以下、本発明を適用した光ピックアップ及び光ディスク装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下で説明する実施の形態は、一具体例であり、本発明の範囲は、これらの態様に限られるものではない。
本発明を適用した光ディスク装置1は、図1に示すように、光記録媒体としての光ディスク2に対して情報の記録再生を行う光ピックアップ3と、光ディスク2を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ4とを備える。また、この光ディスク装置1は、この光ピックアップ3の駆動手段として、光ピックアップ3を光ディスク2の径方向に移動させる送りモータ5を備えている。
また、ここで用いられる光ディスク2は、例えば、発光波長が785nm程度の半導体レーザを用いたCD(Compact Disc)、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、光ディスク2は、例えば、発光波長を655nm程度の半導体レーザを用いたDVD(Digital Versatile Disc)、DVD−R(Recordable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、光ディスク2は、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能なBD(Blu-ray Disc(登録商標))等の高密度記録光ディスクである。
光ディスク装置1において、スピンドルモータ4及び送りモータ5は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ7からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部9によりディスク種類に応じて駆動制御される。このとき、光ディスク2は、所定の回転数で駆動される。
光ピックアップ3は、光ディスク2の記録面に対して光ビームを照射し、この光ビームの記録面による反射光ビームを検出する。また、光ピックアップ3は、光ディスク2の記録面からの反射光ビームに基づいて、各光ビームに対応する信号をプリアンプ14に供給する。
このプリアンプ14は、光検出器からの出力に基づいて、非点収差法等によってフォーカスエラー信号を生成し、また、3ビーム法、DPD法、DPP法等によってトラッキングエラー信号を生成する。更に、プリアンプ14は、RF信号を生成し、RF信号を、信号変調&ECCブロック15に出力する。また、プリアンプ14は、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とをサーボ制御部9に出力する。
信号変調&ECCブロック15は、BD等の光ディスクに対して、データの記録を行うとき、インターフェース16又はD/A,A/D変換器18から入力されたディジタル信号に対して、次のような処理を行う。具体的に、信号変調&ECCブロック15は、LDC−ECC及びBIS等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、1−7PP方式等の変調処理を行う。また、信号変調&ECCブロック15は、DVD等の光ディスクに対してデータを記録するとき、PC(Product Code)等のエラー訂正方式に従ってエラー訂正処理を行い、次いで、8−16変調等の変調処理を行う。さらに、信号変調&ECCブロック15は、CD等の光ディスクに対してデータを記録するとき、CIRC等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、8−14変調処理等の変調処理を行う。そして、信号変調&ECCブロック15は、変調されたデータをレーザ制御部21に出力する。更に、信号変調&ECCブロック15は、各光ディスクの再生を行うとき、プリアンプ14から入力されたRF信号に基づいて復調処理を行い、更に、エラー訂正処理を行って、インターフェース16又はデータをD/A,A/D変換器18に出力する。
なお、データ圧縮してデータ記録するときには、圧縮伸長部を信号変調&ECCブロック15とインターフェース16又はD/A,A/D変換器18との間に設けても良い。この場合、データは、MPEG2やMPEG4といった方式でデータが圧縮される。
サーボ制御部9は、プリアンプ14からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が入力される。サーボ制御部9は、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が0となるようなフォーカスサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらのサーボ信号に基づいて、対物レンズを駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動部を駆動制御する。また、プリアンプ14からの出力より、同期信号等を検出して、CLV(Constant Linear Velocity)やCAV(Constant Angular Velocity)、更にはこれらの組み合わせの方式等で、スピンドルモータをサーボ制御する。また、サーボ制御部9は、記録及び/又は再生をしようとする光ディスク2の種類や後述のような液晶モニタ結果等に応じて、光ピックアップ3における光減衰率を制御する。
レーザ制御部21は、光ピックアップ3のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行うように構成できる。この場合、レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源を切り換えている。
ディスク種類判別部22は、光ディスク間の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から反射光量の変化を検出し光ディスク2の異なるフォーマットを検出することができる。
光ディスク装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスク2の仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
システムコントローラ7は、ディスク種類判別部22で判別された光ディスク2の種類に応じて装置全体を制御する。また、システムコントローラ7は、ユーザからの操作入力に応じて、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録されたアドレス情報や目録情報(Table Of Contents;TOC)に基づいて制御する。ここで、システムコントローラ7は、記録再生を行う光ディスクの記録位置や再生位置を特定し、特定した位置に基づいて、各部を制御する。
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモータ4によって、光ディスク2を回転操作し、サーボ制御部9からの制御信号に応じて送りモータ5を駆動制御する。光ディスク装置1は、光ピックアップ3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
具体的には、光ディスク装置1により記録再生するときには、サーボ制御部9は、CAVやCLVやこれらの組み合わせで光ディスク2を回転する。光ピックアップ3は、光源から光ビームを照射して光検出器により光ディスク2からの戻りの光ビームを検出し、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成する。光ピックアップ3は、これらフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動機構により対物レンズを駆動してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行う。
また、光ディスク装置1により記録する際には、外部コンピュータ17からの信号がインターフェース16を介して信号変復調器&ECCブロック15に入力される。信号変復調器&ECCブロック15は、インターフェース16又はA/D変換器18から入力されたディジタルデータに対して上述したような所定のエラー訂正符号を付加し、更に所定の変調処理を行った後に記録信号を生成する。レーザ制御部21は、信号変復調器&ECCブロック15で生成された記録信号に基づいて、光ピックアップ3のレーザ光源を制御して、所定の光ディスクに記録する。
また、光ディスク2に記録された情報を光ディスク装置1により再生する際には、光検出器で検出された信号に対して、信号変復調器&ECCブロック15が復調処理を行う。信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェース16を介して外部コンピュータ17に出力される。これにより、外部コンピュータ17は、光ディスク2に記録された信号に基づいて動作することができる。また、信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオ・ビジュアル用であれば、D/A変換器18でデジタルアナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオ・ビジュアル処理部19でオーディオ・ビジュアル処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部のスピーカやモニタに出力される。
次に、上述した光ディスク装置に用いられる光ピックアップ3について、図2を用いて詳細に説明する。
本発明を適用した光ピックアップ3は、図2に示すように、所定の波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子等の光源31と、光源31から出射された光ビームを光ディスク2に集光させる対物レンズ32とを備える。また、光ピックアップ3は、光源31と対物レンズ32との間に、光減衰調整デバイス33を構成する液晶素子34と、1/2波長板(HWP)37と、偏光分離素子である偏光ビームスプリッタ36とが設けられている。
液晶素子34は、1/2波長板37と偏光ビームスプリッタ36との間に設けられており、印加電圧に基づいて、光源31から出射され1/2波長板37を介して入射した光ビームの偏光状態を変化させて出射させる。そして、サーボ制御部9には、この液晶素子34の印加電圧を制御する液晶駆動部35が設けられている。液晶駆動部35は、液晶素子34に印加する電圧を制御することにより、液晶素子34から出射させる光ビームの偏光状態を調整する。この液晶素子34により偏光状態を調整された光ビームは、偏光ビームスプリッタ36に入射される。
