JP5160288B2 - 時計用レバー付き脱進機 - Google Patents

Description

本発明は、時計のレバー脱進機に関する。

本発明は、以下の構成を有するのレバー脱進機に関する。このレバー脱進機は、歯車を有するガンギ車と、振り石を搭載するてんぷの振り座（以下単に「ローラー」と称する）と、前記振り石と共働するアンクル組立体とを有する時計のレバー脱進機に関する。前記アンクル組立体は、第１係止アンクル石と第２係止アンクル石と第１衝突アンクル石とを具備する。前記アンクル石は、前記ガンギ車セットの歯車の歯と共働する。

上記のレバー脱進機は、非特許文献１に開示されている。この脱進機は、同文献の２４７ページと２４８ページに説明されている。同文献に開示するように、この脱進機は、テンプ・ローラーに固定されガンギ車と共働する第２衝突アンクル石を有する。

"La Montre: principes et methodes de fabrication", Scriptar Editions S.A., La Conversion, Lausanne 1993.

本発明は上記の構成を有する時計用レバー付き脱進機である。更にアンクル組立体は、更なる歯車セット（本来固有にガンギ車に加えて）を駆動する。この歯車セットは、前記ガンギ車と共働する第２衝突アンクル石を搭載する。

図１に本発明の第１実施例の脱進機の構造を示す。この脱進機は、１個のガンギ車２を具備したガンギ車セット６０を有する。このガンギ車２は輪列（図示せず）により駆動され、この輪列は香箱（図示せず）により駆動さる。ガンギ車２は、自由な時には、矢印４０で示すように反時計方向に回転する。本発明の脱進機は、ローラー３を有する。このローラー３はテンプゼンマイに取り付けられる。このローラーは振り石４を搭載する。ピボット３６上に搭載されたアンクル組立体５は、ローラー３の振り石４と共働するよう配置される。アンクル組立体５は、端部がフォーク１２の形態を採るスティック１１を有する。このフォーク１２はローラー３の振り石４を挟む。アンクル組立体５は、第１係止アンクル石（locking pallet stone）６と第２係止アンクル石７と第１衝突アンクル石（impulse pakket stone）８とを有する。これらのアンクル石６，７，８は、ガンギ車２の歯２０、２１、２２、２３と共働する（当たる）よう配置される。

図１に示すように、本発明の特徴は、アンクル組立体５は補助歯車セット９を駆動する。この補助歯車セット９は、ガンギ車２の歯２１、２２、２３と共働するよう配置された第２衝突アンクル石１０を搭載する。

より具体的には、この実施例は、補助歯車セットとしてディスク１３を有する。このディスク１３は、ピボット１４上で駆動され、その周囲に第２衝突アンクル石１０とピン１５を搭載する。このピン１５は、アンクル組立体５に形成された長方形開口１６にはまる。ピン１５と長方形開口１６は、トグルジョイント即ちひざ型ジョイントのようなヒンジを形成する。

変形例として、この補助歯車セット９はピボットに軸止されたレバーでもよい。このレバーは、第２衝突アンクル石１０と歯付きセクターを搭載し、この歯付きセクターは、アンクル組立体５に固定されたラックと噛み合うようにしてもよい。

図２は、本発明の第２実施例の平面図である。同図において、ガンギ車セット６０は１個の歯車でなく、互いに固定され同軸に搭載された第１と第２のガンギ車１、２を有する。この第２実施例においては、第１衝突アンクル石８は第１ガンギ車１と共働する。第２衝突アンクル石１０と第１と第２の係止アンクル石６、７とは、第２ガンギ車２と共働する。これは、第１実施例において、補助歯車セット９がアンクル組立体５により制御されるのと同じである。

この第２実施例の図は平面図でありその断面図を示していないが、第１衝突アンクル石８を具備するアンクル組立体５は、第１ガンギ車１のレベルに配置される。アンクル組立体５が搭載する第１、第２の係止アンクル石６、７は、第２ガンギ車２の歯２０、２１、２２のレベルに伸びる。補助歯車セット９は第２第２ガンギ車２のレベルに配置される。

