JP5163250B2 - X線エアグリッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、散乱X線を吸収するX線エアグリッドの製造方法に関する。
X線撮像装置には、X線源からコーン状のX線ビームを被検体に向けて照射し、被検体を透過した透過X線をフラットパネル・ディテクタ(以下、FPDと略記)で検出する構成となっているものがある。この様なX線撮像装置において、X線が被検体を透過するときに、被検体で、散乱してからFPDに入射する散乱X線が生じ、これが被検体のX線透視画像のコントラストを悪化させる要因となる。散乱X線がFPDに入射することを防ぐために、FPDのX線検出面を覆うようにX線グリッドを付設し、散乱X線を吸収し、被検体で散乱せずに直接FPDに入射する直接X線を通過させるようになっている。
このX線グリッドの一種として、散乱X線を吸収する短冊状の金属箔が配列されたX線エアグリッドがある。このX線エアグリッドは、スペーサを有しないので、直接X線を効率よく通過させる。したがって、これを備えたX線撮像装置は、診断に好適なX線透視画像が得られる。
従来、このX線エアグリッドを製造する方法として、例えば、特許文献1に記載されている構成がある。この特許文献に記載されている構成を一部転用して、金属箔を引っ張り軸で引っ張って固定するX線エアグリッドの製造方法が知られているので、これについて説明する。従来の構成によってX線エアグリッドを製造するには、図12(a)に示すように、まず、両端に挿通孔101a,101bを設けた金属箔100を例えば、400本用意する。そして、図12(b)に示すように、金属箔100の一端側の挿通孔101aを固定軸102に挿し通し、他端側の挿通孔101bを引っ張り軸103に挿通させる。引っ張り軸103に金属箔100を挿通させる際、一定本数の金属箔100を挿通させる毎に、引っ張り材104の開口を引っ張り軸103に挿通させる。そして、400本の金属箔100を両軸102,103に挿し通した後、引っ張り材104の孔部にバネ105のフックを挿し通す。そして、バネ105の他端を万力で引っ張り、金属箔100に張力を付与することで、金属箔100を整形する。
また、図12(c)に示すように、引っ張り軸103は、弾性チューブ106に被覆されている。この構成によれば、金属箔100に張力を付与したとき、金属箔100が弾性チューブ106に食い込むので、金属箔100の間で挿通孔101a,101bの離間距離がばらついたとしても、確実に金属箔100の各々に張力を付与できる。
金属箔100の整形の後、コーン状のX線ビームをX線エアグリッドに対して試験照射し、透過したX線を乾板などのX線検出手段に入射させる。乾板に映りこんだX線エアグリッドの影を確認することによって、形状が悪いため直接X線の通過を邪魔する金属箔(不良金属箔)の有無を判定することができる。発見された不良金属箔は、除去され、新たな金属箔100に交換される。具体的には、金属箔100に付与された張力を解除し、金属箔100,および引っ張り材104に挿通された両軸102,103を引き抜いて、不良金属箔を除去し、新たな金属箔100に交換した後、再び両軸102,103を金属箔100,および引っ張り材104に挿通して、バネ105の他端を万力で引っ張り、金属箔100に張力を付与する。
特開2000−338254号公報
しかしながら、従来のX線エアグリッドの製造方法には、次のような問題点がある。従来の構成によれば、不良金属箔を新たな金属箔に置き換えるときに、一度引っ張り軸103を引き抜く必要がある。ところが、この引っ張り軸103を被覆する弾性チューブ106は、金属箔100に付与された張力を解除しても依然として金属箔100に食い込んだままである。この状態で引っ張り軸103を引き抜くと、弾性チューブ106と、金属箔100との間に摩擦が生じる。すると、弾性チューブ106と金属箔100に予期せぬ応力がかかることになり、最悪の場合、金属箔100が変形してしまう可能性がある。変形した金属箔は、交換しなければならず、X線エアグリッドの製造コストの増加を招く。
また、固定軸102,および引っ張り軸103を挿抜することは、非常に煩雑な作業である。つまり、従来のX線エアグリッドの製造方法によれば、両軸102,103に400本の金属箔100を挿通させることのみならず、それらを一旦引き抜き、再び挿通させる必要がある。また、固定軸102,および引っ張り軸103を挿抜すると、金属箔100が変形してしまう可能性があるわけであるから、固定軸102,および引っ張り軸103を挿抜する毎に次々と不良金属箔が生じてしまう可能性がある。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、不良金属箔を除去する工程を簡便なものとすることによって、X線エアグリッドをより簡単に製造できるX線エアグリッドの製造方法を提供することにある。
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に係るX線エアグリッドの製造方法は、第1方向に伸びた短冊状のX線を吸収する金属箔を第1方向と直交し、かつ金属箔の面と交差する第2方向に配列することによりX線エアグリッドを製造するX線エアグリッドの製造方法において、金属箔の一端、および他端のそれぞれに第1フック、および第2フックを接着させ、箔体を製造する箔体製造工程と、第2方向に伸びた固定具と、固定具に向き合って配置され第2方向に伸びた牽引具と、第2方向に伸びるとともに固定具と牽引具との介在する位置に配置され、箔体の金属箔を嵌合させる溝を有する櫛型プレートとを備えた箔体挿入台に箔体を溝の延伸方向から挿入させることにより、第1フックを固定具に係合させ、第2フックを牽引具に係合させる箔体挿入工程と、牽引具を引っ張り、箔体の各々に張力を付与する引っ張り工程と、X線ビームを金属箔の面と略平行の方向から照射し、箔体挿入台に挿入された金属箔から直接X線の通過を邪魔する不良金属箔を特定する検査工程と、箔体の各々に付与された張力を解除し、不良金属箔を備えた箔体を溝の延伸方向から引き抜くことで箔体載置台から除去し、その代わりの新たな箔体を溝の延伸方向から挿入する箔体交換工程と、箔体の各々に張力が付与された状態で箔体の間隙の各々に接着剤を注入する箔体接着工程とを備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に係るX線エアグリッドの製造方法によれば、金属箔を変形させることなく不良金属箔を新しい金属箔に交換できるX線エアグリッドの製造方法が提供できる。