JP6602822B2 - 放射性セシウムの除去方法および処理施設 - Google Patents

放射性セシウムの除去方法および処理施設 Download PDF

Info

Publication number
JP6602822B2
JP6602822B2 JP2017138514A JP2017138514A JP6602822B2 JP 6602822 B2 JP6602822 B2 JP 6602822B2 JP 2017138514 A JP2017138514 A JP 2017138514A JP 2017138514 A JP2017138514 A JP 2017138514A JP 6602822 B2 JP6602822 B2 JP 6602822B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radioactive cesium
fly ash
exhaust gas
treatment
hydrogen chloride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017138514A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019020241A (ja
Inventor
雄彦 杉山
常平 山本
利雄 濱
静治 福士
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanadevia Corp
Original Assignee
Hitachi Zosen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Zosen Corp filed Critical Hitachi Zosen Corp
Priority to JP2017138514A priority Critical patent/JP6602822B2/ja
Publication of JP2019020241A publication Critical patent/JP2019020241A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6602822B2 publication Critical patent/JP6602822B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Chimneys And Flues (AREA)
  • Incineration Of Waste (AREA)

Description

本発明は、放射性セシウムを含む処理対象物を加熱処理することにより発生する排出ガスの処理方法等に関する。
従来、放射性セシウムを含む処理対象物に分離促進剤を添加して加熱処理することにより放射性セシウムを塩化揮発させる技術が知られている。このような放射性セシウムの除去技術では、加熱炉からの排ガスに塩化水素などの酸性ガスが含まれている。
そのため、排ガスに中和剤を添加して、酸性ガスを除去する必要があるが、酸性ガスと反応した反応済みの中和剤が廃棄物となっていた。そこで、廃棄物の減量化を図るために、中和剤添加後の排ガスから集塵したダストを、放射性セシウムを揮発除去するための反応促進剤として再利用する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術では、排ガス中の酸性ガスを除去するための中和剤として消石灰、生石灰、ドロマイト、軽焼ドロマイト及び水酸化ドロマイト等からなる調合原料を使用している。また、中和剤添加後の排ガスから集塵したダストは、消石灰、石膏、塩化カルシウムが主成分であり、放射性セシウムを揮発除去するための反応促進剤のCaO源やCl源として再利用される。
特開2016−170130号公報(2016年9月23日公開)
ところで、中和剤添加後の排ガスから集塵したダストを、放射性セシウムを揮発除去するための反応促進剤として再利用するためには、当該ダストの融点以上の加熱温度で放射性セシウムを含む処理対象物を処理する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、処理対象物を1200℃以上1550℃以下という高温で処理する必要があり、非常に大きな熱量を必要としていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、排出ガスから捕集した脱塩飛灰を、低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離可能な分離促進剤として利用することができる排出ガスの処理方法等を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る排出ガスの処理方法は、放射性セシウムを含む処理対象物に塩素源を少なくとも含む分離促進剤を添加して加熱処理することにより発生する排出ガスの処理方法であって、塩化水素と反応する処理剤により上記排出ガスから少なくとも塩化水素を除去する除去工程と、上記除去工程で生じた、塩化水素と反応した上記処理剤を少なくとも含む脱塩飛灰を捕集する捕集工程と、を含み、上記処理剤は、上記脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるように調製される。
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る処理施設は、放射性セシウムを含む処理対象物に塩素源を少なくとも含む分離促進剤を添加して加熱処理する処理施設であって、塩化水素と反応する処理剤を上記排出ガスに供給して、該排出ガスから少なくとも塩化水素を除去する薬剤供給装置と、上記薬剤供給装置による除去の際に生じた、塩化水素と反応した上記処理剤を少なくとも含む脱塩飛灰を捕集する集じん装置と、上記分離促進剤の少なくとも一部として、上記集じん装置が捕集した上記脱塩飛灰が添加された上記処理対象物を加熱する加熱炉と、を含み、上記処理剤は、上記脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるように調製されたものである。
本発明の一態様によれば、捕集工程で捕集した脱塩飛灰を、低い焼却温度で焼却対象物から放射性セシウムを分離可能な分離促進剤として利用することができるという効果を奏する。
処理施設における処理の流れを示す図である。 処理施設の概略構成を示す図である。 低融点塩化物の組成と融点とを示す図である。 NaCl−CaClの相平衡図である。 温度180℃の排ガス中に含まれる塩化水素に対する重曹の当量比と塩化水素の除去率との関係を示す図である。 温度150℃、180℃、および210℃の排ガス中に含まれる塩化水素に対する消石灰の当量比と塩化水素の除去率との関係を示す図である。 本発明の実施例および比較例における処理対象物である廃棄物の組成を示す図である。 試験条件と試験結果とを示す図である。
本発明の一態様に係る排出ガスの処理方法は、放射性セシウムを含む処理対象物に塩素源を少なくとも含む分離促進剤を添加して加熱処理することにより発生する排出ガスの処理方法であって、塩化水素と反応する処理剤により上記排出ガスから少なくとも塩化水素を除去する除去工程と、上記除去工程で生じた、塩化水素と反応した上記処理剤を少なくとも含む脱塩飛灰を捕集する捕集工程と、を含み、上記処理剤は、上記脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるよう調製される。また、本発明の一態様においては、除去工程および捕集工程の他に、必要に応じて、添加工程、加熱工程等を含んでもよい。各工程については後述する。
以下、本発明の一態様に係る排出ガスの処理方法の一実施形態について説明する。本実施形態に係る処理施設100は、放射性のセシウム(Cs)を含む処理対象物に分離促進剤を添加して加熱処理することにより、処理対象物の放射性セシウム含量を低下させ、また処理対象物を減容化する施設である。
