JP5126512B2 - 燃料電池用電極触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池、特にダイレクトメタノール型燃料電池用の電極触媒の製造方法に関する。
携帯電話では、電池の高容量化が望まれているが、二次電池の高容量化は困難である。そのためメタノール燃料を用いたダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)が注目されている。
DMFCは液体燃料を水素等に改質することなくそのまま利用できるため、コンパクト化が可能等の長所があり、現在実用化に向けて鋭意研究されている。しかし、電解質膜のメタノール透過性が大きいこと、及びアノード触媒のメタノール酸化活性が低いことが実用化に向けて課題となっている。
アノード触媒には主にPtRu系触媒が使用されているが、メタノール酸化活性が低いことから、使用されるPtRu触媒の量は多く、一般に3〜10mg/cm2程度用いられている。PtRu触媒の量が多くなると、触媒の層の厚さがかなり厚くなり、燃料であるメタノールの拡散性をよくするため、一般にはPtRu black触媒が用いられている。しかし、PtRu black触媒は、粒子サイズが5nm以上あるため、触媒質量あたりのメタノール酸化活性は低く、触媒反応に寄与しないPtRuの割合が高い。そのため、小さいPtRu粒子を分散性よく導電性カーボン担体に担持した触媒を用いることが好ましい。更に、触媒の層厚をできるだけ薄くするために、カーボン上に担持するPtRu粒子の量をできるだけ多くすることが望まれる。
例えば、高担持・高分散のPtRu担持触媒等の触媒を得る手段として、担体カーボン上にPt等の金属核を形成後、該金属核上にPtRu等を成長させる方法により、平均粒径4nm以下のPtRu粒子等の粒子を、カーボン上に50質量%以上の担持率でも分散性よく担持した触媒を得ることができることが報告されている(特許文献1:特開2007−134295号公報)。この2段担持法により、市販触媒、例えば、TEC61E54(田中貴金属工業(株)製)に比べ、メタノール酸化活性が約2.5倍の触媒を得ることができる。しかし、実用化に対しては、更なるメタノール酸化活性の向上が望まれる。
メタノール酸化活性の向上には、触媒粒子の微粒子化の他に、単位表面積あたりの触媒活性を高めることが考えられる。例えば、PtRuの他にRhやIrなどの第三金属を加える(非特許文献1:川口他、触媒 46(6)、417−419、2004)など組成の検討がなされているが、検討された触媒の担持率は30質量%と低く、実用的な担持率、例えば50質量%以上においての触媒活性はわかっていない。表面積の増大、及び単位表面積あたりの活性向上の両者、又はどちらか一方によってでもよいが、できるだけ担持率の高い触媒において、更なるメタノール酸化活性の向上が望まれる。
特開2007−134295号公報 川口他、触媒、46(6)、417−419、2004
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高担持率においてもメタノール酸化活性が高く、特にダイレクトメタノール型燃料電池用として有効な燃料電池用電極触媒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、担体カーボン上に金属核(金属単体又は合金からなる核)を形成後、この金属核上に更に金属(金属単体又は合金)を成長させる方法(2段担持法)において、担体カーボン上に金属核を形成後、PtRu等の少なくともルテニウムを含む触媒金属を成長させる際、使用するRu原料として、下記式(A)
2RuX6 …(A)
(式中、MはH,Li,Na,K及びNH4から選ばれる1種又は2種以上、XはCl,Br,I及びNO3から選ばれる1種又は2種以上である。)
で示されるRuの価数が4価であるルテニウム化合物を用い、これを還元剤として2−プロパノールを用いて還元して成長させると、他のRu原料や他の還元剤を使用したときに比べ、触媒金属質量あたりのメタノール酸化活性が、特に0.4〜0.6V vs RHEの電位において向上することを見出した。特に、2−プロパノールを還元剤に用いた場合には、他の還元剤を用いたときに比べ60℃といった低い温度でも特異的にPtRu等の触媒金属の成長が起こり、50質量%以上、特に60質量%以上の高担持率においても、活性表面積が高く、メタノール酸化活性が向上することを見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記の燃料電池用電極触媒の製造方法を提供する。
