JP5891076B2 - がんぎ歯、該がんぎ歯を備えたがんぎ車、アンクル脱進器、ムーブメント、並びに機械式時計及びトルク伝達方法 - Google Patents

がんぎ歯、該がんぎ歯を備えたがんぎ車、アンクル脱進器、ムーブメント、並びに機械式時計及びトルク伝達方法 Download PDF

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Description

本発明は、がんぎ歯、該がんぎ歯を備えたがんぎ車、該がんぎ車を有するアンクル脱進器、該がんぎ車を有するムーブメント、並びに機械式時計及びトルク伝達方法に係わる。
機械式時計のアンクル脱進器では、がんぎ車のがんぎ歯がアンクルの入りつめや出つめに対して、(1)停止(ロック)され、(2)停止解除され、(3)衝撃を与え、(4)てんぷの振り石が再度アンクル(の入つめや出つめ)に衝撃を与えるところに戻るまで待機する動作を繰返して、ぜんまいのトルクないしエネルギを間欠的にてんぷに与える。
以上において、(2)の停止解除から(3)の衝撃の完了までの間にがんぎ車とてんぷとの間において、がんぎ車からてんぷへのトルクの付与ないし回転エネルギの供給が効果的に行われることが望まれる。
しかしながら、本発明者は、アンクル脱進器において、現在一般的に用いられているがんぎ車(例えば、特許文献1)では、トルクの付与ないし回転エネルギの効果的供給が行われ難いことに気づいた。
アンクル脱進器において現在一般的に用いられているがんぎ車101の各がんぎ歯102は、図8に示したように、直線状すなわち平面状の停止面110と、該停止面110に対して角度αをなす直線状すなわち平面状の衝撃面120とを備え、停止面110と衝撃面120との交差部分すなわちロッキングコーナーは角度α(所定の鈍角)の角のある角部130になっている。
一方、アンクル201の入つめ202や出つめも、同様で、例えば、図9の(a)等に入つめ202について示したように、一般的に、直線状すなわち平面状の停止面210と、該停止面210に対して角度βをなす直線状すなわち平面状の衝撃面220とを備え、停止面210と衝撃面220とのロッキングコーナーは角度β(所定の鈍角)の角部230になり、衝撃面220の他端側も実際上鋭角γの角部240になっている。
従って、がんぎ車101とてんぷとのトルクないしエネルギのやりとりは、概ね図9の(a)〜(e)及び図10に示すようになる。
がんぎ歯102が停止面110でアンクル201の入つめ202の停止面210と係合して停止せしめられていたがんぎ車101は、アンクル201がてんぷの振り石から受けるPW1方向回動力によりC2方向に押され、衝撃解除の直前においては、図9の(a)で示したように、がんぎ歯102は、停止面110のうちロッキングコーナー130の近傍部分でアンクル201の入つめ202の停止面210のうちロッキングコーナー230によって停止解除力を受ける状態PS1になる。
この直後に、がんぎ車101の慣性によりがんぎ歯102が入つめ202から一旦C2方向に離れ、その後、直ちに、ぜんまいからの運針輪列を介したC1方向トルクの作用下でC1方向に回転して、ロッキングコーナー130において入つめ202の衝撃面220のうちロッキングコーナー230よりもある程度の長さΔLP1だけずれた部位PP2に当たって、アンクル201をPW1方向に回すべく、該入つめ202に対して、該入つめ202の衝撃面220に対して垂直な向きPF2の力を及ぼし、アンクル201を介しててんぷにトルクを与え始める(図9の(b)の状態PS2)。
ここで、がんぎ歯102が一旦アンクル201の入つめ202のロッキングコーナー230から離れた後アンクル201の衝撃面220にぶつかる際に力が不連続に且つ大きく変化した向きでアンクルに伝わることになるので、がんぎ車101からアンクル201への動力伝達の効率が低下し、また、長さΔLP1に相当する期間だけアンクル201に対する動力伝達の空白期間ができアンクルの入つめの202の衝撃面220を有効に使えない点でもがんぎ車101からアンクル201への動力伝達の効率が低下する。
がんぎ車101のC1方向回転に伴い、がんぎ車101のがんぎ歯102のロッキングコーナー130が入つめ202の衝撃面220にトルクを与える部位PPが衝撃面220に沿ってEP方向に移動し、図9の(c)の状態PS3で示した位置PP3を通って図9の(d)の状態PS4で示したリービングコーナー(インパルスビーク)240に達する。このとき、がんぎ車101のがんぎ歯102がアンクル201の入つめ202の衝撃面220に及ぼす力の向きPF4は、状態PS4において衝撃面220に垂直な向きである。
