JP5168450B2 - 燃料電池用電極触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池、特にダイレクトメタノール型燃料電池用の電極触媒の製造方法に関する。
携帯電話では、電池の高容量化が望まれているが、二次電池の高容量化は困難である。そのためメタノール燃料を用いたダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)が注目されている。
DMFCは液体燃料を水素等に改質することなくそのまま利用できるため、コンパクト化が可能等の長所があり、現在実用化に向けて鋭意研究されている。しかし、電解質膜のメタノール透過性が大きいこと、及びアノード触媒のメタノール酸化活性が小さいことが実用化に向けて課題となっている。
アノード触媒には主にPtRu系触媒が使用されており、PtRu以外の高活性触媒の探索がなされているが、PtRuを凌ぐレベルには達していない。PtRu系での高活性化では、粒径が小さく表面積の大きいPtRu微粒子をカーボン担体上に分散させた担持触媒を用いることが挙げられる。但し、市販の担持触媒、例えばTEC61E54(54wt%PtRu/C、田中貴金属製、PtRuサイズ4nm)でも活性は不十分であり、更なる高活性化が必要である。そのためにはPtRu粒径を更に小さく(4nm以下)し、カーボン担体上にできるだけ多く(高担持)、かつ均一に(高分散)に担持することが望ましい。
この場合、貴金属塩をカーボン上に含浸した後、水素等で還元することにより触媒を作製する方法が知られているが、貴金属塩の還元には200〜450℃の温度が必要である。そのため貴金属粒子系は3〜4nmであり、また高担持・高分散化が困難である(Y. Takasu et al., Journal of Electrochemical Society 147(12),4421−4427,2000:非特許文献1)。
また、特開2005−158484号公報(特許文献1)には、担体カーボンと陽イオン交換樹脂との混合物中に白金族陽イオンを吸着し、水素を含む雰囲気中100〜130℃で還元することが記載されているが、この場合も貴金属塩を還元することから、高い温度を必要としており、メタノール酸化活性の向上については記載されていないものである。
Y. Takasu et al., Journal of Electrochemical Society 147(12),4421−4427,2000 特開2005−158484号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、活性表面積当りのメタノール酸化活性(比表面積活性)が高く、特にダイレクトメタノール型燃料電池用として有効な燃料電池用電極触媒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、例えば高担持・高分散のPtRu担持触媒を得る手段として、担体カーボン上にPt等の金属核を形成後、該金属核上にPtRuを成長させる方法(以下、2段担持法と呼ぶ)により、平均粒径4nm以下のPtRu粒子をカーボン上に50質量%以上の担持率でも分散性良く担持した触媒を得ることができることを見出した。しかし、この2段担持法により、市販触媒TEC61E54に比べ、メタノール酸化活性が2.5倍の触媒を得ることができたが、実際に燃料電池として使用するには、更なる触媒活性の向上が高出力化のために望ましい。そこで、更に検討を進めた結果、2段担持法で作製した高担持・高分散PtRu/C触媒を、更に水素を含む雰囲気で処理することによって、活性表面積当りのメタノール酸化活性(比表面積活性)が向上すること、この場合、特に水素を含む雰囲気の処理を100℃未満の温度で行うことによって、PtRu質量当りのメタノール酸化活性(質量活性)も向上することを見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記の燃料電池用電極触媒の製造方法を提供する。
[1]導電性カーボン担体を水に分散させた水分散液に、白金化合物と還元剤とを添加し、得られた混合液を50〜120℃で処理して、導電性カーボン担体に粒子間隔を制御した平均粒径0.1nm〜1.5nmのPt微粒子を生成する第一担持工程と、該Pt微粒子を核として他の金属を成長させ、下記式
担持率(質量%)=[B/(A+B+C)]×100
A:Pt微粒子の質量
B:他の金属の質量
C:導電性カーボン担体の質量
