JP5158199B2 - ポリイソシアネートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイソシアネートの製造方法に関し、特に、着色の少ないポリイソシアネートを製造する方法に関する。
ポリウレタンフォームなどの原料となるポリイソシアネートは、工業的には、ポリアミン混合物を溶媒の存在下、ホスゲンと反応させること(ホスゲン化反応)によって製造され、その後、減圧蒸留によって留出成分と不留出成分を分離している。ここで、この方法によって得られた不留出成分は、不純物として酸分や加水分解性塩素含有化合物を含んでおり、これらの不純物が多いと、ウレタン製造時の反応性が悪くなることが知られている。そこで、このような不純物を低減するために、通常、減圧下180〜230℃の加熱処理が行われている。しかし、このような加熱処理を行うとポリイソシアネートの色相が悪化し、ウレタン製品の着色原因となる。
従来から、上述の不純物を低減しつつ、ポリイソシアネートの色相を改善することが可能な、ポリイソシアネートの製造方法として、ポリアミンとホスゲンの反応物に塩化水素ガスを吹き込み、塩化水素ガスの存在下で加熱処理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2004−27160号公報 特開2004−43744号公報 特許第3229714号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜3の方法では、ホスゲン化反応で得られた反応液に塩化水素を必要量溶解させるためには、その必要量を超える過剰な塩化水素ガスを供給する必要がある。この場合、供給された塩化水素ガスの大部分は反応液に溶解することなく系外に排出されるため、塩化水素ガスの使用量が多くなってしまう。このように塩化水素ガスの使用量が多いと、塩化水素を扱うポンプ等の装置が大型化するし、塩化水素によるプラント設備の腐食も発生しやすくなる。
本発明の目的は、塩化水素の使用量を少なくしつつ、イソシアネートの色相改善を十分に行うことが可能な、ポリイソシアネートの製造方法を提供することである。
本発明のポリイソシアネートの製造方法は、ポリアミンとホスゲンを反応させるホスゲン化反応工程と、前記ホスゲン化反応工程で得られた反応液を、別途調合した塩化水素を含むイソシアネートと混合させる混合工程と、前記混合工程で得られた反応液を加熱する加熱工程とを備えることを特徴とするものである。
本発明のポリイソシアネートの製造方法においては、前記加熱工程において、前記反応液を180〜230℃で加熱することが好ましい。
本発明のポリイソシアネートの製造方法においては、前記の別途調合した塩化水素を含むイソシアネートは、0.01〜3質量%の塩化水素を含有することが好ましい。
本発明のポリイソシアネートの製造方法は、前記混合工程の前に、前記反応液に含まれる溶媒、及び/又は、未反応の前記ホスゲンを除去する除去工程をさらに備えることが好ましい。
本発明のポリイソシアネートの製造方法においては、前記混合工程において、前記反応液を60〜160℃で、前記別途調合した塩化水素を含むイソシアネートと混合させることが好ましい。
さらに、本発明のポリイソシアネートの製造方法においては、前記混合工程において、前記反応液を100〜130℃で、前記別途調合した塩化水素を含むイソシアネートと混合させることが好ましい。
本発明のポリイソシアネートの製造方法においては、前記ホスゲン化反応工程で使用するポリアミンは、アニリンとホルムアルデヒドの付加縮合により得られるポリアミンであって、アニリンに由来する骨格の数が異なるものの混合物であることが好ましい。
本発明によれば、ポリアミンとホスゲンを反応させて得られた反応液に、色相改善に必要な量の塩化水素を含有させた別途調合のイソシアネートを混合させた後、反応液を加熱する。そのため、ホスゲン化反応で得られた反応液に塩化水素ガスを直接供給する場合とは異なり、必要量を超える過剰な塩化水素を消費することがない。従って、少量の塩化水素で色相改善を十分に行うことが可能である。また、混合工程後に反応液を加熱することにより、ポリイソシアネート中に溶解性の低い成分が含まれている場合でも、精製時の沈降物の生成を抑制することが可能となる。
次に、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のポリイソシアネートの製造方法は、ポリアミンとホスゲンとを反応させるホスゲン化反応工程と、ホスゲン化反応工程で得られた反応液を、別途調合した塩化水素を含むイソシアネートと混合させる混合工程と、混合工程で得られた反応液を加熱する加熱工程とを備えている。
(ホスゲン化反応工程)
