JP5167067B2 - 減衰力可変ダンパの制御装置 - Google Patents
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例えば、左右の前輪が略同時に落ち込んで、左右のダンパが伸び方向に動作し、車体前部(バネ上質量)が落ち込むときに、左右のダンパがフルリバウンドしてリバウンドストッパと衝突しないように所定の値に減衰力を増大させる場合は、左右の前輪の2つのダンパの減衰力が期待でき、その後は、スカイフック制御により、2つのダンパの減衰力を増大させて車体前部の落ち込みを少なくし、さらに、バウンドストッパと衝突しないように所定の値に減衰力を増大させることにより、バネ上質量からの荷重を支えることができる。
しかし、左右の前輪の一方のみが落ち込んで、その一方のダンパが伸び方向に動作し、車体前部の前記一方が落ち込むときに、その一方のダンパのみをフルリバウンドしてリバウンドストッパと衝突することのないように所定の値に減衰力を増大させる場合は、左右の前輪の一方のみのダンパの減衰力しか期待できず、その後は、スカイフック制御により、落ち込んだ一方の前輪のダンパの減衰力を増大させてその一方側に偏った車体前部の荷重による落ち込みを少なくしようとしても、その一方のダンパだけではバネ上質量からの荷重を支えることができず、その一方のダンパはフルバンプしてバウンドストッパに衝突させてしまう可能性があった。
また、フルストローク抑制減衰力は、各ダンパのうちの少なくとも一つの伸縮状態量が、第1の変位量を超えて伸び方向の動作をしている状態、または、第2の変位量未満に縮み方向の動作をしている場合に、対となるダンパの少なくとも伸縮状態量およびその伸縮状態量の時間微分である相対速度に応じて設定されるので、ダンパの最大伸長状態、または、最大圧縮状態に到達しないような適切なフルストローク抑制減衰力を対のダンパそれぞれ個別に適切に設定することができる。
また、減衰力規制手段において、例えば、対となるダンパのうちの一方のダンパと他方のダンパで発生させるフルストローク抑制目標減衰力の合計の最大値を、対のダンパ2つで車体前部または車体後部、もしくは、車体左側または車体右側のバネ上質量からのフルバンプ(最大圧縮状態)傾向時の荷重を支持できるように設定しておくと、対の他方のダンパのフルストローク抑制目標減衰力が小さくて良いときは、対の一方のダンパのフルストローク抑制目標減衰力を合計の最大値の許す範囲でより大きく許容して、対の一方のダンパ側に偏って掛かる車体前部または車体後部、もしくは、車体左側または車体右側のバネ上質量からのフルバンプ傾向時の荷重を支持できる。
また、このようなフルストローク抑制目標減衰力の上限値の規制をしているので、減衰力可変ダンパに消費される電力を無駄に大きくすることを抑制でき、結果として、車両の燃費改善に役立つ。
図1は、実施形態に係る減衰力可変ダンパの制御装置を適用した4輪車両の概略構成図であり、図2は、車両のサスペンション装置の正面図、図3は、減衰力可変ダンパの縦断面図である。
説明に当たり、4個の車輪やそれらに対して配置された装置や部材(タイヤやサスペンション装置等)や、後記する図4、図5、図6における機能ブロック図の4個の車輪それぞれに対して設けられた駆動回路や、機能構成部や、目標電流値等の信号については、それぞれの装置、部材、機能構成部を示す数字の符号や、目標電流値等の信号を示す英文字符号の後に、左前輪を示す符号fl、右前輪を示す符号fr、左後輪を示す符号rl、右後輪を示す符号rrをそのまま付すか、添え字として付して、例えば、車輪3fl,3fr,3rl,3rrと記載するとともに、総称する場合には、それらの符号を外して、例えば、車輪3と記載する。
ここで、ECU7が請求項に記載の「減衰力可変ダンパの制御装置」に対応する。
また、車両100には、ホイールハウス付近の上下加速度(バネ上質量である車体側部材の上下方向の加速度)を検出するバネ上Gセンサ12と、ダンパ20およびサスペンション装置4の伸縮状態量であるストローク変位(車体側部材に対する車輪側部材の相対変位)を検出する変位量センサ(伸縮状態量取得手段)13と、図示しないバッテリからダンパ20に減衰力制御のために供給する直流電流をPWM(Pulse Width Modulation)制御する駆動回路6が車輪3ごとに設置されている。
図2に示すように、車輪3を懸架するサスペンション装置4は、車体1にナックル5を上下動自在に支持するサスペンションアーム43と、サスペンションアーム43および車体1を接続する可変減衰力のダンパ20と、サスペンションアーム43またはダンパ20のシリンダ21と車体1とを接続するコイルスプリング41とを備える。
ダンパ20の減衰力を制御するECU7には、横Gセンサ10(図1参照)からの信号と、ヨーレートセンサ11(図1参照)からの信号と、バネ上Gセンサ12からの信号と、変位量センサ13からの信号と、車速センサ14(図1参照)からの信号が入力される。
図3に示すように、ダンパ20は、下端がサスペンションアーム43(図2参照)に接続されたシリンダ21と、シリンダ21内壁に摺動自在に嵌合するピストン22と、ピストン22から上方に延びてシリンダ21の上壁を液密に貫通し、上端がサポートプレート29を介して車体1(図2参照)に接続されたピストンロッド23と、シリンダ21の下部内壁に摺動自在に嵌合するフリーピストン24とを備えている。シリンダ21の内部には、ピストン22により仕切られた上側の第1流体室25および下側の第2流体室26が区画されるとともに、フリーピストン24の下部に圧縮ガスが封入されたガス室27が区画される。
ピストン22の内部には、周方向に沿ってコイル28が設けられており、そのコイル28への給電線35は、ピストンロッド23の中心部に設けられた図示しない中空部を経て上端から車体1(図2参照)へ配線され、ECU7から出力されるPWM制御指令値が駆動回路6(図2参照)に入力され、駆動回路6により前記給電線35を通じてコイル28への通電が制御される。コイル28に通電されると矢印で示すように磁束が発生し、流体通路22a…を通過する磁束により磁気粘性流体の粘性が変化する。
さらに、ピストン22が下降してシリンダ21内に収納されるピストンロッド23の容積が増加したとき、その容積の増加分を吸収するようにフリーピストン24が下降する。
また、ピストンロッド23の上端側には、ピストンロッド23に固定され、車体1(図2参照)側に支持された弾性体で構成されたバウンドストッパ31が設けられ、サスペンション装置4がフルバンプしたとき(最大圧縮状態になったとき)に、ダンパ20のシリンダ21の上端面と車体1側との間の衝突による衝撃を緩和する。同様に、サスペンション装置4がフルリバウンドしたとき(最大伸長状態になったとき)に、ダンパ20のシリンダ21の上端下面とピストン22の上端面との間の衝突による衝撃を緩和するため、シリンダ21の上端下面に弾性体で構成されたリバウンドストッパ33が設けられている。
次に、減衰力可変ダンパの制御装置について説明する。図4は、減衰力可変ダンパの制御装置のハード的な概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、ECU7は、図示省略のCPU、ROM、RAM、不揮発メモリ、入出力インタフェース、各種ドライバ等を含むマイクロコンピュータ7aや、マイクロコンピュータ7aの入出力インタフェースに接続する入力インタフェース回路7b、出力インタフェース回路7cから構成されている。入力インタフェース回路7bには、フィルタ処理回路やA/D変換器等が含まれる。