から求められる担持率を50質量%以上とする第二担持工程と、第二担持工程終了後に水素を含む雰囲気で、20℃以上100℃未満の温度で、0.5〜8時間処理する工程とを含み、
前記Pt微粒子を核として成長させる他の金属がPtRu、PtRuSn、PtRuRh、PtRuPd、PtRuIr、PtRuMo又はPtRuWであり、
前記水素を含む雰囲気で処理する工程後の前記他の金属の平均粒径が4nm以下であることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
[2]導電性カーボン担体上に担持させるPt微粒子を核として成長させる他の金属がPtRuである[1]記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
本発明によれば、活性表面積当りのメタノール酸化活性が向上した燃料電池用電極触媒を得ることができ、この場合、特に上記第二担持工程後の水素を含む雰囲気での処理を100℃未満の低温で行うことにより、質量当りのメタノール酸化活性を向上させることができる。
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法は、
i.導電性カーボン担体に粒子間隔を制御した粒径0.1〜1.5nmの金属微粒子を生成する第一担持工程
ii.該金属微粒子を核に他の金属を成長させる第二担持工程
iii.第二担持工程終了後に成長した他の金属を水素を含む雰囲気で処理する水素処理工程
を備えたものである。
ここで、第一担持工程で用いられる導電性カーボン担体としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャネルブラック、活性炭、HOPG等が使用できる。この場合、この導電性カーボン担体の平均粒径は10〜200nm、特に10〜50nmが好ましい。平均粒径が10nmより小さいと、カーボンを均一に分散させて平均粒径1.5nm以下の金属微粒子を担持することが困難な場合が生じ、平均粒径が、200nmより大きいと、単位体積当りの金属量が減少するため、燃料電池作製時、所定の触媒量を載せるためには、触媒層が厚くなり、燃料が供給されにくくなるおそれがある。
また、上記カーボン担体に担持させる金属としては、Pt(白金)、Au,Ag,Ir,Os,Pd,Rh,Ru,Cu,Ni,Co,Fe,Mn,Cr,V,Ti,Mo,W,Ta,Bi,Sn等が挙げられるが、容易に還元でき、微小な粒子の形成が容易である点からPtが好ましい。この場合、これら金属を上記カーボン担体上に粒子間隔を制御した平均粒径0.1〜1.5nmの微粒子として生成、担持させる。ここで、「粒子間隔を制御する」とは、微粒子を凝集することなくカーボン表面上に(均一に)分散させるということを意味し、またこのように粒子間隔を制御する方法としては、低い担持率でカーボン存在下で金属原料を還元する、又は金属原料をカーボンに含浸させ気相中で還元する際、金属原料の担持率を低くする、又は金属コロイドを担持率を低くしてカーボン上に担持する等の方法が採用し得る。
また、上述したように、第一担持工程における金属微粒子による核形成は、粒径1.5nm以下とする。1.5nmより大きくなると、最終的に得られる触媒粒子の粒径が大きくかつ凝集し易くなり、高分散な触媒は得られない。1.5nm以下に形成すると、担体との結合が強く、カーボン上均一に分散し易い。
この第一担持工程における金属微粒子の生成、担持方法としては、特に白金微粒子を生成、担持させる場合は、カーボン担体を0.01〜2質量%、特に0.1〜1質量%の割合で水に分散させた水分散液に、塩化白金酸塩、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ジニトロジアミン白金(II)、ビスアセチルアセトナト白金、ジクロロテトラミン白金、テトラミン硫酸白金、塩化白金(II)アンモニウム、塩化白金(IV)アンモニウム、ジクロロジアミン白金等の白金化合物とエチレングリコール、エタノール、メタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール等の還元剤を添加する。この場合、白金化合物量は、白金金属としてカーボン担体に対して0.1〜30質量%、特に1〜15質量%であることが好ましい。白金化合物量が少なすぎると、カーボン表面上の成長核が少なくなり、白金化合物量が多すぎると、粗大粒子が発生し、高担持率で分散性の良い触媒が得られないおそれが生じる。また、エチレングリコール等の還元剤の使用量は、1〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。また、上記水分散液のpHは4〜12、特に5〜10であることが好ましく、このためpH調整剤として水酸化ナトリウム、アンモニア水、テトラヒドロキシメチルアンモニウム等を使用し、上記pH範囲内に調整することが好ましい。