〔処理施設における処理の流れ〕
図1を参照して、処理施設100における処理の流れを説明する。図1は、処理施設100における処理例を示す図である。
(S1:破砕工程)
本発明の一態様に係る排出ガスの処理方法は、破砕工程を含んでもよい。本実施形態では、まず、放射性セシウムを含む、除染廃棄物、片付けごみ、災害廃棄物等の処理対象物が、例えばフレキシブルコンテナ等の荷姿で処理施設100に搬送される。処理施設100では、破砕処理を行ない、これらの処理対象物を破砕する。本実施形態では、処理対象物が可燃物であり、これを焼却することを想定しているから、処理対象物は焼却対象物とも言える。
なお、上記処理対象物は、放射性セシウムを含む、土壌、下水汚泥、あるいは別工程で発生した焼却主灰や焼却飛灰等であってもよい。また、上記処理対象物は、放射性セシウムをほとんど含まない部分(例えば、土壌の場合、砂、石)を予め取り除いて得られる、放射性セシウムが濃縮された中間処理物であってもよい。
(S2:分離促進剤添加工程)
本発明の一態様に係る排出ガスの処理方法は添加工程を含んでもよい。添加工程では、2種類以上の塩化物を含み、かつそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩を含む、セシウムの分離促進剤を処理対象物に添加する。
分離促進剤とは、放射性セシウムを含む処理対象物からの放射性セシウムの加熱分離を促進するものである。本発明の一態様で用いる分離促進剤は、2種類以上の塩化物を用いて調製した、融点が600℃以下である低融点塩化物を含む。分離促進剤には、塩素源としての上記低融点塩化物が少なくとも含まれていればよい。また、処理対象物からの放射性セシウムの除去率を向上させるという観点から、分離促進剤にはカルシウム源がさらに含まれていることが好ましい。より詳細には、分離促進剤は、該分離促進剤を添加した後の処理対象物中のカルシウム濃度が、CaO換算で5wt%(重量%)以下になるように調製されていることが好ましく、1〜2wt%になるように調製されていることがさらに好ましい。カルシウム源としては、例えば、塩化カルシウム、消石灰(水酸化カルシウム)、生石灰(酸化カルシウム)、および炭酸カルシウムの少なくとも何れかを用いることができる。
また、分離促進剤は、該分離促進剤を添加した後の処理対象物中のCl濃度が0.9wt%以上となるように塩素源の量が調製されていることが好ましく、0.9〜2wt%になるように塩素源の量が調製されていることがさらに好ましい。塩素源としては、例えば塩化カルシウムおよび塩化ナトリウム等の塩化物を含む低融点塩化物が好適である。例えば、NaClとCaClとを含む、融点が600℃以下の混合物または複塩を分離促進剤として用いてもよい。この場合、融点は600℃以下で低いほど好ましく、例えば500℃程度の融点のものを用いることがより好ましい。
本実施形態では、上記添加工程を分離促進剤添加工程と称する。分離促進剤添加工程では、破砕した処理対象物に分離促進剤を添加する。
(S3:焼却工程)
本発明の一態様に係る排出ガスの処理方法は、加熱工程を含んでもよい。加熱工程は、分離促進剤が添加された処理対象物を加熱して、当該処理対象物から放射性セシウムを揮散させる工程である。加熱工程では、処理対象物に含まれる放射性セシウムが、加熱工程によって揮発するか、または、水溶性の放射性セシウムとなって、ほぼ除去されるように、添加工程における分離促進剤の添加量と、加熱工程における加熱温度および加熱時間とが調整される。
本実施形態では上記加熱工程を焼却工程と称する。焼却工程では、分離促進剤を添加した処理対象物を焼却する。焼却温度は900℃以上、焼却時間は2時間以上とすればよりよく、焼却温度は1000℃以下、焼却時間は4時間以下とすることが好ましい。焼却により、処理対象物に含まれる放射性セシウムが、加熱工程後の処理物である焼却主灰中に水溶性の塩化セシウム(CsCl)として取り込まれる。焼却主灰中に、水溶性のCsClとして取り込まれた放射性セシウムの一部は、焼却主灰から塩化揮発して、排ガス中に含まれる。残りの放射性セシウムは、焼却主灰中に水溶性のCsClとして残留する。
(S4:冷却工程)
本発明の一態様に係る放射性セシウムの除去方法は、冷却工程を含んでもよい。冷却工程では、処理対象物を焼却することによって排出された排ガス(排出ガス)を冷却する。排ガスの冷却は、冷却水により行われる構成であってもよいし、冷却空気により行われる構成であってもよいし、冷却水と冷却空気とを併用して行われる構成であってもよい。排ガスを冷却することにより、排ガスに含まれていたCsCl等のガス状の塩類が、固形の塩類となる。
(S5:剥離剤添加工程)
本発明の一態様に係る放射性セシウムの除去方法は、剥離剤添加工程を含んでもよい。剥離剤添加工程では、冷却により発生した固形の塩類を含む排ガスに剥離剤(ろ過助剤)を添加する。この剥離剤により、後述する除じん工程において、圧力損失の低減や除じん飛灰の剥離が容易になる。
(S6:第1除じん工程)
本発明の一態様に係る放射性セシウムの除去方法は、第1除じん工程を含んでもよい。第1除じん工程では、排ガス中から塵状の固形物を除じんする。ここでは、排ガスに含まれていたばい塵やセシウム塩(CsCl)などの固形物が除じん飛灰として捕集される。
(S7:処理剤添加工程)
本発明の一態様に係る放射性セシウムの除去方法は、塩化水素と反応する処理剤により排ガスから少なくとも塩化水素を除去する除去工程を含む。本実施形態では上記除去工程を処理剤添加工程と称する。処理剤は、上記脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるよう調製される。
処理剤添加工程では、S6で除じん飛灰を取り除いた後の排ガスに処理剤を添加する。除じん飛灰を取り除いた後の排ガスには、塩化水素(HCl)などの酸性ガスが含まれている。また、ダイオキシン等の有毒物質が含まれていることもある。処理剤は、排ガスから上述の塩類や有毒物質を除去するために添加されるものであり、例えば、消石灰、重曹、活性炭などを含むものであってもよい。処理剤は、排ガス中に含まれたHClなどの酸性ガスと反応する。
(S8:第2除じん工程)
本発明の一態様に係る放射性セシウムの除去方法は、塩化水素と反応した処理剤を少なくとも含む脱塩飛灰を捕集する捕集工程を含む。本実施形態では上記捕集工程を第2除じん工程と称する。
第2除じん工程では、HClなどの酸性ガスと反応することによって生じた処理剤の反応生成物と、未反応の処理剤を排ガス中から除じんする。詳細は後述するが、ここでは、NaClおよびCaClを主成分として含む脱塩飛灰が捕集される。なお、S6で除じん飛灰が捕集され、S8で脱塩飛灰が捕集された後の浄化された排ガスは、空気中に排出される。
(S9:分離促進剤(脱塩飛灰)添加工程)
S8で捕集された、NaClおよびCaClを主成分として含む脱塩飛灰を、分離促進剤として焼却対象物に添加する。
本実施形態では、S7で排ガスに添加される処理剤は、S8で捕集されるNaClおよびCaClを主成分として含む脱塩飛灰が、融点が600℃以下の低融点塩化物となるように調製されている。これにより、S8で捕集される脱塩飛灰をS2で焼却対象物に添加する分離促進剤として用いることができる。よって、新規投入が必要な分離促進剤の量を削減するとともに、焼却飛灰量の増大を抑制する効果が得られる。
(S10:焼却主灰洗浄工程)
