JP2011044334A - 燃料電池用Pt系触媒、その製造方法、燃料電池用膜電極接合体および燃料電池 - Google Patents

燃料電池用Pt系触媒、その製造方法、燃料電池用膜電極接合体および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高担持率としても触媒粒子の分散性が良好であり、高活性な燃料電池用Pt系触媒の製造方法、該製造方法により得られる燃料電池用Pt系触媒、並びに該Pt系触媒を用いた膜電極接合体および燃料電池を提供する。
【解決手段】 少なくともPtを担体表面に還元析出させて、Pt系触媒粒子を担体に担持させる工程を含む燃料電池用Pt系触媒の製造方法であって、Ptの還元析出反応の開始時において、反応系内におけるPt前駆体を含む反応物質の量を、Pt系触媒の製造に必要な反応物質の量未満とすることを特徴とする燃料電池用Pt系触媒の製造方法と、該製造方法によって得られた燃料電池用Pt系触媒により、前記課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、高担持率であり、かつ担体表面での触媒粒子の分散性が良好で、高活性の燃料電池用Pt系触媒、その製造方法、並びに、前記Pt系触媒を用いた燃料電池用膜電極接合体および燃料電池に関するものである。
昨今の原油高に加え、中国、インドなどの急速な経済発展により、化石燃料の枯渇と二酸化炭素の排出が世界的な問題となっている。このため、現在、脱石油化に向け、燃料電池を始め、リチウムイオン電池、バイオ燃料、太陽電池などの研究開発が活発に行われている。ナフィオン(登録商標)を代表とするプロトン導電膜を使用する燃料電池には、メタノールをアノード極燃料とする直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)と、水素ガスをアノード極燃料とする固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)とがある。
メタノールをアノード極燃料とするDMFCは、理論的体積エネルギー密度がリチウムイオン電池の約10倍と高く、発電システムも簡便で小型化が可能なことから、施設の非常用電源や、軍事、業務用の携帯機器の非常電源、ノートパソコンや携帯音楽プレーヤー、携帯電話などの充電器として期待が持たれている。
DMFCは、燃料にメタノールを使用し、アノード触媒層/プロトン導電膜/カソード触媒層から構成される膜電極接合体を導電性のガス拡散層で挟み、アノード極およびカソード極に設けた集電板により外部回路と繋いだ電池システムである。DMFCのアノード触媒層側に液体燃料であるメタノールを供給すると、下記式(1)に示す化学反応により、メタノールが酸化されて二酸化炭素(CO)に変化し、プロトン(H)と電子(e)とが発生する。
CHOH + 1/2O → CO + 4H + 4e (1)
この反応によって発生したプロトンと電子とは、カソード触媒層に供給される酸素ガスと下記式(2)の反応により、水(HO)を生成する。
+ 4H + 4e → 2H (2)
従って、電池全体として下記式(3)の反応が進行し、この際に発生する電子を外部回路で取り出して、電気エネルギーを得ることができる。
CHOH + 3/2O → CO + 2HO (3)
初期のDMFCのアノード触媒にはPt(白金)が使用されていたが、Pt単体をアノード触媒に用いると、下記式(4)に示すように、メタノール酸化反応の中間物である一酸化炭素(CO)がPt触媒表面に化学吸着し、Pt触媒が被毒して失活する問題があった。
Pt + CHOH → Pt−CO + 4H + 4e (4)
この問題を解決するため、現在では、DMFCおよびPEFCのアノード触媒には、PtRu(白金−ルテニウム)からなる触媒が一般的に使用されている(例えば、特許文献1)。Ru(ルテニウム)は親水性が高く、下記式(5)に示されるように水と反応して、Ru−OHを生成する。
Ru + HO → Ru−OH + H + e (5)
生成したRu−OHは下記式(6)に従い、Pt表面に吸着したCOを速やかにCOに酸化する。
Pt−CO + Ru−OH
→ CO + H + e+ Pt + Ru (6)
しかしながら、PtRu触媒の反応機構については未だ不明な点が多く、このような合金系の触媒を大量に使用しても、メタノールの酸化反応は遅く、高い出力を得ることは困難である。DMFCの理論電圧は1.21Vであるが、前記のPtRu触媒を使用した場合でもメタノール酸化反応の活性化エネルギーは大きく、その酸化反応の過電圧が大きいために、実効電圧は理論電圧を大きく下回っている。
また、DMFCの電池特性は、その心臓部である膜電極接合体の構造に大きな影響を受けることが知られている。なかでも、膜電極接合体の厚みは、化学反応における物質拡散を支配し、電池特性に大きな影響を与える。膜電極接合体の厚み、特に触媒層の厚みは、物質拡散抵抗となることから、薄く、物質拡散し易い触媒層が求められる。しかし、触媒層を薄膜化すれば、絶対的な触媒量が減少し、所望の電池特性が得られなくなる問題もある。
こうした問題を解決する手段として、例えば、触媒粒子と触媒粒子を担持する担体とから構成される触媒の、触媒全体における触媒粒子に係るPtRuの割合(担持率)を高める方法が挙げられる。触媒の担持率を高めることにより、触媒層を薄膜化しても、所望量の触媒粒子を触媒層中に存在させることができる。
しかしながら、担持率の高い触媒を製造しようとすると、担体表面において触媒粒子の凝集および粗大化が生じ易くなり、実効的触媒反応表面積が減少して、所望の電池特性を得られなくなる問題がある。
前記の触媒粒子の凝集および粗大化の問題は、PtRu触媒のみならず、少なくともPtを含む触媒粒子を担体に担持させたPt系触媒において共通の問題であり、こうしたことから、Pt系触媒において、触媒粒子の凝集および粗大化を抑制しつつ担持率を高める技術の開発が求められる。
