以下、図面を参照して本発明の生ゴミ処理装置の実施の形態について説明する。
<生ゴミ処理装置の全体構成>
図1は本実施の形態の生ゴミ処理装置1の構成の概要を示す正面断面図である。生ゴミ処理装置1はグラインダー型と称されるもので、例えば厨房設備に設置され、ベースフレーム2の上に生ゴミ等が投入されるホッパー3が搭載されており、ホッパー3の上端がキッチンシンクSの開口部に嵌合している。
ホッパー3の内部には、ホッパー3に対して着脱可能に破砕ユニット4が装着される。破砕ユニット4は、後述する回転破砕刃が減速ユニット5の駆動軸5aに嵌合され、ベースフレーム2に取り付けたモータ6が減速ユニット5を介して破砕ユニット4の回転破砕刃を回転駆動する。詳細は図示しないが、破砕ユニット4に駆動力を伝達する駆動軸5aは、破砕ユニット4との嵌合部分が角軸状あるいはスプライン軸状等に形成される。
図2は本実施の形態の生ゴミ処理装置1を構成するホッパー3を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図、図2(c)は正面断面図である。ホッパー3は直立円筒形の部品であって、内周面に上下に延在する溝部3aが形成され、上端に投入開口部7が形成される。図1に示す破砕ユニット4は、投入開口部7から挿抜されて、ホッパー3に対して着脱自在となっている。
また、ホッパー3の周面の下端に排水管接続口8が設けられる。更に、ホッパー3内部には、排水管接続口8へ向かって傾斜した底板9が設けられ、底板9の中心には図1に示す減速ユニット5の駆動軸5aが通る孔10が形成される。
ホッパー3の投入開口部7には図1に示す蓋体11が着脱可能に取り付けられる。蓋体11には図示しない給水孔が形成され、投入開口部7を蓋体11で閉じても、ホッパー3内へ給水が可能な構成である。
また、永久磁石とマグネットセンサ等を利用して、蓋体11で投入開口部7を閉じたことを検出する検出手段を備え、図示しない制御手段は、蓋体11で投入開口部7を閉じたことを検出すると、モータ6の駆動等を制御する。
図3および図4は本実施の形態の生ゴミ処理装置1を構成する破砕ユニット4を示し、図3は破砕ユニット4の正面断面図、図4は破砕ユニット4の要部分解斜視図である。
破砕ユニット4は、図4に示す第1回転破砕刃12、第2固定破砕刃13、第3回転破砕刃14、第4固定破砕刃15および第5回転破砕刃16を、図3に示すようにハウジング17に収容して1つのユニット構成としている。
ハウジング17は円筒形状で、外径は図2等に示すホッパー3の内径とほぼ等しく構成される。破砕ユニット4はホッパー3の投入開口部7から挿入され、ホッパー3に装着された破砕ユニット4は、ハウジング17がホッパー3の内周面で保持されて破砕室を構成する。
ここで、破砕ユニット4は、ハウジング17にハンドル18を備えることで、このハンドル18を持ってホッパー3に対して着脱できるようにしてある。
図3に示すように、第1回転破砕刃12、第2固定破砕刃13、第3回転破砕刃14、第4固定破砕刃15および第5回転破砕刃16は、上下の間隔がほとんど無い状態で重なるように寸法設定してあり、破砕された生ゴミが破砕刃の上下の隙間に入り込んで破砕ユニット4内に残ることが無いようにしている。
<破砕ユニットの構成>
破砕ユニット4の主要構成部品を図5から図10に示す。図5はハウジング17を示し、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のA−A断面図である。
ハウジング17は上述したように円筒形状で、外周にリブ17aが形成される。ハウジング17はリブ17aが図2に示すホッパー3の溝部3aに嵌り、ハウジング17は所定の向きでホッパー3内に保持される。
また、ハウジング17は内周面の下端にフランジ部17bが形成される。図3に示すように、第4固定破砕刃15がフランジ部17bに保持されて、各破砕刃はハウジング17に収容される。