参照)、変位量センサ13fl,13fr,13rl,13rrで検出したサスペンション装置4のストローク変位yfl,yfr,yrl,yrr(図5参照)、車速センサ14で検出した車速V(図5参照)にもとづいて、各車輪3fl,3fr,3rl,3rrの合計4個のダンパ20fl,20fr,20rl,20rrの減衰力を制御するためのPWM制御用の目標電流値を設定して駆動回路6fl,6fr,6rl,6rrに出力する。このとき、ECU7は、路面の凹凸を乗り越える際の車両の動揺を抑えて乗り心地を高めるスカイフック制御と、路面の凹凸を乗り越える際にダンパ20fl,20fr,20rl,20rrがフルバンプ(最大圧縮状態)や、フルリバウンド(最大伸長状態)となり、ショック音を発生しないようにダンパ20fl,20fr,20rl,20rrのフルストローク変位を抑制する衝突防止制御(以下、「フルバンプ・フルリバウンド抑制制御」と称する)を選択的に実行して、PWM制御用の目標電流値を設定して駆動回路6fl,6fr,6rl,6rrに出力する。
駆動回路6fl,6fr,6rl,6rrは、PWM制御用の目標電流値をECU7から入力されて、直流電流値をPWM制御してダンパ20fl,20fr,20rl,20rrの減衰力を個別に制御する。
次に、ECU7に含まれるマイクロコンピュータ7aにおいて、ROMに格納されたプログラムや不揮発メモリに格納された定数や、制御用のマップデータを用いて前記したスカイフック制御とフルバンプ・フルリバウンド抑制制御について、図5から図17を参照して説明する。
図5は、減衰力可変ダンパの制御装置の機能ブロック図であり、図6は、図5における目標電流値制限演算部の詳細な機能ブロック図である。図7は、サスペンションモデルの説明図であり、図8は、スカイフック制御における目標減衰力マップの説明図であり、図9は、スカイフック制御の説明図である。
中、xfl″,xfr″,xrl″,xrr″と表示)、変位量センサ13(図5中、13fl,
13fr,13rl,13rrと表示)で検出したサスペンション装置4のストローク変位y(図5中、yfl,yfr,yrl,yrrと表示)、車速センサ14で検出した車速Vが入力される。
以下、ストローク変位yは、変位量yと称する。ここで、変位量yが請求項に記載の「伸縮状態量」に対応する。
変位量センサ13が出力する変位量yは、図7におけるバネ上質量19に対応する車体1(図2参照)の、図7におけるバネ下質量18に対応する車輪3およびサスペンションアーム43(図2参照)に対する上下方向の距離Lの基準値L0からの相対的な変位量である。ただし、この相対的な変位量yは、正値のとき基準値L0からの増加量(ダンパ20の伸び側)を表し、負値のとき基準値L0からの減少量(ダンパ20の縮み側)を表す。
図7に示すサスペンション装置4のモデルから明らかなように、路面にタイヤ2の仮想的なバネ17を介してバネ下質量18が接続され、バネ下質量18にダンパ20およびコイルスプリング41を介してバネ上質量19が接続される。ダンパ20の減衰力はコイル28(図3参照)への通電により可変である。
さらに、ECU7は、機能構成部として、図示省略の旋回姿勢制御部を含んでいる。
変位量初期値取得部71(図5中、71fl,71fr,71rl,71rrと表示)は、車速センサ14からの車速Vの信号にもとづいて、車両100が停止状態の間、各サスペンション装置4の変位量yを周期的に読み込み、変位量yの移動平均値〈y〉を算出し、車両100が走行開始を検出したとき、最後の移動平均値〈y〉を変位量yの初期値(初期変位量とも称する)y0(図5中、y0fl,y0fr,y0rl,y0rrと表示)として不揮発メモリに記憶させ、スカイフック制御部73(図5中、73fl,73fr,73rl,73rrと表示)、衝突防止制御部77に含まれる後記する衝突防止目標電流設定部81(図5中、81fl,81fr,81rl,81rrと表示)および補正部85(図5中、85fl,85fr,85rl,85rrと表示)において、不揮発メモリから初期値(初期変位量)y0を読み出して用いられる。
また、初期値y0の値がゼロから負方向に変化した場合は、そのサスペンション装置4にかかるバネ上質量19(図7参照)が増加したことを意味し、ダンパ20がフルバンプやフルリバウンドをしないようにダンパ20の減衰力を設定する場合に、バネ上質量19が増加をしたことを補正部85において反映させる補正のときにも使用する。
各スカイフック制御部73は、対応するバネ上Gセンサ12および対応する変位量センサ13から上下加速度x″および変位量yを読みこみ、変位量yを初期変位量y0で補正(y=y−y0)し、上下加速度x″を時間積分することにより、車体1の局所的な上下方向の絶対速度x′を計算するとともに、前記補正された変位量yを時間微分することにより車体1の車輪3およびサスペンションアーム43に対する上下方向の相対速度y′を計算する。そして、次に、スカイフック制御部73は、絶対速度x′を相対速度y′で除算して速度比x′/y′を計算する。この速度比x′/y′の計算後、前記したROMに記憶格納された目標減衰力マップ73a(図8参照)を参照して、速度比x′/y′に対応する目標電流値IT(1)(図5中、ITfl(1),ITfr(1),ITrl(1),ITrr(1)と表示)を決定し、目標電流値IT(1)を、対応する出力制御部89(図5中、89fl,89fr,89rl,89rrと表示)に入力する。また、スカイフック制御部73は、初期変位量y0で補正された変位量y、相対速度y′を4輪ダンパ伸縮状態判定部75人力するとともに、対応する衝突防止目標電流設定部81(図5中、81fl,81fr,81rl,81rrと表示)にも入力する。
したがって、目標電流値IT(1)は、図9に示すように、絶対速度x′および相対速度y′の正負の符号が同じでそれらの方向が一致しているとき(車体1(ばね上質量19)の振動が制振状態にあるとき)、急激に立ち上がってその後に徐々に減少する値となり、また、絶対速度x′および相対速度y′の正負の符号が異なってそれらの方向が不一致であるとき(車体1(ばね上質量19)の振動が加振状態にあるとき)、例えば、ゼロとなる。
次に、図5に再び戻って、4輪ダンパ伸縮状態判定部75について説明する。
4輪ダンパ伸縮状態判定部75は、スカイフック制御部73fl,73fr,73rl,73rrから、変位量yflと相対速度yfl′の対のデータ、変位量yfrと相対速度yfr′の対のデータ、変位量yrlと相対速度yrl′の対のデータ、変位量yrrと相対速度yrr′の対のデータを入力され、サスペンション装置4fl,4fr,4rl,4rrの伸縮状態を監視し、また、横Gセンサ10から入力される横加速度aSと、ヨーレートセンサ11から入力されるヨーレートγと、車速センサ14から入力される車速Vを監視する。
そして、前記したy1は、所定の正値であり、ダンパ20が伸び方向の動作中に、フルリバウンドとなる前にダンパ20の減衰力で衝突を防止可能な変位量の値であり、予め試験等により設定されて、ROMに記憶された値である。同様に、前記したy2は、所定の負値であり、ダンパ20が縮み方向の動作中に、フルバンプとなる前にダンパ20の減衰力で衝突を防止可能な変位量の値であり、予め試験等により設定されて、ROMに記憶された値である。