次いで、このようにして得られた混合液を50〜120℃、特に70〜100℃で1〜10時間、特に3〜6時間撹拌処理した後、濾過、洗浄後、40〜50℃、特に60〜120℃で3〜24時間、特に8〜16時間乾燥することが好ましい。また、上記金属粒子の導電性カーボン担体に対する担持率は1〜30質量%、特に5〜15質量%であることが好ましい。担持率が小さすぎると、カーボン表面上の成長核が小さくなり、担持率が大きすぎると、粒子サイズが大きくなり高担持率で分散性のよい触媒が得られない。なお、ここで担持率は、下記の式から求めた値である。
担持率(質量%)=[A/(A+C)]×100
A:金属微粒子質量
C:カーボン担体質量
次に、上記のようにして金属微粒子をカーボン担体に担持させた後、この金属微粒子を核として他の金属(触媒金属)を成長させる。この場合、触媒金属としは、PtRu(白金・ルテニウム)、PtSn,PtMo,PtW,PtRh,PtPd,PtRuSn,PtRuRh,PtRuPd,PtRuIr,PtRuMo,PtRuW等が挙げられるが、メタノール酸化活性の高さの点でPtRuが好ましい。
ここで、本発明の燃料電池用電極触媒は、特にアノード触媒(メタノール酸化触媒)として有効に用いられるが、このアノード触媒(メタノール酸化触媒)は、メタノール酸化反応により電流を取り出すもので、従来から主にPtRuが用いられ、PtRu粒子表面で反応が起こる。そのため、PtRu粒径が小さい方が、PtRu質量当りの表面積が大きくなり、活性が高くなる。カーボンに担持した触媒では、カーボンの体積が大きいため、触媒層形成時の厚さは使用するカーボン量に依存する。燃料・反応生成物の拡散をし易くするには、触媒層の厚さが薄いことが好ましい。そのためカーボン粒子にできるだけ多くのPtRuを担持(高担持)することが望ましい。その際、PtRu粒子が凝集して担持していると、凝集体内部が反応に利用できないため、PtRu粒子が凝集せず、高分散に担持することが望ましい。
本発明によれば、カーボン上に平均粒径0.1〜1.5nm程度の金属粒子(例えばPt)を形成し、その後Pt核上にPtRu等の触媒金属を担持又は成長させることで、担持率が高く、高分散な触媒を得ることができる。
このように、1段目で生成したPt等の金属微粒子核上に、PtRu等の触媒金属を担持又は成長させることで高担持で高分散の触媒を得ることが可能であるが、最終的に形成されるPtRu等の触媒金属の平均粒径は4nm以下、好ましくは3nm以下、より好ましくは2nm以下である。なお、下限は限定されないが、通常1.0nm以上である。4nmより大きいと、市販触媒TEC61E54と同レベルかそれより粒径が大きくなり、活性向上の効果が見られない場合が生じる。
担持率は50質量%以上、好ましくは60質量%以上が望ましい。担持率が50質量%より小さいと、微小なPtRu粒子の分散は容易であるが、MEA作製時の触媒層が担持率の高い触媒を用いたときより厚くなる。そのためメタノール燃料の供給が律速となり、担持率の高い触媒を使用したときに比べて出力は小さくなる場合が生じる。
なお、ここでの担持率は、下記式から求められる。
担持率(質量%)=[B/(A+B+C)]×100
A:金属微粒子質量
B:触媒金属(例えばPtRu)質量
C:カーボン担体質量
ここで、上記金属微粒子核に金属触媒を成長させる方法としては、例えばPtRuを成長させる場合であれば、ジニトロジアミン白金(II)、塩化白金酸、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ビスアセチルアセトナト白金、ジクロロテトラミン白金、テトラミン硫酸白金、塩化白金(II)アンモニウム、塩化白金(IV)アンモニウム、ジクロロジアンミン白金等の白金化合物、塩化ルテニウム、硝酸ニトロシルルテニウム、硝酸ルテニウム、塩化ルテニウムカリウム、塩化ルテニウムナトリウム、トリス−アセチルアセトナトルテニウム、トリルテニウムドデカカルボニル、ニトロソ塩化ルテニウムカリウム等のルテニウム化合物をエタノール、メタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等の溶剤に溶解した溶液中に上記金属微粒子核を担持したカーボン担体を投入し、50〜120℃、特に70〜100℃、とりわけ上記溶剤の還流温度で、1〜10時間、特に3〜6時間反応を行い、上記金属微粒子核上にPtRu微粒子を生成、成長させる方法が採用される。
