JP5160628B2 - 貼り合せ基板の分断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カッターホイール(スクライビングホイールともいう)を用いて貼り合せ基板を分断する分断方法に関する。
図7は、液晶パネルの製造に用いる貼り合せガラス基板の断面図である。液晶パネル等の製造プロセスでは、2枚の薄いガラス基板G1,G2(表側の第一基板G1と裏側の第二基板G2)が接着材11で貼り合わされた大面積のマザー基板Mが用いられる。このようなマザー基板Mから製品を製造するには、製品単位となる単位基板Uごとに分断する工程が含まれる。
単位基板Uごとに分断する工程としてクロススクライブを用いた方法が知られている。すなわち、図8に示すように、マザー基板Mの第一基板G1の表面に対して、カッターホイールでX方向のスクライブラインSを形成し、次いで、X方向と交差するY方向のスクライブラインSを形成するクロススクライブを行う。このようにしてX−Y方向に交差した複数本のスクライブラインを格子状に形成した後に、マザー基板Mを反転し、ブレイク装置に送り、第二基板G2側からブレイクバーで押圧し、第一基板G1を各スクライブラインに沿って撓ませる。これにより、第一基板G1は単位基板Uごとにブレイクされる。このとき、第二基板G2は未だ分断されていないので、ブレイクされた第一基板G1は接着材11によって第二基板G2に固着され、単位基板Uごとに分離されることはない。
続いて、第二基板G2に対して、図9に示すように、同様にX方向のスクライブラインSを形成し、次いでY方向のスクライブラインSを形成するクロスクスライブを行い、その後、ブレイク装置に送られて第二基板G2がブレイクされる。このとき、マザー基板Mが単位基板Uごとに分離される。
このように、貼り合せ基板を分断する際に、第一基板G1、第二基板G2のそれぞれに対してクロススクライブとブレイクとが行われる。
マザー基板Mにスクライブラインを形成するためのカッターホイールとして、図10に示すような滑らかな刃先稜線部2を有するカッターホイール1a(ノーマルカッターホイール1aという)と、図11に示すような刃先稜線部2に切欠き3(溝)を設けて基板に対しすべりにくくするとともに浸透性を高めるようにしたカッターホイール1b(溝付きカッターホイール1bという)とが用いられている(特許文献1参照)。
前者のノーマルカッターホイール1aは、刃先稜線部の両側の傾斜面を形成するために刃先稜線部の両側を砥石で研削する。傾斜面には研削条痕の凹凸が形成されるが微細であり、通常、刃先稜線部の中心線平均粗さRaが0.4μm未満である(中心線平均粗さとは「JIS B 0601−1982」で規定された工業製品の表面粗さを表すパラメータの1つである)。このようにノーマルカッターホイール1aの刃先は、非常に滑らかな稜線面が形成されている。
後者の溝付きカッターホイール1bには、具体的には、三星ダイヤモンド工業社製の「APIO(登録商標)」カッターホイールがある。この溝付きカッターホイールは、切欠き(溝)の周方向長さが突起部分の周方向長さ(2つの隣接する切欠きの間の稜線長さ)より短くしてあるのが特徴である。例えばホイール外径が3mmの「APIO」では、切欠きの深さは1μm程度であり、切欠きの周方向長さは4〜14μm程度(したがって突起部分の周方向長さは14μm以上)である。
スクライブ工程後にブレイク工程を伴う分断方法によって貼り合せ基板を分断する際には、ノーマルカッターホイール1a(以後N型ホイール1aと略す)、あるいは切欠きの周方向長さが突起部分の周方向長さよりも短くしてある「APIO」カッターホイール(以後A型ホイール1bと略す)のいずれかが利用されている。
