JP5155627B2 - 電子写真的に調製されたmicr小切手のためのインラインコーティングプロセス - Google Patents

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Description

本明細書に記載されているのは、多くの用途において使用される小切手(check(s))を被覆するためのプロセスと配合物(formulation(s))であって、そのような用途としては、たとえば電子写真(xerographic)プリンタおよびコピー機、特にデジタルシステムも含めたMICR(magnetic ink character recognition、磁気インキ文字認識)および関連のプロセスにおけるような、たとえば、電子写真(electrophotographic)、イオノグラフィックまたはマグネトグラフィック印刷が挙げられる。
小切手のカラー化および個人化(personalization)の需要が伸びてきている。小切手を印刷するための、いくつかの現行の電子写真機(xerographic machine(s))には、MICRトナーが使用できないこと、さらには(トナーを)定着させた小切手の上に残存定着オイル(fuser oil)が存在していることなどの制約が存在している。小切手上に残存する定着オイル(たとえば、アミノ系定着オイル)は、二次MICR印字の場合(たとえば、銀行において、小切手の上に後から、合計金額のフィールドに印字をするような場合)に問題となる。小切手の上の残存定着オイルがインキ受容性(ink receptivity)を低下させ、その結果、二次MICR印字を困難としていると考えられている。これにより、読取り機の棄却率が約30%以上となってしまう。この問題に対する、現在行われている解決法は、人の手で、有機溶媒を用いて小切手をぬぐうことである。
米国特許第4,231,593号には、一次および二次コーティングした小切手において、それらの一方が導電性であり、他方が非導電性であるものが開示されている。
米国特許第4,231,593号明細書
一次MICR/カラー定着をさせた後で、小切手に二次MICR印字を問題なく可能とするプロセスを得ることがなお望まれている。
2種の独立した静電潜像である、MICRおよび非MICRの静電磁気画像を形成するプロセスであって、(a)MICR印刷装置中で第一の静電潜像を形成する工程と、(b)前記第一の静電潜像をMICRトナーと接触させることによって前記第一の静電潜像を現像し、現像したMICRトナー画像を生成する工程と、(c)前記現像したMICRトナー画像を小切手の上に転写する工程と、(d)非MICR印刷装置において第二の静電潜像を形成する工程と、(e)前記第二の静電潜像を非MICRトナーと接触させることによって前記第二の静電潜像を現像し、現像した非MICR画像を生成する工程と、(f)前記非MICRトナー画像を前記小切手に転写する工程と、(g)前記MICRトナー画像および前記非MICRトナー画像を前記小切手に定着させる工程であって、定着の間、定着オイルを前記小切手に供給する工程と、(h)ポリマーおよび界面活性剤を含む水性コーティングを用いて、現像し、定着されたMICRトナー画像および非MICRトナー画像を有する前記小切手を被覆する工程と、を含む、プロセスである。
本明細書に開示されているのは、MICRカラー印刷小切手のためのプロセスおよびコーティングであって、ここでそのコーティングは、最終的な定着プロセスの後、たとえば約50ミリ秒〜約120秒後(ただし、いくつかの実施態様においては、二次的符号化(encoding)の前)に、インラインコーターを用いて塗布される。そのコーティングは、本質的には、定着オイルを封じ込める(seal)ものであって、そのために、MICRの印字をさらに満足のいくレベルで達成することが可能な表面が得られる。いくつかの実施態様においては、二次MICR印字が、コーティングで被覆されていない(uncoated)、(定着)オイルで覆われた(oil-covered)小切手に比較して、いくつかの実施態様において顕著に改良された読取り機の棄却率で実施されることが可能となる。
実施態様には、2種の独立した静電潜像の、MICRおよび非MICRの静電磁気画像を形成するプロセスが含まれ、それには、(a)MICR印刷装置において第一の静電潜像を形成する工程;(b)その第一の静電潜像をMICRトナーと接触させることによってその第一の静電潜像を現像して、現像したMICRトナー画像を生成する工程;(c)その現像したMICRトナー画像を小切手の上に転写する工程;(d)非MICR印刷装置において第二の静電潜像を形成する工程;(e)その第二の静電潜像を非MICRトナーと接触させることによってその第二の静電潜像を現像して、現像した非MICR画像を生成する工程;(f)その現像した非MICRトナー画像を小切手に転写する工程;(g)そのMICRトナー画像および非MICRトナー画像を小切手に定着させる工程であって、その定着の間、定着オイルを小切手に供給する、工程;(h)ポリマーおよび界面活性剤を含む水性コーティングを用いて、現像し、定着されたMICRトナー画像および非MICRトナー画像を有する小切手を被覆する工程;が含まれる。
実施態様には、2種の独立した静電潜像の、MICRおよび非MICRの静電磁気画像を形成するプロセスもまた含まれ、それには、(a)MICR印刷装置において第一の静電潜像を形成する工程;(b)その第一の静電潜像をMICRトナーと接触させることによってその第一の静電潜像を現像して、現像したMICRトナー画像を生成する工程;(c)その現像したMICRトナー画像を小切手の上に転写する工程;(d)非MICR印刷装置において第二の静電潜像を形成する工程;(e)その第二の静電潜像を非MICRトナーと接触させることによってその第二の静電潜像を現像して、現像した非MICR画像を生成する工程;(f)その現像した非MICRトナー画像を小切手に転写する工程;(g)そのMICRトナー画像および非MICRトナー画像を小切手に定着させる工程であって、その定着の間、定着オイルを小切手に供給し、そしてここで、その定着オイルが、アミノ官能性定着オイルおよびメルカプト官能性定着オイルからなる群より選択される、工程;(h)ポリマーおよび界面活性剤を含む水性コーティングを用いて、現像し、定着されたMICRトナー画像および非MICRトナー画像を有する小切手を被覆する工程;が含まれる。