更に、ハウジング17は内周面に上端から下端にかけて2本の縦溝17cが180度間隔で形成される。後述するように、第2固定破砕刃13および第4固定破砕刃15は、縦溝17cに係合する形状を有することによって、ハウジング17に回転出来ない状態で保持される。なお、ハンドル18はハウジング17の上端側に直径方向に延在して取り付けられる。
図6は破砕ユニット4の最上段に配置される第1回転破砕刃12を示し、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図、図6(c)は平面図である。第1回転破砕刃12は、軸受部19の側部から水平に延びる1本の攪拌アーム20を備える。第1回転破砕刃12は、攪拌アーム20の回転方向における前後両面に押し込み面21が形成される。
押し込み面21は、攪拌アーム20の両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面(テーパ面)である。攪拌アーム20の両側面に押し込み面21を形成することで、第1回転破砕刃12は、双方向の回転動作で押し込み面21に接した生ゴミに対して、下方に押し付ける力を加えることができる。これにより、第1回転破砕刃12は、回転動作で生ゴミを取り込み、下段の破砕刃へと押し込む。
また、第1回転破砕刃12は、押し込み面21の両側面の下端側にエッジ21aが形成され、図7に示す第2固定破砕刃13との協働で生ゴミを粗く破砕する破砕刃として機能する。
更に、第1回転破砕刃12は、攪拌アーム20の上面にハンドル20aが形成される。第1回転破砕刃12は、各回転破砕刃と一体となって回転する構成であるので、最上段の第1回転破砕刃12にハンドル20aを形成することで、直接破砕刃に触れることなく、各回転破砕刃を回転できるようになっている。
すなわち、図3に示す破砕ユニット4を図1に示すようにホッパー3に取り付ける際に、駆動軸5aとの連結のため各回転破砕刃の向きを調整する場合、ハンドル20aを操作すれば、直接破砕刃に触れることなく、回転破砕刃の向きが調整できる。
第1回転破砕刃12は、軸受部19に軸取付孔19aが貫通形成される。軸取付孔19aは断面形状が略D型状で、図8に示す第3回転破砕刃14の後述する軸部が回転できない状態で嵌められる。
図7は第1回転破砕刃12の下段に配置される第2固定破砕刃13を示し、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図である。第2固定破砕刃13は、ハブ22から180度間隔で水平に延びる2本のアーム23を備える。各アーム23は平板形状で、両側面の上下端にはエッジ23a,23bが形成され、上述した第1回転破砕刃12および図8に示す第3回転破砕刃13との協働で破砕刃として機能する。
各アーム23の先端にはタブ24が形成される。タブ24はハウジング17の縦溝17cに嵌合して、第2固定破砕刃13の回転を規制する。また、タブ24には脚部24aが形成され、第2固定破砕刃13と第4固定破砕刃15の間に所定の高さの隙間が形成されるようにしてある。更に、ハブ22の内径は図8に示す第3回転破砕刃14の後述する軸部の径より大きく、第3回転破砕刃14の軸部と干渉しない寸法となっている。
図8は第2固定破砕刃13の下段に配置される第3回転破砕刃14を示し、図8(a)は底面図、図8(b)は図8(a)のB−B断面図である。第3回転破砕刃14は、ハブ27から120度間隔で放射状に延びる3本のアーム28を備える。各アーム28は底面に所定のピッチを有する櫛歯部28aが形成される。
第3回転破砕刃14のハブ27は、アーム28の形成面の上側に第1の軸部27aを備えると共に、アーム31の形成面の下側に第2の軸部27bを備える。第1の軸部27aは、図7に示す第2固定破砕刃13のハブ22に対して回転自在に嵌る。また、第1の軸部27aは、上端側の断面形状が略D型状で、図6に示す第1回転破砕刃12の軸取付孔19aが回転不能に嵌る。更に、第1の軸部27aの先端には、図4に示すナット29aが締結されるネジ部27cが形成される。
