JP2008065986A - 直接メタノール型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間の稼動においても、十分な電池特性を得ることができる直接メタノール型燃料電池の提供。
【解決手段】アノード中間層12とアノード触媒層13との接触界面、及び、カソード中間層15とカソード触媒層16との接触界面を凹凸形状で構成する。
【選択図】図2
【解決手段】アノード中間層12とアノード触媒層13との接触界面、及び、カソード中間層15とカソード触媒層16との接触界面を凹凸形状で構成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、直接メタノール型燃料電池に関する。
燃料電池は、電池内で水素やメタノール等の燃料を電気化学的に酸化させることにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものであり、火力発電のように燃料の燃焼によるNOxやSOxなどの発生が無いため、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。特に、直接メタノール型燃料電池(DMFC)は、水素を燃料とするガス燃料用固体高分子燃料電池(PEMFC)などの他の燃料電池に比べ、小型化、軽量化が可能であり、最近では、ノートパソコンや携帯電話などの携帯機器の電源として、様々な研究がなされている。
このような燃料電池では、電池出力の向上が大きな課題となっており、このような課題を解決するにあたり、例えば、燃料極又は酸素極、ないしは、その両方に、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン等の撥水性材料含有層を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1、2)。
特開2001−283875公報
特開2004−39416公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されている撥水性材料は、燃料電池の稼動により徐々に劣化する傾向があり、長時間の稼動の際、電池特性が徐々に低下し、十分な電池特性が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、長時間の稼動においても、十分な電池特性を得ることができる直接メタノール型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る直接メタノール型燃料電池は、アノード拡散層と、前記アノード拡散層に接合され、撥水性及び導電性を有するアノード中間層と、前記アノード中間層の前記アノード拡散層が設けられた面に対向する面に設けられたアノード触媒層と、を備えた燃料極と、カソード拡散層と、前記カソード拡散層に接合され、撥水性及び導電性を有するカソード中間層と、前記カソード中間層の前記カソード拡散層が設けられた面に対向する面に設けられたカソード触媒層と、を備えた酸化剤極と、前記燃料極と前記酸化剤極との間に挟持され、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層に接するプロトン伝導性膜と、を有し、前記アノード中間層と前記アノード触媒層との接触界面は、前記アノード中間層が前記アノード触媒層側に突出する第1凸部と、前記第1凸部に隣接して設けられ、前記アノード触媒層が前記アノード中間層側に突出する第2凸部と、を有する第1凹凸部が複数設けられた凹凸形状で構成され、前記カソード中間層と前記カソード触媒層との接触界面は、前記カソード中間層が前記カソード触媒層側に突出する第3凸部と、前記第3凸部に隣接して設けられ、前記カソード触媒層が前記カソード中間層側に突出する第4凸部と、を有する第2凹凸部が複数設けられた凹凸形状で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、長時間の稼動においても、十分な電池特性を得ることができる直接メタノール型燃料電池が提供される。
最初に、直接メタノール型燃料電池(DMFC)について説明する。直接メタノール型燃料電池の膜電極複合体(燃料電池起電部)は、一般的に、アノード集電体、アノード触媒層、プロトン伝導性膜、カソード触媒層及びカソード集電体がこの順番で順次積層されたものから構成される。集電体は多孔質導電性材料であり、触媒層へ液体燃料或いは酸化剤ガスを供給する役割もあるため、拡散層とも呼ばれている(以下、拡散層という)。触媒層は、例えば、触媒活性物質と導電性物質とプロトン伝導性物質とを含有する多孔質層から構成される。例えば、触媒層が導電性物質を担持体とした担持触媒の場合、触媒層は、担持触媒とプロトン伝導性物質とを含む多孔質層で構成されている。また、拡散層と触媒層とを総称して電極とも呼び、アノード拡散層とアノード触媒層とで燃料極、カソード拡散層とカソード触媒層とで酸化剤極(酸素極)とも呼ばれる(以下、燃料極、酸化剤極という)。
