図1は第1の実施例としてのディスポーザー1の構成例を示す概略断面図である。図1に示すディスポーザー1は、厨房設備に設けられたキッチンシンクSの排水用の開口部に連結され、シンク下に吊り下げ固定されるものである。ディスポーザー1は、蛇口からの給水で破砕物を排出する手動給水タイプの生ごみ処理機であって、使用される破砕ユニット10はグラインダー型の場合を例示する。
ディスポーザー1は、生ごみ等が投入される筒状のホッパー3を有する。ホッパー3は、ディスポーザー1の下部筐体の一例を構成し、その上部には上部筐体の一例を構成するシンクフランジ51が設けられる。
シンクフランジ51は、金属製の円盤状のカバー部材が被着されたフランジ51cと、フランジ51cの下部側に水密に連結された胴部51bとを有する。胴部51bは、例えばプラスチック素材で構成される。シンクフランジ51は、後述する取り付け手段2の一部を構成し、キッチンシンクSの排水口に嵌合固定される。
シンクフランジ51の胴部51bの開口部は、キッチンシンクS側からの厨芥投入部である投入開口部7aをなす。胴部51bの下部側に連結されたホッパー3の内側は、投入開口部7aと連通する厨芥破砕室7をなす。ディスポーザー1は、厨芥投入部7aから厨芥破砕室7に投入された厨芥を破砕処理するようになされる。
ホッパー3とシンクフランジ51との間には、ジョイントラバー90が備えられ、シンクフランジ51とホッパー3とを水密に連結する。ジョイントラバー90は、一方の管端部90aをシンクフランジ51に固定されるとともに、他方の管端部90bをホッパー3に固定され、ホッパー3の開口部とシンクフランジ51の開口部とを連通する。
ジョイントラバー90は、ホッパー3及びその下部側の部材からの振動を吸収する防振ゴム管部であって、筐体固定用のホースバンド91、92を外周部に巻き付けられて各筐体に固定される。
ジョイントラバー90の更に外周部には、図示しない補助バネ部材が設けられ、ジョイントラバー90の吊り下げ強度を補強する。補助バネ部材は、伸縮方向の一方の端部をシンクフランジ51の側の所定部に取り付けられるとともに、他方の端部をホッパー3の側の所定部に取り付けられて、ホッパー3の側に組み付けられている部材を、ホッパー3とともにシンクフランジ51の側に吊り下げる。補助バネ部材は、例えば120°間隔で設けられた3本の引張バネで構成される。
ホッパー3の内部には、ホッパー3に対して着脱可能に筒状をなすハウジング4が装着される。ハウジング4内には破砕ユニット10が装着される。破砕ユニット10は、破砕機構の一例を構成し、開閉蓋8によって上部側を閉塞された厨芥破砕室内で、厨芥を破砕処理するものである。破砕ユニット10は、最下段に第3回転破砕刃16を有し、そのハブの下面に設けられた嵌合部37が図示しない減速ユニットの駆動軸6cに嵌合される。
装置本体であるホッパー3の下部はキッチンシンクSに対する取り付け固定用の筐体(ケース)となっており、その内部には、駆動部の一部としてのモータ72(図13参照)や、図示しない減速ユニットが設置される。モータ72は減速ユニットを介して破砕ユニット10の回転破砕刃を回転駆動する。詳細は図示しないが、破砕ユニット10に駆動力を伝達する駆動軸6cは、破砕ユニット10との嵌合部37が角軸状あるいはスプライン軸状等に形成される。
図2はハウジング4の構成例を示す斜視図である。ハウジング4は直立円筒形の筒状体であって、図2にも示すようにその内周面には、この例では180°離れた位置に、生ごみの投入開口部側から下側に延在する一対の嵌合部(この例では溝部)4aが形成される。破砕ユニット10は、投入開口部7aから挿抜されて、ホッパー3に対して着脱自在に構成される。
図1に示すようにホッパー3の下端に排水管接続口6bが設けられる。ホッパー3の内部には、この排水管接続口6bへ向かって傾斜した底板6aが設けられ、底板6aの中心部は減速ユニットの駆動軸6cを受ける軸受け部となされる。
ホッパー3の開口部には、ジョイントラバー90を介してシンクフランジ51の開口部が連通するようになされ、その内周部には、蓋体としての開閉蓋8が着脱可能に取り付けられる。ディスポーザー1を使用するときは、開閉蓋8によって投入開口部側が閉塞され、生ごみ処理中は異物などの非破砕物がホッパー3(ハウジング4)内に不用意に入り込まないようにするとともに、破砕された生ごみがキッチンシンクS側に飛び散らないようにしている。
開閉蓋8に連動してモータ72が始動するようになっている。そのため、ディスポーザー1は、開閉蓋8に例えば3つ設けられた永久磁石52などを利用して、投入開口部7aが閉塞されたことを検出する検出手段を備える。例えば、シンクフランジ51の外周部に設けられた磁気センサ55によって投入開口部7aが閉塞されたことを検出する。
このように、開閉蓋8は投入開口部7aに対する回動位置によって、破砕処理を開始又は停止する蓋スイッチとして機能する。また、ディスポーザー1は、磁気センサ55に接続された制御部80(図13参照)を備えていて、制御部80によってモータ72の駆動等を制御する。
ここで、キッチンシンクSへのディスポーザー1の取り付け手段2の一例を図1を参照して説明する。取り付け手段2はシンクフランジ51を有する。シンクフランジ51は金属製の円盤状のカバー部材が被着されたフランジ51cが連結された胴部51bからなる。胴部51bの外周面にはネジ溝が切られており、シンクベース53がキッチンシンクSに嵌め込まれた状態でその下側よりシンクナット54が胴部51bに螺合される。シンクナット54をキッチンシンクSに対して緊締することで、シンクベース53がキッチンシンクSに取り付け固定される。
シンクベース53はほぼ120°の間隔で形成された係合片56を有して、本体取り付け金具部58を備える。これでシンクフランジ51はキッチンシンクSに取り付け手段2として取り付け固定されたことになる。
図3はホッパー3とハウジング4の関係を示す概略断面図である。ホッパー3もハウジング4も共に円筒体であり、ハウジング4はホッパー3よりも径小であって、少許の間隙をもってホッパー3内に装着される。この円環状をなすこの少許の間隙も水道水の排水路100として機能する。排水路100の幅Wa(間隙)は、1〜2mm程度あれば充分である。なお、図3ではハウジング4内の破砕ユニット10は省かれている。