さらに、実施態様には、2種の独立した静電潜像の、MICRおよび非MICRの静電磁気画像を形成するプロセスが含まれ、それには、(a)MICR印刷装置において第一の静電潜像を形成する工程;(b)その第一の静電潜像をMICRトナーと接触させることによってその第一の静電潜像を現像して、現像したMICRトナー画像を生成する工程;(c)その現像したMICRトナー画像を小切手の上に転写する工程;(d)非MICR印刷装置において第二の静電潜像を形成する工程;(e)その第二の静電潜像を非MICRトナーと接触させることによってその第二の静電潜像を現像して、現像した非MICR画像を生成する工程;(f)その現像した非MICRトナー画像を小切手に転写する工程;(g)そのMICRトナー画像および非MICRトナー画像を小切手に定着させる工程であって、ここでその定着の間、定着オイルを小切手に供給する、工程;(h)アクリルポリマー混合物(blend)、界面活性剤、粘度調整剤、ワックス、任意成分の消泡剤、および中和剤を含む水性コーティングを用いて、現像し、定着されたMICRトナー画像および非MICRトナー画像を有する小切手を被覆する工程;が含まれる。
本明細書に記載されているのは、磁気トナー組成物を使用することを含む、磁気画像文字認識(MICR)に適した書類を発生させるための静電プロセスである。いくつかの実施態様においては、小切手や個人小切手のような書類を作成し印刷することができる。本明細書において開示されているのは、小切手を被覆するための配合物とプロセスであって、水性コーティングを塗布することによって、定着オイルの悪影響を軽減させる一方、小切手の一次MICR画像形成の後で小切手を個人化することを可能とし、それにより読取り機の信頼性を向上させることができる。
ゼロックス・ドキュテック(Xerox DocuTech,登録商標)およびその他の機械を用いて、小切手および、いくつかの実施態様においては、MICR符号化小切手(encoding check(s))を印刷することができる。それらのプロセスは、基本的な小切手の書き込みの性能は有しているが、カラーを使用したり、小切手の個人化を可能としたりするような、融通性は無い。いくつかの機械、たとえばドキュテックのタイプの機械においては、バックグラウンドと一次MICR符号化は、すべて一つの機械で実施される。メルカプト官能性およびその他の官能性定着オイルなどの定着オイルが、そのような機械では使用される。定着オイルは、定着部材からシートを剥離させるために使用される。さらに、二次MICR符号化は、「ファースト・デポジットの銀行(bank of first deposit)」で実施されるが、そこでは、MICR印字が、定着された小切手の上に置かれる。完成した小切手を、小切手読取り機/ソーターにかけると、その通過読取り率(passable read rate)は0.5%以下になるであろう。
フルカラー印刷およびMICR性能を取り入れたプロセスにおいて起きる最大の問題は、そのような機械で印刷した小切手の読取り率が、棄却率約30%となってしまうことである。これは、公知のカラー印刷機において使用されている定着オイルにおける差が原因であると考えられる。たとえば、アミノ官能性オイルは、メルカプト官能性オイルとは正反対のものとして使用される。このアミノ官能性オイルはインキ受容性を妨害し、したがって二次MICR印字はそのために高い棄却率となってしまう。フルカラー印刷とMICR性能を得るためには、オイルの問題を補正するプロセスを開発するのが望ましい。
市販の水性コーティングは一般に、定着された印刷物(包装紙、封筒など)に、プリンタに対するコストを最小限にしながら、画像の堅牢性と美的価値を向上させるために使用される。しかしながら、それらの市販のコーティングは一般に、慣用されるオフセット印刷機上で、インキで作られた印刷物の上に使用されるが、残念なことには、それらのコーティングにおいて最も一般的に使用される中和剤はアンモニアである(これは電子写真(xerographic)感光体にとっては有害であることがわかっている)。市販のコーティングに関わるまた別な問題点は、一般的にその表面張力がかなり高く、そのために、定着オイル(このものは、本来的に表面張力が低い)を用いてコーティングされた電子写真(xerographic)印刷と組み合わせて使用したときに、表面エネルギーの問題を引き起こす点にある。したがって、それら二つの問題があるために、電子写真(xerographic)機械では、ほとんどの市販のコーティングが使用できない。しかしながら、本明細書におけるコーティング配合物は、実施態様において、それら二つの問題点を克服している。それらの水性コーティングは、かなり広い範囲の紙原料の、コート紙および非コート紙(coated and uncoated paper)の両方で使用することができる。コーティングを、定着させたトナー画像と用紙の上に塗布し、連続した乾燥フィルム層を形成させ、それによって定着オイルをシールする。
使用可能な典型的な定着オイルとしては、非官能性定着オイルおよび官能性アミノ、官能性メルカプトのような官能性定着オイル、などの定着オイルが挙げられる。1コピーあたりのオイル量は、約1〜約20マイクロリットル/コピーの範囲である。
このプロセスは、単色電子写真(xerographic)プリンタ、および特に、MICRトナーを用いた高速電子写真(xerographic)プリンタ、続けての非MICRトナーを使用した高速電子写真(xerographic)印刷機に使用することができる。いくつかの実施態様においては、そのMICRトナーがブラックであり、そして、非MICR電子写真(xerographic)トナーはブラックであってもカラーであってもよいが、いくつかの実施態様においてはカラーである。電子写真(xerographic)MICRプリンタと非MICR電子写真(xerographic)印刷エンジンが別々な機械であって、同時に作業してもよい。
いくつかの実施態様においては、第一のトナー(MICRトナー)を用いて、MICR印刷装置において、小切手の上に一次潜像を現像する。その第一のトナーには、樹脂、ワックス、着色剤、および任意成分の添加剤を含むことができる。
本明細書において選択されるMICRトナー組成物には、樹脂粒子、マグネタイト、および任意成分の着色剤たとえば、顔料、染料、カーボンブラック、ならびにワックスたとえば、ポリエチレンおよびポリプロピレンが含まれていてよい。それらのトナーにはさらに、第二の樹脂、単一または複数の着色剤、電荷添加剤、流動調節添加剤(flow additive)、再使用またはリサイクルトナー粒子、およびその他の成分を含むことができる。さらに、少なくとも1種の表面添加剤を、摩砕・分級した溶融混合トナー生成物とブレンドすることもできる。いくつかの実施態様におけるトナー粒子は、約6〜約25μm、または約6〜約14μmの体積平均直径を有することができる。