次に、衝突防止制御部77について詳細に説明する。
衝突防止制御部77は、各ダンパ20fl,20fr,20rl,20rrに対応して設けられる機能構成部である、フルストローク抑制目標減衰力設定部(フルストローク抑制減衰力設定手段)82fl,82fr,82rl,82rr、目標電流値制限演算部(減衰力規制手段)87、並びに、出力制御部89fl,89fr,89rl,89rrを含んで構成されている。
フルストローク抑制目標減衰力設定部82flは、衝突防止目標電流設定部81flおよび補正部85flを含んで構成されており、衝突防止目標電流設定部81flは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75からの左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御、または、前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御の指示にしたがって、変位量yfl、初期値y0fl、相対速度yfl′にもとづいて、フルストローク抑制目標減衰力マップ83を参照してフルストローク抑制のための(フルバンプやフルリバウンドに至らないような)目標減衰力をダンパ20に発揮させる衝突防止目標電流値ITfl(2)を設定して補正部85flに出力する。
このフルストローク抑制目標減衰力マップ83は、変位量(yfl+y0fl)がフルバンプまたはフルリバウンドに近いほど衝突防止目標電流値ITfl(2)を大きく、また、相対速度yfl′の絶対値が大きいほど衝突防止目標電流値ITfl(2)を大きく設定する。
前記したように、初期値y0flがゼロよりも大きいときは、ダンパ20flのバネ上質量19が、基準より軽いことを意味し、補正部85flは、衝突防止目標電流値ITfl(2)を小さくするように補正して衝突防止目標電流値ITfl(3)とする。逆に、初期値y0flがゼロよりも小さいときは、ダンパ20flのバネ上質量19が、基準より重いことを意味し、補正部85flは、衝突防止目標電流値ITfl(2)を大きくするように補正して目標電流値ITfl(3)とする。
フルストローク抑制目標減衰力設定部82frは、衝突防止目標電流設定部81frおよび補正部85frを含んで構成され、フルストローク抑制目標減衰力設定部82rlは、衝突防止目標電流設定部81rlおよび補正部85rlを含んで構成され、フルストローク抑制目標減衰力設定部82rrは、衝突防止目標電流設定部81rrおよび補正部85rrを含んで構成され、それぞれの機能は前記したフルストローク抑制目標減衰力設定部82flと同様であり、重複する説明を省略する。
ちなみに、フルストローク抑制目標減衰力設定部82fr,82rl,82rr、その中に含まれる衝突防止目標電流設定部81fr,81rl,81rr、補正部85fr,85rl,85rr、に対しては、前記フルストローク抑制目標減衰力設定部82fl、衝突防止目標電流設定部81flおよび補正部85flの説明中の、「変位量yfl」、「初期値y0fl」、「相対速度yfl′」、「衝突防止目標電流値ITfl(2)」、「衝突防止目標電流値ITfl(3)」、「ダンパ20fl」の左前輪を示す符号flの代わりに、右前輪を示す符号fr、左後輪を示す符号rl、右後輪を示す符号rrに読み替えればよい。
ここで、衝突防止目標電流値ITfl(3),ITfr(3),ITrl(3),ITrr(3)が、請求項に記載の「フルストローク抑制目標減衰力」に相当する。
ここで、変位量(y+y0)は、変位量(yfl+y0fl),(yfr+y0fr),(yrl+y0rl),(yrr+y0rr)を総称した表示であり、相対速度y′は、相対速度yfl′,yfr′,yrl′,yrr′を総称した表示であり、衝突防止目標電流値IT(2)は、衝突防止目標電流値ITfl(2),ITfr(2),ITrl(2),ITrr(2)(図6参照)を総称した表示である。
次に、目標電流値制限演算部87の詳細な構成について図6を参照しながら説明する。目標電流値制限演算部87は、左右前輪電流制限演算部110Aおよび左右後輪電流制限演算部110B、並びに、左側前後輪電流制限演算部113Aおよび右側前後輪電流制限演算部113Bの4つから構成されている。
そして、ダイナミックリミッタ107flは、動的上限電流値IDLfl(2)(第3の上限値)以下に規制された目標電流値ITAfl(4)を出力制御部89flに、ダイナミックリミッタ107frは、動的上限電流値IDLfr(2)(第3の上限値)以下に規制された目標電流値ITAfr(4)を出力制御部89frに出力する。
ここで、前記した「補正部85flから入力された衝突防止目標電流値ITfl(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」および「補正部85frから入力された衝突防止目標電流値ITfr(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」の「1.5A」は、請求項に記載の「前記合計の最大値の半分」の値に対応し、前記した「対のダンパ20fl,20frに対する目標電流値の合計の最大値を意味する所定上限電流値(第2の上限値)」が、請求項に記載の「前記対となるダンパのうちの一方のダンパと他方のダンパで発生させるフルストローク抑制目標減衰力の合計の最大値」に対応する。
ここで、「補正部85rlから入力された衝突防止目標電流値ITrl(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」および「補正部85rrから入力された衝突防止目標電流値ITrr(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」の「1.5A」は、請求項に記載の「前記合計の最大値の半分」の値に対応し、「対のダンパ20rl,20rrに対する目標電流値の合計の最大値を意味する所定上限電流値(第2の上限値)」が、請求項に記載の「前記対となるダンパのうちの一方のダンパと他方のダンパで発生させるフルストローク抑制目標減衰力の合計の最大値」に対応する。
そして、ダイナミックリミッタ108flは、動的上限電流値IDLfl(2)(第3の上限値)以下に規制された目標電流値ITBfl(4)を出力制御部89flに、ダイナミックリミッタ108rlは、動的上限電流値IDLrl(2)(第3の上限値)以下に規制された目標電流値ITBrl(4)を出力制御部89rlに出力する。
ここで、前記した「補正部85flから入力された衝突防止目標電流値ITfl(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」および「補正部85rlから入力された衝突防止目標電流値ITrl(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」の「1.5A」は、請求項に記載の「前記合計の最大値の半分」の値に対応し、前記した「対のダンパ20fl,20rlに対する目標電流値の合計の最大値を意味する所定上限電流値(第2の上限値)」が、請求項に記載の「前記対となるダンパのうちの一方のダンパと他方のダンパで発生させるフルストローク抑制目標減衰力の合計の最大値」に対応する。