本発明の一態様に係る放射性セシウムの除去方法は、加熱により処理対象物から揮散しなかった放射性セシウムを含む加熱処理物を洗浄液で洗浄して該加熱処理物から放射性セシウムを除去する焼却主灰洗浄工程を含んでもよい。S3で処理対象物を焼却したことによって発生した、放射性セシウムが水溶性のCsClとして残留した焼却主灰を水洗浄する。水溶性のCsClは、水洗浄により大部分が除去される。水洗浄後に残る固形物である焼却主灰は、放射性セシウム濃度が埋め立て処分する廃棄物におけるCs濃度の基準値である8,000(Bq/kg)以下であれば、そのまま処分可能である。一方、放射性セシウム濃度が基準値を超えていれば、溶融処理により減容化すると共に、放射性セシウム濃度をさらに低下させる。溶融処理によって生じた溶融スラグは、放射性セシウム濃度が上述の基準値以下であれば、土木資源などとして再資源化することができる。なお、基準値は、上記の例に限られず、法令等や処分の方法等に応じた基準値を用いて、そのまま処分するか溶融処理に供するかを判定してもよい。例えば、一般食品等に用いられる100(Bq/kg)のような低い値の基準値を用いてもよい。
また、焼却主灰を水洗浄した後の、水溶性のCsClを含む灰汚水は、S4において排ガスに噴霧する冷却水として用いることができる。このように、焼却主灰を水洗浄した後の灰汚水を排ガスに噴霧する冷却水として用いることで、灰汚水を有効活用することができる。また、冷却水として噴霧されたCsClは、S6において除じん飛灰として捕集することができる。
〔処理施設の構成〕
次に図2を参照して、処理施設100の構成について説明する。処理施設100は、廃棄物を焼却処理する処理施設である。処理施設100は、破砕機2、廃棄物搬送装置3、廃棄物ピット4、クレーン5、焼却炉7、焼却主灰洗浄装置9、ガス冷却塔10、熱交換器11、および、集じん装置12(12A、12B)を備えている。
破砕機2は、処理対象物として受け入れた廃棄物1を破砕する機械である。図1の破砕工程(S1)は、破砕機2を用いて行うことができる。また、廃棄物搬送装置3は、破砕機2で破砕した廃棄物1を搬送するコンベヤ等の装置である。そして、廃棄物ピット4は、廃棄物搬送装置3によって破砕機2から搬送された破砕された廃棄物1を一時貯留する貯蔵所である。クレーン5は、廃棄物ピット4内に貯留された廃棄物1を、撹拌するとともに、焼却炉7に供給する機械である。
焼却炉7は、廃棄物1を焼却する設備である。焼却炉7は、例えば、ストーカ式焼却炉、ロータリーキルン型焼却炉、およびそれらを併用した焼却炉などであってもよい。図2の焼却炉7はストーカ式焼却炉である。図1の焼却工程(S3)は、焼却炉7を用いて行うことができる。なお、本実施形態の技術は、焼却炉7以外にも、焼成炉や、廃棄物または焼却灰用の溶融炉などにも適用可能な技術である。
なお、図1の分離促進剤添加工程(S2)は、廃棄物1を焼却炉7で焼却する焼却工程の前に行われる。例えば、分離促進剤6は、廃棄物ピット4内でクレーン5によって混合撹拌されてもよい。また、例えば、分離促進剤6は、廃棄物1を焼却炉7に供給するための装置の前段にホッパやシュートなどの装置を設けて、当該装置にコンベヤ等の搬送装置を用いて供給されてもよい。さらに、例えば、分離促進剤6は、焼却炉7の温度域の比較的低いエリア、例えば、焼却炉7の廃棄物供給側に近いエリアである所謂乾燥段に直接供給されてもよい。
廃棄物1へ添加する分離促進剤6の形状は、固形物、スラリー(懸濁体)、および、水溶液の少なくとも何れか1つである。どのようにして分離促進剤6を廃棄物1に添加するかに応じて、どのような形状・状態の分離促進剤6を用いるかを決めればよい。例えば、上述したように、廃棄物ピット4内で廃棄物1と分離促進剤6とを混合撹拌する場合には、分離促進剤6は固形物の形状であるのが望ましい。この場合に、スラリー、または、水溶液の形状の分離促進剤6を用いると、分離促進剤6が廃棄物ピット4の底面に流下し、クレーン5での焼却炉7への搬送が困難になる可能性が考えられるためである。
また、焼却炉7の前段に搬送装置によって分離促進剤6を供給する場合には、分離促進剤6は固形物またはスラリーとすることが望ましい。この場合に、水溶液である分離促進剤6を用いると、焼却炉の火格子間に分離促進剤6が流下して、分離促進剤6と廃棄物1とが混合できなくなる可能性が考えられるためである。
なお、焼却炉7に分離促進剤6を直接供給する場合には、分離促進剤6の形状に関わらず、焼却炉7からの輻射熱による設備の閉塞に注意をする必要がある。また、焼却炉7に水溶液の形状で分離促進剤6を噴霧して供給する場合には、焼却炉7の熱量低下による助燃使用量の増加に注意する必要がある。
焼却主灰洗浄装置9は、分離促進剤6を含む廃棄物1を焼却炉7において焼却して捕集される焼却主灰8を洗浄する装置である。図1の焼却主灰洗浄工程(S10)は、焼却主灰洗浄装置9を用いて行うことができる。焼却主灰洗浄装置9は、焼却主灰を洗浄する水が補給される水槽と、洗浄した焼却主灰を水槽の外へ搬送する搬送装置とを含んでいる。
排水処理設備は、焼却主灰洗浄装置9において焼却主灰を洗浄した後の灰汚水を処理する設備である。排水処理設備で処理された灰汚水の一部を、焼却炉7の内部(例えば二次燃焼室)に噴霧して、焼却炉7内の排ガス冷却水として用いてもよい。
ガス冷却塔10は、分離促進剤6を含む廃棄物1を焼却炉7において焼却することにより発生する排ガスを冷却する設備である。図1の冷却工程(S4)は、ガス冷却塔10を用いて行うことができる。ガス冷却塔10の内部には、排水処理設備で処理された灰汚水の一部が冷却水Bとして噴霧される。
熱交換器11は、排ガスの排熱を回収する設備である。なお、図示は省略するが、熱交換器11によって回収された排熱を利用して、焼却炉で利用する燃焼空気の予熱、発電または給湯などを行うための排熱利用設備が、熱交換器11に連結されている構成であってもよい。
図示は省略するが、熱交換器11から排出された排ガスに剥離剤(ろ過助剤)13を供給する剥離剤供給装置が熱交換器11の下流に設けられている。図1の剥離剤添加工程(S5)は、ここで行われる。
集じん装置12は、排ガス中の固形物を捕集することにより、排ガスを除じんする装置である。処理施設100は、排ガス流路のより上流側に設置された1段目の集じん装置12Aと、その下流側に集じん装置12Aと直列に設置された2段目の集じん装置12Bと、を備えている。これらの集じん装置12は、例えばバグフィルタであってもよい。
集じん装置12Aは、排ガス中に含まれるばい塵やセシウム塩(CsCl)などの固形物を集じんする。図1の第1除じん工程(S6)は、集じん装置12Aを用いて行うことができる。集じん装置12Aで捕集されたばい塵やセシウム塩(CsCl)などを含む除じん飛灰は、水洗浄して放射性セシウム濃度を低減させた上で、廃棄処分、または、再資源化される。
図示は省略するが、集じん装置12Aと、集じん装置12Bとの間には、集じん装置12Aを通過した排ガスに処理剤14を供給する薬剤供給装置が設けられている。処理剤は、消石灰、重曹、活性炭などを含む薬剤である。処理剤の供給は噴霧によって行ってもよい。図1の処理剤添加工程(S7)は、この薬剤供給装置によって行われる。1段目の集じん装置12Aを通過した排ガス中に含まれる塩化水素などの酸性ガスは、処理剤14と反応する。
集じん装置12Bは、処理剤14と反応した反応生成物を含む脱塩飛灰を捕集する。図1の第2除じん工程(S8)は、集じん装置12Bを用いて行うことができる。集じん装置12Bで捕集された脱塩飛灰は、NaClおよびCaClを主成分として含んでいる。そして、集じん装置12Bで捕集された脱塩飛灰は、図1の分離促進剤(脱塩飛灰)添加工程(S9)で分離促進剤6として処理対象物に添加される。集じん装置12Bを通過した排ガスは、煙突から空気中に排出される。
〔塩化物と融点について〕
次に、図3および図4を用いて分離促進剤6の組成について説明する。上述したように、処理対象物に添加される分離促進剤6には、2種類以上の塩化物を用いて調製した、融点が600℃以下である低融点塩化物が用いられる。
図3は、低融点塩化物の組成と融点とを示す図である。なお、図3に示す各融点は、吉葉正行著「先進型廃棄物処理プラントにおける高温化技術と材料イノベーション」、Sanyo Technical Report Vol.6(1999), No.1による。図3の低融点塩化物は、何れも2種類の塩化物を含み、かつそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物であるから、比較的低温の温度条件下での焼却においても有効な分離促進剤として利用できる。ただし、鉛などの有害重金属を含む塩化物は、処理対象物に添加される分離促進剤6としては適さない。