偏光分離素子である偏光ビームスプリッタ36は、例えばP偏光を略々100%透過させ、S偏光を略々100%反射する分離面36aを有している。この偏光ビームスプリッタ36の分離面36aは、光減衰調整デバイス33の光分岐手段として機能する。すなわち、分離面36aは、液晶素子34で偏光状態を調整された光ビームが入射されることにより、対物レンズ32及び光ディスク2側に導く光ビームの光量を調整する。具体的には、分離面36aは、入射した光ビームのうちP偏光成分を透過して光ディスク2側に導くとともに、S偏光成分を反射して光ディスク2側に導く光ビームから分岐する。このように分離面36aは、液晶素子34で調整された偏光状態に応じた減衰率で光量を低減させることができる。換言すると、この分離面36a及び上述の液晶素子34は、光ディスク2側に導く光ビームから分岐して取り除く割合である光減衰率を調整できる。これにより、光源31から出射される総光量に対する光ディスク2上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させ調整できる。
また、偏光ビームスプリッタ36は、上述のように機能するとともに、後述のように戻り光を光検出器42に導くように機能するものであり、所謂検光子として機能するものである。すなわち、偏光ビームスプリッタ36は、光ディスク2で反射された戻り光ビームの光路を、光源31から出射され偏光ビームスプリッタ36に入射する所謂往路の光ビームから分離する光路分離素子として機能する。具体的に、偏光ビームスプリッタ36に入射する戻り光ビーム、すなわち復路の光ビームは、後述のようにS偏光状態とされる。偏光ビームスプリッタ36は、かかる復路の光ビームを、往路の光ビームの光路から分離するように反射して後述の検出光学素子としてのホログラフィック素子43に導く。
そして、光ピックアップ3は、光減衰調整デバイス33の光分岐手段としての分離面36aにより光ディスク2に導く光ビームから分岐された光ビームを検出する光減衰率検出素子38を有している。この光減衰率検出素子38は、液晶モニタとして機能するものであり、分離面36aにより光ディスク2側に導かれる光ビームから分岐された光ビームが入射される位置に配置される。そして、光減衰率検出素子38は、分離面36aで反射されたS偏光成分の光ビームの光量を検出することで、分離面36aによる光分岐量をモニタすることができる。これにより、光減衰率検出素子38は、液晶素子34及び分離面36aからなる光減衰調整デバイス33による光減衰率を検出する。換言すると、光減衰率検出素子38は、光減衰調整デバイス33により変化された光結合効率を検出することができる。この光減衰率検出素子38で検出された出力は、プリアンプ14に送られる。
このように、液晶素子34及び分離面36aからなる光減衰調整デバイス33は、光減衰率(以下、「アッテネート率」ともいう。)を調整し、光結合効率を必要に応じて低減する機能を有している。さらに、光減衰調整デバイス33は、後述のように、有効径内にアッテネート率の領域分布を有しており、中心部のアッテネート率をより大きくすることで、リムインテンシティ(Rim Intensity)を向上することができる。光ピックアップ3は、光減衰調整デバイス33がリムインテンシティを向上させることで、記録再生特性を改善するとともに、光結合効率を低減させることで、レーザノイズ低減を実現する。このアッテネート率分布形状が、後述のように、アッテネート率の大きな領域を、例えば円形、シリンドリカル形状とされることで、光減衰調整デバイス33は、リムインテンシティの向上と光結合効率の低減とを同時に実現する。尚、アッテネート率分布形状は、アッテネート率が順次変化するようにしてもよいし、複数の光ディスクに対する各光ディスクに応じた分布領域を有するようにしてもよい。
ここで、有効径とは、開口数により決定される対物レンズ32の入射瞳、すなわち、対物レンズ32により光ディスク2に集光される部分に対応する各素子上の径を意味するものとする。尚、この有効径は、液晶素子34等の素子上における対物レンズ入射瞳に対応する径を両素子の間に配置される光学部品を考慮して得られるものである。また、リムインテンシティとは、対物レンズ32の入射瞳中の最大強度に対する瞳端部における光強度の比を表すものである。
かかる光減衰調整デバイス33は、上述のように光強度分布を調整して、アナモルフィックプリズムやアナモルフィックレンズを設けることなく簡易な構成で、リムインテンシティを向上させることができる。この光減衰調整デバイス33は、リムインテンシティを向上させることにより、再生特性を向上させることができる。
また、光ピックアップ3は、偏光ビームスプリッタ36と対物レンズ32との間に、立ち上げミラー39と、1/4波長板(QWP)41とを備える。立ち上げミラー39は、反射透過面39aを有しており、その反射透過面39aにより、対物レンズ32の光軸に直交する平面内で導かれて入射された光ビームを反射して、対物レンズ32の光軸に一致させて1/4波長板41に導く。この立ち上げミラー39は、上述のように光路変更素子として機能するのみならず、入射した光ビームの一部を発光パワーモニター用の発光パワー検出素子40に導く光分離機能を有している。ここでは、光路変更素子として立ち上げミラー39を有するように構成したが、光ピックアップ3を構成する光路変更素子は、例えば板状のミラープレートから構成してもよく、また、これに換えてビームスプリッタ等により構成してもよい。
立ち上げミラー39は、例えばその反射透過面39aにより、入射した光ビームの95%以下程度の一定の比率の光ビームを反射して1/4波長板41に導くとともに、5%程度の一定の比率の光ビームを透過させる。そして、光ピックアップ3は、光源31の発光パワーを検出するための発光パワー検出素子40を有しており、この発光パワー検出素子40は、上述したように、立ち上げミラー39を透過した光ビームが入射される位置に配置される。発光パワー検出素子40は、FPD(フロントフォトダイオード)等とも呼ばれる素子である。そして、発光パワー検出素子40は、反射透過面39aを透過された光ビームの光量を検出することで、反射透過面39aを反射され光ディスク2側に導かれる光ビームの光量を検出することができる。この発光パワー検出素子40で検出された出力は、レーザ制御部21に送られ、オートパワーコントロールの動作が実行される。すなわち、レーザ制御部21は、発光パワー検出素子40からの出力が所定の値となるように、光源31の発光出力を制御する。この制御により、光ディスク2の記録面上における照射光量が一定となされる。尚、光ディスク2の記録面上において所定の値となされる照射光量は、記録モードと再生モードとでは異なる値であり、光ディスクの種類等によっても異なる。また、レーザ制御部21は、例えば、光減衰率検出素子38で液晶素子34の駆動状態を確認した後に、光源31の発光出力を制御することにより、光源31から必要以上の出力等の異常状態で光源31から発光されることを防止できる。
1/4波長板41は、通過する光ビームに1/4波長の位相差を与える。すなわち、1/4波長板41は、立ち上げミラー39を介して導かれたP偏光状態の往路の光ビームを円偏光の状態に変換して、対物レンズ32に導く。また、1/4波長板41は、光ディスク2で反射され対物レンズ32を介して導かれた円偏光の状態の復路の光ビームをS偏光の状態に変換して、立ち上げミラー39を介して偏光ビームスプリッタ36に導く。このように、1/4波長板41は、光路における光ディスクの前後で2回通過させることにより、往路の光ビームと復路の光ビームとを異なる偏光状態にすることができる。これにより、上述したビームスプリッタ36の分離面36aは、往路の光ビームの光路と、復路の光ビームの光路とを分離して後述の検出光学素子としてのホログラフィック素子43に導くことができる。
また、光ピックアップ3は、光ディスク2で反射され偏光ビームスプリッタ36で往路の光ビームから分離された復路の光ビームを検出するための、光検出手段として光検出器42を備えている。また光ピックアップ3は、偏光ビームスプリッタ36と光検出器42との間に、偏光ビームスプリッタ36から導かれた復路の光ビームを光検出器42で検出させるための検出光学素子としてのホログラフィック素子43を備える。
ホログラフィック素子43は、偏光ビームスプリッタ36の分離面36aで反射された光ビームを光検出器42の受光部に集光させるとともに、フォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与する。尚、この光ピックアップ3では、検出光学素子として所謂ホログラフィックプレート等のホログラフィック素子43を有するように構成したが、例えば、発散角を変換する発散角変換レンズやシリンドリカルレンズ等のレンズからなるように構成してもよい。
光検出器42は、各種信号を得るための複数の受光領域を有する受光素子からなる受光部を有し、複数の受光領域で各ビームを受光することにより各種信号を検出する。この光検出器42で検出された信号は、プリアンプ14に送られる。プリアンプ14及びサーボ制御部9は、光検出器42から出力する信号に基づいて、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を生成することができる。尚、これに限られるものではなく、光検出器42側でかかる信号を生成し、サーボ制御部9が、かかる信号に基づいて各種サーボ信号を生成するように構成してもよい。
ここで、上述した光ピックアップ3における、光源31から出射された光ビームの光路について説明する。
光源31から出射された光ビームは、1/2波長板37を介して液晶素子34に入射され、液晶素子34で偏光状態を調整され、偏光ビームスプリッタ36に入射される。偏光ビームスプリッタ36に入射された光ビームは、入射された光ビームの偏光状態に応じて分離面36aを透過され、結果として上述のように減衰され光量を調整された状態で立ち上げミラー39に導かれる。また、かかる偏光ビームスプリッタ36を出射された光ビームは、液晶素子34のアッテネート率の領域分布と、制御される印加電圧とにより、光結合効率を調整されるとともにリムインテンシティを調整された状態とされている。また、このとき、偏光ビームスプリッタ36で反射されたS偏光成分の光ビームは、アッテネート率のモニター用として、分離面36aで反射され、立ち上げミラー39側に導かれる光ビームから分岐され、光減衰率検出素子38で受光される。偏光ビームスプリッタ36で分岐された光ビームを受光した光減衰率検出素子38は、この分岐された光ビームの光量を検出して、その結果を検出信号としてプリアンプ14に供給する。光ピックアップ3は、この光減衰率検出素子38で検出された結果により、液晶素子34からなる光減衰調整デバイス33が所定の状態として機能していることを確認することができる。