ここで、「補正部85frから入力された衝突防止目標電流値ITfr(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」および「補正部85rrから入力された衝突防止目標電流値ITrr(3)を所定値(第1の上限値)、例えば、1.5A以下に規制」の「1.5A」は、請求項に記載の「前記合計の最大値の半分」の値に対応し、「対のダンパ20fr,20rrに対する目標電流値の合計の最大値を意味する所定上限電流値(第2の上限値)」が、請求項に記載の「前記対となるダンパのうちの一方のダンパと他方のダンパで発生させるフルストローク抑制目標減衰力の合計の最大値」に対応する。
ちなみに、4輪ダンパ伸縮状態判定部75が左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御、または、前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御の指示を、フルストローク抑制目標減衰力設定部82fl,82fr,82rl,82rrに出さない場合は、衝突防止目標電流値ITfl(3),ITfr(3),ITrl(3),ITrr(3)が全てゼロなので、目標電流値制限演算部87から出力される目標電流値ITAfl(4),ITAfr(4),ITArl(4),ITArr(4)も目標電流値ITBfl(4),ITBfr(4),ITBrl(4),ITBrr(4)も全てゼロとなる。
次に、図6を参照しながら適宜図5を参照して出力制御部89fl,89fr,89rl,89rrの機能について説明する。
各ダンパ20(図5中、20fl,20fr,20rl,20rrと表示)に対応する出力制御部89(図6中、89fl,89fr,89rl,89rrと表示)には、同じく対応するスカイフック制御部73(図5中、73fl,73fr,73rl,73rrと表示)からの対応する目標電流値IT(1)(図6中、ITfl(1),ITfr(1),ITrl(1),ITrr(1)と表示)、目標電流値制限演算部87からの対応する目標電流値ITA(4)(図6中、ITAfl(4),ITAfr(4),ITArl(4),ITArr(4)と表示)、または、対応する目標電流値ITB(4)(図6中、ITBfl(4),ITBfr(4),ITBrl(4),ITBrr(4)と表示)の他に、図5において図示省略の旋回姿勢制御部からの対応する目標電流値IT(5)(図6中、ITfl(5),ITfr(5),ITrl(5),ITrr(5)と表示)が入力される。
また、各出力制御部89は、4輪ダンパ伸縮状態判定部75からの左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御の指示を受けたときは、スカイフック制御部73から入力される目標電流値IT(1)(図6中、ITfl(1),ITfr(1),ITrl(1),ITrr(1)と表示)と、目標電流値制限演算部87から入力される目標電流値ITAfl(4)(図6参照、図6中、ITAfl(4),ITAfr(4),ITArl(4),ITArr(4)と表示)とのうちの大きい値の目標電流値を駆動回路6fl,6fr,6rl,6rrに出力させる。
次に、図10、図11を参照しながら適宜図1、図4、図5、図6、図8を参照してダンパの減衰力制御の全体の流れについて説明する。図10、図11は、減衰力可変ダンパの制御装置における減衰力制御の流れを示す全体フローチャートである。
全体フローチャートの制御は、マイクロコンピュータ7a(図4参照)において一定の周期でなされ、ステップS01〜S05は、変位量初期値取得部71(図5参照、図5中、71fl,71fr,71rl,71rrと表示)において処理され、ステップS06〜S11は、スカイフック制御部73(図5参照、図5中、73fl,73fr,73rl,73rrと表示)で処理され、ステップS12,S14,S15は、4輪ダンパ伸縮状態判定部75において処理され、ステップS13は、図5において図示省略の旋回姿勢制御部において処理され、ステップS16,S17は、衝突防止制御部77において処理される。
最初は、車両100が停止しているので、ステップS02へ進む。
ステップS02では、変位量初期値取得部71が、車両100が停止中の変位量センサ13(図5参照、図5中、13fl,13fr,13rl,13rrと表示)の変位量yを示す信号を読み込む{「y0の読み込み(y0fl,y0fr,y0rl,y0rr)」}。次いで、変位量初期値取得部71が、ステップS02で車両100が停止中に、繰り返し読み込んだ変位量yの移動平均を算出する{「y0の移動平均算出(〈y0fl〉,〈y0fr〉,〈y0rl〉,〈y0rr〉)」}。
このステップS02,S03は、各車輪3のダンパ20の変位量yの初期値(初期変位量)y0の読み込みと、停車中の乗員の乗り降りや荷物の搭載または荷下ろしによるダンパ20の変位量yの時間変化中の移動平均を取って、最終的に乗員の乗り降りや荷物の搭載または荷下ろしが完了した状態での初期変位量y0の移動平均を算出することを目的とする。
ステップS05では、変位量初期値取得部71が、マイクロコンピュータ7a(図4参照)に内蔵の図示省略の不揮発メモリ、例えば、フラッシュメモリに変位量yの初期値y0を記憶させる{「(y0fl=〈y0fl〉,y0fr=〈y0fr〉,y0rl=〈y0rl〉,y0rr=〈y0rr〉)」}。
この変位量yの初期値y0で補正された変位量yが、負のとき各サスペンション装置4のダンパ20への現在の荷重状態におけるダンパ20の縮み状態を意味し、補正された変位量yが、正のとき各サスペンション装置4のダンパ20への現在の荷重状態におけるダンパ20の伸び状態を意味する。
ステップS08では、スカイフック制御部73が、バネ上質量の上下加速度x″からバネ上質量の絶対速度x′を算出する{「(xfl′=∫xfl″dt,xfr′=∫xfr″dt,xrl′=∫xrl″dt,xrr′=∫xrr″dt)」}。
ステップS09では、スカイフック制御部73が、ステップS07で補正された変位量yから相対速度y′を算出する{「(yfl′=dyfl/dt,yfr′=dyfr/dt,yrl′=dyrl/dt,yrr′=dyrr/dt)」}。算出された相対速度y′は、4輪ダンパ伸縮状態判定部75および衝突防止目標電流設定部81(図5参照、図5中、81fl,81fr,81rl,81rrと表示)に入力される。ステップS09の後、連結子(A)にしたがって図11のステップS10に進む。
ステップS11では、スカイフック制御部73が、目標減衰力マップ73a(図5、図8参照)を参照して、速度比x′/y′に対応する目標減衰力をダンパ20に発生させるための目標電流値IT(1)を設定する{目標減衰力マップを参照して、速度比x′/y′に対応する目標電流値を設定する(ITfl(1),ITfr(1),ITrl(1),ITrr(1))}。そして、各出力制御部89(図5、図6参照、図5、図6中、89fl,89fr,89rl,89rrと表示)に各目標電流値IT(1)(図5、図6参照、図5、図6中、ITfl(1),ITfr(1),ITrl(1),ITrr(1)と表示)を入力する。