ハウジング4はホッパー3に装着固定される。ハウジング装着時におけるホッパー3に対するハウジング4の固定手段5は一対設けられる。この例では、ホッパー3側に設けられた所定幅の膨出部5aと、これに対するハウジング4の外周面に、この膨出部5aを挟むように設けられた一対の凸条5bとで構成される。180°対向する位置に一対の固定手段5を設けることで、ハウジング4の装着位置が固定されると共に、ディスポーザー1の稼働時におけるハウジング4の回転を阻止できる。
ハウジング4内には固定手段5に対して90°離れた位置に、それぞれ嵌合部4aが形成され、嵌合部4a内に挿着した取り付け板(押さえ板)95をハウジング4に固定することによって、破砕ユニット10が回転自在にハウジング4内に装着固定される。
図4〜8はこの発明に適用できる破砕ユニット10の一例を示す。破砕ユニット10は複数の破砕刃で構成される。この例では第1回転破砕刃12、第1固定破砕刃13、第2回転破砕刃14、第2固定破砕刃15及び第3回転破砕刃16の合計5つの破砕刃が、これらの順で積層されて破砕ユニット10が構成される。
図1に示すように、第1回転破砕刃12、第1固定破砕刃13、第2回転破砕刃14、第2固定破砕刃15及び第3回転破砕刃16は、上下の間隔がほとんど無い状態で重なるように寸法設定してあり、破砕された生ごみが破砕刃の上下の隙間に入り込んで破砕ユニット10内に残ることが無いようにしている。
図4は破砕ユニット10の最上段に配置される第1回転破砕刃12の構成例を示し、図4Aはその上面図、同図Bは正面図、同図Cは同図Bの側面図である。第1回転破砕刃12は、軸受部19の側部から水平に延びる1本の攪拌アーム20を備える。第1回転破砕刃12は、攪拌アーム20の回転方向における前後両面に押し込み面20aが形成される。
押し込み面20aは、攪拌アーム20の両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面(テーパ面)である。攪拌アーム20の両側面に押し込み面20aを形成することで、第1回転破砕刃12は、双方向の回転動作で押し込み面20aに接した生ごみに対して、下方に押し付ける力を加えることができる。これにより、第1回転破砕刃12は、回転動作で生ごみを取り込み、下段の破砕刃へと押し込む。
また、第1回転破砕刃12は、押し込み面20aの両側面の下端側にエッジ20bが形成され、図5に示す第1固定破砕刃13との協働で生ごみを粗く破砕する破砕刃として機能する。
第1回転破砕刃12には、攪拌アーム20の上面にハンドル21が形成される。ハンドル21は攪拌アーム20と90°離れた位置に、軸受部19から左右に同じ長さだけ延在するように設けられる。ハンドル21は破砕ユニット10を引き上げるときの把持部(取っ手)として機能する。
把持部として利用されるため、ハンドル21は指がかかる程度の長さに選定されている。軸受部19には、後述する第3回転破砕刃16に設けられた回転駆動軸36の軸頭部(係止部)が挿通できる挿通孔19aが穿設されている。挿通孔19aは、断面D形の形状となされており、従って回転駆動軸36のうち対応する部分も断面D形となされることで、両者が回転的に一体となされる。
図5は第1回転破砕刃12の下段に配置される第1固定破砕刃13の構成例を示し、図5Aは上面図、図5Bは正面図、図5Cはその側面図である。第1固定破砕刃13は、ハブ22から180°間隔で水平に延びる2本のアーム23を備える。各アーム23は平板形状で、両側面の上下端にはエッジが形成され、上述した第1回転破砕刃12及び第2回転破砕刃14との協働で破砕刃として機能する。
各アーム23の各先端には回転阻止手段として機能するタブ24が設けられる。タブ24をハウジング4の嵌合部4aに嵌合させることで、第1固定破砕刃13の回転を規制する。この例では、第1回転破砕刃12のホッパー3に対する装着位置(深さ)を考慮して、全体の長さが選定された長尺タブが使用される。
この例では、アーム23の下方に延びるタブ24が設けられている。図5Cに示すように、タブ24の幅は嵌合部4aの幅とほぼ同じくなるように選定されている。これは嵌合部4aに対するタブ24の装着後におけるガタを少なくするためと、嵌合部4aに対するタブ24の係合をよりスムーズに行うためである。
タブ24によって、第1固定破砕刃13と第2固定破砕刃15の間に、第2回転破砕刃14を介在させたとき、所定の高さの隙間が形成される。そのため、この例ではタブ24の長さは第2回転破砕刃14の刃先までの長さのほぼ1/2に選定されている。
ハブ22の内孔23aの径は第2回転破砕刃14の軸部径や、回転駆動軸36の径より大きく、第2回転破砕刃14の軸部や回転駆動軸36とはそれぞれ干渉しない寸法となっている。
図6は第2回転破砕刃14の構成例を示す。第2回転破砕刃14は第1固定破砕刃13の下段に配置される。図6Aはその上面図であり、同図BはそのA1−A1矢視断面図である。
第2回転破砕刃14は、ハブ27から120°間隔で放射状に延びる3本のアーム28を備える。各アーム28はホッパー3の内壁に接触しないように、ホッパー3の内径よりも僅かに短かな半径となされる。各アーム28にはその底面に所定のピッチを有する櫛歯部28aが形成される。
第2回転破砕刃14のハブ27の中心部は係合孔27aが穿設され、回転駆動軸36と嵌合してこれにより回転力が第2回転破砕刃14に与えられる。そのため、第2回転破砕刃14と同じく、第2回転破砕刃14と接触する係合孔27aは回転駆動軸36と回転的に一体となるように非円形(例えば角孔)となされている。上述したと同じく断面D形形状であってもよい。
図7は第2固定破砕刃15の構成例を示す。第2固定破砕刃15は第2回転破砕刃14と噛合するように、第2回転破砕刃14の下段に配置される。図7Aは上面図、同図BはそのA2−A2矢視断面図である。
第2固定破砕刃15は、ハブ30から等間隔で接線方向に放射状に延びる8本のアーム31をリング33が囲んだ形状である。リング33の外周には180°間隔で一対のタブ33aが形成される。一対のタブ33aは第2固定破砕刃15をハウジング4に固定するための回転阻止手段として機能する。そのため、一対のタブ33aは嵌合部4aに嵌合できるように、その幅よりも若干幅狭な板体として形成される。この幅は第1固定破砕刃13のタブ24の幅とほぼ同じである。タブ33aを嵌合部4aに装着嵌合させることで、第2固定破砕刃15の回転を規制する。
