JP5159512B2 - 導電性ポリマー材料、及びデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ポリマー材料、及びデバイスに関する。
近年、ITO系導電性膜をはじめとする金属系材料を用いた透明導電性膜は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などに代表される画像表示体(ディスプレイ)に、更には、銀行のATM(現金自動預金支払機)、駅の切符販売機、家庭用ゲーム機、各種モバイル装置などに代表されるタッチパネル用途など、様々な分野で広く用いられるようになってきており、目覚しい発展を遂げている。
ITO系導電性膜をはじめとする金属系材料を用いた導電性膜は、金属系材料を真空蒸着法やスパッタリング法などの気相法によって、ガラス基板上に製膜して製造するのが一般的である。携帯電話やモバイルなどの表示素子については軽量化が進められ、表示素子基板についてもガラスからプラスチックへの移行が求められている。プラスチック基板の導入で表示素子の重量は従来の半分以下となり、強度や耐衝撃性が著しく向上している。
しかしながら、ITO系導電性膜ではガラス基板からプラスチックフィルムに代えることにより密着性が低下し、基材と形成された導電性膜とが剥がれやすいことから、タッチパネルの場合では、指先あるいはペンで押すという物理的力によって、徐々に導電性が低下するという問題があった。またITOなどの金属系材料は通常、スパッタなどの気相法を用いて成膜するため高価な製造装置を使用しなければならない。
これらに代わる導電性材料として導電性ポリマーが知られている。導電性ポリマーを用いることで、導電性を発現する薄膜を塗布によって形成することが可能となり、安価に製造できるという利点を有する。また、導電性ポリマーで作られた電極はITO電極より可撓性に優れ、脆性が低く、可撓性が必要とされる用途に使用しても破損し難い。そのため、特に高いフレキシブル性の電極が必要とされるタッチスパネルに、導電性ポリマーで作られた電極を適用すると、装置の耐久性や信頼性の面で寿命を延ばすことができるという利点をも有するものである。
このような導電性ポリマーとしてポリアニオンを含むポリチオフェンが開発され、これを用いて導電性膜を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この導電性膜は湿熱耐久性がITO膜などに比較して弱く、ある用途に対しては実用上充分な耐久性を達成し得ないことが明らかになった。
特に、導電性膜を表示装置などに適用する場合には、湿熱耐久性、つまり、ある程度以上の熱や湿度の環境下においても、透明性や導電性が低下しないことが重要である。
これに対して、ポリチオフェンに、2個以上のヒドロキシ基を持つ芳香族化合物を添加することで湿熱耐久性が向上することが報告されている(例えば、特許文献2参照)。さらにポリマーを加えて、膜密度を上げることで湿熱安定性が向上することも報告されている(例えば特許文献3参照)。
欧州特許第440957号明細書 特開2006−131873号公報 特開2007−95506号公報
前記特許文献2や前記特許文献3の技術によって、確かに湿熱耐久性は向上するものの、透明性あるいは導電性が低下してしまうことが明らかとなった。
そこで本発明の課題は、導電性、透明性、及び湿熱耐久性に優れた導電性ポリマー材料を提供し、これらを用いたデバイスを提供することにある。
上記状況を鑑み、本発明者らは鋭意研究を行なったところ、導電性ポリマーと下記一般式(1)で表される化合物とを含む導電性膜は、透明性及び導電性に優れ、熱耐久性にも優れること、を知見として得、この知見に基づいてさらに検討し、本発明を完成するに至った。特に、導電性ポリマーを含有する層の表面に、噴霧又は塗布等により一般式(1)で表される化合物を局在させることが、導電性膜の湿熱耐久性の向上に好適であることも明らかとなった。
なお、本発明において「湿熱耐久性」とは、温度60度、湿度90%RH条件下で、一定期間経時した後の透過率、および表面抵抗値の変動をいい、この透過率および表面抵抗値の変動が小さいほど湿熱耐久性に優れる。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
> 導電性ポリマーを含有する層と、
前記導電性ポリマーを含有する層の少なくとも一方の表面に、下記一般式(1)で表される化合物を含有する層と、
を有する導電性ポリマー材料である。
一般式(1)中、Yは、水素原子、炭素原子、ヘテロ原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基に由来する基、アルキル基に由来する基、アシル基に由来する基、アリール基に由来する基、アルコキシ基に由来する基、アリールオキシ基に由来する基、又はヘテロアリール基に由来する基を表す。Lは単結合、2価の炭化水素基、2価のヘテロ原子、又はイミノ基を表す。mは、1以上の整数を表す。
> 前記導電性ポリマー層の両表面に、前記一般式(1)で表される化合物を含む層が設けられてなる前記<>に記載の導電性ポリマー材料である。
> 透明であることを特徴とする前記<又は>に記載の導電性ポリマー材料である。
<4> 前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン及びその誘導体を含むことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の導電性ポリマー材料である。
<5> 前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェンを含むことを特徴とする前記<4>に記載の導電性ポリマー材料である。
<6> 更に、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有することを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の導電性ポリマー材料である。
> 前記<>〜<>のいずれか1項に記載の導電性ポリマー材料を用いたデバイスである。
本発明によれば、導電性、透明性、及び湿熱耐久性に優れた導電性ポリマー材料を提供し、これらを用いたデバイスを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<導電性膜>
本発明の導電性膜は、導電性ポリマーと、一般式(1)で表される化合物と、を含む。
まず、図1〜図3に、具体的な導電性膜の構成例を示す。
図1及び図2の導電性膜1、2は、導電性ポリマーを含有する膜3の表面に、一般式(1)で表される化合物4を局在させるものである。
図3の導電性膜5は、導電性ポリマーと、一般式(1)で表される化合物とを含む膜である。
図1で表される導電性膜1では、導電性ポリマーを含有する膜3の界面(特に空気と接する界面)に一般式(1)で表される化合物4が局在化し、この一般式(1)で表される化合物によって導電性ポリマーを含有する膜3が保護される。これにより導電性膜1の湿熱耐久性がより向上するため、湿熱耐久性の観点から特に好適な形態である。
導電性ポリマーを含有する膜3の表面に一般式(1)で表される化合物4を局在させる態様として更に好適には、図2に示すように、導電性ポリマーを含有する膜3の両表面に一般式(1)で表される化合物4を局在させる。
また、図1及び図2で表される導電性膜1,2の場合、導電性ポリマーを含有する膜3の表面以外の部分では一般式(1)の含有量を低減又は無添加とすることが可能であり、導電性ポリマーを含有する膜3の成膜適性や導電性などの各物性を大きく変化させることなく湿熱耐久性を向上させることができる。よって、導電性ポリマー又はその前駆体と、一般式(1)の化合物の組み合わせの自由度を広げることができる。
図1及び図2で表される導電性膜1、2の製造方法としては、導電性ポリマーを含有する膜3を成膜し膜3を乾燥する途中で、一般式(1)で表される化合物を含む液を塗布や噴霧等によって膜3表面に付与し、更に乾燥させる方法を挙げることができる。また、別の方法としては、導電性ポリマーを含有する膜3を作製し、一般式(1)で表される化合物を含む液中に膜3を浸漬させる方法を挙げることができる。
導電性膜の表面に一般式(1)で表される化合物が局在化しているかは、TOF−SIMS装置(ION−TOF社製)と、XPS装置(PHI社製Quantera SXM)によって確認することができる。
図3で表される導電性膜5は、導電性ポリマーと一般式(1)で表される化合物とを含む。このような導電性膜5は、後述の導電性ポリマー組成物から形成することができる。つまり、図3で表される導電性膜5は、まず導電性ポリマー組成物を調製し、これを塗布などの方法で成膜して得られるため、簡便な方法で製造することができる。
本発明の導電性膜の膜厚は、1nm〜2μmの範囲であることが好ましく、10nm〜1μmの範囲であることがより好ましい。導電性膜の膜厚がこの範囲内であれば、充分な導電性と透明性とを達成することができる。
大面積の導電性膜を一度に作製できるという簡便性の観点からは、塗布によって導電性ポリマーを含有する膜3又は導電性膜5を形成することが好ましい。塗布以外の方法としては、スピンコート、転写などを挙げることができる。この塗布液は、水分散液であってもよいし、有機溶剤であってもよい。塗布液の詳細については、後述の導電性ポリマー材料において説明する。
以下、本発明の導電性膜に含まれる化合物について説明する。
(1)導電性ポリマー
本発明に用いられる導電性ポリマーとは、10−6S・cm−1以上の導電性を示すポリマーをいい、これに該当する高分子化合物であれば、いずれのものも使用することができる。より好ましくは、10−1S・cm−1以上の導電性を有する高分子化合物である。
導電性ポリマーは、好ましくは芳香族炭素環または芳香族ヘテロ環を、単結合または二価以上の連結基で連結した非共役高分子または共役高分子である。
非共役高分子または共役高分子における前記芳香族炭素環としては、例えばベンゼン環が挙げられ、更に縮環を形成してもよい。
非共役高分子または共役高分子における前記芳香族ヘテロ環としては、例えばピリジン環、ビラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、インドール環、カルバゾール環、ペンゾイミダゾール環、イミダゾピリジン環などが挙げられ、更に縮環を形成してもよく、置換基を有してもよい。
また、非共役高分子または共役高分子における前記二価以上の連結基としては、炭素原子、珪素原子、窒素原子、硼素原子、酸素原子、硫黄原子、金属、金属イオンなどで形成される連結基が挙げられる。好ましくは、炭素原子、窒素原子、珪素原子、硼素原子、酸素原子、硫黄原子およびこれらの組み合わせから形成される基であり、組み合わせにより形成される基としては、置換もしくは無置換のメチレン基、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基、スルフィニル基、エステル基、アミド基、シリル基などが挙げられる。
導電性ポリマーとしては、具体的には、例えば、置換および非置換の導電性ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチレン、ポリピリジルビニレン、ポリアジン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、目的に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望の導電性を達成できる範囲であれば、導電性を有しない他のポリマーとの混合物として用いることもでき、これらのモノマーと導電性を有しない他のモノマーとのコポリマーも用いることができる。
