JP5151501B2 - 切刃付リング - Google Patents
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Description
そして、特許文献1に記載の切刃付リングでは、リング部の半径方向に貫通する締め付けネジにより、リング部をドリル(穴あけ工具)のねじれ溝の表面に対して締め付け固定している。さらに、この切刃付リングでは、ねじれ溝と締め付けネジとの間に締め付けシューを介在させている。また、締め付けシューは、ねじれ溝の長手方向に延びて形成されており、締め付けネジによってねじれ溝に押し付けられている。なお、この締め付けシューは、締め付けリングの内周面とねじれ溝との間の中空空間をほぼ塞ぐ役割も果たしており、当該中空空間に切屑が侵入することを防いでいる。
また、締め付けシューはドリルの軸線方向に延びるように形成されているため、当該軸線に沿う切刃付リングの長さが長くなり、結果として、ドリルに対する切刃付リングの取付位置が制限される、という問題もある。
そして、この切刃付リングでは、従来のように締め付けネジを直接締め付けシューに当接させていないため、締め付けネジの径寸法に関係なく、前記軸線に沿う締め付けシューの厚みを薄く形成することが可能となる。
また、締め付けシューを薄く形成することで、前記軸線に沿う切刃付リングの長さも短くすることができるため、ドリル等の穴あけ工具に対する切刃付リングの取付位置の自由度が向上する効果も奏する。
さらに、締め付けネジの径寸法が締め付けシューの厚みに影響しないため、例えば、締め付けネジの径寸法を大きくして、穴あけ工具の把持力を大きくすることができる。
また、穴あけ工具の軸線方向に沿う切刃付リングの長さも短く形成できるため、穴あけ工具に対する切刃付リングの取付位置の自由度向上を図ることができる。
ここで、ドリル40は、軸線O周りに回転される概略多段円柱状をなすドリル本体50と、このドリル本体50の先端側(図1,2において下側)に着脱可能に装着されるインサート70とから構成されている。
ドリル本体50の先端側部分の外周には、ドリル本体50の先端面52に開口してドリル本体50後端側に向かうにしたがいドリル40の回転方向T後方側に向けてねじれる一対のねじれ溝(切屑排出溝)53,53が軸線Oを挟んで180°回転対称に形成されている。
このドリル本体50の先端部54には、先端側に向けて突出する一対の顎部55,55が軸線Oを挟むように相互に対向して形成されており、この一対の顎部55,55に挟まれた部分がインサート70のインサート取付座56とされている。なお、前述の先端面52はこの顎部55の先端に形成されている。
また、ドリル本体50の先端部54には、クランプネジ63を挿通させる挿通孔64が形成されている。この挿通孔64は、クランプネジ63がスリット60の幅方向に通るように軸線Oを通る径方向に延びて形成されており、一方の顎部55側に形成された挿通孔64にのみ、クランプネジ63を螺着させる雌ネジ部(不図示)が形成されている。
また、インサート70には、インサート取付座56に装着された状態において、ドリル40の回転方向T前方側を向いて各ねじれ溝53の先端側に滑らかに連なる概略凹曲面状をなすすくい面74が一対形成されている。ここで、各すくい面74は、前記先端面71と、ドリル本体50の後端側を向いて軸線Oと直交するインサート70の後端面72と、ドリル本体50の径方向外側を向くインサート70の外周面73とに交差している。
そして、各すくい面74とインサート70の先端面71との交差稜線部にそれぞれ切刃75が形成されている。
このインサート70は、ドリル本体50のインサート取付座56に挿入された状態において、前述したクランプネジ63を他方の顎部55側の挿通孔64から挿入して一方の顎部55側の挿通孔64に螺着させることで、一対の顎部55,55によって狭持され、これによってドリル本体50に固定される。
リング部10には、図3〜5に示すように、その先端面10Aから軸線O方向に窪む2つの収容凹部14,14が形成されており、それぞれ挿入孔11の内周面11Aに開口している。これら2つの収容凹部14,14は挿入孔11を挟んで相対するように配されている。なお、図示例では、各収容凹部14の窪み方向が軸線Oに対して斜めに傾斜しており、この傾斜角度はドリル本体50のねじれ溝53のねじれ角度に対応している。