偏光ビームスプリッタ36の分離面36aを透過された光ビームは、立ち上げミラー39により反射され1/4波長板41に導かれる。このとき、立ち上げミラー39の反射透過面39aによりその一部を光量検出用として透過された光ビームは、発光パワー検出素子40で受光される。反射透過面39aにより光ディスク2に照射される光ビームから分岐された光ビームを受光した発光パワー検出素子40は、この分岐された光ビームの光量を検出して、その結果を検出信号としてレーザ制御部21に供給する。光ピックアップ3は、この発光パワー検出素子40で検出された結果に基づいて、レーザ制御部21により光ディスク2の記録面上における照射光量が所定量となるようにすることができる。
偏光ビームスプリッタ36により1/4波長板41に導かれた光ビームは、1/4波長板により円偏光状態とされ、対物レンズ32により光ディスクの信号記録面上に集光される。このとき、対物レンズ32は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号等に基づいたサーボ信号により例えば二軸アクチュエータ等により、フォーカス方向及びトラッキング方向に駆動される。かかる二軸アクチュエータは、例えば、光検出器42で検出された検出結果に応じて対物レンズ32を対物レンズの光軸方向であるフォーカス方向及びこの光軸方向に直交するトラッキング方向に駆動するように構成される。この二軸アクチュエータに駆動されることにより、対物レンズ32により集光される光ビームは、光ディスクの所定のトラック上に適切に集光した状態で追従される。
光ディスクの信号記録面で反射された戻り光ビームは、対物レンズ32、1/4波長板41、立ち上げミラー39を介して偏光ビームスプリッタ36に入射される。この際、1/4波長板41を通過した光ビームは、S偏光状態とされる。
偏光ビームスプリッタ36に入射された戻り光ビームは、分離面36aにより反射され、ホログラフィック素子43を介して光検出器42の受光部で受光されて検出される。プリアンプ14及びサーボ制御部9は、光検出器42で検出された信号に基づいて、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等の各種信号を生成することができる。
以上のように、光ピックアップ3は、光ディスク2に対して光源31から出射された光ビームを照射して、光ディスク2で反射された戻り光ビームを光検出器42で検出することにより、光ディスク2に対して情報信号の記録及び/又は再生を行うことができる。
ところで、上述した液晶素子34及び液晶駆動部35は、偏光ビームスプリッタ36とともに、光減衰調整デバイス33として機能する。この光減衰調整デバイス33は、液晶素子34を通過する光ビームの偏光状態を調整し分離面36aを通過させることにより光量を減衰させて低減させることにより、光結合効率を調整することができる。さらに、光減衰調整デバイス33は、この光結合効率を調整制御するとともにリムインテンシティを調整することができるものであるが、この点について以下に詳細に説明する。尚、本発明を適用した光ピックアップを構成する光減衰調整デバイス33は、液晶素子34等からなるものに限られるものではないが、ここでは、まず液晶素子34等からなる構成について詳細に説明する。
かかる光減衰調整デバイス33は、領域に応じて選択的な光減衰(以下「アッテネート」ともいう。)を行うことにより、光強度分布を所望の任意の分布に変化させるためのデバイスである。また、偏光ビームスプリッタ36は、光ピックアップ3において検光子として機能するので、この光減衰調整デバイス33による選択的なアッテネートは往路光のみ効果があり、光ディスクで反射された反射光ビーム、すなわち検出光への影響はない。
具体的に、光減衰調整デバイス33を構成する液晶素子34は、例えば駆動電圧を印加すると液晶分子の向きが揃い、直線偏光で入射した光源からの光ビームをすべてそのままの状態で出射されるように配置されている。そして、偏光ビームスプリッタ36は、図3に示すように、この直線偏光状態の光ビームを全て透過して、対物レンズ32及び光ディスク2側に導くように配置されている。尚、図3中、Pは当該光ビームがP偏光状態であることを示し、Sは当該光ビームがS偏光状態であることを示すものである。
液晶素子34は、その一方で駆動電圧を印加されていないときには、任意の形状に形成された複数の領域毎に異なるアッテネート率が分布するような液晶分子の配向を有するように構成されている。そして、具体的には、液晶素子34は、図4(a)に示すような、中心部分に形成された略円形状の第1の領域34aと、その周囲の外側部分に形成された第2の領域34bとを有している。第1の領域34aは、第2の領域34bに比べて高いアッテネート率で、偏光ビームスプリッタ36を出射される際に、光を減衰させるように構成されている。換言すると、第1の領域34aは、第2の領域34bに比べてS偏光成分を多く含むような状態となるように入射した光ビームの偏光状態を調整して偏光ビームスプリッタ36側に出射させる。尚、第2の領域34bのうち図4(a)中破線Rで示す有効径の外側の部分は、この部分を通過する光ビームが用いられないため、外側領域は、第2の領域34bのうち破線Rの内側の部分、すなわち環状(リング状)に形成するように構成してもよい。これは、有効径の外側を通過する光ビームは対物レンズへの入射光の開口制限を行う図示しない開口制限デバイスにより開口制限されるからである。
かかる液晶素子34及び偏光ビームスプリッタ36を通過した後の光ビームの光強度分布は、図5(a)に示すような略ドーナツ型(リング型)の光強度分布を有することとなる。これに対し、液晶素子34に駆動電圧を印加して液晶分子の向きを揃った状態では、図5(c)に示すような光強度分布を有している。このアッテネートを行わない図5(c)の状態と、所定の選択的なアッテネートを施した図5(a)及び後述の図5(b)の状態とを比べその差異が、かかる光減衰調整デバイス33の機能を表すものである。
ここで、図5(a)〜図5(c)は、対物レンズ瞳に相当する有効径内の光強度分布を模式的に示すものであり、有効径外の部分は光路中のいずれかの場所に設けた図示しない開口制限デバイスにより開口制限されているものとして説明する。図5(a)〜図5(c)中、DL1は、アッテネートされることにより光強度が低減された領域を示し、DL2は、アッテネートされず光強度が比較的高い領域を示す。また、DL3は、アッテネートされないが元々光強度が比較的低い領域を示し、DL4は、開口制限により光強度がゼロにされるため光強度を考慮する必要がない領域を示すものである。ここで、図5及びここに記載される領域DL1〜DL3は、それぞれの領域内部及び境界部においてそれぞれ徐徐に変化する光強度の分布を有するものであるが、ここではこれを模式的に示したものである。ここで、模式的に示したのは、アッテネートされる位置や光ビームの強度分布の方向等を概念的に説明するためである。また、DL3とDL4との境界は、対物レンズ瞳に相当する有効径Rである。尚、ここで説明する図3乃至図5の例においては、図5(c)に示すようにレーザ光源を45度傾けた例として説明したものである。
すなわち、光源31から出射される光ビームは、光軸に直交する断面において楕円形状の光ビームとされるが、この楕円の長軸方向X1及び短軸方向X2がラジアル方向Rad及びタンジェンシャル方向Tanに対して45度傾斜されるように配置されている。すなわち、図5(c)のDL2に示すように、長軸方向X1に向けて光強度が比較的高い領域が形成されることとなる。また、このように配置することにより、ラジアル方向Rad及びタンジェンシャル方向Tanにおける光強度分布を同一の分布にすることができる。
図5(a)に示すような状態で、ラジアル方向Rad及びタンジェンシャル方向Tanの単軸で光強度分布を示したのが、図6(a)である。これに対し、図5(c)に示すようなアッテネートを行わない状態に対応して、ラジアル方向Rad及びタンジェンシャル方向Tanの単軸で光強度分布を示したのが、図6(b)である。尚、上述した1/2波長板37は、このように光源31が45度傾斜されており、楕円形状を所定の方向に向けた場合の、図3に示す液晶素子34に入射する偏光状態をP偏光状態とするために設けられている。
また、図6(a)及び図6(b)における線分L11、L13は、上述したように偏光ビームスプリッタ36から出射される光ビームの光強度分布を示すものである。図6(a)における線分L12は、光減衰調整デバイス33によるアッテネートされる成分を示すものである。図6(a)及び図6(b)中横軸は、対物レンズ瞳半径を示すものであり、縦軸はL11,L13に対しては対物レンズ入射光強度を示し、L12に対してはアッテネート率(「ATT率」ともいう。)を示すものである。尚、ここではφ2.4の対物レンズを用いた場合について示している。図6(a)に示すように、図6(b)のようなガウス分布に対して、光軸中心の部分が選択的に強くアッテネートされるとともに、全体的な光強度が低減されたものである。このように、光減衰調整デバイス33は、光軸中心の部分を部分的に強くアッテネートすることによりリムインテンシティを向上でき、再生時における全体的な光強度を低減することによりレーザノイズを低減できる。
以上のように光減衰調整デバイス33は、液晶素子34が、有効径の中心部分に形成された略円形状の第1の領域34aと、第1の領域34aの外側に形成された第2の領域34bとを有するように、構成されている。光減衰調整デバイス33は、このように通過する光ビームの有効径内において複数の領域34a,34bに分割され、入射した光ビームを通過する領域に応じた偏光状態に変化させることで、通過する領域に応じた減衰率で光量を低減して調整することが可能である。すなわち、この第1及び第2の領域34a,34bは、それぞれ通過した光ビームを偏光分離部である偏光ビームスプリッタ36の分離面36aを介して異なる減衰率で対物レンズ32側に導く。そして、第1の領域34aは、第2の領域34bに比べて高い減衰率を有するように入射した光ビームの偏光状態を変化させる。