この後、がんぎ車101の更なるC1方向回転に伴い、図9の(e)に示したように、がんぎ歯102がそのロッキングコーナー130で入つめ202の衝撃面220を押す代わりに、がんぎ車101のがんぎ歯102がその衝撃面120で、該衝撃面120に対して垂直な向きPF5に、入つめ202のリービングコーナー240を押す衝撃面交替の状態PS5になる。この衝撃面220から衝撃面120への衝撃面交替の際に、がんぎ歯102が入つめ202に加える力の向きがPF4(入つめ202の衝撃面220に垂直な向き)からPF5(がんぎ歯102の衝撃面120に垂直な向き)に急激に変わる。
その結果、がんぎ車101からアンクル201へのトルクの伝達、すなわちがんぎ車101からアンクル201を介したてんぷへのトルクの伝達が効果的に行われ難い。すなわち、例えば、この衝撃面交替の際にがんぎ歯102と入つめ202とが一時的に離れたり又は離れようとしたりする等により、その間トルクないしエネルギ伝達が行われなかったり行われ難かったりする虞れもある。
その後は、がんぎ車101のC1方向回転に応じて、入つめ202の角部240ががんぎ歯102の衝撃面120に沿ってHP方向に移動しつつがんぎ車101からアンクル201への又は該アンクル201を介したてんぷへのトルクの供給が行われる。
以上の説明からわかるように、従来のがんぎ歯を備えた従来のがんぎ車を有する従来のアンクル脱進器では、図9の(e)における衝撃面交替の際におけるトルク伝達のロスLP1や、図9の(a)から(b)における衝撃開始までのトルク伝達のロスLP2等があって、がんぎ車101からアンクル201への又は該アンクル201を介したてんぷへのトルクの供給が効果的に行われ難い虞れがある。
てんぷの回転角θに応じたトルク比ΔT(がんぎ車とてんぷとの間でのトルクの授受ないし出入り)を入つめの場合PJ1と出つめの場合PJ2についてグラフ化すると、図10のようになり、このグラフの状態PS1から状態PS2への変化及び状態PS4からPS5への変化がロスLP1,LP2の生じるところに対応する。以上のことは、入つめだけでなく、出つめの場合も同様である。
なお、目的は異なるものの、入つめのロッキングコーナー230を凸状の湾曲部にしたり衝撃面を凹状の湾曲部にすることは、提案されている(特許文献2)。
しかしながら、この特許文献2に開示の入つめの凸状の湾曲部によっては、上述の衝撃面交替の際の力の向きの急激な変化は避けられず、トルク伝達のロスLP2は改善されない。
特開2009−288083号公報 スイス国特許702689号明細書
本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、衝撃面交替の際においてトルクの伝達を効果的に行い得るがんぎ歯、該がんぎ歯を備えたがんぎ車、該がんぎ車を有するアンクル脱進器、該がんぎ歯を有するムーブメント、並びに機械式時計及びトルク伝達方法を提供することにある。
本発明のがんぎ歯は、前記目的を達成すべく、停止面と衝撃面とをつなぐロッキングコーナーが湾曲した第一湾曲凸面部の形態である。
本発明のがんぎ歯では、「停止面と衝撃面とをつなぐロッキングコーナーが湾曲した第一湾曲凸面部の形態である」ので、がんぎ歯がそのロッキングコーナーでアンクルのつめ(入つめ又は出つめ)の衝撃面を押す状態からがんぎ歯がその衝撃面(より詳しくはがんぎ歯の衝撃面のうちのロッキングコーナーにつながる部位(換言すれば、がんぎ歯の第一湾曲凸面部の形態のロッキングコーナーのうち衝撃面につながる部位))でアンクルのつめのリービングコーナー(インパルスビーク)を押す状態への衝撃面の交替に際して、がんぎ歯がアンクルのつめに与える力の向きが極端に変化するのを避け、該力の向きの変化ないし変動を最低限に抑えられ得るから、アンクルのつめに対するトルクの伝達が効果的に行われ得る。
また、本発明のがんぎ歯では、「停止面と衝撃面とをつなぐロッキングコーナーが湾曲した第一湾曲凸面部の形態である」ので、停止解除に際して、がんぎ歯のロッキングコーナーを形成する第一湾曲凸面部がアンクルのつめの停止面から衝撃面に概ね連続的に接触し得るから、停止解除から衝撃開始に至るまでの間に、がんぎ歯がアンクルのつめから離れてトルク供給が行われなくなる空白期間が最小限に抑えられ且つアンクルのつめの衝撃面を有効に利用し得る。従って、アンクルのつめに対してトルクが効果的に伝達され得る。また、停止解除の後で衝撃開始の際の力の向きの変化も比較的小さく抑えられ得るので、がんぎ歯からアンクルのつめに対してトルクが効果的に伝達され得る。
本発明のがんぎ歯では、典型的には、衝撃面のうちロッキングコーナーの前記第一湾曲凸面部につづく部位に湾曲した第二湾曲凸面部がある。
この場合、衝撃面交替の後、がんぎ歯の衝撃面のうちアンクルのつめのリービングコーナーに当接する部位の向きが第二湾曲凸面部の湾曲に応じてアンクルの回転中心軸から離れる向き変わるので、がんぎ歯の回転に応じてがんぎ歯から与えられるトルクの低下が抑制又は該トルクが増大せしめられ得る。従って、アンクルのつめに対してトルクが効果的に伝達され得る。なお、第一湾曲凸面部と第二湾曲凸面部とが実際上つながり得る限り、比較的短かければ、第一湾曲凸面部と第二湾曲凸面部との間に直線状(平面状)部分が介在していてもよい。