これらのタブ33aは所定の高さを有し、第1固定破砕刃13のタブ24がタブ33aの上面と対接することで、第1固定破砕刃13と第2固定破砕刃15との間に所定の高さの隙間が形成され、第2回転破砕刃14と丁度噛み合うような寸法に選定してある。ハブ30の中心孔30aは回転駆動軸36とは干渉しない寸法となっている。
第2固定破砕刃15は、8本のアーム31の中で、6本のアーム31は上面に櫛歯部31aが形成される。第2固定破砕刃15の櫛歯部31aは、図6に示す第2回転破砕刃14の櫛歯部28aと噛み合うピッチを有し、第2回転破砕刃14と第2固定破砕刃15を重ねることで、両者の櫛歯部28a,31aは僅かな隙間が形成された噛み合い状態となる。
これにより、第2固定破砕刃15の櫛歯部31aは、上段の破砕刃から送り込まれた生ごみを、第2回転破砕刃14の櫛歯部28aとの協働で破砕する。
上述したように、第2回転破砕刃14のアーム28は3本、第2固定破砕刃15のアーム31は8本であるので、アーム28同士の間隔に対してアーム31同士の間隔が狭い。
このため、8本全てのアーム31に櫛歯部31aを設けると、第2回転破砕刃14のアーム28の間に常に第2固定破砕刃15の櫛歯部31aが存在する状態となり、ある程度の大きさのブロック形状の生ごみが投入された場合に、第2回転破砕刃14のアーム28間に生ごみが入り込まず、破砕されにくくなる事態が発生する。
そこで、第2固定破砕刃15において、8本のアーム31の中で、例えば2本のアーム32には櫛歯部31aを設けないことで、第2回転破砕刃14の回転動作中に、第2固定破砕刃15の櫛歯部31aを設けていないアーム31が第2回転破砕刃14のアーム28の間に位置する場合は、円周方向に広い空間が形成されるようにする。
これにより、ある程度の大きさのブロック形状の生ごみが投入された場合でも、第2回転破砕刃14のアーム28間に生ごみが入り込み、第2回転破砕刃14の回転動作で櫛歯部28aと第2固定破砕刃15の他のアーム31の櫛歯部31aとの協働で生ごみが破砕される。
なお、第2固定破砕刃15において櫛歯部31aを設けないアーム31の数が多いと破砕能力が低下するので、例えば8本のアーム31を備える場合は、櫛歯部31aを設けないアーム32は図示するように2本程度が好ましい。
各アーム32はハブ30の接線方向に沿って放射状に延在することで、第2回転破砕刃14が回転する際に、第2固定破砕刃15との噛合点を円周方向にずらして、破砕負荷のピークの抑制及び負荷の平坦化を図っている。
第2固定破砕刃15は、図7Aに示すように、各アーム31,32の側面のうち、回転方向側に位置する側面に押し付け面31b、32aが形成される。押し付け面31b、32aは何れも波状の波面であって、その下端が上端よりも短くなされたテーパを有する波面として形成される。押し付け面31b、32aを波面とすることで、そのテーパを有する凹部で生ごみを捕らえて生ごみの半径方向への移動を抑制し、生ごみを確実に破砕できるようにしている。
図8は第3回転破砕刃16の構成例を示し、同図Aはその上面図であり、同図Bはその正面図である。
第3回転破砕刃16は円板35として構成され、中心の回転駆動軸であるハブ36を除く円板35の全面に多数のスリット35aを配列している。本例の第3回転破砕刃16においては、複数のスリット群が形成され、各スリット群においては、隣接するスリット35a同士は略平行に配列される。
第3回転破砕刃16の上面は平面で、第2固定破砕刃15の各アーム31の底面に接しながら回転する。スリット35aは第3回転破砕刃16を表裏貫通し、スリット35aの上面側開口縁部には鋭利なエッジが形成される。
第3回転破砕刃16の上面は、第2固定破砕刃15のアーム31の底面と擦り合わせながら回転動作を行うが、第2固定破砕刃15のアーム31及び32の片面には底面側に傾斜した波面31b、32aが形成されていることから、波面31b、32aに接した生ごみ(ある程度の大きさまで破砕されているもの)に対して、第3回転破砕刃16の回転動作でこの第3回転破砕刃16に押し付ける力を加えることができる。
第2回転破砕刃14の櫛歯部28a(図6)と、第2固定破砕刃15の櫛歯部31a(図7)により破砕されて第3回転破砕刃16の上面に落下した生ごみはスリット35aに引っ掛かるが、第3回転破砕刃16が回転することで、波面31b、32aにより生ごみがスリット35aに押し付けられる。この回転動作でスリット35aのエッジ部分により生ごみが破砕される。そして、細かく破砕された生ごみは、スリット35aを通って下方へ落下し、ホッパー3の底板6aを通り排水管接続口6bから外部へと排出される。
なお、スリット35aは底面側に向かって広くなるような開口部(又は開口段部)を形成することで、スリット35a内に押し込まれた生ごみが落下し易くなる。
第3回転破砕刃16の中心部には回転駆動軸36が円盤35と一体形成される。回転駆動軸36は、第1及び第2回転破砕刃12及び14に対しては回転的に一体となり、第1及び第2固定破砕刃13と15に対しては回転的にフリーとなるような形状となされている。そのため、第1及び第2回転破砕刃12及び14に対応する回転駆動軸36は角軸部(嵌合軸部)となされ、それ以外は丸軸となされる。そして、その軸頭部にはネジ部が切られて係止部36aとして機能するように構成されている。
円板35の下面には回転駆動軸36の一部として機能する嵌合部37が設けられ、上述した減速ユニットの駆動軸6cと係合して回転駆動される構成となされている。嵌合部37は駆動軸6cとの嵌合状態を良好にするため、その内穴37aは角穴か六角穴となされる。図1には後者が例示されている。また、嵌合部37は減速ユニットの駆動軸6cとはできるだけ充分な嵌合状態となるように嵌合部37の嵌合長が選定されているものとする。
回転駆動軸36の軸頭部である係止部36aの上端よりネジ29aを螺合させて緊締することで、複数の破砕刃12〜16が一体化された破砕ユニット10が得られる(図1参照)。このとき、第1固定破砕刃13のタブ24と、第2固定破砕刃15のタブ33aとが連続する(一直線となる)ようにそれぞれの位置関係が調整された状態で一体化される。
そして、タブ24及び33aを嵌合部4aに沿って嵌め込んだ状態で、破砕ユニット10をハウジング4の底面部まで降下させると、第3回転破砕刃16に設けられた嵌合部37が図1に示す減速ユニットの駆動軸6cに嵌合する。嵌合部4aには押さえ板95が装着され、押さえ板95はハウジング4に固定される。