尚、上述で、液晶素子34は、駆動電圧を印加されていないときに、第1及び第2の領域34a,34bにおいて異なるアッテネート率が分布するような液晶分子の配向を有するようにされるものとした。また、上述の液晶素子34は、駆動電圧を印加された際に、液晶分子の配向の向きが揃って、この選択的なアッテネート率を有さないように構成したが、これに限られるものではない。すなわち、液晶素子は、駆動電圧が印加されていないときは、選択的なアッテネート率を有さないようにし、駆動電圧が印加されたときに、選択的なアッテネート率が分布するように構成してもよい。すなわち、液晶素子は、駆動電圧を印加されたときと、印加されていないときとにおいて通過する光ビームの偏光状態を変化させるように構成すればよい。そして、かかる液晶素子を有する光減衰調整デバイス33は、例えば、再生時に、入射した光ビームを通過する領域に応じた減衰率で光量を低減して対物レンズ32側に導くことで、後述のように良好な再生特性を得ることができるからである。
また、図4(a)、及び後述の図4(b)〜図4(d)を用いて説明した光減衰調整デバイス33の液晶素子34は、図2を用いた光ピックアップ3のように発散光中において配置されている。よって、液晶素子34における第1及び第2の領域34a,34b等の複数の領域は、対物レンズ32の射出瞳上で所望の光強度分布になるように形成されている。
また、液晶素子34における分割領域の構成は上述に限られるものではなく、例えば、図4(b)に示すように、構成してもよい。すなわち、有効径Rで形成された円を所定の方向の一対の分割線により分割することにより形成された帯状の第1の領域34cと、その第1の領域34cの外側に形成される第2の領域34dとを有するように構成してもよい(図4(b))。かかる図4(b)に示す例においては、第1の領域34cは、第2の領域34dに比べて高いアッテネート率で、偏光ビームスプリッタ36を出射される際に、光を減衰させるように構成されている。換言すると、第1の領域34cは、第2の領域34dに比べてS偏光成分を多く含むような状態となるように入射した光ビームの偏光状態を調整して偏光ビームスプリッタ36側に出射させる。
また、液晶素子34における分割領域の構成は上述に限られるものではなく、例えば、図4(c)に示すように、構成してもよい。すなわち、有効径を分割するような所定の方向の一対の分割線により分割することにより形成された帯状の第1の領域34eと、その第1の領域34eの両側に形成される第2及び第3の領域34f,34gとを有するように構成してもよい(図4(c))。かかる図4(c)に示す例においては、第1の領域34eは、第2及び第3の領域34f,34gに比べて高いアッテネート率で、偏光ビームスプリッタ36を出射される際に、光を減衰させるように構成されている。換言すると、第1の領域34eは、第2及び第3の領域34f,34gに比べてS偏光成分を多く含むような状態となるように入射した光ビームの偏光状態を調整して偏光ビームスプリッタ36側に出射させる。図4(b)及び図4(c)に示すような液晶素子34及び偏光ビームスプリッタ36を通過した後の光ビームの光強度分布は、図5(b)に示すような略シリンドリカルな光強度分布を有することとなる。ここで、第1の領域34c,34eの長手方向である帯状の形成方向は、ラジアル方向Rad及びタンジェンシャル方向Tanに対してそれぞれ45度傾斜された方向である。そして、第1の領域34c,34eの形成方向は、上述した長軸方向X1と同一方向とされている。
さらに、液晶素子34における分割領域の構成は上述に限られるものではなく、例えば、図4(d)に示すように構成してもよい。すなわち、中心部分を略含むとともにタンジェンシャル方向に延設されて形成された第1の領域34hと、第1の領域34hの外側に形成された第2の領域34iとを有するように構成してもよい(図4(d))。かかる図4(d)に示す例においても、第1の領域34hは、第2の領域34iに比べて高いアッテネート率で偏光ビームスプリッタ36を出射される際に、光を減衰させるように構成されている。換言すると、第1の領域34hは、第2の領域34iに比べてS偏光成分を多く含むような状態となるように入射した光ビームの偏光状態を調整して偏光ビームスプリッタ36側に出射させる。尚、この第1の領域34hは、上述した図4(a)に示す第1の領域34aを含むとともに後述のプッシュプル領域に重ならないようにタンジェンシャル方向に延設した領域を有して形成されている。
図4(b)〜図4(d)に示すような分割領域を有する液晶素子34は、上述した図4(a)に示す分割領域を有する場合と同様に、リムインテンシティの向上と、光強度の低減とをともに実現する。
このように、液晶素子34及び偏光ビームスプリッタ36からなる光減衰調整デバイス33は、例えば第1及び第2の領域34a,34bにより光結合効率を低減することができる。また、光減衰調整デバイス33は、中心部分に形成された第1の領域34aのアッテネート率が外側部分に形成された第2の領域34bのアッテネート率よりも大きくされていることからリムインテンシティを向上させることができる。
そして、LDノイズ低減と盤面上の解像度の向上を同時に実現する光減衰調整デバイス33は、例えば、再生(read)時は選択的なアッテネート効果を与え、記録(write)時はその効果をオフするように構成される。これにより、所定の選択的なアッテネート効果により、リムインテンシティを向上等して再生特性を向上させることができる。また、光ディスクへの記録は熱記録により行われるため、記録時は再生時ほど盤面上のスポット径を気にする必要はないからである。具体的に、システムコントローラ7に制御された液晶駆動部35は、再生及び記録の状態に応じて、液晶素子34に印加する電圧を制御することにより、この選択的なアッテネートのon/offを切り替えることができる。
よって、かかる光減衰調整デバイス33を有する光ピックアップ3は、光減衰調整デバイス33がリムインテンシティを向上させることで、記録再生特性を改善するとともに、レーザノイズ低減を実現する。
また、光減衰調整デバイス33は、上述の複数の領域により、対物レンズ32のレンズシフトに関わらず受光部におけるプッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させるように構成されている。これは、上述した第1及び第2の領域34a,34bのような分割領域は、領域分布の大きさや、各領域によるアッテネート率の比率によっても、異なる特性を有するものであるからである。そして、所定の形状や大きさとして、プッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させることで、後述のように良好な記録再生特性を得ることを実現する。さらに、レンズシフトを考慮してプッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させることにより、後述のようにレンズシフトによらず良好な記録再生特性を得ることを実現する。
次に、光減衰調整デバイス33における最適な領域分布の大きさや、アッテネート率の比率について説明する。まず、図4(a)で説明した円形状の中心領域を有する例を用いて、この第1の領域34aが大きすぎる場合には、プッシュプル信号に悪影響を及ぼす点について説明する。これに先立ち、まず、トラッキングエラー信号を生成する手法としてプッシュプル法について説明する。
プッシュプル法でトラッキングエラー信号を検出する場合には、光検出器42の受光部44は、図7に示すように、4つの分割領域A,B,C,Dに分割されている。そしてプッシュプル信号PPは、この分割領域における出力をA,B,C,Dとしたときに、PP=(A+D)−(B+C)により得られる。
かかるプッシュプル信号PPと、光ディスクのトラックに対物レンズ32により集光されたスポット位置との関係について図を用いて説明する。プッシュプル信号は、グルーブ、ピット等からなる光ディスクの信号記録面に集光された光ビームが、この記録面で反射される際に、グルーブ及びピットが回折格子として機能して発生した回折光を用いて得られるものである。尚、以下では、信号記録面で回折されて発生した±1次回折光と、信号記録面で反射された0次光との受光部上で重なる領域を「プッシュプル領域」という。
そして、例えば、図8(b)及び図8(d)に示すようにピット又はグルーブの中心付近の位置P2,P4に光ビームが集光された場合には、+1次回折光BP1と−1次回折光BM1とが同様の状態で発生する。そして、0次光B0と、この±1次回折光BP1,BM1とは、図8(f)及び図8(h)に示すように、受光部上で集光され、両プッシュプル領域AP1,AP2の光量が同じであるため、図8(i)に示すように、プッシュプル信号PPは、0となる。図8(a)〜図8(d)中のB0,BP1,BM1は、それぞれ盤面で反射・回折された0次光及び±1次回折光の強度分布の拡がりと、0次光を基準とした位相のズレを模式的に表したものである。
これに対し、図8(a)及び図8(c)に示すようにピット及びグループの境界付近の位置P1,P3に光ビームが集光された場合には、+1次回折光BP1と−1次回折光BM1とが異なる状態で発生する。そして、図8(e)及び図8(g)に示すように、プッシュプル領域AP1,AP2の一方の領域で0次光と1次回折光の位相が揃い強め合っている状態とされ、他方の領域では0次光と1次回折光の位相が反転し弱めあっている状態とされ、図8(i)に示すようにプッシュプル信号PPは、それぞれ最小、最大となる。尚、図8(e)の場合には、プッシュプル領域AP1の方がプッシュプル領域AP2よりも光強度が弱い状態とされている。また、図8(g)の場合には、プッシュプル領域AP1の方がプッシュプル領域AP2よりも光強度が強い状態とされている。このように、集光される位置に応じたプッシュプル信号PPが図8(i)に示すように得られる。そして、このプッシュプル信号PP等に基づいてトラッキングサーボを行うものである。尚、図8中GPは、光ディスクの信号記録面に形成されるグルーブ(Groove)及びピット(Pit)を示すものである。また、図8中TPは、トラックピッチを示すものである。
次に、上述のプッシュプル信号を考慮して分割領域の大きさを決定する必要があることについて説明する。以下では、図4(a)で説明した第1の領域34aが大きすぎる場合には、プッシュプル信号に悪影響を及ぼす点について説明する。