本発明のがんぎ歯では、典型的には、前記第二湾曲凸面部が衝撃面の全体にわたって拡がっている。
その場合、がんぎ車からアンクルを介しててんぷに加えるトルクが、衝撃の開始の後衝撃の全期間を通じて時間の経過と共に増加せしめられ得る。
本発明のがんぎ歯では、典型的には、衝撃面のうちロッキングコーナーから離れた部位ほど前記第二湾曲凸面部の部分の曲率半径が大きくなっている。
その場合、がんぎ車からアンクルを介しててんぷに加えるトルクが、衝撃の終りの段階において徐々に低減せしめられ得る。
本発明のがんぎ歯において、衝撃面の全体に前記第二湾曲凸面部が形成されている場合、がんぎ車の径が4.85mmであるときには、典型的には、前記第二湾曲凸面部の曲率半径R2が0.4〜0.6mmである。
その場合、衝撃面の第二湾曲凸面部の長所が効果的に得られる。なお、曲率半径R2が小さすぎる場合(下限値よりも小さい場合)には、衝撃面交替の後がんぎ歯の衝撃面がアンクルのつめのリービングコーナーに与える力の向きが急激に変わるのでトルクの増大が大きくなりすぎる虞れがある。一方、曲率半径R2が大きすぎる場合(上限値よりも大きい場合)には、がんぎ歯の衝撃面の第二湾曲凸面部が実際上ないに等しくなって、実際上、従来のがんぎ歯の衝撃面の如く平面状(横から見ると直線状)になるから、第二湾曲凸面部があることによる利点がほとんど失われる。
本発明のがんぎ歯では、衝撃面のうち前記第二湾曲凸面部の部分に続く部位が平面状であってもよい。
その場合、がんぎ車からアンクルを介しててんぷに加えるトルクが、後衝撃の終りの段階において概ね直線的に低減せしめられ得る。
本発明のがんぎ歯において、衝撃面のうち前記第二湾曲凸面部の部分に続く部位が平面状である場合、がんぎ車の径が4.85mmであるときには、典型的には、前記第二湾曲凸面部の曲率半径R2が0.2〜0.5mmである。
衝撃面の全体に第二湾曲凸面部がある場合と比較して、第二湾曲凸面部の曲率半径R2の適切な範囲がR2の小さい側にずれるのは、第二湾曲凸面部の拡がりが短くなるので、該拡がりの範囲内での面の向きをより大きく変えるためである。
本発明のがんぎ歯では、典型的には、がんぎ車の径が4.85mmである場合に、前記第一湾曲凸面部の曲率半径R1が0.01〜0.05mmである。
その場合、ロッキングコーナーの第一湾曲凸面部の長所が効果的に得られる。なお、曲率半径R1が小さすぎる場合(下限値よりも小さい場合)には、がんぎ歯のロッキングコーナーの第一湾曲凸面部が実際上ないに等しくなって、実際上、従来のがんぎ歯のロッキングコーナーの如く角張った頂点のある角部になるから、第一湾曲凸面部があることによる利点がほとんど失われる。一方、曲率半径R1が大きすぎる場合(上限値よりも大きい場合)には、アンクルの出つめとの係合(出つめの停止)が適切に行われ難くなる虞れがある。
本発明のがんぎ車は、前記目的を達成すべく、上述のようながんぎ歯を備える。
また、本発明のアンクル脱進器は、前記目的を達成すべく、上述のようながんぎ車と、前記がんぎ車からトルクの授受を行うとともに、前記がんぎ車の回転を間欠的に規制して、ぜんまいのトルクをてんぷへ伝えるアンクルと、前記アンクルからのトルクを受けるとともに、前記アンクルに作用するてんぷと、を有する。
また、本発明のムーブメントは、前記目標を達成すべく、上述のようなアンクル脱進器を有する。
更に、本発明の機械式時計は、前記目的を達成すべく、上述のようなムーブメント車と、前記ムーブメントを内包するケーと、を有する。
また、本発明のトルク伝達方法は、前記目的を達成すべく、停止面と衝撃面とをつなぐロッキングコーナーが湾曲した第一湾曲凸面部の形態であるがんぎ歯を備えたがんぎ車から、アンクルのつめへトルクを伝達するトルク伝達方法であって、前記がんぎ車の回転に伴って、前記衝撃面を前記アンクルのつめに当接差させて前記トルクを伝達させる際に、前記アンクルのつめを前記第一湾曲部に沿って前記衝撃面へ近づかせることにより、前記がんぎ歯が前記アンクルのつめに与える力の向きの変化ないし、変動を抑えながら、前記トルクを伝達することを特徴とする。