<樹脂>
本発明の実施の形態におけるMICRトナーおよびMICR現像剤組成物として好適な樹脂を説明する例としては、以下のものを挙げることができる:直鎖または分枝状のスチレンアクリレート、スチレンメタクリレート、スチレンブタジエン、ビニル樹脂、たとえば直鎖または分枝状のホモポリマーおよび2種以上のビニルモノマーのコポリマー;ビニルモノマーたとえば、スチレン、p−クロロスチレン、ブタジエン、イソプレン、およびミルセン;ビニルエステル、たとえばモノカルボン酸のエステルたとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、およびメタクリル酸ブチル;アクリロニトリル、メタクリロニトニル、アクリルアミド;など。具体例を挙げれば、スチレンブタジエンコポリマー、それらの混合物など、さらにはスチレン/アクリル酸n−ブチルコポリマー、プライオライツ(PLIOLITES,登録商標);懸濁重合スチレンブタジエン(参考文献:米国特許第4,558,108号明細書、この特許を参考として引用し本明細書に組み入れるものとする)。
<マグネタイト>
各種の形態の酸化鉄をマグネタイトとして使用することができる。マグネタイトとしては、酸化鉄(たとえば、FeO・Fe)とカーボンブラックとの混合物が挙げることができ、その例としてはたとえばマピコ・ブラック(MAPICO BLACK,登録商標)として市販されているものが挙げられる。マグネタイトの混合物は、トナー組成物中に、約10〜約70重量パーセント、または約10重量パーセント〜約50重量パーセントの量で存在させることができる。約1〜約15重量パーセントのカーボンブラック、または約2〜約6重量パーセントのカーボンブラックと、たとえば、約5〜約60重量パーセント、または約10〜約50重量パーセントの量のマグネタイトとからの、カーボンブラックとマグネタイトとの混合物を選択することができる。
<任意成分の着色剤>
着色剤としては、顔料、染料、それらの混合物、顔料の混合物、染料の混合物などが挙げられる。
<ワックス>
脂肪族炭化水素ワックスを説明する例としては、たとえば、約500〜約5,000の重量平均分子量を有する、低分子量のポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスを挙げることができる。トナー組成物の中に加えられるものとしてはさらに、ポリプロピレンおよびポリエチレンの低分子量ワックスであって、アライド・ケミカル・アンド・ペトロライト・コーポレーション(Allied Chemical and Petrolite Corporation)から市販されているもの、イーストマン・ケミカル・プロダクツ・インコーポレーテッド(Eastman Chemical Products, Inc.)から市販されているエポリーン・N−15(EPOLENE N-15,登録商標)、三洋化成工業(株)(Sanyo Kasei K.K.)から入手可能な、低重量平均分子量ポリプロピレンであるビスコール・550−P(VISCOL 550-P,登録商標)、ならびにそれらと同様のもの、などが挙げられる。選択される市販のポリエチレンは、約1,000〜約1,500の分子量を有するが、それに対して、このトナー組成物に使用される市販のポリプロピレンは、約4,000〜約5,000の分子量を有しているものと考えられる。ワックスはトナー中に、約4〜約7重量パーセントの量で存在させることができる。
<その他の任意成分添加剤>
トナー組成物に、流動性向上添加剤(flow aid additive(s))を含む外添剤粒子をブレンドすることも可能であるが、その添加剤は通常、トナー粒子の表面上に存在させる。そのような添加剤の例としては、金属酸化物たとえば、酸化チタン、酸化ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、コロイダルシリカたとえばアエロジル(AEROSIL、登録商標)、酸化セリウム、酸化アルミニウム、金属塩および脂肪酸の金属塩たとえばステアリン酸亜鉛、ならびにそれらの混合物が挙げられる。それらの添加剤は一般に、約0.1〜約10重量パーセント、または約0.1〜約5重量パーセントの量で存在させる。コロイダルシリカたとえばアエロジル(AEROSIL、登録商標)を、約1〜約30重量パーセント、または約10〜約20重量パーセントの量の電荷添加剤(charge additive(s))を用いて処理し、次いで、それをトナーに0.1〜10重量パーセントまたは約0.1〜約1重量パーセントの量で添加することもできる。
<任意成分のキャリア>
キャリア粒子を説明する例としては、鉄粉、鋼、ニッケル、鉄、フェライト(銅亜鉛フェライトを含む)などが挙げられる。キャリアは、たとえばスチレン、メタクリル酸メチル、およびシラン(トリエトキシシランなど)のターポリマー、たとえばカイナール(KYNAR,登録商標)とポリメチルメタクリレートの混合物(40/60)のコーティングを用いてコーティングされていてもよい。本明細書に記述するように、コーティング重量は変化させることができる。しかしながら、その重量は約0.3〜約2、または約0.5〜約1.5重量パーセントコーティング重量とすることができる。
本発明の実施の形態のプロセスでは、単一成分(SCD)現像システムと二成分現像システムのいずれか、または両方を使用することができる。
好適な非MICRトナーは、たとえば下記の特許に開示されている:米国特許第6,326,119号明細書;米国特許第6,365,316号明細書;米国特許第6,824,942号明細書および米国特許第6,850,725号明細書。いくつかの実施態様においては、非MICRトナーはブラックまたはカラーであってもよいし、またいくつかの実施態様においては、カラーの非MICR電子写真(xerographic)トナーである。
<樹脂>
