本発明は、水の経時的汚染のおそれが少ない場合や電極の洗浄直後でない場合には、電解水を取水した後であっても捨水することなく、できるだけ早く浄水を供給することのできる整水器を提供するものである。
具体的には、原水中の不純物を除去した浄水と、この浄水又は原水を電気分解して得たアルカリ性又は酸性の液性からなる電解水と、を入力された生成信号に応じて選択的に生成する水処理部と、水処理部にて生成した水を吐出する吐水部と、使用者に対し、吐出した水の性状に応じた報知を行う報知部と、水処理部に配設した電極への電圧印加及び報知部による報知を制御する制御部と、を備えた整水器において、制御部は、電解水の吐出中又は吐出後に浄水の生成信号が入力された場合、報知部による報知を行わせるとともに、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧とは逆の極性の電圧(以下、「逆極性電圧」ともいう。)を電極に印加させることを特徴とする整水器を提供するものである。
このような構成とすることにより、例えば使用者が、電解水を取水した後に浄水を取水する場合、吐水管路中に電解水が残留していても、浄水の生成を指示した直後からコップなどの容器に貯留しながら取水することにより、残留している電解水とは逆の液性を有する浄水(以下、「逆液性浄水」ともいう。)と混和させて、中和した浄水(以下、「中和浄水」ともいう。)を生成することができる。
すなわち、上記構成を有する整水器によれば、吐水管路中の電解水と、逆液性浄水とで中和して中和浄水を生成でき、電解水を取水した後であっても、吐水管路に残留する電解水を捨水することなく、できるだけ早く使用者に浄水を提供することができる。
なお、本明細書において「液性」とは、酸性、中性、アルカリ性のいずれかであることを意味すると共に、「中性」とは、pHが6.5〜8.5の範囲内にあることを意味するものである。また、「中和浄水」は、中和することによってpHが6.5〜8.5の範囲内となった浄水のことをいう。
本実施形態に係る整水器において、制御部は、最後に取水した電解水の液性の強弱に応じて、逆の極性の電圧の電圧値及び/又は印加時間を決定するようにしても良い。
このような構成とすることにより、より正確に中和された中和浄水を生成することができ、電解水を取水した後であっても捨水することなく、できるだけ早く浄水を吐出させることができる。
また、制御部は、水処理部に配設した電極へ電圧印加を行うに際し、電解水の液性の強弱と、逆の極性の電圧の電圧値及び/又は印加時間とを対応付けた相関情報を参照することとしても良い。
このような構成とすることにより、相関情報に基づいて電極へ電圧印加を行うことができ、より正確に中和された中和浄水を生成することができる。
また、電解水の液性の強弱と、逆の極性の電圧の電圧値及び/又は印加時間とを不連続的に対応付けた相関テーブルを相関情報とするようにしても良い。
このような構成とすることにより、電解水の液性の強弱と、逆の極性の電圧の電圧値及び/又は印加時間とを容易に対応付けすることができ、この相関テーブルに基づいて電極へ電圧印加を行い、より正確に中和された中和浄水を生成することができる。
また、制御部は、逆極性電圧(最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧とは逆の極性の電圧)を電極に印加させて、吐出された水の水素イオンの終濃度を中性領域とする中和浄水を生成し、終濃度が中性領域となった後、電圧の印加を停止して中和浄水から通常浄水の生成に切り替えるとともに、報知部による報知を、中和浄水を生成中であることを示す第1の報知から、通常浄水の生成であることを示す第2の報知に切り替えることとしても良い。
このような構成とすることにより、使用者に対し中和浄水を吐水中であることを報知できるとともに、電解水を使用しない通常の浄水が吐出されることを報知することができる。