本発明の好ましい一実施例のがんぎ歯を備えた本発明の好ましい一実施例のがんぎ車を有する本発明の好ましい一実施例のアンクル脱進器の平面説明図。 図1のがんぎ車の本発明の好ましい一実施例のがんぎ歯の部分を拡大して示した平面説明図。 図2のがんぎ歯を備えたがんぎ車を有するアンクル脱進器のがんぎ歯と入つめとのトルク授受の変化を示したもので、(a)は停止の解除が開始される状態を示した平面説明図、(b)は停止解除が進行している状態を示した平面説明図、(c)はがんぎ歯による入つめの衝撃が開始された状態を示した平面説明図、(d)はがんぎ歯による入つめの衝撃が進行している状態であってがんぎ歯の円弧状ロッキングコーナーが入つめの衝撃面に沿って途中まで移動した状態を示した平面説明図、(e)はがんぎ歯による入つめの衝撃が進行している状態であってがんぎ歯の円弧状ロッキングコーナーが入つめの衝撃面に沿ってリービングコーナーまで移動した状態を示した平面説明図、(f)衝撃面交替の状態を示した平面説明図。 アンクルの入つめに関して、てんぷ回転角θに対するトルク比ΔTの変化を模式的に示したグラフであって、図3のアンクル脱進器についての変化と図8に示した従来のアンクル脱進器についての変化を示したグラフ。 アンクルの出つめに関して、てんぷ回転角θに対するトルク比ΔTの変化を模式的に示したグラフであって、図3のアンクル脱進器についての変化と図8に示した従来のアンクル脱進器についての変化を示したグラフ。 本発明の別の好ましい一実施例のがんぎ歯の部分を拡大して示した図2と同様な平面説明図。 図6のがんぎ歯を備えたアンクル脱進器について、アンクルの入つめ及び出つめに関して、てんぷ回転角θに対するトルク比ΔTの変化を模式的に示したグラフ。 従来のアンクル脱進器の従来のがんぎ車の従来のがんぎ歯についての平面説明図。 図8の従来のがんぎ歯を備えた従来のがんぎ車を有する従来のアンクル脱進器のがんぎ歯と入つめとのトルク授受の変化を示したもので、(a)は停止の解除が開始される状態を示した平面説明図、(b)は停止解除後において一旦入つめから離れたがんぎ歯による入つめの衝撃が開始された状態を示した平面説明図、(c)はがんぎ歯による入つめの衝撃が進行している状態であってがんぎ歯のロッキングコーナーが入つめの衝撃面に沿って途中まで移動した状態を示した平面説明図、(d)はがんぎ歯による入つめの衝撃が進行している状態であってがんぎ歯のロッキングコーナーが入つめの衝撃面に沿ってリービングコーナーまで移動した状態を示した平面説明図、(e)衝撃面交替の状態を示した平面説明図。 図8の従来のがんぎ歯を備えた従来のアンクル脱進器について、アンクルの入つめ及び出つめに関して、てんぷ回転角θに対するトルク比ΔTの変化を模式的に示したグラフ。
本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい実施例に基づいて説明する。
図1には、本発明の好ましい一実施例のがんぎ歯1を備えた本発明の好ましい一実施例のがんぎ車2を有する本発明の好ましい一実施例のアンクル脱進器3を有する本発明の好ましい一実施例のムーブメント300であって、機械式時計4に組み込まれるもの示されている。がんぎ車2は、中心軸線CのまわりでC1,C2方向に回動可能で、(図示しない)ぜんまいのトルクを伝える。アンクル脱進器3において、70はアンクル、80はてんぷである。てんぷ80は、ひげぜんまい81の作用下で中心軸線AのまわりでA1,A2方向に往復回動可能で、振り石82においてアンクル70からのトルクを受けると共に該アンクル70に作用する。アンクル70は、アンクル軸71の中心軸線BのまわりでB1,B2方向に回動可能であり、ハコ先72で振り石82とトルクの授受を行うと共に、入つめ73及び出つめ74でがんぎ車2のC1方向回転を間欠的に規制して、ぜんまいのトルクを少しづつてんぷ80に伝える。ムーブメント300(駆動体)の一例としては、機械式時計4からいわゆる外装部分(ケース400、時針(不図示)等)を除いた部分であり、動力源の主ゼンマイ(不図示)、針を動かす駆動歯車(筒車(不図示)等)等、歯車の回転速度を制御するアンクル脱進器3(調速・脱進機構)、又は手巻機構(不図示)等を含んで構成されており、単体で流通可能なものである。
がんぎ車2の各がんぎ歯1では、図2に示したように、停止面10と衝撃面20との間のロッキングコーナー30が、滑らかに湾曲した第一湾曲凸面部31の形態である。より詳しくは、この例では、第一湾曲凸面部31は、半径R1の円弧面32になっていて、該第一湾曲凸面部31のうち停止面10側の端縁部33は該停止面10に連続的に且つ滑らかにつながっている。また、第一湾曲凸面部31のうち衝撃面20側の端縁部34は該衝撃面20に連続的に且つ滑らかにつながっている。
図2のがんぎ歯1では、また、衝撃面20も、なめらかに湾曲した第二湾曲凸面部21の形態である。より詳しくは、この例では、第二湾曲凸面部21は、半径R2の円弧面22になっていて、該第二湾曲凸面部21のうちロッキングコーナー30側の端縁部23は該ロッキングコーナー30を形成する第一湾曲凸面部31のうち近接する端縁部34に連続的に且つ滑らかにつながっている。また、第二湾曲凸面部21のうち反対側の端縁部24はリービングコーナーないしインパルスビーク40まで延びている。