特開2003−308849号公報
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高担持率としても触媒粒子の分散性が良好であり、高活性な燃料電池用Pt系触媒の製造方法、該製造方法により得られる燃料電池用Pt系触媒、並びに該Pt系触媒を用いた膜電極接合体および燃料電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の燃料電池用Pt系触媒の製造方法は、少なくともPtを担体表面に還元析出させて、Pt系触媒粒子を担体に担持させる工程を含む燃料電池用Pt系触媒の製造方法であって、Ptの還元析出反応の開始時において、反応系内におけるPt前駆体を含む反応物質の量を、Pt系触媒の製造に必要な反応物質の量未満とすることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用Pt系触媒は、本発明の製造方法により得られたことを特徴とするものである。
更に、本発明の燃料電池用膜電極接合体は、アノード触媒層、カソード触媒層、および前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配されたプロトン導電膜を有する燃料電池用膜電極接合体であって、前記アノード触媒層用および/または前記カソード触媒層用の触媒に、本発明の燃料電池用Pt系触媒を用いたことを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は、本発明の燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、高担持率としても触媒粒子の分散性が良好であり、高活性な燃料電池用Pt系触媒と、その製造方法とを提供することができる。また、本発明の燃料電池用膜電極接合体によれば、優れた電池特性を有する燃料電池を構成できる。更に、本発明の燃料電池は、優れた電池特性を有するものである。
実施例1、2および比較例1、2で得られたPtRuP触媒の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1および比較例1、2で得られたPtRuP触媒を用いた直接メタノール型燃料電池の発電試験結果を表すグラフである。
前記の通り、燃料電池の有する膜電極接合体を薄くすることで、物質拡散を促進させ、電池抵抗を低下させることができる。しかし、膜電極接合体を薄くすることで、触媒層中の絶対触媒量が減少し、反応サイトの減少によって所望の電池特性が確保し難くなる。他方、触媒粒子の担持率を高めた触媒を使用することで、膜電極接合体に係る触媒層中の触媒を所望量に維持しつつ、その厚みを小さくすることができる。
しかしながら、従来の触媒製造方法では、触媒の担持率を高めることにより、触媒粒子の凝集と粗大化とによって実効的触媒表面積が減少するため、所望の触媒活性を備え、かつ良好な電池特性を有する燃料電池を構成可能なPt系触媒を得ることが困難である。
本発明の燃料電池用Pt系触媒の製造方法では、Pt系触媒の合成反応開始時、すなわち、Ptの還元析出反応の開始時(少なくともPtとRuとを含むPt系触媒粒子を担持させたPt系触媒においてはPtおよびRuの還元析出反応の開始時)において、Pt系触媒の製造に必要な量の反応物質(Pt前駆体。ただし、少なくともPtとRuとを含むPt系触媒粒子を担持させたPt系触媒においては、Pt前駆体およびRu前駆体。)の全てを反応系内に投入せずに、反応系内の反応物質量を、Pt系触媒の製造に必要な量未満、好ましくはPt系触媒の製造に必要な量の1/2以下とすることを特徴としている。これにより、反応系内において、担体材料(触媒粒子を還元担持させる担体)の量に対する反応物質の濃度上昇を抑え、還元析出反応の速度を高めすぎないようにして、形成される触媒粒子の形態を微粒子状とし、例えば、担持率が50質量%以上と高担持率でありながら、担体表面での触媒粒子の分散性が良好なPt系触媒の製造を可能としている。
以下、本発明に係るPt系触媒のうち、少なくともPtおよびRuを含むPtRu系触媒粒子を担体に担持させた構成のもの(以下、「PtRu系触媒」という。)と、その製造方法について詳細に説明する。
本発明法により製造されるPtRu系触媒は、該触媒を用いて構成する膜電極接合体において、触媒量を減少させることなく薄膜化を達成して物質拡散抵抗を下げ、良好な電池特性を有する燃料電池を構成できるようにする観点から、その担持率(触媒粒子と担体との合計100質量%中における触媒粒子に係るPtRuの比率。以下、特に断らない限り、本明細書で記載する「担持率」は、前記の比率を意味している。)を、50質量%以上とすることが好ましい。本発明法によれば、触媒粒子の凝集や粗大化を抑制しつつ、このような高担持率のPtRu系触媒を製造することができる。ただし、PtRu系触媒の担持率が高すぎると、担体表面での触媒粒子の凝集や粗大化を抑制する効果が小さくなる虞がある。よって、本発明法により製造するPtRu系触媒は、その担持率を、80質量%以下とすることが好ましい。
また、本発明法により製造されるPtRu系触媒は、触媒全体におけるPtとRuとの比率が、原子比で、Pt:Ru=40:60〜60:40であることが好ましい。
更に、本発明法により製造されるPtRu系触媒は、リン(P)を含有していることが好ましい。PtRu系触媒がPを含有することで微粒子化し、これにより、触媒の比表面積が増加するため、触媒活性が向上する。なお、PtRu系触媒におけるPの量は、触媒粒子の微粒子化効果をより良好に確保する観点から、1.0at%(原子%)以上であることが好ましく、また、触媒表面をPが覆うことによる反応表面積の減少を抑制する観点から、20at%以下であることが好ましい。