[1]導電性カーボン担体に粒子間隔を制御した粒径0.1〜2.0nmの金属微粒子を生成させる第一担持工程と、該金属微粒子を核として、少なくともルテニウムを含む触媒金属を、ルテニウム化合物を含む金属化合物を還元剤により還元して成長させる第二担持工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法であって、
上記第二担持工程において、ルテニウム化合物として、下記式(A)
2RuX6 …(A)
(式中、MはH,Li,Na,K及びNH4から選ばれる1種又は2種以上、XはCl,Br,I及びNO3から選ばれる1種又は2種以上である。)
で示されるルテニウム化合物を用い、還元剤として2−プロパノールを用いることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
[2]上記ルテニウム化合物が、H2RuCl6であることを特徴とする[1]記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
[3]第二担持工程の還元温度が60〜80℃であることを特徴とする[1]又は[2]記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
[4]第二担持工程で成長させる金属が更に白金を含むことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
本発明によれば、触媒質量あたりのメタノール酸化活性が高い燃料電池用電極触媒を、高い担持率の燃料電池用電極触媒として得ることができる。
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法の2段担持法は、
i.導電性カーボン担体に粒子間隔を制御した粒径0.1〜2.0nmの金属微粒子を生成させる第一担持工程と、
ii.該金属微粒子を核として、少なくともルテニウムを含む触媒金属を、ルテニウム化合物を含む金属化合物を還元剤により還元して成長させる第二担持工程と
を備えたものである。
ここで、第一担持工程で用いられる導電性カーボン担体としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャネルブラック、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、メソポーラスカーボン等が使用できる。この場合、この導電性カーボン担体の平均一次粒径は10〜200nm、特に10〜50nmが好ましい。平均粒径が上記範囲より小さいと、カーボンを均一に分散させて平均粒径1.5nm以下の金属微粒子を担持することが困難な場合が生じ、平均一次粒径が上記範囲より大きいと、単位体積あたりの金属量が減少するため、燃料電池作製時、所定の触媒量を載せるためには、触媒層が厚くなり、燃料が供給されにくくなるおそれがある。なお、本発明において、この平均一次粒径等の粒径は、例えば、透過電子顕微鏡写真で200万倍の像を観察して測定することができ、平均値は、例えば約300個の粒径を測定した場合の平均値として求めることができる。
また、上記カーボン担体に担持させる金属としては、Pt、Au、Ag、Ir、Os、Pd、Rh、Ru、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、V、Ti、Mo、W、Ta、Bi、Sn等が挙げられる。特に同じ質量を担持したときの活性表面積の高さから、Pt又はRuが好ましい。これら金属を上記カーボン担体上に粒子間隔を制御した平均粒径0.1〜2.0nmの微粒子として生成、担持させる。ここで、「粒子間隔を制御する」とは、微粒子を凝集することなくカーボン表面上に均一に分散させるということを意味し、また、このように粒子間隔を制御する方法としては、30質量%未満の担持率、好ましくは15質量%以下の担持率で、液相中カーボン存在下で金属原料を還元する、30質量%未満の担持率、好ましくは15質量%以下の担持率で金属原料をカーボンに含浸させ気相中で還元する、又は30質量%未満の担持率、好ましくは15質量%以下の担持率で金属コロイドをカーボン上に担持する等の方法が採用し得る。