非MICRトナー樹脂は、直鎖状の不飽和樹脂(以後、ベース樹脂と呼ぶ)たとえば直鎖状の不飽和ポリエステル樹脂を、いくつかの実施態様においては、化学的重合開始剤を使用し、溶融混合装置たとえば押出機中で、高温(たとえば、樹脂の溶融温度を超える、より具体的には、溶融温度より上〜約150℃まで)、高剪断下で架橋させることにより調製した、不飽和ポリエステルのような部分架橋不飽和樹脂であってよい。さらに、トナー樹脂には、樹脂混合物中にたとえば、約0.001〜約50重量パーセント、約1〜約20重量パーセント、または約1〜約10重量パーセント、または約2〜約9重量パーセントのマイクロゲルの重量分率(ゲル含量)を含む。直鎖状の部分(linear portion)は、トナー樹脂の約50〜約99.999重量パーセント、またはトナー樹脂の約80〜約98重量パーセントの、ベース樹脂、より具体的には不飽和ポリエステルを含む。樹脂の直鎖状の部分には、架橋反応の際には架橋しない低分子量反応性ベース樹脂、より具体的には不飽和ポリエステル樹脂が含まれていてもよい。
樹脂の分子量分布は、バインダの直鎖状の部分と架橋部分が異なった範囲にあるため、バイモーダルとなる。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した直鎖状の部分の数平均分子量(M)は、たとえば、約1,000〜約20,000、または約3,000〜約8,000である。直鎖状の部分の重量平均分子量(M)は、たとえば約2,000〜約40,000、または約5,000〜約20,000である。ゲル部分の重量平均分子量は、1,000,000より大きい。直鎖状の部分の分子量分布(M/M)は、約1.5〜約6、または約1.8〜約4である。示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した、直鎖状の部分のガラス転移開始温度(Tg)は、約50℃〜約70℃である。
さらに、バインダ樹脂、特に架橋ポリエステルには、約100℃〜約200℃、または約100℃〜約160℃、または約110℃〜約140℃の最低定着温度(minimum fix temperature)を有する低溶融トナーを具備することが可能であり;定着ロールの上へのトナーのオフセットを最小化または防止するための、広い定着ラティチュードを有する低溶融トナーを具備し;そして、高いトナー粉砕効率を維持する。トナー樹脂、したがってトナーは、ビニルのオフセット、つまり書類のオフセット(vinyl or document offset)を最小化するか、または実質的になくす。
不飽和ポリエステル系樹脂の例は、二酸および/または酸無水物たとえば、マレイン酸、フマル酸など、およびそれらの混合物と、ジオールたとえば、プロポキシル化ビスフェノールA、プロピレングリコールなど、およびそれらの混合物と、から調製されるものである。好適なポリエステルの一例は、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールAフマレート)である。
いくつかの実施態様においては、トナーバインダ樹脂は、(a)直鎖状のプロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂を溶融押出しし、そして(b)その直鎖状の樹脂を反応性押出しによって架橋させて、得られる押出し物(extrudate)が、約2〜約9重量パーセントの全ゲル含量を有する樹脂を含むようにして作る。直鎖状のプロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂としてはたとえば、ブラジル国サンパウロ(Sao Paulo, Brazil)のレサナ・S/A・インダストリアス・キミカス(Resana S/A Industrias Quimicas)から、商品名スパー・II(SPAR II,商標)として入手可能なもの、または、オランダ国ゲレーン(Geleen, The Netherlands)のDSM・ポリマー(DSM Polymer)から、ネオキシル・P2294(NEOXYL P2294,商標)またはP2297(商標)として入手可能なものが挙げられる。トナーを好適に貯蔵し、ビニルおよび書類のオフセット(vinyl and document offset)を防止するためには、そのポリエステル樹脂ブレンド物が、より具体的には、たとえば、約52℃〜約64℃のTg範囲を有する。
架橋トナー樹脂を調製するために、化学的重合開始剤たとえば、有機過酸化物またはアゾ化合物を使用することができる。
低溶融トナーおよびトナー樹脂は、反応溶融混合プロセス(reactive melt mixing process)によって調製することができるが、そこでは、反応性樹脂が部分的に架橋される。たとえば、低溶融トナー樹脂は、以下の工程を含む反応溶融混合プロセスによって製造することができる:(1)溶融混合装置において、反応性ベース樹脂を溶融して、ポリマー溶融物を形成する工程;(2)そのポリマー溶融物を架橋する工程、より詳しくは、化学的架橋重合開始剤を用い、反応温度を上昇させて、そのポリマー溶融物を架橋する工程;(3)そのベース樹脂の部分的架橋を達成させるのに充分な滞留時間のあいだ、そのポリマー溶融物を溶融混合装置の中に保持する工程;(4)その架橋反応の間充分に高い剪断力を与えて、剪断および混合の間に、形成され砕かれたゲル粒子を、ポリマー溶融物の中に充分に分散された状態を保持する工程;(5)場合によっては、ポリマー溶融物から脱揮発分操作を行って、発生した揮発分をすべて除去する工程;および(6)場合によっては、架橋の後に追加の直鎖状のベース樹脂を添加して、最終樹脂におけるゲル含量を所望のレベルに到達させる工程。この高温反応溶融混合プロセスによって、極めて堅牢な架橋が得られて、実質的にミクロゲル(microgel)粒子だけを製造することが可能となり、また、このプロセスにおける高剪断によって、不適切なミクロゲルの生成が抑制され、ミクロゲル粒子を樹脂の中に均一に分散させることが可能となる。
一つの反応溶融混合プロセスは、たとえば、化学反応が、押出機などの溶融混合装置の中で溶融相の中にあるポリマーに作用を及ぼすようなプロセスである。トナー樹脂の調製においては、それらの反応を用いて、化学構造および分子量、ひいては、そのポリマーの溶融レオロジーおよび定着性能を変更する(modify)ことができる。反応溶融混合は、高粘度物質の場合には特に有効であり、溶媒を必要としない、従って環境的な(environmentally)調節が容易であるために有利である。所望のレベルの架橋が達成されたら、その反応生成物を反応チャンバーから速やかに取り出す。
非MICRトナーの中には、樹脂が、約40〜約98重量パーセント、または約70〜約98重量パーセントの量で存在する。この樹脂を、着色剤、電荷キャリア添加物、界面活性剤、乳化剤、顔料分散体、流動調節添加剤、破砕促進剤、その他と溶融ブレンドまたは混合することができる。このようにして得られた生成物を次いで、粉砕のような公知の方法で粉体化して、所望のトナー粒子を形成することができる。