導電性ポリマーとしては、共役高分子であることが更に好ましい。共役高分子の例としては、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリフルオレン、ポリアズレン、ポリ(パラフェニレンサルファイド)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、複鎖型共役系高分子(ポリペリナフタレンなど)、金属フタロシアニン系高分子、その他共役系高分子(ポリ(パラキシリレン)、ポリ[α−(5,5’−ビチオフェンジイル)ベンジリデン]など)が挙げられる。
好ましくはポリ(パラフェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレンが挙げられ、より好ましくはポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェン、ポリ(パラフェニレンビニレン)などが挙げられる。
これら共役高分子は置換基を有していてもよく、該置換基としては後述の一般式(I)においてR11として説明する置換基を挙げることができる。
本発明では特に、導電性ポリマーが下記一般式(I)で表される部分構造を有すること(即ちポリチオフェン及びその誘導体であること)が、高い透明性と導電性を両立するという観点から好ましい。
一般式(I)中、R11は置換基を表し、m11は0〜2の整数を表す。m11が2を表すとき、複数のR11は互いに同一であっても異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。n11は1以上の整数を表す。
11で表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−オクテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、
アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、
ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12で、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。具体的には、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。
上記R11で表される置換基は、さらに置換されていてもよい。また、置換基を複数有する場合、それらの置換基は互いに同じでも異なっていてもよく、また可能な場合は連結して環を形成してもよい。形成される環としては例えば、シクロアルキル環、ベンゼン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジチアン環等が挙げられる。
11で表される置換基として、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基である。特に好ましくは、m11が2のとき、2つのR11が環を形成したアルコキシ基、アルキルチオ基であり、ジオキサン環、ジチアン環を形成することが好適である。
一般式(I)においてm11が1のとき、R11はアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキル基がより好ましい。
また、R11が、アルキル基であるポリ(3−アルキルチオフェン)であるとき、隣り合ったチオフェン環との連結様式はすべて2−5’で連結した立体規則的なものと、2−2’、5−5’連結が含まれる立体不規則的なものがあるが、立体的不規則なものが好ましい。
本発明では、導電性ポリマーとしては、高い透明性と導電性を両立するという観点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン(下記具体例化合物(6)、PEDOT)であることが特に好ましい。
一般式(I)で表されるポリチオフェン及びその誘導体は、J. Mater. Chem., 2005, 15, 2077−2088.およびAdvanced Materials 2000, 12(7), page 481など公知の方法によって作製することができる。また、市販品として、Denatron P502(ナガセケムテック社製)、3,4-ethylenedioxythiophene (BAYTRON(登録商標)M V2)、3,4-polyethylenedioxythiopene /polystyrenesulfonate (BAYTRON(登録商標) P)、BAYTRON(登録商標) C)、BAYTRON(登録商標) F E、BAYTRON(登録商標) M V2、BAYTRON(登録商標) P、BAYTRON(登録商標) P AG、BAYTRON(登録商標) P HC V4、BAYTRON(登録商標) P HS、BAYTRON(登録商標) PH、BAYTRON(登録商標) PH 500、BAYTRON(登録商標) PH 510(以上、シュタルク社製)などを入手することができる。
ポリアニリン及びその誘導体としては、ポリアニリン(アルドリッチ社製)、ポリアニリン(エレラルダイン塩)(アルドリッチ社製)などを入手することができる。
ポリピロール及びその誘導体としては、ポリピロール(アルドリッチ社製)などを入手することができる。
以下に、導電性ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの他にも、WO98/01909号記載の化合物等が挙げられる。
本発明で用いる導電性ポリマーの重量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは10,000〜500,000であり、さらに好ましくは10,000〜100,000である。ここで重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
(2) 一般式(1)で表される化合物
本発明の導電性膜は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。下記一般式(1)で表される化合物を含む本発明の導電性膜は、高い透明性及び導電性を示し、加えて湿熱耐久性に優れる。
一般式(1)中、Yは、水素原子、炭素原子、ヘテロ原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基に由来する基、アルキル基に由来する基、アシル基に由来する基、アリール基に由来する基、アルコキシ基に由来する基、アリールオキシ基に由来する基、又はヘテロアリール基に由来する基を表す。Lは単結合、2価の炭化水素基、2価のヘテロ原子、又はイミノ基を表す。mは、1以上の整数を表す。
一般式(1)におけるYは、各々置換基を有していてもよい。置換基としては、以下に述べる置換基群Vが挙げられる。
(置換基群V)
ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素);メルカプト基;シアノ基;カルボキシル基;リン酸基;スルホ基;ヒドロキシ基;炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、モルホリノカルバモイル基);炭素数0〜10、好ましくは炭素数2〜8、更に好ましくは炭素数2〜5のスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ピペリジノスルファモイル基);ニトロ基;炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−フェニルエトキシ基);炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、ナフトキシ基);炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基、トリクロロアセチル基);炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基);炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基);
炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基);炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基);炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8のスルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基);炭素数0〜20、好ましくは炭素数0〜12、更に好ましくは炭素数0〜8の置換もしくは無置換のアミノ基(例えば、無置換のアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ベンジルアミノ基、アニリノ基、ジフェニルアミノ基);炭素数0〜15、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜6のアンモニウム基(例えばトリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基);炭素数0〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒドラジノ基);炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のウレイド基(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基);炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6のイミド基(例えばスクシンイミド基);
炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基);炭素数6〜80、好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基(例えばフェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ基、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ基、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニルチオ基、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニルチオ基);炭素数1〜80、好ましくは炭素数1〜40、更に好ましくは炭素数1〜30のヘテロアリールチオ基(例えば2−ピリジルチオ基、3−ピリジルチオ基、4−ピリジルチオ基、2−キノリルチオ基、2−フリルチオ基、2−ピロリルチオ基);炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−ベンジルオキシカルボニル基);炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、更に好ましくは炭素数6〜10のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基);
炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の無置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基);炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5の置換アルキル基{例えばヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、カルボキシエチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルアミノメチル基、またここでは炭素数2〜18、好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数3〜5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする};炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜15、更に好ましくは炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−カルボキシフェニル基、p−ニトロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、p−シアノフェニル基、m−フルオロフェニル基、p−トリル基、4−プロピルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ブチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−ペンチルシクロヘキシル−4’−ビフェニル、4−プロピルフェニル−2−エチニル−4’−ビフェニル);炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜10、更に好ましくは炭素数4〜6の置換もしくは無置換のヘテロ環基(例えばピリジル基、5−メチルピリジル基、チエニル基、フリル基、モルホリノ基、テトラヒドロフルフリル基);が挙げられる。
上記置換基群Vの置換基は、ベンゼン環やナフタレン環が縮合した構造を形成することができる。
更に、これらの置換基は更に置換されていてもよい。当該更なる置換基としても、上記置換基群Vから選ばれるいずれかの置換基が挙げられる。
一般式(1)中、mは1以上の整数を表す。後述のように、Yが多価の基であれば、その価数に応じてmが定まる。
具体的には、一般式(1)において、Yが炭素原子の場合には、mは4である。Yがヘテロ原子の場合、窒素原子であればmは3であり、酸素原子又は硫黄原子であればmは2である。Yが水素原子、ヒドロキシ基、又はメルカプト基の場合には、mは1である。
一般式(1)のYで表されるヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、又はセレン原子が好ましく、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。
一般式(1)のYで表されるアルキル基に由来する基とは、1価(m=1)のアルキル基のほか、2価(m=2)のアルキレン基、更には3個以上の結合手を有するものを含む。アルコキシ基に由来する基中に存在するアルキル基においても同様である。
Yで表されるアルキル基に由来する基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。Yで表されるアルキル基に由来する基の炭素数は1〜60であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜50、更に好ましくは炭素数1〜40である。
更に、一般式(1)においてYで表されるアルキル基に由来する基は、未置換であっても置換基を有していてもよく、該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、メルカプト基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子(フッ素原子)、ヒドロキシ基、メルカプト基、アシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、スルホ基、アリールオキシ基である。
Yで表されるアルキル基に由来する基としては、具体的には、例えば、m=1の場合;メチル、エチル、t−ブチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘキサデシル、3−ドデシルオキシプロピル、パーフロロブチル、3−(2’,4’−di−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル等:m=2の場合;メチレン、エチレン、メチルヒドロキシメチレン又はイソブチレン等:m=3以上の場合;シクロヘキサントリイル又はシクロヘキサンテトライル等を挙げることができる。
一般式(1)において、Yで表されるアシル基に由来する基とは、1価(m=1)のホルミル基やアセチル基などのほか、2価(m=2)のカルボニル基を含む。
一般式(1)のYで表されるアシル基に由来する基としては、好ましくは炭素数1〜60、より好ましくは炭素数1〜50、更に好ましくは炭素数1〜40である。
更に、Yで表されるアシル基に由来する基は、未置換であっても置換基を有していてもよい。該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、又はアシルアミノ基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アリール基、又はヘテロアリール基である。
Yで表されるアシル基に由来する基として、具体的には、例えば、m=1の場合;アセチル、ベンゾイル、トリクロロアセチル、フェニルカルボニル基、又はエチルカルボニル基等:多価の場合;カルボニル等を挙げることができる。
一般式(1)において、Yで表されるアリール基に由来する基とは、1価(m=1)のアリール基(例えばフェニル基やナフチル基等)のほか、2価(m=2)のアリーレン(例えば、フェニレン基やナフチレン基等)や、トリイル基、テトライル基などの多価の基を含む。例えば、無置換のフェニル基に由来する基では、1〜6価となり得る。アリールオキシ基に由来する基中に存在するアリール基においても同様である。
Yで表されるアリール基に由来する基としては、好ましくは炭素数6〜60、より好ましくは炭素数6〜50、更に好ましくは炭素数6〜40である。
更に、Yで表されるアリール基に由来する基は、未置換であっても置換基を有していてもよく、該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メルカプト基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基である。また、Yで表されるアリール基に由来する基はポリスチレンなどのポリマーであってもよい。ポリマーの繰り返し単位数としては特に制限されてないが、溶解性と導電性膜の導電性の観点からは、1000000以下であり、より好ましくは100000以下である。
Yで表されるアリール基に由来する基の置換基としてより好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基である。
Yで表されるアリール基に由来する基として、具体的には、例えば、m=1の場合;フェニル、1−ナフチル、4−トリル、4−メトキシフェニル、4−ヘキサデシルオキシフェニル、3−ペンタデシルフェニル、2,4−di−tert−ペンチルフェニル、8−キノリル、又は5−(1−ドデシルオキシカルボニルエトキシカルボニル)−2−クロロフェニル等:多価の場合、o−フェニレン、m−フェニレン、p−フェニレン、1,4−ナフチレン、9,10−アンスリレン、2−ペンタデシル−1,4−フェニレン等を挙げることができる。
一般式(1)のYで表されるヘテロアリール基に由来する基とは、1価(m=1)のヘテロアリール基のほか、2価(m=2)のヘテロアリーレンや、トリイル基、テトライル基などの多価の基を含む。
一般式(1)において、Yで表されるヘテロアリール基に由来する基のヘテロアリール基は、ヘテロ原子として窒素原子,硫黄原子、酸素原子、又はセレン原子を少なくとも一つ含む5員〜8員のヘテロアリール基であることが好ましい。更に、芳香族環等と縮環を形成する等、ヘテロアリール基が有する置換基が互いに連結して環を形成してもよい。
更に、Yで表されるヘテロアリール基に由来する基は、未置換であっても置換基を有していてもよく、該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メルカプト基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、又はアシルアミノ基であり、より好ましくは アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、又はニトロ基である。
Yで表されるヘテロアリール基に由来する基として、具体的には、例えば、m=1の場合;ピリジル、フリル、ピロール、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾトリアゾリル、又はキノリル等:多価の場合;ピリジンジイル、イミダゾリレン、ピロリレン、又はイソチアゾリレン等を挙げることができる。
また、Yで表されるヘテロアリール基に由来する基は、ヘテロ原子がイオンとなって塩構造を形成していてもよい。例えば、アンモニウムイオンを挙げることができる。アンモニウムイオンなどへテロ原子がカチオンの場合の対イオンとしては、ブロモイオン、クロロイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、又は硝酸イオンを挙げることができ、ヘテロ原子がアニオンの場合の対イオンとしては、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はカルシウムイオンを挙げることができる。
一般式(1)のYで表されるアミノ基に由来する基とは、アミノ基(NH−)であればm=1であり、イミノ基(−NH−)であればm=2であるが、置換アミノ基の場合には、その置換基によって多価の基となり得る。例えば、アルキルアミノ基の場合、置換基として有するアルキル基は、上述のように1価以外にも、多価の基となり得る。
一般式(1)において、Yで表されるアミノ基に由来する基としては、好ましくは炭素数1〜100、より好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは炭素数1〜10である。
Yで表されるアミノ基に由来する基は、未置換であっても置換基を有していてもよく、該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、ヒドロキシ基、スルホ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メルカプト基、又はカルボキシル基であり、より好ましくはヒドロキシ基、スルホ基、又はアルキル基である。