ホスゲン化反応工程で使用されるポリアミンとしては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン等、何れの骨格を有するポリアミンも用いることができる。その中でも、反応性や安全性に優れるポリイソシアネートを得るという点で、下記一般式(化1)で表される、アニリンとホルムアルデヒドの付加縮合により得られるポリアミンを用いることが好ましい。尚、下記式(化1)中のnは、0又は1以上の整数を表している。
Figure 0005158199
上記において、n=0の場合は、一般式(化1)で表されるポリアミンは、メチレンジアニリン(MDA)であり2核体に相当する。また、n=1の場合は3核体、n=2の場合は4核体であり、n=mの場合は(m+2)核体となる。上記一般式(化1)で表されるポリアミンは、アニリンに由来する骨格(1つのアミノ基と1つのベンゼン環からなる骨格)の数が異なるものの混合物であってもよい。即ち、2核体、3核体、4核体、5核体、及び、それ以上の多核体の混合物であってもよい。
ホスゲン化反応は、ポリアミンを反応溶媒である不活性溶媒に溶解させ、これにホスゲンを導入することによって行うことができる。不活性溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロトルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。また、ホスゲン化は、塩酸塩法、冷熱2段法、ホスゲン加圧法等の方法を用いて行うことができ、工業的見地からは、連続的に反応を生じさせる方法が好ましい。
ホスゲン化を塩酸塩法で行う場合は、まず、上述した不活性溶媒中にポリアミンを溶解させ、この溶媒の沸点以下の温度で塩化水素ガスを導入し、ポリアミンの塩酸塩を生成させる。次に、これにホスゲンガスを導入して、例えば100〜180℃でホスゲン化反応を生じさせる。
ホスゲン化を冷熱2段法で行う場合は、まず、上述した不活性溶媒中にポリアミンを溶解させ、この溶液にポリアミンの5〜20倍モル程度のホスゲンを導入し、例えば、0〜90℃で第1段の反応を行わせる。続いて、ポリアミンに対して0.5〜10倍モル程度のホスゲンの存在下、例えば100〜150℃で第2段の反応を行わせる。
ホスゲン化をホスゲン加圧法で行う場合は、ポリアミンをその沸点又は沸点以上の温度に加熱し、例えば100〜500kPaの圧力下で、ポリアミンの1〜10倍モル程度のホスゲンを、窒素やアルゴン等のキャリアガスとともに導入し、反応を行わせる。
アミンのホスゲン化反応は、R−NH2+COCl2→R−NCO+2HClで表すことができる(但し、Rはイソシアネート残基であり、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる)。ポリアミンとして、上記一般式(化1)で表されるポリアミンを用いた場合、ホスゲンとの反応で得られる物質は、下記一般式(化2)で表されるポリイソシアネートである。尚、下記式(化2)中のnは、0又は1以上の整数を表している。
Figure 0005158199
一般式(化1)で表されるポリアミンが多核体の混合物であった場合、ホスゲン化によって得られるポリイソシアネートも多核体の混合物となる。一般式(化2)で表されるポリイソシアネートは、n=0のときはモノメリックMDI(2核体)であり、n≧1のときはポリメリックMDI(3核体以上)である。
(混合工程)
次に、上記ホスゲン化反応工程で得られた反応液に、別途調合した、塩化水素を含むイソシアネートを混合させる。
ここで、この混合工程の際に、前述したホスゲンが反応液中に残存した状態で、反応液を加熱するとイソシアネートの色相が悪化する。また、反応溶媒が多量に残存した状態で、別途調合した塩化水素を含むイソシアネートを混合した場合、混合液中の塩化水素濃度が低くなり、イソシアネートの色相改善効果が不十分となる場合がある。そのため、混合工程の前に、上記ホスゲン化反応後に得られた反応液中に残存する、未反応のホスゲン、及び/又は、反応溶媒をある程度除去し、これらの含有量を低減しておくことが好ましい(除去工程)。
ホスゲン化反応工程で得られた反応液中の残存ホスゲンと反応溶媒の含有量を低減させる方法としては、前記反応液に窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを導入する方法や、減圧下で反応溶媒の沸点まで加熱する方法(減圧法)が挙げられるが、コストの点からは減圧法が好ましい。また、この場合において、反応液中の残存ホスゲン量が100ppm程度、残存反応溶媒量が10%程度まで、含有量の低減を行うことが好ましい。