ステップS13では、図5において図示省略の旋回姿勢制御部において、横加速度aSまたはヨーレートγに応じて各ダンパ20に対する目標電流値IT(5)(図6参照、図6中、ITfl(5),ITfr(5),ITrl(5),ITrr(5)と表示)を設定し、衝突防止制御部77(図5参照)に含まれる各出力制御部89(図5、図6参照、図5、図6中、89fl,89fr,89rl,89rrと表示)に入力する。そして、各出力制御部89において、4輪ダンパ伸縮状態判定部75からの旋回姿勢制御の指示を受けて、ステップS11においてスカイフック制御部73(図5参照、図5中、73fl,73fr,73rl,73rrと表示)から入力される各目標電流値IT(1)(図6参照、図6中、ITfl(1),ITfr(1),ITrl(1),ITrr(1)と表示)の代わりに、前記旋回姿勢制御部から入力される各目標電流値IT(5)を各駆動回路6(図6中、6fl,6fr,6rl,6rrと表示)に出力する。
そして、一連の繰り返し処理が一通り終わり、一連の繰り返し処理の最初のステップであるステップS01に戻る。
そして、一連の繰り返し処理の最初のステップであるステップS01に戻る。
ここで、「所定値以上の同一方向の伸縮」における、「所定値」は、y1>y3>0を満たすy3と、y2<y4<0を満たすy4の両方の閾値を意味している。
ステップS17では、衝突防止制御部77において、前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御を行う。前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御の詳細な説明は、図15から図17に示す前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御のフローチャートの説明において行う。
次に、図12から図14を参照しながら、適宜図1、図5、図6を参照して左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御について説明する。図12から図14は、4輪ダンパ伸縮状態判定部および衝突防止制御部における左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御の流れを示すフローチャートである。
ここでは全体フローチャートのステップS14において車両100の進行方向が前進状態で、ステップS14の条件を満たす進行方向の車輪が左右の前輪3fl,3fr(図1参照)のいずれかである場合を例に説明する。
ステップS22では、4輪ダンパ伸縮状態判定部75が、左右の前輪3fl,3frにおいて、それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負か否かをチェックする{「(yfl×yfl′<0かつyfr×yfr′<0)」}。それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負の場合(Yes)は、連結子(C)にしたがって、ステップS30へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS23へ進む。
ステップS21,S22においてステップS30へ進んだ場合は、左右の前輪3fl,3frにおいて左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御が終了したことを意味し、4輪ダンパ伸縮状態判定部75は、左右の前輪3fl,3frのダンパ20fl,20frには、フルバンプ・フルリバウンド抑制制御を止めさせ、フルストローク抑制目標減衰力設定部82fl,82fr(図5参照)に衝突防止目標電流値ITfl(3),ITfr(3)をゼロと設定させ、目標電流値制限演算部87(図5参照)から出力制御部89fl,89fr(図5参照)に目標電流値ITAfl(4),ITAfr(4)としてゼロを出力させ、出力制御部89fl,89frにスカイフック制御部73fl,73frから入力された目標電流値ITfl(1),ITfr(1)を選択させて駆動回路6fl,6fr(図5参照)に出力させる。
つまり、左右の前輪3fl,3frのダンパ20fl,20fr(図5参照)は、通常のスカイフック制御に戻る。
ステップS25では、フルストローク抑制目標減衰力設定部82frの衝突防止目標電流設定部81fr(図5参照)が、右前輪3frの変位量(yfr+y0fr)、相対速度yfr′にもとづいて、ダンパ20frの衝突防止目標電流値ITfr(2)を設定し、補正部85fr(図5参照)に出力する。ステップS26では、補正部85frが、右前輪3frの初期変位量y0frにもとづいて、補正係数を算出し、ダンパ20frの衝突防止目標電流値ITfr(2)を補正し、衝突防止目標電流値ITfr(3)を目標電流値制限演算部87の左右前輪電流制限演算部110Aに出力する。
ステップS28では、減算部103fl,103frが、それぞれの対合計電流上限設定部105fl,105frから入力される左右輪対合計の所定上限電流値、例えば、3.0Aから、ステップS27でリミッタ101fl,101frから入力された動的上限電流値算出用電流値IDLfr(1),IDLfl(1)を減じて、動的上限電流値IDLfr(2),IDLfl(2)を、ダイナミックリミッタ107fr,107flそれぞれに出力する。
具体的には、ダイナミックリミッタ107flは、目標電流値ITAfl(4)として、衝突防止目標電流値ITfl(3)が動的上限電流値IDLfl(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLfl(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITfl(3)が動的上限電流値IDLfl(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITfl(3)の値のままとして、出力制御部89flに出力する。そして、出力制御部89flは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITAfl(4)を選択して駆動回路6flに出力する。
同様に、ダイナミックリミッタ107frは、目標電流値ITAfr(4)として、衝突防止目標電流値ITfr(3)が動的上限電流値IDLfr(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLfr(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITfr(3)が動的上限電流値IDLfr(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITfr(3)の値のままとして、出力制御部89frに出力する。そして、出力制御部89frは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITAfr(4)を選択して駆動回路6frに出力する。
その後、連結子(D)にしたがってステップS30へ進む。
ステップS32では、4輪ダンパ伸縮状態判定部75が、左右の後輪3rl,3rrにおいて、それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負か否かをチェックする{「(yrl×yrl′<0かつyrr×yrr′<0)」}。それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負の場合(Yes)は、連結子(F)にしたがって、一連の左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御を終了し、そうでない場合(No)は、ステップS33へ進む。