アノード触媒層にメタノール及び水からなる混合燃料が、カソード触媒層に空気(酸素)が供給されると、それぞれの電極内の触媒層において化学式(1)及び化学式(2)で示す触媒反応が生じる。そのため、触媒層は反応層とも呼ばれている。
燃料極:CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- ・・・(1)
酸化剤極:6H++(3/2)O2+6e- → 3H2O ・・・(2)
アノードでは、メタノールと水が反応して、二酸化炭素、プロトンおよび電子が生成される。プロトンは、電解質膜を通ってカソードに到達する。カソードでは、酸素と、プロトンと、外部回路を経由してカソードに到達した電子とが結合して、水が生成される。または、DMFCでは、液体燃料貯蔵部から燃料極の触媒層にメタノールと水を液体(メタノール水溶液)の状態で供給することにより、触媒上でプロトン(H+)、電子(e−)、および二酸化炭素が生成され(反応式:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-)、プロトンは高分子固体電解質膜中を透過して酸化剤極の触媒層で酸素と化合して水を生成する。この際、燃料極、酸化剤極を外部回路に接続することで、発生した電子により電力が取り出せる。生成した水は空気極から系外へ放出される。一方、燃料極で発生した二酸化炭素は、液体燃料を直接セルに供給する場合には燃料液相中を拡散し、ガスのみを透過するガス透過膜を介して燃料電池の系外へ排出される。
酸化剤極:6H++(3/2)O2+6e- → 3H2O ・・・(2)
アノードでは、メタノールと水が反応して、二酸化炭素、プロトンおよび電子が生成される。プロトンは、電解質膜を通ってカソードに到達する。カソードでは、酸素と、プロトンと、外部回路を経由してカソードに到達した電子とが結合して、水が生成される。または、DMFCでは、液体燃料貯蔵部から燃料極の触媒層にメタノールと水を液体(メタノール水溶液)の状態で供給することにより、触媒上でプロトン(H+)、電子(e−)、および二酸化炭素が生成され(反応式:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-)、プロトンは高分子固体電解質膜中を透過して酸化剤極の触媒層で酸素と化合して水を生成する。この際、燃料極、酸化剤極を外部回路に接続することで、発生した電子により電力が取り出せる。生成した水は空気極から系外へ放出される。一方、燃料極で発生した二酸化炭素は、液体燃料を直接セルに供給する場合には燃料液相中を拡散し、ガスのみを透過するガス透過膜を介して燃料電池の系外へ排出される。
このような燃料電池において、優れた電池特性を得るためには、それぞれの電極に、スムーズに適量な燃料が供給されること、触媒活性物質とプロトン伝導性物質と燃料との三相界面で電極触媒反応が素早く多く発生すること、電子とプロトンとをスムーズに移動させること、反応生成物を素早く排出すること等が求められる。
本発明者は、長時間の稼動における電池特性の低下について、鋭意研究を重ねた結果、燃料極内では液体燃料の供給と生成ガスの排出とが徐々に滞ること、酸化剤極内では生成水が澱むことにより生じていると考え、本発明を創作するに至った。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものと異なる。更に、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1に本実施形態に係る直接メタノール型燃料電池の平面図、図2に図1のA−A線で切った断面図をそれぞれ示す。
本実施形態に係る直接メタノール型燃料電池は、図1及び図2に示すように、アノード拡散層11と、アノード拡散層11に接合されたアノード中間層12と、アノード中間層12のアノード拡散層11が設けられた面に対向する面に設けられたアノード触媒層13とを備える燃料極4と、カソード拡散層14と、カソード拡散層14に接合されたカソード中間層15と、カソード中間層15のカソード拡散層14が設けられた面に対向する面に設けられたカソード触媒層16とを備える酸化剤極5と、燃料極4と酸化剤極5との間に挟持され、アノード触媒層13及びカソード触媒層16に接するプロトン伝導性膜10とで構成されている。
すなわち、本実施形態に係る直接メタノール型燃料電池は、プロトン伝導性膜10と、プロトン伝導性膜10に接するアノード触媒層13及びカソード触媒層16とで、上述した化学反応を起こして電気を発生させる反応空間を構成しており、また、プロトン伝導性膜10と、プロトン伝導性膜10を挟持する燃料極4及び酸化剤極5とで、膜電極複合体50を構成している。