これで破砕ユニット10は回転自在にハウジング4に取り付けられたことになる。破砕ユニット10は正転及び反転を繰り返しながら生ごみを破砕する。以上のようにして、破砕ユニット10が構成される。以下で、ディスポーザー1の上部側に設けられ、開閉蓋8が装着されるシンクフランジ51の構成例について説明をする。
図9A及びBは、シンクフランジ51の構成例を示す図である。図9Aの上面図に示すシンクフランジ51は、上部側がキッチンシンクSに嵌合固定されて、シンクの下側からホッパー3の側に組み付けられている部材をホッパー3とともに連結するものである。
図9Bに示す図9AのA3−A3矢視断面図のように、シンクフランジ51の上端部には外側に向けて突出するフランジ51cが設けられ、その下側には胴部51bが延設されている。胴部51bの内側は、ディスポーザー1の厨芥投入部である投入開口部7aを構成する。胴部51bの外周面には、上部側の所定部にネジ溝51dが切られ、上述のシンクナット54と螺合するようになされる。また、胴部51bの下部側の外周部には、ジョイントラバー90との嵌合凹部51eが周回するように設けられている。
一方、胴部51bの内周面には、開閉蓋8に対するロック手段としてのロックフランジ57(57a〜57d)が設けられる。4つのロックフランジ57は互いに所定の間隙を有して、同じ高さで略水平に突出する円弧状に設けられている。ロックフランジ57a〜57dの間に生じる間隙は、それぞれ開閉蓋8の嵌合用の溝部57eとハウジング挿抜用の溝部57fとを構成する。溝部57e及び57fは、それぞれ上面からみて180°の間隔で一対で配される。このようにしてシンクフランジ51が構成される。
図10A及びBは、開閉蓋8の構成例を示す図である。図10Aの上面図に示す開閉蓋8は蓋体の一例を構成し、ディスポーザー1のシンクフランジ51に脱着自在に装着されて、厨芥破砕室7の上部側を開放又は閉塞する。開閉蓋8は、破砕処理時の厨芥破砕室7からの厨芥の飛び出しを防止するとともに、破砕ユニット10、駆動モータ及び減速ユニット等からの破砕音、駆動音等が厨房側に漏れないようにするものである。また、開閉蓋8は蓋スイッチとしても機能し、破砕処理時以外に装着された場合も排水可能であるように構成されている。
開閉蓋8は、図10Bに示す図10AのA4−A4矢視断面図のように、中央部が一例として円形に窪んで水溜部60をなすとともに、外周部が水溜部60よりも高く位置する環状のフランジ61をなす蓋本体8’を有している。なお、水溜部60の窪みは、円形に代えて多角形状であってもよいが、円形であるのが好ましい。
蓋本体8’は略板状に構成され、蓋本体8’の下側には一体で成形された筒状の胴部67が設けられている。
開閉蓋8は、フランジ61の外周部であってエッジ部であるフランジ外縁部61aをシンクフランジ51の内面に接するようにして、シンクフランジ51に係合される。また、フランジ外縁部61aの内側に位置するフランジ61の所定部には、給水部の一部をなす透孔68aが開孔されている。透孔68aは、蛇口からの水を厨芥破砕室7側に導く貫通孔であって、ここでは矩形孔で12個設けられている。
また、フランジ61は略水平な円盤形状を有しており、透孔68aとフランジ外縁部61aとは略同じ高さH1に設定されている。ここで高さH1とは、高さH0の所定の基準平面に対する高さであって、透孔68aの開口部上面とフランジ外縁部61aの上面の高さを示している。
フランジ61の内側に、フランジ61と連続する面として構成される水溜部60は、底部にフランジ61よりも低い高さH2の底面板部62を有し、底面板部62には、蛇口からの水を厨芥破砕室7側に導く透孔68bが穿設されている。透孔68bは、給水部の一部をなしている。透孔68bは円形孔で、ここでは8つ設けられている。高さH2に設けられた透孔68bは、高さH1の透孔68aよりも低く位置する。
またフランジ61は、上面からみて180°間隔で、外周部が所定形状で凹状に欠落する一対の間隙部を有しており、それぞれの間隙部の下側の胴部67の外周面には、フランジ61に略平行な係合凸部63a及び63bが突設されている。係合凸部63a及び63bは、フランジ61に対して高さ方向に間隙W1を有する低い位置に設けられている。
開閉蓋8は、係合凸部63a及び63bの位置が、シンクフランジ51の溝部57eに合うような回動角度でキッチンシンクS側から装着される。このとき開閉蓋8は、フランジ61の外周がロックフランジ57a〜57dの上面に載る深さまで嵌め込まれる。
シンクフランジ51に嵌め込まれた開閉蓋8が回動されると、間隙W1にロックフランジ57a〜57dが入り込み、ロックフランジ57a〜57dがフランジ外縁部61aと係合凸部63a,63bとで挟持される。このようにして、開閉蓋8がシンクフランジ51に装着固定される。また、開閉蓋8の装着、回動を操作するため、底面板部62の中央部には取っ手(把持部)69が設けられる。
図11A及びBは、胴部67の構成例を示す下面図及び図11AにおけるA5−A5矢視断面図である。図11Aに示す胴部67には、水密構造を有するケース部66がここでは3つ設けられ、内部に永久磁石52を収納するようになされる(図11B)。ケース部66は、シンクフランジ51の外周部に設けられる磁気センサ55と対応する所定位置に形成されている(図1参照)。
ディスポーザー1の磁気センサ55は、回動操作される開閉蓋8の回動位置を検出して、破砕ユニット10による破砕処理のON/OFFを制御する。開閉蓋8の回動位置とは、ここでは破砕処理をON(開始)する位置及びOFF(停止)する位置である。
この例のディスポーザー1は、開閉蓋8が破砕処理をONする回動位置に配されることで破砕処理を開始し、所定の破砕時間を経過すると自動的に破砕処理を終了するように動作する。
また何らかの理由で、破砕処理を中止したい場合には、開閉蓋8を破砕処理をOFFする位置に回動操作することによって破砕処理を停止することもできる。以下で、開閉蓋8の防音機能について説明をする。
図12A〜Cは、開閉蓋8の機能例を示す概略断面図である。図12Aに示す開閉蓋8は、ディスポーザー1のシンクフランジ51に装着されている。手動給水タイプのディスポーザー1で破砕処理を実行する場合、キッチンシンクSの近傍に備えられた蛇口を手動操作することで給水がなされる。このときの給水速度は、例えば8l/min程度に設定される。給水される水は、破断矢印線で示すようにキッチンシンクSから開閉蓋8を経て厨芥破砕室7に流入する。