この場合、上記白金化合物及びルテニウム化合物の使用量は、白金金属:ルテニウム金属としてそのモル比が2:8〜9:1、特に5:5〜8:2であることが好ましい。白金化合物量が少なすぎると、メタノールのC−H離反応が進まないため、メタノール酸化電流値が小さくなり、多すぎると、メタノールの反応中間生成物であるCOの酸化反応が起こり難く、低電位(0.4V(vs RHE)以下の電位)におけるメタノール酸化活性は小さくなる。ルテニウム化合物量が少なすぎると、白金が多い場合と同様、低電位におけるメタノール酸化活性が低く、多すぎると、白金が少ない場合と同様、メタノール酸化電流値が小さくなる。
また、上記金属微粒子核を担持したカーボン担体の量は、溶液中に0.01〜2質量%、特に0.1〜1質量%で分散させて用いることが好ましい。その量が少なすぎると、得られる触媒の量が少なくなり、多すぎると、カーボンの分散性が悪くなり、金属粒子の凝集や粗大粒子の生成等が生じる。
なお、PtRu等の触媒金属の平均粒径を4nm以下にする方法としては、4nm以下のコロイドを作製し、それをカーボン担持する方法もあるが、50質量%以上の担持率ではコロイド粒子の凝集が生じ易く、均一に分散させることが困難である。金属核を低い担持率でカーボン上に設けると、金属核はカーボン表面上に均一に分散し、その上にPtRu等を成長させることにより担持率が50質量%以上でも、4nm以下の金属粒子を均一に分散させることが可能である。金属核がなければ、担持率を50質量%以上としたとき、凝集が生じる。
また、担持量を上記範囲とするには、溶液中に投入する金属原料の量で調整すればよい。
以上のように触媒金属を成長させた後は、この触媒金属と水素を含む雰囲気で処理する。この場合、処理条件としては、水素量と窒素、He,Ar等の不活性ガス量の割合が100:0〜1:99の雰囲気において、300℃以下の温度で1分〜5時間、特に30分〜2時間処理することが好ましい。1分より短いと水素処理の効果が不十分であり、5時間より長い時間では、効果に変化が認められない。
このような水素を含む雰囲気での処理により、PtRu等の触媒金属表面積当りのメタノール酸化活性は向上する。但し、担持率が50質量%以上の2段担持法で作製したPtRu/Cにおいては、処理温度の増加に伴い、PtRu粒子の凝集及び成長が生じる。そのため、PtRu比表面積は減少する。PtRu比表面積当りの活性は向上するものの、比表面積が減少するため、PtRu質量当りの活性は減少する。本発明者らが鋭意検討した結果、処理温度を100℃未満とすることで、処理前と比表面積が変わらず、かつ表面積当りの活性が向上し、PtRu質量当りの活性が向上することを見出したものである。
従って、かかる処理条件を採用する場合、上述した雰囲気において、100℃未満、特に20〜80℃、とりわけ30〜60℃の温度で0.5〜8時間、特に1〜3時間処理することが好ましい。
このようにして得られた燃料電池用電極触媒は、特にダイレクトメタノール型燃料電池のアノード電極触媒として好適に用いられる。
以下、実施例と参考例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
2段担持法によるPtRu/Cの作製
カーボン担体(ケッチェンブラックEC300J:ライオン社製)5gを含有する500mlの水分散液に、0.6gの白金を含む塩化白金酸を添加し、更にエチレングリコールを500g及びNaOHを50mmol添加した。この混合液を60℃で24時間加熱攪拌処理した。濾過、洗浄後、80℃で24時間乾燥し、Pt核を担持したカーボン5.6gを得た。
得られたPt核を担持したカーボンをTEM観察した結果、平均粒径約0.5nmの微粒子が担体上に均一に分散している様子を確認できた。
上記Pt核を担持したカーボン0.5gを、更にジニトロジアンミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム0.5g、エタノール100gを含有する溶液600g中に投入し、80℃で8時間還流し、PtRuの担持率68質量%の触媒1.4gを得た。TEM観察した結果、平均粒径は2.4nmであり、カーボン上に均一に分散していた。
得られた触媒を管状炉に入れ、窒素1L/min+水素0.5L/minの雰囲気中60℃で1時間処理した。処理後のTEM像を観察した結果、平均粒径は2.4nmと処理前と変わらず、カーボン上の分散状態にも変化は見られなかった。