ここで、がんぎ車2の径が4.85mm程度である場合、ロッキングコーナー30を形成する第一湾曲凸面部31の円弧面32の半径(曲率半径)R1は、0.01mm〜0.05mm程度であり、衝撃面20を形成する第二湾曲凸面部21の円弧面22の半径(曲率半径)R2は、0.4mm〜0.6mm程度であることが好ましい。
R1が上記の範囲内にある場合、ロッキングコーナーの第一湾曲凸面部の長所が効果的に得られる。
なお、曲率半径R1が小さすぎる場合(下限値よりも小さい場合)には、がんぎ歯のロッキングコーナーの第一湾曲凸面部が実際上ないに等しくなって、実際上、従来のがんぎ歯のロッキングコーナーの如く角張った頂点のある角部になるから、第一湾曲凸面部があることによる利点がほとんど失われる。一方、曲率半径R1が大きすぎる場合(上限値よりも大きい場合)には、アンクルの出つめとの係合(出つめの停止)が適切に行われ難くなる虞れがある。
また、R2が上記の範囲内にある場合、衝撃面の第二湾曲凸面部の長所が効果的に得られる。
なお、曲率半径R2が小さすぎる場合(下限値よりも小さい場合)には、衝撃面交替の後がんぎ歯の衝撃面がアンクルのつめのリービングコーナーに与える力の向きが急激に変わるのでトルクの増大が大きくなりすぎる虞れがある。一方、曲率半径R2が大きすぎる場合(上限値よりも大きい場合)には、がんぎ歯の衝撃面の第二湾曲凸面部が実際上ないに等しくなって、実際上、従来のがんぎ歯の衝撃面の如く平面状(横から見ると直線状)になるから、第二湾曲凸面部があることによる利点がほとんど失われる。
以上の如く構成されたがんぎ車2のがんぎ歯1とアンクル70の入つめ73との相互作用を、がんぎ車2の外径が4.85mmで、第一湾曲凸面部31の円弧面32の曲率半径R1が0.02mmで、第二湾曲凸面部21の円弧面22の曲率半径R2が0.5mmである場合を例にとって、図1及び図2に加えて、図3の(a)〜(f)及び図4に基づいて説明する。図3の(a)〜(f)等において、入つめ73は、停止面75、衝撃面76、ロッキングコーナー77及びリービングコーナーないしインパルスビーク78を有する。停止面75及び衝撃面76は平面で、図3の(a)〜(f)のような正面説明図で示した場合には直線状になる。ロッキングコーナー77及びリービングコーナー78は、夫々、平面と平面とが交差している角部であって、実際上、頂点77a,78aがある。また、図4はてんぷの回転角θ(ひげぜんまいに往復回動方向の弾性ひずみがない中立位置をθ=0とする)に対するがんぎ車及びてんぷ間でのアンクルの入つめを介したトルクの出入(てんぷ/がんぎトルク比)ΔTを表し、太い実線J1は、がんぎ歯1とアンクル70とを備えたアンクル脱進器3におけるてんぷ回転角θとトルク比ΔTとの関係を表わし、破線PJ1は、図9の(a)〜(e)に示した従来のがんぎ歯102とアンクル201とを備えた従来のアンクル脱進器におけるてんぷ回転角θとトルク比ΔTとの関係を表わす。
図3の(a)には、がんぎ歯1が停止面10の端であってロッキングコーナー30をなす第一湾曲凸面部31の停止面10側の端縁33において、入つめ73のロッキングコーナー77の頂点77aと係合ないし当接した状態S1が示されている。
この状態S1に入る前は、がんぎ歯1は、停止面10で入つめ73の停止面75と当接していて、A1方向に回転している振り石82によりB1方向に回動されているアンクル70が、入つめ73の停止面75でがんぎ歯1の停止面10をB1に押してがんぎ歯1をC2方向に短時間だけ押し戻す。この状態Saは、図4において、符号Saで示した状態である。
図3の(a)の状態S1は、図4において、符号S1で示す状態である。この状態S1の後、入つめ73のB1方向回動に伴い該入つめ73のロッキングコーナー77の頂点77aに当接するがんぎ歯1の部位は、第一湾曲凸面部31に沿って滑らかに且つ徐々に衝撃面20に近付く。
従って、図3の(b)に示したように、アンクル70が、入つめ73のロッキングコーナー77の頂点77aでがんぎ歯1を押す向き、換言すれば、がんぎ歯1の当接面部から入つめ73のロッキングコーナー77の頂点77aにかかる力の向きが徐々に変わり、入つめ73によって押されたがんぎ歯1がC2方向に入つめ73から離れる(図3の(b)及び図4の状態S2)。なお、第一湾曲凸面部31が入つめ73のロッキングコーナー77の頂点77aと当接している場合、該第一湾曲凸面部31の当接部位における接平面に垂直な向きF(状態S1では向きF1、状態S2では向きF2)の力がかかる。