この構成によれば、不良金属箔を新しい金属箔に交換するときに、第1フック、第2フック、および金属箔を備えた箔体ごと交換することになる。箔体は、固定具と、牽引具に係合しており、短冊状となっている金属箔の長手方向に引っ張られることになるが、具体的には固定具、および牽引具は、第1フック、および第2フックの各々に係合している。したがって、従来のように、金属箔の両端に挿通孔を設け、そこに固定軸102,および引っ張り軸103を挿通させる必要がない。したがって、不良金属箔を新しい金属箔に交換するときに箔体を櫛型プレートの溝の延伸方向に引き抜くだけで不良金属箔を除去することができる。
また、不良金属箔を新しい金属箔に交換するときに固定軸102,および引っ張り軸103を挿抜する必要がない。したがって、金属箔と引っ張り軸を被覆する弾性チューブとの間で生じる摩擦によって金属箔が変形してしまう危険性がないことになる。つまり、不良金属箔を新しい金属箔に交換する際、新たに不良金属箔が発生することがなく、確実に不良金属金属箔を新しい金属箔に交換することができる。つまり、本発明によれば、不良金属箔の交換回数を減少させるので、製造が簡便化されたX線エアグリッドを製造することができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線エアグリッドの製造方法において、牽引具と、第2フックの係合部には第2方向に伸びた弾性体が備えられていることを特徴とするものである。
[作用・効果]上記構成によれば、確実に全ての金属箔が引っ張られることにより、直接X線を通過させるのに良好なX線エアグリッドが提供できる。箔体の両端に設けられた第1フックと第2フックとの離間距離は、厳密には箔体によってまちまちとなっている。牽引具と第2フックの係合部に弾性体が設けられていれば、第1フックと第2フックとの離間距離が短い箔体は、第1フックと第2フックとの離間距離が長い箔体と比べると、より弾性体に食い込む。したがって、箔体の両端に設けられた第1フックと第2フックとの離間距離がたとえまちまちであったとしても、張力が第1フックと第2フックとの離間距離が短い箔体に集中することなく、全ての箔体に分散することになる。上記構成によれば、全ての箔体が一様に引っ張られた状態を形成するとができるので、製造されるX線エアグリッドの金属箔は、全て直線状に延ばされた形状となっており、直線X線を確実に通過させるX線エアグリッドが製造できる。
また、弾性体の厚さを自由に変更することができる。従来の構成では、挿通孔よりも直径の大きい弾性チューブを挿通させることは不可能である。しかも、弾性チューブの内部には引っ張り軸が設けられているので、弾性チューブは、更に肉薄なものとなる。しかし、上記構成によれば、第2フックの形状を変更することにより、容易に弾性体を肉厚なものに変更することができる。つまり、上記構成によれば、より多様なX線エアグリッドの製造方法が提供できる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のX線エアグリッドの製造方法において、箔体挿入台には、第1フック、および第2フックの下端を支持する第2方向に伸びた下支え材が備えられており、第1フック、および第2フックの上端に配置され、第2方向に伸びた押し付け材を配置して、押し付け材に応力を付与することにより箔体を下支え材に押し付ける押し付け材配置工程を更に備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]上記構成によれば、金属箔が配列することで形成されるX線エアグリッドをより平らなものとすることができる。第1フックを支える下支え材は、第1フックの下端と接触している。また、第2フックを支える下支え材は、第2フック4の下端と接触している。これにより、第1,および第2フックの配列がより平面的となるのでX線エアグリッドは、より平らなものとなる。
また、上記構成によれば、金属箔が配列することで形成されるX線エアグリッドの上面から箔体を押し付ける押し付け材配置工程を備えている。両フックに配置される押し付け材は、両フックを下支え材に押し付ける。これにより、第1,および第2フックの配列がより平面的となるので、X線エアグリッドはより平らなものとなる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のX線エアグリッドの製造方法において、箔体挿入台は、牽引具と係合する牽引フックと、牽引フックの傾斜を保持する第2方向に伸びた牽引フック傾斜保持体とを更に備え、牽引フック傾斜保持体は牽引フックを嵌合させる牽引フック嵌合溝を備えることを特徴とするものである。
[作用・効果]上記構成によれば、金属箔は、ねじれることなく第2フックに支持されることができる。櫛形プレートの溝の延伸方向と、牽引フック傾斜保持体の牽引フック嵌合溝の延伸方向が同一となっているので、金属箔は、ねじれることなく第2フックに支持されることができる。これにより、金属箔に対して無駄な応力がかからないばかりか、櫛形プレートが金属箔の摩擦によって変形してしまうことを防ぐことができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のX線エアグリッドの製造方法において、櫛型プレートに備えられた複数の溝の延伸方向は、櫛形プレートの中心部から第2方向における端部に向かうにしたがって次第に傾斜しているとともに、牽引フック傾斜保持体に備えられた複数の牽引フック嵌合溝の延伸方向も牽引フック傾斜保持体の中心部から第2方向における端部に向かうにしたがって傾斜しており、第2方向について同一の位置において、溝の傾斜と、牽引フック嵌合溝の傾斜は同一となっていることを特徴とするものである。