ディスポーザー1は、投入開口部7aに装着された開閉蓋8が破砕処理をONする回動位置に回動操作されると破砕処理を開始し、破砕ユニット10を例えば100〜200rpmの速さで回転させる。厨芥破砕室7で破砕された厨芥は、厨芥破砕室7に供給される水によってホッパー3の底板6aを通り排水管接続口6bから排出される(図1参照)。
このとき蛇口から給水される水は、図12Aのように、まず、開閉蓋8の最も低い位置である水溜部60の上面に流れ込む。ここで、給水される水の量が、透孔68bから厨芥破砕室7側に流れ込む水の量より多いと、図12Bに示すように水溜部60の上面に水が溜まる。図12B及びCは、透孔68b及びフランジ外縁部61aを拡大して示している。
水溜部60を充たして水溜部60から溢れ出た水は、図12Cに図示するように、フランジ61の上面へと導かれ、透孔68aから厨芥破砕室7側へ流入しつつ互いに同じ高さに設けられた透孔68aと給水部の一部をなすフランジ外縁部61aとを略同時に塞ぐようになる。このとき、開閉蓋8の上面に設けられる水膜M1は、透孔68a、透孔68b及びフランジ外縁部61aを封じて水封する。水膜M1は、厨芥破砕室7からの破砕音を遮音する防音膜として機能する。このように、水溜部60、及び、フランジ外縁部61aと透孔68aとの位置関係によって開閉蓋8の水溜構造が構成されている。
また、キッチンシンクSの蛇口からの給水が開始されてから、開閉蓋8に水膜M1が形成されるまでには所定の時間がかかる。ディスポーザー1では、開閉蓋8の給水部が水膜で封じられるまでの間、モータ72の回転速度、若しくは出力トルクを通常よりも低く設定することで、破砕ユニット10の回転速度を低速にして破砕音を抑制する。
図13は、制御部80及び駆動部70の構成例を示すブロック図である。ディスポーザー1は、破砕ユニット10を回転駆動する駆動部70を備えている。駆動部70は、モータ駆動部71とモータ72とで構成され、モータ駆動部71が、制御部80からの信号に応じてモータ72に駆動電流を供給することにより、モータ72を回転駆動するようになされる。モータ72は、駆動電流に応じた所定の回転速度、若しくは所定の出力トルクで駆動し、減速ユニットを介して連結された破砕ユニット10を回転駆動する。
駆動部70には、ディスポーザー1に水濡れしないように設けられた制御部80が接続されている。制御部80は、CPUやマイクロコンピュータなどで構成され、開閉蓋8の装着状態を検知して、駆動部70を制御する。制御部80は、互いに通信可能なスイッチ検出部81、駆動制御部82、タイマ部83などから構成される。
スイッチ検出部81は、投入開口部7aの外周部に設けられた磁気センサ55に接続され、磁気センサ55から開閉蓋8の回動位置に応じた起動信号S11を入力される。スイッチ検出部81は、起動信号S11に応じて、破砕処理の開始命令を含む信号S12を駆動制御部82に出力する。
駆動制御部82は、破砕処理の開始命令としての信号S12が入力された場合、モータ駆動部71に駆動信号S1又はS2を順次出力するとともに、タイマ部83に信号S13を出力して破砕時間の計測(カウント)を開始させる。
タイマ部83は、時間計測部の一例を構成し、例えば、開閉蓋8の給水部が水膜で封じられるまでの時間を計測する。この例のタイマ部83は、投入開口部7aに装着された開閉蓋8が、破砕処理を開始する回動位置に配されたときから、時間の計測を開始するように構成されている。
駆動制御部82は、タイマ部83によって計測される時間を監視して、破砕処理を開始してから開閉蓋8の給水部が水膜で封じられるまでの時間、駆動信号S1を出力して駆動部70を通常よりも低い回転速度、若しくは出力トルクで駆動する。ここで、駆動信号S1によって、結果として破砕ユニット10が低速回転する破砕処理を予備破砕処理とよぶ。
ここで、予備破砕処理を実行する時間は、実験結果などに基づいて予め設定され、駆動制御部82などに記憶されている。実験は、例えば、キッチンシンクSの蛇口を開栓して給水速度8l/minで給水を開始してから、開閉蓋8の全面が水膜で封じられるまでの時間を計測することで行われ、この例では、予備破砕処理の時間は5秒間に設定されている。
また、駆動制御部82は、予備破砕処理の時間の経過後、駆動信号S1に代えて駆動信号S2を出力して駆動部70を通常の回転速度、若しくは出力トルクで駆動する。ここで、駆動信号S2によって、結果として破砕ユニット10が高速回転する破砕処理を本破砕処理とよぶ。本破砕処理を実行する時間も予め設定されていて、ここでは55秒間に設定されている。
こうして、駆動制御部82は、タイマ部83がカウントする時間を監視し、破砕処理の開始から5秒間は予備破砕用の駆動信号S1を出力し、5秒経過後から、例えば60秒経過後までの55秒間、駆動信号S1に代えて本破砕用の駆動信号S2を出力するようになされる。
駆動信号S1はデューティー比が比較的低いパルス波であり、駆動信号S2はデューティー比が比較的高いパルス波である。制御部80は、デューティー比が異なる駆動信号S1及びS2によって、モータ72の出力トルク(回転速度)をパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御する。
図14A〜Dは、ディスポーザー1の制御例を示すタイミングチャートである。手動給水タイプのディスポーザー1で破砕処理を実行する場合、まず、キッチンシンクSの蛇口が開栓されて手動給水がなされ、それから破砕処理が開始される。
図14Aにおいて、横軸は時間t、縦軸は蛇口からの手動給水の有無を示している。Lowレベルのときは給水が停止されていて、Highレベルのときは略8l/minの給水速度で給水がなされている。ここでは図14Aに示すように、時間t1に蛇口が開栓され、手動給水が開始される。
図14Bにおいて、横軸は時間t、縦軸は開閉蓋8の防音効果の大きさを示している。Lowレベルは、開閉蓋8に水膜M1が形成されていない場合の防音効果を示し、Highレベルは、水膜M1が形成されている場合を示している。時間t1から、開閉蓋8の水膜M1の厚みが徐々に増していくので、それに比例して、図14Bに示すように、開閉蓋8の防音効果が向上する。時間t3で開閉蓋8は略全面に水膜M1が形成され、その防音効果は最大になる。
