JP2003065935A - 非接触原子間力顕微鏡、磁気力顕微鏡、および静電気力顕微鏡 - Google Patents

非接触原子間力顕微鏡、磁気力顕微鏡、および静電気力顕微鏡

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JP2003065935A
JP2003065935A JP2002217881A JP2002217881A JP2003065935A JP 2003065935 A JP2003065935 A JP 2003065935A JP 2002217881 A JP2002217881 A JP 2002217881A JP 2002217881 A JP2002217881 A JP 2002217881A JP 2003065935 A JP2003065935 A JP 2003065935A
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Osamu Kusumoto
修 楠本
Kazuo Yokoyama
和夫 横山
Yukihiro Umetani
幸宏 梅谷
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 情報再生装置でより周波数の高い信号を再生
することができる。 【解決手段】 カンチレバーの少なくとも2次以上の高
次の共振周波数近傍でカンチレバーを強制振動させ、そ
の振幅、位相または共振周波数の変化を検出して探針と
試料表面の間にはたらく力の力勾配を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非接触原子間力顕微
鏡、磁気力顕微鏡、および静電気力顕微鏡に関するもの
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、試料表面の凹凸をnmオーダーで観
察できる装置として、原子間力顕微鏡(Atomic Force M
icroscope;以後AFMと略記する)が発明されている。
AFMの測定モードには接触型と非接触型の2種類が存
在する。接触型AFMはカンチレバーの自由端に設けら
れた探針を試料表面に1nm以下の距離に接近させ、探針
と試料の間にはたらく力をカンチレバーのたわみとして
検出する。この力は試料と探針の距離によって決まる。
したがってカンチレバーのたわみが一定になるように試
料を上下させながら、カンチレバーに対して走査してや
ると、カンチレバーの動きから表面の凹凸を画像化でき
る。
【0003】非接触AFMは探針を試料から数nmから百
nmの距離に接近させ、カンチレバーの機械的な共振周波
数近傍で強制振動させる。この距離で試料と探針の間に
はたらく力はファンデルワールス力が支配的である。フ
ァンデルワールス力は試料探針間距離によって決まる
が、ファンデルワールス力の距離微分(力勾配と呼ぶ)
もまた距離によって決まる。この状態は探針にカンチレ
バーのばねとファンデルワールス力のばねが接続されて
いると考えることができる。力勾配の変化はファンデル
ワールス力のばね定数の変化であり、探針(カンチレバ
ー)の共振特性を変化させる。力勾配の変化は振動振
幅、位相、共振周波数の変化として検出することができ
る。
【0004】このことを図2のような力学的モデルを用
いてさらに詳しく説明する。カンチレバーのばね定数を
kc、ファンデルワールス力により生ずる探針と試料の間
のばね定数をkf、探針の有効質量をm、空気抵抗などの
減衰定数をc、カンチレバーの強制振動の振幅をA、周
波数をωosc とすると運動方程式は(数1)となり、こ
の解は(数2)となる。
【0005】
【数1】
【0006】
【数2】
【0007】ただし
【0008】
【数3】
【0009】
【数4】
【0010】
【数5】
【0011】である。したがってカンチレバーの振幅、
位相の変化からファンデルワールス力の変化を知ること
ができる。
【0012】非接触型AFMの特徴は、非接触であるが
ために試料探針間での物質のやりとりがなく、また共振
型検出法であるため接触型AFMに比べより高感度であ
ることがあげられる(「ジャーナル・オブ・アプライド
・フィジックス」61巻10号4723頁−4729頁(1987
年)(Y.Martin et al.Journal of Applied Physics61
(10)4723-4729(1987)))。非接触AFMの原理は磁気力