以下、本実施形態に係る整水器の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る整水器1の模式的説明図、図2は同整水器1の斜視図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る整水器1は、ケース本体である箱型のケーシング10中に、原水中の不純物を除去して浄化するカートリッジタイプとした浄水槽20を具備する浄水部2と、浄水部2を経た水の量を計測する流量センサCと、浄化された水に食塩やカルシウムを添加する添加剤混入部50と、浄化された原水を電気分解する電解部3とを備えており、浄水や酸性水、アルカリ性水を取水管19bの吐出口19cから取出し可能な水処理流路を形成している。なお、図1中、11aは水道蛇口、11bは水道蛇口11aの下流側に設けた分岐栓であり、この分岐栓11bのレバー11cを操作することにより、原水である水道水を整水器1側に通水するか、あるいは直接取水するかを使用者により選択可能としている。
ここでは、まず、本実施形態に係る整水器1の全体的な構成について、水の流れに沿って具体的に説明する。
レバー11cが整水器1側に切り替えられている状態において、使用者が水道蛇口11aを操作して整水器1側へ供給された原水は、まず、導水管11及び導水口19aを経て浄水部2に至る。
浄水部2は、原水中に含まれる微細な不純物等を除去することにより浄水を生成する役割を果たすものであり、上側カートリッジ20aと下側カートリッジ20bとからなる浄水槽20にて構成されている。なお、上側カートリッジ20aや下側カートリッジ20b内には中空糸膜や活性炭などが収納されており、劣化の度合い等に応じてそれぞれ個別に取替え可能としている。
浄水部2に供給された原水は、浄水となって流量センサCに至る。
流量センサCは制御部7に電気的に接続されており、浄水部2にて浄化された浄水の流量を計測して制御部7にその情報を送信する役割を果たす。
流量センサCを通過した浄水は、同浄水中にカルシウム分や塩分を添加する添加剤混入部50に至る。
添加剤混入部50は、添加剤混入部50に流入する浄水の流路を2方向へ選択的に切り替える流路切換弁80と、同流路切換弁80より延出する一方の分岐配管に接続したカルシウム添加部8と、前記流路切換弁80より延出する他方の分岐配管に接続した食塩添加部9と、食塩添加部9から延出させた出口配管とカルシウム添加部8から延出させた出口配管とが合流する合流配管部60と、食塩添加部9と合流配管部60との間の出口配管の中途部に介設された逆止弁70とで構成している。
流路切換弁80は、流量センサCを通過してきた水の流路を、カルシウム添加部8側か、又は食塩添加部9側に切り替える役割を果たす。具体的には、使用者が流路切換弁80の上部に備えられた二方向切換スイッチ81を操作することにより、流路をいずれかの方向へ切り替えることができる。
また、この流路切換弁80は制御部7に電気的に接続されており、使用者が二方向切換スイッチ81を操作して選択した流路を、制御部7において検知可能としている。
カルシウム添加部8は、後述する主電解槽30に供給する原水中にカルシウムを供給可能とするものであり、内部にカルシウム溶出用の製剤(例えば、貝殻焼成カルシウム製剤や、珊瑚由来のカルシウム製剤)が収容されている。
食塩添加部9は、主電解槽30に供給する原水中に食塩を供給可能とするものであり、食塩添加部9内に食塩を収容しておくことにより、食塩添加部9を通過する水中に食塩を所定量ずつ溶解できるよう構成している。
逆止弁70は、使用者が流路切換弁80を操作して、添加剤混入部50内の流路をカルシウム添加部8に選択した際に、カルシウム添加部8を通過した水が、食塩添加部9側へ逆流するのを防止するための弁である。すなわち、食塩は電解部3での電解を促進するために添加されるものであるが、使用者が電解を要しない水(浄水)を所望する際に、逆流が生じて浄水中に食塩が混入されてしまうのを防止する役割を果たす。
添加剤混入部50を通過した浄水は、電解部3へ流入する。電解部3は、浄水を電気分解する第1の電解部である主電解槽30と、この主電解槽30の第2電極室34で生成したアルカリ性水の溶存水素濃度を高める第2の電解部である副電解槽40とで構成している。この主電解槽30と、副電解槽40とは、極性の異なる一対の電極が対向配置され、水を電気分解してアルカリ性水や酸性水を生成する電解槽として機能するものである。
