JP5162721B1 - 放射性セシウム含有土壌の処理方法 - Google Patents

放射性セシウム含有土壌の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性セシウム含有土壌を連続的に処理しても、加熱処理装置であるロータリーキルンの放射線量を抑制し、処理済み土壌に放射性セシウム含有クリンカが混入しにくい放射性セシウム含有土壌の処理方法を提供すること。
【解決手段】放射性セシウム含有土壌に塩化物を添加して800℃以上の温度で加熱処理し、ロータリーキルン内にクリンカが付着すれば、ロータリーキルンの傾斜を加熱処理時と逆とし、かつ、ロータリーキルンのハンマリング装置を作動させる。このような処理方法とすれば、処理済み土壌と放射性セシウムを含有するクリンカが混合することを防止し得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、セシウム134(134Cs)及びセシウム137(137Cs)のような放射性セシウムを含有する土壌に塩化物を添加した後、ロータリーキルンを用いて加熱処理することにより、セシウムを揮発させて土壌から除去する方法であって、ロータリーキルン内部のクリンカ除去に特徴を有する放射性セシウム含有土壌の処理方法に関する。
建設残土又は廃棄物を焼却した後に生じる焼却灰から、有害な有機分又は可燃分を除去するために、キルンを用いて有機分又は可燃分を焼却することが行われる。特許文献1は、フィーダによって建設残土を回転キルン内に連続的に投入し、キルンの回転によって投入された残土をフィーダの反対側に設けた排出口へと徐々に移送しながら、残土中の有機分の燃焼により生ずる灰を飛灰として搬送する風量の高温の燃焼ガスを回転キルン内に向流で吹き込んで、残土内に含まれる可燃性の有機分を燃焼してその灰を上記燃焼ガスで搬送排出すると共に、残土中の不燃分を上記燃焼ガスに晒すことにより焼成して排出する、建設残土の焼成方法を開示している。
特許文献1の焼成方法では、向流に吹き込まれた高温燃焼ガスにより、残土又は焼却灰に含まれる可燃分が燃焼されると共に、砂、瓦礫、灰等の不燃分を高温の燃焼ガスに晒すことにより焼成される。回転キルン内で焼成された土砂、瓦礫又は灰は、可燃分を含まない無菌化された純度の高い焼砂(焼成土)又は焼成灰となって回転キルンから排出されるため、磁力選鉱によって金属を分別し、さらにふるい選別によって粒径を揃えることが可能とされている。
ロータリーキルンは、原料の投入及び加熱を連続して行え、加熱ムラも少ないという特徴を有しており、有害物質を含有する土壌の加熱処理にも利用される。特許文献2は、PCBのような有機ハロゲン化合物を含有する土壌を、還元型加熱炉内の有効酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下に調整して分解することを特徴とした有機ハロゲン化合物の加熱処理方法を開示しており、還元型加熱炉としては間接加熱型のロータリーキルンが好ましいとされている。
一方、放射性廃棄物の場合には、有機分又は可燃分と異なり、加熱によっても分解することができないため、独自の処理方法が必要となる。特許文献3は、硝酸ナトリウム加熱を主成分とする放射性廃棄物と還元剤とガラス化剤を加熱し、窒素酸化物を発生させることなくガラス固化体を作成することを特徴とする硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の処理方法を開示している。特許文献3の処理方法は、廃棄物が埋設処分され地下水と接触した場合でも、放射性核種の溶出が少なく、また、脱硝及びガラス化処理時に放射性核種の揮発率が低いとされている。
ここで、平成23年3月に発生した東京電力・福島第一原子力発電所の爆発事故の後、福島県を中心とする広範囲な地域において、土壌から放射性セシウムが検出される事態となっている。放射性セシウムに汚染された土壌の除染処理については、水洗浄、加熱下での酸処理、表土剥離、高圧洗浄、又はカルシウム塩存在下での高温処理のような多くの方法が検討されてきたが、実用規模で採用できるレベルの処理方法は開発されていない。その主原因は、土壌中のセシウムの存在形態、セシウム化合物の化学的・物理的特性、及びセシウム化合物と土壌成分との反応挙動が明らかにされていない点にある。
放射性セシウムを含有する汚染土壌から放射性セシウムを除去する技術として、非特許文献1は、汚染土壌にセシウム揮発促進剤として2種類のカルシウム化合物を添加し、1350℃で加熱処理することにより、セシウムを土壌から99.9%揮発させて除去する方法を開示している。また、非特許文献2には、土壌に塩化カルシウムを添加した場合には、土壌を1000℃以上に加熱してもセシウムがほとんど揮発しないことが開示されている。
