JP5166795B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
また、所定差は、弁体及びこれを制御するモータ等の精密性を考慮して、今回起動時の起動時位置が、流量制御弁の正規の起動時位置であることに均しいとみなすことが可能な差に設定される。
そして、流量制御弁は凍結していると判定される間、流量制御弁は、この今回起動時の全閉の位置を制限値として制御されるので、弁体が氷を噛み込むことはなく、弁体と氷との固着は防止される。また、この弁体を作動させる駆動体(モータ等)への過剰な負荷も防止される。
このようにして、燃料電池の起動時に流量制御弁が凍結していたとしても、この凍結に対応して、流量制御弁を適切に制御することができる。
また、起動時位置検出手段が検出した起動時位置と、基準位置との差が所定差以下である場合、当該起動時位置が過去起動時位置として第2記憶手段に記憶される。そして、凍結判定手段が流量制御弁の凍結は解消したと判定した場合、流量制御弁は、第2記憶手段に記憶された過去起動時位置を制限値として制御される。
図1に示す燃料電池システム1は、図示しない燃料電池自動車(移動体)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス、反応ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)を給排するカソード系と、燃料電池スタック10及び後記するバタフライ弁32(流量制御弁)を経由するように冷媒(ラジエータ液)を循環させる冷媒循環系と、IG51(イグニッション)と、これらを電子制御するECU60(Electronic Control Unit、電子制御装置)と、を備えている。
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セルが積層して構成されたスタックであり、複数の単セルは電気的に直列で接続されている。単セルは、MEAと、これを挟む2枚の導電性を有するセパレータと、を備えている。MEAは、1価の陽イオン交換膜等からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソードとを備えている。
次いで、このようにOCVが発生した状態で、燃料電池スタック10が走行モータ等を含む外部回路(図示しない)に接続され、電流が取り出されると、燃料電池スタック10が発電するようになっている。
アノード系は、水素タンク21と、遮断弁22とを備えている。
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22aを介して、アノード流路11の入口に接続されている。そして、ECU60からの指令によって遮断弁22が開かれると、水素が、水素タンク21から、遮断弁22等を経由して、アノード流路11に供給されるようになっている。
アノード流路11の出口は、配管22bに接続されており、アノード流路11から排出されたアノードオフガスは、配管22bを介して、外部に排出されるようになっている。
カソード系は、コンプレッサ31と、バタフライ弁32(背圧弁)とを備えている。
コンプレッサ31は、配管31aを介して、カソード流路12の入口に接続されている。そして、ECU60の指令に従ってコンプレッサ31が作動すると、酸素を含む空気が取り込まれ、カソード流路12に供給されるようになっている。また、配管31aには加湿器(図示しない)が設けられており、カソード流路12に供給される空気が適宜に加湿されるようになっている。
すなわち、バタフライ弁32は、燃料電池スタック10から排出されたカソードオフガスが流れる排出ガス流路に配置されている。
そして、図3、図6に示すように、基準(0°)と弁体34とのなす角度(これを基準全開角度θ2とする)が90°である場合、つまり、カソードオフガスの流れ方向と弁体34とが平行である場合、弁体34は基準全開位置に配置されているとする。
また、図4、図6に示すように、基準(0°)と弁体34とのなす角度が基準全閉角度θ1である場合、弁体34は基準全閉位置に配置されるとする。基準全閉角度θ1は、0°以上90°未満に設定され(0°≦θ1<90°)、例えば、10°に設定される。
冷媒循環系は、冷媒流路13及び弁箱33を経由するように、冷媒を循環させる系であり、冷媒ポンプ41と、ラジエータ42(放熱器)と、温度センサ43(温度検出手段)とを備えている。