N型ホイール1aとA型ホイール1bとによるスクライブ加工の特徴について説明する。N型ホイール1aは、刃先稜線が滑らかに仕上げられていることから、基板に形成されるスクライブラインの溝面は、A型ホイール1bで形成されるよりもはるかに傷のない端面強度が強い優れたスクライブ加工が可能である。その一方で、形成されるスクライブラインの浸透性(切り溝の深さ)、スクライブライン形成後の分離性についてはA型ホイール1bよりも劣る。そのため、互いに直交するX方向とY方向とにクロススクライブを行う場合には、交点部分にスクライブラインが形成できなくなる「交点飛び」現象が発生することがあった。
これに対し、A型ホイール1bは刃先稜線に切欠きが形成されているため、N型ホイール1aよりもスクライブラインの浸透性が優れており、形成される切り溝の深さはN型ホイール1aよりも深くなり、基板に対するかかりよさ(すべりにくさ)が改善されるとともに、クロススクライブの際の交点部分に「交点飛び」が発生しにくいスクライブ加工を行うことができる。
一方、溝付きカッターホイールの種類としては、図11に示した「APIO」カッターホイール以外に、これよりもさらに高浸透のスクライブを行うことを目的として、図12に示すように、刃先稜線部の切欠きの周方向長さを突起部分の周方向長さよりも長くした溝付きカッターホイール1c(例えば三星ダイヤモンド工業社製の「Penett(登録商標)」カッターホイール)も製造されている。切欠きの周方向長さが突起部分の周方向長さより長いタイプの「Penett」カッターホイール(以後P型ホイール1cと略す)は、突起が基板に与える打点衝撃が大きくなり、深い垂直クラックを形成することができる(特許文献1参照)。
このタイプは、スクライブ工程でクラックを裏面まで浸透させるようにして、いきなり完全分断(フルカット加工)することができる高浸透性カッターホイールである。
そこで、高浸透性のP型ホイール1cを用いて、第一基板、第二基板のそれぞれの第一方向、第二方向に対するスクライブ工程でいきなり完全分断する分断方法が知られている。
図13、図14は、P型ホイール1cを用いてフルカットとなるスクライブを行うことによる分断の加工手順を示した図である。
先ず、マザー基板Mの第一基板G1の表面に対して、P型ホイール1cでX方向にフルカットラインBとなるスクライブを行い、次いで基板を反転して第二基板G2の表面に対して、X方向にフルカットラインBとなるスクライブを行う。これにより、ブレイク工程を行うことなく、X方向のフルカットラインB,Bに沿って分断され、複数の短冊状基板Mxが切り出される。
次いで、短冊状基板Mxに対し、第一基板G1上でX方向と交差するY方向に沿ってフルカットラインBとなるスクライブを順次行い、次いで短冊状基板Mxを反転し第二基板G2上でY方向に沿ってフルカットラインBとなるスクライブを順次行う。これにより、Y方向のフルカットラインB,Bに沿って分断され、複数の単位基板Uごとに分割される。このように、P型ホイール1cによるフルカット加工を採用することにより、ブレイク工程が不要になるので、工程短縮を図ることができる点で優れている。
国際公開番号WO2007/004700公報
刃先稜線の切欠きの周方向長さが突起部分の周方向長さより長いP型ホイール1cを用いた分断加工は、突起が基板に与える打点衝撃が大きいことに起因してフルカット加工が可能になるのであるが、その一方で、大きな打点衝撃が貼り合せ基板の端面強度を劣化させる原因となっている。
そのため、P型ホイール1cで分割された単位基板Uに、液晶等を封入した場合に、端面強度が弱いため、液晶漏れが発生したりする不具合が発生し、歩留まりを低下させることがあった。
そこで、本発明は、クロススクライブが行われる分断方法に比較して、ブレイク工程や基板反転の回数をできるだけ省くことで工程短縮を図るとともに、貼り合せ基板であるマザー基板を単位基板に分割したときに分断面に十分な端面強度を与えることができる分断方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明にかかる貼り合せ基板の分断方法は、第一基板と第二基板とが貼り合わされた貼り合せ基板を、互いに交差する第一方向と第二方向とに分断することにより、当該基板を単位基板ごとに分割する貼り合せ基板の分断方法であって、刃先稜線に切欠きのない第一カッターホイール(N型ホイール)と、刃先稜線に切欠きと突起とが交互に形成されるとともに、切欠きの周方向長さを突起の周方向長さより長くした第二カッターホイール(P型ホイール)とを用いる。第一カッターホイールと第二カッターホイールは、貼り合せ基板を挟んで上下に対向するように配置し、以下の手順で加工する。