図14Cにおいて、横軸は時間t、縦軸は起動信号S11の出力レベルを示している。起動信号S11は、開閉蓋8の回動位置に応じて磁気センサ55から出力される信号である。Lowレベルが破砕処理を停止する出力レベルで、Highレベルが破砕処理を実行する出力レベルである。図14Cに示すように、例えば、時間t2に開閉蓋8が破砕処理を開始する位置に回動操作されると、起動信号S11が立ち上がり、LowレベルからHighレベルに反転する。起動信号S11が立ち上がると、駆動制御部82がタイマ部83によるカウントを開始するとともに、駆動信号S1の出力を開始するようになる(図14D)。
図14Dにおいて、横軸は時間t、縦軸は駆動信号S1及びS2の出力状態を示している。Lowレベルが信号を出力しない場合であり、Highレベルが信号を出力する場合である。また、駆動信号S1を実線で、駆動信号S2を2点鎖線で示している。駆動信号S1がHighのときは、予備破砕用のデューティー比のパルス波が出力され、駆動信号S2がHighのときは、本破砕用のデューティー比のパルス波が出力される。
またここで、駆動信号S1のデューティー比は、駆動信号S2のデューティー比の略70%に設定されている。これにより、駆動信号S1に応じて駆動されるモータ72の出力トルク(回転速度)は、駆動信号S2に応じて駆動されるモータ72の出力トルク(回転速度)の略70%に設定される。また、この本破砕処理に対する予備破砕処理の回転速度の割合は、70%に限られず、適宜変更可能である。
図14Cに示したように時間t2に起動信号S11が立ち上がると、駆動制御部82は、まず、時間t2から駆動信号S1を出力して、時間t2から5秒経過後の時間t4に駆動信号S1の出力を停止する。また、時間t4からは、駆動信号S1に代えて駆動信号S2の出力を開始し、時間t2から60秒経過後の時間t5に駆動信号S2の出力を停止する。これにより、時間t5に破砕ユニット10による破砕処理は自動的に終了する。
一方、図14Cの起動信号S11は、破砕処理が終了した後も、開閉蓋8が破砕処理をOFFする位置に回動操作されるまでHighレベルに保持されている。しかし、後に使用者によって開閉蓋8が外されると、起動信号S11はLowレベルに反転する。
また、キッチンシンクSの蛇口からの給水は、使用者によって蛇口が閉栓されることで、この例では時間t6に終了する。なお、開閉蓋8を外したときに、厨芥破砕室7に厨芥が残存していた場合は、再度、開閉蓋8を投入開口部7aに装着して回動操作し、破砕処理を開始することもできる。このようにして、ディスポーザー1の破砕処理が制御される。以下で、ディスポーザー1による破砕処理を手順に沿って説明する。
図15は、ディスポーザー1の破砕処理例を示すフローチャートである。手動給水タイプのディスポーザー1で破砕処理を実行する場合、使用者は、まず、キッチンシンクSの蛇口を開栓してから、開閉蓋8を破砕処理を開始する位置に回動操作する。これは、ディスポーザー1の正規の使用方法として規定されている手順であって、予め使用者に表示、伝達される操作方法である。
これらを処理条件として、図15に示すフローチャートのステップA1で、破砕処理の開始命令が入力される。ここでは、開閉蓋8が破砕処理をONする位置に回動操作され、磁気センサ55からスイッチ検出部81に破砕処理の開始命令としての信号S11が出力される。スイッチ検出部81は、駆動制御部82に信号S11に応じた信号S12を出力する。
信号S12が入力された駆動制御部82は、ステップA2に進み、まず予備破砕処理として低出力トルク(通常よりも低い出力トルク)で駆動を開始する。駆動制御部82は、駆動部70に駆動信号S1を出力し、本破砕処理の70%の出力トルクで破砕ユニット10を駆動する。また略同時に、ステップA3を実行し、タイマ部83に信号13を出力して破砕時間のカウントを開始させる。
駆動制御部82は、タイマ部83が5秒をカウントするまで、予備破砕処理を実行する(ステップA4)。駆動制御部82は、ステップA5でタイマ部83がカウントする時間が5秒に達したか否かを監視し、5秒に達した場合は、予備破砕処理を終了して、ステップA6に進む。
ステップA6に進むと、駆動制御部82が本破砕処理としての高出力トルク(通常の出力トルク)での駆動を開始する。このとき、駆動制御部82は、駆動部70に駆動信号S1に代えて駆動信号S2を出力し、100%の出力トルクで破砕ユニット10を駆動する。
駆動制御部82は、ステップA7で本破砕処理を実行する。制御部80は、ステップA8でタイマ部83がカウントする時間が60秒に達したか否かを監視し、60秒に達した場合は、ステップA9に進み、本破砕処理を終了する。本破砕処理が終了したら、使用者によって、蛇口が閉栓されて手動給水が停止される。以上のようにして、ディスポーザー1による破砕処理が実行される。
このように、この発明の第1の実施例としてのディスポーザー1によれば、開閉蓋8の装着状態を検知して、破砕ユニット10の駆動部70を制御する制御部80を備え、制御部80が、破砕処理を開始してから開閉蓋8の給水部が水膜で封じられるまでの所定時間、例えば5秒間、駆動部70の出力トルク若しくは回転速度を通常よりも低く設定することで、ユニット10の回転速度を通常の回転速度よりも抑制するものである。
この制御によって、開閉蓋8の給水部が水膜で封じられるまで、破砕ユニット10の回転速度を抑制することができるので、開閉蓋8の防音効果が向上するまでの間に生じる破砕音を低減できる。従って、破砕処理の起動時に厨芥破砕室7からキッチンシンク側に漏れ出す騒音を低下できる。
また、タイマ部83が、開閉蓋8の回動位置に応じて時間の計測を開始するので、破砕ユニット10の回転数を上げる時間t4を、開閉蓋8に水膜M1が形成される時間t3と相関させて設定することができる。これにより、開閉蓋8の防音効果が向上してから本破砕処理に移行することができる。
図16は、第2の実施例としてのディスポーザー400の構成例を示す概略断面図である。図16に示すディスポーザー400は、内部に破砕処理用の給水部を有する自動給水タイプの生ごみ処理機である。この例で、第1の実施例と同じ名称及び符号のものは、同じ機能、同じ構造を有するのでその説明を省略する。
ディスポーザー400は、生ごみ等が投入される筒状のホッパー3を有し、ホッパー3の上部には、ジョイントラバー90を介してシンクフランジ51が水密に連結されている。シンクフランジ51は、金属製の円盤状のカバー部材が被着されたフランジ51cと、フランジ51cの下部側に一体で延設される胴部51bとを有し、取り付け手段2としてキッチンシンクSの排水口に嵌合固定される。