アノード拡散層11は、図示しない燃料供給部から供給された液体燃料(メタノール及び水)を燃料電池内に拡散させて、アノード中間層12に均一に供給する役割を備えており、また、アノード触媒層13で発生した電気の通り道になっている。アノード拡散層11は、例えば、炭素繊維や、カーボンペーパー等の多孔質の導電性材料で構成されている。
アノード中間層12は、アノード拡散層11の撥水性を調整する役割を備えており、また、アノード拡散層11に供給された液体燃料と、アノード触媒層13で発生した電気の通り道となっている。アノード中間層12は、撥水性材料と導電性材料との混合体で構成されている。ここでいう撥水性材料は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。また、導電性材料は、導電性カーボンが好適に用いられる。導電性カーボンとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、黒鉛化ブラックなどが挙げられる。アノード中間層12を構成する導電性カーボンのDBP吸油量の範囲は、例えば、130〜250ml/100gである。
アノード触媒層13は、アノード拡散層11に供給された液体燃料を酸化する役割を備えている。アノード触媒層13は、この酸化反応の促進を促す触媒、例えば、白金(Pt)、ロジウム(Ru)、パラジウム(Pd)、金(Au)などの遷移金属、これらの金属の合金等で構成されている。また、必要に応じて、上述した触媒に導電性物質を担持体とした担持触媒と、プロトン伝導性物質とを含む多孔質層で構成されていてもよい。
カソード拡散層14は、図示しない酸化剤ガス供給部から供給された酸化剤ガスを燃料電池内に拡散させて、カソード中間層15に均一に供給する役割を備えており、また、カソード触媒層16で発生した電気の通り道になっている。カソード拡散層14は、アノード拡散層11と同様な材料、例えば、炭素繊維や、カーボンペーパー等の多孔質の導電性材料で構成されている。
カソード中間層15は、カソード拡散層14の撥水性を調整する役割を備えており、また、カソード拡散層14に供給された酸化剤ガスと、カソード触媒層16で発生した電気の通り道となっている。カソード中間層15は、アノード中間層12と同様に、撥水性材料と導電性材料との混合体で構成されている。
カソード触媒層16は、カソード拡散層14に供給された酸化剤ガスを還元する役割を備えている。カソード触媒層16は、この還元反応の促進を促す触媒、例えば、白金(Pt)、ロジウム(Ru)、パラジウム(Pd)、金(Au)などの遷移金属、これらの金属の合金等で構成されている。また、必要に応じて、上述した触媒に導電性物質を担持体とした担持触媒と、プロトン伝導性物質とを含む多孔質層で構成されていてもよい。
プロトン伝導性膜10は、アノード触媒層13で発生したプロトン(水素イオン)の移動媒体としての機能を備えている。プロトン伝導性膜10は、例えば、イオン交換樹脂で構成されている。
アノード中間層12とアノード触媒層13との接触界面は、アノード中間層12がアノード触媒層13側に突出する第1凸部12aと、第1凸部12aに隣接して設けられ、アノード触媒層13がアノード中間層12側に突出する第2凸部13aとを有する第1凹凸部20が複数設けられた凹凸形状で構成されている。また、カソード中間層15とカソード触媒層16との界面は、カソード中間層15がカソード触媒層16側に突出する第3凸部15aと、第3凸部15aに隣接して設けられ、カソード触媒層16がカソード中間層15側に突出する第4の凸部16aとを有する第2凹凸部21が複数設けられた凹凸形状で構成されている。
プロトン伝導性膜10とアノード触媒層13との接触界面と平行な方向で定義される第1凸部12aの幅aは、例えば、3μm〜60μmで構成されている。また、プロトン伝導性膜10とアノード触媒層13との接触界面と平行な方向で定義される第2凸部13aの幅bは、例えば、3μm〜60μmで構成されている。また、アノード拡散層11とプロトン伝導性膜10との対向する方向で定義される第1凸部12a及び第2凸部13aの高さt1は、例えば、5μm〜35μmで構成されている。
また、プロトン伝導性膜10とカソード触媒層16との接触界面と平行な方向で定義される第3凸部15aの幅cは、例えば、3μm〜60μmで構成されている。また、プロトン伝導性膜10とカソード触媒層16との接触界面と平行な方向で定義される第4凸部16aの幅dは、例えば、3μm〜60μmで構成されている。また、カソード拡散層14とプロトン伝導性膜10との対向する方向で定義される第3凸部15a及び第4凸部16aの高さt2は、例えば、5μm〜35μmで構成されている。