本発明法では、反応物質としてPt前駆体(Pt供給源)およびRu前駆体(Ru供給源)を使用する。
Pt前駆体(Pt供給源)には、安価であり、製造コスト低減を図り得ることから、六塩化白金酸、六塩化白金酸塩(六塩化白金酸カリウム、六塩化白金酸ナトリウムなど)、四塩化白金酸、四塩化白金酸塩(四塩化白金酸カリウム、四塩化白金酸ナトリウム)などが好ましく用いられる。これらのPt前駆体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Ru前駆体(Ru供給源)としては、安価であり、製造コスト低減を図り得ることから、塩化ルテニウム(III)水和物が好ましい。
また、PtRu系触媒にリンを含有させる場合のリン供給源としては、例えば、次亜リン酸、次亜リン酸塩(次亜リン酸ナトリウムなど)、亜リン酸、亜リン酸塩(亜リン酸ナトリウムなど)を用いることができる。
なお、本発明法では、錯化剤を使用することが好ましい。
PtRu系触媒では、前記の通り、COの化学吸着によるPt触媒の被毒をRuが抑制する。従って、高活性のPtRu系触媒を得るには、触媒粒子表面でPt原子とRu原子とが十分混合し、PtとRuとを原子レベルで隣接させることが必要となる。水系の化学還元合成法において、この原子混合の障害となるのが、PtイオンとRuイオンとの間に存在する還元電位差である。反応系内に反応物質として錯化剤を添加することで、前記の還元電位差を減少させることができるため、Pt原子とRu原子とがより良好に混合したPtRu系触媒を得ることができる。
錯化剤としては、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸およびこれらの塩などが好ましい。錯化剤には、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶液に添加した錯化剤は、溶液中のPtイオンとRuイオンに塩素イオンなどが配位した錯体と配位子置換し、新たな錯体に変化する。なお、前記の錯化剤は二個以上の酸素原子を含有する多座配位子であり、キレート錯体を形成する。このキレート錯体形成により、錯体の安定度が増加してPtイオンとRuイオンとの還元電位が低下する。このとき、Ruキレート錯体よりもPtキレート錯体の方が、安定化の度合い(還元電位の減少の絶対値)が大きい。その結果、両キレート錯体間の還元電位差が、元の塩素イオンなどが配位した錯体に比べて減少する。この還元電位差の減少により、Ptの優先的還元が抑制され、Pt原子とRu原子とが十分に混合近接した触媒構造を得ることができる。従って、Pt原子近傍にRu原子を配置させることが可能となって、RuによるPtのCO被毒を抑制する作用がより効果的に機能し、高いメタノール酸化活性を有するPtRu系触媒を得ることができる。
なお、本発明法においては、錯化剤も、Pt前駆体およびRu前駆体と同様に、PtおよびRuの還元析出反応の開始時において、反応系内における量を、PtRu系触媒の製造に好適な量未満(より好ましくは、PtRu系触媒の製造に好適な量の1/2以下)とすることが好ましい。これにより、反応系内での錯体の安定度の変化を抑え、還元効率の低下を抑制することができる。
本発明法において、生成した触媒粒子を担持させるための担体材料としては、例えば、比表面積が20〜1000m/g程度のカーボンが好ましく、具体的には、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブなどが好適である。
また、本発明法では、PtおよびRuの還元析出反応のために還元剤を使用する。還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミノボラン、次亜リン酸、次亜リン酸塩(次亜リン酸ナトリウムなど)、亜リン酸、亜リン酸塩(亜リン酸ナトリウムなど)、亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウムなど)、次亜硫酸塩(次亜硫酸ナトリウムなど)、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウムなど)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、これらの還元剤の中でも、リン共析によってPtRu系触媒を微粒子化する作用を有していることから、次亜リン酸および次亜リン酸塩が好ましい。また、前記のリン化合物(次亜リン酸、次亜リン酸塩、亜リン酸、亜リン酸塩)をPtRu系触媒にリンを含有させるためのリン供給源として使用し、リン化合物以外の還元剤によって還元析出反応を行うこともできる。
なお、本発明法においては、還元剤も、Pt前駆体およびRu前駆体と同様に、PtおよびRuの還元析出反応の開始時において、反応系内における量を、PtRu系触媒の製造に好適な量未満(より好ましくは、PtRu系触媒の製造に好適な量の1/2以下)とすることが好ましい。これにより、反応系内での錯体の安定度の変化を抑え、還元効率の低下を抑制することができる。
本発明法では、前記の通り、PtおよびRuの還元析出反応の開始時において、反応系内における反応物質の量を、PtRu系触媒の製造に必要な反応物質の量未満(好ましくは、PtRu系触媒の製造に必要な反応物質の量の1/2以下)とするが、具体的には、以下の(A)または(B)の方法が好ましい。
(A):反応物質の一部を反応系内に投入する工程と、該工程に続いてPtおよびRuを担体表面に還元析出させる工程とを複数回繰り返す。
(B):PtRu系触媒の製造に必要な量の反応物質を1時間以上かけて反応系内に逐次添加しつつ、PtおよびRuを担体表面に還元析出させる。