さらに、リング部10には、収容凹部14の底壁面14A及びドリル本体50の後端側に面するリング部10の後端面10B(図1参照)の両方に開口するように軸線O方向に貫通する挿通孔15が形成されており、挿通孔15には雌ネジ部が形成されている。
このキャップ部材16には、これを収容凹部14内に配した状態において、軸線O方向に延びて貫通すると共にリング部10の挿通孔15に連通する挿通孔17が形成されている。そして、これら一対の挿通孔15,17にわたって締め付けネジ18が挿通されている。
したがって、この構成においては、締め付けネジ18をキャップ部材16の挿通孔17に挿通させた上でリング部10の挿通孔15に螺着させることで、リング部10及びキャップ部材16を相互に近づけて固定することができる。
なお、図示例において、相互に連通する一対の挿通孔15,17の貫通方向は、収容凹部14の窪み方向と略一致しているが、少なくとも軸線O方向に締め付けネジ18を挿通できれば窪み方向に一致していなくてもよい。
なお、前述したキャップ部材16の挿通孔17の大きさは、キャップ部材16がリング部10に対して上述のように移動できるように、締め付けネジ18の径寸法よりも大きく形成されている。
また、互いに当接するキャップ部材16の当接面16C及び締め付けシュー20の当接面(第2当接面)20Cは、挿入孔11の径方向外側に向かうにしたがって、軸線Oに沿ってリング部10及びキャップ部材16が相互に近づくように傾斜する傾斜面となっている。
このように構成することで、締め付けシュー20がキャップ部材16よりも挿入孔11の径方向内側に配されることになり、締め付けシュー20は、キャップ部材16を軸線Oに沿って収容凹部14の底壁面14Aに近づけるほど、キャップ部材16によって挿入孔11の径方向内側に付勢されることになる。
なお、この実施形態においては、キャップ部材16や締め付けシュー20を収容する収容凹部14も、キャップ部材16や締め付けシュー20がリング部10に対して挿入孔11の周方向に移動することを規制するように形成されている。すなわち、この実施形態においては、収容凹部14も締め付けシュー20の移動を規制する移動方向規制機構23を構成している。
各突出部12の先端部の前記径方向内側には、切刃インサート13を取り付けるためのインサート取付座25が、ドリル40の回転方向T前方側を向く突出部12の前面12Aから窪んで形成されている。切刃インサート13は、このインサート取付座25に収納された状態で取付ネジ26によって着脱自在に固定されている。
この切刃インサート13には、回転方向T前方側を向いて切刃インサート13のすくい面を含む菱形状の前面32と、インサート取付座25に取り付けられた状態においてドリル本体50の外周面50Aに面する対向面33と、ドリル本体50の先端側に向いて切刃インサート13の逃げ面をなす側面34とを有している。そして、前記前面32と前記側面34との交差稜線部に切刃35が形成されている。
なお、前記対向面33は、ドリル本体50の先端側に位置する切刃インサート13の先端部分がドリル本体50の外周面50Aから離間するように、また、前記先端部分を除く他の部分がドリル本体50の外周面50Aに接触するように形成されることが好ましい。
そして、締め付けシュー20を薄く形成した場合には、締め付けシュー20をねじれ溝53のねじれ角の影響を受けない形状に形成できるため、ねじれ角が異なるドリルあるいは可変ネジレ型のドリルなどの様々な種類のドリルに、同一の締め付けシュー20を設けた切刃付リング1を容易に取り付けることが可能となる。すなわち、汎用性の高い切刃付リング1を提供することができる。
さらに、締め付けネジ18の径寸法が締め付けシュー20の厚みに影響しないため、例えば、締め付けネジ18の径寸法を大きくして、ドリル40の把持力を大きくすることができる。
さらに、キャップ部材16を設けることで、ドリル40による穴あけ加工の際に生じる切屑が挿入孔11に入り込むことを防止できる。また、キャップ部材16には凹曲面状の切屑案内面16Bが形成されているため、前記切屑をスムーズに排出することができる。