[作用・効果]上記構成によれば、コーン状のX線ビームに好適なX線エアグリッドが提供できる。櫛型プレートに備えられた複数の溝の延伸方向は、櫛形プレートの中心部から第2方向における端部に向かうにしたがって次第に傾斜している。これにより、X線源のX線焦点から放射状に照射されるX線の進行方向に合わせて金属箔を傾斜させることができる。しかも、牽引フックも金属箔の傾斜に合わせて傾斜しているので、金属箔の傾斜と牽引フックに係合する第2フックの傾斜が同一なものとなる。したがって、箔体の傾斜が部分的に変化することがない。つまり、金属箔は、ねじれることなく第2フックに支持されることができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のX線エアグリッドの製造方法において、弾性体と係合する第2フックの係合部は、曲面状の平滑部となっていることを特徴とするものである。
[作用・効果]上記構成によれば、弾性体が第2フックによって損傷することがない。したがって、本発明におけるX線エアグリッドの製造方法において、弾性体の寿命は、長いものとなる。
この発明によれば、金属箔を変形させることなく不良金属箔を新しい金属箔に交換できるX線エアグリッドの製造方法が提供できる。この構成によれば、不良金属箔を新しい金属箔に交換するときに、箔体ごと交換することになる。箔体を固定する固定具、および箔体に張力を付与する牽引具は、箔体の第1フック、および第2フックの各々に係合している。したがって、従来のように、金属箔の両端に挿通孔を設け、そこに固定軸,および引っ張り軸を挿通させる必要がない。したがって、不良金属箔を新しい金属箔に交換するときに箔体を櫛型プレートの溝の延伸方向に引き抜くだけで不良金属箔を除去することができる。
以下、本発明に係るX線エアグリッドの製造方法の実施例について、図面を参照しながら説明する。
<箔体の構成>
図1は、実施例1に係る箔体の構成を説明する平面図である。図1(a)に示すように、実施例1に係る箔体1は、モリブデン合金などX線を吸収しやすい材料で構成される短冊状の金属箔2と、金属箔2の一端側に接着固定されている第1フック3と、金属箔2の他端側に接着固定されている第2フック4とを備えている。この両フック3,4は、金属箔2を長手方向に延長するように接着されており、第1フック3は、第1突起3a,第2突起3b,および連結部3cを有している。また、第1突起3aの先端は、金属箔2と接着しており、連結部3cは、金属箔2の長手方向に沿って伸びている。同様に、第2フック4は、第1突起4a,第2突起4b,および連結部4cを有している。そして、第1突起4aの先端は、金属箔2と接着しており、連結部4cは、金属箔2の長手方向に沿って伸びている。また、第1フック3の第1突起3a,第2突起3b,および第2フック4の第1突起4a,第2突起4bの各々は、z方向における同一の向きに伸びていて、両フック3,4は、コの字形状となっている。なお、第1フック3,および第2フック4は、磁性を有するステンレスなどで構成される。
ここで、箔体1の寸法について説明する。金属箔2は、長手方向、短手方向の長さが例えば、それぞれ300mm,5.7mmの短冊状で、その厚さは、例えば、30μmとなっている。両フック3,4は長手方向、短手方向の長さが例えば、それぞれ30mm,10mmとなっている。その厚さは、例えば、0.3mm〜0.5mmとなっている。そして、両フック3,4と金属箔2との接合部T(図1参照)は、例えば、金属箔2の長手方向に40mm,短手方向に15mmの長方形をしている。
図1(b)は、箔体1を金属箔2の箔高さ方向zから見た平面図である。図1(b)に示すように、両フック3,4は、金属箔2の同一面に接着固定されている。
実施例1に係るX線エアグリッドの製造方法は、短冊状の金属箔の両端に第1,および第2フックを貼合わせて箔体を製造する箔体製造工程と、箔体を箔体挿入台に挿入させる箔体挿入工程と、箔体の各々を牽引する引っ張り工程と、金属箔のうち、不良金属箔を特定する工程と、不良金属箔を新しいものに交換する箔体交換工程と、箔体の各々を接着する箔体接着工程とに区分される。以降、実施例1に係るX線エアグリッドの製造工程の順序に沿って各工程を説明する。
<箔体製造工程>
図2は、実施例1に係る箔体の製造方法を説明する斜視図である。実施例1に係る箔体を製造するには、まず、図2(a)に示すように、短冊状の金属箔2を金属箔載置台5に載置する。この金属箔載置台5は、形状としては階段状となっている。より具体的には、第1四角柱5aに、第1四角柱5aよりも小さな第2四角柱5bが積層して固着されている。この第1四角柱5aは、金属箔を載置する金属箔載置面5cを有しており、この金属箔載置面5cの長手方向における両端部には、ダボ穴5d,5eが設けられている。このダボ穴5d,5eの距離は、金属箔2の長手方向の長さよりも十分に長く設定されており、金属箔2は、このダボ穴5d,5eに挟まれる位置に載置される。なお、第2四角柱5bには、金属箔載置面5cと直交する支持面5fが備えられており、金属箔載置台5に金属箔2を載置する際、金属箔2の長手方向に沿った長辺は、この支持面5fに当接している。
一方、第1フック3,第2フック4は、図2(b)に示すようなU字材6に設置される。U字材6は、第1凸部6aと、第2凸部6bと、それらを連接する連接部6cを有している。両凸部6a,6bの先端面6f,6gには、両凸部6a,6bを延長するように伸びたダボ部6d,6eがそれぞれ設けられている。また、先端面6f,6gには、ダボ部6d,6eのそれぞれを囲むように、コの字型のフック保持領域6h,6kが設けられている。