<ワックス>
たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびパラフィンワックスなど、約1,000〜約10,000の低分子量Mを有するワックスを、定着剥離剤としてトナー組成物の中または上に含ませることができる。
<着色剤>
非MICRトナーの中には各種の色の各種の着色剤を存在させることができるが、好適な着色顔料、染料、およびそれらの混合物としては、以下のものを挙げることができる:リーガル330(REGAL 330,登録商標);(キャボット(Cabot))、アセチレンブラック、ランプブラック(Lamp Black)、アニリンブラック;マグネタイト、たとえばモーベイ(Mobay)マグネタイトMO8029(商標)、MO8060(商標);コロンビアン(Columbian)マグネタイト;マピコ・ブラックス(MAPICO BLACKS,商標)および表面処理マグネタイト;ファイザー(Pfizer)マグネタイトCB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標);バイエル(Bayer)マグネタイト、ベイフェロックス8600(BAYFERROX 8600,商標)、8610(商標);ノーザン・ピグメンツ(Northern Pigments)マグネタイト、NP−604(商標)、NP−608(商標);マグノックス(Magnox)マグネタイト、TMB−100(商標)、またはTMB−104(商標)など;シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブラウン、ブルーまたはそれらの混合物、たとえば特定のフタロシアニン、ヘリオゲンブルー(HELIOGEN BLUE)L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、パイラム・オイル・ブルー(PYLAM OIL BLUE,商標)、パイラム・オイル・イエロー(PYLAM OIL YELLOW,商標)、ポール・ウーリッヒ・アンド・カンパニー・インコーポレーテッド(Paul Uhlich & Company, Inc.)から入手可能なピグメント・ブルー・1(PIGMENT BLUE 1,商標)、ピグメント・バイオレット・1(PIGMENT VIOLET 1,商標)、ピグメント・レッド・48(PIGMENT RED 48,商標)、レモン・クローム・イエロー・DCC1026(LEMON CHROME YELLOW DCC 1026,商標)、E.D.トルイジン・レッド(E. D. TOLUIDINE RED,商標)および、オンタリオ州トロント(Toronto, Ontario)のドミニオン・カラー・コーポレーション・リミテッド(Dominion Color Corporation, Ltd)から入手可能なボン・レッド・C(BON RED C,商標)、ノバパーム・イエロー・FGL(NOVAPERM YELLOW FGL,商標)、ヘキスト(Hoechst)からのホスタパーム・ピンク・E(HOSTAPERM PINK E,商標)、およびイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. DuPont de Nemours & Company)からのチンクアジア・マゼンタ(CINQUASIA MAGENTA,商標)など。一般的に、選択することが可能な着色顔料および染料は、シアン、マゼンタ、またはイエローの顔料または染料、およびそれらの混合物である。選択することが可能なマゼンタの例としては、たとえば、カラーインデックスにおいてCI60710と分類される、2,9−ジメチル−置換キナクリドンおよびアントラキノン染料、CI・ディスパースド・レッド15、カラーインデックスにおいてCI26050として分類される、ジアゾ染料、CI・ソルベント・レッド19、などが挙げられる。その他の着色剤は、(ピグメント・レッド)PR81:2、CI45160:3のマゼンタ着色剤である。選択することが可能なシアンを説明する例としては、以下のものが挙げられる:銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、カラーインデックス中にCI74160として挙げられているx−銅フタロシアニン顔料、CIピグメント・ブルー、およびカラーインデックスにおいてCI69810に分類されるアントラセン・ブルー、スペシャルブルーX−2137など;一方で、選択することが可能なイエローを説明する例としては、以下のものが挙げられる:ジアリーリドイエロー・3,3−ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド、カラーインデックスにおいてCI12700に分類されるモノアゾ顔料、CI・ソルベント・イエロー16、カラーインデックスにおいてフォーラム・イエロー・SE/GLNに分類されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、CI・ディスパースド・イエロー33 2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジメトキシアセトアセトアニリド、およびパーマネント・イエロー・FGL、PY17、CI21105、ならびに公知の好適な染料、たとえば、レッド、ブルー、グリーン、ピグメント・ブルー15:3、C.I.74160、ピグメント・レッド81:3、C.I.45160:3、およびピグメントイエロー17C.I.21105、など(たとえば米国特許第5,556,727号を参照されたい)。
着色剤、より具体的には、ブラック、シアン、マゼンタおよび/またはイエロー着色剤は、そのトナーに所望の着色を与えるのに充分な量で組み入れる。一般に顔料または染料は、たとえばカラートナーに対しては約2〜約60重量パーセント、好ましくは約2〜約9重量パーセント、ブラックトナーに対しては約3〜約60重量パーセントの量で選択される。
<添加剤>