また、締め付けネジ18用の雌ねじ部を形成した挿通孔15,17は、必ずしも貫通していなくてもよく、リング部10及びキャップ部材16を相互に固定できる程度の深さ寸法を有していればよい。
なお、底壁面14A及び第1当接面20Aを上述のように傾斜させた場合には、互いに当接するキャップ部材16の当接面16C及び締め付けシュー20の第2当接面20Cは、上記実施形態と同様に傾斜していてもよいし、軸線Oに対して直交していてもよい。
さらに、キャップ部材16や締め付けシュー20は、収容凹部14に収容されるとしたが、これに限ることはなく、少なくともキャップ部材16がリング部10と共に締め付けシュー20を挟み込むようにリング部10の先端面10A側に配されればよい。
さらに、切刃付リング1を取り付けるドリル40は、上記実施形態のようにインサート着脱式のものに限らず、例えば切刃35を一体に形成したものであってもよい。さらに、ドリル40は、回転方向T後方側に向けてねじれるねじれ溝53が形成されたツイストドリルに限らず、例えば軸線Oに沿って直線的に延びる切屑排出溝が形成されたガンドリルであってもよい。
10 リング部
10A 先端面
11 挿入孔
11A 内周面
13 切刃インサート
14A 底壁面(当接面)
15 挿通孔
16 キャップ部材
16B 切屑案内面
16C 当接面
17 挿通孔
18 締め付けネジ
20 締め付けシュー
21 軌道溝
22 突起ピン(突起)
20A 第1当接面
20C 第2当接面
23 移動方向規制機構
40 ドリル(穴あけ工具)
50A 外周面
53 ねじれ溝(切屑排出溝)
O 軸線
Claims (5)
- 穴あけ工具に対して着脱自在に固定されて、該穴あけ工具で開けた穴の周縁を加工する切刃インサートを有する切刃付リングであって、
前記穴あけ工具をその軸線方向に挿通させる平面視円形状の挿入孔が形成されたリング部と、
前記穴あけ工具の先端側に面する前記リング部の先端面側に配されると共に、前記挿入孔の内周面からその径方向内側に突出して、当該内周面と前記穴あけ工具の切屑排出溝との隙間を埋めるキャップ部材と、
前記リング部及び前記キャップ部材の両方に前記軸線方向に延びて形成された一対の挿通孔にわたって挿通されると共に、一方の挿通孔に螺着することで前記リング部及び前記キャップ部材を相互に固定する締め付けネジと、を備え、
前記リング部と前記キャップ部材との間には、前記挿入孔の内周面から突出して前記切屑排出溝に入り込む締め付けシューが挟み込まれ、
前記リング部と前記キャップ部材とが相互に近づくように前記締め付けネジを操作することで、前記締め付けシューが前記挿入孔の径方向内側に付勢されることを特徴とする切刃付リング。 - 前記締め付けシューが前記リング部及び前記キャップ部材に対して前記挿入孔の周方向に移動することを規制する移動方向規制機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の切刃付リング。
- 前記移動方向規制機構が、互いに当接する前記締め付けシュー及び前記リング部の当接面の一方に形成されて前記径方向に延びる軌道溝と、当該当接面の他方から突出して前記軌道溝に挿入される突起とを備え、
当該突起は、前記軌道溝に挿入された状態で当該軌道溝に対して前記径方向に移動可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の切刃付リング。 - 互いに当接する前記締め付けシュー及び前記キャップ部材の当接面、あるいは、前記締め付けシュー及び前記リング部の当接面の少なくとも一方が、前記径方向に沿って前記リング部の内側から外側に向かうにしたがって、前記軸線に沿って前記キャップ部材及び前記リング部が相互に近づくように傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の切刃付リング。
- 前記キャップ部材には、前記切屑排出溝の内面に滑らかに連なって、当該内面を前記穴あけ工具の径方向外側に導く切屑案内面が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の切刃付リング。
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