ステップS31,S32において一連の左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御を終了した場合は、4輪ダンパ伸縮状態判定部75は、左右の後輪3rl,3rrのダンパ20rl,20rrには、フルバンプ・フルリバウンド抑制制御を止めさせ、フルストローク抑制目標減衰力設定部82rl,82rr(図5参照)に衝突防止目標電流値ITrl(3),ITrr(3)をゼロと設定させ、目標電流値制限演算部87(図5参照)から出力制御部89rl,89rr(図5参照)に目標電流値ITArl(4),ITArr(4)としてゼロを出力させ、出力制御部89rl,89rrにスカイフック制御部73rl,73rrから入力された目標電流値ITrl(1),ITrr(1)を選択させて駆動回路6rl,6rr(図5参照)に出力させる。
つまり、左右の後輪3rl,3rrのダンパ20rl,20rr(図5参照)は、通常のスカイフック制御に戻る。
ステップS35では、フルストローク抑制目標減衰力設定部82rrの衝突防止目標電流設定部81rr(図5参照)が、右後輪3rrの変位量(yrr+y0rr)、相対速度yrr′にもとづいて、ダンパ20rrの衝突防止目標電流値ITrr(2)を設定し、補正部85rr(図5参照)に出力する。ステップS36では、補正部85rrが、右後輪3rrの初期変位量y0rrにもとづいて、補正係数を算出し、ダンパ20rrの衝突防止目標電流値ITrr(2)を補正し、衝突防止目標電流値ITrr(3)を目標電流値制限演算部87の左右後輪電流制限演算部110Bに出力する。
具体的には、ダイナミックリミッタ107rlは、目標電流値ITArl(4)として、衝突防止目標電流値ITrl(3)が動的上限電流値IDLrl(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLrl(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITrl(3)が動的上限電流値IDLrl(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITrl(3)の値のままとして、出力制御部89rlに出力する。そして、出力制御部89rlは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITArl(4)を選択して駆動回路6rlに出力する。
同様に、ダイナミックリミッタ107rrは、目標電流値ITArr(4)として、衝突防止目標電流値ITrr(3)が動的上限電流値IDLrr(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLrr(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITrr(3)が動的上限電流値IDLrr(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITrr(3)の値のままとして、出力制御部89rrに出力する。そして、出力制御部89rrは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITArr(4)を選択して駆動回路6rrに出力する。
その後、連結子(E)にしたがってステップS21戻り、左右輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御を繰り返す。
次に、図15から図17を参照しながら、適宜図1、図5、図6を参照して前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御について説明する。図15から図17は、4輪ダンパ伸縮状態判定部および衝突防止制御部における前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御の流れを示すフローチャートである。
ステップS52では、4輪ダンパ伸縮状態判定部75が、左の前後輪3fl,3rlにおいて、それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負か否かをチェックする{「(yfl×yfl′<0かつyrl×yrl′<0)」}。それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負の場合(Yes)は、連結子(H)にしたがって、ステップS60へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS53へ進む。
ステップS51,S52においてステップS60へ進んだ場合は、左の前後輪3fl,3rlにおいて左の前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御が終了したことを意味し、4輪ダンパ伸縮状態判定部75は、左の前後輪3fl,3rlのダンパ20fl,20rlには、フルバンプ・フルリバウンド抑制制御を止めさせ、フルストローク抑制目標減衰力設定部82fl,82rl(図5参照)に衝突防止目標電流値ITfl(3),ITrl(3)をゼロと設定させ、目標電流値制限演算部87(図5参照)から出力制御部89fl,89rl(図5参照)に目標電流値ITAfl(4),ITArl(4)としてゼロを出力させ、出力制御部89fl,89rlにスカイフック制御部73fl,73rlから入力された目標電流値ITfl(1),ITrl(1)を選択させて駆動回路6fl,6rl(図5参照)に出力させる。
つまり、左の前後輪3fl,3rlのダンパ20fl,20rl(図5参照)は、通常のスカイフック制御に戻る。
ステップS55では、フルストローク抑制目標減衰力設定部82rlの衝突防止目標電流設定部81rl(図5参照)が、左後輪3rlの変位量(yrl+y0rl)、相対速度yrl′にもとづいて、ダンパ20rlの衝突防止目標電流値ITrl(2)を設定し、補正部85rl(図5参照)に出力する。ステップS56では、補正部85rlが、左後輪3rlの初期変位量y0rlにもとづいて、補正係数を算出し、ダンパ20rlの衝突防止目標電流値ITrl(2)を補正し、衝突防止目標電流値ITrl(3)を目標電流値制限演算部87の左側前後輪電流制限演算部113Aに出力する。
ステップS58では、減算部104fl,104rlが、それぞれの対合計電流上限設定部106fl,106rlから入力される左右輪対合計の所定上限電流値、例えば、3.0Aから、ステップS57でリミッタ102fl,102rlから入力された動的上限電流値算出用電流値IDLrl(1),IDLfl(1)を減じて、動的上限電流値IDLrl(2),IDLfl(2)を、ダイナミックリミッタ108rl,108flそれぞれに出力する。