主電解槽30は、図1に示すように、本実施形態においてアルカリ性水を吐出させる際に陽極側となり、酸性水を吐出させる際に陰極側となる第1電極31を配設した第1電極室32と、アルカリ性水を吐出させる際に陰極側となり、酸性水を吐出させる際に陽極側となる第2電極33を配設した第2電極室34とに隔膜35を介して区画形成している。なお、本実施形態では、主電解槽30の内部に、第2電極室34と第1電極室32とをそれぞれ2つずつ設けているが、特にこれに限定されるものではない。
また、第1電極室32の下流側端部には、第1取水口39aが形成されており、副電解槽40へ送水するための配管を接続している。同様に、第2電極室34の下流側端部にも、第2取水口39bが形成されており、副電解槽40へ送水するための配管を接続している。
副電解槽40は、生成するアルカリ性水中の溶存水素濃度を高める役割を担うものであり、内部には電気化学セル43を介して、互いに扁平な空間である第3電極室44と第4電極室45とが区画形成されている。
第3電極室44の上流側端部には、第1入水口41aが形成されており、主電解槽30の第1取水口39aより延出する配管を接続して、第1電極室32を経た水を第3電極室44へ流入できるようにしている。
同様に、第4電極室45の上流側端部にも、第2入水口41bが形成されており、主電解槽30の第2取水口39bより延出する配管を接続して、第2電極室34を経た水を第4電極室45へ流入できるようにしている。
また、第3電極室44の下流側端部には、第1出水口42aが形成されており、同第1出水口42aには、ケーシング10の下方へ伸延させた排水管12bを延設している。
この排水管12bには、第1電極室32及び第2電極室34の上流側端部より延出した水抜管12aが連結されており、原水の供給が停止した際には、電解部3内に滞留する水を排出口51より排出できるようにしている。なお符号72は、同水抜管12aの中途部に設けられ、排水管12bから水抜管12aの方向への水の流入を防止する逆止弁である。
また、排水管12bの排出口51近傍には、制御部7と電気的に接続した電磁バルブ71を配設しており、水の排出を制御可能としている。この電磁バルブ71は、電解槽30,40に連通連結した排出流路の中途に設けられ、後述の制御部7からの指令に応じて開閉動作する弁装置として機能する。
一方、第4電極室45の下流側端部には、第2出水口42bが形成されており、同第2出水口42bには取水管19bを延出し、その先端部の吐出口19cより浄水や電解水、すなわち、酸性水やアルカリ性水を取水できるようにしている。
なお、本実施形態に係る整水器における「吐水管路」とは、電解部3から取水管19bの吐出口19cまでのことを言い、約100mlの容積を有している。
したがって、水道蛇口11aを閉じた状態において、最後に吐水させた電解水が吐水管路中に残留しているとした場合、再度水道蛇口11aを開いて浄水を電解部3へ100ml供給した時点で、残留していた電解水のほぼ全てが配管流路中から追い出されて吐水されることとなる。
上述してきたように、添加剤混入部50から主電解槽30に送られた浄水は電気分解されて酸性水とアルカリ性水とが生成されるが、例えばアルカリ性水を吐出口19cより取水するとした場合、主電解槽30の第1電極室32で生成された酸性水は、第1取水口39a→第1入水口41a→第3電極室44→第1出水口42a→排水管12b→排出口51と流れ、一方、主電解槽30の第2電極室34で生成されたアルカリ性水は第2取水口39b→第2入水口41b→第4電極室45→第2出水口42b→取水管19b→吐出口19cと流れて流出する。
このとき、副電解槽40の電気化学セル43に通電することにより、副電解槽40の第3電極室44内では酸性水が電気分解され、反応式(1)で示すように、酸素と水素が発生し、イオン交換膜43aを介して水素イオンが第4電極室45へと通過して、連続的に生成されるアルカリ性水中の溶存水素濃度を高めることができる。なお、この副電解槽40での電気分解では、主電解槽30での電気分解の電流値が4Aであったのに対し、0.5A程度でよい。
反応式(1)・・・2H2O→4H++4e-+O2
また、本実施形態に係る整水器1では、主電解槽30と副電解槽40とを制御部7を介してそれぞれ個別に制御可能としている。具体的には、主電解槽30に配設した第1電極31及び第2電極33、副電解槽40に配設した後述する電気化学セル43への通電を制御するようにしており、例えば、(1)主電解槽30及び副電解槽40への通電が両方ともON、(2)両方ともOFF、(3)主電解槽30がON、副電解槽40がOFF、(4)主電解槽30がOFF、副電解槽40がON、などの制御も自由に行え、所望する性状の水を得ることが可能となっている。また、電流値についても個別に制御可能とし、アルカリ性水のpHを例えば8〜10の範囲で変更したり、溶存水素濃度の値を変更したりすることもできる。