なお、図3の(b)に示した状態S2にある際の入つめ73及びこれを備えたアンクル70のB1方向回転角は、図9の(a)で示したように従来のアンクル201の入つめ202のロッキングコーナー230の頂点と従来のがんぎ歯102のロッキングコーナー130の頂点とが係合しがんぎ歯102が入つめ202から離れる状態(PS1)のアンクル201のPW1方向の回転角よりも小さい。すなわち、がんぎ歯1を備えたがんぎ車2は、図4の状態S2と状態PS1との比較からわかるように、てんぷ回転角がより大きい(振り石の戻りが少ない)うちに、入つめ73から比較的小さい加速状態で離れ得る。
C2方向の慣性により一旦入つめ73から離れたがんぎ歯1は、図3の(c)及び図4において状態S3で示したように、ぜんまいからのトルクの作用下で直ちに(短い空白期間の後に)C1方向回転に戻ってロッキングコーナー30をなす第一湾曲凸面部31のうち衝撃面20につながる端縁部34すなわち衝撃面20のうち第一湾曲凸面部31につながる部位23で、入つめ73の衝撃面76のうちロッキングコーナー77の近傍の部位75aに当たる。従って、入つめ73の衝撃面76を有効に利用し得る。
がんぎ歯1では、第一湾曲凸面部31の存在の故に、状態S2においててんぷ80の回転速度が小さいうちに入つめ73から離れたので、従来のがんぎ歯102と比較して、より早く、すなわち、入つめ73のロッキングコーナー75により近い部位75aにおいて入つめ73の衝撃面76と当接して、入つめ73(アンクル70)を介しててんぷ80にトルクを加え得る。
図3の(c)から図3の(d)及び(e)並びに図4において、状態S4及びS5で示すように、この後、がんぎ歯1のC1方向回転に応じて、がんぎ歯1のロッキングコーナー30の第一湾曲凸面部31のうち衝撃面20側の端縁34(衝撃面20の第一湾曲凸面部31側の端縁23)が入つめ73の衝撃面76に当接する部位が、E1方向に移動しつつ、がんぎ歯1が第一湾曲凸面部31の端縁34で入つめ73の衝撃面76にトルクを与え続ける。なお、この段階は、がんぎ歯1のロッキングコーナー30の第一湾曲凸面部31のうち衝撃面20側の端縁34が入つめ73の衝撃面76の端にあるインパルスコーナーに達する状態S5に至るまで続く。
以上の状態S3からS5までの間、がんぎ歯1は、ロッキングコーナー30の第一湾曲凸面部31のうち衝撃面20側の端縁34で、入つめ73の衝撃面76に当接して該衝撃面76に垂直な向きF(状態S3では向きF3、状態S4では向きF4、状態S5では向きF5)に力を加える。この力の向きF3,F4,F5は、入つめ73の衝撃面76に垂直な向きで概ね概ね一定であるので、図4に示すように、がんぎ歯1が入つめ73に加える1のトルクが概ね一定に保たれ得る。
がんぎ車2が更にC1方向に回転すると、がんぎ歯1のロッキングコーナー30の第一湾曲凸面部31のうち衝撃面20側の端縁34が入つめ73の衝撃面76に当接した状態(S3,S4,S5)から、がんぎ歯1の衝撃面20に入つめ73のリービングコーナー(インパルスビーク)77が当接する状態(S6)に移る。すなわち、トルク伝達に係わる衝撃面が入つめ73の衝撃面76からがんぎ歯1の衝撃面20に移る衝撃面交替の状態S6になる。
この衝撃面交替S6に際しては、図3の(f)に示したように、がんぎ歯1が入つめ73に加える1の力の向きすなわち当接面の接平面に垂直な向きFが図3の(e)の状態S5における想像線で示した向きF5(状態S5において入つめ73の衝撃面76に垂直な向き)から実線で示した向きF6(ロッキングコーナー30の端縁34につながる又は重なる衝撃面20の端縁23の接平面に垂直な向き)に替る。このがんぎ車2のがんぎ歯1のロッキングコーナー30には円弧面32の形態の第一湾曲凸面部31が形成されていて、この衝撃面交替が湾曲凸面部31の端縁34及びこれに隣接ないし重なる衝撃面20の端縁23で生じるので、この向きF5から向きF6への変化は、極めて小さい。従って、この衝撃面交替の状態S6において、がんぎ車2からアンクル70を介しててんぷ80に与えるトルク変動が最小限に抑えられ得、トルク伝達のロスが最低限に抑えられ得る。すなわち、この衝撃面交替の状態S6の際のトルク変動によってがんぎ歯1と入つめ73とが離れること又はその虞れを最低限に抑え得るので、トルク伝達が効果的に行われ得る。
なお、図4において破線の状態PS5により示し図9の(e)において示したように、従来のがんぎ歯及びアンクルからなるアンクル脱進器の場合、がんぎ歯102の角の尖ったロッキングコーナー130と入つめ202の角の尖ったリービングコーナー240とが当接する状態PS5において衝撃面交替が生じ、瞬間的にトルクの向きが比較的大きく変動する。従って、トルク変動が大きく、がんぎ歯1が入つめ73から一時的に離れる等によりトルク伝達効率が低下する虞れがある。なお、この状態PS5の衝撃面交替が起きるのは、入りつめ73の回転角が、状態S5の場合の入つめ73の回転角よりも小さい。