また、Yで表されるアミノ基に由来する基は、アンモニウムイオンであってもよい。対イオンとしては、ブロモイオン、クロロイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、又は硝酸イオンを挙げることができる。
一般式(1)において、Yで表されるアルコキシ基に由来する基とは、1価(m=1)のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)のほか、アルコキシ基のアルキル部分が多価である基を含む。例えば、アルキル部分がアルキレン基の場合には、アルコキシ基に由来する基は2価(m=2)であり、トリイルアルカンやテトライルアルカン等の場合には、3価以上(m≧3)となる。
更に、アルコキシ基が置換基を有する場合、2価(m=2)の置換基や、トリイル基、テトライル基等の多価の置換基で置換された場合には、アルコキシ基に由来する基は多価の基となる。例えば、3価の置換基で置換されたアルコキシ基は、2価(m=2)の基となる。
一般式(1)のYで表されるアルコキシ基に由来する基としては、好ましくは炭素数1〜60、より好ましくは炭素数1〜50、更に好ましくは炭素数1〜40のアルコキシ基である。
更に、Yで表されるアルコキシ基に由来する基は、未置換であっても置換基を有していてもよく、該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メルカプト基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、又はアシルアミノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アリール基、又はヘテロアリール基である。
Yで表されるアルコキシ基に由来する基として、具体的には、例えば、m=1の場合;メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メトキシエトキシ、又はn−オクチルオキシ等:多価の場合;エチレンジオキシ、又はプロピレンジオキシ等を挙げることができる。
一般式(1)において、Yで表されるアリールオキシ基に由来する基とは、1価(m=1)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)のほか、アリールオキシ基のアリール部分が多価である場合を含む。例えば、アリール部分が3価であるアリーレン基の場合には、アリールオキシ基に由来する基は2価(m=2)となる。
更に、アリールオキシ基が置換基を有する場合、トリイル基、テトライル基等の多価の置換基で置換されていると、アリールオキシ基に由来する基は多価の基となる。例えば、トリイルのアルキル基に由来する基で置換されたアリールオキシ基は、2価(m=2)の基となる。
一般式(1)において、Yで表されるアリールオキシ基に由来する基としては、好ましくは炭素数6〜60、より好ましくは炭素数6〜50、更に好ましくは炭素数6〜40のアリールオキシ基である。
更に、Yで表されるアリールオキシ基に由来する基は、未置換であっても置換基を有していてもよく、該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メルカプト基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、又はアシルアミノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、又はスルホ基である。
Yで表されるアリールオキシ基に由来する基として、具体的には、例えば、m=1の場合;フェノキシ、4−tert−オクチルフェノキシ、ナフチロキシ、又はピレニルオキシ等:多価の場合;p−フェニレンジオキシ、ナフチレンジオキシ、又は2−n−ヘキシル−1,4−フェニレンジオキシ等を挙げることができる。
一般式(1)中、Lは単結合、2価の炭化水素基、2価のヘテロ原子、又はイミノ基を表す。
一般式(1)において、Lで表される2価の炭化水素基は、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、更に好ましくは炭素数0〜10である。Lで表される2価の炭化水素基は、炭化水素構造中に環構造及び/又は不飽和結合を有していてもよく、好適には飽和炭化水素基である。
また、Lで表される2価の炭化水素基は、直鎖でも分岐でもよく、好ましくは直鎖の炭化水素基である。
更に、Lで表される2価の炭化水素基は、無置換でも置換基を有していてもよく、好適には、無置換の炭化水素基である。該置換基としては上記置換基群Vを挙げることができる。上記置換基群Vのなかでも好適な置換基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、ヒドロキシ基、メルカプト基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、又はアシルアミノ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子(フッ素原子)、ヒドロキシ基、メルカプト基、アシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、スルホ基、又はアリールオキシである。
特に好適な、Lで表される2価の炭化水素基は、無置換で直鎖の炭化水素基であり、より好適には無置換で直鎖の炭素数0〜10の炭化水素基である。
一般式(1)において、Lで表される2価のヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は窒素原子であり、好適には、酸素原子、硫黄原子、又はセレン原子であり、より好適には酸素原子である。
特に、一般式(1)におけるLとして好適には、単結合、2価の炭化水素基、酸素原子、イミノ基(−NH−、−NR−(Rはアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。)、硫黄原子、又はセレン原子であり、更に好適には、単結合、無置換で直鎖の炭化水素基、又は酸素原子である。
以下に本発明に用いられる一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明の一般式(1)で表される化合物はこれら具体例に限定されない。
一般式(1)で表される化合物は、公知の方法によって合成することができる。具体的には、一般式(1)中の「Y−L」に対応するアルコール又はハロゲン化物に、五酸化二リン又はリン酸を反応させて合成する方法が好適に用いられる。
また、一般式(1)で表される化合物は、市販品として入手可能なものもあり、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(東京化成製)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(東京化成製)、フィチン酸(東京化成製)などがある。
本発明の導電性膜中での、一般式(1)で表される化合物と導電性ポリマーの比率は、いかなるものであってもよいが、高い導電性と高い耐久性の両立の観点から、好ましくは、質量比で、一般式(1)で表される化合物:導電性ポリマー=0.00001:1.0〜1000:1の範囲であり、好ましくは0.0001:1.0〜500:1の範囲、より好ましくは0.0005:1.0〜100:1の範囲である。
図1又は図2で示されるような、一般式(1)で表される化合物が膜表面に局在する導電性膜の場合には、図3で示される導電性膜の場合よりも、一般式(1)で表される化合物を広い範囲の付与量で用いることができる。
具体的には、図1又は図2の導電性膜の場合、質量比で、一般式(1)で表される化合物:導電性ポリマー=0.00001:1.0〜10000:1の範囲で用いることができ、湿熱耐久性を向上させるという観点からは、好ましくは0.0001:1〜1000:1の範囲、より好ましくは0.0005:1〜500:1の範囲で用いる。
(その他の添加物)
−ドーパント−
本発明の導電性膜には、少なくとも一種のドーパントを含有することが、導電性膜を形成するための導電性ポリマー液を調製する際の溶媒への分散性が改善されるという観点から好ましい。導電性ポリマー層の形成は、後述のように塗布によることが好ましく、分散性が良好な分散液(組成物)を得ることは製造の観点から重要である。
なお本発明においてドーパントとは、導電性ポリマーの導電性を変化させる作用を有する添加物を意味する。
このようなドーパントとしては、電子受容性(アクセプター)ドーパント、電子供与性(ドナー)ドーパントが挙げられる。
電子受容性(アクセプター)ドーパントの例としては、ハロゲン(Cl,Br,I,ICl,ICl,IBr,IF)、ルイス酸(PF,AsF,SbF,BF,BCl,BBr,SO)、プロトン酸(HF,HCl,HNO,HSO,HClO,FSOH,CISOH,CFSOH,各種有機酸,アミノ酸など)、遷移金属化合物(FeCl,FeOCl,TiCl,ZrCl,HfCl,NbF,NbCl,TaCl,MoF,MoCl,WF,WCl,UF,LnCl(Ln=La,Ce,Pr,Nd,Smなどのランタノイド)、電解質アニオン(Cl,Br,I,ClO ,PF ,AsF ,SbF ,BF ,各種スルホン酸アニオン)、その他O,XeOF,(NO )(SbF ),(NO )(SbCl ),(NO )(BF ),FSOOOSOF,AgClO,HIrCl,La(NO・6HO等が挙げられる。
電子供与性(ドナー)ドーパントの例としてはアルカリ金属(Li,Na,K,Rb,Cs)、アルカリ土類金属(Ca,Sr,Ba)、ランタノイド(Euなど)、その他(R,R,RAs,R,アセチルコリン)等が挙げられる。
ドーパントと前記導電性ポリマーとの組み合わせとしては、例えば:
(A) ポリアセチレンとI,AsF,FeClなど;
(B) ポリ(p−フェニレン)とAsF,K,AsF など;
(C) ポリピロールとClO など;
(D) ポリチオフェン類とClO ,スルホン酸化合物、とくにポリスチレンスルホン酸、ニトロソニウム塩、アミニウム塩、キノン類など;
(E) ポリイソチアナフテンとIなど;
(F) ポリ(p−フェニレンサルファイド)とAsF
(G) ポリ(p−フェニレンオキシド)とAsF
(H) ポリアニリンとHClなど;
(I) ポリ(p−フェニレンビニレン)とHSOなど;
(J) ポリチオフェニレンビニレンとIなど;
(K) ニッケルフタロシアニンとIなど;
等が挙げられる。
これらの組み合わせの中でも、好ましくは前記(D)又は(H)の組み合わせであり、より好ましくは、ドープ状態の安定性が高いという観点から、ポリチオフェン類(ポリチオフェン及びその誘導体)とスルホン酸化合物の組み合わせであり、更に好ましくは、水分散液が調整可能であり、塗布により簡便に導電性薄膜が調整できるという観点から、ポリチオフェン類とポリスチレンスルホン酸の組み合わせである。
導電性ポリマーとドーパントの比率は、いかなるものであってもよいが、ドープ状態の安定性と導電性を両立させるという観点から、好ましくは、質量比で、導電性ポリマー:ドーパント=1.0:0.0000001〜1.0:10の範囲であり、好ましくは1.0:0.00001〜1.0:1.0の範囲、より好ましくは1.0:0.0001〜1.0:0.5の範囲である。
一方、導電性ポリマーの分散性を高めるために、高分子鎖に電解質をドープしたイオン導電性ポリマーとしてもよい。該高分子鎖の例としては、ポリエーテル(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、ポリエステル(ポリエチレンサクシネート、ポリ−β−プロピオラクトンなど)、ポリアミン(ポリエチレンイミンなど)、ポリスルフィド(ポリアルキレンスルフィドなど)などが挙げられ、ドープされた電解質としては各種アルカリ金属塩などが挙げられる。