また、残存ホスゲンと反応溶媒の含有量の低減は、100〜160℃で加熱することにより行われることが好ましい。160℃よりも高い温度で長時間加熱を続けると、ポリイソシアネートの色相が悪化する場合がある。また、100℃よりも低い温度では、残存ホスゲンや反応溶媒の低減の効率が低く、低減に非常に長い時間がかかる、あるいは、低減が不十分になる場合がある。
このようにして、残存ホスゲンと反応溶媒を除去してそれらの含有量を低減させた反応液に、別途調合した塩化水素を含むイソシアネートを混合させる。ここで、塩化水素を含有させるイソシアネートは、特定の構造を有するものには限定されず、また、その製造方法も特に限定はされないが、通常ホスゲン化反応で生成されるイソシアネートと同骨格のイソシアネートが用いられる。
また、別途調合したイソシアネート中の塩化水素含有量は、特に範囲が限定されるものではない。但し、塩化水素含有量が多いと反応液中の塩化水素が飽和状態に近くなり、塩化水素の使用量(ロス)が増える虞がある。そこで、塩化水素のロスを少なくするためには、別途調合したイソシアネート中の塩化水素含有量は、0.01〜3質量%とすることが好ましい。一方で、イソシアネート中の塩化水素含有量が少ないと、ホスゲン化反応工程で得られた反応液に所定量の塩化水素を混合させるために必要となる、別途調合したイソシアネートの量が多くなってしまう。そこで、別途調合したイソシアネート中の塩化水素含有量は1〜3質量%程度とすることが特に好ましい。
尚、イソシアネートへの塩化水素の添加(調合)は、密閉容器中でイソシアネートへ塩化水素ガスを吹き込むことによって行うが、加圧状態の塩化水素ガスを密閉容器に吹き込むことが好ましい(加圧状態形式)。また、塩化水素ガスの混合温度は、室温〜160℃程度であればよいが、低温である方が塩化水素ガスの溶解度が大きい点で好ましい。このような調合方法を採用した場合には、減圧又は常圧状態(即ち、容器が密閉されていない状態)、且つ、高温で、塩化水素ガスをイソシアネートに吹き込む方法と比較して、塩化水素ガスのロスは非常に少なくなる。
前記ホスゲン化反応工程で得られた反応液に、上述の別途調合した塩化水素を含むイソシアネートを混合するときの、反応液の温度は、60〜160℃が好ましく、100〜130℃が特に好ましい。反応液温度が60℃より低いと、反応液中に含まれる着色の原因物質が塩化水素と結びついて分解する反応が生じにくく、色相改善効果が低くなる。一方で、反応液温度が130℃よりも高くなるに従って、別の着色原因物質が新たに生じて色相が悪化する傾向にあり、160℃より高くなると色相改善効果が大幅に低下する。尚、反応液の加熱は、水分等の混入を防ぐため、窒素等の不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
また、上述したように、アミンのホスゲン化反応は、
R−NH2+COCl2→R−NHCOCl(中間生成物1)+HCl→R−NCO+2HCl、
R−NH2+HCl→R−NH2・HCl(中間生成物2)、
R−NH2・HCl+COCl2→R−NHCOCl+2HCl→R−NCO+3HCl、
で表すことができるが、副反応として、
2R−NH2+COCl2→R−NHCONH−R(副反応生成物1)、
R−NHCONH−R+COCl2→R−NHCONRCOCl(副反応生成物2)、
等が考えられる。このようなホスゲン化反応工程中の中間生成物1、中間生成物2及び副反応生成物2は、前記除去工程及び/又は前記混合工程において除かれることが好ましい。このうち中間生成物1及び2は加熱によってイソシアネート及び/又は副反応生成物1へ転化する。副反応生成物2は塩化水素と反応しイソシアネートへ転化すると考えられる。
(加熱工程)
次に、前述した混合工程後に得られた反応液を加熱する。このような加熱工程を行うことにより、生成したポリイソシアネートの色相改善をより確実に行うとともに、反応液中に生じる溶解性の低い、ダイマー等の多量体の沈降を抑制することができる。このように、加熱工程を行うことによって多量体の沈降が抑制される理由は必ずしも明らかではないが、生成したダイマー等の多量体が加熱により解離することが考えられる。
また、この加熱工程は、180〜230℃で行うことが好ましく、200〜230℃が特に好ましい。加熱温度が230℃よりも高いと、生成したポリイソシアネートが熱分解する。一方で、加熱温度が180℃よりも低いと多量体の沈降抑制効果が低くなる。尚、加熱温度は、上記範囲内であれば多少の変動(昇温又は降温)があってもよい。また、加熱は、水分等の混入を防ぐため、窒素等の不活性気体の雰囲気下で行うことが好ましい。
また、加熱時間は特に制限されず、例えば1〜30分とすることができるが、生成したポリイソシアネートの変性や分解等を防ぐために10分以内で終了させることが好ましい。さらに、上述した多量体の沈降効果を確実に奏させるとともに過剰な加熱を防止するという観点からは、加熱時間は5〜10分が好ましい。