このように、燃料極4において、アノード中間層12とアノード触媒層13との接触界面が凹凸形状を備えているため、アノード拡散層11に供給された液体燃料が効率良くアノード触媒層13に供給され、かつ、アノード触媒層13で生成した生成ガス(CO2)が効率よくアノード触媒層13から排出されるため、液体燃料の供給と生成ガスの排出とのバランスを効率良い状態に保つことができる。また、酸化剤極5において、カソード中間層15とカソード触媒層16との接触界面が凹凸形状を備えているため、カソード拡散層14に供給された酸化剤ガスが効率良くカソード触媒層16に供給され、かつ、カソード触媒層16で生成した生成水(H2O)が効率良くカソード触媒層16から排出されるため、酸化剤ガスの供給と生成水の排出とのバランスを効率良い状態に保つことができる。
アノード中間層12内に占める撥水性材料の重量%は、5wt%〜65wt%であることが好ましい。アノード中間層12内に占める撥水性材料の重量%が5wt%未満の場合は、アノード拡散層11の撥水性を調整できなくなるため好ましくない。また、アノード中間層12内に占める撥水性材料の重量%が65wt%を超える場合は、アノード中間層12内を通過する燃料の供給が阻害されてしまい、燃料電池としての運転が不安定になるため好ましくない。
カソード中間層15内に占める撥水性材料の重量%は、5wt%〜65wt%であることが好ましい。カソード中間層15内に占める撥水性材料の重量%が5wt%未満の場合は、カソード拡散層14の撥水性を調整できなくなるため好ましくない。また、カソード中間層15内に占める撥水性材料の重量%が65wt%を超える場合は、カソード中間層15内を通過する生成水の排出が阻害されてしまい、燃料電池としての運転が不安定になるため好ましくない。
なお、本実施形態では、第1凹凸部20と、第2凹凸部21とが、プロトン伝導性膜10を挟んでそれぞれ対称位置に設けられた例で説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ非対称に設けられていてもよい。
また、本実施形態では、第1凸部12aの幅a、第2凸部13aの幅b、第3凸部15aの幅c、及び第4凸部16aの幅dは、a=b=c=dで説明したが、本発明はこれに限定されない。
更に、第1凸部12a及び第2凸部13aの高さt1、第3凸部15a及び第4凸部16aの高さt2は、t1=t2に限定されない。
このような幅a、b、c、d、高さt1、t2は、燃料極4では液体燃料の供給と生成ガスの排出とのバランス、酸化剤極5では酸化剤ガスの供給と生成水の排出とのバランスにより、適時、最適な値に設計することができる。
本実施形態に係る直接メタノール型燃料電池は、図3及び図4に示すように、幅aは、幅bよりも大きく、幅cは、幅dよりも大きいことが好ましい。
第1凸部12aの幅aを第2凸部13aの幅bより大きくすると、アノード中間層12のアノード拡散層11とプロトン伝導性膜10とが対向する方向で定義される厚さtM1が厚い領域が増えるため、アノード触媒層13に対する撥水性が増加し、多くの液体燃料をより効率的にアノード触媒層13に供給することが出来ると共に、供給された多くの液体燃料が、反応により生成される生成ガスを押し出す形でより効率的に生成ガスを排出することができる。また、第3凸部15aの幅cを第4凸部16aの幅dより大きくすると、カソード中間層15のカソード拡散層14とプロトン伝導性膜10とが対向する方向で定義される厚さtM2が厚い領域が増えるため、カソード中間層15のカソード触媒層16に対する撥水性が増加し、反応により生成された生成水をより効率的にカソード拡散層14側に排出することができる。
幅aは、幅bより2倍〜5倍の範囲内で大きいことがより好ましい。幅aが、幅bより2倍未満の大きさだと、アノード中間層12の厚さtM1が厚い領域が少ないため、長時間の稼動において供給された燃料が、アノード中間層12の撥水性材料の劣化により、徐々に燃料極4内に滞ってしまい、反応により生成された生成ガスが徐々に排出されにくくなるため、より長時間の稼動において十分な電気特性を維持することができない。また、幅aが、幅bより5倍を超える大きさだと、液体燃料の供給が多くなりすぎてしまい、反応により生成された生成ガスが排出されにくくなるため好ましくない。
また、幅cは、幅dより2倍〜5倍の範囲内で大きいことがより好ましい。幅cが、幅dより2倍未満の大きさだと、カソード中間層15の厚さtM2が厚い領域が少ないため、反応により生成した生成水が、カソード中間層15の撥水性材料の劣化により、長時間の稼動において徐々に酸化剤極5内に滞ってしまうため、より長時間の稼動において十分な電気特性を維持することができない。また、幅cが、幅dより5倍を超える大きさだと、反応により生成された生成水が排出されやすくなるものの、これにより、酸化剤ガスの供給がされにくくなるため、より長時間の稼動において十分な電気特性を維持することができない。