や静電気力を検出するのに、その効力を最もよく発揮す
る。
【0013】走査型磁気力顕微鏡(Magnetic Force Mic
roscope;以下MFMと略記する。)は磁性探針を用い、
試料の磁化との間にはたらく磁気力を検出することによ
って試料表面の磁化分布を画像化する。ところが磁気力
はファンデルワールス力に比べかなり小さく、接触型A
FMが動作する領域ではファンデルワールス力に隠れて
しまい十分なSNで測定することは難しい。ファンデル
ワールス力は試料探針間距離が大きくなるにつれ急激に
減少するが、磁気力は基本的に距離の2乗で変化し、ゆ
るやかに減少する。したがってファンデルワールス力が
比較的小さくなる領域まで探針を試料から離して磁気力
を測定する。磁気力は10-9N以下と微弱であるので、カ
ンチレバーのたわみが小さく測定が困難である。そこで
磁気力そのものではなく、磁気力勾配を高感度の非接触
AFMの原理で測定する。
【0014】静電気力もまた距離の二乗で変化し非接触
のAFMの原理で測定する。半導体デバイスなど表面に
配線パターンを施した試料に信号(電圧)を印加した状
態で導電性探針との間にはたらく静電気力の力勾配を画
像化することによって配線パターンの断線などで信号が
伝わっていない領域を調べることができる。また超高密
度記録の手段として、MFMの探針を磁界源としてポイ
ント記録し、MFMの原理で再生する方法が提案されて
いる(例えば、電子情報通信学会論文誌C−IIVol.J75-
C-II No.11 pp600-610(1992年))。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところが従来のカンチ
レバーを振動させた力勾配の測定では、カンチレバーの
振幅、または位相の変化を検出するため、試料表面の1
ケ所あたりの検出時間は最短でもカンチレバーの振動の
1周期の時間が必要である。カンチレバーの材料の弾性
率をE、密度をρ、長さをL、幅をw、厚さをtとする
とカンチレバーの基本共振周波数f1とばね定数kcは次式
で表される。
【0016】
【数6】
【0017】
【数7】
【0018】したがってより高速な測定をするためには
厚さtを厚くするか、長さLを短くして基本共振周波数
の高いカンチレバーを製作する必要があった。しかし高
感度の測定を行うには、カンチレバーのばね定数が小さ
いことが望ましく、この点から厚さtを厚くすることに
は限度があった。また長さLを短くすると、カンチレバ
ーの振幅を大きくとることが難しく、SN比が低下する
ため長さLを短くすることにも限度があった。
【0019】従来のカンチレバーの共振を用いた力勾配
を検出する方法は、カンチレバーの基本共振を用いてい
た。これは単なる力勾配の測定では多少測定時間が長く
なっても致命的な問題にはならず、また強制振動源の振
幅が同じ場合、探針の振幅は基本共振のときが最大にな
り効率的という点からでもある。ところがMFMを用い
た磁気再生装置を考えたとき測定時間が長いことは致命
的である。例えば画像信号をMPEG2で圧縮して記録
したとしても、転送速度は6Mbps必要であり、した
がって再生速度も6Mbps必要となる。従来MFMで
用いられているカンチレバーの代表的なサイズは、長さ
200μm、幅20μm、厚さが4μmで共振周波数20kHz程
度である(電子情報通信学会論文誌C−IIVol.J75-C-II
No.11 pp600-610(1992年))。したがって6MHzの共振
周波数を得るためには、長さを1/10以下の10μm程度に
する必要がある。しかしカンチレバーの自由端に設けら
れた円錐状の探針は底面部分の直径が10μm以上であ
り、カンチレバーの長さと同等になるため共振現象に影
響が出る可能性がある。
【0020】本発明の目的は、カンチレバーを振動させ
た力勾配の測定をより高速に行うことができる非接触原
子間力顕微鏡、磁気力顕微鏡、および静電気力顕微鏡を
提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、自由端に探針を有するカンチレバーと、前記
カンチレバーの少なくとも二次以上の高次の共振周波数
近傍の周波数で前記カンチレバーを振動させる手段と、
前記カンチレバーの振動の振幅、位相または共振周波数
の変化を検出する手段とを備え、試料に前記探針を接近
させて前記カンチレバーの変化を検出することにより、
