させる。プローブとメディア表面間の距離が200
nmぐらいになるとプローブとメディア表面間の静電引
力により水晶振動子の振動振幅が小さくなる。これをコ
ンピュータが捉えて積層圧電素子の電圧をホールドして
プローブと試料表面を接近させることを停止する。20
0nm程度からプローブとメディア表面の接近を検知し
停止させれば、検知から停止までの間のオーバーランに
よりプローブとメディア表面が衝突することはない。し
たがって、比較的速い速度(約0.1μm/s)で最初
のアプローチを行うことができる。
【0052】更に、今度はスイッチ29を接地側に切り
替える。これによりプローブ13とメディア41の表面
間の電位差はなくなり、両者には静電引力は働かなくな
る。この後、ランプレートの遅い電圧を積層圧電素子4
6に印加して遅いスピード(約10nm/s)でプロー
ブ13の先端とメディア41の表面を接近させていく。
数十nm程度までプローブ13とメディア41の表面が
接近するとプローブ13とメディア41の表面間のシア
フォースにより水晶振動子22の振動振幅が小さくな
る。所望の距離まで両者が近づいたところで、これをコ
ンピュータ20が捉えて積層圧電素子45の変位を停止
する。この時はアプローチの速度が前の段階より遅くな
っているので、オーバーランが少なくなる。したがっ
て、停止時のプローブ13とメディア41の表面間の距
離が小さくなっても両者が衝突することはない。このよ
うに待機時にプローブ13をメディア41の表面にアプ
ローチさせた後、帰還制御を停止し、先の停止時の状態
で積層圧電素子46の厚みを固定する。つまりプローブ
13とメディア41の表面間の距離を固定する。
【0053】上述した実施例において、プローブの振動
方向は試料又はメディアの表面に対して平行であった
が、これに限定する必要はなく、例えば図5又は図6に
示すように試料又はメディアの表面に対して垂直又はこ
れに近い方向に振動した場合でも同様な動作及び効果を
得ることができる。また、上記各実施例では近接場光を
用いたファイバプローブについて述べたが、本発明はプ
ローブのアプローチ方法に特徴あるので、ノンコンタク
ト型やコンタクト型の原子間力顕微鏡のカンチレバーや
磁力顕微鏡などにも適用可能である。更に、電圧印加を
一回又は段階的に可変してもよい。また、上記各実施例
では、透過光を利用したが、反射光を利用してもよく、
更に光電変換素子として、フォトマルティプライヤテュ
ーブを用いたが、フォトダイオードやアバランシェフォ
トダイオードでもよい。また、上記第2〜第5の実施例
では、コンタクト型スライダを例として示したが、フラ
イング型又はセミコンタクト型スライダでもよく、また
プローブとメディアの表面間の距離を調整するアクチュ
エータとして積層圧電素子を示したが条件が許せば他の
圧電素子でもよいし、磁力を用いたアクチュエータでも
よい。更に、上記各実施例では、プローブの振動を検出
する方法として水晶振動子を用いたが光学的手法により
プローブの振動を検出方法を用いてもよい。
【0054】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変
形や置換可能であることは言うまでもない。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
光ファイバのプローブの近傍に発生する近接場光を利用
するプローブ型顕微鏡は、プローブと試料の表面間の距
離を調整する距離調整機構と、プローブと試料との間に
電圧を印加する電圧印加手段と、プローブに所定の共振
周波数での振動を付与する加振手段と、電圧印加手段に
よって印加した電圧による電場によって、又はプローブ
と試料とが接近することによって発生するシアフォース
によってプローブに生ずる振動振幅の変化を測定する振
動振幅測定手段とを具備する。このような構成を有する
本発明のプローブ型顕微鏡は、先ずプローブと試料との
間に電圧印加手段によって電圧を印加したとき発生する
電場によるプローブにおける振動振幅の変化を振動振幅
測定手段によって測定する。その測定結果に基づいて距
離調整機構を制御してプローブと試料の表面間の距離を
所定の位置まで粗動調整して互いに接近させる。その
後、電圧印加をやめるか、あるいは一定に保った状態
で、プローブと試料とが接近したとき発生するシアフォ
ースによるプローブの振動振幅の変化を振動振幅測定手
段によって測定し、測定結果に基づいて距離調整機構を
制御してプローブと試料の表面間の距離を更に急接近可
能とする微動調整を行う。よって、プローブと試料が衝
突することない、動作速度の速いプローブ型顕微鏡を提
供できる。
【0056】また、別の発明に係る、光ファイバのプロ
ーブの近傍に発生するエバネッセント場中に設置された
メディアの記録層に近接場光を利用して情報を記録再生
する情報記録再生装置は、プローブとメディアの表面間
の距離を調整する距離調整機構と、プローブとメディア
との間に電圧を印加する電圧印加手段と、プローブに所
定の共振周波数での振動を付与する加振手段と、電圧印
加手段によって印加した電圧による電場によって、又は
プローブと試料とが接近することによって発生するシア
フォースによってプローブに生ずる振動振幅の変化を定
する振動振幅測定手段とを具備する。このような構成を
有する情報記録再生装置は、先ずプローブとメディアと
の間に電圧印加手段によって電圧を印加したとき発生す
る電場によるプローブにおける振動振幅の変化を振動振
幅測定手段によって測定する。その測定結果に基づいて
距離調整機構を制御してプローブとメディアの表面間の
距離を所定の位置まで粗動調整して互いに接近させる。
その後、プローブとメディアとが接近したとき発生する
シアフォースによるプローブの振動振幅の変化を振動振
幅測定手段によって測定し、測定結果に基づいて距離調
整機構を制御してプローブとメディアの表面間の距離を