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
はじめに、250mlポリポットにφ10のジルコニアボール40gとφ5φのジルコニアボール20gを秤量して投入し、次に粒状アセチレンブラック(電気化学工業製)2g、純水30g、濃度54wtテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)(三井ヂュポンフロロケミカル製)5.6g、1-プロパノール12g、2−プロパノール12gをポリエチレン製ポットに秤量して入れ、ペイントシャーカーで2時間撹拌混合処理を行ってアノード中間層およびカソード中間層用のスラリーを作製した。
はじめに、250mlポリポットにφ10のジルコニアボール40gとφ5φのジルコニアボール20gを秤量して投入し、次に粒状アセチレンブラック(電気化学工業製)2g、純水30g、濃度54wtテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)(三井ヂュポンフロロケミカル製)5.6g、1-プロパノール12g、2−プロパノール12gをポリエチレン製ポットに秤量して入れ、ペイントシャーカーで2時間撹拌混合処理を行ってアノード中間層およびカソード中間層用のスラリーを作製した。
次に、厚み370μmのカーボンペーパー(東レ(株)製のTGP−H−120)をカソード拡散層用基体として用いた。前記カーボンペーパーに先に調整してあったカソード中間層用のスラリーを拡散層上に乾燥時の厚みが15μmになる条件で、スクリーンマスクを用いて平滑層を形成することにより塗布し、次に、スクリーンメッシュを用いて平滑層上にスラリーを塗布し、スクリーンメッシュを取外し、凹凸を形成する。室温乾燥後、300℃で10分間、アルゴン雰囲気中で熱処理を実施し、酸素極側電極用基体を作成した。
得られたカソード中間層の断面をSEM観察し、凹凸の形状を確認したところ、第3凸部の幅cは100μm、第4凸部の幅dは10μm、第3凸部及び第4凸部の高さt2は10μm、カソード中間層の厚みtM2は、30μmであった。
次に、ケッチェンブラックECを塩化白金酸と塩化ルテニウム酸とを等モル溶解した水溶液に浸漬し、還元処理によってカーボン粉末の表面に白金−ルテニウム触媒を担持させた。このPt−Ru担持カーボン粉末を、ナフィオン溶液DE2020(デュポン製)と1-プロパノールとボールミルで混合して、カソード触媒層用スラリーを作製した。このスラリーを、先に作成した電極用基体上にギャップ650μmのKウエッジバーを用いて塗布し、室温乾燥させて、カソード触媒層を形成し、酸化剤極を作製した。
次に、粒子状カーボンの上に50重量%のPt微粒子が担持されている粒子状担持触媒を1gと、純水2gとを良く攪拌した。さらに、ナフィオン溶液DE2020を4.5gと2−エトキシエタノール10gを添加し、良く攪拌した後、卓上型ボールミルで分散し、アノード触媒層用スラリーを作製した。
アノード拡散層用の基材として、厚み370μmのカーボンペーパー(東レ(株)製のTGP−H−120)を用いた。前記カーボンペーパーに先に調整してあったアノード中間層用のスラリーを拡散層上に乾燥時の厚みが15μmになる条件でスクリーンマスクを用いて平滑層が形成されるように塗布する。次に、スクリーンメッシュを用いて平滑層上にスラリーを塗布し、スクリーンメッシュを取外し、凹凸を形成する。室温乾燥後、300℃で10分間、アルゴン雰囲気中で熱処理を実施し、燃料極側電極用基体を作成した。
得られたアノード中間層12の断面をSEM観察し、凹凸の形状を確認したところ、第1凸部の幅aは50μm、第2凸部の幅bは5μm、第1凸部及び第2凸部の高さt1は10μm、アノード中間層12の厚みtM1は、30μmであった。
次に、この電極用基体に、先ほど作製したアノード触媒層用スラリーを150μmバーコーターを用い、Kコントロルコーターで塗布し、風乾して触媒ローディング密度が2mg/cm2のアノード触媒層を形成し、燃料極を作製した。
<膜電極複合体(MEA)の作製>
燃料極、酸化剤極それぞれを電極面積が10cm2になるよう、3.2×3.2cmの正方形に切り取り、カソード電極とアノード電極の間にプロトン伝導性固体高分子膜としてナフィオン117を挟んで、125℃、5分、15kg/cm2の圧力で熱圧着して、膜電極複合体を作製した。
燃料極、酸化剤極それぞれを電極面積が10cm2になるよう、3.2×3.2cmの正方形に切り取り、カソード電極とアノード電極の間にプロトン伝導性固体高分子膜としてナフィオン117を挟んで、125℃、5分、15kg/cm2の圧力で熱圧着して、膜電極複合体を作製した。