前記探針と前記試料表面の間にはたらく力勾配を検出す
る非接触原子間力顕微鏡である。
【0022】また自由端に探針を有するカンチレバー
と、前記カンチレバーの少なくとも二次以上の高次の共
振周波数近傍の周波数で前記カンチレバーを振動させる
手段と、前記カンチレバーの振動の振幅、位相または共
振周波数の変化を検出する手段とを備え、試料に前記探
針を接近させて前記カンチレバーの変化を検出すること
により、前記探針と前記試料表面の間にはたらく磁気力
勾配を検出する磁気力顕微鏡である。
【0023】また自由端に探針を有するカンチレバー
と、前記カンチレバーの少なくとも二次以上の高次の共
振周波数近傍の周波数で前記カンチレバーを振動させる
手段と、前記カンチレバーの振動の振幅、位相または共
振周波数の変化を検出する手段とを備え、試料に前記探
針を接近させて前記カンチレバーの変化を検出すること
により、前記探針と前記試料表面の間にはたらく静電気
力勾配を検出する静電気力顕微鏡である。
【0024】周期的に変化する信号の振幅や位相を検出
するには少なくとも1周期分その信号を測定することが
必要であるが、周波数を上げることによってこの1周期
の時間を短くすることが可能である。図3にカンチレバ
ーの高次共振のモードの概念を示す。二次共振の周波数
は基本共振の周波数の6.27倍であり、三次共振の周
波数は17.56倍、四次共振の周波数は34.41倍
である。
【0025】本発明によればカンチレバーの高次の機械
的共振を用いるので、基本共振周波数がそれほど高くな
いカンチレバーを用いても、カンチレバーの強制振動の
周波数を上げることができる。したがって探針と試料の
間にはたらく力の勾配によって変化する振幅や位相、共
振周波数の変化をより短時間で測定でき力勾配の測定を
高速化できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態として各
実施例を図面を参照して説明する。
【0027】(実施例1)図4に本実施例で用いた非接
触型AFM装置の構成を示す。図4において、41は探
針、42はカンチレバーでその自由端には探針41が設
けられている。カンチレバー42の固定端はカンチレバ
ーホールダー43に固定されており、カンチレバー42
はカンチレバーホールダー43ごと強制振動用圧電体4
4によって強制振動される。試料46は三次元微動素子
47に固定されている。強制振動用圧電体44と三次元
微動素子47は固定台45に固定されている。なお、カ
ンチレバー42は試料46に対して20゜傾けて固定さ
れている。カンチレバー42の上方には半導体レーザー
48と二分割フォトダイオード49が配置されており、
光てこ方式の変位検出系を構成している。
【0028】410は発振器で、ピエゾアンプ411を
通して強制振動用圧電体44に正弦波電圧を印加する。
412はプリアンプで、二分割フォトダイオード49の
2つのフォトダイオードの出力電流を入力とし、これら
を電圧に変換してその差分を出力する。この出力がカン
チレバー42の変位に相当する。413は振幅検出器
で、プリアンプ42の正弦波出力の振幅の大きさに応じ
た直流電圧を出力する。
【0029】414はフィードバックコントローラで、
振幅検出器413の出力とあらかじめ設定された値との
差に応じた出力電圧を発生し、ピエゾアンプ416を通
して三次元微動素子47に印加され試料を上下動する。
415はコンピュータで、試料を横方向に走査するため
に三角波の走査電圧を発生する。走査電圧はピエゾアン
プ416を通して三次元微動素子47に印加され試料4
6を走査させる。
【0030】カンチレバー42には、探針41を一体化
したシリコン製の矩形のものを用いた。カンチレバーの
長さは500μm、幅75μm、厚さ1μmで、ばね定
数は1.3N/mである。まず探針41を試料46から
10mm以上離して周波数を変化させながら強制振動用圧
電体44を0.2nmp-p の一定振幅で振動させた。半導
体レーザー48から直径30μmに絞ったレーザー光を
カンチレバー先端に照射し、反射光を二分割フォトダイ
オード49で受け、プリアンプ412の出力をオシロス
コープで観察したところ、(表1)のように振動の周波
数が28.16kHz、172.6kHz、494.49k
Hzのときに光てこの出力の振幅が極大となった。
【0031】
【表1】
【0032】したがってこのカンチレバーの基本共振周
波数は28.16kHz、二次共振周波数172.6kH