上記の構成により、アルカリ性水と酸性水、さらに主電解槽30への通電を止めることで中性水、すなわち浄水についてもそれぞれ浄化した状態で共通の主吐出口19cから取水することができる。ところで、酸性水を前記吐出口19cから取水するときは、主電解槽30の両電極31,33の極性を反転させている。このように、必要な性状の水を共通の吐出口19cから選択的に取り出せるので使い勝手がよい。
この整水器1で各種性状の水を取水するための操作及び各種設定は、図2に示すように、ケーシング10の側面に設けた操作パネルPの各操作ボタンB1〜B10により制御部7を介して実行できる。
図示するように、操作パネルP上には、その上部中央に液晶表示装置からなる表示部Dを設け、その右上に電源ボタンB1を配設するとともに、前記表示部Dの下方位置にはORP表示ボタンB2と通水量表示ボタンB3とを横並びに配設している。
ここでORPとは酸化還元電位と呼ばれるもので、酸化、還元する強さをmV(ミリボルト)の単位で数値化しており、プラス数値が大きいほど酸化能力が大きく、マイナス数値が大きいほど還元能力が大きい。したがって、この数値により酸性水、アルカリ性水の性状強さを確認でき、ここでは前記ORP表示ボタンB2を押すと現在のORP値が前記表示部Dにデジタル表示されるようにしている。
また、前記通水量表示ボタンB3を押すと、現在の整水器1内への原水通水量が前記表示部Dにデジタル表示される。そして、この通水量表示ボタンB3の下方には、縦一列に強アルカリ性水ボタンB4、アルカリ性水ボタンB5〜B7、浄水ボタンB8、酸性水ボタンB9を配設している。アルカリ性水は、用途に応じて3段階で選択可能としており、飲用可能な程度にアルカリ性がやや強めのアルカリ性水(以下、アルカリ1水という)の生成を指示するアルカリ1ボタンB5、飲用可能な程度でアルカリ性が中程度のアルカリ性水(以下、アルカリ2水という)の生成を指示するアルカリ2ボタンB6、飲用可能な程度でアルカリ性が弱いアルカリ性水(以下、アルカリ3水という)の生成を指示するアルカリ3ボタンB7が配設されている。なお、上述してきた「電解水」は、本実施形態において、強アルカリ性水、アルカリ1水、アルカリ2水、アルカリ3水、酸性水を総称したものである。また、図中、L1は衛生水ランプ、L2は洗浄中ランプ、L3はすすぎランプ、L4,L5は浄水部2のカートリッジ寿命設定ボタン及びランプ、L6,L7は浄水部2のカートリッジ交換ランプ、L8は温度上昇警告ランプ、B10はカートリッジ交換リセットボタンである。
このような構成により、使用者は、カルシウムが添加され、かつ溶存水素量の増加した健康に良いとされるアルカリ性水を取水できる状態で通常使用しながら、必要に応じて二方向切換スイッチ81による簡単な操作で原水に食塩を混入させて電解度合いを高め、この状態で前記酸性水ボタンB9や強アルカリ性水ボタンB4を操作して、衛生水などに用いられる強酸性水や、各種洗浄水などに用いることのできる強アルカリ性水の取水ができる。
すなわち、本実施例に係る整水器1によれば、溶存水素濃度を高めたアルカリ性水を容易に連続的に取水することができ、しかも、電解部3の主電解槽30と副電解槽40への通電を個別に制御できるようにしているので、溶存水素濃度の高いアルカリ性水、通常のアルカリ性水、溶存水素濃度の高い中性水(浄水を含む)、通常の中性水、さらにはアルカリ性水についても所定範囲内における所望するpHにするなどが可能となり、通常の飲用、乳児の飲用(ミルクを作る場合など)、服薬時、料理用、その他用途に応じた多様な性状の水を得ることができる。また、酸性水については、洗顔用や洗浄用に用いることができる。
なお、水処理部とは、本実施形態において浄水部2、流量センサC、添加剤混入部50、電解部3を含めた部分であり、吐水部とは、取水管19b及びその先端部の吐出口19cのことをいう。
〔整水器の電気的構成〕