(a)第二基板の第一方向に沿って第二カッターホイールでフルカットとなるスクライブを行うと同時に、第一基板の第一方向に沿って第一カッターホイールによりスクライブを行う。
(b)次いで、第一基板の第一方向に沿ってブレイク処理を行って前記単位基板が一列に並んだ複数の短冊状基板を形成する。
(c)次いで、各短冊状基板の第一基板の第二方向に沿って第二カッターホイールでフルカットとなるスクライブを行うと同時に、第二基板の第二方向に沿って第一カッターホイールによりスクライブを行う。
(d)次いで、前記各短冊状基板の第二基板の第二方向に沿ってブレイク処理を行って単位基板ごとに分割する。
本発明によれば、第一方向については、第一基板と第二基板のうち一方(第二基板)が第二カッターホイールによりフルカットとなるようにスクライブされ、他方(第一基板)が第一カッターホイールによりスクライブされる。したがって、ブレイク工程では、第一カッターホイールでスクライブした側をブレイクするだけで短冊状に切り出すことができ、片側のブレイク工程が省略される。
また、第二方向についても、第一基板と第二基板のうち一方(第一基板)が第二カッターホイールによりフルカットとなるようにスクライブされ、他方(第二基板)が第一カッターホイールによりスクライブされる。したがってブレイク工程では、第一方向と同様に第一カッターホイールでスクライブした側をブレイクするだけで単位基板に切り出すことができ、片側のブレイク工程が省略される。
そして、最終的に切り出された単位基板の第一方向、第二方向それぞれの端面については、第一基板と第二基板のうち、一方が第一カッターホイール(N型ホイール)により形成され、他方が第二カッターホイール(P型ホイール)により形成されている。
したがって、第一方向と第二方向のいずれについても、第一カッターホイールで加工された端面と第二カッターホイールで加工された端面とが1つずつ形成された状態で分断され、第一方向および第二方向のいずれについても、必ず一方の基板端面は端面強度が強い第一カッターホイールによる加工が行われるようになり、端面強度が平均化されてバランスのとれたスクライブが行われるようになる。そして、端面強度の弱い基板端面だけで形成された分断面がなくなるので、平均的な端面強度が確保される。
さらに、本発明によれば、クロススクライブを行っていないので、交点飛び現象が発生することもない。
さらに、第一方向および第二方向のスクライブを行う(a),(c)の工程の際に、第一基板と第二基板とを上下から同時にフルカットとなるスクライブと有限深さのスクライブとを行うことで反転動作を省略することができる。
ここで、(b)の工程の後に、短冊状基板の長手方向を回転軸にして反転し、(c)の工程に進むようにしてもよい。
(b)の工程の後であれば、短冊状に分断されており、その長手方向を回転軸にして回転することで、小さな回転半径で基板を反転させることができる。
また、第一カッターホイールと第二カッターホイールとはホイール径が同一であることが好ましい。
一般に、ホイール径はスクライブする基板の板厚が厚くなるほど切断時の押圧荷重を高める必要があり、そのためホイール径はスクライブする基板の板厚に依拠して決定されるが、第一基板のスクライブに用いられるのは第一カッターホイールと第二カッターホイールの両方であり、同様に第二基板のスクライブに用いられるのは第一カッターホイールと第二カッターホイールの両方であるので、2種類のホイールは同径とするのが好ましい。