第2の軸部27bは、図9に示す第4固定破砕刃15が回転自在に嵌る。また、第2の軸部27bは下端側に図10に示す第5回転破砕刃16に嵌る角軸部27dが形成される。更に、角軸部27dの底面に図4に示すネジ29bが締結されるネジ穴27eが形成される。
図9は第3回転破砕刃14の下段に配置される第4固定破砕刃15を示し、図9(a)は平面図、図9(b)は図9(a)のC−C断面図、図9(c)は図9(a)のD−D断面図である。
第4固定破砕刃15は、ハブ30から等間隔で接線方向に放射状に延びる8本のアーム31をリング32が囲んだ形状である。リング32の外周には180度間隔で放射方向に突出するタブ32aが形成される。タブ32aはハウジング17の縦溝17cに嵌合して、第4固定破砕刃15の回転を規制する。
また、タブ32aは所定の高さを有し、第2固定破砕刃13の脚部24aがタブ32aの上面に載ることで、第2固定破砕刃13と第4固定破砕刃15との間に所定の高さの隙間が形成されるようにしてある。更に、ハブ30の内径は図8に示す第3回転破砕刃14の第2の軸部27bの径より大きく、第2の軸部27bと干渉しない寸法となっている。
第4固定破砕刃15は、8本のアーム31の中で、6本のアーム31は上面に櫛歯部31aが形成される。第4固定破砕刃15の櫛歯部31aは、図8に示す第3回転破砕刃14の櫛歯部28aと噛み合うピッチを有し、図3に示すように、第3回転破砕刃14と第4固定破砕刃15を重ねると、両者の櫛歯部28a,31aは僅かな隙間が形成される噛み合い状態となる。
これにより、第4固定破砕刃15の櫛歯部31aは、上段の破砕刃から送り込まれた生ゴミを、第3回転破砕刃14の櫛歯部28aとの協働で破砕する。
上述したように、第3回転破砕刃14のアーム28は3本、第4固定破砕刃15のアーム31は8本であるので、アーム28同士の間隔に対してアーム31同士の間隔が狭い。
このため、8本全てのアーム31に櫛歯部31aを設けると、第3回転破砕刃14のアーム28の間に常に第4固定破砕刃15の櫛歯部31aが存在する状態となり、ある程度の大きさのブロック形状の生ゴミが投入された場合に、第3回転破砕刃14のアーム28間に生ゴミが入り込まず、破砕されにくくなる事象が発生する。
そこで、第4固定破砕刃15において、8本のアーム31の中で、例えば2本のアーム31bには櫛歯部31aを設けないことで、第3回転破砕刃14の回転動作中に、第4固定破砕刃15の櫛歯部31aを設けていないアーム31が第3回転破砕刃14のアーム28の間に位置する場合は、円周方向に広い空間が形成されるようにする。
これにより、ある程度の大きさのブロック形状の生ゴミが投入された場合でも、第3回転破砕刃14のアーム28間に生ゴミが入り込み、第3回転破砕刃14の回転動作で櫛歯部28aと第4固定破砕刃15の他のアーム31の櫛歯部31aとの協働で生ゴミが破砕される。
なお、第4固定破砕刃15において櫛歯部31aを設けないアーム31の数が多いと破砕能力が低下するので、例えば8本のアーム31を備える場合は、櫛歯部31aを設けないアーム31bは2本程度が望ましい。
また、各アーム31はハブ30の接線方向に沿って放射状に延在することで、第3回転破砕刃14が回転する際に、第4固定破砕刃15との噛合点を円周方向にずらして、破砕負荷のピークの抑制および負荷の平坦化を図っている。
第4固定破砕刃15は、図9(c)に示すように、各アーム31の前後両面に押し付け面33が形成される。押し付け面33は、アーム31の両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面(テーパ面)である。