本発明の脱進機の動作を次に説明する。この第２実施例は２個のガンギ車を有する。ローラー３の完全な一振動を図３−１４に示す。様々な動作フェーズを以下説明する。

図３において、ローラー３は矢印４１の方向に回転する。第２第２ガンギ車２は、アンクル組立体５の第１係止アンクル石６に歯２０を介してロックされる。アンクル組立体５のスティック１１は、停止ピン５０に当たる。ローラー３の振り石４は、スティック１１のフォーク１２に接触するようになる。これは、第２ガンギ車２のロック解除の開始である。

図４において、ローラー３は矢印４１の方向に回転し続ける。振り石４は、アンクル組立体５を矢印４２の方向に駆動し、第１係止アンクル石６を強制的に第２ガンギ車２の歯２０に沿ってスライドさせ、歯２０の保持から離す。矢印４２の方向に回転中、アンクル組立体５の長方形開口１６は、ディスク１３のピン１５を駆動して、このディスク１３を矢印４３の方向に回転させる。かくしてディスク１３の第２衝突アンクル石１０は、第２ガンギ車２の歯２２の軌道と交差するようになる。これは、第２ガンギ車２のロック解除の終了と解放の開始である。

図５に示すように、解放された第２ガンギ車２は時計の輪列により矢印４０の方向に回転駆動される。その歯２２は第２衝突アンクル石１０と接触するようになる。これは、ディスク１３における衝突フェーズの開始である。

図６において、第２ガンギ車２の歯２２は衝突の終了時にあり、ディスク１３をこれまでと同一方向（矢印４３）に駆動すなわち再スタートさせる。長方形開口１６内のピン１５は、アンクル組立体５を矢印４２の方向に駆動する。これにより同時に、ローラー３が振り石４を介して矢印４１の方向に再スタートする。これは、補助歯車セット９上での衝突の終了である。

図７に示すように、アンクル組立体５は矢印４２の方向に移動し続ける。かくして第２係止アンクル石７は、第２ガンギ車２の歯の軌道と交差する。これにより歯２１は第２係止アンクル石７に当たるようになる。これは、第２ガンギ車２をロックするロックフェーズである。

図８は、全ロック状態を示す。振り石４はフォーク１２から離れて、スティック１１を強制的に停止ピン５１に当てる。ディスク１３もロックされている。そのピン１５は、長方形開口１６の底部に当たる。第２係止アンクル石７は、ドロー効果により、歯２１に完全に係合（ロック）している。この時点からローラー３は、これまでと同一方向４１にアークを継続して描き、その後矢印４４の方向に戻る。図９は、図８と同一の状態を示すが、振り石４は、矢印４４の方向に戻って、アンクル組立体５のフォーク１２に接触するようになる。これは第２係止アンクル石７のロック解除の開始である。

図１０に示すように、振り石４は、ローラー３の回転方向に移動し続け、スティック１１を停止ピン５１から離し、その後アンクル組立体５を矢印４５の方向に回転させる。この動きにより、第２係止アンクル石７は、第２ガンギ車２の歯２１に沿ってスライドし、その保持から離れる。矢印４５の方向に回転している間、アンクル組立体５の長方形開口１６は、ディスク１３のピン１５を駆動して、ディスク１３を矢印４６の方向に回転させる。これは、第２ガンギ車２に固定された第１ガンギ車１のロック解除の終了と解放の開始である。

図１１において、第１ガンギ車１は、時計の輪列により駆動されるが、矢印４０の方向に回転する。第１ガンギ車１の歯３１は、アンクル組立体５に搭載された第１衝突アンクル石８と接触するようになる。この接触は、スティク１１（これは矢印４５方向への回転である）を介したローラー３へ、フォーク１２へ更に振り石４への衝突の開始である。ローラー３は、矢印４４の方向に駆動される、すなわちその後再スタートを切る。

図１２は、第１ガンギ車１の歯３１がアンクル組立体５の第１衝突アンクル石８に衝撃をかける終了時を示す。矢印４５の方向に回転しながら、アンクル組立体５の第１係止アンクル石６は、第２ガンギ車２の歯の軌道と交差する。長方形開口１６とピン１５の助けを借りて、ディスクは矢印４６の方向に前進して、図３と類似の位置を占める。すなわち、振動の開始の場所を占有する。

図１３において、第２第２ガンギ車２は、矢印４０の方向に回転を継続し、その歯２７は第１係止アンクル石６と接触するようになる。この第１係止アンクル石６が第２ガンギ車２をロックする。ローラー３の振り石４は、フォーク１２を離れるポイント上にある。これは新たなロックフェーズである。