次に、U字材6に係る操作を説明する。まず、U字材6を平面な作業台7に載置する。このとき、U字材6をフック保持領域6h,6kが作業台7に隣接する向きに載置する。このときU字材6の作業台7に接している面を基底面6mとする。そして、両フック3,4の第1突起の側端が互いに向き合う方向で、フック保持領域6hに第1フック3を、フック保持領域6kに第2フック4を配置する。なお、U字材6の先端面6f,6gには磁石が設けられているので、磁性体の両フック3,4は、U字材6から剥離することがない。このとき、先端面6fにおいては、第1フック3の第2突起3bは、ダボ部6dと係合しており、先端面6gにおいては、第2フック4の第2突起4bは、ダボ部6eと係合している。したがって、両フック3,4の離間距離は、U字材6に両フック3,4を配置する毎に両ダボ部6d,6eとの距離によって決定される。したがって、箔体1を製造する度に両フック3,4の離間距離は、同一となる。なお、第1フック3の第1突起3aの先端と、第2突起3bの先端とは作業台7に接している。同様に、第2フック4の第1突起4aの先端と、第2突起4bの先端も作業台7に接している。
次に、図2(c)に示すように、金属箔載置台5に載置された金属箔2を覆うように細長状の錘8が配置される。これは、金属箔2を押圧することにより、金属箔2の反りを除去するための作業である。そして、金属箔載置台5とU字材6とを組み合わせて箔体1を形成する。このときU字材6の基底面6mを第2四角柱5bの支持面5fに圧接させながらU字材6の先端面6f,6gを金属箔載置面5cに接近させる。したがって、第1フック3に注目すれば、第1突起3aの先端と、第2突起3bの先端とは支持面5fに接している。そのままU字材6を摺動させていけば、U字材6のダボ部6dは、金属箔載置台5のダボ穴5dに嵌合する。同様に、ダボ部6eは、ダボ穴5eに嵌合する。そして、そのままU字材6を摺動させていけば、第1フック3の第1突起3aは、金属箔2の長手方向における一端に押圧されることになる。ところで、第1突起3aと、金属箔2との介在する位置に接着テープが設けられている。したがって、接着テープを介して第1フック3と金属箔2が接着固定される。同様に、第2フック4の第1突起4aは、金属箔2の長手方向における他端に押圧される。ここでも、第1突起4aと、金属箔2との介在する位置に接着テープが設けられている。したがって、接着テープを介して第2フック4と金属箔2とが接着固定される。最後に、U字材6と、錘8を金属箔載置台5から取り除けば、接着テープによって両フック3,4と、金属箔2が接着された箔体1が得られる。
なお、上記工程において、金属箔2の長手方向に沿った長辺は、支持面5fに接している。さらに、両フック3,4の各突起の先端も支持面5fに接したまま金属箔2を押圧される。したがって、金属箔2と両フック3,4とが接着するときに、ずれて接着されることなく、確実に金属箔2の長手方向に沿った長辺と、両フック3,4の各突起の先端が一致した箔体1が製造できるようになっている。
<箔体挿入工程>
次に、この箔体1を箔体挿入台10に挿入する。図3は、実施例1に係る箔体挿入台の構成を説明する一部破断面図である。図3に示すように、箔体挿入台10は、y方向に伸びた1対の櫛型プレート11,12を備える。この櫛型プレート11,12は、金属箔2を挿入できる略z方向に伸びた例えば400個の溝11a,12aをそれぞれ有している。箔体挿入工程において、金属箔2は、z方向から溝11a,12aに挿入され、金属箔2のうち、両フック3,4の近傍の部分が溝11a,12aに接触支持されることになる。なお、金属箔2の長手方向をx方向とする。したがって、x方向は、本発明の第1方向に相当する。なお、箔体挿入工程においては、1対の櫛型プレート11,12は、箔体挿入台10に固定されているが、これらは、箔体挿入台10に対して着脱自在となっている。この1対の櫛型プレート11,12が箔体挿入台10から脱離させる工程については、後述のものとする。また、y方向、およびz方向は、本発明における第2方向、および溝の延伸方向に相当する。
図3に示すように、金属箔2が櫛型プレート11,12の溝11a,12aにz方向から挿入されると同時に、第1フック3の有する連結部3cは、横断面がL字型の角柱で構成される固定具13に係合される。この固定具13は、箔体挿入台10の基底14に支持されており、金属箔2に張力が付与されたとしても、基底14に対する位置を変化させることがない。一方、第2フック4の有する連結部4cは、細長状の牽引具15に係合される。この牽引具15は、金属などで構成される基軸15aを備え、基軸15aと第2フック4との介在する位置には、y方向に伸びた細長状のゴムなどからなる弾性体15bが接着されている。したがって、牽引具15と第2フック4との係合部には、この弾性体15bが位置することになる。この弾性体15bのx方向の厚さは、箔体1における両フック3,4の離間距離のバラツキの10倍程度が望ましい。より詳細には、弾性体15bのx方向における平均圧縮歪は、箔体1が有するx方向における第1フック3と、第2フック4との離間距離のバラツキの5倍以上となっていることが望ましい。具体的には、第1フック3と、第2フック4との離間距離のバラツキが0.2mmであれば、弾性体15bの平均圧縮歪は、1mmであることが望ましいことになる。つまり、弾性体15bのx方向における厚さと材質は、十分に第1フック3と、第2フック4との離間距離のバラツキを吸収するように設定され、例えば、弾性体15bの自然厚みは6mmとなっている。なお、この牽引具15は、牽引フック16によって支持されているが、その詳細は後述する。
図4は、実施例1に係る箔体挿入工程を説明する斜視図である。図4に示すように、櫛型プレート11の有する溝11aの全てに箔体1が挿入され、箔体1を箔体挿入台10に挿入する箔体挿入工程は終了となる。なお、この時点で、例えば約400枚の箔体1が箔体挿入台10に挿入され、箔体1は、y方向に0.6mm間隔で配列することになる。この後、実施例1に係るX線エアグリッドの製造方法においては、支え材を配置する押し付け材配置工程を備えるが、これについては後述するものとする。
<引っ張り工程>
次に、箔体1の全てを一括して引っ張り、直接X線を通過させるのに好適な形状に整形する。この時点で、第1フック3の有する第2突起3bと、固定具13とはx方向から係合することになり、第2フック4の有する第2突起4bと、牽引具15とはx方向から係合することになる。なお、第2フック4は、牽引具15の弾性体15bと接触しているので、箔体1に張力を付与するにつれて、第2フック4は、弾性体15bに食い込むことになる。これにより、x方向から両フック3,4の各々は、固定具13,牽引具15のそれぞれに係合することになる。