本発明の分断方法を実施する際に用いる分断システムの一例を示す平面図である。 図1の分断システムの一部であるスクライブ装置を示す斜視図である。 図1の分断システムの一部であるブレイク装置を示す斜視図である。 本発明の分断方法による加工手順と各工程での加工状態を示す図である。 図4に続いて加工手順と各工程での加工状態を示す図である。 本発明による分断方法を採用して分断した単位基板の端面の状態を示す模式図である。 液晶パネルの製造に用いる貼り合せガラス基板の断面図である。 従来の貼り合せ基板の加工手順を示す図である。 従来の貼り合せ基板の加工手順を示す図である。 ノーマルカッターホイール(N型ホイール)の形状を示す図である。 溝付きカッターホイール(A型ホイール)の形状を示す図である。 溝付きカッターホイール(P型ホイール)の形状を示す図である。 従来の貼り合せ基板の加工手順を示す図である。 従来の貼り合せ基板の加工手順を示す図である。
本発明にかかる貼り合せ基板の分断方法の詳細を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様をとることができることはいうまでもない。
(分断システムの構成)
図1は、本発明の基板分断方法を実施する際に用いる分断システムMSの一実施形態を示す概略的な平面図である。
加工対象のマザー基板Mは、2枚のガラス基板G1,G2を貼り合わせてあり、液晶パネルとなる単位基板(単位構造体)が基板のXY方向(面方向)に格子状に並ぶように形成されており、マザー板Mを単位基板ごとに分断することで製品が得られるようになっている。
分断システムMSは、大きく分類すると、マザー基板MのX方向(第一方向)を加工するための第一ライン100と、マザー基板MのY方向(第二方向)、すなわち後述する短冊状基板MxのY方向を加工するための第二ライン200と、第一ライン100から第二ライン200に短冊状基板Mxを移送するための移送機構300とからなる。
説明の便宜上、分断システムMSに、xyz座標系を図1において図示するように定める。すなわち、分断システムMSの加工開始位置(後述する第一テーブル101)で、マザー基板MのX方向(第一方向)と、分断システムMSのxyz座標系のx方向とが一致し、Y方向(第二方向)とy方向とが一致するものとする。また、y方向は分断システムMSの基板搬送方向に一致するものとする。
また、マザー基板Mは上側(表側)が第二基板G2、下側(裏側)が第一基板G1となるように載置される。
初めに、第一ライン100について説明する。第一ライン100は、第一テーブル101、スクライブ装置102、第二テーブル103、ブレイク装置104、第三テーブル105がこの順で直列に並べて配置されている。
第一テーブル101、第二テーブル103、第三テーブル105には、それぞれ独立に駆動される一対のコンベアベルト106が取付けられており、マザー基板Mはこの上で支持されながら、順次y方向に搬送されるようにしてある。なお、スクライブ装置102、および、ブレイク装置104の位置には、隣接するコンベアベルト106間に、基板搬送に支障ない幅の間隙が形成してあり、この間隙でスクライブ加工やブレイク処理が行われるようにしてある。
図2は、スクライブ装置102の構造を示す斜視図である(後述するスクライブ装置202はx方向の幅が異なるだけで同じ構造である)。なお、図2において説明の便宜上、コンベアベルト106の図示を省略し、テーブル101,103はその裏側が図示できるようにするため一点鎖線で位置のみを図示した。
スクライブ装置102は、第一テーブル101、第二テーブル103の境界部分に配置してあり、加工可能な位置までマザー基板Mが搬送されると、フルカットとなるスクライブ加工を行うためのP型ホイール111P(図12参照)が加工部位の上側に配置され、有限深さの溝を形成するスクライブのためのN型ホイール112N(図10参照)が対向して加工部位の下側に配置されるようにしてある。
P型ホイール111Pを加工部位の上側、N型ホイール112Nを下側に配置するようにしているのは、後述するブレイク処理の際にブレイクバー131を上から下降させてブレイクする方法が、下から上昇させてブレイクするよりも簡単にブレイクすることができるからである。