上述したような光減衰調整デバイス33の分割領域の大きさを決定するときは、再生信号やサーボ信号への影響がないようにするため、プッシュプル領域とレンズマージンを考慮する必要がある。具体的には、図9(a)に示すように、大きくアッテネートした領域A34aが受光部上に位置することとなるが、この領域がプッシュプル領域AP1,AP2に重ならないように分割領域を設定する必要がある。尚、図9(a)及び図9(b)中、ABP1、ABM1は、それぞれ、グルーブ及びピットが回折格子として機能したことにより発生した±1次回折光により形成されたスポットを示す。また、AB0は、0次光により形成されたスポットを示す。
さらに、対物レンズのレンズシフトを考慮して分割領域を設定する必要がある。すなわち、図9(b)に示すように、レンズシフトが起こると、プッシュプル領域AP1,AP2は、対物レンズ32と連動して動くが、アッテネート率分割領域は固定されているので、その場合もプッシュプルにかからないように考慮する。これは、対物レンズ32がシフトした際にも、光減衰調整デバイス33を構成する液晶素子34は、レンズシフトによらずシフトしないからである。そして、レンズシフトがある場合、具体的に、図9(b)に示すように、スポットAB0,ABP1,ABM1及びプッシュプル領域AP1,AP2に対して、アッテネートした領域A34aが相対的に移動することとなる。図9(b)では、第1の領域34aによりアッテネートした領域A34aが、プッシュプル領域AP2に重なった状態となっているため、この状態よりも小さい分割領域を第1の領域34aとする必要がある。
次に、光減衰調整デバイス33における領域分布の適切な大きさについて説明する。すなわち、この瞳上のプッシュプル領域に選択的なアッテネート率分割領域がかかると、トラッキングエラー信号に影響を及ぼすことが危惧されるため、これを考慮して決定されるアッテネート率分布領域について、図10(a)〜図10(c)を用いて説明する。
光ディスクの信号記録面により発生する±1次回折光の回折角度θmは、次式(1)により算出することができる。この式(1)により算出される回折角度θmを、透過型の回折構造の例で示したのが図10(c)である。尚、この回折角度θmは、0次光の光軸に対する、±m次回折光の光軸の角度である(±1次回折光の場合は、m=±1)。また、+1次回折光及び−1次回折光の、0次光に対するシフト量Sは、次式(2)により算出される。ここで、式(1)及び式(2)中、mは、回折次数を示し、pは、周期構造の周期を示し、λは、光ビームの波長を示し、NAは、対物レンズの開口数を示すものとする。
sinθm=m×(λ/p) ・・・(1)
S=λ/(NA×p) ・・・(2)
そして、対物瞳半径を1としてトラックピッチ(周期構造)をpとすると、図10(a)に示すように、対物瞳上でプッシュプル領域にかからない領域の半径rは以下の式(3)で算出される。例えば、BDの場合には、λ=0.405[μm]、NA=0.85、p=0.32[μm]なので、次式(4)のように算出される。
r=λ/(NA×p)−1 ・・・(3)
r=1.49−1=0.49 ・・・(4)
さらに、図10(b)に示すように、対物レンズシフトを考慮すると、対物瞳径をφとし、考慮すべきレンズシフト量を±δ[μm]としたとき、rは、次式(5)で算出される。例えば、上述したBDの条件で、考慮すべきレンズシフトδが、δ=±120[μm]であり、対物瞳径φが、φ=2.4とすると、次式(6)のように算出される。
rLS=λ/(NA×p)−1−(2×δ/φ) ・・・(5)
rLS=1.49−1−0.1=0.39 ・・・(6)
これにより、上述のような条件設定をした場合、対物瞳上で少なくともr=0.39以下の領域で選択的なアッテネート率分布領域をもたせてやると、サーボ信号への影響を心配しなくてもよいということになる。
これを一般化すると、レンズシフトを考慮しない場合には、r≦λ/(NA×p)−1とされた規格化半径rで形成された第1の領域34aを構成すれば、プッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させることができる(図10(a))。また、レンズシフトを考慮する場合には、rLS≦λ/(NA×p)−1−(2×δ/φ)により決定される規格化半径rLSで形成された第1の領域34aを構成すれば、プッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させることができる(図10(b))。ここで、規格化半径とは、例えば図4(a)に示すような第1及び第2の領域34a,34bを有する場合には、有効径Rに対する第1の領域34aの径の割合を示すものである。ここで説明した、最適な分割領域は、図4(a)においてのみ適用されるものではない。例えば、図4(b)及び図4(c)に示すような場合においては、上述したプッシュプル領域にかからない範囲で第1の領域34c,34eを決定すれば、上述と第1の領域34aの場合と同様の効果が得られる。また、図4(d)に示すような場合には、第1の領域34aと略同等の部分を含むとともに上述したプッシュプル領域にかからない範囲でタンジェンシャル方向に延設された範囲で第1の領域34hを決定すれば、上述と同様の効果が得られる。
以上のように、光減衰調整デバイス33は、上述の関係式を満たすような第1の領域34a等を形成することにより、対物レンズ32のレンズシフトに関わらず受光部におけるプッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させることができる。尚、厳密にはここで説明したとおりであるが、この範囲を僅かに超えたとしても、光減衰調整デバイス33は、複数の領域により、対物レンズのレンズシフトに関わらず受光部におけるプッシュプル領域に影響を与えない範囲で光強度分布を変化させることができる。例えば、後述のようにr=0.5程度であればプッシュプル領域に影響を与えないで光強度分布を変化させることができる。但し、上述の関係式を満たす光減衰調整デバイス33を設けることにより、より確実に上述の効果を得ることができ、すなわち、良好な光減衰効果とリムインテンシティの向上の効果等を得ることができる。
次に、光減衰調整デバイス33における適正なアッテネートの割合について説明する。上述したような対物レンズ入射瞳強度分布として図6(a)に示すような分布となるように図4(a)の第1及び第2の領域34a,34bを設けたと想定した場合に、MTFを計算すると、図11に示すようなグラフとなる。ここで、MTF(modulation transfer function)は、変調伝達関数を示すものである。図11(b)は、図11(a)の2T付近の比較的高域部分を拡大して示すものである。図11(a)及び図11(b)中LAonは、かかる領域分布によりアッテネータを施した場合のMTF曲線であり、LAoffは、これと比較するためのアッテネータを施さない場合のMTF曲線である。また、図11中横軸は、空間周波数[cycles/mm]を示し、縦軸は、解像度(modulation)を示すものである。
ここで、それぞれマーク長を有するピット及びグルーブを1周期としたとき、空間周波数[cycles/mm]は、単位長さあたりにピットが何周期続くかを表すものである。よって、空間周波数f[cycles/mm]は、マーク長をd[μm]とすると、f=1/(2×d/1000)の関係式で算出することができる。例えば、上述したBDの場合は、2T,3T,5T,8Tは、表1に示すとおりとなり、記録面密度30GBディスクの場合は、2T,3T,5T,8Tは、表2に示すとおりとなる。
このとき、アッテネート率は、内側に設けられ強くアッテネートする第1の領域34aのものをATThighとし、外側に設けられる第2の領域34bのものをATTlowとしたとき、ATThigh/ATTlow=1.4となるように設定されている。以下、このATThigh/ATTlowで示すアッテネート率を「ATThigh/low」ともいう。また、内側領域である第1の領域34aの半径は、対物瞳半径に対応する有効径を1としたときに、0.5となるように設定されている。また、レーザの発散角は、半導体レーザの層方向に平行に広がる角度をθ1とし、それに垂直に広がる角度をθ2としたときに、θ1=7.5[deg]、θ2=19.5[deg]となるように設定されている。
図11(a)及び図11(b)に示すように、かかる構成とされた光減衰調整デバイス33によるアッテネート率分布が、高域(2Tマーク付近)の解像度を上げる効果があることがわかる。すなわち、図11(b)に示すように、空間周波数3355.7[cycles/mm]付近において、アッテネートを施したMTF曲線を示すLAonが、アッテネートを施さないMTF曲線を示すLAoffより、解像度が向上されている。実際には、理論上1dB程度の効果がある。
また、図6(a)に示すような光強度分布を有する光ビームを光ディスク上に結像させると、スポット径は小さくなるが、サイドローブ成分が大きくなることが知られている。このサイドローブがどの程度トラック間のクロストークに影響を及ぼすかが問題となる。図12は、図6(a)に示すような光強度分布を有する光ビームのPSFであり、トラック上に結像させたときの光強度分布である。この図8は、サイドローブ成分を強調して示す図である。ここで、PSF(Point spread function)は、点像強度分布関数、すなわち点光源の光学系による像のエネルギー強度分布を示すものである。図12中、Toは、光ディスクの信号記録面における、対物レンズにより光ビームが集光され追従されるトラックを示し、T1,T2は、それぞれ隣接トラックを示している。DMは、光強度が高い領域を示し、DS1は、サイドローブに相当して光強度がある程度存在する領域を示し、DS2は、サイロローブの周辺に相当してDS1の領域よりは低いが光強度が僅かに存在する領域を示す。
図12によれば、隣接トラックにサイドローブ成分が掛かっていることが示されている。ここで、メインビームのピーク値に対するサイドローブのピーク値の割合(以下、「メイン−サイド比」ともいう。)は、0.026978である。これに対して、光減衰調整デバイス33により光強度分布を調整しないときのメインビームのピーク値に対するサイドローブのピーク値の割合は、0.019776である。ここで、アッテネート率及びアッテネート分布を変化させたときのメイン−サイド比の変化を表3に示す。
尚、表3中横に並べたATThigh/lowは、中心領域である第1の領域34aのアッテネート率を外側領域である第2の領域34bのアッテネート率で除算したものである。換言すると、外側領域のアッテネート率に対する中心領域のアッテネート率の割合である。また、表3中縦に並べたRbndは、中心領域である強くアッテネートする第1の領域34aの半径を有効径の半径で除算したものである。換言すると、中心領域の半径の領域全体の半径に対する割合である。
