JP5167782B2 - 切刃付リング - Google Patents
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Description
従来、この種の切刃付リングとしては、例えば特許文献1のように、リング部の半径方向に貫通する締め付けネジにより、締め付けリングの内周側に配される穴あけ工具の切屑排出溝(ねじれ溝)の表面に対して締め付け固定するものがあり、この場合には、締め付けネジと切屑排出溝(ねじれ溝)との間に締め付けシューを設けている。
さらに、従来の切刃付リングとしては、例えば特許文献3のように、リング部の周方向の1箇所にスリットが形成され、このスリットの幅が狭くなるようにネジにより締め付けることで、穴あけ工具に固定されるものがある。
また、特許文献2,3に記載の切刃付リングでは、2つの分割体の隙間やスリットの幅が狭くなるようにリング部をネジで締め付け固定するため、ネジを操作する際にリング部が回り易く、やはり取り付けが面倒という問題がある。
さらに、この切刃付リングを穴あけ工具に固定する際には、締め付けネジを操作して前記径方向内側に進行させればよいため、切刃付リングが穴あけ工具に対して前記軸線周りに回ってしまうことがなく、切刃付リングを容易に穴あけ工具に取り付けることが可能となる。
また、この構成の切刃付リングでは、リング部の内径寸法を穴あけ工具の外径寸法よりも大きく(例えば0.05〜0.2mm)形成しておくことが可能であり、結果として、容易に穴あけ工具をリング部の挿入孔に挿通させることができる。
また、切刃付リングを穴あけ工具に取り付ける前に、位置調整ネジによる内側突出部の押し付けを緩める等して予め切刃インサートを径方向外方側に移動させておくことで、切刃付リングの取り付けに際して切刃インサートが穴あけ工具の外周面に擦れる等して過度の力で押し付けられることも防止できるため、切刃インサートの保護を図ることができる。
また、キャップ部材によってリング部が切屑排出溝に係止されるため、切刃インサートにより穴の周縁を加工する際に、切刃付リングが穴あけ工具に対して回転してしまうことも確実に防止できる。
ここで、ドリル40は、軸線O周りに回転される概略多段円柱状をなすドリル本体50と、このドリル本体50の先端側(図1,2において下側)に着脱可能に装着されるインサート70とから構成されている。
ドリル本体50の先端側部分の外周には、ドリル本体50の先端面52に開口してドリル本体50後端側に向かうにしたがいドリル40の回転方向T後方側に向けてねじれる一対の切屑排出溝53,53が軸線Oを挟んで180°回転対称に形成されている。
このドリル本体50の先端部54には、先端側に向けて突出する一対の顎部55,55が軸線Oを挟むように相互に対向して形成されており、この一対の顎部55,55に挟まれた部分がインサート70のインサート取付座56とされている。なお、前述の先端面52はこの顎部55の先端に形成されている。
また、ドリル本体50の先端部54には、クランプネジ63を挿通させる挿通孔64が形成されている。この挿通孔64は、クランプネジ63がスリット60の幅方向に通るように軸線Oを通る径方向に延びて形成されており、一方の顎部55側に形成された挿通孔64にのみ、クランプネジ63を螺着させる雌ネジ部(不図示)が形成されている。
また、インサート70には、インサート取付座56に装着された状態において、ドリル40の回転方向T前方側を向いて各切屑排出溝53の先端側に滑らかに連なる概略凹曲面状をなすすくい面74が一対形成されている。ここで、各すくい面74は、前記先端面71と、ドリル本体50の後端側を向いて軸線Oと直交するインサート70の後端面72と、ドリル本体50の径方向外側を向くインサート70の外周面73とに交差している。
そして、各すくい面74とインサート70の先端面71との交差稜線部にそれぞれ切刃75が形成されている。
このインサート70は、ドリル本体50のインサート取付座56に挿入された状態において、前述したクランプネジ63を他方の顎部55側の挿通孔64から挿入して一方の顎部55側の挿通孔64に螺着させることで、一対の顎部55,55によって狭持され、これによってドリル本体50に固定される。
リング部10の内周面10Cのうち周方向の一部には、内周面10Cからその径方向外側に窪む凹部12が形成されている。この凹部12は、軸線O方向に直交するリング部10の先端面10A、及び、ドリル本体50の後端側に面する後端面10Bの両方に開口している、すなわち、軸線O方向に沿って延びる溝状に形成されている。
内側突出部21の先端部の前記径方向内側には、切刃インサート30を取り付けるためのインサート取付座25が、回転方向T前方側を向く内側突出部21の前面21Aから窪んで形成されている。切刃インサート30は、このインサート取付座25に収納された状態で取付ネジ26によって着脱自在に固定されている。
この構成においては、位置調整ネジ28を操作することで内側突出部21を外側突出部22に対して前記径方向に弾性変形させることができ、これによって、切刃インサート30がリング部10に対して前記径方向に移動する。すなわち、上記構成の突出部20及び位置調整ネジ28によって、切刃インサート30をリング部10に対してその径方向に移動可能とする位置調整機構29が構成されている。