P型ホイール111Pは支持体113(スクライブヘッド)によって、また、N型ホイール112Nは支持体114(スクライブヘッド)によって、それぞれ上下移動可能に取り付けられるとともに、スクライブ時の押圧荷重を調整できるようにしてある。支持体113,114は、両側の支持柱115によってx方向に水平に橋架された上下のガイドバー116のガイド117に沿って移動可能に取り付けられ、モータ118の駆動によりx方向に移動するようにしてある。
また、x方向およびy方向に移動することが可能な一対の台座119に、カメラ120がそれぞれ設けられている。台座119は支持台121上でx方向に延設されたガイド122に沿って移動する。カメラ120は、上下に移動することにより撮像の焦点を自動調整することができ、カメラ120で撮影された画像はモニタ123に表示される。
テーブル101,102上のコンベアベルト106(図1参照)に載置されたマザー基板Mの表面には、位置を特定するためのアライメントマーク(不図示)が設けられており、カメラ120によりアライメントマークを撮像することにより、マザー基板Mの位置を調整する。具体的には、コンベアベルト106に支持されたマザー基板Mの表面のアライメントマークを、カメラ120により撮像してアライメントマークの位置を特定する。特定されたアライメントマークの位置に基づいて、マザー基板M表面の載置時の位置ズレおよび方向ズレが画像処理にて検出される。その結果、マザー基板Mに対するスクライブ(およびフルカットスクライブ)時に、位置ズレに対してはスクライブ開始位置がy方向に微調整される。方向ズレに対してはx方向およびy方向のスクライブ動作を組み合わせた直線補間動作によりスクライブ線が形成される。具体的にはコンベアベルト106によるy方向の移動と、モータ118の駆動によるx方向の移動とを連動させることにより方向調整が行われる。
図3は、ブレイク装置104の構造を示す斜視図である(後述するスクライブ装置204はX方向の幅が異なるだけで同じ構造である)。なお、図3においても説明の便宜上、コンベアベルト106の図示を省略し、テーブル103,105は一点鎖線で位置のみを図示した。さらにアライメントマークによる位置特定を行うためのカメラおよびその支持機構などは図2に記載した構造と同じであるので、同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。
ブレイク装置104は、第二テーブル103と第三テーブル105との境界部分に配置してあり、マザー基板Mが搬送されると、基板上方のブレイクバー131が下降して基板面を押圧するようにしてある。ブレイクバー131の下面にはV字溝が形成してあり、基板のX方向に沿ったスクライブラインが形成されているマザー基板Mを押圧するときに、そのスクライブラインに直接触れないようにV字溝で避けながら押圧することができる。
ブレイクバー131には、中央に上下駆動するためのピストン132が設けられ、両サイドにガイドロッド133が設けられている。また、両側の支持柱134によりx方向に水平に橋架された台座135にピストン132の一端が固定され、左右のガイドロッド133が孔136を貫通するように構成されている。これにより、ピストン132がブレイクバー131を上下移動させたときにブレイクバー131が横ぶれすることがなくなる。
ここで、第一ライン100の一連の動作を図1に基づいて説明する。第一テーブル101に載置されたマザー基板Mはスクライブ装置102に搬送されて、基板のX方向(第一方向)に対する上下同時スクライブ加工(上側はフルカット)が行われ、第二テーブル103に搬出される。さらに第二テーブル103からブレイク装置104に搬送されて、ブレイク処理が行われ、第三テーブル105には単位基板がx方向に一列に並んだ短冊状基板Mxが搬出される。
次に、移送機構300について説明する。この移送機構300は、第一ライン100による加工を終えて第三テーブル105に搬出された短冊状基板Mxを、第二ライン200に移送するとともに、移送中に基板を反転させる処理を行う。