次に、実施例1に係る引っ張り工程に関連する新たな部材について説明する。図5は、実施例1に係る引っ張り工程を説明する斜視図である。図5に示すように、細長状の牽引具15は、P字状の牽引フック16によって支持されている。この牽引フック16の基端部には、4角形の貫通孔17が設けられており、そこに、牽引具15が挿通される。そして、牽引フック16は、箔体1を延伸するようx方向に伸びており、その先端部は、引っ張りバネ18に連結している。具体的には、牽引フック16の先端部の近傍には、引っ張りバネ18のツルを引っ掛けるバネ係合孔19が設けられており、引っ張りバネ18のJ字状の一端が挿通されている。また、箔体挿入台10には、貫通孔17とバネ係合孔19との間に、y方向に伸びた細長状の牽引フック傾斜保持体20が固定されて設けられている。この牽引フック傾斜保持体20は、略z方向に伸びた保持溝21が設けられており、この保持溝21に牽引フック16が嵌合する構成となっている。この保持溝21の延伸方向を変更することにより、牽引フック16を傾斜させることができる。なお、この牽引フック16は、y方向について略等間隔に配列され、牽引フック傾斜保持体20に例えば、20個設けられる。
次に、操作を説明する。引っ張りバネ18の他端は、図示しない万力に連結しており、引っ張り工程においては、この万力に設けられたハンドルを操作して引っ張りバネ18を介して牽引フック16に張力を付与する。すると、細長状の牽引具15は、箔体1を延長する方向(x方向)に引っ張られることになる。牽引具15と箔体1の有する第2フック4は、係合していることからすると、牽引具15に張力が付与されると、それに合わせて箔体1に張力が金属箔2の長手方向を延伸する方向に付与されることになる。こうして、箔体挿入工程において撓んでいた金属箔2には、張力が付与され直線状となる。
<検査工程>
次に、箔体1の全てが一様に引っ張られた状態で、コーン状のX線ビームをz方向から照射し、直接X線の通過を邪魔する不良金属箔の有無を検査する。箔体挿入台10のz方向における上部にFPDなどのX線検出器を配置し、箔体挿入台10の裏方向からFPDに向けてコーン状にコリメートされたX線ビームを照射する。ちなみに、不良金属箔は、FPDが造影したX線写真中に黒い線となって表れる。
なお、X線ビームを照射するX線源の位置には、望ましい設定がある。図6は、実施例1に係る溝の傾斜を説明する平面図である。図6(a)に示すように、櫛型プレート11は、略z方向に伸びた複数の溝11aを有するが、この溝11aは、櫛型プレート11の中心部から長手方向における端部に向かうにしたがって次第に傾斜している。また、櫛型プレート11の端部における溝11aの各々は、その開口部が櫛型プレート11の中心から遠ざかるように傾斜している。そして、この溝11aを仮に延長すると、全て一点に集中する。この点を便宜上、集中点と呼ぶ。
同様に、櫛型プレート12についても集中点が存在する。箔体挿入台10全体で見たとき、両櫛型プレート11,12の集中点を結ぶ直線を便宜上、集中線とする。そして、図6(b)に示すように、牽引具15を保持する牽引フック傾斜保持体20が有する保持溝21も同様に、牽引フック傾斜保持体20の中心部から長手方向における端部に向かうにしたがって次第に傾斜している。そして、この保持溝21を仮に延長すると、全て一点に集中する。そしてこの集中点は、先ほどの集中線上に存在している。
コーン状のX線ビームを照射する際、X線源におけるX線発生焦点と、この集中線とを一致させる。具体的には、X線発生焦点を集中線に含まれるいずれかの点と一致させる。x方向から見たとき、金属箔2は、1対の櫛型プレート11,12の溝11a,12aに挿入されているわけであるから、金属箔2は、溝11a,12aの傾斜角度の分だけ、傾いたものとなっている。ちなみに、櫛型プレート11,12において、同一の金属箔2が挿入される溝11a,12aの傾斜角度は、同一なものとなっている。X線源におけるX線発生焦点と集中線とが一致していることからすると、コーン状のX線ビームは、金属箔2に邪魔されることなく、金属箔2に沿って通過し、FPDに入射することになる。なお、保持溝は、本発明の牽引フック嵌合溝に相当する。
しかも、y方向について同一の位置において、櫛型プレート11,12の溝11a,12aの傾斜と、牽引フック傾斜保持体20の保持溝21の傾斜は同一となっている。これにより、牽引フック16は、箔体1を構成する第2フック4を傾斜させることになるが、その傾斜角度は、金属箔2のそれと略同一となる。したがって、箔体1の傾斜が部分的に変化することがない。つまり、金属箔2は、ねじれることなく第2フック4に支持されることができる。これにより、金属箔2に対して無駄な応力がかからないばかりか、櫛型プレート12が金属箔2の摩擦によって変形してしまうことを防ぐことができる。
ところで、予期しない理由により金属箔2の横断面が例えば、L字状となっていると、金属箔2がX線の通過を邪魔してしまう。この様な金属箔2は、X線エアグリッドの性能を低下させる原因となる不良金属箔と判断される。
<箔体交換工程>
続いて、この不良金属箔を箔体挿入台10から除去し、新たな箔体1に交換する操作が行われる。まず、万力のハンドルを操作し、箔体1の各々に付与されている張力を解除する。こうすることで、箔体1の各々は、z方向に挿抜自在となる。不良金属箔を有する箔体1は、その両フック3,4をz方向に持ち上げることで箔体挿入台10から除去され、その代わりに、新たな箔体1を1対の櫛型プレート11,12にz方向から挿入することで、不良金属箔の交換が行われる。なお、この箔体交換工程のあと、再び上述の引っ張り工程に戻り、不良金属箔が皆無となるまで、箔体交換工程は繰返される。
<箔体接着工程>