また、上述したように、第一担持工程における金属微粒子による核形成は、粒径2.0nm以下、好ましくは1.5mm以下とする。2.0nmより大きくなると、最終的に得られる触媒粒子の粒径が大きく、かつ凝集し易くなり、高分散な触媒は得られない。また、2.0nm以下に形成すると、担体との結合が強く、カーボン上に均一に分散し易い。
この第一担持工程における金属微粒子の生成、担持方法としては、特に白金微粒子を液相中カーボン存在下で生成、担持させる場合は、カーボン担体を0.01〜2質量%、特に0.1〜1質量%の割合で水に分散させた水分散液に、塩化白金酸塩、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ジニトロジアミン白金(II)、ビスアセチルアセトナト白金、ジクロロテトラミン白金、テトラミン硫酸白金、塩化白金(II)アンモニウム、塩化白金(IV)アンモニウム、ジクロロジアミン白金等の白金化合物とエチレングリコール、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等の還元剤を添加する。この場合、白金化合物量は、白金金属としてカーボン担体に対して0.1〜30質量%、特に1〜15質量%であることが好ましい。白金化合物量が少なすぎると、カーボン表面上の成長核が少なくなり、白金化合物量が多すぎると、粗大粒子が発生し、高担持率で分散性のよい触媒が得られないおそれが生じる。また、エチレングリコール等の還元剤の使用量は、水分散液中1〜80質量%、特に5〜50質量%が好ましい。また、上記水分散液のpHは4〜12、特に5〜10であることが好ましく、このためpH調整剤として水酸化ナトリウム、アンモニア水、テトラヒドロキシメチルアンモニウム等を使用し、上記pH範囲内に調整することが好ましい。なお、ここでは白金微粒子を生成させる場合を例示したが、白金以外の上述した金属を生成させる場合は、金属化合物、還元剤を適宜変更して生成させることができる。
次いで、このようにして得られた混合液を好ましくは40〜120℃、特に50〜100℃で好ましくは1〜10時間、特に2〜6時間撹拌処理した後、濾過、洗浄後、好ましくは40〜150℃、特に60〜120℃で好ましくは3〜24時間、特に8〜16時間乾燥することにより金属微粒子を担持したカーボンを得ることができる。
ここで、還元後の金属微粒子の担持率は1〜30質量%、特に5〜15質量%であることが好ましい。担持率が低すぎると、カーボン表面上の成長核の数が十分でなく、担持率が高すぎると、金属微粒子のサイズが大きくなり、高担持率で分散性のよい触媒が得られない。なお、ここで担持率は、下記式(1)から求めた値である。
担持率(質量%)=[A/(A+C)]×100 …(1)
A:金属微粒子質量
C:カーボン担体質量
次に、上記のようにして金属微粒子をカーボン担体に担持させた後、この金属微粒子を核として同一又は他の金属(触媒金属)を成長させる。この場合、触媒金属は、Ruを含む金属(Ru単体又はRuを含む合金)であり、特に、Ruと共に、更に白金を含むものが好ましく、PtRuを含む合金としては、PtRuの二元系の他、PtRuSn、PtRuRh、PtRuPd、PtRuIr、PtRuAu、PtRuMo、PtRuW、PtRuCo、PtRuNi、PtRuFe、PtRuCr等の三元系が挙げられるが、メタノール酸化活性の高さの点でPtRuが好ましい。
1段目で生成したPt等の金属微粒子核上に、PtRu等の触媒金属を担持又は成長させることで、高担持で高分散の触媒を得ることが可能であるが、最終的に形成されるPtRu等の触媒金属の平均粒径は4nm以下、好ましくは3nm以下、より好ましくは2.5nm以下である。なお、下限は限定されないが、通常0.1nm以上である。4nmより大きいと、市販触媒TEC61E54と同レベルかそれより粒径が大きくなり、金属質量あたりのメタノール酸化活性が低下する場合が生じる。
第二担持工程後の全金属粒子の担持率は50質量%以上、好ましくは60質量%以上が望ましい。担持率が50質量%より低いと、微小な触媒金属粒子の分散は容易であるが、膜電極接合体(MEA)作製時の触媒層が担持率の高い触媒を用いたときより厚くなる。そのためメタノール燃料の供給が律速となり、担持率の高い触媒を使用したときに比べて出力は小さくなる場合が生じる。なお、担持率の上限は特に限定されるものではないが通常90質量%以下、特に75質量%以下が好ましい。なお、ここでの担持率は、下記式(2)から求められる。
担持率(質量%)=[(A+B)/(A+B+C)]×100 …(2)