移送機構300は、第一アーム301、第一アーム駆動装置302、第四テーブル303、第二アーム304、第二アーム駆動装置305からなる。
第一アーム301は、ロッド状のアーム本体301aと、真空吸着機構(不図示)により短冊状基板Mxの着脱が可能な吸着パッド301bとからなる。アーム本体301aおよび吸着パッド301bは、第一アーム駆動装置302により制御され、上下移動(z移動)および前後移動(y移動)を行うとともに、吸着された短冊状基板Mxを反転させるため、アーム本体301aを軸とする回転運動が行われるようにしてある。
第四テーブル303は、長手方向をx方向にして平行に並べられた一対のテーブル面を有しており、第三テーブル105から前方(+y方向)に離れた位置に設置されている。一対のテーブル面の間には、第一アーム301が入り込むことができる幅で、かつ、短冊状基板Mxをテーブル面に載せることができる幅の退避空間Kが設けられている。
第二アーム304は、ロッド状のアーム本体304aと、真空吸着機構(不図示)により短冊状基板Mxの着脱が可能な吸着パッド304bとからなり、第二アーム駆動装置305により制御される。アーム本体304aの一端は第二アーム駆動装置305に支持され、上下移動(z移動)を行うとともに旋回運動が行われるようにしてある。
旋回運動は第四テーブル303から90度の回転が行われ、吸着パッド304bに吸着された短冊状基板Mxを、後述する第二ライン200の第五テーブル201に載置するようにしてある。
移送機構300の一連の動作について説明する。短冊状基板Mxが第三テーブル105上の予め設定された受渡し位置まで搬送されると、上方から第一アーム301が吸着パッド301bを下に向けて下降(−z移動)し、移送対象の短冊状基板Mxの上面に吸着する。第一アーム301は短冊状基板Mxを吸着した状態で上昇(+z移動)し、続いて第四テーブル303に向けて前進する(+y移動)とともに、アーム本体301aを軸にして反転(180度回転)する。そして、短冊状基板Mxの下面側を吸着パッド301bにより吸着した状態で、第四テーブル303の上方まで移動し、この位置でy方向の移動を停止する。続いて、第一アーム301が第四テーブル303の退避空間Kに入るように下降(−z移動)する。このとき短冊状基板Mxはテーブル面に接した時点で吸着が解かれ、テーブル上に載置される。
次に、第四テーブル303上の短冊状基板Mxの上方から第二アーム304が吸着パッド301bを下に向けて下降し(−z移動)、短冊状基板Mxの上面に吸着する。
第二アーム304は短冊状基板Mxを吸着した状態で上昇し(+z移動)、続いて第二ライン200の第五テーブル201に向けて90度旋回する。そして第五テーブル201の上方に来た時点で旋回を停止した後、下降し(−z移動)、短冊状基板Mxを第五テーブル201のコンベアベルト106上に載置して吸着を解き、再び上昇した位置で、次の搬送まで待機する。
一方、第一アーム301は、第二アーム304が第五テーブル201に向けて旋回中に、退避空間Kから上昇し(+z移動)、第三テーブル105に向けて後退(−y移動)するとともに、アーム本体301aを軸にして反転(180度回転)する。そして、第三テーブル105の受渡し位置の上方で、次の搬送まで待機する。
以上の動作により、短冊状基板Mxの第二ライン200側への移送が終了する。
第二ライン200の加工開始位置(第五テーブル201)では、短冊状基板Mxは、第一ライン100に載置されていたときから90度回転しているので、短冊状基板MxのY方向(第二方向)がxyz座標系のx方向に一致するようになる。また、第一アーム301によって短冊状基板Mxは反転されているので、上側(表側)が第一基板G1、下側(裏側)が第二基板G2となっている。
次に、第二ライン200について説明する。第二ライン200は、第五テーブル201、スクライブ装置202、第六テーブル203、ブレイク装置204、第七テーブル205がこの順で直列に配置されている。
