JP5167957B2 - 圧電バイモルフ素子を用いたベルト加振装置、及びこれを用いた転写装置並びに画像形成装置 - Google Patents
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Description
転写ベルト等のトナー像担持体ベルトの加振装置及びこれを用いた転写装置並びに画像形
成装置に関する。
ここで、AはHamaker定数で、トナー18とトナー担持体37を構成する物質に依存する。Rはトナーの半径、Dはトナー18とトナー担持体37面との分離距離である。(1)式からわかるように、Ffはトナー18の半径Rに比例し、トナー18とトナー担持体37面との分離距離Dの2乗に反比例する。一般にトナーの表面にはシリカ(SiO2)粉等の外添材が付着しており、これがDに影響する。
トナーのトナー担持体との付着力を低減するために、図9(b)に示すようにトナー担持体37の裏面にトナー担持体を加振する加振装置38を設置する方法がある。トナー担持体37を上下に振動させることによりトナー18に慣性力FBを付与し、FEと合わせてトナー担持体37からのトナーの離脱力を増加し、トナー18を電気的かつ機械的に用紙13の凹部内に入り込ませ転写させる。これにより、表面に凹凸のある用紙13へのモノクロトナー画像の転写(図8(a))や多層トナー像の転写(図8(b))が可能となる。
加速度α=(2πf)2×Lk − − − − − (2)
FB=m・α
=(2πf)2×Lk×m − − − − − (3)
ここで、mはトナーの重量、fはベルトの振動周波数、Lkは振動振幅である。
上記したトナー担持体の裏側から振動エネルギーを付与する手段として、電磁振動子や超音波振動子を用いる方法が提案され、超音波振動子を用いる方式が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
波数が20kHz以上の高周波・高電圧電源が必要であり、20インチ幅をサポートする投入電力は数百から1kWとなる。
図7(b)は圧電バイモルフ素子1a、1bを駆動する電源4a、4bの発生電圧Va、Vbの波形を示す。周期をTeとしたとき、Va、Vbの位相差は1/2周期すなわち180度とした。図7(c)はベルトの中点で加振した時のベルトの振動状態を示し、ベルトの共振周波数fkは、(4)式で与えられる。
(3)式で与えられるトナー担持体上のトナーに付与される慣性力FBを10nN以上にするためには、振動振幅Lkが数十μm〜200μmであるため、ベルト5の振動周波数fは2kHz以上にするとよい。このような技術的背景に基づいて本発明がなされた。
圧電バイモルフ素子1は導電性弾性部材32(以下、シム材と称する)の両側にPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミックスからなる2枚の圧電体31a、31bを、それぞれの自発分極34a、34bの分極方向を同方向にして接着剤を用いて貼りつけたものである。接着層での電位分担によるロスを考慮すると、接着剤としては導電性接着剤を用いることが望ましい。
共振周波数fb=0.162×(tt/Lb2)×√(Yn/ρ) (Hz)−――−(6)
ここで、Lbは圧電バイモルフ素子1の振動長、ttは圧電体31a、31b及びシム材32を合わせたトータル厚み、tsはシム材32の厚み、Vは駆動電圧、αは非線形補正係数定数で2である。また、Ynはバイモルフ素子(圧電体とシム材含む)としてのヤング率、ρは密度である。
ここで、fe=1/Te
駆動電圧の素子駆動周波数feの2倍の周波数でベルトを振動できるため、(2)式からわかるように慣性力FBは4倍ときわめて大きな慣性力が得られることになる。一方、素子駆動電源4は、低周波電源で良いため消費電力が小さくてすむ。
慣性力への振動振幅Lkの作用効果から相対値40以上を基準とし、応力の適正範囲を8×105N/m2〜3×106N/m2とした。なお、駆動波形が矩形波交流の場合について説明したが、正弦波交流の場合でも同じ結果が得られる。駆動電圧値Vak、Vbkは通常、同じ値を用いるが、圧電バイモルフ素子1a、1bの振動振幅特性が異なる場合、両者の振幅を同じにするためにVak、Vbkの調整を行うことができる。
上記バイモルフ素子1a、1bの上面にポリアセタール樹脂板を加工して製作した突起部材3a、3bが接着剤により貼り付けられている。圧電バイモルフ素子1a、1bの一端をそれぞれ、金属製の固定部材2によりチャックする。チャック部から突起部材3が取り付けられた先端までの長さLsが自由振動長であり、今回8mmとした。このとき、圧電バイモルフ素子1a、1bは1.35kHzを最大振動振幅が得られる共振周波数として、1〜1.7kHzの範囲で振動することができる。
VakとVbkが共に20Vの矩形波交流電圧を印加した。その結果ベルトは突起部3a、3bで挟持されたベルト領域Lwのベルトの共振周波数は2.8kHzで8a,8bのように上下に振動することがわかった。この振動振幅Lkを測定すると104μmであった。
この結果、(3)式より、ベルトの振動加速度は3×104m/s2となる。この結果、従来の図8に示した方法のベルト加振装置の振動加速度の約19倍の大きい振動加速度を有するベルト加振装置が得られた。