図１４は、歯２７が第１係止アンクル石６上に完全にロックされる状態を示す。第２ガンギ車２の回転力により加わるドロー効果により、歯２７の先端は、第１係止アンクル石６に沿って昇る。アンクル組立体５のスティック１１は、停止ピン５０に当たる。この時点からローラーは、矢印４４の方向にさらにアークを描き、その後反対方向（矢印４１）に戻る。振り石４が再びフォーク１２に填ると、図３の状態に戻り、新たなサイクルあるいは振動が始まる。

以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。

本発明の脱進機の第１実施例を表わす平面図。 ガンギ車のロック解除の開始を表わす本発明の第２実施例の平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第１の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第２の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第３の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第４の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第５の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第６の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第７の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第８の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第９の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第１０の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第１１の動作フェーズを表わす平面図。 本発明の第２実施例の脱進機の第１２の動作フェーズを表わす平面図。

符号の説明

２ ガンギ車
３ ローラー
４ 振り石
５ アンクル組立体
６，７ 第１と第２の係止アンクル石
８ 第１衝突アンクル石
９ 補助歯車セット
１０ 第２衝突アンクル石
１１ スティック
１２ フォーク
１３ ディスク
１４ ピボット
１５ ピン
１６ 長方形開口
２１，２２，２３，２７ 歯
３６ ピボット
５０，５１ 停止ピン
６０ ガンギ車セット

Claims (6)

1. 少なくとも１個の歯車（２）を有するガンギ車セット（６０）と、振り石（４）を搭載するてんぷの振り座（３）と、前記振り石（４）と共働するアンクル組立体（５）とを有する時計のレバー付き脱進機において、
   前記アンクル組立体（５）は、第１係止アンクル石（６）と第２係止アンクル石（７）と第１衝突アンクル石（８）とを具備し、
   前記アンクル石（６，７，８）は、前記歯車（２）の歯（２０、２１、２２）と共働し、
   前記アンクル組立体（５）は、補助歯車セット（９）を駆動し、
   前記補助歯車セット（９）は、前記ガンギ車（２）と共働するよう配置された第２衝突アンクル石（１０）を搭載し、
   前記補助歯車セット（９）の軸と前記てんぷの振り座（３）の軸（１４）とは異なる
   ことを特徴とする時計用レバー付き脱進機。
2. 前記ガンギ車セット（６０）は、同軸に互いに固定された第１歯車（１）と第２歯車（２）とを有し、
   前記第１衝突アンクル石（８）は、前記第１歯車（１）と共働し、
   前記第２衝突アンクル石（１０）と前記第１と第２の係止アンクル石（６，７）は、前記第２歯車（２）と共働する
   ことを特徴とする請求項１記載の時計用レバー付き脱進機。
3. 前記アンクル組立体（５）は、フォーク（１２）の先端を有するスティック（１１）を有し、
   前記フォーク（１２）が、前記てんぷの振り座（３）の振り石（４）を挟む
   ことを特徴とする請求項１または２記載の時計用レバー付き脱進機。
4. 前記補助歯車セット（９）は、ピボット（１４）に軸支されたディスク（１３）であり、
   前記ディスク（１３）は、その周囲に第２衝突アンクル石（１０）とピン（１５）とを有し、
   前記ピン（１５）は、前記アンクル組立体（５）に形成された長孔（１６）内に入る
   ことを特徴とする請求項１または２記載の時計用レバー付き脱進機。
5. 前記補助歯車セット（９）は、前記ピボット（１４）に軸止されたレバーであり、
   前記レバーは、第２衝突アンクル石（１０）と歯付きセクターとを有し、
   前記歯付きセクターは、前記アンクル組立体（５）に固定されたラックと噛み合うる
   ことを特徴とする請求項１または２記載の時計用レバー付き脱進機。
6. 前記アンクル組立体（５）は、第１歯車（１）のレベルに配置され、
   前記第１係止アンクル石（６）と第２係止アンクル石（７）とは、前記ガンギ車（２）の歯（２０、２１、２２）のレベルにまで伸び、
   前記補助歯車セット（９）は、前記ガンギ車（２）のレベルに配置される
   ことを特徴とする請求項２記載の時計用レバー付き脱進機。

Images