さらに、表3のRbnd=0.5のときに着目し、アッテネート率分布とレーザの発散角を変化させたとき、クロストーク成分がどの程度寄与するかをシミュレーションで計算すると図13に示すようなマップの関係が得られる。図13中横軸は、半導体レーザの層方向に広がる角度を示すレーザの発散角θ1を示し、縦軸は、上述のATThigh/lowを示す。Ra03〜Ra14は、クロストーク割合をDC的に示すものであり、再生を行っているトラックの光量に対する、隣接トラックの光量の割合を示すものである。すなわち、Ra03〜Ra14は、(隣接トラックの光量)/(再生を行っているトラックの光量)の関係で得られる値である。そして、Ra03は、0.03〜0.04であり、Ra04は、0.04〜0.05であり、Ra05は、0.05〜0.06であり、Ra06は、0.06〜0.07であり、Ra07は、0.07〜0.08であり、Ra08は、0.08〜0.09である。また、Ra09は、0.09〜0.10であり、Ra10は、0.10〜0.11であり、Ra11は、0.11〜0.12であり、Ra12は、0.12〜0.13であり、Ra13は、0.13〜0.14であり、Ra14は、0.14〜0.15である。
図13に示すように、アッテネート率ATThigh/lowが大きくなるか、レーザの発散角θ1が増えるとクロストークが増加することとなる。これに対してジッタ値を指標として再生特性にどのような影響を与えるかを検討するために、図14に隣接トラックがないとしたときのジッタのマップを示す。尚、図14においてはクロストーク成分がないのでMTFの影響だけが再生特性に寄与するものである。図14中横軸及び縦軸は、図13と同様である。Rb04〜Rb17は、正規分布におけるジッタ値を示すものである。そして、Rb04は、0.04〜0.05であり、Rb05は、0.05〜0.06であり、Rb06は、0.06〜0.07であり、Rb07は、0.07〜0.08であり、Rb08は、0.08〜0.09である。また、Rb09は、0.09〜0.10であり、Rb10は、0.10〜0.11であり、Rb11は、0.11〜0.12であり、Rb12は、0.12〜0.13であり、Rb13は、0.13〜0.14であり、Rb14は、0.14〜0.15である。また、Rb15は、0.15〜0.16であり、Rb16は、0.16〜0.17であり、Rb17は、0.17〜0.18である。
図14に示すように、隣接トラックを考慮しなければ、ATThigh/lowが増えるか、レーザの発散角が広がるにつれて、すなわち、図14中右側及び/又は上側に向かうにつれて順にジッタが良くなることが確認できる。これに対して、隣接トラックを考慮すると、アッテネート率ATThigh/lowをある程度以上増加させると、ジッタが悪くなる場合があるがこの点については後述する。これは、MTF向上による再生特性の向上よりもクロストーク増大による再生特性悪化が寄与するからである。光ピックアップに用いられる場合には、レーザノイズなどの他の要因が再生特性に影響を及ぼすので定量的に定義することは、できないが、後述のように変曲点の存在を確認することで、より記録再生特性に良好な光減衰調整デバイス33として構成することができる。
次に、Rbnd=0.5であって、ATThigh/low=1.4のときのランダムデータを再生したときのRF波形をシミュレートしたものを図15(a)及び図15(b)に示す。この図15は、25dBの単層光ディスクを想定している。ここで、図15(a)は、選択的なアッテネートを施さないときの光ビームを用いたときのアイパターンを8Tの振幅で規格化したものを示す。また、図15(b)は、図5(a)に示す分割領域により選択的なアッテネートを施した、すなわち光強度分布を有する光ビームを用いたときのアイパターンを、8Tの振幅で規格化したものを示す。図15(a)及び図15(b)によれば、アッテネートを施した場合には、アッテネートを施さないときのものと比べると、2T/8T振幅が30%程度向上することが確認できる。すなわち、図15(a)のW2T0ffは、2T振幅を8T振幅で規格化したものを示し、0.196であり、図15(b)のW2Tonnは、2T振幅を8T振幅で規格化したものを示し、0.253である。そして、0.253/0.196=1.29であり、約30%向上することが確認できる。そして、図15(b)によれば、2Tの振幅が増幅されていることが確認できる。これは、高域のMTFが向上し、小さなマークをより解像しやすくなることを意味するものである。また、かかる2T付近の高域の振幅が小さいことにより、信号処理で増幅することが必須であるが、この振幅が大きくなることで増幅率が小さくなり、高域に含まれるレーザノイズやディスクノイズなどのノイズ成分の増幅が小さく抑えられるという点でも、2T付近の振幅を上昇できることの意味は大きいといえる。
次に、光減衰調整デバイス33における適正なアッテネート率の割合における変曲点について説明する。図16〜図20は、クロストークとMTFとによる再生特性の変曲点に関するグラフである。これらは、全て円形の図6(a)に示すような分布となるように図4(a)に示す第1及び第2の領域34a,34bを設けた場合のアッテネートを施したときの、Rbnd=0.5の場合のグラフである。横軸は、ATThigh/lowである。
図16は、選択的にアッテネートを施すことによりMTFの向上することを示す図である。図16中縦軸は、解像度(modulation)比を示すものである。ここで、解像度(modulation)比は、フラットな強度分布を持つ光ビームを用いたときのMTFを基準とした2TにおけるMTFの比率を意味するものである。図16に示すように、アッテネート率を高めることにより、解像度比が向上していることを示し、アッテネート率を高めれば解像度比が向上することが確認できる。
図17は、選択的にアッテネートを施すことによりサイドローブ割合が変化することを示す図である。図17中縦軸は、メイン−サイドpeaktopeak値を示すものである。ここで、サイドローブ割合とは、メイン−サイドpeaktopeak値を示すものであり、すなわち、メインローブのピーク値に対するサイドローブのピーク値の割合を示すものである。図17に示すように、アッテネート率を高めることにより、ピーク値割合が高くなっていることを示し、アッテネート率を高めればピーク値割合が高くなり、アッテネート率を高くしすぎるとサイドローブによる悪影響が発生することを示す。
図18は、選択的にアッテネートを施すことによりクロストークの割合が変化することを示す図である。図18中縦軸は、トラック間クロストーク割合を示すものである。ここで、トラック間クロストーク割合とは、再生時の信号に含まれる隣接トラックからのクロストークの割合を示すものである。図18に示すように、アッテネート率を高めることにより、クロストークが大きくなり、図17を用いて説明したサイドローブの割合と相関関係があることを示す。
図19は、選択的にアッテネートを施すことにより1本書きトラックの再生特性を示す図である。ここで1本書きトラックとは、隣接トラックにデータがないことを意味するものとする。図19中縦軸は、ジッタを示すものである。図19は、隣接トラックにデータが記録されていないときのジッタ値を示すものである。図19に示すように、アッテネート率を高めると、ジッタが低下していることを示し、アッテネート率を高めればジッタが低くなるMTF向上により再生特性が向上することを示す。ここでジッタとは、再生信号の品質を評価する指標のひとつで、再生信号がスライスレベルと交わる位置(ゼロクロス点)の時間軸方向の偏差を測定し、その分布をchannel clockで正規化した値である。Channel clockは信号記録媒体の記録線密度と再生速度で決まり、例えばBlu-ray1倍速なら66MHzである。
図20は、図19と比較するための図であり、選択的にアッテネートを施すことにより隣接トラックに記録データがある場合の再生特性を示す図である。図20中縦軸は、ジッタを示すものである。図20は、隣接トラックにランダムデータが記録されているときのジッタ値を示すものである。図20に示すように、隣接トラックを考慮すると、アッテネート率を高めると、ある所定の範囲まではジッタが低下すると、ある所定の範囲を超えてさらにアッテネート率を高めるとジッタが大きくなってしまうことを示す。すなわち、アッテネート率を高めることはある範囲までリムインテンシティの増加によりMTF向上という効果が大きく寄与するが、ある範囲を超えるとトラック間クロストークの増加による影響が寄与してしまうことを示す。
すなわち、以上の図16〜図20から次のようなことが確認できる。図16によれば、選択的なアッテネートを施してリムインテンシティを上げていけばいくほどMTFは向上し、再生特性にとって都合がよいことが確認できる。図17によれば、選択的なアッテネートを施してリムインテンシティを上げていくほどサイドローブが大きくなり、大きくなりすぎるとトラック間クロストーク増大に繋がる可能性があり、適正な範囲があることが確認できる。図18によれば、トラック間クロストークの増大は,図17に示すサイドローブの増加と相関がとれていることが確認できる。すなわち、リムインテンシティを上げすぎるとサイドローブが大きくなり、トラック間クロストーク増大を招くおそれがある。図19によれば、隣接トラックに記録データがない1本書きトラックを再生するとMTF向上により再生特性がよくなっていることが確認できる。図20によれば、隣接トラックに記録データがあるときには、ATThigh/lowが1.4程度までは再生特性が向上するが、それ以上になると逆に悪化に転じることが確認できる。
よって、以上のことによれば、選択的なアッテネートによってリムインテンシティを上げることは、MTFを向上させると同時にトラック間クロストークの増加を招き、この2要素がバランスする変曲点が存在することが確認できる。上述で説明したことは、ATT率の分布を決定するための指針として用いることができる。
次に、以上のような選択的なアッテネートを施した場合においても、上述した発光パワー検出素子40及びレーザ制御部21により、オートパワーコントロール(以下、「APC」ともいう。)を適切に行うことができることについて説明する。
すなわち、光ディスク盤面上の光量を一定に保つためのAPCループはフロントPDである発光パワー検出素子40の出力によって制御される。これにより、選択的な強度分布変化を持たせる場合、盤面上のレーザパワーと、発光パワー検出素子40上のレーザパワーの関係が一定になるように配置する必要がある。尚、結像レンズを用いて発光パワー検出素子40上に集光させる場合は考慮しなくてもよい。