IG51は、燃料電池自動車及び燃料電池システム1の起動スイッチであり、運転席周りに設けられている。また、IG51はECU60と接続されており、ECU60はIG51のON/OFF信号を検知するようになっている。
ECU60は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、EEPROM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機能を発揮し、各種処理を実行するようになっている。
ECU60(起動指示手段)は、IG51のON信号を検知した場合、燃料電池スタック10が起動(発電開始)するように、遮断弁22、コンプレッサ31及び冷媒ポンプ41に、起動指示を送る機能を備えている。
また、ECU60(バタフライ弁制御手段)は、アクセルペダルの踏み込み量等に基づいて、バタフライ弁32の開度を適宜に制御し、カソード流路12を流通する空気の流量及び圧力を制御する機能を備えている。
さらに、ECU60(起動時位置検出手段)は、遮断弁22等に起動指示を送った場合、角度センサ36を介して、この今回起動時におけるバタフライ弁32の全閉角度θ11(全閉位置)を検出する機能を備えている。
そして、ECU60は、全閉角度θ11と基準全閉角度θ1(基準全閉位置)と差の絶対値が、所定角度差Δθ1(所定差)とよりも大きいか否か判定する機能を備えている。なお、所定角度差Δθ1は、バタフライ弁32の仕様等に関係し、事前試験等により求められ、ECU60に予め記憶されている。
また、ECU60は、温度センサ43を介して検出されるバタフライ弁32の現在の温度T11と、基準温度T1(例えば0℃)とに基づいて、バタフライ弁32が凍結しているか否かを判定する機能を備えている。基準温度T1は、バタフライ弁32の凍結の有無を判定するための基準温度であり、事前試験等に求められ、ECU60に予め記憶されている。
さらに、ECU60(第1記憶手段)は、例えば、バタフライ弁32が凍結しており、弁箱33と弁体34との間に氷が存在する等によって(図5参照)、全閉角度θ11と基準全閉角度θ1と差の絶対値が、所定角度差Δθ1(所定差)よりも大きい場合、この今回起動時の全閉角度θ11を記憶する第1記憶機能を備えている。
そして、このように今回起動時の全閉角度θ11が記憶された場合、ECU60(バタフライ弁制御手段)は、この全閉角度θ11を制限値として、つまり、弁体34がこの全閉角度θ11よりも小さくならないように、バタフライ弁32を制御する機能を備えている。
さらにまた、ECU60(第2記憶手段)は、全閉角度θ11と基準全閉角度θ1と差の絶対値が、所定角度差Δθ1(所定差)以下である場合、この今回起動時の全閉角度θ11を更新して記憶する第2記憶機能を備えている。
一方、前記絶対値が所定角度差Δθよりも大きい場合、ECU60(バタフライ弁制御手段)は、過去に、絶対値が所定角度差Δθ1(所定差)以下である場合において、その内部に記憶された全閉角度θ11と、今回起動時における全閉角度θ11とに基づいて、バタフライ弁32を制御する機能を備えている。
次に、図2を参照して、燃料電池システム1の動作を、ECU60に設定されたプログラム(フローチャート)の流れと共に説明する。
IG51がONされると、図2のフローチャートに示す処理がスタートする。具体的には、IG51のON信号を検知したECU60は遮断弁22を開くと共に、コンプレッサ31を作動させ、燃料電池スタック10に水素及び空気を供給し、燃料電池スタック10の発電を開始させる。また、ECU60は、冷媒ポンプ41を作動させ、冷媒を循環させる。なお、初期状態において、弁体34は全開位置(図3参照)に配置されている。
また、例えば、閉方向に弁体34を回動制御しているにも関わらず、角度センサ36を介して検出される弁体34の角度θ11が変化しない場合、弁体34が氷を噛み込んだと判定して、弁体34を開方向(逆方向)に回動するように制御すると共に、この開方向に回動させる場合において、モータ35への印加電圧を増圧し、弁体34の氷への固着を防止するようにしてもよい。
そして、前記絶対値が所定角度差Δθ1よりも大きいと判定された場合(S102・Yes)、ECU60の処理はステップS103に進む。この場合は、弁体34の正規の作動範囲に氷等の異物が存在し、バタフライ弁32が凍結していると判断される場合である。
一方、前記絶対値が所定角度差Δθ1よりも大きくない、つまり、前記絶対値が所定角度差Δθ1以下である場合、ECU60の処理はステップS107に進む。