各種好適な表面添加剤を選択することができる。添加剤の例としては以下のものが挙げられる:表面処理ヒュームドシリカ、たとえばカボシル・コーポレーション(Cabosil Corporation)からの、粒径8ナノメートルでヘキサメチルジシラザンを用いて表面処理した、TS−530;デグサ/日本アエロジル・コーポレーション(DeGussa/Nippon Aerosil Corporation)から得られる、HMDSとアミノプロピルトリエトキシシランとの混合物でコーティングした、NA50HSシリカ;キャボット・コーポレーション(Cabot Corporation)から入手可能な、ヒュームドシリカ二酸化ケイ素コアL90をDTMSでコーティングしたものからなる、DTMSシリカ;ワッカー・ヘミー(Wacker Chemie)から入手可能な、アミノ官能化(amino functionalized)オルガノポリシロキサンを用いてコーティングした、H2050EP;TiOのような金属酸化物、たとえばテイカ(株)(Tayca Corp)からの、粒径16ナノメートルでデシルシランで表面処理されたMT−3103;テイカ(株)(Tayca Corporation)から入手可能な、DTMSでコーティングされた結晶性二酸化チタンコアMT500Bからなる、SMT5103;デグサ・ケミカルズ(Degussa Chemicals)からの、表面処理をしていないP−25;酸化アルミニウムのような代替の金属酸化物、ならびに潤滑剤としての、たとえば、ステアレートまたは長鎖アルコールたとえばユニリン・700(UNILIN 700、商標)など。一般に、シリカをトナー表面に付着させるのは、トナーの流動性、摩擦帯電の増強、混合の調節、現像および転写安定性の改良、より高いトナーブロッキング温度、などのためである。TiOを付着させるのは、相対湿度(RH)安定性の改良、摩擦帯電の調節および現像および転写安定性の改良などのためである。
より詳しくは、SiOおよびTiOは、たとえば透過型電子顕微鏡(TEM)によるか、またはガス吸着、つまりBET表面積の測定から(球状粒子と仮定して)計算された一次粒径が、約30ナノメートル以上、または少なくとも40ナノメートルである一次粒径を有しているべきである。TiOは、広い範囲の被覆面積(area coverage)およびジョブ走行長さにわたって現像および転写を維持するには、特に有用であることが見出された。より詳しくは、SiOおよびTiOは、たとえば、約140〜約200パーセントの理論表面積被覆率(surface area coverage、SAC)の範囲のトナーの全印刷面積を有するトナー表面に塗布するが、ここでその理論SAC(以後SACと呼ぶ)は、すべてのトナー粒子が球状であって、標準的なコールター・カウンター(Coulter Counter)法で測定したトナーの体積中央粒径に等しい直径を有しており、その添加剤粒子が、六方最密充填構造にあるトナー表面の上に一次粒子として分散されているとの仮定で計算されている。添加剤の量とサイズに関するまた別な測定基準は、シリカおよびチタニア粒子それぞれについての、「SAC×粒径」(表面積被覆率と添加剤の一次粒径(単位ナノメートル)の積)などであって、これに関しては、さらに詳しくは、すべての添加剤が、たとえば、約4,500〜約7,200の全SAC×粒径を有するであろう。チタニア粒子に対するシリカの比率は一般に、約50パーセントシリカ/50パーセントチタニア〜約85パーセントシリカ/15パーセントチタニアまでである(重量パーセント基準)。
好適なSiOとTiOの例としては、DTMS(デシルトリメトキシシラン)またはHMDS(ヘキサメチルジシラザン)を含む化合物を用いて表面処理したものが挙げられる。それらの添加剤の例としては、デグサ/日本アエロジル・コーポレーションから入手可能な、HMDSとアミノプロピルトリエトキシシランとの混合物でコーティングした、NA50HSシリカ;キャボット・コーポレーションから入手可能な、DTMSを用いてコーティングした、二酸化ケイ素コアL90のようなヒュームドシリカからなる、DTMSシリカ;ワッカー・ヘミー(Wacker Chemie)から入手可能な、アミノ官能化オルガノポリシロキサンを用いてコーティングした、H2050EP;およびテイカ(株)から入手可能な、DTMSでコーティングした、結晶性二酸化チタンコアMT500Bからなる、SMT5103などが挙げられる。
ステアリン酸カルシウムを、本発明の実施態様におけるトナーのための添加剤として選択することが可能であるが、ステアリン酸カルシウムは主として潤滑性を与える。さらに、ステアリン酸カルシウムは、現像剤に導電性と摩擦向上性とを与えることができるが、そのいずれも、潤滑性があるためである。さらに、ステアリン酸カルシウムがあると、トナーとキャリア粒子との間の接触数が増えるために、トナーの荷電および電荷の安定性を高くすることができる。好適な例は、純度が約85パーセントより高い、たとえば純度約85〜約100パーセント、たとえば85パーセント(12重量パーセント未満の酸化カルシウムおよび遊離脂肪酸、および3重量パーセント未満の水分含量)で、約7μmの平均粒子径を有する、市販されているステアリン酸カルシウムであって、これはオハイオ州クリーブランドのフェロ・コーポレーション(Ferro Corporation)から入手可能である。例としては、シンプロ(SYNPRO、登録商標)カルシウム・ステアレート・392Aおよびシンプロ・カルシウム・ステアレート・NF・ベジタブルである。また別な例は、純度が95パーセントを超え(酸化カルシウムおよび遊離脂肪酸が0.5重量パーセント未満、水分含量4.5重量パーセント未満)、そのステアリン酸塩は平均粒径が約2μmである市販のステアリン酸カルシウムであって、日本国東京の日本油脂(NOF Corporation)から入手可能である。いくつかの実施態様においては、トナーには、約0.1〜約5重量パーセントのチタニア、約0.1〜約8重量パーセントのシリカ、または約0.1〜約4重量パーセントのステアリン酸カルシウムが含まれている。
非MICRトナー組成物は、各種の公知の方法によって調製することが可能であって、たとえばトナー樹脂粒子、および顔料粒子または着色剤を溶融混合(melt blending)し、それに続けて機械的な摩砕を行う。その他の方法としては、当業者周知の、たとえば噴霧乾燥法、溶融分散法、分散重合法、懸濁重合法、押出し法、およびエマルション/アグリゲーションプロセスなどが挙げられる。
得られた非MICRトナー粒子を次いで、現像剤組成物の中に配合することができる。そのトナー粒子をキャリア粒子と混合して、二成分現像剤組成物とすることも可能である。
いくつかの実施態様においては、一次MICR印刷工程および定着工程の後で、二次MICR印字を実施するより前にコーティングを塗布することができる。いくつかの実施態様においては、MICRおよび非MICR印刷ならびに定着工程の後約50ミリ秒〜約120秒、または約1〜約100秒のタイミングで、二次MICR印字よりも前に、コーティングを塗布する。乾燥は、周囲空気を使用し、最小の加熱、たとえば約1〜約90℃、または約25〜約45℃、または約30〜約38℃で実施することができる。