図10に示す第5回転破砕刃16は、第4固定破砕刃15のアーム31の底面と擦り合わせながら回転動作を行うが、アーム31の両側面に押し付け面33を形成することで、押し付け面33に接した生ゴミ(ある程度の大きさまで破砕されているもの)に対して、第5回転破砕刃16の回転動作でこの第5回転破砕刃16に押し付ける力を加えることができる。
各アーム31の一方の側面は縦溝を並列した波形面34が形成される。これにより、図10に示す第5回転破砕刃16の一の方向の回転動作時には、波形面34の凹部で生ゴミを捕らえて生ゴミの半径方向への移動を抑制し、生ゴミを確実に破砕できるようにしている。
図10は第4固定破砕刃15の下段に配置される第5回転破砕刃16を示し、図10(a)は平面図、図10(b)は図10(a)のE−E断面図、図10(c)は要部拡大断面図である。
第5回転破砕刃16は円板形状で、中心のハブ38を除く全面に多数のスリット39を配列している。なお、本例の第5回転破砕刃16においては、複数のスリット群が形成され、各スリット群においては、隣接するスリット39同士は略平行に配列される。
第5回転破砕刃16の上面は平面で、図9に示す第4固定破砕刃15の各アーム31の底面に接しながら回転する。また、図10に示すスリット39は第5回転破砕刃16を表裏貫通し、スリット39の上面側開口縁部には鋭利なエッジが形成される。
図8に示す第3回転破砕刃14の櫛歯部28aと図9に示す第4固定破砕刃15の櫛歯部31aにより破砕されて第5回転破砕刃16の上面に落下した生ゴミはスリット39に引っ掛かり、第5回転破砕刃16が回転することで、第4固定破砕刃15の押し付け面33によりスリット39に押し付けられて、スリット39のエッジ部分により破砕される。そして、細かく破砕された生ゴミは、スリット39を通って下方へ落下し、図2に示すホッパー3の底板9を通り排水管接続口8から外部へと排出される。
さて、図10(c)に示すように、スリット39は段差部39aが形成され、上面側の開口より底面側の開口を拡大し、スリット39内に押し込まれた生ゴミが落下しやすいようにしてある。これにより、第4固定破砕刃15の押し付け面33でスリット39に押し込まれた生ゴミが、下方へ落下しやすくなっている。
第5回転破砕刃16のハブ38は、上面側に図8に示す第3回転破砕刃14の角軸部27dが嵌る角穴部38aが形成される。また、ハブ38の底面側には、図1に示す駆動軸5aが嵌る角穴部38bが形成される。更に、角穴部38aと角穴部38bの間は、図4に示すネジ29bが通る貫通孔38cが形成される。
次に、各破砕刃を組み立てた状態について図3〜図10を参照して説明する。第3回転破砕刃14の第2の軸部27bに第4固定破砕刃15のハブ30が回転自在に嵌められ、第2の軸部27bの角軸部27dが第5回転破砕刃16の角穴部38aに嵌められる。
そして、第5回転破砕刃16の角穴部38b側からネジ29bが角軸部27dのネジ穴27eに締結されて、第3回転破砕刃14と第5回転破砕刃16が一体に構成される。
また、第3回転破砕刃14の第1の軸部27aに第2固定破砕刃13のハブ22が回転自在に嵌められ、更に第1の軸部27aに第1回転破砕刃12の軸取付孔19aが回転不可に嵌められる。
そして、第1の軸部27aのネジ部27cにナット29aが締結されて、第1回転破砕刃12と第3回転破砕刃14が一体に構成され、第1回転破砕刃12、第3回転破砕刃14および第5回転破砕刃16が、第2固定破砕刃13および第4固定破砕刃15を挟み込んだ形態で一体となる。
なお、上述したように一体とされた各破砕刃のハウジング17への取り付けは、第2固定破砕刃13のタブ24および第4固定破砕刃15のタブ32aをハウジング17の縦溝17cに嵌めることで、第2固定破砕刃13および第4固定破砕刃15は回転不能にハウジング17に保持される。
そして、縦溝17cに保持金具17dを嵌め、図示しないネジ等で固定することで、各破砕刃は、保持金具17dとフランジ部17bとで上下方向への移動が不可能に保持される。これにより、ハウジング17に対して第1回転破砕刃12、第3回転破砕刃14および第5回転破砕刃16が回転自在となる。
