JP5167478B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイオード等に好適な半導体装置及びその製造方法に関する。
トランジスタを構成するP型半導体、N型半導体は、主に夫々IV族元素にIII価イオン、V価イオンをドープすることにより生成されている。そして、このようなトランジスタが集積回路(IC)等に使用されている。
しかしながら、ICではインプラントイオンの数が少なく、また、シリコンウェハ上に機能素子がローカルノードとして点在するため、インプラントイオンが容易に拡散しやすい。このため、十分な耐熱性及び高集積性を得ることが困難である。
D. Long: Energy Bands in Semiconductors, Interscience, New York, 1968
本発明は、高い耐熱性を得ることができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本発明に係る半導体装置は、p型の第1の半導体領域と、前記第1の半導体領域と隣接し、ダングリングボンドを電子の供給源とするn型の第2の半導体領域と、を有し、前記第1の半導体領域及び前記第2の半導体領域はシリコン又は炭化珪素からなることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、p型の第1の半導体領域内にダングリングボンドを発生させて、前記ダングリングボンドを電子の供給源とするn型の第2の半導体領域を形成する工程を有し、前記第1の半導体領域及び前記第2の半導体領域はシリコン又は炭化珪素からなることを特徴とする。
本発明によれば、n型半導体領域が、ダングリングボンドを電子の供給源として構成されているため、n型不純物を電子の供給源とする従来の半導体装置と比較して、高い耐熱性を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。但し、ここでは、便宜上、半導体装置の断面構造については、その製造方法と共に説明する。図1A乃至図1Bは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す模式図である。
本実施形態では、図1Aに示すように、B(ホウ素)イオンがドーピングされたp型のSi基板1の表面の2箇所にn型のエミッタ領域2e及びコレクタ領域2cを形成する。例えば、Si基板1の厚さは625±15μm程度であり、その比抵抗は10〜20(Ω・cm)であり、その表面は(1−1−1)面となっている。エミッタ領域2e及びコレクタ領域2cの形成に当たっては、二次イオン質量分析器(IMA(Ion Micro Analyzer))により加速電圧を20kV、イオン電流を10μAとして、希ガス元素のイオンであるAr+及びHe+を2時間程度、Si基板1の2箇所にイオン照射する。この結果、Si基板1の格子原子が蹴り出され、空格子が生じ、Si基板1の表面から比較的深い位置までダングリングボンドが生成される。これらのダングリングボンドが生成された領域がn型のエミッタ領域2e及びコレクタ領域2cとなる。なお、エミッタ領域2e及びコレクタ領域2cの間隔は、例えば1.5mm程度とし、エミッタ領域2e及びコレクタ領域2cの直径は、例えば0.5mm程度とする。
次に、図1Bに示すように、Si基板1上に厚さが20μm〜30μm程度のマイカ箔3を形成する。次いで、マイカ箔3のエミッタ領域2e及びコレクタ領域2cに整合する2箇所の領域並びにこれらの中心近傍の領域にコンタクトホールを形成する。その後、これらのコンタクトホール内に炭素電極塗料を用いて電極4を埋め込む。なお、各コンタクトホールの直径は、例えば0.3mmとする。続いて、電極4毎にCu配線5を形成する。
このようにして形成された半導体装置においては、図1に示すように、エミッタ領域2eとコレクタ領域2cとの間にp型の領域が存在し、このp型の領域がベースとして作用する。つまり、バイポーラトランジスタが形成されている。そして、このバイポーラトランジスタは、ダングリングボンドを用いて構成されているため、従来のn型不純物及びp型不純物を用いて構成されたバイポーラトランジスタと比較して、熱的安定性に優れている。即ち、従来のバイポーラトランジスタでは、高温になるとドーピングされているイオンの拡散に伴って動作が不安定となるが、本実施形態に係るバイポーラトランジスタでは、そのような拡散が生じない。また、イオンの拡散が生じないため、集積性を向上させることも可能である。
なお、上述のような効果はバイポーラトランジスタだけでなくダイオードにおいても同様に得られる。
次に、本願発明者が実際に行った実験の結果について説明する。
先ず、上述の実施形態と同様にして、n型の領域を1箇所のみに形成することにより、ダイオードを作製し、基板のドナー濃度及び拡散電位を求めた。ここでは、先ず、逆バイアス電圧VR(V)と空乏層容量C(F/cm2)との関係を求めた。一般に、逆バイアス電圧VRと空乏層容量Cとの関係は、下記数1で表される。ここで、qは電子1個当たりの電荷(C)、εsは半導体の誘電率(F/cm)、NBはドナー濃度(cm-3)、Vbiは拡散電位(V)である。
Figure 0005167478
数1から明らかなように、1/C2はVRの1次関数で表され、その傾きからドナー濃度NBが求められ、1/C2が0となるときの切片(VRの値)から拡散電位Vbiを求めることができる。実際に測定して得られた結果を図2に示す。図2より、ドナー濃度NBは3.9×1013(cm-3)であり、拡散電位Vbiは0.35(V)であった。このドナー濃度NBの値は、一般に多用されているn型不純物領域とp型不純物領域とからなるダイオードのドナー濃度の10-3〜10-4程度と低い。
本願発明者は、ダイオードの耐熱性を評価するために、20℃〜300℃の間でダイオード特性の測定を行った。20℃、100℃、200℃、300℃で測定した結果を、夫々図3、図4、図5、図6に示す。図3〜図5から、温度が上昇するに連れてダイオード特性が消失していく過程を読み取ることができる。このような傾向は、熱励起によるキャリアの影響による。また、図6では、ほとんどダイオード特性が残っていない。更に、本願発明者が300℃まで加熱した後に20℃まで温度を下げたダイオードについてその特性を測定したところ、図7に示すような結果が得られた。つまり、300℃まで昇温すると、一旦ダイオード特性が消失するが、その後に降温することにより、再度ダイオード特性が発現するようになる。