本明細書において好適な小切手コーティング(check coatings)には水性コーティングが含まれる。その水性コーティングには、スチレン、アクリル樹脂、スチレン/アクリレート、およびそれらの混合物のようなポリマーを含むことができる。具体例としては、アクリルコポリマー水溶液たとえば、ロープレックス(RHOPLEX)HA−12、ロープレックス・1−2074(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から入手可能)、およびそれらの混合物が挙げられる。そのポリマーをコーティングの中に、約10〜約90重量パーセント、または約20〜約65重量パーセントの量で存在させる。
コーティングのその他の成分としては、水、および中和剤たとえば水酸化ナトリウム、アミノアルコールなど、またはそれらの混合物が挙げられる。水は、前記コーティング中に約40〜約60重量パーセントの量で存在させる。中和剤は、約1〜約5重量パーセント、または約2〜約3重量パーセントの量で存在させる。中和剤は、コーティング系のpHを7より高く上げて、ラテックスに安定性を与えることが可能な物質である。
その成分としてはさらに、ブタンジオン酸、1,4−ビス(2−エチルヘキシル)エステル、ナトリウム塩の混合物を含む、エア・プロダクツ(Air Products)からのサーフィノール(Surfynol)504;ペルフルオロブタンスルホネートを含む、スリーエム(3M)からのノベック(NOVEC)FC4432、などの界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられる。界面活性剤は、コーティングの中に、約0.1〜約5重量パーセント、または約0.5〜約1重量パーセントの量で存在させる。界面活性剤は、二液間の界面に集まって、それらの表面性質を変更させる、表面活性な薬剤である。
コーティングのその他の成分としては、粘度調整剤たとえば、アルカリ膨潤性架橋アクリル増粘剤(thickener(s))および結合性(associative)増粘剤などが挙げられる。粘度調整剤は、コーティングの中に、約1〜約10重量パーセント、または約1〜約5重量パーセントの量で存在させる。粘度調整剤は、物理的手段により、コーティング混合物の粘度を増加させることが可能な各種の化合物である。
コーティングの成分にはさらに、ワックスたとえばポリエチレンワックスまたはポリプロピレンワックスが含まれていてもよい。好適なワックスの具体例としては、ポリエチレンワックスたとえば、ジョンワックス(JONWAX)26(ジョンソン・ポリマー/BASF(Johnson Polymer/BASF)からの、融点約130℃、粒径50〜100nm、担持固形分約26%、pH約9.8のポリエチレンワックス)が挙げられる。そのワックスは、コーティング中に、約1〜約7重量パーセント、または約2〜約5重量パーセントの量で存在させる。
コーティングの成分にはさらに、凝集助剤、ポリグリコールエーテルたとえばブチルカルビトールおよびダウアノール(Dowanol)DPnB(ダウ(Dow)製)などを含有してもよい。
成分にはさらに、消泡剤たとえば、BYK・ヘミー(BYK Chemie)から入手可能なBYK−028(ポリマーとポリシロキサンの混合物)ならびにポリマーとポリアルキルシロキサンたとえばポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサンなどとの混合物を含有してもよい。消泡剤は、約0.01〜約5パーセント、または約0.1〜約1パーセントの量で存在させる。消泡剤は、コーティングの製造において使用して、加工工程または塗布の際のいずれにおいても発泡を抑制するための物質である。
そのコーティングは、約100〜約1,000ミリパスカル秒(センチポイズ)、または約120〜約600ミリパスカル秒(センチポイズ)の範囲の粘度、および約10〜約50mN/m(ダイン/cm)、または約22〜約30mN/m(ダイン/cm)の表面張力を有している。
そのコーティングは、現像、定着された小切手に、ロールコーター法、オフセットグラビア法、グラビア法、およびリバースロールコーティング法などの公知の方法によって、塗布することができる。いくつかの実施態様においては、現像、定着された小切手に、たとえば、ユークリッド・コーティング・システム・ラボ・コーター(Euclid Coating System lab coater)(ユークリッド・コーティング・システムズ(Euclid Coating Systems)製)のような、2本または3本ロールコーティングシステムによって被覆する。そのコーティングは、約10〜約100メートル/分、または約30〜約40メートル/分の速度で実施することができる。そのコーティングは、湿潤時厚みが、約1〜約10μm、または約1〜約5μm、乾燥時厚みが約0.5〜約5μm、または約1.5〜約2μmとなるように塗布することができる。次いでその小切手を、空気乾燥法、紫外線乾燥法、加熱乾燥法など、公知の方法を用いて乾燥させることができる。いくつかの実施態様においては、被覆された小切手を、約15.24〜約60.96m/分(約50〜約200フィート/分)、または約22.86〜約30.48m/分(約75〜約100フィート/分)の速度で移動しているフュージョン・UV・システム(Fusion UV System)のベルトの上に置き、UVランプ(約10〜約50、または約30〜約50℃に加熱)によって発生する熱を用いて乾燥させる。そのコーティングは、オイルで覆われ、定着されたトナー小切手の上に均質なコーティングを与えることを可能とするのに充分な濡れ性を備えている。
小切手の上にコーティングを施して乾燥させた後で、各種の二次MICR印字を実施することができる。MICR符号化を与えるには、公知のいかなるエンコーダーを使用してもよい。たとえば、リボンからインキを乾燥させたコーティングの上に配する磁気加熱転写リボンを使用している、NCR7766−1000エンコーダー(NCR・コーポレーション(NCR Corporation)から入手可能)が使用できる。
MICR印刷において有用なトナーとしては、一成分トナーおよび二成分トナーが挙げられる。MICRのためのトナーとしては、バインダと少なくとも1種の磁性材料とを含むものが挙げられる。場合によっては、トナーには、電荷調節剤のような表面処理剤、または流動性改良剤、ワックスのような剥離剤、着色剤、およびその他の添加剤が含まれていてよい。