図3の(f)の状態S6の後は、入つめ73のリービングコーナー78の頂点78aが、がんぎ歯1から離れるまで、がんぎ歯1の衝撃面20に沿ってH方向(図3の(f)及び図2参照)に移動する状態S6a(図4)に移る。該状態S6aは、リービングコーナー78の頂点78aが、衝撃面20を構成する第二湾曲凸面部21に当接している間、該第二湾曲凸面部21の当接部の接平面に垂直な向きに力が働く。この状態S6aの間、てんぷ80の回転と共にトルクが多少増す。
以上においては、アンクル脱進器3における入つめ73を介するトルクの伝達について説明したけれども、出つめ74においても、概ね同様である。
即ち、図5は、てんぷの回転角θに対するがんぎ車及びてんぷ間でのアンクルの出つめを介したトルクの出入(てんぷ/がんぎトルク比)ΔTを表し、太い破線J2は、がんぎ歯1とアンクル70とを備えたアンクル脱進器3におけるてんぷ回転角θとトルク比ΔTとの関係を表わし、細い破線PJ2は、従来のがんぎ歯102とアンクル201とを備えた従来のアンクル脱進器におけるてんぷ回転角θとトルク比ΔTとの関係を表わす。
がんぎ車2の外径が4.85mmで、R1=0.02mm及びR2=0.5mmの場合、太い破線J2と細い破線PJ2との差異は、図4の実線J1と破線PJ1との差異と概ね一致し、入つめ73に関して説明した説明は、出つめ74についても、当てはまる。
以上のようながんぎ歯1を備えたがんぎ車2を有するアンクル脱進器3では、トルクの伝達効率を3%程度高め得る。このようながんぎ歯1は例えば特開平2010−91544号公報に記載の如く半導体集積回路技術を応用した微細加工技術(例えば、MEMSその他の微細加工技術)を利用して形成され得る。
以上においては、がんぎ歯の衝撃面の全体にわたって第二湾曲凸面部を形成する例について説明したけれども、がんぎ車2Aのがんぎ歯1Aは、図6に示したように、衝撃面20Aのうちロッキングコーナー30の第一湾曲凸面部31の円弧部32の端縁部34Aに直接的につながる部位23Aから衝撃面20Aの半分程度までの領域ないし部分25に第二湾曲凸面部21Aを備え、該部分25の端26(すなわち、第二湾曲凸面部21Aの端縁部26)からがんぎ歯1Aのリービングコーナー40Aまでの領域ないし部分27に直線状部(平面状部)28を有していてもよい。部分(領域)25と部分(領域)27との割合は、典型的には、1対1程度であるけれども、第二湾曲凸面部21Aの方が直線状部28よりも長くても、その逆に、直線状部28の方が第二湾曲凸面部21Aよりも長くてもよい。
図6のがんぎ車2Aの要素のうち図2のがんぎ車2の要素と同一の要素には同一の符号が付され、対応するけれども異なるところのある要素には、同一の符号の後に添字Aが付されている。
この場合でも、がんぎ車2Aの外径が4.85mm程度である場合、第一湾曲凸面部31の円弧部32の曲率半径R1=0.01〜0.05mmであることが好ましく、第二湾曲凸面部21Aの円弧部22Aの曲率半径R2=0.2〜0.5mmであることが好ましい。なお、第二湾曲凸面部21Aの円弧部22Aの曲率半径R2を第一湾曲凸面部21の円弧部22の曲率半径R2よりも多少小さい範囲にするのは、その延在範囲が短いので面の向きの変化をより大きくするためである。
図7では、がんぎ車2Aにおいて、がんぎ歯1Aの第一湾曲凸面部31の円弧部32の曲率半径R1が0.04mmで、第二湾曲凸面部21Aの円弧部22Aの曲率半径R2が0.34mmの場合について、てんぷの回転角θに対するトルク比ΔTを入つめ73及び出つめ74の夫々に関して、実線J1A及び破線J2Aで示した。
入つめ73を例にとって具体的に説明すれば、この場合も、がんぎ歯1Aのロッキングコーナー30に円弧部32の形態の第一湾曲凸面部31があるが故に、状態S1A,S2A,S3Aのトルク比ΔTの変化からわかるように、停止状態から衝撃開始に入る際の力の変化が連続的になるので、がんぎ歯1Aと入つめ73との間におけるジャンプが最低限に抑えられ得る。
なお、このがんぎ歯2Aの場合、第一湾曲凸面部31の円弧部32の曲率半径R1が0.04mmであって、がんぎ歯2の第一湾曲凸面部31の円弧部32の曲率半径R1=0.02mmよりも大きいので、状態S3の後に長い傾斜部S3aがあって衝撃開始後の力の変化がよりなめらかである。
また、状態S5A,S6Aにおけるトルク比ΔTの変化からわかるように、衝撃面交替の際における力の向きの変化が小さく抑えられ得るので、がんぎ歯1Aと入つめ73との間におけるジャンプが最低限に抑えられ得る。
更に、この場合、衝撃面交替の後、入つめ73のリービングコーナーが、曲率半径R2の第二湾曲凸面部21Aの円弧部22Aのある部分(領域)25からトルクを受ける状態S6aの後、がんぎ歯1Aの衝撃面20Aのうち端部26からリービングコーナー40Aに位置する端部24Aまで延びる直線状部28からトルクを受ける状態S7にかわるので、てんぷ回転角θの増大に伴ってトルク比ΔTが下がっていくようになる。