図4は、NaClとCaClとの相平衡図である。図4に示すように、NaCl単独の融点は801℃である。CaClの単独の融点は772℃である。また、NaClとCaClとからなる低融点塩化物は、モル比でNaCl:CaCl=49:50となる場合に融点が最小値(504℃)となる。
融点が600℃以下の低融点塩化物を得るには、36〜59NaCl・41〜64CaClのモル当量範囲でNaClとCaClとを混合するのが望ましい。このように、融点が600℃以下となるモル当量範囲内でNaClとCaClとを調製した低融点塩化物を分離促進剤6として用いることが出来る。
よって、処理剤14は、第2除じん工程(S8)において集じん装置12Bで捕集された脱塩飛灰に含まれるナトリウムとカルシウムのモル比が36〜59Na:41〜64Caとなるように、消石灰と重曹とを含んでいることが望ましい。
なお、焼却時点までに所定の組成の分離促進剤と処理対象物が混合された状態となればよい。例えば、所定の組成の分離促進剤の構成要素である一部の塩化物と、他の塩化物とをそれぞれ個別に処理対象物に添加し、それらを混合して、混合後に分離促進剤が所定の組成となるようにしてもよい。また、2種類以上の塩化物を混合して加熱溶融することによって得られた複塩である低融点塩化物を分離促進剤6として用いることもできる。
ここで、上述のように、処理剤と反応した反応生成物を含む脱塩飛灰は、分離促進剤6として利用する。また、この処理剤としては、消石灰や重曹を用いることができる。そして、消石灰は、排ガス中の塩化水素と反応してCaClを生じ、重曹は、排ガス中の塩化水素と反応してNaClを生じる。このため、消石灰と重曹の両方を含む処理剤を用いる場合、分離促進剤6はNaClとCaClを含むものとすることが好ましい。これにより、最初に添加する分離促進剤6と、脱塩飛灰を利用した分離促進剤6との間での組成変化を抑え、安定した放射性セシウムの除去率等を維持することができる。なお、脱塩飛灰はそのまま分離促進剤として用いてもよいし、成分を調製した上で分離促進剤として用いてもよい。また、NaClとCaClを含む低融点塩化物の中でも、特に融点の低い49NaCl・50CaCl等を用いることがより好ましい。
〔処理剤の組成と添加量について〕
次に、図1の処理剤添加工程(S7)において添加される処理剤の組成と添加量について図5および図6を用いて説明する。上記処理剤は、一般的な都市ごみ焼却炉で用いられている処理剤と同様に、処理後の排ガスに含まれる有害成分の量が規制値以下となるようなものであればよい。そして、上記処理剤は、排ガス処理後に捕集される脱塩飛灰が、分離促進剤6とするのに好適な組成とすることが好ましい。
図5および図6は、一般的な都市ごみ焼却炉での重曹および消石灰の脱塩性能を示す図である。図5は、温度180℃の排ガス中に含まれる塩化水素に対する重曹の当量比と塩化水素の除去効率との関係を示す図である。図6は、温度150℃、180℃、および210℃の排ガス中に含まれる塩化水素に対する消石灰の当量比と塩化水素の除去率との関係を示す図である。
図5、図6に示すように、温度180℃の排ガスからの塩化水素の除去効率は、重曹の添加当量比を1.2、消石灰の添加当量比を1.2とした場合、重曹で約97%、消石灰で約92%であり、十分な除去効率を得ることができる。
処理剤の塩化水素に対する当量比を1.2と設定した場合、重曹と消石灰の混合比率は、モル比で、重曹47:消石灰53となる。そして、この重曹47:消石灰53のモル比で調製された処理剤を集じん装置12Aから排出された排ガスに噴霧する。これにより、集じん装置12Bでは、49NaCl・50CaClに近い反応生成物が脱塩飛灰として捕集される。
上述したように、49NaCl・50CaCl等が分離促進剤6として用いる低融点塩化物として好ましい。よって、集じん装置12Bで捕集された49NaCl・50CaClに近い反応生成物を含んだ脱塩飛灰を、分離促進剤6として好適に用いることができる。そして、このように分離促進剤6として好適な組成の脱塩飛灰が得られることにより、新たに加える分離促進剤6の添加量を最小限に抑えることができる。
このように、重曹と消石灰を47:53のモル比で含む処理剤を用いることによって、分離促進剤6として好適な組成の脱塩飛灰が集じん装置12Bで捕集される。これにより、新たに加える分離促進剤6の添加量を最小限に抑えることができる。
ところで、放射性セシウムに汚染された廃棄物の焼却炉では、排ガス温度が都市ごみ用ボイラ付焼却炉と比較して高くなる傾向にある。具体的には、放射性セシウムに汚染された廃棄物の焼却炉では、例えばバグフィルタにおける排ガス温度が180〜190℃となることがある。従来の放射性セシウムに汚染された廃棄物の焼却炉では、処理剤として消石灰のみを用いるのが一般的であるが、図6に示すように、排ガス温度が高い場合、消石灰の排ガス処理(有害ガス除去)効果は低下する傾向にある。一方で、重曹を用いた排ガス処理では、塩化水素の除去効率は温度による影響が小さいことが知られている。
よって、消石灰と重曹の混合薬剤を処理剤として用いることにより、処理剤として消石灰のみを用いる場合と比べて、少ない添加量で排ガスから塩化水素を効率よく除去することができる。よって、処理剤の使用量の抑制が可能となる。
〔分離促進剤の必要投入量の計算例〕
例えば、廃棄物の焼却量を200トン/1日とし、当該廃棄物の焼却によって排出される焼却排ガスの量(湿りガス基準)を70,000mN/hとする。また、焼却排ガスの組成は、水分=40(体積%)、HCl=1500ppm(乾きガス基準)、SO=30ppm(乾きガス基準)とする。
図1の処理剤添加工程(S7)において添加される処理剤は、HCl、SOxに対して当量比1.2とする。また、この処理剤は、混合比率が、モル比で45NaHCO(重曹):52Ca(OH)(消石灰)、重量比で46(重曹):54(消石灰)となるように調製されている。焼却排ガスの量と、焼却排ガスの組成に基づいて計算した処理剤として必要な重曹量と消石灰量とは、それぞれ136.8kg/hと、69.6kg/hとなる。これにより、NaClの生成量は、136.8/1.2(当量比)×97%(重曹による塩化水素の除去効率)×(58.5/84)(NaClとNaHCOの当モル重量比)=77.0kg/hと計算される。また、CaClの生成量は、69.6/1.2(当量比)×92%(消石灰による塩化水素の除去効率)×(111/74)(CaCl2とCa(OH)の当モル重量比)=80.1kg/hと計算される。
ここで、分離促進剤の必要量は、廃棄物の焼却量の3重量%であるため、200トン/日×3重量%=250kg/hと計算される。ここで、処理剤として投入された重曹と消石灰とを含む焼却飛灰を分離促進剤として用いることができるため、新規投入が必要な分離促進剤の量は、250−(77.0+80.1)=92.9kg/hと計算される。つまり、新規投入が必要な分離促進剤の量は、必要な分離促進剤の重量の37%分に相当する。分離促進剤の価格を100円/kgとして、1日24時間、年間280日廃棄物の処理を行うとすると、年間で、(250(kg/h)×100(円/kg)×280(日/年)×24(h/日))×0.63=約10,600万円の薬剤費用削減効果が見込める。
なお、上記焼却排ガス組成のHCl=1500ppmは、分離促進剤中に含まれる塩素分の約63%がHClに転換する場合の数値である。後述の試験結果からは、分離促進剤中の塩素分のHCl転換率は55〜67%であり、無限時間における熱平衡計算結果では83〜90%であるという結果が得られている。
〔変形例〕
上記実施形態では、可燃物である処理対象物を燃焼させて放射性セシウムを揮散させる例を説明したが、処理対象物(典型的には放射性セシウムを含む不燃物)を燃焼させることなく加熱して放射性セシウムを揮散させる構成も本発明の範疇に含まれる。