z、三次共振周波数は494.49kHzであることがわ
かった。次にそれぞれの共振周波数でカンチレバーを共
振させた状態で、非接触AFMの測定を行った。試料に
は直交する2方向に0.5μm周期の溝を持つ回折格子
を用いた。まずカンチレバー42の振動振幅が40mVp-
p になる点まで探針を試料に近づけ、この値を維持する
ように力勾配一定モードで10μm×10μmの領域を
測定した。
【0033】試料を探針に対して走査する走査速度を高
めていくと、カンチレバーの基本共振を用いたときは走
査速度が70μm/sを越えると回折格子の溝を検出で
きなくなり、また得られるAFM像に再現性がなくなっ
た。ところが二次共振を用いたときは、420μm/s
付近まで溝を検出でき再現性のよいAFM像が得られ
た。三次共振を用いたときはさらに1.2mm/s付近ま
で溝を検出でき、再現性のよいAFM像を得られた。す
なわちより高次の共振を使うとより高速のAFM観察が
可能であった。
【0034】なお、本実施例では基本共振が28.16
kHzのカンチレバーを用いたが、基本共振周波数のより
高いカンチレバーを用いると高次共振の周波数も高くな
り、さらに高速のAFM観察が可能となる。
【0035】なお、本実施例では、光てこの振動振幅を
直流電圧に変換する振動検出器413としてアナログ回
路で入力信号の二乗値を積分して平方根をとる、いわゆ
るRMS検出回路を用いたが、十分に高速応答可能なロ
ックインアンプを用いてもよい。
【0036】なお、本実施例ではカンチレバーの変位検
出に光てこを用いたが、この他に光干渉法やカンチレバ
ー背面に金属探針を近づけトンネル電流の変化から変位
を求めるSTM方式、カンチレバー背面に近接した電極
とカンチレバー背面に密着した電極の間の静電容量から
変位を求める容量方式、カンチレバーに薄膜圧電体を形
成し圧電効果により変位を求める方式などを用いてもよ
い。しかし光てこには他の方式に比べ以下の長所があ
る。通常、強制振動の振幅が同じ場合、高次共振では基
本共振に比べ自由端の振幅が小さくなり、信号が小さく
なる。ところが光てこを用いる場合はレーザー光を照射
する位置に注意すれば他の方法よりも信号の低下を抑え
ることが出来る。このことを図を参照して説明する。
【0037】図8は探針が同じ位置にあるときの基本共
振と二次共振のカンチレバーの傾きを比較したものであ
る。二次共振では固有振動の腹85は固有振動の節86
をはさんで探針81と逆方向に変位するので二次共振時
のカンチレバー84と水平線87のなす角θ2は、一次
共振時のカンチレバー83と水平線87のなす角θ1よ
りも大きくなる。したがって光てこの入射角、反射角が
大きくなり、探針の振幅が同じ場合、二次共振の方が光
てこの出力は大きくなる。ただし二次共振時のカンチレ
バー84のうち腹よりも固定端よりの部分と水平線87
がなす角θ2'はθ2よりも小さい。したがってカンチレ
バーの固有振動の腹85より自由端よりの部分にレーザ
ー光を照射する方が望ましい。このように自由端の変位
のみならずカンチレバーの傾きの効果もあるので光てこ
方式では、自由端の変位を直接検出する光干渉法やST
M方式などに比べ高次共振を用いたときの出力低下が小
さくなる効果がある。
【0038】尚、強制振動の周波数は必ずしも共振周波
数に正確に一致させる必要はない。図5は強制振動の周
波数を変化させたときの光てこの出力の振幅を測定した
もので、(a)一次共振点と(b)二次共振点の近傍でのカ
ンチレバー振幅の周波数特性を表した図である。ただし
縦軸は光てこのプリアンプ出力である。図5よりカンチ
レバーの共振ピークは共振点を中心として2〜3kHzの
幅を持っており、カンチレバーの強制振動の周波数が、
この共振ピークの中に入っていれば力勾配の測定は可能
である。ただしSNの問題を考えると共振ピークの半値
全幅の中に入っていることが望ましい。
【0039】(実施例2)他の実施例として本発明を走
査型磁気力顕微鏡(MFM)に応用した例を示す。用い
た装置の構成は図4と同じである。ただし探針41とし
てはSi製のカンチレバーの探針の表面にスパッタ法で厚
さ80nmのコバルト・白金・クロム合金を形成したもの
を用いた。試料46には純鉄からなるテープに従来公知
の磁気記録ヘッドで正弦波信号を記録し、5000fr/
mm(磁化反転間隔200nm)の繰り返しパターンを形成
したものを用いた。カンチレバーの共振周波数と共振点
での光てこ出力の振幅の関係は(表2)のとおりであ