なお、内側突出部21の基端部の前記径方向内側には、前記径方向外側に窪む切欠溝24が形成されており、内側突出部21が容易に前記径方向内側に向けて弾性変形できるようになっている。
この切刃インサート30には、回転方向T前方側を向いて切刃インサート30のすくい面を含む菱形状の前面32と、インサート取付座25に取り付けられた状態においてドリル本体50の外周面50Aに面する対向面33と、ドリル本体の先端側に向いて切刃インサート30の逃げ面をなす側面34とを有している。そして、前記前面32と前記側面34との交差稜線部に切刃35が形成されている。
なお、この固定に際しては、キャップ部材16をリング部10から取り外しておき、上記固定の完了後にキャップ部材16をリング部10に取り付ければよい。また、切刃付リング1をドリル40に固定して切削工具を構成した後に、切刃インサート30を前記径方向内側に移動させてドリル本体50の外周面50Aに接触させればよい。
また、切刃付リング1は、前述のように、挿入孔11の内径寸法を漸次小さくすることでリング部10を直接ドリル本体50に固定する構成であるため、ドリル40と切刃付リング1との間で芯ずれが生じることも抑制できる。
また、この切刃付リング1では、リング部10の内径寸法をドリル本体50の外径寸法よりも大きく(例えば0.05〜0.2mm)形成しておくことが可能であり、結果として、容易にドリル本体50をリング部10の挿入孔11に挿通させることができる。
さらに、位置調整ネジ28による内側突出部21の押し付けを緩める等して位置調整機構29により切刃インサート30を径方向外側に移動させることもできるため、ドリル本体50を挿入孔11に挿通させる際に切刃インサート30がドリル本体50の外周面50Aに擦れたり、外周面50Aに押し付けられることを防止でき、結果として、切刃インサート30の保護を図ることもできる。
さらに、リング部10がキャップ部材16を介して切屑排出溝53に係止されるため、切刃インサート30により穴の周縁を加工する際に、切刃付リング1がドリル40に対して回転してしまうことも確実に防止できる。
また、リング部10の内周面10Cに形成される凹部12は、リング部10の先端面10A及び後端面10Bの両方に開口するとしたが、例えば先端面10A若しくは後端面10Bの一方のみに開口するとしてもよいし、例えば先端面10A及び後端面10Bに開口していなくてもよい。
この場合、円弧状腕部13は、凹部12の周方向の一端側を除く、凹部12の開口縁との間に隙間が形成されるように設けられればよい。
10 リング部
10A 先端面
10C 内周面
11 挿入孔
12 凹部
13 円弧状腕部
14 螺着孔
15 締め付けネジ
16 キャップ部材
20 突出部
21 内側突出部
22 外側突出部
23A スリット
28 位置調整ネジ
29 位置調整機構
30 切刃インサート
31 先端部
40 ドリル(穴あけ工具)
50A 外周面
53 切屑排出溝
O 軸線
Claims (3)
- 穴あけ工具に対して着脱自在に固定されて、該穴あけ工具で開けた穴の周縁を加工する切刃インサートを有する切刃付リングであって、
前記穴あけ工具をその軸線方向に挿通させる平面視円形状の挿入孔が形成されたリング部と、前記切刃インサートを前記リング部に対してその径方向に移動可能とする位置調整機構と、前記穴あけ工具の先端側に面する前記リング部の先端面から前記軸線方向に突出する突出部とを備え、
該リング部の内周面のうち周方向の一部には、当該内周面からその径方向外側に窪む凹部が形成され、
前記リング部には、前記内周面に対する前記凹部の開口縁のうち前記周方向の一端から他端側に向けて前記周方向に延出して前記径方向に弾性変形可能とされた円弧状腕部が一体に設けられ、
該円弧状腕部は、前記リング部の径方向に貫通して前記凹部の底面に開口する螺着孔に螺着された締め付けネジによって前記径方向の内側に押し付けられ、
前記突出部が、前記軸線に沿って延びるスリットによって、前記切刃インサートを固定する内側突出部と、該内側突出部よりも前記径方向の外側に配される外側突出部とに分割され、
前記位置調整機構が、前記突出部と、前記径方向に前記外側突出部を貫通するように前記外側突出部に螺着されて、前記内側突出部を前記外側突出部に対して前記径方向内側に押し付ける位置調整ネジによって構成されていることを特徴とする切刃付リング。 - 前記穴あけ工具の先端側に面する前記リング部の先端面側には、前記内周面から前記径方向内側に突出して、当該内周面と前記穴あけ工具の切屑排出溝との隙間を埋めるキャップ部材が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の切刃付リング。
- 前記切刃インサートは、前記穴あけ工具の外周面に接触した状態において、前記軸線に沿って前記穴あけ工具の先端側に位置する当該切刃インサートの先端部が前記外周面から離間するように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切刃付リング。
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