また、処理剤は、排ガス処理後に得られる脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩を含むようなものであればよく、重曹と消石灰を主成分とするものに限られない。上記2種類以上の塩化物は、例えばNaCl、CaCl、MgCl、KCl、LiCl、FeCl、およびFeClからなる群から選ばれたものであってもよい。また、上記混合物または複塩は、低融点塩化物であることが好ましく、融点が600℃以下である低融点塩化物であることがさらに好ましい。
また、排ガス処理後に得られる脱塩飛灰と処理対象物との混合物は、該混合物に含まれるカルシウム量が、酸化カルシウム濃度換算で5重量%以下、好ましくは1〜2重量%、塩素量で0.9〜3重量%、好ましくは0.9〜2重量%となるように調製されていてもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔付記事項〕
本発明の一態様に係る排出ガスの処理方法は、放射性セシウムを含む処理対象物に塩素源を少なくとも含む分離促進剤を添加して加熱処理することにより発生する排出ガスの処理方法であって、塩化水素と反応する処理剤により上記排出ガスから少なくとも塩化水素を除去する除去工程と、上記除去工程で生じた、塩化水素と反応した上記処理剤を少なくとも含む脱塩飛灰を捕集する捕集工程と、を含み、上記処理剤は、上記脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるように調製されることを特徴とする処理方法である。
ここで、2種類以上の塩化物を含み、かつそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩である低融点塩化物は、分離促進剤として利用できる。また、低融点塩化物を分離促進剤として用いる場合、単体の塩化物を分離促進剤として用いる場合と比べて、低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離することができる。
よって、上記の構成によれば、捕集工程で捕集した脱塩飛灰を、低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離可能な分離促進剤として利用することができる。
また、上記処理剤は、上記脱塩飛灰が、NaCl、CaCl、MgCl、KCl、LiCl、FeCl、およびFeClからなる群から選ばれた2種類以上の塩化物を含む混合物または複塩であり、融点が600℃以下であってもよい。
上記の構成によれば、NaCl、CaCl、MgCl、KCl、LiCl、FeCl、およびFeClからなる群から選ばれた2種類以上の塩化物からなる、融点が600℃以下である混合物または複塩を含む脱塩飛灰が捕集される。よって、捕集工程で捕集した脱塩飛灰を、例えば1000℃以下といった低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離可能な分離促進剤として利用することができる。
また、上記処理剤は、上記脱塩飛灰が、ナトリウムとカルシウムのモル比が36〜59Na:41〜64Caとなるように調製された消石灰と重曹を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、ナトリウムとカルシウムのモル比が36〜59Na:41〜64Caである脱塩飛灰が捕集される。このような脱塩飛灰は、融点が600℃以下である低融点塩化物を含むから、例えば1000℃以下といった低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離可能な分離促進剤として利用することができる。また、処理剤が消石灰と重曹を含むことにより、排気ガスの温度が比較的高温(例えば180℃以上)であっても、処理剤の添加量を抑えつつ、塩化水素と十分に反応することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る放射性セシウムの除去方法は、処理対象物から放射性セシウムを除去する放射性セシウムの除去方法であって、上記排出ガスの処理方法によって捕集された上記脱塩飛灰を上記処理対象物に添加する添加工程と、上記添加工程で上記脱塩飛灰が添加された上記処理対象物を加熱して当該処理対象物から放射性セシウムを揮散させる加熱工程と、を含む。
上記の構成によれば、排出ガスの処理の際に捕集した脱塩飛灰を、低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離可能な分離促進剤として利用し、処理対象物から放射性セシウムを揮散させる。よって、分離促進剤の使用量を抑えることができると共に、低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離することができる。
また、上記加熱工程では、上記混合物を、700℃以上の温度で2時間以上加熱してもよい。
分離促進剤として利用される上記脱塩飛灰は、2種類以上の塩化物を含み、かつそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩を含むから、700℃以上の温度で2時間という比較的低温の加熱であっても、処理対象物から放射性セシウムを十分に除去することが可能になる。
また、上記加熱工程で加熱される、上記脱塩飛灰と上記処理対象物の混合物は、該混合物に含まれるカルシウム量が、酸化カルシウム濃度換算で5重量%以下、および、塩素量で0.9〜3重量%のうち少なくとも一方を満たすように調製されていてもよい。
上記のように調製された混合物であれば、比較的低温の加熱であっても、処理対象物から放射性セシウムを十分に除去することが可能になる。
また、本発明の一態様に係る処理施設は、放射性セシウムを含む処理対象物に塩素源を少なくとも含む分離促進剤を添加して加熱処理する処理施設であって、塩化水素と反応する処理剤を上記排出ガスに供給して、該排出ガスから少なくとも塩化水素を除去する薬剤供給装置と、上記薬剤供給装置による除去の際に生じた、塩化水素と反応した上記処理剤を少なくとも含む脱塩飛灰を捕集する集じん装置と、上記分離促進剤の少なくとも一部として、上記集じん装置が捕集した上記脱塩飛灰が添加された上記処理対象物を加熱する加熱炉と、を含み、上記処理剤は、上記脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるように調製されたものである。
上記の構成によれば、排出ガスの処理の際に捕集した脱塩飛灰を、低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離可能な分離促進剤として利用し、処理対象物から放射性セシウムを揮散させる。よって、分離促進剤の使用量を抑えることができると共に、低い加熱温度で処理対象物から放射性セシウムを分離することができる。
本発明の実施例を図7および図8に基づいて説明する。なお、説明する実施例は一例であり、本発明は本実施例の構成には限定されない。
〔処理対象物〕
本実施例の処理対象物である廃棄物の組成を図7に示す。図7は、本発明の実施例および比較例における処理対象物である廃棄物の組成を示す図である。この処理対象物は、可燃分が45.5(wt%)である可燃性の廃棄物であり、2800(Bq/kg)の放射性セシウムを含む。塩素の含量は0.04(wt%)とわずかである。カルシウムは3800(mg/kg)含まれる。
〔試験条件〕
比較例1〜6および実施例1〜8について、所定の条件下で上記処理対象物を管状炉内で焼却し、焼却した後の焼却主灰を液固比1:10で6時間振とう・水洗浄した。焼却の際の空気比は1.5とした。また、分離促進剤を添加した後の処理対象物におけるCaO量およびCl量(何れも単位はwt%)を算出した。ただし、比較例1〜3については、分離促進剤を添加することなく焼却しているので、処理対象物自体のCaO量およびCl量を算出している。