なお、破線J2Aで示した出つめ74の場合も、実線J1Aで示した入つめ73の場合と概ね同様であるので、その説明は省く。
以上においては、がんぎ歯1,1Aのロッキングコーナー30の第一湾曲凸面部31が単一の円弧面32からなる例について説明したけれども、第一湾曲凸面部31は、端縁33と端縁34,34Aとの間において、外向きに凸に滑らかに湾曲している限り、端縁33と端縁34,34Aとの間において曲率半径が異なる複数の領域からなっていても曲率半径が連続的に変動していてもよい。衝撃面20,20Aの第二湾曲凸面部21,21Aについても同様である。
以上においては、入つめ73や出つめ74のロッキングコーナーが角張っていて頂点がある例について説明したけれども、所望ならば、入つめ73や出つめ74のロッキングコーナーにがんぎ歯1,1Aの湾曲凸面部31のような湾曲凸面部が形成されていてもよい。ここで、湾曲凸面部は、典型的には円弧面からなる。
1,1A がんぎ歯
2,2A がんぎ車
3 アンクル脱進器
4 機械式時計
10 停止面
20 衝撃面
21,21A 第二湾曲凸面部
22,22A 円弧面
23,23A 端縁部
24 端縁部
25 部分(領域)
26 端(端縁部)
27 部分(領域)
28 直線状部
30 ロッキングコーナー
31 第一湾曲凸面部
32 円弧面
33 端縁部
34,34A 端縁部
40,40A (がんぎ歯の)リービングコーナー(インパルスビーク)
70 アンクル
71 アンクル軸
72 ハコ先
73 入つめ
74 出つめ
75 停止面
75a 部位
76 衝撃面
77 ロッキングコーナー
77a 頂点
78 リービングコーナー(インパルスビーク)
78a 頂点
80 てんぷ
82 振り石
300 ムーブメント
400 ケース
A,B,C 中心軸線
A1,A2,B1,B2,C1,C2 回転(回動)方向
E1,H1 移動方向
F,F1,F2,F3,F4,F5,F6 力の向き
J1,J1A 入つめのθ−ΔT曲線
J2,J2A 出つめのθ−ΔT曲線
R1 がんぎ歯のロッキングコーナーの第一湾曲凸面部の円弧面の曲率半径
R2 がんぎ歯の衝撃面の第二湾曲凸面部の円弧面の曲率半径
S1,S1A,S2,S2A,S3,S3a,S3A,S4,S4A,S5,S5A,S6,S6A,S6a,S6aA,S7,Sa, 状態
θ てんぷ回転角
ΔT トルク比

Claims (12)

  1. 停止面と衝撃面とをつなぐロッキングコーナーが湾曲した第一湾曲凸面部の形態であり、
    前記衝撃面のうち前記ロッキングコーナーの前記第一湾曲凸面部につづく部位に湾曲した第二湾曲凸面部があるがんぎ歯。
  2. 前記第二湾曲凸面部が前記衝撃面の全体にわたって拡がっている請求項1に記載のがんぎ歯。
  3. 前記衝撃面のうち前記ロッキングコーナーから離れた部位ほど前記第二湾曲凸面部の部分の曲率半径が大きくなっている請求項1に記載のがんぎ歯。
  4. がんぎ車の径が4.85mmである場合に、前記第二湾曲凸面部の曲率半径R2が0.4〜0.6mmである請求項2又は3に記載のがんぎ歯。
  5. 前記衝撃面のうち前記第二湾曲凸面部の部分に続く部位が平面状である請求項1に記載のがんぎ歯。
  6. 前記がんぎ車の径が4.85mmである場合に、前記第二湾曲凸面部の曲率半径R2が0.2〜0.5mmである請求項5に記載のがんぎ歯。
  7. 前記がんぎ車の径が4.85mmである場合に、前記第一湾曲凸面部の曲率半径R1が0.01〜0.05mmである請求項1から6までのいずれか一つの項に記載のがんぎ歯。
  8. 請求項1から7までのいずれか一つの項に記載のがんぎ歯を備えたがんぎ車。
  9. 請求項8に記載のがんぎ車と、
    前記がんぎ車からトルクの授受を行うとともに、前記がんぎ車の回転を間欠的に規制して、ぜんまいのトルクをてんぷへ伝えるアンクルと、
    前記アンクルからのトルクを受けるとともに、前記アンクルに作用するてんぷと、
    を有するアンクル脱進器。
  10. 請求項9に記載のアンクル脱進器を有するムーブメント。
  11. 請求項10に記載のムーブメントを内包するケースと、を有する機械式時計。
  12. 停止面と衝撃面とをつなぐロッキングコーナーが湾曲した第一湾曲凸面部の形態であるがんぎ歯を備えたがんぎ車から、アンクルのつめへトルクを伝達するトルク伝達方法であって、
    前記がんぎ車の回転に伴って、前記衝撃面を前記アンクルのつめに当接させて前記トルクを伝達させる際に、
    前記アンクルのつめを前記第一湾曲部に沿って前記衝撃面へ近づかせることにより、前記がんぎ歯が前記アンクルのつめに与える力の向きの変化ないし、変動を抑えながら、前記トルクを伝達することを特徴とするトルク伝達方法。
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