前記アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属イオンとしてはLi、Na、K、Rb、Csなどが、対塩を形成するアニオンとしてはF、Cl、Br、I、NO 、SCN、ClO 、CFSO 、BF 、AsF 、BPh などが挙げられる。
高分子鎖とアルカリ金属塩の組み合わせとしては、例えばポリエチレンオキシドとLiCFSO、LiClOなど、ポリエチレンサクシネートとLiClO、LiBF、ポリ−β−プロピオラクトンとLiClOなど、ポリエチレンイミンとNaCFSO、LiBFなど、ポリアルキレンスルフィドとAgNOなどが挙げられる。
−その他の添加剤−
本発明の導電性膜には、更に後述の溶媒や、このほかに更に添加剤を添加することも可能である。更に含有し得る添加剤としては、ポリマーの分解を抑える目的で、紫外線吸収剤、亜リン酸エステル、ヒドロキサム酸、ヒドロキシアミン、イミダゾール、ハイドロキノン、フタル酸、などを挙げることができる。また、膜強度を高める目的で無機微粒子、ポリマー微粒子、シランカップリング剤、屈折率を下げて透明性を高める目的でフッ素系化合物(特に、フッ素系界面活性剤)などを挙げることができる。
また、本発明の導電性膜には、電気抵抗値を下げる観点からジオール化合物を付与することが好ましい。ジオール化合物とは、分子内にヒドロキシ基を2個以上含有する化合物を意味しており、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、糖(フルクトースなど)、ハイドロキノン、没食子酸、カテコールなどが挙げられる。好ましくは、エチレングリコールである。
本発明の導電性膜全体における前記ジオール化合物の付与量は、0.01質量%〜99質量%であることが好ましく、0.1質量%〜98質量%であることがより好ましく、1質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
導電性ポリマーとジオール化合物の付与比率は、いかなるものであってもよいが、コストと導電性の両立という観点から、好ましくは、質量比で、導電性ポリマー:ジオール化合物=1:1000〜1000:1の範囲であり、好ましくは1:100〜100:1の範囲、より好ましくは1:10〜10:1の範囲である。
ジオール化合物は、図1及び図2で表される膜3、又は図3で表される導電性膜5の中に添加してもよいし、図1及び図2における一般式(1)で表される化合物4のように、膜3又は導電性膜5の表面に局在させてもよい。好ましくは、ジオール化合物を膜3又は導電性膜5の表面に局在化させる場合である。
なお、図1又は図2の導電性膜1,2の場合には、導電性ポリマーを含有する膜3にジオール化合物を付与してから、一般式(1)で表される化合物4を付与することが湿熱耐久性を高める観点からより好適である。
ジオール化合物が低分子量の場合には、揮発の結果、層を形成していなくてもよい。
<導電性ポリマー組成物>
本発明の導電性ポリマー組成物は、少なくとも、(1)導電性ポリマー又はその前駆体と、(2)一般式(1)で表される化合物を含有する。
導電性ポリマー組成物に含まれる導電性ポリマーとしては、前述の導電性ポリマーを使用することができ、好ましい範囲についても同様である。
ここで「導電性ポリマーの前駆体」とは、導電性ポリマーを得るためのモノマー又はオリゴマーを意味する。例えば、導電性ポリマーがポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン(PEDOT)の場合には、その前駆体は3,4−エチレンジオキシ−チオフェン(EDOT)又はそのオリゴマーである。
本発明の導電性ポリマー組成物では、透明性の高い導電性膜を作製するという観点からは、導電性ポリマーの前駆体を用いることが好適であり、更にはモノマーとして導電性ポリマー組成物に添加し塗工後に重合することが好適である。
導電性ポリマー組成物に含まれる一般式(1)で表される化合物としては、前述の一般式(1)で表される化合物を使用することができ、好ましい範囲についても同様である。
本発明の導電性ポリマー組成物において、導電性ポリマー及び前記式(1)で表される化合物の添加方法は、いかなる方法であってもよい。例えば、一般式(1)で表される化合物と導電性ポリマーとが均一に混ざるよう、一般式(1)で表される化合物を溶解した溶液と、導電性ポリマーを分散させた分散液とを混ぜ合わせることができる。
導電性ポリマー組成物中において、前記式(1)で表される化合物と導電性ポリマーとの含有比率は、高い導電性と高い耐久性の両立の観点から、好ましくは、質量比で、一般式(1)で表される化合物:導電性ポリマー=0.00001:1.0〜1000:1の範囲であり、好ましくは0.0001:1.0〜500:1の範囲、より好ましくは0.0005:1.0〜100:1の範囲である。
更に本発明の導電性ポリマー組成物には、前述のドーパントや添加剤を添加することができる。これらの添加量についても上述と同様である。
<導電性ポリマー材料>
本発明の導電性ポリマー材料は、支持体上に、前記一般式(1)で表される化合物及び前記導電性ポリマーを含む層を備える。
また、本発明の導電性ポリマー材料の他の態様は、支持体上に、前記導電性ポリマーを含有する層と、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層とを備える。
具体的な導電性ポリマー材料の層構成の例を、図4〜図7に示す。
図4の電極材料は、支持体10上に、前記一般式(1)で表される化合物及び前記導電性ポリマーを含む層(以下「第一の導電性ポリマー層」と称する)20を備える。更に、保護層(図示せず)や中間層(図示せず)を設けてもよい。
図5〜図7の導電性ポリマー材料は、支持体10上に、前記導電性ポリマーを含有する層(以下「第二の導電性ポリマー層」と称する)22と、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層(以下「添加剤層」と称する)30を備える。更に、保護層(図示せず)や中間層(図示せず)を設けてもよい。
図4〜図6では、第一の導電性ポリマー層20又は第二の導電性ポリマー層22、及び添加剤層30を、それぞれ1層ずつ備える導電性ポリマー材料を示したが、それぞれを2層以上備えていてもよい。
以下、図4の態様の導電性ポリマー材料を「第一の実施形態の導電性ポリマー材料」、図5〜図7の態様の導電性ポリマー材料を「第二の実施形態の導電性ポリマー材料」として説明を行う。本発明の導電性ポリマー材料は、第二の実施形態の導電性ポリマー材料である。
<第一の実施形態>
図4で表される第一の実施形態の導電性ポリマー材料は、支持体10上に、前記一般式(1)で表される化合物と前記導電性ポリマーとを含む層(第一の導電性ポリマー層)20を備える。この第一の導電性ポリマー層20は、前記導電性膜であるか、又は前記導電性ポリマー組成物から形成される層である。
(1)支持体
第一の実施形態で使用し得る支持体10としては、安定な板状物であって、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれのものも使用できる。また、ここで得られた導電性ポリマー材料を画像表示素子、太陽電池等に用いる場合には、高い透明性を要求されるため、表面平滑性の透明基材を用いることが好ましい。
本発明において支持体10の材質としては、ガラス、透明セラミックス、金属、プラスチックフィルム等が挙げられる。ガラス、透明セラミックスは、金属、プラスチックフィルムに比べ、柔軟性に欠ける。また、プラスチックフィルムは金属より安価であり、且つ柔軟性を有する。そこで本発明における支持体10としては、プラスチックフィルムが好ましく、特に、ポリエステル系樹脂(以下、適宜、「ポリエステル」と称する)が好ましい。ポリエステルとしては、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが好ましい。
本発明に用い得るポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート等が挙げられる。このうち、入手の容易性、経済性及び効果の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が好ましい。
また、フィルムの素材として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、これらの共重合体の混合物、又はこれら重合体と小割合のその他の樹脂との混合物なども用いることができる。
更に、このポリエステルフィルムの中には、滑り性を良くするために少量の無機又は有機の粒子、たとえば、酸化チタン、炭酸カルシュウム、シリカ、硫酸バリュウム、シリコーン等の如き無機フィラー、アクリル、ベンゾグアナミン、テフロン(登録商標)、エポキシ等の如き有機フィラー、ポリエチレングリコール(PEG)、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等の接着性向上剤や帯電防止剤を含有させることができる。
本発明に用いる支持体10は、例えば前記の如きポリエステル樹脂を溶融押出しによってフィルム状に形成して得る。これらフィルムの製造方法及び条件は、公知の方法及び条件を適宜選択して用いることができる。
必要な可撓性、強度、耐久性及び光透過性を満たし、且つ、可視光領域の波長の透過性に優れた基材としては例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリアリレート等の樹脂を用いたフィルムが挙げられる。なかでも、液晶表示パネルなどに適用する場合には、光学特性や熱特性の観点から、ポリカーボネート、ポリアリレート等が好ましい。
支持体10の厚みは使用目的等により適宜選択することができるが、一般的には、5〜500μmの範囲で用いられる。
本発明では支持体10上に、導電性ポリマー層の密着性を向上させる目的として接着層を形成してもよい。特に支持体10がポリエステル樹脂からなる場合は接着層を設けることが好ましい。接着層としては、既知のいかなる材料も選択できるが、特にスチレン−ブタジエン共重合体(以下、適宜、「SBR」と略称する)又は水系ウレタン樹脂と架橋剤とを含有する構成が好ましい。SBRは、スチレンとブタジエンとを主体とした共重合体であり、更に必要に応じて他の成分を共重合したものを意味する。この共重合体は、スチレンとブタジエンとの含有比率を調整することにより、様々な物性のものを得られることが知られている。
本発明の如く接着層を形成する場合、スチレン−ブタジエン共重合体はラテックスであることが好ましい。具体的には、日本ゼオン社からニポール(商品名)として、住友ノーガタック社からノーガテックス(商品名)として、武田薬品工業社からクロスレン(商品名)として、旭ダウ社から旭ダウラテックス(商品名)として、その他に大日本インキ化学工業社や海外メーカーから販売されている市販品を用いることもできる。
ラテックスの分散体粒子の粒径は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.2μm以下が更に好ましい。粒子径が大きい場合には、塗布工程で粒子の凝集が生じやすかったり、フィルムの透明性、光沢などが不良になったりする問題がある。更に塗布層の厚さを薄くする必要がある場合には、それに応じて粒径を小さくする必要がある。