ここで、実施例1〜8は、集じん装置12Bで捕集された脱塩飛灰を分離促進剤として再利用した場合のセシウム除去率(Cs除去率)を示した試験結果である。なお、実施例1〜8では、脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含むものであり、特に、49NaCl・50CaClに近い反応生成物となることがわかっていることを前提として、添加する薬剤を適宜に調整して試験がおこなわれている。
そして、以下の式から、揮発放射性セシウム(揮発Cs)量、焼却主灰中の水溶性放射性セシウム(水溶性Cs)量、および焼却主灰中の非水溶性放射性セシウム(残留Cs)量(何れも単位はBq)を求め、(処理対象物中の全Cs)量(単位はBq)に対する百分率(%)として図8に示した。また、焼却主灰中の非水溶性放射性セシウム(残留Cs)量から、放射性セシウムの除去率(Cs除去率)を求めた(単位は%)。
処理対象物および焼却主灰中の放射性セシウム濃度は、ゲルマニウム半導体検出器を用いて測定を行い、下式でセシウム量を算出した。
{Cs量(Bq)}={Cs濃度(Bq/kg)}×{試料量(kg)}
また、溶出セシウム濃度は、環境省発行「第五部 放射能濃度等測定ガイドライン」「第8章 溶出量」記載の「日本工業規格K〇〇五八−一」に定める方法によりに従って試料を作製し、同じくゲルマニウム半導体検出器を用いて測定を行った。
(揮発Cs)=(処理対象物中の全Cs)−(焼却主灰中の全Cs)
(水溶性Cs)={溶出Cs濃度(Bq/L)}×10(L/kg)×{焼却主灰重量(kg)}
(残留Cs)=(焼却主灰中の全Cs)−(水溶性Cs)
(Cs除去率)=100%−(残留Cs)/(処理対象物中の全Cs)×100
〔試験結果:比較例1〜3〕
比較例1〜3では、分離促進剤を添加せずに上記処理対象物を焼却した。700℃、800℃、および900℃の何れの焼却温度においても、放射性セシウムの揮発はなく、極わずかに水溶性Csを生成するのみで、ほぼ全ての放射性セシウムが焼却主灰中に残留し、放射性セシウムの除去率はほぼ0%(0.5〜0.7%)となった。
〔試験結果:比較例4〜6〕
比較例4〜6では、上記処理対象物に分離促進剤としてCaClを3.0(wt%)添加して、700℃、800℃、または900℃で2時間焼却した。
700℃の焼却温度である比較例4では揮発Csはゼロであるが、焼却温度が高くなるほど揮発Csの量が多くなり、900℃の焼却温度である比較例6では87.3(%)が揮発Csであった。また、残留Csは、焼却温度が高くなるほど少なくなり、900℃の焼却温度である比較例6で最小値の10.2(%)となった。比較例6において、2.5(%)の水溶性Csを水洗浄して除去すれば、全体として89.8%の放射性セシウムが除去される。なお、水溶性Csは700℃の焼却温度の比較例4で最も多く65.8(%)であり、焼却温度が高くなるほど水溶性Csの量は少なくなった。
〔試験結果:実施例1〜4〕
実施例1〜3では、上記処理対象物に分離促進剤として49NaCl・50CaClを3.0(wt%)添加して、700℃、800℃、または900℃で2時間焼却した。また、実施例4は、実施例1と焼却時間のみが異なる。実施例4の焼却時間は、実施例1より長い3時間である。
実施例1〜3の結果は、比較例4〜6と概ね同様の傾向であり、焼却温度が高くなるほど揮発Csの量が多くなり、900℃の焼却温度である実施例3では81.6(%)が揮発Csであった。また、残留Csは、焼却温度が高くなるほど少なくなり、900℃の焼却温度である実施例3で最小値の6.6(%)となった。実施例3において、11.8(%)の水溶性Csを水洗浄して除去すれば、全体として93.4%の放射性セシウムが除去される。実施例1〜3の結果は、比較例4〜6と比べて揮発Csの割合が少ないが、水溶性Csの割合が大きくなっている。このため、実施例1〜3の条件では、焼却主灰の水洗浄により、全体としての放射性セシウムの除去効率を高めることが可能である。
実施例1では、焼却主灰中に残った放射性セシウムは、水溶性が80.4(%)、非水溶性が19.6(%)であった。
実施例2では、焼却主灰中に残った放射性セシウムは、水溶性が59.1(%)、非水溶性が22.4(%)であった。
実施例3では、焼却主灰中に残った放射性セシウムは、水溶性が11.8(%)、非水溶性が6.6(%)であった。
実施例4では、揮発Csはゼロであるが、水溶性Csの量が89.8(%)と実施例1より大きくなり、残留Csは、10.2(%)と小さくなった。このため、49NaCl・50CaClを分離促進剤として用いる場合には、焼却時間を長くして、焼却主灰を水洗することにより、放射性セシウムの除去効率を高めることが可能である。
〔試験結果:実施例5〕
実施例5では、上記実施例2と同じく、上記処理対象物に分離促進剤として49NaCl・50CaClを添加して800℃で2時間焼却した。これらの例では、分離促進剤の添加量が実施例2と異なっている。
具体的には、実施例5の添加量は実施例2より多い4.5(wt%)である。
分離促進剤の添加量を実施例2よりも増やして、分離促進剤添加後の上記処理対象物におけるCl濃度が3.0(wt%)程度となった実施例5では、実施例2よりも揮発Cs量の割合は小さくなったが、水溶性Csの割合が大きくなった。実施例5では、全体として残留Cs量の割合が実施例2よりも小さくなり、焼却主灰中に残った放射性セシウムは、水溶性が73.8(%)、非水溶性が15.0(%)であった。
〔試験結果:実施例6、7〕
実施例6、7では、実施例3と同じく、上記処理対象物に分離促進剤として49NaCl・50CaClを添加して900℃で2時間焼却した。これらの例では、分離促進剤の添加量が実施例3と異なっている。具体的には、実施例6の添加量は実施例3より少ない1.5(wt%)であり、実施例7の添加量は実施例3より多い4.5(wt%)である。
分離促進剤の添加量を実施例3よりも減らして、分離促進剤添加後の処理対象物のCaOとCl濃度の両方が1.0(wt%)程度となった実施例6では、放射性セシウムの90%近くを揮発させることができた。実施例6では、焼却主灰中に残った放射性セシウムは、水溶性が0.7(%)、非水溶性が10.7(%)であった。
分離促進剤の添加量を実施例3よりも増やして、分離促進剤添加後の処理対象物におけるCl濃度が3.0(wt%)程度となった実施例7では、実施例3よりも揮発Cs量が小さくなったものの、水溶性Cs量が大きくなった。実施例7では、焼却主灰中に残った放射性セシウムは、水溶性が23.3(%)、非水溶性が7.1(%)であった。
また、実施例3と実施例7とを比較すると、900℃で処理対象物を焼却する場合には、49NaCl・50CaClの分離促進剤の添加量を増加させても、Cs除去率はほぼ変わらないことが分かる。しかし、分離促進剤の添加量が多い方が、水溶性Csが増加して、揮発Csが減少することが分かった。これにより、49NaCl・50CaClの分離促進剤の添加量を一定値以上に増加させても、Cs除去率は変わらないということが分かった。
〔試験結果:実施例8〕
実施例8では、分離促進剤として49NaCl・50CaClとCaCOを重量比20:10で混合したものを3.0(wt%)添加した処理対象物を2時間焼却した。なお、分離促進剤添加後の処理対象物のCaOとCl濃度は、それぞれ約1.6(wt%)、約1.3(wt%)である。実施例8では、焼却温度が900℃である。
実施例8では93.1(%)が揮発Csであり、残留Csは5.6(%)であった。さらに、実施例8では、水溶性Csの量も1.3(%)と非常に少なくすることができた。実施例8では、焼却主灰中に残った放射性セシウムは、水溶性が1.3(%)、非水溶性が5.6(%)であった。
また、実施例8の結果と、実施例3の結果とを比較すると、実施例8の方が揮発Csの量が大きくなっており、CaCOを混合したことによってCsの揮発が促進されたことが分かる。
1 廃棄物(処理対象物)
6 分離促進剤
7 焼却炉(加熱炉)
12、12A、12B 集じん装置
14 処理剤
100 処理施設