この発光パワー検出素子40の配置等について図21を用いて詳細に説明する。図21(a)は、APCループを説明するための、液晶素子34と光ディスク2と発光パワー検出素子40との関係を模式的に示す図である。このレーザ制御部21は、上述したようにフロントPDとしての発光パワー検出素子40で光源31のパワー変動を監視して盤面上のパワーを一定に保つものである。
例えば図4(a)に示すように円形にATT領域分割する場合対物レンズ瞳上強度分布は、図21及び図22に示すようになる。そして、光ディスク盤面上では対物瞳上のすべての光が集光されるのに対して、フロントPDとしての発光パワー検出素子40ではその一部を受光する構成とされている。尚、図22において、C1は光強度分布を示し、C2は発光パワー検出素子40により受光される部分を示す。このとき、APCループで制御中にATTon/offを駆動した場合、盤面上のパワーが所望の値に保たれなくなる危険性がある。例えば図22(a)に示すようにフロントPDの受光面がATT率の高い領域を主に受光する位置に配置された場合、ATTon/offで変化する盤面上のパワー変動よりもフロントPDでのパワー変動が急激になり、ATTonからATToffに切り替える場合は、APCループによって盤面上パワーが所望の値より低く制御され、ATToffからATTonに切り替える場合は盤面上のパワーが所望の値より高く制御されてしまう。また、図22(b)に示すようにATT率の低い部分を主に受光する位置にフロントPDが配置された場合、ATTon/offで変化する盤面上のパワー変動よりもフロントPDでのパワー変動が緩やかになり、ATTonからATToffに切り替えるの場合は、APCループによって盤面上パワーが所望の値より高く制御され、ATToffからATTonに切り替える場合は盤面上のパワーが所望の値より低く制御されてしまう。このような現象が起こると最悪の場合レーザ破壊につながる恐れがある。
そこで、レーザをAPC発光しながら盤面上の光量をモニタリングしてフロントPDの位置を微調整し、図22(c)に示すようにATTon/offで盤面上のパワーが変化しない位置にフロントPDを固定して発光パワー検出素子40が構成されている。このフロントPDとしての発光パワー検出素子40の位置は、盤面上のパワー変動とフロントPD上のパワー変動が同じになる位置である。かかる構成とされた発光パワー検出素子40を備える光ピックアップ3は、発光パワー検出素子40等のフロントPDにモニタ光を集光させる素子等を必要とすることなく、常に光ディスク盤面上のパワーを一定にすることができる。
本発明を適用した光ピックアップ3は、上述したように光源31と対物レンズ32と光検出器42と光減衰調整デバイス33とを備えることに特徴を有している。そして、この光減衰調整デバイス33は、通過する光ビームの有効径内において複数の領域に分割され、入射した光ビームを通過する領域に応じた減衰率で光量を低減して調整可能である。また、この光減衰調整デバイス33は、領域34a,34b等の複数の領域により、対物レンズ32のレンズシフトに関わらず、受光部におけるプッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させる。すなわち、例えば第2の領域34bよりも減衰率の高い第1の領域34aは、受光部におけるプッシュプル領域にかからない範囲の光ビームを高い減衰率で減衰させて光強度分布を変化させる。これにより、光ピックアップ3は、光結合効率を調整制御するとともにリムインテンシティを調整することができる。よって、光ピックアップ3は、領域に応じた減衰率で通過する光ビームの光量を調整することにより、記録時及び再生時における適正な光結合効率を得ることにより、レーザノイズ低減、レーザ寿命を長くすることを実現する。また、光ピックアップ3は、リムインテンシティを向上させて記録再生特性を向上させることを実現する。
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、光減衰調整デバイス33が、光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子34と、偏光状態に応じた光量の光ビームを対物レンズ32側に導く偏光分離部として分離面36aとを有する点に特徴を有する。そして、液晶素子34は、通過する光ビームの有効径内において複数の領域に分割され、入射した光ビームを通過する領域に応じた偏光状態に変化させる。かかる光ピックアップ3は、光結合効率を調整制御するとともにリムインテンシティを調整することができる。よって、光ピックアップは、記録時及び再生時における適正な光結合効率を得ることにより、レーザノイズ低減、レーザ寿命の長期化を実現し、さらに、記録再生特性を向上させることを実現する。
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、液晶素子34が有効径の中心部分に形成された第1の領域34a,34hと、この外側に形成された第2の領域34b,34iとを有することに特徴を有する。ここで、第1の領域34a,34hは、第2の領域に比べて高い減衰率を有するように偏光状態を変化させる。かかる光ピックアップ3は、光結合効率を調整制御するとともにリムインテンシティを調整することができる。
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、液晶素子34が上述した長軸方向X1に向けられた一対の分割線で分割することにより得られた第1の領域34c,34eと、この外側に形成された領域34d,34f,34gとを有することに特徴を有する。ここで、第1の領域34c,34eは、外側領域に比べて高い減衰率を有するように偏光状態を変化させる。かかる光ピックアップ3は、アッテネート率の大きな領域を所定の方向に向けられたシリンドリカル形状とすることで、光結合効率を調整制御するとともにリムインテンシティを調整することができる。
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、液晶素子34が駆動電圧を印加されたときと、印加されないときとにおいて通過する光ビームの偏光状態を変化させる点に特徴を有する。そして、液晶素子34を有する光減衰調整デバイス33は、再生時に、入射した光ビームを通過する領域に応じた減衰率で光量を低減して対物レンズ32側に導く。かかる光ピックアップ3は、再生時のリムインテンシティを調整することにより、良好な再生特性を実現する。また、かかる光ピックアップ3は、再生時の光結合効率を調整制御することにより、レーザノイズ低減、レーザ寿命の長期化を実現する。
尚、上述では、本発明を適用する光ピックアップ3を構成する光減衰調整デバイスとして液晶素子34等からなる光減衰調整デバイス33を用いるように構成したが、これに限られるものではない。すなわち、光減衰調整デバイスは、透過率に分布を有する光学素子と、かかる光学素子を抜き差しするような駆動機構とからなるように構成してもよい。ここで「抜き差し」とは、例えば光学素子を光路上に挿入すること及び光路上から取り外すことを意味するものとする。また、光減衰調整デバイスは、位相差又は遅相軸方位に分布を有する位相板と、かかる位相板を抜き差しするような駆動機構とからなるように構成してもよい。また、光減衰調整デバイスは、位相差又は遅相軸方位に分布を有する位相板と、かかる位相板を抜き差しするような駆動機構と、上述した偏光ビームスプリッタ36のような偏光分離部とからなるように構成してもよい。また、光減衰調整デバイスは、回折効率に分布を有する回折光学素子と、かかる回折光学素子を抜き差しするような駆動機構とからなるように構成してもよい。さらに、回折効率に分布を発生できる液晶素子からなるように構成してもよい。以上のような構成とした光減衰調整デバイスを、光源31から出射され対物レンズ32に入射するまでの光路上に配置し、任意のアッテネート形状になるような位置に配置させることで上述の光減衰調整デバイス33と同様の効果を得ることができる。
ここで、光減衰調整デバイスとして、透過率に分布を有する光学素子と、光学素子を駆動する駆動機構とからなるように構成した光減衰調整デバイス53を用いた場合の例について、図23を用いて説明する。図23を用いて説明する例においては上述した図2に示す光減衰調整デバイス33に換えて光減衰調整デバイス53を用いたこと、偏光ビームスプリッタ36に換えてビームスプリッタ56を用いたこと、光減衰率検出素子38を設けないこと、発光パワー検出素子40の位置が異なることを除いて、上述と同一の構成であるので、当該同一の構成部分については、共通の符号を付すとともに詳細は省略する。
すなわち、図23に示す光ピックアップ50は、光源31と、対物レンズ32と、光減衰調整デバイス53とを備える。また、光ピックアップ50は、1/2波長板37と、ビームスプリッタ56と、立ち上げミラー39と、1/4波長板41と、発光パワー検出素子40と、ホログラフィック素子43と、光検出器42とを備える。
光減衰調整デバイス53は、光源31と対物レンズ32との間の光路上に抜き差し自在に設けられ、透過率に分布を有する光学素子54と、この光学素子54を光路上に挿入し、及び光路上から取り外すことができる駆動機構55とを有する。
光学素子54は、図4(a)〜図4(d)を用いて説明したのと同様の大きさの分割領域を有しており、その中央領域と周辺領域とで透過率が異なるように構成されており、例えば、かかる選択的な透過率分布を有するフィルタ等から構成されている。そして、中央領域は、透過率が低くされ、周辺領域は、透過率が高くされている。
駆動機構55は、光学素子54を保持する保持部と、かかる保持部及びこれに保持された光学素子54を光軸に略直交する方向に駆動して移動させるモータ等からなる。駆動機構55は、システムコントローラ7等に制御され、再生及び記録の状態に応じて、光学素子54を光路上に挿入し又は光路上から取り外すように駆動させる。具体的には、駆動機構55は、LDノイズ低減と盤面上の解像度の向上を同時に実現するため、再生時に選択的なアッテネート効果を与えるために、光学素子54を光路上に挿入する。一方、記録時には、駆動機構55は、上述したように盤面上のスポット径を気にする必要がないから、光学素子54を光路上から取り外すように駆動させる。これにより、駆動機構55を有する光減衰調整デバイス53は、選択的なアッテネートのon/offを切り替えることができる。