特開2002−79234号公報 特開2008−272533号公報 特開2002−221593号公報
2012年3月1日朝日新聞記事、http://www.asahi.com/national/update/0301/TKY201203010146.html 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構、2012年2月22日付プレスリリース、「放射性物質を含む汚染土壌等からの乾式セシウム除去技術の開発」について、http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/narc/027564.html
特許文献1の焼成方法は、土壌中から有機分又は可燃分を除去し、土壌を再生する方法としては利用し得るが、セシウム化合物のような無機物を除去対象とはしていない。
特許文献2の土壌の加熱処理方法は、有機ハロゲン化合物を処理対象としており、放射性物質の処理は考慮されていない。
特許文献3の放射性廃棄物の処理方法は、放射性廃棄物をガラス固化体として固定する方法であり、処理後の土壌を再利用することはできない。また、土壌に適用した場合、汚染土壌の体積を減少させることはできないため、大量の土壌について適用することもできない。
非特許文献1のセシウム除去方法は、土壌中のセシウムをほぼ完全に除去できるとされているが、土壌を1300℃以上に加熱する必要があり、エネルギー消費量が大きい。また、そのような高温で加熱処理された場合、処理後の土壌を土壌として再利用することは不可能となる。このため、処理コストが非常に大きく、土壌を減容することができないという問題がある。
一方、本発明者等は、放射性セシウム含有土壌に塩化ナトリウムのような塩化物を添加し、850℃以上に加熱することにより、非特許文献1のセシウム除去方法よりも土壌中に含有されるセシウムを低コストで揮発させることを見出した。ところが、土壌にセシウム揮発促進剤として塩化物を添加し、ロータリーキルンを用いて、塩化物添加後の放射性セシウム含有土壌を連続して加熱処理したところ、ロータリーキルン全体の放射線量が徐々に高くなるという現象が起こった。
ロータリーキルン炉内を点検したところ、内壁にクリンカが付着していた。クリンカの一部を採取して分析した結果、クリンカは添加剤である塩化物に由来する物質と土壌等のダスト成分から構成されており、クリンカに放射性セシウムが濃縮していることが判明した。このクリンカは、一般的なロータリーキルンに付属しているハンマリング装置を稼働させることで、たたき落とすことが可能であった。クリンカを除去することにより、キルン全体の放射線量を下げることもできた。
しかし、このクリンカは、処理対象である土壌に混合して排出されてしまうと、放射性セシウムが処理系外へと拡散してしまう。このため、放射性セシウムを含有するクリンカと、加熱処理後の土壌とが混合させない工夫が必要であり、ハンマリング装置によってクリンカを除去する一般的な方法は採用し難い。
本発明は、放射性セシウム含有土壌の処理方法であって、放射性セシウム含有土壌を連続的に処理しても、加熱処理装置であるロータリーキルンの放射線量を抑制し、処理済み土壌に放射性セシウム含有クリンカが混入しにくい処理方法の提供を目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、放射性セシウム含有土壌に塩化物を添加して加熱処理し、ロータリーキルン内にクリンカが付着すれば、ロータリーキルンの傾斜を加熱処理時と逆とし、かつ、ロータリーキルンのハンマリング装置を作動させれば、処理済み土壌と放射性セシウムを含有するクリンカが混合することを防止し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
放射性セシウム含有土壌に塩化物を添加した後、該土壌をロータリーキルン内で800℃以上に加熱処理しつつ、土壌取出口側から土壌投入口側へとキャリアガスを供給することにより、放射性セシウムを土壌から揮発させる放射性セシウム含有土壌の処理方法であって、
前記土壌投入口が上側となるようにロータリーキルンを傾斜させて、放射性セシウム含有土壌を加熱処理する加熱処理工程と、
ロータリーキルン内を冷却せずに、前記土壌取出口側が上側となるようにロータリーキルンを傾斜させながら、ハンマリングを行うことによってクリンカを剥離させ、前記土壌投入口側に設けられた排出口からクリンカを排出させるクリンカ除去工程と、
を有し、
前記クリンカ除去工程は、ロータリーキルンへの放射性セシウム含有土壌の供給を停止し、