活性表面積の評価は、COストリッピング法により行った。触媒を水に超音波分散した後、グラッシーカーボン電極上に滴下し、乾燥後、5%Nafion溶液(DuPont製)を滴下して評価用の電極を作製した。電極をポテンショスタット(北斗電工製HZ5000)に取り付け、0.5M H2SO4の入った電解セルに浸漬した。電解セルの雰囲気をArで置換後、触媒を−0.18V(vs RHE)に保持し、COガスを20minバブリングさせることでCO吸着を行った。同電位に保持した状態で、Arガスで20minバブリングさせ、余剰のCOガスを排出した。その後、スイープレンジ−0.18〜0.5V(vs RHE)、スイープ速度10mV/sで電位操作し、COストリッピングボルタムグラムを測定し、COが脱離した後に再度電位走査し、その面積差をCO酸化電流とし、CO酸化のクーロン電荷を4.2C/m2を仮定して、PtRuの活性表面積を算出した。
メタノール酸化活性の評価は、電解液を0.5M H2SO4+1M CH3OHとし、スイープレンジ−0.18〜0.5V(vs RHE)、スイープ速度1mV/sで酸化電流を評価した。活性面積評価及びメタノール酸化活性はすべて25℃で行った。
参考
実施例1で作製した68質量%PtRu/Cを窒素1L/min+水素0.5L/minの雰囲気中100℃で1時間処理した。処理後のTEM像を観察したところ、PtRuの平均粒径は2.9nmであった。カーボン上PtRu粒子の分散状態は、処理前に比べ凝集している様子が見られた。
参考
実施例1で作製した68質量%PtRu/Cを窒素1L/min+水素0.5L/minの雰囲気中300℃で1時間処理した。処理後のTEM像を観察したところ、PtRuの平均粒径は3.7nmであり、粒成長が見られた。
[比較例1]
実施例1で作製した68質量%PtRu/C(PtRu平均粒径2.4nm)を水素を含む雰囲気での処理を行わず、活性表面積及びメタノール酸化活性を評価した。
実施例1、参考例1,2及び比較例1の触媒について、活性表面積及び0.4V,0.5V(vs RHE)メタノール酸化活性の評価結果を表1に示す。
Figure 0005168450
平均粒径及び活性表面積を比較すると、処理温度60℃においては処理前と変化が無いことがわかる。処理温度が100℃、300℃と高くなるに従い、粒子サイズの増大及び活性表面積の低下が見られる。また、PtRu比表面積当りのメタノール酸化活性は、処理温度の増加に伴い活性が向上している。このことは、水素を含む雰囲気での処理が、原因はわかっていないが、メタノール酸化活性向上に寄与していることを表わしている。しかしながら、処理温度の増大は粒子サイズの増大、活性表面積の減少となるため、100℃及び300℃処理時のPtRu質量当りのメタノール酸化活性は処理前に比べ低下する。
従って、粒子サイズの増大を生じない温度域での水素を含む雰囲気での処理により、高担持・高分散PtRu/C触媒のメタノール酸化活性を更に向上できることがわかる。

Claims (2)

  1. 導電性カーボン担体を水に分散させた水分散液に、白金化合物と還元剤とを添加し、得られた混合液を50〜120℃で処理して、導電性カーボン担体に粒子間隔を制御した平均粒径0.1nm〜1.5nmのPt微粒子を生成する第一担持工程と、該Pt微粒子を核として他の金属を成長させ、下記式
    担持率(質量%)=[B/(A+B+C)]×100
    A:Pt微粒子の質量
    B:他の金属の質量
    C:導電性カーボン担体の質量
    から求められる担持率を50質量%以上とする第二担持工程と、第二担持工程終了後に水素を含む雰囲気で、20℃以上100℃未満の温度で、0.5〜8時間処理する工程とを含み、
    前記Pt微粒子を核として成長させる他の金属がPtRu、PtRuSn、PtRuRh、PtRuPd、PtRuIr、PtRuMo又はPtRuWであり、
    前記水素を含む雰囲気で処理する工程後の前記他の金属の平均粒径が4nm以下であることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  2. 導電性カーボン担体上に担持させるPt微粒子を核として成長させる他の金属がPtRuである請求項1記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
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