<生ゴミ処理装置の動作>
次に、図1に示す生ゴミ処理装置1の動作について説明する。まず、生ゴミ処理装置1の全体の動作について各図を参照して説明すると、投入開口部7から生ゴミが投入され、蓋体11で投入開口部7を閉じると、例えば図示しない制御手段は、蓋体11で投入開口部7を閉じたことを検出して、モータ6を回転させる。具体的には、数秒毎、例えば5秒毎に正転と逆転動作を繰り返す回転動作を行う。モータ6の回転速度としては、100rpm程度に設定され、騒音や振動の発生を抑えている。
なお、蓋体11には図示しない給水孔が形成され、投入開口部7を蓋体11で閉じても、ホッパー3内へ給水が可能な構成であり、生ゴミの破砕処理中は、シンクSに水を流す等によって、ホッパー3の内部へ給水を行う。
モータ6が回転すると、破砕ユニット4は、第1回転破砕刃12と第3回転破砕刃14と第5回転破砕刃16が一体に回転する。これに対して、第2固定破砕刃13と第4固定破砕刃15は回転しない。
これにより、投入開口部7からホッパー3内に投入された生ゴミは、第1回転破砕刃12の攪拌アーム20により攪拌され、下段の第2固定破砕刃13のアーム23との協働でおおまかに破砕されると共に、破砕された生ゴミが第3回転破砕刃14のアーム28間に送り込まれる。
第3回転破砕刃14のアーム28の間に送り込まれた生ゴミは、第3回転破砕刃14の回転により、アーム28の櫛歯部28aと、下段の第4固定破砕刃15のアーム31の櫛歯部31aとの噛み合いで細かく破砕される。
ここで、第4固定破砕刃15は、複数のアーム31の中で櫛歯部31aを設けないアーム31bを備えることで、第3回転破砕刃14の回転により、櫛歯部31aが設けられていないアーム31bが第3回転破砕刃14のアーム28の間に位置すると、円周方向に大きな空間が形成される。これにより、ブロック状等の大きな生ゴミでも第3回転破砕刃14のアーム28間に入り込み、第3回転破砕刃14の回転によって、第3回転破砕刃14の櫛歯部28aと、第4固定破砕刃15の他のアーム31の櫛歯部31aとの噛み合いで細かく破砕される。
これにより、少ない枚数の固定破砕刃と回転破砕刃の組み合わせで、様々な大きさが混在した生ゴミを破砕することができる。
第3回転破砕刃14と第4固定破砕刃15の協働で破砕された生ゴミは、第4固定破砕刃15の各アーム31と第5回転破砕刃16の協働で、スリット39から排出される。
すなわち、第5回転破砕刃16の回転で上段側のアーム31の押し付け面33に生ゴミが接触すると、押し付け面33の傾斜角度によって、生ゴミは第5回転破砕刃16方向である下方へ押し付けられる力を受ける。
これにより、生ゴミは、第5回転破砕刃16の回転によって押し付け面33によりスリット39に押し付けられて、スリット39の上面側開口縁部のエッジにより破砕され、押し付け面33で更に押し込まれてスリット39を通り下方へ落下する。
上述したように、スリット39は段差部39aが形成され、上面側の開口より底面側の開口が拡大している。従って、スリット39に押し込まれた生ゴミは、段差部39aを通過して幅の広い部分に移動し、スリット39に詰まることなく下方へ落下する。
さて、生ゴミ処理装置1では、例えば一定時間モータ6を回転駆動した後、図示しない制御手段はモータ6の駆動を停止させる。モータ6の駆動時間は、ホッパー3内に投入された標準的な量の生ゴミを破砕して、排水管接続口8から排出するために必要な時間を考慮して設定される。
次に、第1回転破砕刃12の動作の詳細について説明する。図11は第1回転破砕刃12による生ゴミの取り込み動作を示す動作説明図である。図1等に示すホッパー3に投入された生ゴミは、破砕動作前は様々な大きさのものがある。例えばグレープフルーツの外皮等、比較的軽くて大きい生ゴミは、破砕動作前は第1回転破砕刃12や第2固定破砕刃13の上に載ったような状態となることが多い。この状態から各回転破砕刃が回転し、第1回転破砕刃12が例えば矢印F方向に回転すると、図11(a)に示すように、生ゴミ41は攪拌アーム20の押し込み面21に突き当たる。