具体的には、ダイナミックリミッタ108flは、目標電流値ITBfl(4)として、衝突防止目標電流値ITfl(3)が動的上限電流値IDLfl(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLfl(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITfl(3)が動的上限電流値IDLfl(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITfl(3)の値のままとして、出力制御部89flに出力する。そして、出力制御部89flは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITBfl(4)を選択して駆動回路6flに出力する。
同様に、ダイナミックリミッタ108rlは、目標電流値ITBrl(4)として、衝突防止目標電流値ITrl(3)が動的上限電流値IDLrl(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLrl(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITrl(3)が動的上限電流値IDLrl(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITrl(3)の値のままとして、出力制御部89rlに出力する。そして、出力制御部89rlは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITBrl(4)を選択して駆動回路6rlに出力する。
その後、連結子(I)にしたがってステップS60へ進む。
ステップS62では、4輪ダンパ伸縮状態判定部75が、右の前後輪3fr,3rrにおいて、それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負か否かをチェックする{「(yfr×yfr′<0かつyrr×yrr′<0)」}。それぞれの変位量yと相対速度y′との積が負の場合(Yes)は、連結子(K)にしたがって、一連の前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御を終了し、そうでない場合(No)は、ステップS63へ進む。
ステップS61,S62において一連の前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御を終了した場合は、4輪ダンパ伸縮状態判定部75は、右の前後輪3fr,3rrのダンパ20fr,20rrには、フルバンプ・フルリバウンド抑制制御を止めさせ、フルストローク抑制目標減衰力設定部82fr,82rr(図5参照)に衝突防止目標電流値ITfr(3),ITrr(3)をゼロと設定させ、目標電流値制限演算部87(図5参照)から出力制御部89fr,89rr(図5参照)に目標電流値ITBfr(4),ITBrr(4)としてゼロを出力させ、出力制御部89fr,89rrにスカイフック制御部73fr,73rrから入力された目標電流値ITfr(1),ITrr(1)を選択させて駆動回路6fr,6rr(図5参照)に出力させる。
つまり、右の前後輪3fr,3rrのダンパ20fr,20rr(図5参照)は、通常のスカイフック制御に戻る。
ステップS65では、フルストローク抑制目標減衰力設定部82rrの衝突防止目標電流設定部81rr(図5参照)が、右後輪3rrの変位量(yrr+y0rr)、相対速度yrr′にもとづいて、ダンパ20rrの衝突防止目標電流値ITrr(2)を設定し、補正部85rr(図5参照)に出力する。ステップS66では、補正部85rrが、右後輪3rrの初期変位量y0rrにもとづいて、補正係数を算出し、ダンパ20rrの衝突防止目標電流値ITrr(2)を補正し、衝突防止目標電流値ITrr(3)を目標電流値制限演算部87の右側前後輪電流制限演算部113Bに出力する。
具体的には、ダイナミックリミッタ108frは、目標電流値ITBfr(4)として、衝突防止目標電流値ITfr(3)が動的上限電流値IDLfr(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLfr(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITfr(3)が動的上限電流値IDLfr(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITfr(3)の値のままとして、出力制御部89frに出力する。そして、出力制御部89frは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITBfr(4)を選択して駆動回路6frに出力する。
同様に、ダイナミックリミッタ108rrは、目標電流値ITBrr(4)として、衝突防止目標電流値ITrr(3)が動的上限電流値IDLrr(2)以上の場合には、動的上限電流値IDLrr(2)の値とし、衝突防止目標電流値ITrr(3)が動的上限電流値IDLrr(2)未満の場合は、衝突防止目標電流値ITrr(3)の値のままとして、出力制御部89rrに出力する。そして、出力制御部89rrは、4輪ダンパ伸縮状態判定部75に制御されて、目標電流値ITBrr(4)を選択して駆動回路6rrに出力する。
その後、連結子(M)にしたがってステップS51戻り、前後輪対のフルバンプ・フルリバウンド抑制制御を繰り返す。
図18の(a)は、左右の前輪が略同時に段差に落ち込み、左右輪対のフルリバウンドを防止する制御に入った場合の説明図、(b)は、左右の前輪のうち左前輪だけが大きな窪みに落ち込み、右前輪は小さな窪みに落ち込んだ場合の、前輪の左右輪対のフルリバウンドを防止する制御に入った場合の説明図である。
図19は、左右の前輪が略同時に段差に落ち込み、左右輪対のフルリバウンドを防止する制御に入った場合の説明図であり、図20は、左右の前輪のうち左前輪だけが大きな窪みに落ち込み、右前輪は小さな窪みに落ち込んだ場合の、前輪の左右輪対のフルリバウンドを防止する制御に入った場合の説明図である。
ここで、左右前輪3fl,3frのダンパ20fl,20frに各1.5Aの電流を流せば、ダンパ20fl,20frの減衰力で十分フルリバウンド状態を発生させないようにでき、かつ、その後の前部車体の荷重の沈み込みをダンパ20fl,20frで吸収してフルバンプ状態に到らないように支持できる値である。
図19に示すように、リミッタ101fl,10frは、例えば、フルストローク抑制目標減衰力設定部82fl,82frから入力される衝突防止目標電流値ITfl(3)=2.8A,ITfr(3)=2.0Aを1.5A以下に制限し、それぞれ、動的上限電流値算出用電流値IDLfr(1)=1.5A,IDLfl(1)=1.5Aとして減算部103fl,103frに入力する。
対合計電流上限設定部105fl,10frは、所定上限電流値として3Aを減算部103fl,103frそれぞれに入力し、減算部103fl,103frにおいて、3Aから動的上限電流値算出用電流値IDLfr(1)=1.5A、IDLfl(1)=1.5Aの減算が行われ、動的上限電流値IDLfr(2),IDLfl(2)として1.5Aが、ダイナミックリミッタ107fr,107flにそれぞれ入力される。
また、ダンパ20fl,20frで車体1の前部の沈み込みを吸収するのに適した目標電流値ITAfl(4)=ITAfr(4)=1.5Aとしているので、乗員に乗り心地を硬く感じさせることを抑制できる。