Claims (5)

  1. 処理対象物から放射性セシウムを除去する放射性セシウムの除去方法であって、
    後記排出ガスの処理方法によって捕集された脱塩飛灰を上記処理対象物に添加する添加工程と、
    上記添加工程で上記脱塩飛灰が添加された上記処理対象物を加熱して当該処理対象物から放射性セシウムを揮散させる加熱工程と、を含み、
    上記加熱工程で加熱される、上記脱塩飛灰と上記処理対象物の混合物は、該混合物に含まれるカルシウム量が、酸化カルシウム濃度換算で1重量%以上2重量%以下、および、塩素量で0.9〜3重量%を満たすように調製されており、
    上記排出ガスの処理方法は、
    上記処理対象物に塩素源を少なくとも含む分離促進剤を添加して加熱処理することにより発生する排出ガスの処理方法であって、
    塩化水素と反応する処理剤により上記排出ガスから少なくとも塩化水素を除去する除去工程と、
    上記除去工程で生じた、塩化水素と反応した上記処理剤を少なくとも含む上記脱塩飛灰を捕集する捕集工程と、を含み、
    上記処理剤は、消石灰と重曹との両方を含むとともに、上記脱塩飛灰がNaClと、CaCl とを含む2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるように調製される、ことを特徴とする放射性セシウムの除去方法。
  2. 上記処理剤は、上記脱塩飛灰がNaClと、CaClとに加えて、MgCl、KCl、LiCl、FeCl、およびFeClからなる群から選ばれた2種類以上の塩化物を含む混合物または複塩であり、融点が600℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射性セシウムの除去方法
  3. 上記処理剤は、上記脱塩飛灰におけるナトリウムとカルシウムのモル比が36〜59Na:41〜64Caとなるように調製されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性セシウムの除去方法
  4. 上記加熱工程では、上記混合物を、700℃以上の温度で2時間以上加熱することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の放射性セシウムの除去方法。
  5. 放射性セシウムを含む処理対象物に塩素源を少なくとも含む分離促進剤を添加して加熱処理する処理施設であって、
    塩化水素と反応する処理剤を上記加熱処理により発生する排出ガスに供給して、該排出ガスから少なくとも塩化水素を除去する薬剤供給装置と、
    上記薬剤供給装置による除去の際に生じた、塩化水素と反応した上記処理剤を少なくとも含む脱塩飛灰を捕集する集じん装置と、
    上記分離促進剤の少なくとも一部として、上記集じん装置が捕集した上記脱塩飛灰が添加された上記処理対象物を加熱する加熱炉と、を含み、
    上記処理剤は、上記脱塩飛灰が2種類以上の塩化物を含み、上記2種類以上の塩化物がそれぞれ単独の塩化物より低融点の混合物または複塩となるように調製されたものであり、
    上記加熱炉で加熱される、上記脱塩飛灰と上記処理対象物の混合物は、該混合物に含まれるカルシウム量が、酸化カルシウム濃度換算で1重量%以上2重量%以下となり、塩素量が0.9〜3重量%となるように調製されていることを特徴とする処理施設。
JP2017138514A 2017-07-14 2017-07-14 放射性セシウムの除去方法および処理施設 Active JP6602822B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017138514A JP6602822B2 (ja) 2017-07-14 2017-07-14 放射性セシウムの除去方法および処理施設