接着層のスチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレン/ブタジエンの含有比率は50/50〜80/20程度であることが好ましい。ラテックス中に含まれるSBRの割合は、固型分重量として30〜50重量%であることが好ましい。
この接着層には、SBRの物性を向上させるために架橋剤が添加されるが、ここで用いられる架橋剤としてはトリアジン系架橋剤が好ましい。
(2)第一の導電性ポリマー層
第一の導電性ポリマー層20は、少なくとも、前記一般式(1)で表される化合物と、前記導電性ポリマーとを含む。第一の導電性ポリマー層20は、更に前記添加剤を含んでもよい。
第一の導電性ポリマー層20の膜厚は特に制限はないが、1nm〜2μmの範囲であることが好ましく、10nm〜1μmの範囲であることがより好ましい。第一の導電性ポリマー層20の膜厚がこの範囲内であれば、充分な導電性と透明性とを達成することができる。
第一の導電性ポリマー層20として、図1の導電性膜1、図2の導電性膜2、又は図3の導電性膜5を用いることができる。
また、大面積の電極材料を一度に作製できるという簡便性の観点からは、塗布によって第一の導電性ポリマー層20を形成することが好ましい。塗布以外の方法としては、スピンコート、転写などを挙げることができる。この塗布液は、水分散液であってもよいし、有機溶剤であってもよい。第一の導電性ポリマー層20を形成するための塗布液(以下「導電性ポリマー塗布液(1)」と称する)としては、前記導電性ポリマー組成物を用いることができる。
第一の導電性ポリマー層20を形成するための導電性ポリマー組成物には、更に塗布のための溶媒や前記ドーパントを状況に応じて適宜添加する。このほかに、上述の添加剤を添加することも可能である。
導電性ポリマー塗布液(1)の調製は、前記導電性ポリマーを分散した分散液と、前記一般式(1)で表される化合物を溶解した溶液をそれぞれ予め調製し、この液同士を混ぜ合わせて一括成膜することで得ることができる。
前記導電性ポリマー分散液の溶媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミドなどを用いることができ、コストの観点からは水、低級アルコールが好ましく、環境を考慮すると水を用いることが好適である。
水を溶媒として用いた場合、導電性ポリマーを分散させる方法としては、公知の方法を適用することができる。例えば、ジョークラッシャ法、超遠心粉砕法、カッティングミル法、自動乳鉢法、ディスクミル法、ボールミル法、超音波分散法などの分散方法を挙げることができる。
前記一般式(1)で表される化合物を溶解させるための溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、又は水などを用いることができ、コストや塗布適性の観点からはメタノール、エタノール、エチレングリコール、又は水を用いることが好ましい。
導電性ポリマー塗布液(1)中の導電性ポリマーの濃度は、粘度などを考慮して適宜調整することが望ましいが、一般的には、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
導電性ポリマー塗布液(1)中の前記一般式(1)で表される化合物の濃度は、粘度などを考慮して適宜調整することが望ましいが、一般的には、0.001質量%〜50質量%であることが好ましく、0.01質量%〜10質量%であることがより好ましい。
また、導電性ポリマー塗布液(1)には、電気抵抗値を下げる観点から前記ジオール化合物を添加することが好ましい。
導電性ポリマー塗布液(1)を塗布して、第一の導電性ポリマー層20を形成する。塗布方法としては、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を採用することができる。
また、支持体10上に、エチレングリコールなどの前記ジオール化合物を含む層(以下「ジオール化合物層」と称する)(図示せず)を、導電性ポリマー層20とは別に形成してもよい。
ジオール化合物層を形成するための塗布液(以下「ジオール化合物層塗布液」と称する)は、少なくとも前記ジオール化合物を含み、塗布のための溶媒を状況に応じて適宜添加する。このほかに更に添加剤を添加することも可能である。更に含有し得る添加剤としては、紫外線吸収剤、膜強度を高める目的で無機微粒子、ポリマー微粒子、シランカップリング剤、屈折率を下げて透明性を高める目的でフッ素系化合物、とくにフッ素系界面活性剤などを挙げることができる。
ジオール化合物層塗布液の溶媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミドなどを用いることができコストの観点からは水、低級アルコールが好ましく、環境を考慮すると水を用いることが好適である。
ジオール化合物層塗布液中のジオール化合物の濃度は、粘度などを考慮して適宜調整することが望ましいが、一般的には、1質量%〜100質量%であることが好ましく、5質量%〜100質量%であることがより好ましい。
第一の実施形態の導電性ポリマー材料において、前記ジオール化合物層を形成する場合、支持体10上にジオール化合物層を形成し、その上に第一の導電性ポリマー層20を形成する、もしくは支持体上第一の導電性ポリマー層20を形成し、その上にジオール化合物層を形成することが導電性の観点から好ましい。更に、接着層も備える導電性ポリマー材料の場合には、支持体側から、接着層、ジオール化合物層、第一の導電性ポリマー層20の順に積層するか、接着層、第一の導電性ポリマー層20、ジオール化合物層の順に積層することが好ましい。
なお、ジオール化合物が低分子量の場合には、揮発の結果、層を形成していなくてもよい。
また、支持体10上に第一の導電性ポリマー層を2層以上形成する場合、1層毎に塗布し乾燥してもよいし、2層以上を同時重層塗布で形成してもよい。同時重層塗布は、製造コストの低減、製造時間の短縮化の観点から好適である。ここで、「同時重層塗布」とは、2つの塗布液が接した状態で塗布することを意味する。
また、中間層などを他の層を設ける場合、中間層等と第一の導電性ポリマー層とは、1層毎に塗布し乾燥してもよいし、2層以上を同時重層塗布で形成してもよい。
前記同時重層塗布は、カーテンコーター、スライドコーター、エクストロージョンコーター等によって行うことができ、中でも、カーテンコーターが好ましい。
<第二の実施形態>
第二の実施形態の導電性ポリマー材料は、支持体10上に、前記導電性ポリマーを含有する層(第二の導電性ポリマー層)22と、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層(以下「添加剤層」と称する)30を備える。
第二の実施形態の導電性ポリマー材料は、支持体10上に、少なくとも1層の第二の導電性ポリマー層22と、少なくとも1層の添加剤層30を備えていれば、その層構成に制限はない。
例えば、図5では、支持体10上に第二の導電性ポリマー層22を備え、更に、第二の導電性ポリマー層22の上に、添加剤層30を備える。図6に示すように、支持体10上に、支持体10側から順に、添加剤層30、第2の導電性ポリマー層22を積層してもよい。また、図7に示すように、支持体10上に、支持体10側から順に、添加剤層30、第2の導電性ポリマー層22、添加剤層30を積層してもよい。更に、図示しないが、支持体上に、添加剤層30と第2の導電性ポリマー層22とを交互に繰り返して積層してもよい。
なお、湿熱耐久性を向上させるという観点からは、図5や図7のように、空気と接する界面に添加剤層30を備えることが好ましい。
各層の間には中間層を設けてもよいが、膜質強化の観点からは、第2の導電性ポリマー層22と添加剤層30とは隣接して設けられることが好ましく、更に膜質を強化するという観点からは、図7に示すように、第2の導電性ポリマー層22の両表面に、第2の導電性ポリマー層を2層の添加剤層30が挟持するように設けることがより好ましい。
(1)支持体
第二の実施形態で使用し得る支持体10は、第一の実施態様で使用し得る支持体と同様であり、好適な支持体についても同様である。
(2)第2の導電性ポリマー層22
第2の導電性ポリマー層22は、少なくとも前記導電性ポリマーを含んでいればよく、更に上述の添加剤を添加することができる。
大面積の電極材料を一度に作製できるという簡便性の観点からは、塗布によって第二の導電性ポリマー層22を形成することが好ましい。塗布以外の方法としては、転写などを挙げることができる。この塗布液は、水分散液であってもよいし、有機溶剤であってもよい。
第二の導電性ポリマー層22を形成するための塗布液(以下「導電性ポリマー塗布液(2)」と称する)には、前記導電性ポリマーのほか塗布のための溶媒や前記ドーパントを状況に応じて適宜添加する。このほかに、上述の添加剤を添加することも可能である。また、導電性ポリマー塗布液(2)には、電気抵抗値を下げる観点から前記ジオール化合物を添加することが好ましい。
なお、第二の実施形態の導電性ポリマー材料では、第二の導電性ポリマー層22と、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層(添加剤層)30とを分けて設けるため、第二の導電性ポリマー層22には、前記一般式(1)で表される化合物を添加しなくともよいが、添加してもよい。
また、第二の導電性ポリマー層22が一般式(1)で表される化合物を含む場合、第二の導電性ポリマー層22として、図1の導電性膜1、図2の導電性膜2、又は図3の導電性膜5を適用することができる。
導電性ポリマー塗布液(2)の溶媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミドなどを用いることができ、コストの観点からは水、低級アルコールが好ましく、環境を考慮すると水を用いることが好適である。
水を溶媒として用いた場合、導電性ポリマーを分散させる方法としては、公知の方法を適用することができる。例えば、ジョークラッシャ法、超遠心粉砕法、カッティングミル法、自動乳鉢法、ディスクミル法、ボールミル法、超音波分散法などの分散方法を挙げることができる。
導電性ポリマー塗布液(2)中の導電性ポリマーの濃度は、粘度などを考慮して適宜調整することが望ましいが、一般的には、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
導電性ポリマー塗布液(2)を塗布して、第2の導電性ポリマー層22を形成する。塗布方法としては、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を採用することができる。
第二の導電性ポリマー層22の膜厚は特に制限はないが、1nm〜2μmの範囲であることが好ましく、10nm〜1μmの範囲であることがより好ましい。第二の導電性ポリマー層22の膜厚がこの範囲内であれば、充分な導電性と透明性とを達成することができる。
(2)一般式(1)で表される化合物を含有する層(添加剤層)30
一般式(1)で表される化合物を含有する層(添加剤層)30は、少なくとも前記一般式(1)で表される化合物を含んでいればよく、更に上述の添加剤を添加することができる。
大面積の電極材料を一度に作製できるという簡便性の観点からは、塗布によって添加剤層30を形成することが好ましい。塗布以外の方法としては、転写などを挙げることができる。この塗布液は、水分散液であってもよいし、有機溶剤であってもよい。