前記加熱処理工程と前記クリンカ除去工程とを交互に実施する、放射性セシウム含有土壌の処理方法に関する。
本発明の処理方法では、加熱処理工程とクリンカ除去工程とを交互に実施する。クリンカ除去工程では、ロータリーキルンへの土壌の供給を停止し、ロータリーキルンの傾斜を加熱処理時と逆にする。この状態でハンマリング装置によってハンマリングを行うことにより、ロータリーキルン内壁から剥離したクリンカは、ロータリーキルン内に残存する少量の処理済み土壌と共に、土壌投入口側の排出口から排出され、土壌取出口側から取り出される処理済み土壌と混合されることがない。
また、本発明の処理方法では、クリンカ除去工程は、ロータリーキルンを冷却してから行うのではなく、ロータリーキルン内が加熱された状態で行われる。放射性セシウム含有土壌を処理する場合、処理対象物が大量に存在するため、連続して加熱処理を行う必要がある。ロータリーキルン内にクリンカが析出して放射線量が高くなることを防止するためには、クリンカ除去工程も頻繁に行う必要があるが、通常のロータリーキルンの運転方法のように、ハンマリングによって剥離したクリンカを除去するたびにロータリーキルンを冷却していたのでは作業効率が低く、しかも、温度変化によってロータリーキルンへの寿命が減少しかねない。
本発明の処理方法では、ロータリーキルン内が加熱された状態でクリンカ除去工程を行うことにより、作業効率を維持しつつ、ロータリーキルンへの負荷も抑制し得る。
前記塩化物は、土壌質量に対する添加量が0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本発明の処理方法に使用し得る塩化物の具体例は、(1) 塩化ナトリウム、塩化カリウム、又は塩化カルシウムのようなアルカリ金属塩化物又はアルカリ土類金属塩化物;(2) PVC(ポリ塩化ビニル)のような有機塩化物である。いずれの塩化物であっても、土壌質量に対する添加量は、0.5質量%以上10質量%以下に調整されることが好ましい。
装置への負荷及び腐食を防止する観点から、塩化ナトリウムのような無機塩化物を使用する場合には、土壌質量に対する無機塩化物の添加量は、0.5質量%以上5質量%以下に調整されることが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下に調整されることがより好ましい。この場合、十分にセシウムを揮発させるために炭酸カルシウム又は酸化カルシウムのような無機カルシウム化合物も土壌に添加することが好ましい。無機カルシウム化合物の添加量は、土壌質量に対して1質量以上30質量%以下であることが好ましい。
前記クリンカ除去工程は、ロータリーキルン内に付着したクリンカの厚みがロータリーキルン内径の1%以上となった場合に行われることが好ましい。
放射性セシウム含有クリンカが大量に付着すると、ロータリーキルンの放射線量が増大し、作業員の被曝リスクも増大する。また、放射性セシウム含有クリンカがロータリーキルン内壁に固着して、ハンマリングによっても除去することが困難になるおそれもある。さらに、成長したクリンカが振動及び土壌との接触による衝撃によって、炉壁から剥がれ落ち、処理済み土壌へ混入するおそれもある。このため、ロータリーキルン内に付着した放射性セシウム含有クリンカの厚みがロータリーキルンの内径の1%以上となった場合には、クリンカ除去工程を行うことが好ましい。
なお、クリンカ除去工程を行うタイミングを、ロータリーキルン内径を基準としたクリンカの厚みで決定する理由は、管体の大きさによって供給される土壌の量が変わり、クリンカの発生速度が変わるためである。また、クリンカが成長過程で剥がれることを想定した場合、処理土壌による希釈効果を考慮して、クリンカ除去工程を開始する目安となるクリンカの厚みは、ロータリーキルン内径に比例させた方が好ましいためである。
放射性セシウム含有クリンカの厚みは、例えば、ロータリーキルンの内部確認用窓を通じて目視で確認し得る。音波照射又は壁温測定によって、外部からクリンカの厚みを測定してもよい。また、事前に運転条件に基づいて、運転時間と炉壁に対するクリンカの付着量との関係式を求めておき、所定時間運転毎にクリンカ除去工程を実施するようにしてもよい。
前記ロータリーキルンは、内壁に土壌を攪拌するための突起を有し、
前記クリンカ除去工程において、ロータリーキルンの回転方向を反転することが好ましい。
このような突起がある場合、処理土壌の滞留時間を管理しやすく、確実に所定温度、所定時間処理することができる。また、伝熱面積が増えることによって効率良く土壌を加熱できる。また、クリンカ除去工程時には回転方向を反転(逆転)させることによって、炉内での土壌の移動方向を制御できるため、クリンカ除去工程時に炉壁から除去されたクリンカが処理済み土壌へ混入することを確実に防止し得る。