る。
【0040】
【表2】
【0041】まず、光てこの出力振幅が50.0mVp-p
になるまで探針を試料に接近させた。次に試料を上下動
させずに横方向に走査し、光てこ出力の振幅変化を画像
化する「高さ一定モード」で10μm×10μmの領域
を測定した。探針の基本共振を用いた場合、試料の走査
速度を75μm/s以下では十分なコントラストをもっ
て試料の磁化パターンを検出できたが、これ以上では磁
化パターンが不鮮明になった。二次共振を用いた場合で
は走査速度が470μm/sまで十分なコントラストで
磁化パターンを検出できた。また三次共振を用いた場合
は走査速度が1.3mm/sまで十分なコントラストで磁
化パターンを検出できた。
【0042】(実施例3)他の実施例として本発明を静
電気力顕微鏡に応用した例を示す。用いた装置の構成は
図4と同じである。ただし、探針41としてはSi製のカ
ンチレバーの探針の表面に真空蒸着法で厚さ30nmのク
ロム薄膜を形成した上に厚さ50nmの金の薄膜を形成し
たものを用いた。試料46には図6のようにシリコン基
板61に櫛形金電極62を埋め込んだものである。櫛形
金電極62は厚さ500nm、幅0.5μm、長さ5mm、
ピッチ0.5μmである。カンチレバーの共振周波数と
共振点での光てこ出力の振幅の関係は(表3)のとおり
である。
【0043】
【表3】
【0044】探針41は接地電位にし、櫛形金電極62
に0.5Vの電圧を印加した状態で、光てこの出力振幅
が40mVp-p になるまで探針41を試料46に近づけ
た。この状態で力勾配一定モードにて10μm×10μ
mの領域を観察した。櫛形金電極62上では探針41は
静電引力をうけるので、シリコン基板61と櫛形金電極
62でコントラストの違う画像が得られる。
【0045】試料を探針に対して走査する走査速度を高
めていくと、カンチレバーの基本共振を用いたときは走
査速度が70μm/sを越えると櫛形金電極のパターン
を検出できなくなり、また得られる像に再現性がなくな
った。ところが二次共振を用いたときは420μm/s
付近まで櫛形金電極のパターンを検出でき再現性のよい
像が得られた。三次共振を用いたときはさらに1.2mm
/s付近まで櫛形金電極のパターンを検出でき、再現性
のよい像を得られた。すなわちより高次の共振を使うと
より高速の観察が可能であった。
【0046】(参考例)本発明を情報再生装置に応用し
た例を示す。図7は本発明を実施するために用いたMF
Mを応用した情報再生装置である。図7において、71
は磁性探針77を磁気ディスクの半径方向に可動させる
ための移動アームである。72は固定台、73は磁気デ
ィスク74を回転させるための精密エアースピンドル
で、固定台72に固定されている。74は情報を記録す
るための磁気ディスクであり、ガラス基板上に垂直磁気
層(コバルト・クロム合金薄膜)と裏打ち層(ニッケル
・鉄合金薄膜)の二層構造を形成したものである。磁気
ディスク74にはあらかじめトラックごとに、最高50
0kHzまで周波数が5kHzずつ異なる正弦波信号が記録
されている。75は磁性探針77と磁気ディスク74の
間隔を調整するための上下方向微動装置である。76は
強制振動用圧電素子、77は磁性探針、78はカンチレ
バー、79はカンチレバー78を磁気ディスク表面に対
して約20゜傾いた状態で固定するカンチレバーホルダ
ーであり、これを介してカンチレバー78は強制振動用
圧電素子76に固定されている。また図示しない半導体
レーザーと二分割フォトダイオードは移動アーム71に
固定され、ピックアップと一緒に移動するため光てこの
光学系は維持されるようになっている。710は磁性探
針77を磁化するための電磁石である。
【0047】磁気ディスク74に記録された信号は磁気
ディスク74を回転させたとき磁性探針77直下の磁界
勾配は記録された信号に応じて変化する。これをMFM
方式で光てこの出力振幅の変化として再生する。本実施
例で使用したカンチレバーの共振周波数と共振点での光
てこの出力信号の振幅は(表4)のとおりである。
【0048】
【表4】
【0049】基本共振周波数25.33kHzでカンチレ
バー78を振動させたときは磁気ディスクに記録された
信号のうち15kHzの信号は再生できたが、20kHz以
上の信号は再生できなかった。ところが二次共振周波数
158.38kHzでカンチレバーを振動させたときは1
00kHzの信号まで再生でき、三次共振周波数444.