次に、上述の実施形態と同様にして作製したダイオードの温度特性を測定した結果を図8に示す。温度により、3つの段階(StageI、StageII、StageIII)が出現した。StageI(約100℃以上)では、活性化エネルギーが1.1eVであった。この値は、Siのギャップエネルギー(1.17eV)とほぼ一致しており、StageIは真性領域となっていることを示唆している。このような比較的低い温度から真性領域の出現は、ホウ素(B)によるアクセプタをダングリングボンドの電子が局所的に補償しているため、結晶の純度が上がったように見える。なお、高温下では、電気伝導度に大きな影響を与える主なキャリアは、熱励起でギャップエネルギーを超えるようになった電子となり、ダイオード特性が消失し始める。
なお、ダングリングボンドにより生じたキャリアと同数のキャリアが生成される温度がダイオード特性の熱限界となる。そして、上述のドナー濃度NBが3.9×1013(cm-3)のダイオードでは、図4に示すように、100℃でも十分なダイオード特性が得られている。このとき、図8より、導電率σの自然対数は−10程度である。従って、このダイオードのドナー濃度を104倍程度とすると、導電率σの自然対数は−6程度となり、このときの温度は、図8より300℃程度となる。なお、上述のダイオードのドナー濃度を104倍程度とした場合には、一般に多用されているn型不純物領域とp型不純物領域とからなるダイオードのドナー濃度と同程度となる。また、SiCのギャップエネルギーはSiのそれの約2.6倍であるため、半導体基板をSiCから構成した場合には、耐熱温度が900℃程度のトランジスタが得られると考えられる。
また、本願発明者は、上述の実施形態のようにして作製したバイポーラトランジスタについて、ベース電流IBを変化させながら、コレクタ−エミッタ間電圧VCEとコレクタ電流ICとの関係を求めた。この結果を図9に示す。また、図10には、コレクタ−エミッタ間電圧が5Vのときのベース電流IBとコレクタ電流ICとの関係を示す。図10より、電流増幅率hfe(=IC/IE)は1.1であった。
更に、本願発明者は、p型炭化珪素基板にヘリウムイオンを加速電圧20kVで打ち込むことにより、この打ち込み場所にダングリングボンドを発生させ、この場所の導電型をn型とした。このようにして作成したpnダイオードの耐熱特性を図11に示す。図11に示すように、400℃以下においてダイオード特性が発現した。
なお、ダングリングボンドの発生に当たっては、Ar及びHe等の希ガス元素のイオンの他、D(重水素)イオン又はHイオンをp型の半導体領域に打ち込んでもよい。但し、打ち込んだイオンとダングリングボンドとの結合を防止するためには、希ガス元素のイオンを打ち込むことが好ましい。
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程準に示す断面図である。 図1Aに引き続き、半導体装置の製造方法を工程準に示す断面図である。 逆バイアス電圧VR(V)と空乏層容量C(F/cm2)との関係を示すグラフである。 20℃でのダイオード特性を示すグラフである。 100℃でのダイオード特性を示すグラフである。 200℃でのダイオード特性を示すグラフである。 300℃でのダイオード特性を示すグラフである。 300℃から20℃に温度変化させた後のダイオード特性を示すグラフである。 ダイオードの温度特性を示すグラフである。 コレクタ−エミッタ間電圧VCEとコレクタ電流ICとの関係を示すグラフである。 ベース電流IBとコレクタ電流ICとの関係を示すグラフである。 ダイオードの耐熱特性を示すグラフである。
符号の説明
1:Si基板
2e:エミッタ領域
2c:コレクタ領域
3:マイカ箔
4:電極
5:Cu配線

Claims (7)

  1. p型の第1の半導体領域と、
    前記第1の半導体領域と隣接し、ダングリングボンドを電子の供給源とするn型の第2の半導体領域と、
    を有し、
    前記第1の半導体領域及び前記第2の半導体領域はシリコン又は炭化珪素からなることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記第1の半導体領域は、シリコン又は炭化珪素にp型の不純物を導入して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第2の半導体領域との間で前記第1の半導体領域を挟み込むn型の第3の半導体領域を有し、前記第3の半導体領域はシリコン又は炭化珪素からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記第2の半導体領域は、p型のシリコン又は炭化珪素への希ガス元素イオンの打ち込みにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. p型の第1の半導体領域内にダングリングボンドを発生させて、前記ダングリングボンドを電子の供給源とするn型の第2の半導体領域を形成する工程を有し、
    前記第1の半導体領域及び前記第2の半導体領域はシリコン又は炭化珪素からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 前記第2の半導体領域の形成と並行して、前記第2の半導体領域との間で前記第1の半導体領域を挟み込むn型の第3の半導体領域を形成し、前記第3の半導体領域はシリコン又は炭化珪素からなることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記ダングリングボンドを発生させる際に、前記第1の半導体領域に対して希ガス元素イオンを打ち込むことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
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