A:金属核質量
B:触媒金属(例えばPtRu)質量
C:カーボン担体質量
ここで、上記金属微粒子核に金属触媒を成長させる方法としては、例えばPtRuを成長させる場合であれば、白金原料として塩化白金酸、塩化白金(II)、塩化白金(IV)、ジニトロジアミン白金(II)、ビスアセチルアセトナト白金、ジクロロテトラミン白金、テトラミン硫酸白金、塩化白金(II)アンモニウム、塩化白金(IV)アンモニウム、ジクロロジアミン白金等の白金化合物を単独で又は複数種使用することができる。
一方、ルテニウム原料として、本発明では、下記式(A)
2RuX6 …(A)
(式中、MはH,Li,Na,K及びNH4から選ばれる1種又は2種以上、XはCl,Br,I及びNO3から選ばれる1種又は2種以上である。)
で示されるルテニウムの価数が4価であるルテニウム化合物を使用する。
このルテニウム化合物として具体的には、ルテニウムの価数が4価である塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)、塩化ルテニウム酸リチウム(Li2RuCl6)、塩化ルテニウム酸ナトリウム(Na2RuCl6)、塩化ルテニウム酸カリウム(K2RuCl6)、塩化ルテニウム酸アンモニウム((NH42RuCl6)等の塩化ルテニウム酸又はその塩などのルテニウム化合物を単独で又は複数種使用することができる。最終的に得られる触媒のメタノール酸化活性の高さからは、H2RuCl6を用いることが好ましい。
これらの白金及びルテニウム化合物を還元剤である2−プロパノールを含む溶液(好ましくは水溶液)に溶解し、次いで金属微粒子核を担持したカーボン担体を投入し、PtRuを成長させる。白金及びルテニウム化合物の使用量は、担持量に合わせて設定すればよい。一方、溶液中の白金及びルテニウム化合物の濃度は、触媒金属換算で0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%とすることが好ましい。また、還元剤の濃度は、1〜80質量%、特に5〜60質量%とすることが好ましい。
還元の温度は40℃以上、特に50℃以上、とりわけ60℃以上で、80℃以下、特に70℃以下の温度で行うことが好ましい。40℃未満であると反応は十分進行しない。40℃以上の温度で反応は進行するが、反応温度の増加に伴いPtRu粒子の粗大化や凝集が生じるため、上限温度は80℃以下とすることが好ましい。反応時間は1〜16時間、特に2〜8時間とすればよい。
還元剤として2−プロパノールの他のアルコール類、例えばメタノールや1−プロパノールや2−ブタノールを用いた場合には、60℃では、PtRu等の触媒金属の成長が不十分で、高い担持率の触媒とならず、これよりも更に高温、例えば80℃以上でないと、高い担持率を得ることができないが、2−プロパノールを用いた場合、80℃未満の温度でも、十分に高い担持率を得ることができ、最終的に得られる触媒の活性面積は高く、かつメタノール酸化活性も高い。すなわち2−プロパノールを用いた場合のみ、特異的に高い触媒活性が得られる。
また、記白金化合物及びルテニウム化合物の使用量は、白金金属:ルテニウム金属としてそのモル比が2:8〜9:1、特に5:5〜8:2であることが好ましい。白金化合物量が少なすぎると、メタノールのC−H解離反応が進まないため、メタノール酸化電流値が小さくなり、多すぎると、メタノールの反応中間生成物であるCOの酸化反応が起こりにくく、低電位(0.4V(vs RHE)以下の電位)におけるメタノール酸化活性が小さくなる。ルテニウム化合物量が少なすぎると、白金が多い場合と同様、低電位におけるメタノール酸化活性が低く、多すぎると、白金が少ない場合と同様、メタノール酸化電流値が小さくなる。
また、上記金属微粒子核を担持したカーボン担体の量は、溶液中に0.01〜2質量%、特に0.1〜1質量%で分散させて用いることが好ましい。その量が少なすぎると、得られる触媒の量が少なくなり、多すぎると、カーボンの分散性が悪くなり、金属粒子の凝集や粗大粒子の生成等が生じる。なお、ここではPtRuを成長させる場合を例示したが、PtRu以外の上述した金属を生成させる場合は、金属化合物を適宜変更して生成させることができる。
このようにして得られた燃料電池用電極触媒は、特にダイレクトメタノール型燃料電池のアノード電極触媒として好適に用いられる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