図7は、実施例1に係る箔体接着工程を説明する平面図である。箔体交換工程が終了し、不良金属箔が皆無であるとされると、箔体1の各々に張力を付与させたままの状態で、箔体挿入台10に挿入された箔体群の金属箔2を挟むように一対のシートカバー36,37をz方向から装着する。この一対のシートカバー36,37の金属箔2に向き合う面には、それぞれ接着剤が塗布されている。したがって、全ての金属箔2がシートカバー36,37に接着されて一体化することになる。なお、一対のシートカバー36,37は、X線を透過しやすいことが望ましく、例えばX線を透過しやすい縦240mm,幅240mm,厚さ0.15mmのCFRP(Carbon fiber reinforced plastic)で構成することができる。
<後段の工程>
接着剤が十分に硬化した後、箔体1の各々に付与された張力を解除し、図7に示すように、箔体1のうち、櫛型プレート11と第1フック3に挟まれた領域であるM1と、櫛型プレート12と第2フック4に挟まれた領域であるM2との二箇所の位置で切断して、両フック3,4と金属箔2とを切断する。そして、両フック3,4を除去し、櫛型プレート11,12と箔体挿入台10との固定を解除する。そして、移動可能となった櫛型プレートをx方向に金属箔2の中心から離れる方向に動かして、箔体挿入台10から脱離させて金属箔2から引き抜く。こうして、実施例1に係るX線エアグリッドを構成する金属箔2の配列体が形成される。そして、配列体をロ字状のグリッド枠にはめ込んで、シートカバー36,37とグリッド枠とを固定し、実施例1に係るX線エアグリッドは完成となる。完成したX線エアグリッドの寸法は、例えば、縦、横ともに240mmである。
なお、実施例1に係る箔体挿入台10は、より高性能のX線エアグリッドを製造するため、上述の各工程の説明で言及しなかった複数の部材を有する。以降、この周辺部材について順に説明する。
<周辺部材について>
図8は、実施例1に係る箔体挿入台の周辺部材を説明する斜視図である。図8に示すように、第1フック3の第2突起3bを保持するL字型の第1フック保持材30a,30bが設けられている。この第1フック保持材30a,30bは、保持材固定部材31を介して箔体挿入台10に固定されている。この保持材固定部材31は、箔体挿入台10に複数個設けられており、そのxz平面に沿った2側面には、それぞれ第1フック保持材30a,30bが設けられている。また、箔体挿入台10全体から見れば、保持材固定部材31はy方向にアレイ状に配列され、そのアレイは、金属箔2の中心部から見て、固定具13の裏側に設けられる。
図6(c)は、実施例1に係るアレイ状に配列された保持材固定部材をyz平面から見たときの平面図である。保持材固定部材31は、アレイの中心部では、長方形をしているが、アレイの端部においては、台形となっている。図6(a)に示すように、櫛型プレート11の溝11aは、櫛型プレート11の中心部から長手方向における端部に向かうにしたがって次第に傾斜していたが、第1フック保持材30も、これに対応して、保持材固定部材31が配列したアレイの中心部から、y方向におけるアレイの端部に向かうにしたがって次第に傾斜している。したがって、これを支持する保持材固定部材31のx方向に伸びた2側面も、y方向におけるアレイの端部に向かうにしたがって次第に傾斜している。より具体的には、y方向について同一の位置において、櫛型プレート11,12の溝11a,12aの傾斜と、第1フック保持材30の傾斜は同一となっている。
これにより、金属箔2の傾斜と第1フック3の傾斜を略同一とすることができる。したがって、金属箔2が櫛型プレート11によって傾斜させられたとしても、金属箔2は、ねじれることなく第1フック3に支持されることができる。これにより、金属箔2に対して無駄な応力がかからないばかりか、櫛型プレート11が金属箔2の摩擦によって変形してしまうことを防ぐことができる。
図9は、実施例1に係る下支え材を説明する平面図である。上述の各工程では説明しながったが、金属箔2が配列することで形成されるX線エアグリッドをより平らなものとするために、箔体挿入台10には、図9に示すように、角柱状の第1フック下支え材32と、同じく角柱状の第2フック下支え材33とが備えられている。第1フック下支え材32は、第1フック3の第1突起3aの先端と接触している。また、第2フック下支え材33は、第2フック4の第1突起4aの先端と接触している。これらにより、X線エアグリッドはより平らなものとなる。なお、第1フック下支え材32と第2フック下支え材33とのz方向における高さは、同一なものとなっている。
また、これも上述の各工程では説明しなかったが、実施例1に係る箔体挿入台10は、図9に示すように、金属箔2が配列することで形成されるX線エアグリッドをより平らなものとするために、第1フック3を第1フック下支え材32に押し付ける角柱状の第1フック押し付け材34と、第2フック4を第2フック下支え材33に押し付ける角柱状の第2フック押し付け材35とを備える。第1フック押し付け材34は、第1フック3の連結部3cと接触している。また、第2フック押し付け材35は、第2フック4の連結部4cと接触している。なお、両押し付け材34,35は、反発性のある弾性部材で構成され、例えば、スポンジ状となっている。この様な構成であるため、両押し付け材34,35は、両フック3,4は固定されることなく、確実に両下支え材32,33に押し付けられる。したがって、両押し付け材34,35を配置した状態であっても、金属箔2は、x方向に摺動自在であり、この状態で牽引具15を牽引フック16で引っ張れば、確実に箔体1に張力が付与される。また、第1フック3において、第1フック下支え材32と、第1フック押し付け材34は、x方向において略同一の位置となっている。同様に、第2フック4において、第2フック下支え材33と、第2フック押し付け材35は、x方向において略同一の位置となっている。このような構成であるので、箔体1を両押し付け材34,35で押し付けたときに、第1フック3、および第2フック4がz方向に傾くことなく、第1フック3、および第2フック4は、確実に第1フック下支え材32、および第2フック下支え材33のそれぞれに押し付けられる。なお、両押し付け材34,35は、本発明の押し付け材に相当する。
上述の引っ張り工程の前に、第1フック3,第2フック4を覆うように第1フック押し付け材34,および第2フック押し付け材35の各々をy方向がその長手方向となる向きに配置する。そして、両押し付け材34,35に応力を付与し、両フック3,4を両下支え材32,33に押し付ける。これを本発明においては、押し付け材配置工程と呼ぶ。なお、実施例1においては、この工程を一旦省略し、不良金属箔が皆無となった時点で箔体1の各々に付与された張力を解除した上で行ってもよい。