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017138514A JP6602822B2 (ja) 2017-07-14 2017-07-14 放射性セシウムの除去方法および処理施設

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019020241A JP2019020241A (ja) 2019-02-07
JP6602822B2 true JP6602822B2 (ja) 2019-11-06

Family

ID=65353037

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017138514A Active JP6602822B2 (ja) 2017-07-14 2017-07-14 放射性セシウムの除去方法および処理施設

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6602822B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5850494B2 (ja) * 2011-11-18 2016-02-03 太平洋セメント株式会社 放射性セシウムの除去方法及び除去装置
PL2657943T3 (pl) * 2012-04-27 2016-05-31 Aldo Cianchi Sposób usuwania 137 Cs ze skażonych pyłów z EAF
WO2014068643A1 (ja) * 2012-10-29 2014-05-08 太平洋セメント株式会社 放射性セシウムの除去方法、及び、焼成物の製造方法
JP6150278B2 (ja) * 2013-01-07 2017-06-21 国立研究開発法人物質・材料研究機構 セシウム除染法
JP6335463B2 (ja) * 2013-09-27 2018-05-30 株式会社クボタ 放射性セシウム分離濃縮方法、放射性セシウム分離濃縮装置、放射性セシウム除去方法、及び放射性セシウム除去装置
JP5758554B1 (ja) * 2015-02-06 2015-08-05 宇部興産株式会社 放射性セシウムの除去方法及び分離促進剤含有スラリー
JP6543487B2 (ja) * 2015-03-16 2019-07-10 太平洋セメント株式会社 放射性セシウムの除去方法及び除去装置
JP6215390B2 (ja) * 2016-05-02 2017-10-18 株式会社クボタ 放射性セシウム分離濃縮方法及び放射性セシウム分離濃縮装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019020241A (ja) 2019-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
BRPI1101481A2 (pt) mÉtodo para a preparaÇço de cinza volante e mÉtodo para a operaÇço de uma instalaÇço de incineraÇço de lixo
JP2007083144A (ja) 灰処理方法及びシステム
JP3856711B2 (ja) 窯業原料として再利用が可能な無機化学成分を含む無機系廃棄物の再資源化方法及び再資源化装置
JP5716656B2 (ja) 放射性セシウムの酸化物を含有する灰の処理方法
JP2014174090A (ja) 焼却灰からの放射性セシウム除去方法
JP2004154677A (ja) 灰処理システム
JP6606132B2 (ja) 放射性セシウムの除去方法および処理施設
JP6602822B2 (ja) 放射性セシウムの除去方法および処理施設
JP6349167B2 (ja) 放射性セシウム分離濃縮方法
JP3820247B2 (ja) 重金属回収装置、重金属回収方法および廃棄物処理装置
JP2005195228A (ja) 廃棄物溶融処理システム
JP4795015B2 (ja) 飛灰無害化方法及びその装置
JP5732278B2 (ja) 廃棄物の処理方法
JP2005098585A (ja) 焼却灰の回収方法および焼却排ガス処理システム
JP2017176970A (ja) 焼却灰処理装置及び焼却灰処理方法
JP3901986B2 (ja) ばいじんの処理方法及びばいじんの処理装置
JPH0666417A (ja) 塩素含有可燃物ダイオキシン類発生抑制燃焼法
JP3234189B2 (ja) 廃棄物焼却飛灰の有効利用方法及び装置
JP4259270B2 (ja) 焼却主灰の処理方法
JP4084913B2 (ja) 燃焼排ガス処理における脱塩残渣の処理方法
JP7320469B2 (ja) 放射性セシウムの除去方法及び放射性セシウムの除去装置
JP7494143B2 (ja) 放射性物質含有物の処理方法及び放射性物質含有物の処理システム
JP2010131521A (ja) 廃棄物の処理方法
JP7143233B2 (ja) 焼却灰の処理方法
JP6349166B2 (ja) 放射性セシウム分離濃縮装置の運転方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170714

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180710

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190410

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191001

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191009

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6602822

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250