更に急接近可能とする微動調整を行う。よって、プロー
ブ先端とメディア間の衝突が少なく、かつ動作速度の速
い装置を実現できる。
【0057】更に、情報記録再生装置の距離調整機構
は、プローブと接するように設けられ、かつメディアの
表面に摺動可能に設けられ、電圧印加によって生じる圧
電効果に伴う変位現象によってプローブとメディアの距
離を可変する圧電素子を含んで構成している。よって、
回転するメディアの変動に対応してプローブとメディア
の間の距離を一定に保つことができる。
【0058】また、情報記録再生装置の距離調整機構に
おける圧電素子に電荷制御回路を設けたことにより、圧
電素子に生じるクリープ現象を防ぎ、圧電素子の変位を
一定に保つことができ、強いてはプローブとメディアの
間の距離を一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の概略構成を示す図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施例の概略構成を示す図であ
る。
【図3】本発明の第3の実施例の概略構成を示す図であ
る。
【図4】本発明の第4の実施例の概略構成を示す図であ
る。
【図5】プローブの振動方向に別の形態を説明する図で
ある。
【図6】プローブの振動方向に更に別の形態を説明する
図である。
【図7】第1の従来例の概略断面を示す図である。
【図8】第2の従来例の概略断面を示す図である。
【図9】第3の従来例の概略断面を示す図である。
【図10】第4の従来例の概略断面を示す図である。
【図11】第4の従来例における空間周波数と光量変化
の基本波成分との特性を示す図である。
【符号の説明】
13:プローブ、14:試料、15:プリズム、17:
PMT、18:プリアンプ、19,28:A/D変換
器、20:コンピュータ、21:円筒圧電スキャナ、2
2:水晶振動子、23:圧電素子、25:差動増幅器、
26:ロックインアンプ、27:帰還回路、29:スイ
ッチ、30:可変電圧源、31:粗動ステージ、32:
微動ステージ、41:メディア、45:ホルダ、46:
積層圧電素子、47:耐摺動パッド、51:電荷制御回
路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/09 G11B 7/09 B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバのプローブの近傍に発生する
    近接場光を利用するプローブ型顕微鏡において、 プローブと試料の表面間の距離を調整する距離調整機構
    と、 プローブと試料との間に電圧を印加する電圧印加手段
    と、 プローブに所定の共振周波数での振動を付与する加振手
    段と、 前記電圧印加手段によって印加した電圧による電場によ
    って、又はプローブと試料とが接近することによって発
    生するシアフォースによってプローブに生ずる振動振幅
    の変化を測定する振動振幅測定手段とを具備することを
    特徴とするプローブ型顕微鏡。
  2. 【請求項2】 プローブと試料との間に前記電圧印加手
    段によって電圧を印加したとき発生する電場によるプロ
    ーブにおける振動振幅の変化を前記振動振幅測定手段に
    よって測定し、測定結果に基づいて前記距離調整機構を
    制御してプローブと試料の表面間の距離を所定の位置ま
    で粗動調整し、プローブと試料とが接近したとき発生す
    るシアフォースによるプローブの振動振幅の変化を前記
    振動振幅測定手段によって測定し、測定結果に基づいて
    前記距離調整機構を制御してプローブと試料の表面間の
    距離を微動調整する請求項1記載のプローブ型顕微鏡。
  3. 【請求項3】 光ファイバのプローブの近傍に発生する
    エバネッセント場中に設置されたメディアの記録層に近
    接場光を利用して情報を記録再生する情報記録再生装置
    において、 プローブとメディアの表面間の距離を調整する距離調整
    機構と、 プローブとメディアとの間に電圧を印加する電圧印加手
    段と、 プローブに所定の共振周波数での振動を付与する加振手
    段と、 前記電圧印加手段によって印加した電圧による電場によ
    って、又はプローブと試料とが接近することによって発
    生するシアフォースによってプローブに生ずる振動振幅
    の変化を定する振動振幅測定手段とを具備することを特
    徴とする情報記録再生装置。
  4. 【請求項4】 プローブとメディアとの間に前記電圧印
    加手段によって電圧を印加したとき発生する電場による
    プローブにおける振動振幅の変化を前記振動振幅測定手
    段によって測定し、測定結果に基づいて前記距離調整機
    構を制御してプローブとメディアの表面間の距離を所定
    の位置まで粗動調整し、プローブとメディアとが接近し
    たとき発生するシアフォースによるプローブの振動振幅
    の変化を前記振動振幅測定手段によって測定し、測定結
    果に基づいて前記距離調整機構を制御してプローブとメ
    ディアの表面間の距離を微動調整する請求項3記載の情
    報記録再生装置。
  5. 【請求項5】 前記距離調整機構は、プローブと接する
    ように設けられ、かつメディアの表面に摺動可能に設け
    られ、電圧印加によって生じる圧電効果に伴う変位現象
    によってプローブとメディアの距離を可変する圧電素子
    を含んで構成する請求項3又は4に記載の情報記録再生
    装置。
  6. 【請求項6】 前記圧電素子の変位を固定する電荷制御
    回路を設けた請求項5記載の情報記録再生装置。
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