以上の加熱工程実施後に得られるポリイソシアネートは着色が極めて少ないものであり、併せて、精製時の沈降物の生成も抑制されており純度が高い。従って、例えばポリウレタンの製造に用いれば、着色が抑えられた淡色のポリウレタンを得ることができ、また、性能の安定性も向上する。
本発明のポリイソシアネートの製造方法は、上述したホスゲン化反応工程、混合工程、及び、加熱工程を備えるものであればよく、これらの工程の前後又は間に、他の工程を備えるものであってもよい。例えば、混合工程と加熱工程の間に、混合工程後の反応液をしばらく保管する保管工程を実施してもよい。また、加熱工程の後に、反応液を室温付近(例えば30℃)まで急冷する工程を実施してもよい。
また、さらなる着色改善のために、反応液に、別途調合した塩化水素を含むイソシアネートを混合するだけでなく、反応液へのフェノール系や亜燐酸系の酸化防止剤や金属水素化物(ボラン)などの還元剤の添加や、アルコールあるいは水の添加といった、従来から知られた着色改善方法も併用してもよい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって何ら限定して解釈されるものではない。また、以下の説明においては、特段の記載がない限り、「%」は「質量%」を示す。
まず、ポリアミン混合物を溶媒の存在下でホスゲンと反応させる工程、次いで、減圧蒸留により留出成分と不留出成分を分離する工程を経て、以下に示すポリイソシアネート(以下、「原料ポリMDI」と略記)を得た。
<原料ポリMDIの詳細>
・MDIのピーク面積比(GPCによる測定)
二核体:三核体:四核体:五核体以上=66.4:16.7:6.9:10.0PA%(尚、核体とは分子中のベンゼン環のことを示す。例えば、二核体とはベンゼン環を分子内に2つ有するMDIを示す。)
・二核体MDI中の4,4’−MDIの割合(GCによる測定)=98.7PA%
・ホスゲン含有量=100ppm
・クロルベンゼン(反応溶媒)含有量=8%
また、上記原料ポリMDIに混合するイソシアネートとして、以下に示すポリメリックMDI(商品名ミリオネートMR200:日本ポリウレタン工業株式会社製)を用意した。このポリメリックMDIを、「塩化水素を含まないイソシアネート」とした。また、500gの上記ポリメリックMDIと10gの塩化水素を密閉容器内で混合させたものを、「塩化水素を含むイソシアネート」とした。
<ポリメリックMDI(塩化水素を含まないイソシアネート)の詳細>
・MDIのピーク面積比(GPCによる測定)
二核体:三核体:四核体:五核体以上=41.5:24.7:9.5:24.3PA%
・二核体MDI中の4,4’−MDIの割合(GCによる測定)=98.7PA%
・ホスゲン含有量=0ppm
・クロルベンゼン含有量=0%
<塩化水素を含むイソシアネートの詳細>
塩化水素含有量=1.8%
尚、塩化水素含有量は、塩化水素添加前後のポリメリックMDIの質量差から算出した。
以上の「原料ポリMDI」、「塩化水素を含むイソシアネート」、及び、「塩化水素を含まないイソシアネート」を用いて、以降に示す実施例1,2及び比較例1〜8を行った。
<実施例1,2>
300mlの4つ口セパラブルフラスコに原料ポリMDIを90gと塩化水素を含むイソシアネートを40g加え、窒素雰囲気下、実施例1では110℃で10分間、実施例2では150℃で10分間、それぞれ150rpmで撹拌した(混合工程)。このようにして得られた溶液のうちの50mlを、予め220℃に加熱しておいたステンレス製の100ml容器に加え、50ml/分の窒素でバブリングしながら7分間放置した(加熱工程)。次に、この容器を氷浴に浸し、溶液を30℃まで急冷した後、濾過して試料を得た。
<比較例1,2>
比較例1,2では、90gの原料ポリMDIに、塩化水素を含まないイソシアネートを40g加え、窒素雰囲気下、比較例1では110℃で10分間、比較例2では150℃で20分間、それぞれ150rpmで撹拌した。それ以外の条件については前記実施例と同じである。
<比較例3〜6>
比較例3〜6では、90gの原料ポリMDIに、塩化水素を含まないイソシアネートを40g加え、塩化水素ガス100ml/分をバブリングしながら150rpmで撹拌した。また、比較例3〜8で、混合時の溶液温度と、溶液を撹拌する時間(溶液加熱時間)を変化させた。即ち、比較例3では110℃で20分間、比較例4では150℃で20分間、比較例5では110℃で10分間、比較例6では150℃で10分間、それぞれ塩化水素ガスを吹き込みながら溶液を撹拌した。それ以外の条件については前記実施例と同じである。
<比較例7,8>