カーボン担体(ケッチェンブラックEC300J(ライオン(株)製))1gを含有する500mlの水分散液に、0.1gの白金を含む塩化白金酸を添加し、更にエチレングリコールを500g及びNaOHを50mmol添加した。この混合液を80℃で16時間加熱攪拌処理した。濾過、洗浄後、80℃で16時間乾燥し、Pt核を担持したカーボンを得た。得られたPt核を担持したカーボンをTEM観察した結果、粒径約0.5nmの微粒子が担体上に均一に分散している様子を確認できた。
上記Pt核を担持したカーボン0.5gを、更にジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、2−プロパノール100gを含有する溶液600g中に投入し、60℃で8時間還流し、PtRuの担持率68質量%の触媒1.4gを得た。TEM観察した結果、平均粒径は2.4nmであり、カーボン上に均一に分散していた。
活性表面積の評価は、COストリッピング法により行った。触媒を水に超音波分散した後、グラッシーカーボン電極上に滴下し、乾燥後、5%Nafion溶液(DuPont製)を滴下して評価用の電極を作製した。電極をポテンショスタット(北斗電工製HZ5000)に取り付け、0.5mol/L H2SO4の入った電解セルに浸漬した。電解セルの雰囲気をArで置換後、触媒を−0.18V(vs RHE)に保持し、COガスを20minバブリングさせることでCO吸着を行った。同電位に保持した状態で、Arガスで20minバブリングさせ、余剰のCOガスを排出した。その後、スイープレンジ−0.18〜0.5V(vs RHE)、スイープ速度10mV/sで電位操作し、COストリッピングボルタムグラムを測定し、COが脱離した後に再度電位走査し、その面積差をCO酸化電流とし、CO酸化のクーロン電荷を4.2C/m2と仮定して、PtRuの活性表面積を算出した。
メタノール酸化活性の評価は、電解液を0.5mol/L H2SO4+1mol/L CH3OHとし、スイープレンジ−0.18〜0.5V(vs RHE)、スイープ速度1mV/sで酸化電流を評価した。活性面積評価及びメタノール酸化活性は全て25℃で行った。
[実施例2]
実施例1と同様の手順で作製したPt核を担持したカーボン0.5gを、ジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、2−プロパノール100gを含有する溶液600g中に投入し、80℃で8時間還流し、PtRuの担持率68質量%の触媒1.4gを得た。TEM観察した結果、平均粒径は2.8nmであり、カーボン上に均一に分散していた。活性表面積の評価は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例1]
実施例1と同様の手順で作製したPt核を担持したカーボン0.5gを、ジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、還元剤としてメタノール100gを含有する溶液600g中に投入し、60℃で8時間還流した。PtRuの担持率は45質量%であり、また、ろ液が着色しており、反応は十分進行していなかった。TEM観察した結果、平均粒径は2.4nmであり、カーボン上に均一に分散していた。活性表面積の評価は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例2]
実施例1と同様の手順で作製したPt核を担持したカーボン0.5gを、ジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、還元剤としてメタノール100gを含有する溶液600g中に投入し、80℃で8時間還流した。PtRuの担持率は68質量%であり、この場合、実施例1、2と同様、ろ液は無色透明であった。TEM観察した結果、平均粒径は3.0nmであり、カーボン上に均一に分散していた。活性表面積の評価は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例3]
実施例1と同様の手順で作製したPt核を担持したカーボン0.5gを、ジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、還元剤として1−プロパノール100gを含有する溶液600g中に投入し、60℃で8時間還流した。PtRuの担持率は40質量%であり、反応は十分進行していなかった。TEM観察した結果、平均粒径は2.4nmであり、カーボン上に均一に分散していた。活性表面積の評価は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例4]