透過率分布を有するフィルタ等である光学素子54等からなる光減衰調整デバイス53は、当該光学素子54が光路上に挿入配置されることにより、光減衰率を調整し、光結合効率を必要に応じて低減する機能を有している。さらに、光減衰調整デバイス53は、有効径内にアッテネート率の領域分布を有しており、中心部のアッテネート率をより大きくすることで、リムインテンシティ(Rim Intensity)を向上することができる。光減衰調整デバイス53を有する光ピックアップ50は、光減衰調整デバイス53がリムインテンシティを向上させることで、記録再生特性を改善するとともに、光結合効率を低減させることで、レーザノイズ低減を実現する。このアッテネート率分布形状が、後述のように、アッテネート率の大きな領域を、例えば円形、シリンドリカル形状とされることで、光減衰調整デバイス53は、リムインテンシティの向上と光結合効率の低減とを同時に実現する。尚、アッテネート率分布形状は、アッテネート率が順次変化するようにしてもよいし、複数の光ディスクに対する各光ディスクに応じた分布領域を有するようにしてもよい。
かかる光減衰調整デバイス53は、上述のように光強度分布を調整して、アナモルフィックプリズムやアナモルフィックレンズを設けることなく簡易な構成で、リムインテンシティを向上させることができる。この光減衰調整デバイス53は、リムインテンシティを向上させることにより、再生特性を向上させることができる。
ここで、光減衰調整デバイス53を有する光ピックアップ50における、光源31から出射された光ビームの光路について説明する。
光源31から出射された光ビームは、1/2波長板37を介して光学素子54に入射され、光学素子54で通過する領域に応じた透過率で透過され光減衰率を領域毎に調整されて、ビームスプリッタ56に入射される。かかる光学素子54を通過した光ビームは、光結合効率を調整されるとともにリムインテンシティが調整された状態とされている。尚、ここでは、例えば再生時等のアッテネートonの状態について説明したが、例えばアッテネートoffの状態においては、光学素子54は光路上から取り外され、光ビームに光減衰を及ぼさない。ビームスプリッタ56に入射された光ビームは、反射透過面56aを透過して立ち上げミラー39に導かれる。このとき、ビームスプリッタ56の反射透過面56aによりその一部を光量検出用として反射された光ビームは、発光パワー検出素子40で受光される。かかる発光パワー検出素子40は、この分岐された光ビームの光量を検出して、その結果を検出信号としてレーザ制御部21に供給する。光ピックアップ3は、この発光パワー検出素子40で検出された結果に基づいて、レーザ制御部21により光ディスク2の記録面上における照射光量が所定量となるようにすることができる。
ビームスプリッタ56を透過された光ビームは、立ち上げミラー39により反射され1/4波長板41に導かれる。1/4波長板41に導かれた光ビームは、1/4波長板により円偏光状態とされ、対物レンズ32により光ディスクの信号記録面上に集光される。このとき、対物レンズ32は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号等に基づいたサーボ信号により例えば二軸アクチュエータ等により、フォーカス方向及びトラッキング方向に駆動される。かかる二軸アクチュエータに駆動されることにより、対物レンズ32により集光される光ビームは、光ディスクの所定のトラック上に適切に集光した状態で追従される。
光ディスクの信号記録面で反射された戻り光ビームは、対物レンズ32、1/4波長板41、立ち上げミラー39を介してビームスプリッタ56に入射される。この際、1/4波長板41を通過した光ビームは、S偏光状態とされる。
ビームスプリッタ56に入射された戻り光ビームは、反射透過面56aにより反射され、ホログラフィック素子43を介して光検出器42の受光部で受光されて検出される。プリアンプ14及びサーボ制御部9は、光検出器42で検出された信号に基づいて、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等の各種信号を生成することができる。
以上のように、光ピックアップ50は、光ディスク2に対して光源31から出射された光ビームを照射して、光ディスク2で反射された戻り光ビームを光検出器42で検出することにより、光ディスク2に対して情報信号の記録及び/又は再生を行うことができる。
ところで、光減衰調整デバイス53は、上述した光減衰調整デバイス33と同様に、領域に応じて選択的な光減衰を行うことにより、光強度分布を所望の任意の分布に変化させるためのデバイスである。
ここで、光減衰調整デバイス53を構成する光学素子54の具体的構成について説明する。光学素子54は、複数の領域を有し、領域毎に異なる透過率分布を有して構成されている。具体的に、光学素子54は、図24に示すような、中心部分に形成された略円形状の第1の領域54aと、その周囲の外側部分に形成された第2の領域54bとを有している。第1の領域54aは、第2の領域54bに比べて透過率が低くされている。尚、第2の領域54bのうち図24中破線Rで示す有効径の外側の部分は、この部分を通過する光ビームが用いられないため、外側領域は、第2の領域54bのうち破線Rの内側の部分、すなわちリング状に形成するように構成してもよい。これは、有効径の外側を通過する光ビームは対物レンズへの入射光の開口制限を行う図示しない開口制限デバイスにより開口制限されるからである。
かかる光学素子54を通過した後の光ビームの光強度分布は、図5(a)、図6等を用いて説明したのと同様であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
以上のように光減衰調整デバイス53は、光学素子54が、有効径の中心部分に形成された略円形状の第1の領域54aと、第1の領域54aの外側に形成された第2の領域54bとを有するように、構成されている。光減衰調整デバイス33は、このように通過する光ビームの有効径内において複数の領域54a,54bに分割され、入射した光ビームを通過する領域に応じた透過率で透過させることにより所定の減衰率で光量を低減して調整することが可能である。そして、第1の領域54aは、第2の領域54bに比べて高い減衰率を有するように入射した光ビームを調整する。尚、図24を用いて説明した光学素子54は、上述した液晶素子34と同様に、発散光中に配置されているため、各領域54a,54b等の複数の領域は、対物レンズ32の射出瞳上で所望の光強度分布になるように形成されている。
尚、光学素子54における分割領域の構成は、上述の図24のものに限られるものではなく、例えば、上述した図4(b)〜図4(d)を用いて説明した分割領域と同様の形状、大きさの分割領域を有して構成するようにしてもよい。また、光減衰調整デバイス53における、最適な領域分布の大きさや、アッテネート率の比率については、上述の光減衰調整デバイス33と同様であるので、ここでは詳細は省略する。
本発明を適用した光ピックアップ50は、上述したように光源31と対物レンズ32と光検出器42と光減衰調整デバイス53とを備えることに特徴を有している。そして、この光減衰調整デバイス53は、通過する光ビームの有効径内において複数の領域に分割され、入射した光ビームを通過する領域に応じた減衰率で光量を低減して調整可能である。また、この光減衰調整デバイス53は、領域54a,54b等の複数の領域により、対物レンズ32のレンズシフトに関わらず、受光部におけるプッシュプル領域にかからない範囲で光強度分布を変化させる。すなわち、例えば第2の領域54bよりも減衰率の高い第1の領域54aは、受光部におけるプッシュプル領域にかからない範囲の光ビームを高い減衰率で減衰させて光強度分布を変化させる。これにより、光ピックアップ50は、光結合効率を調整制御するとともにリムインテンシティを調整することができる。よって、光ピックアップ50は、領域に応じた減衰率で通過する光ビームの光量を調整することにより、記録時及び再生時における適正な光結合効率を得ることにより、レーザノイズ低減、レーザ寿命を長くすることを実現する。また、光ピックアップ50は、リムインテンシティを向上させて記録再生特性を向上させることを実現する。また、光ピックアップ50は、その他の上述した光ピックアップ3の効果と同様の効果を有している。
さらに、光ピックアップ50は、光減衰調整デバイス53が、それぞれ異なる透過率とされた複数の領域54a,54bを有するフィルタ等の光学素子54と、この光学素子54を光路上に挿入し又は光路上から取り外す駆動機構55とを有する点に特徴を有する。そして、光減衰調整デバイス53は、再生時に光学素子54を光路上に挿入して、光学素子54に入射した光ビームを通過する領域に応じた透過率で光量を低減して対物レンズ32に導く。かかる光ピックアップ50は、再生時のリムインテンシティを調整することにより、良好な再生特性を実現する。また、かかる光ピックアップ50は、再生時の光結合効率を調整制御することにより、レーザノイズ低減、レーザ寿命の長期化を実現する。
尚、上述では本発明を適用する光ピックアップ50の光減衰調整デバイス53を構成する光学素子として、選択的な透過率分布を持つフィルタ等の光学素子54として構成したが、これに限られるものではない。すなわち、光減衰調整デバイス53を構成する光学素子を、例えば、選択的な位相差を持つ位相板により構成しても良く、また、選択的な回折効率分布を持つ回折素子により構成してもよい。
本発明を適用した光ディスク装置1は、回転駆動される光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップを備え、光ピックアップとして上述した光ピックアップ3,50を備える点に特徴を有する。この光ディスク装置1は、光減衰調整デバイス33,53が複数の領域を有し、この領域に応じた減衰率で通過する光ビームの光量を調整する。かかる構成により、光ディスク装置1は、記録時及び再生時における適正な光結合効率を得ることにより、レーザノイズ低減、レーザ寿命を長くできるとともにリムインテンシティを向上させて、記録再生特性を向上させることを実現する。
1 光ディスク装置、2 光ディスク、3 光ピックアップ、4 スピンドルモータ、5 送りモータ、7 システムコントローラ、9 サーボ制御部、31 光源、32 対物レンズ、33 光減衰調整デバイス、34 液晶素子、35 液晶駆動部、36 偏光ビームスプリッタ、36a 分離面、37 1/2波長板、38 光減衰率検出素子、39 立ち上げミラー、40 発光パワー検出素子、41 1/4波長板、42 光検出器、43 ホログラフィック素子