比較例7,8では、90gの原料ポリMDIに、塩化水素を含まないイソシアネートを40g加え、加熱しながら10分間、150rpmで撹拌した。但し、前半の5分間は塩化水素ガス100ml/分でバブリングしながら撹拌し、後半の5分間は窒素雰囲気下で撹拌した。また、比較例7では110℃で、比較例8では150℃で、それぞれ溶液を撹拌した。それ以外の条件については前記実施例と同じである。
そして、以上の実施例1,2、及び、比較例1〜8のそれぞれで得られたポリイソシアネート(以下、ポリMDIと略記する)の色相を測定した。尚、ポリMDIの色相は次のようにして測定し、表示した。
<溶液色相測定方法>
450mlの無色透明瓶に試料2gとアセトン400mlを加えて溶解し、23℃で溶液の色相を目視にて測定した。値はAPHA(ハーゼン単位色数)で示した。尚、原料ポリMDI90gに塩化水素を含まないイソシアネート40gを室温で混合した溶液と、原料ポリMDI90gに塩化水素を含むイソシアネート40gを室温で混合した溶液の、それぞれの溶液色相を測定した結果、共に20APHAであった。
<検証>
以上の実施例1,2と比較例1〜8のそれぞれについて、各種条件、塩化水素使用量、及び、得られたポリMDI溶液の色相をまとめたものを表1に示す。
Figure 0005158199
表1中の「塩化水素使用量」について、実施例1,2の値(0.8g)には、原料ポリMDIに混合されるイソシアネート(塩化水素を含むイソシアネート)に、実際含まれている塩化水素の量(40g×1.8/100=0.72g)だけでなく、このイソシアネートを調合する際に損失した塩化水素の量も含まれている。一方、比較例3〜8においては、混合工程中に吹き込まれた塩化水素ガスの総量である。
表1に示すように、実施例1,2では、塩化水素を含むイソシアネートを製造する際に損失した塩化水素を含めて、塩化水素使用量は0.8gとなるが、この4倍の量の塩化水素を使用した比較例3,4と同程度に着色の少ないポリMDIが得られた。これにより、本発明では、塩化水素の使用量を大幅に削減しつつも、十分な色相改善を実現できることがわかる。また、実施例1では、実施例2よりも混合工程中の溶液温度が低いが、この実施例1の方が色相改善効果が高いことがわかる。
また、比較例1,2は塩化水素処理を行わなかった例であるが、激しく着色することがわかる。さらに、比較例5〜8は比較例3,4よりも塩化水素使用量を減らした例であるが、塩化水素を減らした分、着色低減効果が低くなっている。
本発明により得ることが可能となった、着色の極めて少ないポリイソシアネートは、該ポリイソシアネートを原料とする分野(バインダー等)、又は、該ポリイソシアネートを原料として得られるポリウレタン樹脂が用いられるあらゆる分野(発泡体、塗料、接着剤、シーラント、エラストマー等)において、低着色が要求される場合に有用である。

Claims (7)

  1. ポリアミンとホスゲンを反応させるホスゲン化反応工程と、
    前記ホスゲン化反応工程で得られた反応液を、別途調合した塩化水素を含むイソシアネートと混合させる混合工程と、
    前記混合工程で得られた反応液を加熱する加熱工程と、
    を備えることを特徴とするポリイソシアネートの製造方法。
  2. 前記加熱工程において、前記反応液を180〜230℃で加熱することを特徴とする請求項1に記載のポリイソシアネートの製造方法。
  3. 前記の別途調合した塩化水素を含むイソシアネートは、0.01〜3質量%の塩化水素を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイソシアネートの製造方法。
  4. 前記混合工程の前に、前記反応液に含まれる溶媒、及び/又は、未反応の前記ホスゲンを除去する除去工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のポリイソシアネートの製造方法。
  5. 前記混合工程において、前記反応液を60〜160℃で、前記別途調合した塩化水素を含むイソシアネートと混合させることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のポリイソシアネートの製造方法。
  6. 前記混合工程において、前記反応液を100〜130℃で、前記別途調合した塩化水素を含むイソシアネートと混合させることを特徴とする請求項5に記載のポリイソシアネートの製造方法。
  7. 前記ホスゲン化反応工程で使用するポリアミンは、アニリンとホルムアルデヒドの付加縮合により得られるポリアミンであって、アニリンに由来する骨格の数が異なるものの混合物であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のポリイソシアネートの製造方法。
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