すなわち、(A)の方法は、PtRu系触媒の製造に必要な量の反応物質を複数に分割し、そのうちの一部を反応系内に投入した後に、PtおよびRuの還元析出反応を行ってPtRu系触媒粒子を担体に担持させ、その後に次の反応物質を投入し、再度PtおよびRuの還元析出反応を行ってPtRu系触媒粒子を担体に担持させる、といった手順で、反応系内への反応物質の投入と、触媒粒子を担体に担持させる操作とを、複数回繰り返す方法である。
(A)の方法において、反応物質の投入回数は複数回であればよく、例えば、2回、3回、4回などであればよいが、PtRu系触媒の生産性を考慮すると、2回であることが好ましい。すなわち、(A)の方法では、PtおよびRuの還元析出反応の開始時において、PtRu系触媒の製造に必要な量の半分量の反応物質を反応系内に投入し、PtおよびRuを還元析出させた後、残りの半分量の反応物質を反応系内に投入して、更にPtおよびRuを還元析出させることがより好ましい。
(A)の方法では、具体的には、例えば、まず、Pt前駆体、Ru前駆体、錯化剤および還元剤を溶解し、かつ担体材料を分散した水溶液を調製し[ステップ(1)]、前記水溶液を加熱してPtおよびRuを担体表面に還元析出させ[ステップ(2)]、この反応系内に、Pt前駆体、Ru前駆体、錯化剤および還元剤を溶解した水溶液を投入し[ステップ(3)]、前記水溶液を加熱してPtおよびRuを担体表面に還元析出させ[ステップ(4)]、更に必要に応じて前記ステップ(3)および前記ステップ(4)を繰り返す工程を経て、PtRu系触媒が製造される。
得られたPtRu系触媒は、通常、濾過などによって反応系内から取り出し、例えば、水(イオン交換水など)を用いて洗浄し、その後乾燥する。乾燥は、例えば、オーブンなどを用いればよく、また、乾燥条件は、好ましくは100℃以下(より好ましくは70〜80℃程度)で、乾燥するまで(具体的は、12〜24時間程度)とすればよい。
なお、前記ステップ(1)においては、はじめにPt前駆体およびRu前駆体を水に溶解し、そこに錯化剤を添加し、続いて担体材料を投入し、最後に還元剤を混合する手順で、水溶液を調製することが好ましい。
そして、前記ステップ(1)においては、Pt前駆体とRu前駆体とを含む溶液中に錯化剤を添加した後、一定時間以上経過させることが好ましい。Pt前駆体に例えば六塩化白金酸を使用する場合、このPt前駆体は塩素イオンが配位した錯体であるが、これを含有する溶液中に錯化剤を添加しても、塩素イオン配位子との配位子置換反応が遅いことが分かっている。前記の通り、Pt原子とRu原子とが十分に混合した高活性のPtRu系触媒を得るためには、前記錯化剤の添加によって安定なキレート錯体を形成させ、PtイオンとRuイオンとの間に存在する還元電位差を減少させる必要がある。よって、Pt前駆体が六塩化白金酸のような塩化物の場合、溶液中に錯化剤を添加した後、塩素イオンとこれら錯化剤とを十分に置換させるため、一定時間以上経過させることが推奨される。これにより、置換反応速度が遅い場合でも、配位子置換反応を十分に進行させて、安定な錯体を形成することができる。その結果、PtイオンとRuイオンとの間に存在する還元電位差を減少させ、Pt原子とRu原子とが十分に混合し隣接したPtRu系触媒を合成することができる。
(A)の方法において、反応系内におけるPt前駆体およびRu前駆体の濃度は、それぞれ0.1〜10mmol/lとすることが好ましい。反応系内のPt前駆体およびRu前駆体の濃度が前記の程度であれば、担体表面に形成される触媒粒子の凝集および粗大化を良好に抑制できる。
よって、PtおよびRuの還元析出反応の開始時[1回目の反応物質の反応系内への投入後の還元析出反応の開始時。すなわち、前記ステップ(2)の開始時。]において、反応系内(すなわち、前記水溶液)中のPt前駆体およびRu前駆体の濃度、並びに途中で反応系内に投入する反応物質を含む水溶液[前記ステップ(3)に係る水溶液]におけるPt前駆体およびRu前駆体の濃度は、反応系内におけるPt前駆体およびRu前駆体の濃度が、前記の値を満足するように調整することが好ましい。
なお、Pt前駆体とRu前駆体との使用比率は、最終的に得られるPtRu系触媒におけるPtとRuとの比率が、前記の値となるように調整することが好ましい。
また、PtおよびRuの還元析出反応の開始時[1回目の反応物質の反応系内への投入後の還元析出反応の開始時。すなわち、前記ステップ(2)の開始時。]における反応系内(すなわち、前記水溶液)中の錯化剤の量、および途中で反応系内に投入する反応物質を含む水溶液[前記ステップ(3)に係る水溶液]中の錯化剤の量は、より安定なPtキレート錯体およびRuキレート錯体を形成する観点から、水溶液中の貴金属イオン(PtイオンおよびRuイオン)の合計モル数に対して、0.01倍以上とすることが好ましい。ただし、水溶液に添加する錯化剤の量が多すぎると、キレート効果による錯体の安定度が高まりすぎて、PtイオンおよびRuイオンの還元効率が低下する虞がある。よって、PtおよびRuの還元析出反応の開始時[1回目の反応物質の反応系内への投入後の還元析出反応の開始時。すなわち、前記ステップ(2)の開始時。]における反応系内(すなわち、前記水溶液)中の錯化剤の量、および途中で反応系内に投入する反応物質を含む水溶液[前記ステップ(3)に係る水溶液]中の錯化剤の量は、溶液中の貴金属イオンの合計モル数に対して、4.0倍以下とすることが好ましい。
更に、PtおよびRuの還元析出反応の開始時[1回目の反応物質の反応系内への投入後の還元析出反応の開始時。すなわち、前記ステップ(2)の開始時。]における反応系内(すなわち、前記水溶液)中の還元剤の量、および途中で反応系内に投入する反応物質を含む水溶液[前記ステップ(3)に係る水溶液]中の還元剤の量は、PtおよびRuを還元できる最小量論比を満たしていればよいが、多すぎると、水溶液中で析出還元が起こり、浴が分解することで還元できなくなる虞があることから、PtとRuとの合計モル数に対して10倍以下とすることが好ましい。