第五テーブル201、第六テーブル203、第七テーブル205には、それぞれ独立に駆動される一対のコンベアベルト106が取り付けてあり、短冊状基板Mxが順次搬送されるようにしてある。なお、スクライブ装置202、および、ブレイク装置204の位置には、隣接するコンベアベルト間に、基板搬送に支障ない幅の間隙が形成してあり、この間隙にてスクライブ加工やブレイク処理が行われるようにしてある。
スクライブ装置202、ブレイク装置204は、図2、図3で説明したスクライブ装置102、ブレイク装置104と横幅寸法(x方向の寸法)が異なるだけで基本構造は同じであるので、これらについても同図を参照する。そして各テーブル201,203,205以外については同じ符号を用いることで説明を省略する。
第二ライン200では、第五テーブル201に載置された短冊状基板Mxはスクライブ装置202に搬送されて、短冊状基板MxのY方向に対する上下同時スクライブ加工(上側はフルカット)が行われ、第六テーブル203に搬出される。さらに第六テーブル203からブレイク装置204に搬送され、ブレイク処理が行われ、第七テーブル205には単位基板Uが搬出される。
(加工手順)
次に、上述した分断システムMS全体による貼り合せ基板の加工手順について、図を用いて説明する。図4、図5は本発明の分断方法による加工手順と各工程における加工状態を示す図である。
まず、マザー基板Mを、第一ライン100の第一テーブル101に、第二基板G2側を上にして、さらに基板のX方向(第一方向)がx方向に一致するようにして載置する。
そして、スクライブ装置102に搬送して、第二基板G2にはP型ホイール111PによりフルカットラインBを形成し、同時に第一基板G1にはN型ホイール112Nにより有限深さのスクライブラインSを形成して、第二テーブル103に搬出する。その結果、図4(a)に示すように、第二基板G2にはフルカットラインBが形成され、第一基板G1には有限深さのスクライブラインSが形成された状態になる。
続いて、マザー基板Mを、第二テーブル103からブレイク装置104に搬送し、図4(b)に示すように、第二基板G2側からブレイクバーによる押圧で第一基板G1をブレイクしてフルカットラインBとし、第三テーブル105に搬出する。その結果、短冊状基板Mxが形成された状態になる。
そして、短冊状基板Mxを移送機構300により反転するとともに、第四テーブル303を経て、第二ライン200の第五テーブル201に移送する。このとき、短冊状基板Mxは、第二ライン200の第五テーブル201に、第一基板G1側を上にして、さらにY方向(第二方向)がx方向に一致するようにして載置される。
続いて、短冊状基板Mxをスクライブ装置202に搬送して、第一基板G1にはP型ホイール111PによりフルカットラインBを形成し、同時に第二基板G2にはN型ホイール112Nにより有限深さのスクライブラインSを形成して、第六テーブル203に搬出する。その結果、図5(a)に示すように、第一基板G1にはフルカットラインBが形成され、第二基板G2には有限深さのスクライブラインSが形成された状態になる。
続いて、短冊状基板Mxを、第六テーブル203からブレイク装置204に搬送し、図5(b)に示すように、第一基板G1側からブレイクバーによる押圧で第二基板G2をブレイクしてフルカットラインBとし、第七テーブル205に搬出する。その結果、単位基板Uごとにばらばらに分断された状態になる。
図6は、上述した手順で分離された単位基板Uの端面強度の状態を示す模式図である。分断面は、第一基板G1と第二基板G2のいずれか一方がP型ホイール111P、他方がN方ホイール112Nでスクライブ(フルカット)されているので、一方の基板の端面強度E1は強く、他方の基板の端面強度E2はそれより弱くなっている。貼り合せ基板全体としての端面強度は平均化されるとともに、端面強度が強い側の基板の存在で貼り合せ基板としての端面強度が確保できる。