押し込み面21は、上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面であるので、第1回転破砕刃12の矢印F方向の回転動作で、生ゴミ41は矢印Uで示す下方へ押し込まれる力を受ける。
これにより、図11(b)に示すように、生ゴミ41は下方へ押し込まれて、第1回転破砕刃12と第2固定破砕刃13の協働で破砕されると共に、更に下段の破砕刃で細かく破砕される。
よって、初期破砕段階での生ゴミの取り込み性が向上し、所定の処理時間内に破砕処理を終了させることができ、破砕処理時間の遅延を防ぐことができる。ここで、第1回転破砕刃12を1本の攪拌アーム20で構成することで、破砕ユニット4の上部側では円周方向に広い空間が形成され、大きめな生ゴミの取り込み性がより向上する。
なお、本例の生ゴミ処理装置1では、破砕ユニット4はホッパー3に対して着脱可能であり、ハウジング17のハンドル18を持つことで容易に着脱できる。また、破砕ユニット4をホッパー3に取り付ける際に、減速ユニット5の駆動軸5aに第5回転破砕刃16の角穴部38bを嵌める必要がある。駆動軸5aと角穴部38bは、角軸と角穴の嵌合で接続されるので、角穴部38bの向きを調整する必要がある。
本例では、各回転破砕刃は一体で回転し、最上段の第1回転破砕刃12はハンドル20aを備えるので、ハンドル20aを持って回転させることで、第5回転破砕刃16が回転して、角穴部38bの向きを調整することができる。
従って、回転破砕刃や固定破砕刃の刃の部分に直接触れることなく、減速ユニット5の駆動軸5aに、角穴部38bの向き合わせて嵌めることができ、着脱時の操作性が向上すると共に、安全性が向上する。
そして、破砕ユニット4がホッパー3に対して容易に着脱できることで、破砕ユニット4をホッパー3から取り外して、ハウジング17や各破砕刃の清掃を行うことができる。
<変形例>
図12および図13は生ゴミ処理装置の他の実施の形態として破砕刃の変形例を示し、図12は破砕ユニット51の正面断面図、図13は破砕ユニット51の要部分解斜視図である。
破砕ユニット51は、第1回転破砕刃52、第2固定破砕刃53、第3回転破砕刃54および第4固定破砕刃55を、図12に示すようにハウジング56に収容して1つのユニット構成としている。
ハウジング56は円筒形状で、外径は図2等に示すホッパー3の内径とほぼ等しく構成される。破砕ユニット51はホッパー3の投入開口部7から挿入され、ハウジング56がホッパー3の内周面で保持される。
また、ハウジング56は内周面には2本の縦溝57が180度間隔で設けられる。第2固定破砕刃53および第4固定破砕刃55は、縦溝57に係合する形状を有することによって、ハウジング56に回転出来ない状態で保持される。
第1回転破砕刃52は、図13に示すように、放射方向へ水平に延びる2本の攪拌アーム59と、攪拌アーム59と一体に形成されるハンドル60を備える。第1回転破砕刃52は、攪拌アーム59が第2固定破砕刃53との協働で破砕刃として機能すると共に、ハンドル60が破砕ユニット51の着脱の際の取っ手として機能する。
更に、第1回転破砕刃52は攪拌アーム59の回転方向における前後両面に押し込み面59aが形成される。押し込み面59aは、攪拌アーム59の両側面において上端が下端に対して突出する方向に傾斜した斜面である。
攪拌アーム59の両側面に押し込み面59aを形成することで、第1回転破砕刃52は、双方向の回転動作で押し込み面59aに接した生ゴミに対して、下方に押し付ける力を加えることができる。これにより、第1回転破砕刃52は、回転動作で生ゴミを取り込み、下段の破砕刃へと押し込む。