なお、例えば還元剤に次亜リン酸または次亜リン酸塩を使用する場合には、その使用量を、最終的に得られるPtRu系触媒中のP量が前記の値となるように調整することが好ましい。
また、前記の通り、本発明法により製造するPtRu系触媒は、その担持率が50〜80質量%であることが好ましいため、反応系内に投入する担持材料の量は、最終的に得られるPtRu系触媒の担持率が、このような量となるようにすることが好ましい。
反応系内への反応物質の投入後にそれぞれ行うPtおよびRuの還元析出反応は、還元剤の還元作用を高めるために、反応系内の温度を好ましくは60℃以上とし、また、反応時間を好ましくは1時間以上とする。このような条件でPtおよびRuの還元析出反応を行うことで、PtRu系触媒粒子を十分に生成させ得るため、次に反応物質を反応系内に投入した際に、反応系内のPt前駆体およびRu前駆体の濃度が大きくなりすぎることを防ぐことができる。なお、前記還元析出反応における反応系内の温度は、水系の合成法であることから100℃以下とすることが好ましい。また、各還元析出反応の反応時間は、PtRu系触媒の生産性を考慮すると、10時間以下とすることが好ましい。
(B)の方法は、具体的には、以下の方法により実施できる。Pt前駆体、Ru前駆体および錯化剤を溶解した水溶液(反応物質水溶液)を調製する。また、担持材料を分散し、還元剤を混合した反応液を調製する。そして、前記反応液を加熱しながら、前記反応物質水溶液を、前記反応液中に1時間以上かけて逐次添加しつつ、PtおよびRuを担体表面に還元析出させ、PtRu系触媒粒子を担体に担持させてPtRu系触媒を製造する。このように、反応物質を反応系内へ徐々に添加しながらPtおよびRuの還元析出反応を行うことで、反応系内のPt前駆体およびRu前駆体の濃度を低く抑えて、高担持率としても、生成する触媒粒子の凝集および粗大化を抑制できる。
得られたPtRu系触媒は、(A)の方法の場合と同様に、通常、濾過などによって反応系内から取り出し、例えば、水(イオン交換水など)を用いて洗浄し、その後乾燥する。乾燥方法および乾燥条件は、(A)の方法について説明した方法、条件と同様とすればよい。
(B)の方法においても、(A)の方法と同様に、生成する触媒粒子の凝集および粗大化を良好に抑制する観点から、反応系内におけるPt前駆体およびRu前駆体の濃度は、それぞれ0.1〜10mmol/lとすることが好ましい。
よって、前記反応物質水溶液におけるPt前駆体およびRu前駆体の濃度、並びに前記反応物質水溶液の反応系内への供給速度は、反応系内のPt前駆体およびRu前駆体の濃度が前記の値を満足するように調整することが好ましい。具体的には、前記反応物質水溶液におけるPt前駆体およびRu前駆体の濃度を、それぞれ10mmol/l以下とし、反応物質水溶液の反応系内への供給速度を、5〜10ml/分とすることが好ましい。
なお、Pt前駆体とRu前駆体との使用比率は、(A)の方法の場合と同様に、最終的に得られるPtRu系触媒におけるPtとRuとの比率が、前記の値となるように調整することが好ましい。
前記反応物質水溶液における錯化剤の量は、(A)の方法の場合と同じ理由から、水溶液中の貴金属イオン(PtイオンおよびRuイオン)の合計モル数に対して、0.01倍以上とすることが好ましく、また、4.0倍以下とすることが好ましい。
(B)の方法における還元剤の使用量は、(A)の方法の場合と同様に、PtおよびRuを還元できる最小量論比を満たしていればよいが、多すぎると、水溶液中で析出還元が起こり、浴が分解することで還元できなくなる虞があることから、PtとRuとの合計モル数に対して10倍以下とすることが好ましい。
なお、(B)の方法において、還元剤は、前記反応液に混合していてもよく、前記反応物質水溶液に混合していてもよい。また、必要に応じて、前記反応物質水溶液とは別に、複数回に分けて反応液に還元剤を投入してもよい。
また、例えば還元剤に次亜リン酸または次亜リン酸塩を使用する場合には、(A)の方法の場合と同様に、その使用量を、最終的に得られるPtRu系触媒中のP量が前記の値となるように調整することが好ましい。
(B)の方法における担持材料の使用量も、(A)の方法と同様に、本発明法により製造するPtRu系触媒は、その担持率が50〜80質量%であることが好ましいため、最終的に得られるPtRu系触媒の担持率が、このような量となるようにすることが好ましい。
前記反応物質水溶液は、1時間以上かけて反応系内に逐次添加すればよく、この場合、連続的に添加しても断続的に添加しても構わない。なお、前記反応物質水溶液の反応系内の添加時間は、PtRu系触媒の生産性を考慮すると、4時間以下とすることが好ましい。
PtおよびRuを担体表面に還元析出させるための反応系内の温度は、(A)の方法の場合と同様に、60℃以上であることが好ましく、また100℃以下であることが好ましい。
なお、(A)の方法、(B)の方法のいずれにおいても、反応系内のpHは適当な値に調整される。Ru3+イオンと水酸イオンの溶解度積は1×10−38〔mol/l〕と極めて小さく、溶液のpHをアルカリ側に設定した場合、Ru(OH)の沈殿が生成する。しかし、本発明法では、反応系内にキレートを形成する錯化剤を添加した場合には、錯体が安定化する。よって、本発明法において、錯化剤を使用した場合には、前記溶液のpHがアルカリ側の領域であっても、水酸化物の生成を抑え、安定した合成系を構築できる。勿論、本発明法では、反応系内のpHが、水酸化物の沈殿が生成しない酸性側の領域であっても、PtRu系触媒の合成を行うことができる。
このような本発明法によれば、平均粒子径(実施例に記載の方法により測定される平均粒子径)が2.5〜3.5nmの触媒粒子が担体表面に、例えば前記の担体で担持されたPtRu系触媒を製造することができる。
