JP5937259B1 - 放射性物質除去方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、細孔を通じて炉壁の内部にまで放射性物質が侵入している場合や炉壁表面がスラグ層などにより閉塞している場合には、放射性物質の揮発が起こり難くなるため、空焼き処理を実行して炉内を高温に加熱した場合でも、放射性物質を完全には除去できない場合があった。
前記加熱処理の実行により前記放射性物質が付着する炉壁の内面側を除去する内面除去処理を実行し、
前記炉壁が、外面側に敷設された耐火物の内面側に当該耐火物よりも摩耗し易いコーティング層を形成して構成され、
前記内面除去処理が、前記加熱処理において前記炉内で前記処理対象物を流動させて、当該流動する処理対象物との接触により前記コーティング層の内面側を除去することにより、当該コーティング層に付着した放射性物質を同コーティング層の素材ごと削り取り、同コーティング層への放射性物質の蓄積を回避する処理である点にある。
即ち、上記加熱処理を実行して処理対象物から揮発除去された放射性物質が炉壁の内面側に付着し耐火物等の素材に強固に吸着した場合でも、上記内面除去処理を実行して炉壁の内面側を除去することで、当該炉壁の内面側に強固に吸着した放射性物質を炉壁の素材ごと削り取ることができる。すると、炉壁への放射性物質の蓄積および炉壁内への浸透・拡散が回避され、それに起因する炉内の空間線量率の上昇が防止されることになる。また、この内面除去処理については、炉内の加熱を伴わないため、エネルギ消費を抑制することができる。
更に、本構成によれば、上記加熱処理において炉内で処理対象物を流動させることで、当該流動する処理対象物との接触により炉壁の内面側に摩擦力又は衝突力を生じさせることができる。更に、耐火物の内面側に当該耐火物よりも摩耗し易いコーティング層を形成することで、流動する処理対象物との接触により生じた摩擦力又は衝突力によりそのコーティング層を好適に摩耗させる形態で、上記内面除去処理を実行することができる。従って、放射性物質がコーティング層に付着した場合でも、上記内面除去処理を実行してコーティング層の内面側を除去することで、当該コーティング層に付着した放射性物質を同コーティング層の素材ごと削り取り、同コーティング層への放射性物質の蓄積を好適に回避することができる。
また、上記内面除去処理により削り取られたコーティング層の素材は、炉内において加熱処理が施されている処理対象物に混入するので、追加のエネルギ消費を発生させることなく、処理対象物と同時に加熱処理を施すことができ、放射性物質を揮発除去した上で適性に処分することができる。
本発明の第1実施形態について図1に基づいて説明する。
図1に示す放射性物質除去システムは、放射性セシウム(放射性物質の一例)を含む処理対象物Aから放射性セシウムを揮発除去する放射性物質除去方法を実施するためのシステムとして構成されている。よって、このシステムには、当該処理対象物Aを炉内3aで加熱する加熱処理を実行する加熱処理部Xが設けられている。
これにより、炉内3aでは、処理対象物Aを燃焼ガスに接触させて加熱する形態で加熱処理が実行されることになる。
尚、本実施形態では、ロータリーキルン1を、排ガスEが処理対象物Aに並行して流れる並行流方式としたが、排ガスEが処理対象物Aに対向して流れる対向流方式としても構わない。
このような放射性物質除去システムでは、放射性物質を含む処理対象物Aを炉内3aで加熱すると、炉壁32の内面側に放射性物質が表面付着した後、長期間の連続運転により耐火物等の素材に強固に吸着し一部は炉壁32の内部に拡散浸透して蓄積され、炉内3aの空間線量率が高くなるという問題がある。
そこで、本実施形態の放射性物質除去システムでは、エネルギの浪費を抑制しつつ、炉壁32への放射性物質の蓄積による空間線量率の上昇を防止するための内面除去処理手段Yが設けられており、その詳細について以下に説明を加える。
更に、加熱処理において回転駆動部10によりキルン本体3が回転駆動されるので、当該キルン本体3の内部に形成された炉内3aでは処理対象物Aがコーティング層34の内面側に沿って流動し、結果、そのコーティング層34の内面側には流動する処理対象物Aとの接触により摩擦力又は衝突力が生じることになる。
即ち、耐火物33の内面側に形成されたコーティング層34と、キルン本体3を回転駆動する回転駆動部10とが、加熱処理において炉内3aで処理対象物Aを流動させて、当該流動する処理対象物Aとの接触によりコーティング層34を除去する内面除去処理を実行するための内面除去処理手段Yとして機能することになる。
また、このコーティング層34は、上記内面除去処理により経時的に減肉されるが、定期的な補修工事により再構築することができる。
また、本実施形態において、コーティング層34は、本体ケーシング31の内面側の全域に形成されているが、例えば、放射性物質の蓄積が問題となる部分にのみコーティング層34を形成しても構わない。
次に、本発明の第2実施形態について図3に基づいて説明する。
尚、本実施形態は、上述した第1実施形態に対して、主に内面除去処理手段Yに関する構成のみが異なる。よって、他の同様の構成については、図面において同じ符号を付すと共に、詳細な説明は割愛する場合がある。
すると、当該炉壁32の内面側に付着した放射性物質は、当該炉壁32の素材ごと削り取られ、炉壁32への放射性物質の蓄積が好適に回避されることになる。
(1)上記実施形態では、加熱処理部Xを、加熱処理において炉内3aで処理対象物Aが流動するロータリーキルン1で構成したが、流動床式加熱炉やストーカ炉などの別の加熱炉で構成しても構わない。
3a 炉内
32 炉壁
34 コーティング層
A 処理対象物
X 加熱処理部
Y 内面除去処理手段
Claims (3)
- 放射性物質を含む処理対象物を炉内で加熱する加熱処理を実行する放射性物質除去方法であって、
前記加熱処理の実行により前記放射性物質が付着する炉壁の内面側を除去する内面除去処理を実行し、
前記炉壁が、外面側に敷設された耐火物の内面側に当該耐火物よりも摩耗し易いコーティング層を形成して構成され、
前記内面除去処理が、前記加熱処理において前記炉内で前記処理対象物を流動させて、当該流動する処理対象物との接触により前記コーティング層の内面側を除去することにより、当該コーティング層に付着した放射性物質を同コーティング層の素材ごと削り取り、同コーティング層への放射性物質の蓄積を回避する処理である放射性物質除去方法。 - 前記コーティング層が、ゼオライト、カオリナイト、イライト、バーミキュライト、マグネシア、カルシア、シリカ、珪藻土から選択される材料をコーティングして形成されている請求項1に記載の放射性物質除去方法。
- 前記加熱処理をロータリーキルンで実行する請求項1又は2に記載の放射性物質除去方法。
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