本実施形態では、上下の基板G1,G2に形成するスクライブラインおよびフルカットラインはすべて同一平面上の端面となるようにしたが、外部との電気接続を行う端子領域の形成のために段差面が形成される端面の場合であっても、加工の際に形成するスクライブの本数が増えるだけで、本発明をそのまま適用することができる。
また、本実施形態は2枚のガラスを貼り合わせたマザー基板を対象にしたが、ガラス基板以外の脆性材料からなる貼り合せ基板においても利用することができる。
また、上記実施形態では、移送機構300で短冊状基板Mxを反転するようにした。これにより、第一ライン100と第二ライン200とは同じ構成のスクライブ装置102,202とブレイク装置104,204を使用できるようになるので好ましいが、途中で短冊状基板Mxを反転することなく本発明の分断方法を実施したい場合もある。
その場合は、例えば、第二ライン200側のスクライブ装置202において、上側が第一カッターホイール(N型ホイール112N)、下側が第二カッターホイール(P型ホイール111P)となるように変更し、さらに、第二ライン200側のブレイク装置204において、ブレイクバー131を短冊状基板Mxの下から上に押圧するようにするとともに、短冊状基板Mxの上側に硬質ゴムなどの背板を当てておくようにすることで、上述した実施形態と同様の端面強度を有する分断加工が可能になる。
本発明のスクライブ方法は、ガラス基板などの貼り合せ基板を分断する際に利用することができる。
M 貼り合せ基板(マザー基板)
Mx 短冊状基板
G1 第一基板
G2 第二基板
E1 強い端面強度
E2 弱い端面強度
第二基板の第一方向(X方向)のフルカットライン
第一基板の第一方向(X方向)のスクライブライン
第一基板の第一方向(X方向)のフルカットライン
第一基板の第二方向(Y方向)のフルカットライン
第二基板の第二方向(Y方向)のスクライブライン
第二基板の第二方向(Y方向)のフルカットライン
100 第一ライン
200 第二ライン
300 移送機構(基板反転機構を含む)
102 スクライブ装置(上下同時スクライブ)
104 ブレイク装置
111P 溝付きカッターホイール(P型ホイール)
112N ノーマルカッターホイール(N型ホイール)
202 スクライブ装置(上下同時スクライブ)
204 ブレイク装置

Claims (3)

  1. 第一基板と第二基板とが貼り合わされた貼り合せ基板を、互いに交差する第一方向と第二方向とに分断することにより、前記貼り合せ基板を単位基板ごとに分割する貼り合せ基板の分断方法であって、
    刃先稜線に切欠きのない第一カッターホイールと、
    刃先稜線に切欠きと突起とが交互に形成されるとともに、切欠きの周方向長さを突起の周方向長さより長くした第二カッターホイールとを用いて、
    第一カッターホイールと第二カッターホイールとを貼り合せ基板を挟んで上下に対向するように配置し、
    (a)第二基板の第一方向に沿って第二カッターホイールでフルカットとなるスクライブを行うと同時に、第一基板の第一方向に沿って第一カッターホイールによりスクライブを行い、
    (b)次いで、第一基板の第一方向に沿ってブレイク処理を行って前記単位基板が一列に並んだ複数の短冊状基板を形成し、
    (c)次いで、各短冊状基板の第一基板の第二方向に沿って第二カッターホイールでフルカットとなるスクライブを行うと同時に、第二基板の第二方向に沿って第一カッターホイールによりスクライブを行い、
    (d)次いで、前記各短冊状基板の第二基板の第二方向に沿ってブレイク処理を行って単位基板ごとに分割することを特徴とする貼り合せ基板の分断方法。
  2. (b)の工程の後に、短冊状基板の長手方向を回転軸にして反転し、(c)の工程に進む請求項1に記載の貼り合せ基板の分断方法。
  3. 第一カッターホイールと第二カッターホイールとはホイール径が同一である請求項1または請求項2のいずれかに記載の貼り合せ基板の分断方法。
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