また、上述の引っ張り工程では説明しなかったが、図9に示すように固定具13は、y方向に張り出したV字型の膨出部13aを備え、その膨出部13aの先端が第1フック3と係合するエッジ部13bとなっている。一方、牽引具15は、第2フック4と係合する第2フック係合部15cを有している。なお、エッジ部13bと第2フック係合部15cのz方向における位置は、金属箔2のz方向における中心線Cと略同一となっている。したがって、引っ張り工程において、金属箔2にz方向のねじれ応力が付与されることがない。
<牽引具について>
最後に、牽引具15の構成について説明する。牽引具15は、金属などで構成される基軸15aを備え、基軸15aと第2フック4との介在する位置には、細長状のゴムなどからなる弾性体15bを備えている。図10は、実施例1に係る牽引具の構成を説明する断面図である。なお、図10は、図3に示した矢印Dを含むように牽引具15をxy平面で切断したときの断面図である。牽引具15に張力が付与されていないとき、図10(a)に示すように、第2フック4と牽引フック16は、牽引具15と離間している。そして、牽引具15を構成する弾性体15bのうち、牽引フック16に囲まれる領域には、凹部40が設けられている。また、この凹部40は、基軸15aに向いて開口するように設けられている。ここで、図10(b)に示すように、牽引フック16に張力を付与すると、牽引フック16と基軸15aが係合する。そして、第2フック4と弾性体15bが係合し、第2フック4の第2突起4bは、弾性体15bに食い込む。そのとき、弾性体15bは、牽引具15の延伸方向(y方向)に伸びようとする。牽引フック16は、弾性体15bとは係合しないので、牽引フック16の厚さ分だけ、弾性体15bに張力が付与されない領域Rが発生する。すると、領域Rにおいて、牽引フック16に向かって盛り上がるように変形しようとする。この様な変形は、弾性体15bにおける牽引フック16の近傍においても起こるので、引っ張り方向に関する位置を比較したとき、牽引フック16に隣接した第2フック4と、牽引フック16と離間した第2フック4とでずれたものとなってしまう。しかし、実施例1に係る弾性体15bのうち、牽引フック16に囲まれる領域には、凹部40が設けられているので、弾性体15bは、図中の矢印が示すように、凹部40に向かって盛り上がる。したがって、弾性体15bは、牽引フック16に向かって盛り上がるように変形しないので、引っ張り方向に関する位置を比較したとき、牽引フック16に隣接した第2フック4と、牽引フック16に隣接しない第2フック4とで確実に同一なものとさせることができる。
図11は、実施例1に係る第2フックの構成を説明する断面図である。図11(a)に示すように、弾性体15bと係合する第2突起4bの係合部は、曲面状の平滑部となっている。したがって、弾性体15bに極力集中的な応力が付与されず、弾性体15bをより傷めない構成となっている。これが仮に、図11(b)のように、弾性体15bと係合する第2突起4bの係合部が平面となっていると、弾性体15bによって隣接する第2フック4にそれらが離反するようなx方向の応力が付与されてしまう。また、第2突起4bの係合部は、角を有する構成となっているので、弾性体15bを損傷することにもなる。かといって、図11(c)のように、弾性体15bと係合する第2突起4bの係合部を鋭利なものとすると、第2フックを離反させる応力は抑えられるものの、第2突起4bの係合部は、鋭利なものとなっているので、弾性体15bをより激しく損傷することになる。しかし、実施例1の構成によれば、弾性体15bと係合する第2突起4bの係合部は、図11(d)に示すように、曲面状の平滑部となっているので、弾性体15bを極力損傷させない構成となっている。また、上記構成によれば、隣接する第2フック4の間には、弾性体15bが入り込む隙間41が設けられていることにもなる。したがって、図11(e)に示すように、箔体1を引っ張ることにより、弾性体15bが歪んだとしても、この隙間41に向かって伸びるように弾性体15bが盛り上がることになるので、隣接する第2フック4にx方向の応力が付与されることがない。
以上のように、実施例1の構成によれば、金属箔2を変形させることなく不良金属箔を新しい金属箔2に交換できるX線エアグリッドの製造方法が提供できる。上記構成によれば、不良金属箔を新しい金属箔2に交換するときに、箔体1ごと交換することになる。箔体1を固定する固定具13,および箔体1に張力を付与する牽引具15は、箔体1の第1フック3,および第2フック4の各々に係合している。したがって、従来のように、金属箔の両端に挿通孔を設け、そこに固定軸,および引っ張り軸を挿通させる必要がない。したがって、不良金属箔を新しい金属箔2に交換するときに箔体1を櫛型プレート11の溝11aの延伸方向に引き抜くだけで不良金属箔を除去することができる。また、従来の方法に比べて、弾性体をより肉厚とすることができる。第2フック4の連結部4cの長さを変更すれば、第2フック4に係合する牽引具15の断面の形状を自由に変更することができる。したがって、付与された張力が第1フックと第2フックとの離間距離が短い箔体に集中することなく、全ての箔体に分散するので、全ての箔体1が引っ張られた状態を形成するとができる。したがって、製造されるX線エアグリッドの金属箔2は、全て直線状に延ばされた形状となっており、直線X線を確実に通過させるX線エアグリッドが製造できる。しかも、金属箔2の挿通孔が張力によって破壊されることがないので、より、張力を強いものとすることができる。
そして、実施例1の構成によれば、X線エアグリッドの金属箔2が配列した面をより平面とすることができる。実施例1の構成で金属箔2のz方向の位置を決定しているのは、第1フック3と第1フック下支え材32との係合部と、第2フック4と第2フック下支え材33との係合部である。両フック3,4と金属箔2のz方向における位置は、一定であることからすると、箔体挿入台10における金属箔2のz方向の位置は、金属箔2の各々で一定なものとなる。