添加剤層30を形成するための塗布液には、前記一般式(1)で表される化合物のほか塗布のための溶媒を適宜添加する。このほかに、上述の添加剤を添加することも可能である。
なお、第二の実施形態の導電性ポリマー材料では、第二の導電性ポリマー層22と、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層とを分けて設けるため、添加剤層30には、導電性ポリマーを添加しなくともよいが、添加してもよい。
前記一般式(1)で表される化合物を含有する層を形成させるための塗布液の溶媒としては、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アミドなどを用いることができる。具体的にはメチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、水などを用いることができ、コストの観点からは水、低級アルコールが好ましく、環境を考慮すると水を用いることが好適である。
水を溶媒として用いた場合、前記一般式(1)で表される化合物を分散させる方法としては、公知の方法を適用することができる。例えば、ジョークラッシャ法、超遠心粉砕法、カッティングミル法、自動乳鉢法、ディスクミル法、ボールミル法、超音波分散法などの分散方法を挙げることができる。
添加剤層30形成のための塗布液中での前記一般式(1)で表される化合物の濃度は、導電性、透明性、耐久性などを考慮して適宜調整することが望ましいが、一般的には、0.00001質量%〜100質量%であることが好ましく、0.0001質量%〜50質量%であることがより好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物を含有する塗布液を塗布して、第2の導電性ポリマー層22を形成する。塗布方法としては、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を採用することができる。
前記一般式(1)で表される化合物を含有する層30の膜厚は特に制限はないが、1nm〜2μmの範囲であることが好ましく、10nm〜1μmの範囲であることがより好ましい。第二の導電性ポリマー層22の膜厚がこの範囲内であれば、充分な導電性と透明性とを達成することができる。
更に、第二の実施形態の導電性ポリマー材料においても、第一の実施形態の導電性ポリマー材料と同様、前記ジオール化合物層を備えてもよい。
第二の実施形態の導電性ポリマー材料において、前記ジオール化合物層を形成する場合、以下のような層構成とすることができる。
(1)支持体10側から、第二の導電性ポリマー層22、ジオール化合物層、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層30、の順に積層する。
(2)支持体10側から、第二の導電性ポリマー層22、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層30、ジオール化合物層、の順に積層する。
(3)支持体10側から、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層30、第二の導電性ポリマー層22、ジオール化合物層、の順に積層する。
(4)支持体10側から、第二の導電性ポリマー層22、ジオール化合物層、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層30、ジオール化合物層、の順に積層する。
上記(1)〜(4)の層構成の中でも導電性の観点からは(1)の層構成であることが好ましい。なお、ジオール化合物が低分子量の場合には、揮発の結果、層を形成していなくてもよい。
支持体10上に第二の導電性ポリマー層及び添加剤層30は、1層毎に塗布し乾燥してもよいし、2層以上を同時重層塗布で形成してもよい。
また、支持体10上に第二の導電性ポリマー層22及び/又は添加剤層30をそれぞれ2層以上形成する場合、1層毎に塗布し乾燥してもよいし、2層以上を同時重層塗布で形成してもよい。
また、中間層など他の層を設ける場合、中間層等と第一の導電性ポリマー層とは、1層毎に塗布し乾燥してもよいし、2層以上を同時重層塗布で形成してもよい。
同時重層塗布は、製造コストの低減、製造時間の短縮化の観点から好適である。ここで、「同時重層塗布」とは、2つの塗布液が接した状態で塗布することを意味する。
前記同時重層塗布は、カーテンコーター、スライドコーター、エクストロージョンコーター等によって行うことができ、中でも、カーテンコーターが好ましい。
第二の実施形態の導電性ポリマー材料において、導電性ポリマーと前記一般式(1)で表される化合物との付与比率は、質量比で1:100〜100000:1であることが好ましく、製膜性や導電性、ベタツキの観点から1:30〜10000:1であることがより好ましく、1:10〜1000:1であることが更に好ましい。
<デバイス>
本発明の導電性膜は、湿熱耐久性、透明性、及び導電性に優れるため、電子材料の配線や電極(基板電極など)として好適に用いることができる。本発明の導電性膜は塗布によって形成することが可能であることから大面積の電極材料を作製しやすく、基板電極への応用に適している。
また、本発明の導電性膜や本発明の導電性ポリマー組成物によって形成された膜を備える本発明の導電性ポリマー材料は、湿熱耐久性、透明性、及び導電性に優れる。
よって、このような導電性膜や導電性ポリマー材料は、フレキシブルエレクトロルミネッセンス装置(OLED)、タッチスクリーン、タッチパネル、有機TFT、アクチュエーター、センサー、電子ペーパー、フレキシブル調光材料、太陽電池などの各種デバイスに好適に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って本発明の範囲は以下の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
Geを触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度を280〜300℃に設定し、押し出し機内で溶融させた。溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸した後、幅方向に対して3.8倍に延伸し、厚さ188μmのPET支持体を得た。
ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン(PEDOT)・ポリスチレンスルホン酸(PSS)の水分散液(Baytron P HC V4、H.C.Starck社製)に、同質量のエタノールを添加し、混合して、塗布液−1を得た。
この塗布液−1を前記PET支持体(透過率:91%(550nm))上に9番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、導電性塗膜−1を得た。導電性塗膜−1の厚さを触針法で測定したところ、50nmであった。
この導電性塗膜−1にエチレングリコールをスピンコーター(500rpm×5sec、3000rpm×20sec)で塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥した。
前記具体例化合物(1)の1質量%エタノール溶液を調整し、エチレングリコール付与後の導電性塗膜−1上に、スピンコーター(500rpm×5sec、3000rpm×20sec)で塗工した。これをホットプレート上で、120℃で乾燥して試料−1を得た。試料−1のPET支持体を差し引いた膜厚は50〜60nmであった。
試料−1の評価を以下の方法で行なった。
<透過率の測定>
UV/visスペクトルメーター(島津U2400)にて、550nmの光の透過率を測定した。作製直後の試料−1の中心部分を測定した。結果を表1に示す。
<表面抵抗値の測定>
表面抵抗値は、表面抵抗測定装置(三菱化学製ロレスタGP)にて測定した。作製直後の試料を、JIS−K7194規格に沿って、9箇所を測定し、その平均値を測定値とした。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様にして、但し具体例化合物(1)の代わりに、具体例化合物(5)を添加して、試料−2を作製した。なお具体例化合物(5)は、実施例1で添加した具体例化合物(1)と同じ質量になるよう添加した。得られた試料の評価を実施例1と同様にして行なった。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様にして、但し具体例化合物(1)の代わりに、具体例化合物(16)を添加して、試料−3を作製した。なお具体例化合物(16)は、実施例1で添加した具体例化合物(1)と同じ質量になるよう添加した。得られた試料の評価を実施例1と同様にして行なった。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1と同様にして、但し具体例化合物(1)の代わりに、具体例化合物(19)を添加して、試料−4を作製した。なお具体例化合物(19)は、実施例1で添加した具体例化合物(1)と同じ質量になるよう添加した。得られた試料の評価を実施例1と同様にして行なった。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1と同様にして、但し具体例化合物(1)の代わりに、具体例化合物(23)を添加して、試料−5を作製した。なお具体例化合物(23)は、実施例1で添加した具体例化合物(1)と同じ質量になるよう添加した。得られた試料の評価を実施例1と同様にして行なった。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
具体例化合物(1)の溶液を塗工しない以外は実施例1と同様にして、比較の試料−1を作製した。得られた比較の試料−1の評価を実施例1と同様にして行なった。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1における具体例化合物(1)を、没食子酸メチル(特開2006−131873号に記載)に代えた以外は実施例1と同様にして、比較の試料−2を作製した。この比較の試料−2の評価を実施例1と同様にして行なった。なお没食子酸メチルは、実施例1で添加した具体例化合物(1)と同じ質量になるよう添加した。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1における具体例化合物(1)を、ハイドロキノン(特開2006−131873号に記載)に代えた以外は実施例1と同様にして、比較の試料−3を作製した。この比較の試料−3の評価を実施例1と同様にして行なった。なおハイドロキノンは、実施例1で添加した具体例化合物(1)と同じ質量になるよう添加した。評価結果を表1に示す。
表1の結果に示すように、実施例1〜5では、添加剤を添加しない比較例1に比べて、低い表面抵抗値を示した。また、比較例2及び3では、実施例1〜5に比べて、表面抵抗値が高く、透過率が低下した。以上の結果から、実施例1〜5の試料1〜5は、導電性及び透明性に優れていることが明らかとなった。
[実施例6]
ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン(PEDOT)・ポリスチレンスルホン酸(PSS)の水分散液(Baytron PH500、H.C.Starck社製)に、同質量のエチレングリコール10質量%エタノール溶液を添加し、混合して、塗布液−6を得た。