これまでPtRu系触媒とその製造方法の詳細について説明したが、本発明に係るPt系触媒は、前記のPtRu系触媒に限定されず、例えば、Ruを含有しないPt触媒粒子を担体に担持させたPt触媒なども包含され、このようなPtRu系触媒以外のPt系触媒についても、PtRu系触媒について先に説明したものと同様の操作で製造することができ、同様の効果を確保することができる。
本発明法により製造されたPt系触媒(本発明の燃料電池用Pt系触媒)は、燃料電池用膜電極接合体のアノード触媒層用の触媒やカソード触媒層用の触媒として使用される。
すなわち、本発明の燃料電池用膜電極接合体は、アノード触媒層用および/またはカソード触媒層用の触媒に、本発明の燃料電池用Pt系触媒を用いたものであり、その他の構成および構造については、特に制限はなく、従来から知られている燃料電池(直接メタノール型燃料電池、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池など)の膜電極接合体に採用されている構成および構造を適用することができる。
なお、燃料電池用膜電極接合体に係るアノード触媒層用には、本発明の燃料電池用Pt系触媒のうち、PtおよびRuを含むPtRu系触媒を担体に担持させたPtRu系触媒が適している。他方、燃料電池用膜電極接合体に係るカソード触媒層用には、本発明の燃料電池用Pt系触媒のうち、Ruを含まないPt系触媒を担体に担持させたPt系触媒を使用することもできる。
本発明の燃料電池用膜電極接合体で使用されるプロトン導電膜としては、0.1S/cm程度のイオン伝導性と、1.0meq/g程度のイオン交換容量とを有しているものが適している。
また、本発明の燃料電池は、本発明の燃料電池用膜電極接合体を有していればよく、その他の構成および構造については、特に制限はなく、従来から知られている燃料電池(直接メタノール型燃料電池、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池など)に採用されている構成および構造を適用することができる。
本発明の燃料電池用膜電極接合体は、高担持率でありながら、担体表面での触媒粒子の分散性が良好で高活性な本発明のPt系触媒を有していることから、アノード触媒層を薄くしても、その触媒量を多くすることが可能である。よって、このような膜電極接合体を有する本発明の燃料電池は、高い電池特性を有するものである。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
六塩化白金酸六水和物:1.27mmolと、塩化ルテニウム(III)水和物:1.27mmolとの混合水溶液に、錯化剤としてDL−酒石酸:0.085mmolを添加し、イオン交換水を加えて全体を300mlに調整して、水溶液を調製した。前記の水溶液を室温で30分攪拌した後、カーボン担体であるケッチェンブラックEC粉末を0.25g加えて分散させた。その後、担体を分散させた前記の溶液に、還元剤である次亜リン酸を5.0mmol加え、更に、2規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを4に調整した。
次に、浴温度90℃で前記溶液を攪拌し、PtRuP触媒粒子をカーボン担体表面に還元析出させた。
六塩化白金酸六水和物:1.27mmolと、塩化ルテニウム(III)水和物:1.27mmolとの混合水溶液に、錯化剤としてDL−酒石酸:0.085mmol、および還元剤として次亜リン酸:5.0mmolを添加し、イオン交換水を加えて全体を300mlに調整して、水溶液を調製した。この水溶液を、前記の還元析出反応の開始から4時間後に前記溶液に添加し、引き続いてPtRuP触媒粒子をカーボン担体表面に還元析出させた。
反応終了後の前記溶液から、担体に担持されたPtRuP触媒を濾過により取り出し、洗浄した後、80℃のオーブンで大気乾燥させて、担持率が71質量%のPtRuP触媒を得た。
実施例2
六塩化白金酸六水和物:2.53molと塩化ルテニウム(III)水和物:2.53mmolとの混合水溶液に、錯化剤としてDL−酒石酸:0.169mmolを添加し、イオン交換水を加えて全体を300mlに調整して、反応物質水溶液を得た。
また、カーボン担体であるケッチェンブラックEC粉末0.25gを300mlのイオン交換水中に分散させ、その後、還元剤である次亜リン酸を3.33mmol加え、更に2規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下して溶液のpHを4に調整し、反応液を得た。
前記反応液の浴温を90℃に設定し、攪拌しながら、前記反応物質水溶液を100ml/lの速度で前記反応液中に連続的に添加しつつ、PtRuP触媒粒子のカーボン担体表面への還元析出反応を開始した。なお、反応開始から1時間後および2時間後に、それぞれ次亜リン酸を3.33mmolずつ、反応液中に添加した。前記反応物質水溶液を全て反応系内に添加し終わった後、4時間反応を継続した。
反応終了後の反応液から、担体に担持されたPtRuP触媒を濾過により取り出し、洗浄した後、80℃のオーブンで大気乾燥させて、担持率が72質量%のPtRuP触媒を得た。
比較例1
六塩化白金酸六水和物:2.53mmolと、塩化ルテニウム(III)水和物:2.53mmolとの混合水溶液に、錯化剤としてDL−酒石酸:0.169mmolを添加し、イオン交換水を加えて全体を300mlに調整して、水溶液を調製した。前記の水溶液を室温で30分攪拌した後、カーボン担体であるケッチェンブラックEC粉末を0.25g加えて分散させた。その後、担体を分散させた前記の溶液に、還元剤である次亜リン酸を10.0mmol加え、更に、2規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを4に調整した。
次に、浴温度90℃で前記溶液を攪拌し、PtRuP触媒粒子をカーボン担体表面に還元析出させた。反応終了後の前記溶液から、担体に担持されたPtRuP触媒を濾過により取り出し、洗浄した後、80℃のオーブンで大気乾燥させて、担持率が71質量%のPtRuP触媒を得た。