図20に示すように、リミッタ101fl,10frは、例えば、フルストローク抑制目標減衰力設定部82fl,82frから入力される衝突防止目標電流値ITfl(3)=2.8A,ITfr(3)=0.5Aを1.5A以下に制限し、それぞれ、動的上限電流値算出用電流値IDLfr(1)=1.5A,IDLfl(1)=0.5Aとして減算部103fl,103frに入力する。
対合計電流上限設定部105fl,10frは、所定上限電流値として3Aを減算部103fl,103frそれぞれに入力し、減算部103fl,103frにおいて、3Aから動的上限電流値算出用電流値IDLfr(1)=1.5A、IDLfl(1)=0.5Aの減算が行われ、動的上限電流値IDLfr(2)=1.5A,IDLfl(2)=2.5Aして、ダイナミックリミッタ107fr,107flにそれぞれ入力される。
また、ダンパ20fl,20frで車体1の前部の左側に偏った沈み込みを吸収するのに目標電流値ITAfl(4)+ITAfr(4)≦3.0A(対の合計の最大値)としているので、ダンパ20fl,20frの対の減衰力制御に必要な最低限の電力で済ませることができ、結果的に燃費を改善できる。
2 タイヤ
3,3fl,3fr,3rl,3rr 車輪
4,4fl,4fr,rl,4rr サスペンション装置
5 ナックル
6,6fl,6fr,6rl,6rr 駆動回路
7 ECU(減衰力可変ダンパの制御装置)
7a マイクロコンピュータ
7b 入力インタフェース回路
7c 出力インタフェース回路
10 横Gセンサ
11 ヨーレートセンサ
12,12fl,12fr,12rl,12rr バネ上Gセンサ
13,13fl,13fr,13rl,13rr 変位量センサ(伸縮状態量取得手段)
14 車速センサ
17 バネ
20,20fl,20fr,20rl,20rr ダンパ
21 シリンダ
22 ピストン
22a 流体通路
23 ピストンロッド
24 フリーピストン
25 第1流体室
26 第2流体室
27 ガス室
28 コイル
29 サポートプレート
31 バウンドストッパ
33 リバウンドストッパ
35 給電線
41 コイルスプリング
43 サスペンションアーム
71fl,71fr,71rl,71rr 変位量初期値取得部
73fl,73fr,73rl,73rr スカイフック制御部
73a 目標減衰力マップ
75 4輪ダンパ伸縮状態判定部
77 衝突防止制御部
81fl,81fr,81rl,81rr 衝突防止目標電流設定部
82fl,82fr,82rl,82rr フルストローク抑制目標減衰力設定部(フルストローク抑制減衰力設定手段)
83 フルストローク抑制目標減衰力マップ
85fl,85fr,85rl,85rr 補正部
87 目標電流値制限演算部(減衰力規制手段)
89fl,89fr,89rl,89rr 出力制御部
100 車両
101fl,101fr,101rl,101rr,102fl,102fr,102rl,102rr リミッタ
103fl,103fr,103rl,13rr,104fl,104fr,104rl,104rr 減算部
105fl,105fr,105rl,105rr,106fl,106fr,106rl,106rr 対合計電流上限設定部
107fl,107fr,107rl,107rr,108fl,108fr,108rl,108rr ダイナミックリミッタ
110A 左右前輪電流制限演算部
110B 左右後輪電流制限演算部
113A 左側前後輪電流制限演算部
113B 右側前後輪電流制限演算部
Claims (3)
- 4輪車両に設置され、車体と各車輪との間に配置されたダンパの減衰力を可変制御する減衰力可変ダンパの制御装置であって、
前記各ダンパの伸縮状態量を取得する伸縮状態量取得手段と、
前記伸縮状態量取得手段により取得された前記伸縮状態量にもとづき、前記ダンパの最大伸長状態、もしくは、最大圧縮状態に到達しないように前記各ダンパのフルストローク抑制目標減衰力を設定するフルストローク抑制減衰力設定手段と、
前記各ダンパのうちの一つの伸縮方向と、車両の左右、または、前後で対となる他方の前記ダンパの伸縮方向が同じ場合は、前記一つのダンパに対する前記フルストローク抑制目標減衰力を、前記対となる他方のダンパの前記フルストローク抑制目標減衰力に応じて、必要なときに規制を行う減衰力規制手段と、を備え、
前記フルストローク抑制減衰力設定手段は、前記各ダンパのうちの少なくとも一つの伸縮状態量が、予め設定された第1の変位量を超えて伸び方向の動作をしている状態、または、予め設定された第2の変位量未満に縮み方向の動作をしている場合に、前記対となるダンパに対する前記フルストローク抑制目標減衰力を、前記対となるダンパの少なくとも伸縮状態量および該伸縮状態量の時間微分である相対速度に応じて、設定することを特徴とする減衰力可変ダンパの制御装置。 - 4輪車両に設置され、車体と各車輪との間に配置されたダンパの減衰力を可変制御する減衰力可変ダンパの制御装置であって、
前記各ダンパの伸縮状態量を取得する伸縮状態量取得手段と、
前記伸縮状態量取得手段により取得された前記伸縮状態量にもとづき、前記ダンパの最大伸長状態、もしくは、最大圧縮状態に到達しないように前記各ダンパのフルストローク抑制目標減衰力を設定するフルストローク抑制減衰力設定手段と、
前記各ダンパのうちの一つの伸縮方向と、車両の左右、または、前後で対となる他方の前記ダンパの伸縮方向が同じ場合は、前記一つのダンパに対する前記フルストローク抑制目標減衰力を、前記対となる他方のダンパの前記フルストローク抑制目標減衰力に応じて、必要なときに規制を行う減衰力規制手段と、を備え、
前記減衰力規制手段は、
前記対となるダンパのうちの一方のダンパと他方のダンパで発生させるフルストローク抑制目標減衰力の合計の最大値を予め設定し、
前記対となるダンパのうちの前記他方のダンパの前記フルストローク抑制減衰力設定手段により設定されたフルストローク抑制目標減衰力が、前記合計の最大値の半分未満である場合には、前記一方のダンパの前記フルストローク抑制目標減衰力の上限値を、前記合計の最大値から前記他方のダンパの前記設定されたフルストローク抑制目標減衰力を減算した値として設定し、
前記一方のダンパの前記フルストローク抑制減衰力設定手段により設定されたフルストローク抑制目標減衰力を、必要に応じて前記上限値に規制し、
前記対となるダンパのうちの前記他方のダンパの前記フルストローク抑制減衰力設定手段により設定されたフルストローク抑制目標減衰力が、前記合計の最大値の半分以上である場合には、前記一方のダンパの前記フルストローク抑制目標減衰力の上限値を、前記合計の最大値の半分の値として設定し、
前記一方のダンパの前記フルストローク抑制減衰力設定手段により設定されたフルストローク抑制目標減衰力を、必要に応じて前記上限値に規制することを特徴とする減衰力可変ダンパの制御装置。 - 前記フルストローク抑制減衰力設定手段は、前記各ダンパのうちの少なくとも一つの伸縮状態量が、予め設定された第1の変位量を超えて伸び方向の動作をしている状態、または、予め設定された第2の変位量未満に縮み方向の動作をしている場合に、前記対となるダンパに対する前記フルストローク抑制目標減衰力を、前記対となるダンパの少なくとも伸縮状態量および該伸縮状態量の時間微分である相対速度に応じて、設定することを特徴とする請求項2に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
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