第2固定破砕刃53は、ハブ61から120度間隔で放射状に延びる3本のアーム62をリング63が囲んだ形状である。各アーム62は底面に所定のピッチを有する櫛歯部62aが形成される。また、リング63の外周には180度間隔で放射方向に突出するタブ63aが形成される。タブ63aはハウジング56の縦溝57に嵌合して、第2固定破砕刃53の回転を規制する。
第3回転破砕刃54は、ハブ64から等間隔で接線方向に放射状に延びる8本アーム65をリング66が囲んだ形状である。図9に示す第4固定破砕刃15と同様の理由で、8本のアーム65の中で、6本のアーム65は上面に櫛歯部65aが形成される。第3回転破砕刃54の櫛歯部65aは、第2固定破砕刃53の櫛歯部62aと噛み合うピッチを有し、第2固定破砕刃53と第3回転破砕刃54を重ねると、両者の櫛歯部62a,65aは僅かな隙間が形成される噛み合い状態となる。
これにより、第3回転破砕刃54の櫛歯部65aは、第2固定破砕刃53のアーム62間に入り込んだ生ゴミを、第2固定破砕刃53の櫛歯部62aとの協働で破砕する。
第3回転破砕刃54のハブ64は、アーム65の形成面の上側に第1の軸部64aを備えると共に、アーム65の形成面の下側に第2の軸部64bを備える。第1の軸部64aは、第2固定破砕刃53のハブ61に対して回転自在に嵌る。また、第1の軸部64aの先端には第1回転破砕刃52が固定される。
第2の軸部64bは、第4固定破砕刃55が回転自在に嵌る。また、第2の軸部64bには図示しないCリング固定用の溝が形成され、Cリング58により第4固定破砕刃55を保持する。
更に、第2の軸部64bの底面には、図1に示す減速ユニット5の駆動軸5aが嵌る角穴67が形成される。図示しないが、減速ユニット5の駆動軸5aに第2の軸部64bの角穴67が嵌合されることで、モータ6の駆動力が第3回転破砕刃54に伝達され、第3回転破砕刃54と第1回転破砕刃52が一体に回転する。
第4固定破砕刃55は円板形状を成して、第3回転破砕刃54の第2の軸部64bが回転自在に挿入される中心円孔68を除く全面に多数のスリット69を配列している。各スリット69は第4固定破砕刃55を表裏貫通している。第2固定破砕刃53の櫛歯部62aと第3回転破砕刃54の櫛歯部65aにより破砕されて第4固定破砕刃55の上面に落下した生ゴミは、第3回転破砕刃54が回転することでスリット69に押し付けられて、スリット69の上面側開口縁部のエッジ部分により破砕される。そして、細かく破砕された生ゴミは、スリット69を通って下方へ落下する。
第4回転破砕刃55の外周には、180度間隔で放射方向に突出するタブ70が形成される。タブ70はハウジング56の縦溝57に嵌合して、第4固定破砕刃55の回転を規制する。
図12および図13に示す破砕ユニット51を備えた生ゴミ処理装置の動作の概要を説明すると、各回転破砕刃の回転でまず第1の回転破砕刃52により生ゴミが取り込まれ、第1の回転破砕刃52と第2固定破砕刃53の協働でおおまかに破砕された生ゴミは、第2固定破砕刃53の櫛歯部62aと第4回転破砕刃54の櫛歯部65aの協働で細かく破砕される。そして、第4の回転破砕刃54のアーム65と第5固定破砕刃55のスリット69の協働で更に生ゴミは細かく破砕されて排出される。
図12および図13に示す破砕ユニット51を備えた生ゴミ処理装置でも、最上段の第1回転破砕刃52に押し込み面59aを備えることで、初期破砕段階での生ゴミの取り込み性が向上する。
1・・・生ゴミ処理装置、3・・・ホッパー、4・・・破砕ユニット、5・・・減速ユニット、5a・・・駆動軸、6・・・モータ、7・・・投入開口部、11・・・蓋体、12・・・第1回転破砕刃、13・・・第2固定破砕刃、14・・・第3回転破砕刃、15・・・第4固定破砕刃、16・・・第5回転破砕刃、17・・・ハウジング、20・・・攪拌アーム、21・・・押し込み面、23・・・アーム、28・・・アーム、28a・・・櫛歯部、31・・・アーム、31a・・・櫛歯部、39・・・スリット