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、以下のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例において、引っ張りバネ18を介して箔体1に張力を付与していたが、本発明はこれに限らず、ピストンなどを使用しても良い。
(2)上述した実施例において、金属箔2は、モリブデン合金であったが、鉛合金であってもよいし、Ta等の重金属であっても良い。この様に、本発明に係る金属箔はX線を透過させない金属に代えることができる。また、弾性シートの両面に重金属粉末を固着したような箔を使用してもよい。
(3)上述した実施例における金属箔載置台5の金属箔載置面5cに金属箔の長手方向に沿った吸引孔を設け、金属箔2を吸引することによって、金属箔2を金属箔載置面5cに密着させる構成としても良い。本変形例によれば、より金属箔2を平坦なものとすることができる。金属箔2を平坦にできることにより、両フック3,4の離間距離が揃った箔体1が製造できる。
(4)上述した実施例における箔体1は、両フック3,4と金属箔2とは接着テープで接着固定される構成であったが、本発明はこれに限らず、両フック3,4と金属箔2とを所定の硬化速度を有する液体の接着剤で接着固定してもよい。
実施例1に係る箔体の構成を説明する平面図である。 実施例1に係る箔体の製造方法を説明する斜視図である。 実施例1に係る箔体挿入台の構成を説明する一部破断面図である。 実施例1に係る箔体挿入工程を説明する斜視図である。 実施例1に係る引っ張り工程を説明する斜視図である。 実施例1に係る溝の傾斜を説明する平面図である。 実施例1に係る箔体接着工程を説明する平面図である。 実施例1に係る箔体挿入台の周辺部材を説明する斜視図である。 実施例1に係る下支え材を説明する平面図である。 実施例1に係る牽引具の構成を説明する断面図である。 実施例1に係る第2フックの構成を説明する断面図である。 従来のX線エアグリッドの製造方法を説明する図である。
符号の説明
1 箔体
2 金属箔
3 第1フック
4 第2フック
10 箔体挿入台
11,12 櫛型プレート
11a,12a 溝
13 固定具
15 牽引具
15b 弾性体
16 牽引フック
20 牽引フック傾斜保持体
20a 牽引フック嵌合溝

Claims (6)

  1. 第1方向に伸びた短冊状のX線を吸収する金属箔を前記第1方向と直交し、かつ前記金属箔の面と交差する第2方向に配列することによりX線エアグリッドを製造するX線エアグリッドの製造方法において、
    前記金属箔の一端、および他端のそれぞれに第1フック、および第2フックを接着させ、箔体を製造する箔体製造工程と、
    前記第2方向に伸びた固定具と、前記固定具に向き合って配置され第2方向に伸びた牽引具と、前記第2方向に伸びるとともに前記固定具と前記牽引具との介在する位置に配置され、前記箔体の金属箔を嵌合させる溝を有する櫛型プレートとを備えた箔体挿入台に前記箔体を溝の延伸方向から挿入させることにより、前記第1フックを前記固定具に係合させ、前記第2フックを前記牽引具に係合させる箔体挿入工程と、
    前記牽引具を引っ張り、前記箔体の各々に張力を付与する引っ張り工程と、
    X線ビームを前記金属箔の面と略平行の方向から照射し、前記箔体挿入台に挿入された金属箔から直接X線の通過を邪魔する不良金属箔を特定する検査工程と、
    前記箔体の各々に付与された張力を解除し、不良金属箔を備えた箔体を溝の延伸方向から引き抜くことで前記箔体載置台から除去し、その代わりの新たな箔体を溝の延伸方向から挿入する箔体交換工程と、
    前記箔体の各々に張力が付与された状態で箔体の間隙の各々に接着剤を注入する箔体接着工程とを備えることを特徴とするX線エアグリッドの製造方法。
  2. 請求項1に記載のX線エアグリッドの製造方法において、前記牽引具と、前記第2フックの係合部には第2方向に伸びた弾性体が備えられていることを特徴とするX線エアグリッドの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のX線エアグリッドの製造方法において、
    前記箔体挿入台には、前記第1フック、および第2フックの下端を支持する前記第2方向に伸びた下支え材が備えられており、
    前記第1フック、および第2フックの上端に配置され、前記第2方向に伸びた押し付け材を配置して、前記押し付け材に応力を付与することにより前記箔体を前記下支え材に押し付ける押し付け材配置工程を更に備えることを特徴とするX線エアグリッドの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のX線エアグリッドの製造方法において、前記箔体挿入台は、牽引具と係合する牽引フックと、前記牽引フックの傾斜を保持する第2方向に伸びた牽引フック傾斜保持体とを更に備え、前記牽引フック傾斜保持体は前記牽引フックを嵌合させる牽引フック嵌合溝を備えることを特徴とするX線エアグリッドの製造方法。
  5. 請求項4に記載のX線エアグリッドの製造方法において、前記櫛型プレートに備えられた複数の溝の延伸方向は、櫛形プレートの中心部から第2方向における端部に向かうにしたがって次第に傾斜しているとともに、前記牽引フック傾斜保持体に備えられた複数の牽引フック嵌合溝の延伸方向も牽引フック傾斜保持体の中心部から第2方向における端部に向かうにしたがって傾斜しており、第2方向について同一の位置において、前記溝の傾斜と、前記牽引フック嵌合溝の傾斜は同一となっていることを特徴とするX線エアグリッドの製造方法。
  6. 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のX線エアグリッドの製造方法において、前記弾性体と係合する第2フックの係合部は、曲面状の平滑部となっていることを特徴とするX線エアグリッドの製造方法。
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