胴部51bの開口部は、キッチンシンクS側からの厨芥投入部である投入開口部7aをなす。また、投入開口部7aと連通するホッパー3の内側は厨芥破砕室7をなす。ホッパー3の内部には、ホッパー3に対して着脱可能な筒状のハウジング4が装着される。ハウジング4内には破砕ユニット10が装着され、正転及び反転を繰り返しながら生ごみを破砕する。厨芥破砕室7の上側の開口部は、蓋体としての開閉蓋408によって閉塞される。この例の開閉蓋408は、上下2つの蓋部材44a及び44bから構成される。
また、自動給水タイプであるディスポーザー400には、給水路42が設けられている。給水路42には、キッチンシンクS用の蛇口とは別の給水経路として引き出された水道管が連結される。給水路42から給水される水は、開閉蓋408の2つの蓋部材の間隙部に給水される。
図17は開閉蓋408の構成例を示す斜視図である。図17に示す開閉蓋408は、蓋体の一例であり、互いに連結された2つの蓋部材44a,44bから構成される。上側の蓋部材44aは略平板状であり、取っ手49が設けられている。下側の蓋部材44bは有底筒状の水溜部40と、水溜部40よりも高く位置する鍔部であるフランジ41を有している(図19参照)。蓋部材44aと蓋部材44bは所定の間隙W3を有して連結される(図18B参照)。
図18A及びBは、蓋部材44aの構成例を示す図である。図18Aの上面図に示す蓋部材44aは、中央に取っ手49が形成された略平板状である。蓋部材44aには、通水部46がここでは4つ設けられている。通水部46は、外側に向く開口部46aを有するように蓋部材44aの所定部が上方に湾曲膨出して構成されている。開口部46aから流れ込む水は、蓋部材44bの上面に導かれる。
また、図18Bの正面図に示すように、蓋部材44aの裏面には、ネジ孔を開孔された円筒状の連結部45aが一対で設けられている。連結部45aの長さによって、蓋部材44aの下側に連結される蓋部材44bとの間隙W3の幅が規制される。
図19は、蓋部材44bの構成例を示す斜視図である。図19に示す蓋部材44bは、中央部が円形に窪んで水溜部40をなすとともに、外周部が水溜部40よりも高く位置する環状のフランジ41をなす蓋本体44b’を有している。フランジ41には給水部の一部である透孔48aが複数開孔され、水溜部40の底面板部には給水部の一部である48bが複数開孔されている。また、蓋本体44b’の下側には、胴部47が一体で成型されている。開閉蓋408がディスポーザー400に装着される場合は、フランジ41の外周部であるフランジ外縁部41aが、投入開口部7aの内面に接するようになる。また、蓋部材44bのフランジ41の外周部に設けられるシンクフランジ51との係合部の形状は、第1の実施例の開閉蓋8と同形状に構成されている。
また、蓋部材44bは、破砕処理を開始する回動位置で給水路42と連通する導水路43を有している。導水路43は、蓋部材44bと一体で形成されていて、一方の端部43aが胴部47から開口する流入部となっている。導水路43は、他方の端部43bが高くなる傾斜した水路になされ、端部43aから流入された水は、端部43bから水溜部40へと流出するようになる。
また、蓋部材44bには、蓋部材44a連結用のネジ孔を開孔された連結部45bが一対で設けられ、蓋部材44aの連結部45aとネジ止め固定される。
ディスポーザー400では、開閉蓋408が破砕処理を開始する回動位置に配された場合に破砕処理が開始され、その際に、給水路42から導水路43及び蓋部材44bを介して厨芥破砕室7に自動給水がなされる。その際に、第1の実施例の開閉蓋8と略同等に構成された水溜構造を有する蓋部材44bによる防音効果を得ることができる。
つまり、給水路42から給水される水は、まず、蓋部材44bの最も低い水溜部40の上面に流れ込む。ここで、給水される水の量が、透孔48bから厨芥破砕室7側に流れ込む水の量より多いと、水溜部40の上面に水が溜まる。水溜部40を充たして溢れ出た水は、互いに同じ高さに設けられたフランジ41の透孔48aと、給水部の一部をなすフランジ外縁部41aとを略同時に塞ぐようになる。このとき、蓋部材44bの上面に設けられる水膜は、透孔48a、透孔48b及びフランジ外縁部41aを封じて水封し、厨芥破砕室7からの破砕音を遮音する防音膜として機能する。
このように、給水路42による自動給水が開始されてから開閉蓋408の防音効果が向上するまでには所定の時間がかかる。ディスポーザー400では、水膜によって開閉蓋408の防音効果が向上するまでの間、破砕ユニット10を回転させずに待機させることで破砕音を抑制する。ディスポーザー400は、図13に示したような、第1の実施例と略同等の制御部80及び駆動部70を備えている。
ところで、自動給水タイプのディスポーザー400では、開閉蓋408からの起動信号S11’に応じて、給水路42から好適な給水速度での自動給水がなされる。つまり、給水路42には、制御部80からの命令に応じて開閉する不図示の給水機構が設けられている。給水路42は制御部80と電気的に接続されている。
図20A〜Dは、ディスポーザー400の制御例を示すタイミングチャートである。図20Aにおいて、横軸は時間t、縦軸は給水路42からの自動給水の有無を示している。Lowレベルのときは自動給水が停止されていて、Highレベルのときは略8l/minの給水速度で自動給水がなされている。ディスポーザー400では、図20Aに示すように、時間t1’に開閉蓋408が破砕処理を開始する位置に回動操作され、給水路42からの自動給水が開始される。
図20Bにおいて、横軸は時間t、縦軸は開閉蓋408の防音効果の大きさを示している。Lowレベルは、開閉蓋408が蓋部材44bの上面に水膜を有していない場合を示し、Highレベルは、水膜を有している場合を示している。時間t1’から蓋部材44bの上面の水膜の厚みは徐々に増していき、それに比例して、図20Bに示すように、開閉蓋408の防音効果が向上し、時間t2’に最大になる。
図20Cにおいて、横軸は時間t、縦軸は起動信号S11’の出力レベルを示している。Lowレベルが破砕処理を停止する出力レベルで、Highレベルが破砕処理を実行する出力レベルである。起動信号S11’は、開閉蓋408の回動位置に応じて反転する磁気センサ55の出力信号である。