比較例2
六塩化白金酸六水和物:1.69mmolと、塩化ルテニウム(III)水和物:1.69mmolとの混合水溶液に、錯化剤としてDL−酒石酸:0.113mmolを添加し、イオン交換水を加えて全体を300mlに調整して、水溶液を調製した。前記の水溶液を室温で30分攪拌した後、カーボン担体であるケッチェンブラックEC粉末を0.5g加えて分散させた。その後、担体を分散させた前記の溶液に、還元剤である次亜リン酸を6.8mmol加え、更に、2規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを4に調整した。
次に、浴温度90℃で前記溶液を攪拌し、PtRuP触媒粒子をカーボン担体表面に還元析出させた。反応終了後の前記溶液から、担体に担持されたPtRuP触媒を濾過により取り出し、洗浄した後、80℃のオーブンで大気乾燥させて、担持率が46質量%のPtRuP触媒を得た。
実施例1、2および比較例1、2で得られたPtRuP触媒について、蛍光X線分析(XRF)による組成分析[触媒の担持率(PtRuの担持率)およびPの担持率の測定]と、COパルス吸着測定による触媒比表面積測定とを行った。これらの結果を表1に示す。
Figure 2011044334
表1に示すように、PtおよびRuの還元析出反応の開始時に、所望量の反応物質を反応系内に全部添加して合成した比較例1のPtRuP触媒は、触媒1gあたりの比表面積が28m/gであるのに対し、所望量の反応物質を二段階で反応系内に添加し、かつ1度目の反応物質の添加と2度目の反応物質の添加との間にPtおよびRuの還元析出を行った実施例1のPtRuP触媒は、比表面積が36m/gで、また、所望量の反応物質を反応系内に逐次添加しつつPtおよびRuの還元析出を行った実施例2のPtRuP触媒は、比表面積が38m/gであり、いずれも、比較例1のPtRuP触媒に比べて比表面積が1.4倍に増加していることが分かる。また、実施例1および実施例2のPtRuP触媒は、担持率が70質量%超の高担持率触媒であるが、これらの比表面積は、担持率が46質量%の比較例2のPtRuP触媒と同等である。
更に、Co吸着量から算出した、各PtRuP触媒に係る触媒粒子の平均粒子径は、比較例1の触媒が4.3nmであるのに対し、実施例1の触媒が3.2nm、実施例2の触媒が3.1nmと、比較例1の触媒に比べて触媒粒子が微細であることが分かる。なお、担持率が46質量%の比較例2の触媒では、触媒粒子の平均粒子径が3.0nmである。このように、比較例1では、触媒粒子が粗大化しているが、実施例1および実施例2では、70質量%超の高担持率であっても、担持率が46質量%である比較例1の触媒と同等の微細な触媒粒子を有する触媒を合成できている。
また、実施例1、2および比較例1、2で得られたPtRuP触媒について、透過型電子顕微鏡(TEM)によって担体表面でのPtRuP触媒粒子の分散状態を観察した。これらの結果を図1に示す。
所望量の反応物質を二段階で反応系内に添加し、かつ1度目の反応物質の添加と2度目の反応物質の添加との間にPtおよびRuの還元析出を行った実施例1のPtRuP触媒と、所望量の反応物質を反応系内に逐次添加しつつPtおよびRuの還元析出を行った実施例2のPtRuP触媒では、PtRuP触媒粒子がカーボン担体表面に高分散状態で存在している。一方、PtおよびRuの還元析出反応の開始時に、所望量の反応物質を反応系内に全部添加して合成した比較例1のPtRuP触媒では、カーボン担体表面において、触媒粒子が疎らで凝集して存在している。また、実施例1および実施例2のPtRuP触媒に係る触媒粒子は、70質量%超の高担持率であるにも関わらず、担持率が46質量%と低い比較例2のPtRuP触媒に係る触媒粒子と同等の分散性を示している。このように、実施例1および実施例2のPtRuP触媒では、高担持率であり、かつ触媒粒子がカーボン担体表面で分散性の高い状態で存在していることが分かる。
実施例1、2および比較例1、2で得られたPtRuP触媒を用いて膜電極接合体を作製し、それらの電池特性を評価した。
まず、担持率が70質量%のPt触媒:1.0gに、純水:1.0gおよびイオン伝導性ポリマー分散液(Aldrich社製「Nafion(登録商標)」):20.0gを加え、カソード触媒層形成用のペーストを調製した。このペーストを、炭化水素系プロトン導電膜の片面に、金属Pt量が1.5mg/cmとなるようにスプレー塗布し、乾燥させた。
次に、実施例1で得られたPtRuP触媒:1.0gに、純水:1.0gおよびイオン伝導性ポリマー分散液(Aldrich社製「Nafion(登録商標)」):20.0gを添加し、アノード触媒層形成用のペーストを調製した。片面にカソード触媒層形成用ペーストを塗布し乾燥させた前記のプロトン導電膜の、カソード触媒層形成用ペーストを塗布した面とは反対側の表面に、前記のアノード触媒層形成用ペーストを、金属PtRu量が1.5mg/cmとなるようにスプレー塗布し、乾燥させた。その後、前記のプロトン導電膜を、120℃、5MPaの圧力で2分間ホットプレスし、プロトン導電膜の片面にアノード触媒層を有し、他面にカソード触媒層を有する膜電極接合体を得た。
また、アノード触媒層に使用する触媒を、実施例2、比較例1または比較例2で得られたPtRuP触媒に変えた以外は前記と同様にして膜電極接合体を作製した。
前記の各膜電極接合体を燃料電池に組み込んでDMFCを作製した。燃料電池は、燃料と空気の流路を有するカーボンセパレーターの間に、前記の各膜電極接合体を、多孔質カーボンの拡散層を介して挟み込むことで作製した。