温度T11が基準温度T1以下であると判定された場合(S106・Yes)、ECU60の処理はステップS105に進む。この場合は、ECU60がバタフライ弁32は凍結していると判定する場合であり、ステップS104に従ったバタフライ弁32の制御が継続される。
一方、温度T11が基準温度以下でないと判定された場合(S106・No)、ECU60の処理はステップS108に進む。
ステップS107において、ECU60は、全閉角度θ11を更新、つまり、今回起動時の全閉角度θ11を、EEPROMやバックアップRAMに記憶する。
具体的には、ステップS107からステップS108に進んだ場合、ECU60は、今回の起動時の全閉角度θ11を制限値とし、基準全開角度θ2との間で、バタフライ弁32を制御する。一方、ステップS106の判定結果がNoとなって、ステップS108に進んだ場合、ECU60は、過去の起動時おいてステップS107で記憶された全閉角度θ11を制限値とし、基準全開角度θ2との間で、バタフライ弁32を制御する。
そして、ECU60の処理はエンドに進む。
このような燃料電池システム1によれば、以下の効果を得ることができる。
IG51がONされ、燃料電池スタック10の発電開始の指示があった場合、今回起動時における全閉角度θ11と基準全閉角度θ1との差の絶対値が、所定角度差Δθよりも大きい場合、今回起動時の全閉角度θ11が記憶される。そして、バタフライ弁32が凍結していると判定される間、弁体34は、過去の起動時において、ステップS102の判定がNoである場合に更新された更新済みの全閉角度θ11を基準、今回起動時の全閉角度θ11を閉側の制限値として制御される。
また、全閉角度と全開角度との両方に本発明を適用してもよい。
10 燃料電池スタック
21 水素タンク
32 バタフライ弁(流量制御弁)
34 弁体
35 モータ
36 角度センサ
43 温度センサ(温度検出手段)
60 ECU
T11 バタフライ弁の温度
Claims (3)
- 反応ガスが供給されることで発電する燃料電池と、
前記燃料電池から排出されたガスが流れる排出ガス流路に配置され、流量を制御する流量制御弁と、
前記燃料電池の起動を指示する起動指示手段と、
前記起動指示手段が起動を指示した場合、当該起動時における前記流量制御弁の全開側及び全閉側の少なくとも一方側の起動時位置を検出する起動時位置検出手段と、
前記起動時位置検出手段が検出した前記起動時位置と、前記流量制御弁の弁体の作動範囲に異物が存在しない状態における前記少なくとも一方側の起動時位置である基準位置との差が所定差よりも大きい場合、前記起動時位置検出手段が検出した前記起動時位置を記憶する第1記憶手段と、
前記起動時位置検出手段が検出した前記起動時位置と、前記基準位置との差が所定差以下である場合、当該起動時位置を過去起動時位置として記憶する第2記憶手段と、
前記流量制御弁の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段が検出した流量制御弁の温度に基づいて、当該流量制御弁の凍結の有無を判定する凍結判定手段と、
を備え、
前記凍結判定手段が前記流量制御弁は凍結していると判定する間、
前記流量制御弁は、前記第1記憶手段に記憶された前記起動時位置を制限値として、制御され、
前記凍結判定手段が前記流量制御弁の凍結は解消したと判定した場合、
前記流量制御弁は、前記第2記憶手段に記憶された前記過去起動時位置を制限値として、制御される
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記起動時位置検出手段は、前記弁体を駆動するモータに印加電圧を付与して前記起動時位置を検出する際、前記弁体の作動範囲に存在する氷を切削又は除去しない程度の印加電圧を前記モータに付与する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記起動時位置検出手段は、前記弁体を駆動するモータに印加電圧を付与して前記起動時位置を検出する際、前記基準位置に向けて前記弁体を回動させるように制御し、前記基準位置の手前側で前記弁体の回動が止まった場合、前記回動とは逆向きに前記弁体を回動させると共に、前記モータに付与する印加電圧を増圧する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
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