この膜電極複合体と流路板とを用いて直接メタノール型燃料電池の単セルを作製した。この単セルに燃料としての1Mメタノール水溶液を流量0.6ml/min.でアノード極に供給すると共に、カソード極に空気を100ml/min.で供給し、セルを70℃に維持した状態で150mA/cm2電流密度時のセル電圧とクロスオーバー率を測定した。この測定条件において、150mA/cm2の電流密度で10時間の発電試験を実施し、発電安定性を電位降下により評価した。その結果を、図5に示す。
(比較例)
アノード中間層及びカソード中間層の中間層形成の際、スラリー塗布に用いるコーターをギャップ100μmのフラットバーを用い作成することを除き、その他は、同様な方法で膜電極複合体を作成し、実施例と同様な発電試験を実施し、発電安定性を電位降下により評価した。その結果を、図5に示す。
アノード中間層及びカソード中間層の中間層形成の際、スラリー塗布に用いるコーターをギャップ100μmのフラットバーを用い作成することを除き、その他は、同様な方法で膜電極複合体を作成し、実施例と同様な発電試験を実施し、発電安定性を電位降下により評価した。その結果を、図5に示す。
図5を見ても分かるように、比較例では長時間の稼動により徐々に電位降下が発生する傾向が確認されたが、実施例では長時間(5時間以上)稼動を行っても大きい電位降下は確認されなかった。
4 燃料極
5 酸素極
10 プロトン伝導性膜
11 アノード拡散層
12 アノード中間層
12a 第1凸部
13 アノード触媒層
13a 第2凸部
14 カソード拡散層
15 カソード中間層
15a 第3凸部
16 カソード触媒層
16a 第4凸部
20 第1凹凸部
21 第2凹凸部
5 酸素極
10 プロトン伝導性膜
11 アノード拡散層
12 アノード中間層
12a 第1凸部
13 アノード触媒層
13a 第2凸部
14 カソード拡散層
15 カソード中間層
15a 第3凸部
16 カソード触媒層
16a 第4凸部
20 第1凹凸部
21 第2凹凸部
Claims (4)
- アノード拡散層と、前記アノード拡散層に接合され、撥水性及び導電性を有するアノード中間層と、前記アノード中間層の前記アノード拡散層が設けられた面に対向する面に設けられたアノード触媒層と、を備えた燃料極と、
カソード拡散層と、前記カソード拡散層に接合され、撥水性及び導電性を有するカソード中間層と、前記カソード中間層の前記カソード拡散層が設けられた面に対向する面に設けられたカソード触媒層と、を備えた酸化剤極と、
前記燃料極と前記酸化剤極との間に挟持され、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層に接するプロトン伝導性膜と、を有し、
前記アノード中間層と前記アノード触媒層との接触界面は、前記アノード中間層が前記アノード触媒層側に突出する第1凸部と、前記第1凸部に隣接して設けられ、前記アノード触媒層が前記アノード中間層側に突出する第2凸部と、を有する第1凹凸部が複数設けられた凹凸形状で構成され、
前記カソード中間層と前記カソード触媒層との接触界面は、前記カソード中間層が前記カソード触媒層側に突出する第3凸部と、前記第3凸部に隣接して設けられ、前記カソード触媒層が前記カソード中間層側に突出する第4凸部と、を有する第2凹凸部が複数設けられた凹凸形状で構成されていることを特徴とする直接メタノール型燃料電池。 - 前記第1凸部の幅は前記第2凸部の幅よりも大きく、前記第3凸部の幅は前記第4凸部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記第1凸部の幅は前記第2凸部の幅よりも2倍から5倍の範囲内で大きく、前記第3凸部の幅は前記第4凸部の幅よりも2倍から5倍の範囲内で大きいことを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール型燃料電池。
- 前記アノード中間層及び前記カソード中間層は、それぞれ撥水性材料と導電性材料との混合体で構成されており、前記アノード中間層及び前記カソード中間層それぞれに含まれる前記撥水性材料の重量%は、5wt%〜65wt%の範囲内で構成されていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の直接メタノール型燃料電池。
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2006
- 2006-09-04 JP JP2006239272A patent/JP2008065986A/ja active Pending
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