圧電バイモルフ素子1a、1bに、それぞれ図1(b)に示すような波高値±20V、周波数1.4kHzの矩形波交流を印加すると突起部3aと30bは、交互に±104μmの振幅で上下に振動した。ベルト振動の加速度は3×104m/s2であった。粒径は9μmのトナー1個の重量は4.6×10―13kgであり、(2)式より、中間転写ベルト19上のトナーには15nNの慣性力FBが働く。トナー15b、16b、17b、18bにはプラス電荷10による静電気力FEに慣性力FBが加わる。これによりトナーは、ファンデルワールス力Ff(10nN)と鏡像力FMの束縛から逃れて飛翔し、用紙13の凹部14および平坦部に移動する。これにより表面の凹凸の大きなエンボス紙にも画像欠陥のない良好なトナー転写が可能となる。エンボス紙以外の粗面紙や第1面へのトナー像定着時の熱による用紙変形(シワ等)により生じた用紙第2面の凹部にも画像欠陥のない良好な転写を行うことができる。
中間転写ベルト19の外側にコロナ転写器11、内側に実施例1で説明した加振装置20を配置した。駆動電源4は矩形波交流電源であり、圧電バイモルフ素子1a、1bの突起部材3a、3bが交互に中間転写ベルト19の裏面を振動させ、中間転写ベルト上のトナーに慣性力を付与する。慣性力を付与されたトナー15b、16b、17b、18bは中間転写ベルト面とのファンデルワールス力に打ち勝ってコロナ電荷10に基づく静電気力により飛翔し、転写部に搬送されたエンボス紙13に転写される。
転写されたトナーはヒートロール27aとバックアップロール27bから構成されるヒートロール定着装置により用紙13上に溶融固着される。加振装置20の駆動は用紙種に応じて選択することができ、コート紙や表面の比較的平坦な上質紙の場合にはコロナ転写器11だけで行い、エンボス紙等の表面に凹凸のある用紙の場合にのみ加振装置を動作させても良い。もちろん、用紙種に係わらず動作させればトナーに慣性力が付加される分、転写性能が向上することは言うまでもない。また、ここではカット紙を使用した場合を示したが、用紙の搬送系を連続紙対応に変更すれば、連続紙にも対応できる。
次に、実施例1と同様に突起部3a、3bで挟まれたベルト領域の裏面の打撃加振により振動の節9a、9bを測定したところ、Lvは6mmであった。この値を(3)式にベルトの物性値と張力Tとともに代入すると、fk=3.2kHzとなった。なお、振動の周波数分析からもほぼ同じ値が検出された。圧電バイモルフ素子1a、1bにfeが1.6kHz(Te=0.625ms)、VakとVbkが共に20Vの矩形波交流電圧を印加した。その結果ベルトは突起部3a、3bで挟持されたベルト領域Lwの8a、8bは、3.2kHzで振動することがわかった。振動振幅Lkは±85μmであった。この結果、(3)式より、ベルトの振動加速度は3.4×104m/s2となり、実施例1の中間転写ベルトの場合に比べて、10%大きい加速度の加振特性が得られた。
Claims (7)
- 圧電バイモルフ素子を駆動することによって、張架されたベルトに振動エネルギーを付
与するベルト加振装置において、表面に電極を形成した一対の圧電体を導電性弾性部材の
両面に分極方向を同方向にして貼りあわせた圧電バイモルフ素子の一端を支持固定し、他
端に突起部を設けた2個の片持ち支持構造体とし、前記張架されたベルトの背面に前記2
個の片持ち支持構造体を配置し、前記2個の片持ち支持構造体のそれぞれの前記突起部を
離して前記ベルトに接触させることによって前記ベルトを支持し、支持された前記ベルトのそれぞれの前記突起部の外側端部までをベルト領域とし、前記ベルト領域の共振周波数をfkとした時、前記2個の片持ち支持構造体の前記圧電バイモルフ素子は、駆動周波数feが略々fk/2に一致した値であって、波形の位相差が180度(1/2周期)の交流電圧で駆動されることを特徴とするベルト加振装置。 - 前記圧電バイモルフ素子の駆動周波数feとfk/2の比が0.95から1.1の範囲
にあることを特徴とする請求項1記載のベルト加振装置。 - 前記2個の片持ち支持構造体の前記圧電バイモルフ素子が電圧を印加されない状態にお
いて、前記圧電バイモルフ素子に設けられたそれぞれの前記突起部の前記ベルトの裏面に
接触する面の高さが同じであって、かつ、それぞれの前記突起部で前記ベルト裏面を0.
2〜1.7mmの範囲で前記ベルトの表面の方向に押し上げた状態に設定されることを特
徴とする請求項1記載のベルト加振装置。 - 前記張架されたベルトに加わる張力によって生じる応力が、8×105N/m2〜3×
10 6 N/m2の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載のベルト加振装置。 - 前記ベルトが、トナー像が表面に現像された感光ベルトあるいは一時的にトナー像を担持する中間転写ベルトであって、前記ベルトに対向して設けられ、該ベルトとの対向領域である転写領域に搬送される記録媒体に、前記ベルト上に形成されたトナー像を静電的に転写する転写手段を有する転写装置において、請求項1及至4のいずれか1項記載のベルト加振装置を用いたことを特徴とする転写装置。
- 前記転写手段がコロナ転写器であって、前記ベルトのうち、2個の圧電バイモルフ素子の突起部で支持され、振動持にトナーに慣性力が付与するベルト領域がコロナ転写電界が及ぶ範囲内に配置されることを特徴とする請求項5記載の転写装置。
- 請求項5または請求項6項記載の転写装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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