前記の各DMFCに、アノード燃料として濃度4mol/lのメタノール水溶液を0.5ml/minの速度で、また、カソード燃料として空気を500ml/minの速度で、それぞれ供給し、60℃で、電流密度0〜500mA/cmの条件で発電試験を行い、このときの出力密度を測定した。これらの結果を図2に示す。図2では、横軸に電流密度を、縦軸に出力密度を示しているが、図2に示す出力密度は、実施例1で得られた触媒を用いたDMFCにおける出力密度の最大値を100とした場合の相対値である(よって、図2で縦軸の単位を「規格値」と表記している。)。なお、実施例2で得られた触媒を用いたDMFCについては、実施例1で得られた触媒を用いたDMFCと同様の結果が得られたため、図2では、実施例2で得られた触媒を用いたDMFCの発電試験結果は省略している。
PtおよびRuの還元析出反応の開始時に、所望量の反応物質を反応系内に全部添加して合成した比較例1のPtRuP触媒を用いたDMFC、並びに担持率が46質量%である比較例2のPtRuP触媒を用いたDMFCでは、それらの最大出力密度が、実施例1のPtRuP触媒を用いたDMFCの最大出力密度を100とした場合に、それぞれ88と84である。従って、所望量の反応物質を二段階で反応系内に添加し、かつ1度目の反応物質の添加と2度目の反応物質の添加との間にPtおよびRuの還元析出を行うことで、高担持率でありながら担体表面での触媒粒子の分散性を高めた実施例1のPtRuP触媒をアノード触媒に使用することで、DMFCの電池特性が向上することが判明した。
以上説明したように、本発明法により得られたPt系触媒では、担持率が、例えば実施例で示したような70質量%超の高担持率であっても、担体表面に凝集部分が少なく、高い分散状態でPt系触媒粒子が存在する。このため、低担持率触媒と比較しても遜色ない反応表面積を維持して、高活性なPt系触媒を得ることができる。これにより、燃料電池内の電極触媒層を薄膜化して物質拡散抵抗を減少させる際に、所望の高活性触媒量を電極触媒層内に付与することが可能となり、電池特性を向上させることができる。
なお、前記実施例では、PtRu系触媒粒子を担体に担持させたPtRu系触媒を製造して、その効果を確認したが、本発明法によれば、Ruを含まないPt系触媒粒子(例えば、Pt触媒粒子)を担体に担持させたPt系触媒(例えば、Pt触媒)を製造した場合でも、前記と同様の効果を確保することができる。
本発明の製造方法により製造されたPt系触媒は、直接メタノール型燃料電池のメタノール極用触媒として有用である。また、水素をアノード燃料とする固体高分子型燃料電池のアノード触媒としても使用することができる。

Claims (11)

  1. 少なくともPtを担体表面に還元析出させて、Pt系触媒粒子を担体に担持させる工程を含む燃料電池用Pt系触媒の製造方法であって、
    Ptの還元析出反応の開始時において、反応系内におけるPt前駆体を含む反応物質の量を、Pt系触媒の製造に必要な反応物質の量未満とすることを特徴とする燃料電池用Pt系触媒の製造方法。
  2. Pt系触媒が、少なくともPtおよびRuを、担体表面に還元析出させて、PtとともにRuを含有するPtRu系触媒粒子を担体に担持させたものであり、
    PtおよびRuの還元析出反応の開始時において、反応系内におけるPt前駆体およびRu前駆体からなる反応物質の量を、Pt系触媒の製造に必要な反応物質の量未満とする請求項1に記載の燃料電池用Pt系触媒の製造方法。
  3. PtおよびRuの還元析出反応の開始時において、反応系内における前記反応物質の量を、Pt系触媒の製造に必要な反応物質の量の1/2以下とする請求項2に記載の燃料電池用Pt系触媒の製造方法。
  4. 前記反応物質の一部を反応系内に投入する工程と、該工程に続いてPtおよびRuを担体表面に還元析出させる工程とを複数回繰り返す請求項2または3に記載の燃料電池用Pt系触媒の製造方法。
  5. PtおよびRuの還元析出反応の開始時において、Pt系触媒の製造に必要な量の半分量の反応物質を反応系内に投入し、PtおよびRuを還元析出させた後、残りの半分量の反応物質を反応系内に投入して、更にPtおよびRuを還元析出させる請求項4に記載の燃料電池用Pt系触媒の製造方法。
  6. Pt系触媒の製造に必要な量の反応物質を1時間以上かけて反応系内に逐次添加しつつ、PtおよびRuを担体表面に還元析出させる請求項2または3に記載の燃料電池用Pt系触媒の製造方法。
  7. Ptの還元析出反応またはPtおよびRuの還元析出反応のための還元剤に、次亜リン酸または次亜リン酸塩を使用する請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用Pt系触媒の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする燃料電池用Pt系触媒。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られ、Pt系触媒粒子中のリンの量が、1.0〜20at%である請求項8に記載の燃料電池用Pt系触媒。
  10. アノード触媒層、カソード触媒層、および前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配されたプロトン導電膜を有する燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記アノード触媒層用の触媒および/または前記カソード触媒層用の触媒に、請求項8または9に記載の燃料電池用Pt系触媒を用いたことを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
  11. 請求項10に記載の燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とする燃料電池。
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