実施例1と同様の手順で作製したPt核を担持したカーボン0.5gを、ジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、還元剤として1−プロパノール100gを含有する溶液600g中に投入し、80℃で8時間還流した。PtRuの担持率は68質量%であった。TEM観察した結果、平均粒径は3.2nmであり、カーボン上に均一に分散していた。活性表面積の評価は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例5]
実施例1と同様の手順で作製したPt核を担持したカーボン0.5gを、ジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、還元剤として2−ブタノール100gを含有する溶液600g中に投入し、60℃で8時間還流した。PtRuの担持率は25質量%であり、反応は十分進行していなかった。TEM観察した結果、平均粒径は2.2nmであり、カーボン上に均一に分散していた。活性表面積の評価は、実施例1と同様の方法で行った。
[比較例6]
実施例1と同様の手順で作製したPt核を担持したカーボン0.5gを、ジニトロジアミン白金(II)1.1g、塩化ルテニウム酸(H2RuCl6)0.5g、還元剤として2−ブタノール100gを含有する溶液600g中に投入し、80℃で8時間還流した。PtRuの担持率は68質量%であった。TEM観察した結果、平均粒径は3.5nmであり、カーボン上に均一に分散していた。活性表面積の評価は、実施例1と同様の方法で行った。
実施例1,2及び比較例1〜6の触媒について、使用した還元剤、並びにPtRu成長温度に対する平均粒径、担持率、活性表面積及び0.4V,0.5V(vs RHE)メタノール酸化質量活性の評価結果を表1に示す。
Figure 0005126512
実施例1,2の2−プロパノールを還元剤に用いて作製した触媒は、比較例1〜6に示す他のアルコールを用いて作製した触媒に比べPtRu質量あたりのメタノール酸化活性が著しく高かった。また、PtRu成長温度が60℃で作製した触媒と、80℃で作製した触媒とを比較すると、比較例1〜6で用いた還元剤では、60℃における担持率が低くPtRuの成長が十分進行しないのに対し、実施例1,2に示す2−プロパノールを還元剤に用いた場合には、60℃程度の低い温度でも十分反応が進行していることがわかる。以上より、特に60〜80℃の温度で成長させると、高活性化に対し高い効果があり、この温度で担持率が高く、かつメタノール酸化活性の高い触媒を得るには、PtRu成長時の還元剤として2−プロパノールを用いることが有効であることがわかった。

Claims (4)

  1. 導電性カーボン担体に粒子間隔を制御した粒径0.1〜2.0nmの金属微粒子を生成させる第一担持工程と、該金属微粒子を核として、少なくともルテニウムを含む触媒金属を、ルテニウム化合物を含む金属化合物を還元剤により還元して成長させる第二担持工程を含む燃料電池用電極触媒の製造方法であって、
    上記第二担持工程において、ルテニウム化合物として、下記式(A)
    2RuX6 …(A)
    (式中、MはH,Li,Na,K及びNH4から選ばれる1種又は2種以上、XはCl,Br,I及びNO3から選ばれる1種又は2種以上である。)
    で示されるルテニウム化合物を用い、還元剤として2−プロパノールを用いることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
  2. 上記ルテニウム化合物が、H2RuCl6であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  3. 第二担持工程の還元温度が60〜80℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  4. 第二担持工程で成長させる金属が更に白金を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
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