例えば、時間t1’に使用者によって開閉蓋408が破砕処理を開始する位置に回動操作されると、図20Cに示すように、起動信号S11’が、LowレベルからHighレベルに反転する。起動信号S11’が立ち上がると、制御部80から不図示の給水機構に開栓作動を促す信号が命令が出力されて、図20Aに示す自動給水が開始される。それと略同時に、タイマ部83によるカウントが開始される(図13参照)。
図20Dにおいて、横軸は時間t、縦軸は駆動信号S1’及びS2’の出力状態を示している。Lowレベルが信号を出力しない場合であり、Highレベルが信号を出力する場合である。また、駆動信号S1’を実線で、駆動信号S2’を2点鎖線で示している。駆動信号S1’がHighレベルのとき、第1の実施例の駆動信号S1と略同等のパルス波が出力され、駆動信号S2’がHighレベルのとき、駆動信号S2と略同等のパルス波が出力される。
図20Cに示したように時間t1’に起動信号S11’が立ち上がると、この例の駆動制御部82は、時間t1’から5秒間駆動信号を出力しない。この間に、図20Bに示した開閉蓋408の防音効果が向上し、時間t2’に最大になる。
駆動制御部82は、タイマ部83の計測する時間を監視し、時間t1’から5秒経過後の時間t3’になると駆動信号S1’の出力を開始する。なお、時間t1’から時間t3’までの間、破砕ユニット10は停止したままだが、給水路42からの自動給水がされていることで、使用者は破砕処理が開始されていると認識することができる。
また、この給水によって破砕する厨芥の排水経路を湿らせて、破砕厨芥の排出を潤滑に行い得るようにする効果もある。
駆動制御部82は、時間t3’から5秒経過後の時間t4’に駆動信号S1’の出力を停止する。駆動制御部82は、時間t4’から駆動信号S2’の出力を開始し、時間t1’から60秒後の時間t5’に駆動信号S2’の出力を停止する。これにより、時間t5’に破砕ユニット10による破砕処理が終了する。
また、ディスポーザー400では、時間t5’に、制御部80から給水路42に終了命令が出力され、自動給水も停止される(図20A)。このようにして、ディスポーザー400の破砕処理が制御される。以下で、ディスポーザー400の破砕処理を手順に沿って説明する。
図21は、ディスポーザー400の破砕処理例を示すフローチャートである。自動給水タイプのディスポーザー400で破砕処理を実行する場合、使用者は、開閉蓋408を投入開口部7aに装着して、破砕処理を開始する位置に回動操作する。これによってディスポーザー400は、自動給水及び破砕処理を順次開始する。また、この例のディスポーザー400は、所定の破砕処理時間を経過すると自動的に自動給水及び破砕処理を停止する。
これらを処理条件として、図21に示すフローチャートのステップA11で、破砕処理の開始命令が入力される。ここでは、開閉蓋408が破砕処理をONする位置に回動操作され、磁気センサ55からスイッチ検出部81に破砕処理の開始命令としての信号S11が出力される。スイッチ検出部81は、駆動制御部82に信号S11に応じた信号S12を出力する(図13参照)。
ステップA12に進むと、制御部80は、不図示の給水機構に開栓作動を促す信号を出力し、自動給水を開始する。略同時に、ステップA13で制御部80内で駆動制御部82がタイマ部83に信号13を出力して破砕時間のカウントを開始させる。
ステップA14で、ディスポーザー400は自動給水をしながら破砕処理を待機する。ステップA15で、駆動制御部82は、タイマ部83がカウントする時間が5秒に達したか否かを監視し、5秒に達した場合はステップA16に進む。
ステップA16に進むと、駆動制御部82は、まず予備破砕処理として低出力トルク(通常よりも低い出力トルク)で駆動を開始する。駆動制御部82は、駆動部70に駆動信号S1’を出力し、本破砕処理の70%の出力トルクで破砕ユニット10を駆動する。
予備破砕処理をステップA17で実行する。駆動制御部82は、ステップA18でタイマ部83がカウントする時間が10秒に達したか否かを監視し、10秒に達した場合は、予備破砕処理を終了してステップA19に進む。
ステップA19に進むと、駆動制御部82が本破砕処理としての高出力トルク(通常のトルク)での駆動を開始する。このとき、駆動制御部82は、駆動部70に駆動信号S2’を出力し、通常の出力トルクで破砕ユニット10を駆動する(ステップA20)。
制御部80は、ステップA21でタイマ部83がカウントする時間が65秒に達したか否かを監視し、65秒に達した場合はステップA22に進む。ステップA22では、制御部80から不図示の給水機構に開栓作動を促す信号が出力されて自動給水が停止される。略同時にステップA23が実行され、駆動信号S2’の出力を停止して本破砕処理を終了する。以上のようにして、ディスポーザー400による破砕処理が実行される。
このように第2の実施例としてのディスポーザー400によれば、開閉蓋408が回動操作され、破砕処理の開始命令がなされた時間t1’から、所定の給水速度、例えば8l/minで自動給水がなされる。従って、開閉蓋408に水膜が形成される時間t2’を容易に確実に設定できる。
また、時間t1’から自動給水を開始することによって、給水音により使用者に破砕処理の開始を告知できるので、開閉蓋408に水膜が形成されるまで、破砕処理を待機することができる。従って、開閉蓋408の防音効果が向上してから予備破砕処理を開始することができるので、破砕処理の起動時に厨芥破砕室7からキッチンシンク側に漏れ出す騒音を更に低下できる。
なお、図20Dに示した時間t1’から時間t3’までの時間である5秒間を廃してもよい。その場合、駆動信号S1’が、図20Cに示す起動信号S11’のONとともに直ちに出力されて予備破砕処理が開始される。
このときは、図20Bに示すように開閉蓋408の防音効果が完全に発揮されていないものの、予備破砕処理を行うことで、第1の実施例に示した手動給水の場合と同程度に破砕音を低減できる。
なおこの場合、時間t1’から時間t3’までの時間である5秒を廃したことで、時間t1’から時間t5’までの65秒間を60秒間に短縮することができるので、破砕作動時間の短縮及び給水時間の短縮(給水量の節約)を図ることができる。
1,400・・・ディスポーザー、3・・・ホッパー、4・・・ハウジング、8,408・・・開閉蓋(蓋体)、10・・・破砕ユニット、51,151・・・シンクフランジ、70・・・駆動部、80・・・制御部