9kHzでカンチレバーを振動させたときは400kHzの
信号まで再生できた。
【0050】本参考例の情報再生装置は、磁性探針77
を軟磁性体にし、磁気ディスク74の下に配置された電
磁石710を使うことによって記録装置としても用いる
ことができる。電磁石710から発生した磁束は、磁性
探針77が軟磁性体であるので、磁性探針77に集中し
磁性探針77は磁化される。磁化された磁性探針77は
微小磁界源として磁気ディスク74を磁化させる。磁性
探針77は軟磁性体であるので、電磁石710からの磁
束がなくなれば、磁化はほとんど残らない。したがって
磁気ディスク74を回転させながら電磁石710に流す
電流を情報信号に応じて変調してやれば、磁気ディスク
74に情報信号を記録することも可能である。
【0051】なお、以上の実施例ではカンチレバーの振
幅の変化を検出して信号としたが、利得位相計などを用
いて光てこの出力信号と強制振動用圧電体に印加してい
る正弦波電圧の位相の差を検出してもよい。また前記の
位相差が一定になるように強制振動の周波数を変化さ
せ、この周波数の変化を信号としてもよい。この場合、
強制振動の周波数が常に共振周波数になるように設定す
れば、光てこの出力の振幅が大きくとれるので位相差を
検出するときの誤差が減る。
【0052】
【発明の効果】以上実施例で述べたように、本発明を用
いると力勾配の検出を高速化することができ、探針と試
料の間にはたらく力の力勾配を測定する非接触型AF
M、MFM、静電気力顕微鏡による観察をより短時間で
行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカンチレバーの二次共振モードを表す
線図
【図2】本発明のカンチレバー、カンチレバー先端の探
針、試料からなる系の力学的モデルを示す線図
【図3】(a)〜(d)はカンチレバーの高次共振モー
ドの概念を表す線図
【図4】本発明の一実施例で使用した非接触型AFM装
置の構成図
【図5】(a)は本実施例で使用したカンチレバーの一
次共振点付近での振幅の周波数特性図 (b)は本実施例で使用したカンチレバーの二次共振点
付近での振幅の周波数特性図
【図6】本発明の一実施例で使用した試料の構成を示す
【図7】本発明の他の実施例で使用したMFMを応用し
た情報再生装置の構成図
【図8】探針が同じ位置にあるときの基本共振と二次共
振のカンチレバーの傾きを比較した状態を示す線図
【符号の説明】
1 カンチレバー 2 探針 3 自由端 4 固定端 5 節 6 腹 21 探針の有効質量 22 試料 23 カンチレバー自身のばね定数 24 ファンデルワールス力により生ずる探針と試料の
間のばね定数 25 空気抵抗などの減衰定数 41 探針 42 カンチレバー 43 カンチレバーホルダー 44 強制振動用圧電体 45 固定台 46 試料 47 三次元微動素子 48 半導体レーザー 49 二分割フォトダイオード 61 シリコン基板 62 櫛形金電極 71 移動アーム 72 固定台 73 精密エアースピンドル 74 磁気ディスク 75 上下方向微動装置 76 強制振動用圧電体 77 磁性探針 78 カンチレバー 79 カンチレバーホルダー 81 探針 82 固定端 83 基本共振時のカンチレバー 84 二次共振時のカンチレバー 85 固有振動の腹 86 固有振動の節 87 水平線 410 発振器 411 ピエゾアンプ 412 プリアンプ 413 振幅検出器 414 フィードバックコントローラ 415 コンピュータ 416 ピエゾアンプ 710 電磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅谷 幸宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自由端に探針を有するカンチレバーと、前
    記カンチレバーの少なくとも二次以上の高次の共振周波
    数近傍の周波数で前記カンチレバーを振動させる手段
    と、前記カンチレバーの振動の振幅、位相または共振周
    波数の変化を検出する手段とを備え、試料に前記探針を
    接近させて前記カンチレバーの変化を検出することによ
    り、前記探針と前記試料表面の間にはたらく力勾配を検
    出する非接触原子間力顕微鏡。
  2. 【請求項2】自由端に探針を有するカンチレバーと、前
    記カンチレバーの少なくとも二次以上の高次の共振周波
    数近傍の周波数で前記カンチレバーを振動させる手段
    と、前記カンチレバーの振動の振幅、位相または共振周
    波数の変化を検出する手段とを備え、試料に前記探針を
    接近させて前記カンチレバーの変化を検出することによ
    り、前記探針と前記試料表面の間にはたらく磁気力勾配
    を検出する磁気力顕微鏡。
  3. 【請求項3】自由端に探針を有するカンチレバーと、前
    記カンチレバーの少なくとも二次以上の高次の共振周波
    数近傍の周波数で前記カンチレバーを振動させる手段
    と、前記カンチレバーの振動の振幅、位相または共振周
    波数の変化を検出する手段とを備え、試料に前記探針を
    接近させて前記カンチレバーの変化を検出することによ
    り、前記探針と前記試料表面の間にはたらく静電気力勾
    配を検出する静電気力顕微鏡。
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