前記ロータリーキルンは、間接加熱型ロータリーキルンであり、
前記ハンマリングを行うハンマリング装置は、ロータリーキルンの間接加熱装置の前記土壌投入口側に隣接する位置に設置されていることが好ましい。
間接加熱型ロータリーキルンの場合、発生する排ガス量を低減できるという利点がある。直接燃焼させる場合、燃焼のために空気をロータリーキルン内部に供給する必要があるが、直接加熱型ロータリーキルンで燃焼のために供給された空気は、排ガスとして処理されることになり、排ガス処理系への負荷が大きくなる。さらに、燃焼時にH2Oが発生するため、排ガス処理時にスクラバーを利用する場合、処理する排水の量も増加する。
一方、間接加熱型ロータリーキルンにおいては、加熱装置が電気炉の場合には燃焼用の空気が不要である。また、燃焼ガスによる間接加熱を行う加熱装置の場合でも、炉の加熱に利用した排ガスは、炉内の排ガスとは別の処理系(一般的な排ガス処理)によって処理すればよいため、放射性排ガス処理系の負荷を低減することができる。
放射性セシウム含有クリンカは、ロータリーキルン内壁の内、間接加熱装置(外部加熱装置)の土壌投入口側に隣接する位置に析出することが確認されている。このため、この部分をハンマリングできる位置にハンマリング装置を設けることにより、効率よく放射性セシウム含有クリンカをロータリーキルン内壁から剥離させることが可能となる。
本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法によれば、ロータリーキルンの放射線量の増大を抑制しつつ、連続して土壌処理を行い得る。また、本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法によれば、処理済み土壌への放射性セシウム含有クリンカ混入も防止し、ロータリーキルンの負荷も小さい。
本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法における加熱処理工程を説明する図を示す。 管体2の断面図を示す。(a)は垂直方向の断面図、(b)は水平方向の断面図である。 本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法におけるクリンカ除去工程を説明する図を示す。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
(加熱処理工程)
図1は、本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法における加熱処理工程を説明する図を示す。ロータリーキルン1は、管体2の周囲に外部加熱装置3が設けられた間接加熱型ロータリーキルンである。放射性セシウム含有土壌は、塩化物を添加された後、土壌投入口4から投入され、スクリューコンベア5を経て管体2へと供給される。そして、放射性セシウム含有土壌は、管体2内部を図面上、左側から右側へと移動する。その間に管体2内で850℃以上の温度に加熱処理される。一定時間以上加熱処理された後、土壌取出口8から処理済み土壌が排出される。
ロータリーキルン1には、送風機6が取り付けられており、管体2内にキャリアガスが供給される。管体2内で土壌から揮発した放射性セシウムは、送風機6によって供給されたキャリアガスと共に排気口7から排ガスとして排気される。この排ガスは、必要に応じて減温塔へと供給されて冷却された後、バグフィルター、HEPAフィルター、又は湿式スクラバーによって放射性セシウムが捕集される。
キャリアガスとしては、空気の他に、不活性ガス(例えば窒素又はアルゴン)を利用することができる。また、空気及び不活性ガスを混合して利用してもよい。
バグフィルター又はHEPAフィルターを用いて、乾式で放射性セシウムが回収された場合、当該回収物及び当該回収物が付着したフィルター類をそのまま他の有害物質等と共に容器内に貯留し、遮蔽された管理型処分場に埋め立ててもよく、溶融処理によってガラス化すると共に溶出しないように封じ込め、同様に管理型処分場に埋め立てられてもよい。また、コンクリートと混練して固化された後に、管理型処分場に埋め立ててもよい。
また、土壌から揮発した放射性セシウムは、塩化セシウムのように水に溶解しやすい化合物として揮発しており、バグフィルター又はHEPAフィルターの代わりに、湿式スクラバーを用いてこのようなセシウム化合物を水に溶解させることが可能である。湿式スクラバーの洗浄水をろ過処理し、水に溶解しない固体成分を分離し、洗浄水中のセシウム化合物を逆浸透膜(RO膜)装置によって濃縮したり、吸着材を利用した吸着処理によって分離したりしてもよい。濃縮又は吸着処理を行うことにより、最終処分が必要な放射性廃棄物量を減量化できる。吸着材は、乾式でセシウムを回収する場合と同様に、容器内に貯留、溶融処理、又はコンクリートを利用した固形化処理を行い、管理型処分場に埋め立てられてもよい。