この塗布液−6をPETフィルム上に9番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、導電性塗膜−6を得た。得られた層の厚みは60nmであった。
イソプロパノール:エチレングリコール=4:1の混合溶液に、前記具体例化合物(5)を0.2質量%になるように溶解させ、溶液−6を得た。
導電性塗膜−6に、作製した溶液−6を3番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、試料−6を得た。試料−6のPET支持体を差し引いた膜厚は60〜65nmであった。試料−6の評価を、下記のように行なった。
<湿熱耐久性の評価>
湿熱試験は、恒温恒湿装置(ヤマト科学社製IG420)にて、温度60℃、湿度90%RH条件で行った。500時間経時後における透過率及び表面抵抗値を上記方法で測定した。評価結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例6と同様にして、但し具体例化合物(5)の代わりに、具体例化合物(19)を添加して、試料−7を作製した。なお具体例化合物(19)は、実施例6で添加した化合物(5)と同じ質量になるよう添加した。得られた試料−7の評価を実施例6と同様にして行った。評価結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例6と同様にして、但し具体例化合物(5)の代わりに、具体例化合物(23)を添加して、試料−8を作製した。なお具体例化合物(23)は、実施例6で添加した具体例化合物(5)と同じ質量になるよう添加した。得られた試料−8の評価を実施例6と同様にして行った。評価結果を表2に示す。
[実施例9]
イソプロパノール:エチレングリコール=4:1の混合溶液に、前記具体例化合物(19)を0.2質量%になるように溶解させ、更にヒドロキサム酸を0.2質量%になるように溶解させて、溶液−9を得た。
実施例6で得られた導電性塗膜−6に、作製した前記溶液−9を3番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、試料−9を得た。得られた試料−9の評価を実施例6と同様にして行った。評価結果を表2に示す。
[実施例10]
イソプロパノール:エチレングリコール=4:1の混合溶液に、前記具体例化合物(19)を0.2質量%になるように溶解させ、更に亜リン酸エステル系酸化防止剤IRGAFOS12(チバスペシャリティケミカルズ製)を0.2質量%になるように溶解させ、溶液−10を得た。
実施例6で得られた導電性塗膜−6に、作製した溶液−10を3番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、試料−10を得た。得られた試料−10の評価を実施例6と同様にして行った。評価結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例1同様にポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン(PEDOT)・ポリスチレンスルホン酸(PSS)の水分散液(Baytron P HC V4、H.C.Starck社製)に、同質量のエタノールを添加し混合した塗布液−11を調製した。この塗布液−11をPETフィルム上に9番バーコーターによって塗工し、導電性塗膜−11を得た。得られた層の厚みは60nmであった。
一方で、前記具体例化合物(19)の1質量%エタノール溶液−11を調製した。
導電性塗膜−11をホットプレート上、120℃で乾燥させ、乾燥の途中でエタノール溶液−11の0.1gを表面へ均一に噴霧した後、さらに120℃で乾燥を進めて溶媒を除去して試料−11を得た。試料−11の総厚は60〜65nmであった。
このようにして得られた試料−11の評価結果を表2に示す。
[比較例4]
具体例化合物(5)の溶液を添加しない以外は実施例6と同様にして、比較の試料−4を作製した。得られた比較の試料−4の評価を実施例6と同様にして行なった。評価結果を表2に示す。
[比較例5]
実施例6における化合物(5)を、ハイドロキノンに代えた以外は実施例6と同様にして比較の試料−5を作製した。この比較の試料−5の評価を実施例6と同様にして行なった。評価結果を表2に示す。
[比較例6]
実施例6における化合物(5)を、特開2007−95506号の実施例に記載のポリエステルに代えた以外は実施例6と同様にして比較の試料−6を作製した。この比較の試料−6の評価を実施例6と同様にして行なった。評価結果を表2に示す。
[比較例7]
実施例6における化合物(5)を、フッ素系界面活性剤F444(大日本インキ化学工業製)(特開2006−302561号)に代えた以外は実施例6と同様にして比較の試料−7を作製した。この比較の試料−7の評価を実施例6と同様にして行なった。評価結果を表2に示す。
[比較例8]
実施例6における化合物(5)を、ポリリン酸(東京化成製)(特表2006−505099号公報)に代えた以外は実施例6と同様にして比較の試料−8を作製した。この比較の試料−8の評価を実施例6と同様にして行なった。評価結果を表2に示す。
表2の結果に示すように、実施例6〜11の試料は、湿熱経時前における透過率が高く、表面抵抗は低い値を示した。また湿熱経時後においても、透過率が高く、表面抵抗は低い値を維持しており、湿熱に対する耐久性に優れていた。
一方、比較例4及び比較例8では、湿熱経時後の表面抵抗値が、実施例6〜11に比べて著しく増大していた。比較例5〜7では、湿熱経時前であっても表面抵抗が大きく、湿熱経時後には更に表面抵抗が増大する傾向が見られた。
<耐光性の評価>
実施例6〜11、及び比較例4,8で作製した試料の耐光性の評価を、下記のように行った。
耐光性試験は、褪色試験機(キセノンランプ17万ルクス、赤外線カットフィルター有り)にて、経時を行った。72時間経時後における透過率、および表面抵抗値を上記方法で測定した。評価結果を表3に示す。
[比較例9]
実施例6における化合物(5)を、亜リン酸エステル系酸化防止剤IRGAFOS12(チバスペシャリティケミカルズ製に代えた以外は実施例6と同様にして比較の試料−9を作製した。この比較の試料−9について耐光性の評価を上述の方法で行なった。評価結果を表3に示す。
表3の結果に示すように、実施例6〜11の試料は、光照射後の表面抵抗値は、比較例4,8及び9に比べて、低い値を維持しており、光に対する耐久性に優れていた。
[実施例12]
PETフィルム上に、実施例6で作製した溶液−6を、3番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、塗膜−12を得た。
作製した塗膜−12上に、実施例6で作製した塗布液−6を9番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、試料−12を得た。試料−12の耐湿熱製の評価を実施例6と同様にして行った。評価結果を表4に示す。
[実施例13]
実施例12で作製した試料−12の上に、更に実施例6で作製した溶液−6を3番バーコーターによって塗工し、ホットプレート上、120℃で乾燥して、試料−13を得た。試料−13の耐湿熱製の評価を実施例6と同様にして行った。評価結果を表4に示す。
表4の結果に示すように、添加剤層を導電性膜とPETフィルムとの間に設けた場合(実施例12)は、添加剤層のない比較例4に比べ、湿熱経時後においても、透過率が高く、表面抵抗は低い値を維持しており、湿熱に対する耐久性に優れていた。さらに、導電性膜の両表面に添加剤層を設けた場合では(実施例13)、更に湿熱に対する耐久性が向上することが分かった。
[実施例14]
(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン(EDOT)、イミダゾール、p−トルエンスルホン酸鉄(III)を質量比で、1:1:8になるように混合し、60質量%のエタノール溶液を調整した。これに前記具体例化合物(19)を1質量%になるように加えて混合し、塗布液−14を得た。
この塗布液−14をPET基板上にスピンコーター(3000rpm×20秒間)によって塗工し、ホットプレート上、120℃で加熱し、EDOTを重合させた。放冷後、エタノールによって洗浄し、再度、ホットプレート上で乾燥させ、試料−14を得た。
このようにして得られた試料−14の評価を、実施例6と同様にして行った。評価結果を表5に示す。
[比較例10]
実施例14で、前記具体例化合物(19)を加えない以外は、実施例14と同様にして比較の試料−10を得た。このようにして得られた比較の試料−10の評価を、実施例6と同様にして行った。評価結果を表5に示す。
本発明の導電性膜の構成例を示す断面概略図である。 本発明の導電性膜の他の構成例を示す断面概略図である。 本発明の導電性膜の他の構成例を示す断面概略図である。 本発明の第一の実施形態の導電性ポリマー材料の層構成の例を示す断面概略図である。 本発明の第二の実施形態の導電性ポリマー材料における層構成の例を示す断面概略図である。 本発明の第二の実施形態の導電性ポリマー材料における層構成の他の例を示す断面概略図である。 本発明の第二の実施形態の導電性ポリマー材料における層構成の他の例を示す断面概略図である。
符号の説明
1 導電性膜
2 導電性膜
3 導電性ポリマーを含有する膜
4 一般式(1)で表される化合物
5 導電性膜
10 支持体
20 第一の導電性ポリマー層
22 第二の導電性ポリマー層
30 一般式(1)で表される化合物を含有する層(添加剤層)

Claims (7)

  1. 導電性ポリマーを含有する層と、
    前記導電性ポリマーを含有する層の少なくとも一方の表面に、下記一般式(1)で表される化合物を含有する層と、
    を有する導電性ポリマー材料。


    〔一般式(1)中、Yは、水素原子、炭素原子、ヘテロ原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基に由来する基、アルキル基に由来する基、アシル基に由来する基、アリール基に由来する基、アルコキシ基に由来する基、アリールオキシ基に由来する基、又はヘテロアリール基に由来する基を表す。Lは単結合、2価の炭化水素基、2価のヘテロ原子、又はイミノ基を表す。mは、1以上の整数を表す。〕
  2. 前記導電性ポリマー層の両表面に、前記一般式(1)で表される化合物を含む層が設けられてなる請求項1に記載の導電性ポリマー材料。
  3. 透明であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性ポリマー材料。
  4. 前記導電性ポリマーが、ポリチオフェン及びその誘導体を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電性ポリマー材料
  5. 前記導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェンを含むことを特徴とする請求項に記載の導電性ポリマー材料
  6. 更に、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を含有することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の導電性ポリマー材料
  7. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の導電性ポリマー材料を用いたデバイス。
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