以下の実施例は、説明を目的とするものであって、本発明の範囲を制限することは意図されていない。部およびパーセントは、特に断らない限り、重量基準である。
[実施例1]
−コーティング配合物の調製−
ロープレックスHA−12(RhoplexHA-12)とロープレックスI−2074とを合わせて、中程度の剪断(500RPM)で約30分間かけてブレンドした。界面活性剤(サーフィノール(SURFYNOL)504とノベック(NOVEC)FC4432の、90/10の比での予備ブレンド物)をそのラテックスエマルションに添加し、さらに30分間混合した。次いで、水および消泡剤のBYK−028を撹拌しながら添加し、30分間混合した。所定の時間が経過後、高剪断(700RPM)下でワックス(ジョンワックス(JONWAX)26)を添加し、さらに30分間混合させた。充分に混合してから、アクリゾール(ACRYSOL)ASE−60をその配合物に添加し、約30分間ブレンドさせておいた。所定の時間に達したら、その混合物にpHメータを挿入して、そのコーティングのpHをモニターした。これ(pHモニター)が必要なのは、アクリシオール(ACRSYOL)ASE−60が親水的に変性されたアルカリ膨潤性増粘剤(粘度調整剤)であって、pH依存性が強いからである。滴下法により水酸化ナトリウムを添加したが、そのpHは添加の間安定に保持させた。最終的にpHを約8.5に調整して、ラテックスを安定化させ、その調整剤の性能を充分に発揮させた。約30分間混合してから、最終的に添加したのはブチルカルビトールであったが、その際、中程度の混合(700RPM)を用いて添加した。次いでそのコーティングについて、粘度(337ミリパスカル秒(センチポイズ))および表面張力(24mN/m(ダイン/cm))を測定した。そのコーティング配合を以下の表1に示す。
Figure 0005155627
[実施例2]
−小切手の調製−
小切手の原紙(4024DP、24#、グリーン穴あきレター小切手(green perforated letter check))を、ゼロックス・コーポレーション(Xerox Corporation)からレギュラーパーツ(regular part)として購入した。ゼロックス(Xerox)内部定着システムにその小切手の原紙を通過させて、その原紙に、代表的なオイル量、たとえばオイル約8マイクロリットル/コピーでコーティングした。この時点で、その小切手の原紙を上述のようにして水性コーティング処理を行ったが、それには、その小切手をユークリッド・コーティング・システム・ラボ・コーター(Euclid Coating System lab coater)の中に約30メートル/分の速度で送給(feed)した。コーターの中の、140ライン/インチのロールによって、湿時約5μmまたは乾時約1.5〜約2μmのコーティング厚みが得られた。次いでその小切手を、約30.48m/分(約100フィート/分)の速度で移動しているフュージョン・UV・システムズ(Fusion UV Systems)のベルトの上に置き、UVランプによって発生する熱(約38℃)を用いて乾燥させた。これらの条件下においては、上述の配合物は充分な濡れを与えて、オイルが被覆され、定着トナー小切手の上に均一にコーティングすることができた。
[実施例3]
−トナー現像、定着、コーティング小切手のMICR符号化−
水性コーティングを乾燥させてから、二次印字を行わせる。これは、乾燥させたコーティングの上にインキをのせる(二次符号化)、磁気加熱転写リボン(MTTR)を使用したNCR7766−1000エンコーダーを用いて実施した。その後で、その完成した小切手について、GTX・クオリファイアー(GTX Qualifier)(小切手読取り機)にその小切手を通過させることによって、そのエンコーディング(encoding)の磁気信号強度を測定することによる試験を行った。一般的に言って、(メルカプトその他の)オイルを全く含まない小切手では、約98%±2%の信号強度が得られた。しかしながら、0.09%のアミノ官能化定着オイルを使用すると、信号強度は約56%±2%に低下した。潜在的に許容し得る解決策を示す、現行の基準は、約80%よりも高い信号強度である。上述の印刷、定着、コーティング、およびエンコーディングを、上述の水性コーティングを用いて実施したが、オイルの程度を1〜約5マイクロリットル/コピーとした場合、その磁気信号強度は、約98%(未記入の定着オイル無しの小切手の場合と実質的に同等)との測定結果が得られた。このように磁気信号強度が高いので、その結果として、現行の測定では30%である読取り機の棄却率をもっと低くすることになるであろう。

Claims (2)

  1. 2種の独立した静電潜像である、MICRおよび非MICRの静電磁気画像を形成するプロセスであって、
    (a)MICR印刷装置中で第一の静電潜像を形成する工程と、
    (b)前記第一の静電潜像をMICRトナーと接触させることによって前記第一の静電潜像を現像し、現像したMICRトナー画像を生成する工程と、
    (c)前記現像したMICRトナー画像を小切手の第一の表面上に転写する工程と、
    (d)非MICR印刷装置において第二の静電潜像を形成する工程と、
    (e)前記第二の静電潜像を非MICRトナーと接触させることによって前記第二の静電潜像を現像し、現像した非MICR画像を生成する工程と、
    (f)前記非MICRトナー画像を前記小切手の第一の表面に転写する工程と、
    (g)前記MICRトナー画像および前記非MICRトナー画像を前記小切手の第一の表面に定着させる工程であって、定着の間、定着オイルを前記小切手に供給する工程と、
    (h)ポリマーおよび界面活性剤を含む水性コーティングを用いてフィルム層を形成して前記小切手の第一の表面とフィルム層との間の前記定着オイルをシールする工程であって、前記小切手の第一の表面が、現像し、定着させたMICRトナー画像および非MICRトナー画像を有する工程と、
    を含み、
    前記ポリマーがアクリルポリマーブレンド物であり、
    前記界面活性剤が、フルオロ界面活性剤と、ブタンジオン酸と、1,4−ビス(2−エチルヘキシル)エステルのナトリウム塩と、を含む、プロセス。
  2. 前記コーティングが中和剤をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
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