図2は、管体2の断面図を示し、(a)は垂直方向の断面図、(b)は水平方向の断面図である。管体2の内壁には、ガイド翼13(13(a)〜13(e))が突起として形成されており、管体2を回転させた場合に、内部の土壌を攪拌し、加熱ムラを防止する。管体2の内壁に設けられる突起は、ガイド翼13に限定されず、ロータリーキルンの回転時に確実に土壌を進行方向に移動させる構造であれば足り、例えば、1本の螺旋状の突起であってもよい。
このような突起は、ロータリーキルン軸方向に垂直な面に対して所定の角度(例えば、5〜45度)に傾斜させて設置すればよい。突起を設けることによって、ロータリーキルンを回転させると、突起によって土壌が進行方向に押されながら進むため、確実に所定方向に土壌を移動させることができる。また、炉内で分散しすぎることなく土壌を移動できるため、滞留時間の調整が行いやすくなる。本発明においては、滞留時間はロータリーキルンの傾斜、回転速度、土壌投入量又は突起の取付角度によって制御することができる。
加熱処理工程においては、ロータリーキルン1は、土壌投入口4が上側、土壌取出口8が下側となるように傾斜した状態で運転される。傾斜角度は、特に限定されないが、0.5〜2度傾斜するようにすることが滞留時間の制御の観点から好ましい。具体的にはロータリーキルンの土台部分に油圧ピストンが設けられ、これを操作することによってロータリーキルンの傾斜を変更する。処理土壌排出部分又は排ガス排出部分のように、他の装置と接続された部分は伸縮可能な構造とすることによって、ロータリーキルンの傾斜の変更によって配管自体が外れたり、位置がずれたりすることに起因する不具合を抑制できる。
図1においては、ロータリーキルン1は、時計回りに回転している。土壌取出口8から取り出された処理済み土壌は、無機塩化物が添加されていた場合には、水と接触させることにより、含有されている無機塩化物を除去される。脱塩方法としては、公知の脱塩処理方法を採用し得るが、例えば、加熱処理後の土壌を水で洗浄する脱塩方法が採用され得る。この場合、洗浄水に溶出した無機塩化物は、RO膜装置を用いて濃縮処理した後、蒸発濃縮によって析出させ、回収されることが可能である。
また、土壌を高温で(例えば、ロータリーキルンの後段側において)、水蒸気と接触させることによって、土壌中に含有されている無機塩化物由来の塩素原子を水蒸気と反応させ、塩素ガスとして除去する方法も採用され得る。この場合、排出される塩素ガスは、加熱工程において排出される排ガスと混合して処理されてもよく、別個の排気系として排ガスと同じ方法によって処理されてもよい。
本発明者等は、塩化物を添加された土壌を連続して加熱処理すると、図1に示されるような箇所に放射性セシウム含有クリンカ12が発生しやすいことを発見した。この理由として、塩化物の添加によって揮発しやすくなった成分が加熱部分(高温部分)で揮発した後、外部加熱装置3から離れた位置では炉壁(内壁)の表面温度が低下するため、この部分で揮発した塩化化合物が析出又は凝集する。この際に、セシウムも同様に凝集又は析出することによって、放射性セシウム含有クリンカ12が形成されることが推測される。なお、放射性セシウムをほとんど含まない場合でも、揮発した重金属がクリンカ内に付着することが起こり得る。放射性セシウム含有クリンカ12の厚みが例えば1mm以上となれば、ロータリーキルン1への土壌の供給を停止する。
(クリンカ除去工程)
図3は、本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法におけるクリンカ除去工程を説明する図を示す。土壌投入口4からの土壌供給を停止し、送風機6からの管体2内へのキャリアガス供給は継続させる。外部加熱装置3はオンとしたまま、前述した油圧ピストンを操作し、ロータリーキルン1の傾斜を加熱処理工程と逆にする。すなわち、図3に示されるように、土壌投入口4が下側、土壌取出口8が上側となるように傾斜した状態とする。傾斜角度は特に限定されないが、0.5〜4度とすることが、クリンカを確実に排出する点から好ましい。また、管体2は、反時計回りに回転させる。そして、この状態でハンマリング装置11a及び11bによってハンマリングを行う。
なお、ロータリーキルンの内壁に突起がある場合、反時計回りに回転させることで内容物が逆方向に進んでセシウムが除去された後の土壌が排出されるのを防ぎ、剥離させたクリンカのみを排出することができる。一方で、ロータリーキルンの内壁に突起が無い場合、反時計回りに回転させる必要は無く、傾斜のみを変え、通常の加熱処理時と同じ回転方向に回転させた状態でクリンカ除去工程を実施すれば足りる。
ハンマリングによって、クリンカ12(放射性セシウム含有クリンカ)が管体2の内壁から剥離する。このとき、管体2の内部に、加熱処理中の土壌の一部が残存していても構わない。クリンカ12及び残存土壌は、排出口9から排出され、固形放射性廃棄物として公知の処理方法によって最終処分される。本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法では、放射性セシウムを含有するクリンカは、土壌取出口8から取り出さないため、加熱処理済みの土壌にクリンカが混入することを防止し得る。
ハンマリングを行う位置は特に限定されないが、クリンカが最も発生していると考えられる箇所で行うことが好ましい。このような部分としては、土壌を供給する側であって、内壁の温度が加熱部分に比べて急激に下がっている部分が挙げられる。
通常、管体2からのクリンカ取り出しは、被処理物に混ぜて一緒に排出させる、又は管体2を冷却後、管体2の傾斜を変更して行う。しかし、本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法では、加熱処理後の土壌にクリンカが混ざることなく、また外部加熱装置3を作動させたままクリンカ除去工程を行うため、管体2の温度変化が小さく、管体2の寿命に与える影響が小さくて済む。
クリンカ12及び残存土壌が排出口9から排出された後、管体2の傾斜及び回転方向を逆転させ、送風機6も稼働させ、新たな加熱工程を行う。そして、管体2内壁に析出したクリンカ12の厚みが、例えば1mm以上となれば、クリンカ除去工程を行う。前述したように、クリンカの厚みがロータリーキルン内径の1%以上になった時点で、クリンカ除去工程を行うことが好ましい。
また、本実施形態では、ロータリーキルンのみを、油圧ピストンを用いて傾斜させる構成としたが、これに限定されず、図示されていない土壌供給部又は排ガス処理部も土台上又はコンテナ内に設置し、土台又はコンテナ自体を油圧ピストンを用いて傾斜させる構成としてもよい。
本発明の放射性セシウム含有土壌の処理方法は、放射線処理及び土壌処理分野において有用である。
1:ロータリーキルン
2:管体
3:外部加熱装置
4:土壌投入口
5:スクリューコンベア
6:送風機
7:排気口
8:土壌取出口
9:排出口
10:土壌
11a,11b:ハンマリング装置
12:クリンカ(放射性セシウム含有セシウム)
13a〜13e:ガイド翼
14:モータ

Claims (5)

  1. 放射性セシウム含有土壌に塩化物を添加した後、該土壌をロータリーキルン内で800℃以上に加熱処理しつつ、土壌取出口側から土壌投入口側へとキャリアガスを供給することにより、放射性セシウムを土壌から揮発させる放射性セシウム含有土壌の処理方法であって、
    前記土壌投入口が上側となるようにロータリーキルンを傾斜させて、放射性セシウム含有土壌を加熱処理する加熱処理工程と、
    ロータリーキルン内を冷却せずに、前記土壌取出口側が上側となるようにロータリーキルンを傾斜させながら、ハンマリングを行うことによってクリンカを剥離させ、前記土壌投入口側に設けられた排出口からクリンカを排出させるクリンカ除去工程と、
    を有し、
    前記クリンカ除去工程は、ロータリーキルンへの放射性セシウム含有土壌の供給を停止し、
    前記加熱処理工程と前記クリンカ除去工程とを交互に実施する、放射性セシウム含有土壌の処理方法。
  2. 前記塩化物は、土壌質量に対する添加量が0.5質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の放射性セシウム含有土壌の処理方法。
  3. 前記クリンカ除去工程は、ロータリーキルン内に付着したクリンカの厚みが、ロータリーキルン内径に対して1%以上の厚みとなった場合に行われる、請求項1又は2に記載の放射性セシウム含有土壌の処理方法。
  4. 前記ロータリーキルンは、内壁に土壌を攪拌するための突起を有し、
    前記クリンカ除去工程において、ロータリーキルンの回転方向を前記加熱処理工程と反転させる、請求項1乃至3に記載の放射性セシウム含有土壌の処理方法。
  5. 前記ロータリーキルンは、間接加熱型ロータリーキルンであり、
    前記ハンマリングを行うハンマリング装置は、ロータリーキルンの間接加熱装置の前記土壌投入口側に隣接する位置に設置されている、請求項1乃至4に記載の放射性セシウム含有土壌の処理方法。
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