次に、整水器1の電気的構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る整水器1の電気的構成を示したブロック図である。
図3にも示すように、整水器1は、浄水の電解を行う主回路部100と、同主回路部100の通電を制御する制御部7と、前述の電磁バルブ71、流量センサC、表示部D、各キーB1〜B10、各ランプL1〜L8とを備えている。
主回路部100は、交流の商用電源を入力する電源部101と、入力された電力により浄水の電解を行う電極部104とが接続されており、その中途部には、電源部101と電極部104との間の通電のON/OFFを行う電解リレー103が介設されている。また、電源部101と電解リレー103との間には、入力される電力のゼロクロスを検出するゼロクロス検出部102が並列的に接続されている。なお、ゼロクロスとは、交流である商用電源の極性が反転する時に、0V近傍を通過するタイミングである。
電源部101は、例えば家庭用コンセント等から電力を入力するプラグに該当する部位であり、AC100Vの電力が入力される。
ゼロクロス検出部102は、制御部7との間で前述のゼロクロス検出信号等を行う部位である。
電解リレー103は、制御部7からの指示により電源部101と電極部104との間で通電のON/OFFを行うためのリレーであり、制御部7からの通電信号を受信可能に接続している。この電解リレー103は、制御部7によりパルス幅制御がなされており、電極部104に電圧を印加する時間を調整して電解の度合いを変更可能としている。
また、電解リレー103は、CPU110の指示により、第1電極31と第2電極33とに印加する電圧の極性を変更する。
すなわち、第1電極31を陽電極とする一方、第2電極33を陰電極としてアルカリ性水を吐出可能としたり、反対に、第1電極31を陰電極とする一方、第2電極33を陽電極として酸性水を吐出可能とする。なお、以下の説明において、第1電極31を陽電極とし、第2電極を陰電極とする電圧の印加状態を「アルカリ印加」といい、第1電極31を陰電極とし、第2電極を陽電極とする電圧の印加状態を「酸印加」という。
電極部104は、電解リレー103がON状態の際に供給される電力の電圧を変圧し、電解部3内に配設されている電極に通電して浄水を電解する部位である。
一方、制御部7は、流量センサCによる検出信号とゼロクロス検出部102によるゼロクロス検出信号とに基づいて電極部104への通電を制御する部位であり、CPU110と、ROM111と、RAM112と、RTC115と、周辺機器用インターフェース113とを備え、システムバス114を介して相互に接続されている。
ROM111には、CPU110で実行されることにより、後述するフローチャートに従った処理を実現するためのプログラムや、捨水量定義テーブル(図4参照)、電解電圧値テーブル(図5参照)、逆液性浄水係数テーブル(図6参照)が記憶されている。
捨水量定義テーブルは、後述するフローにおいて、CPU110が参照することにより、捨水を行うか否かを判断や、捨水する際の捨水量を決定や、逆液性浄水の生成を判断するために用いられるものである。
この捨水量定義テーブルには、前回取水した水の種別とこれから取水する水の種別とを対応付けた状態で捨水量又は逆液性浄水の生成が定義されており、また、前回の取水からの経過時間や逆電解処理を行ったか否かに応じた場合分けがなされている。
具体的に説明すると、図4に示すように、次のような定義がなされている。
電極洗浄後に再取水する場合には、最後に取水した水の種別にかかわらず、所定量(本実施形態では0.3L)捨水する(以下、条件X1という。)。この条件X1は、洗浄後の電極や電極部104内部を、取水する水でリンスするためのものである。
最後の取水(以下、止水後ともいう。)から30分以上8時間未満の時間が経過した後に再び取水する場合には、最後に取水した水の種別にかかわらず、所定量(本実施形態では0.3L)捨水する(以下、条件X2という。)。この条件X2は、電極部104内部や配管中の洗浄を行うためのものである。
止水後8時間以上の時間が経過した後に再び取水する場合には、最後に取水した水の種別にかかわらず、所定量(本実施形態では1.0L)捨水する(以下、条件X3という。)。この条件X3は、条件X2よりも更に長時間経過している場合に、電極部104内部や配管中の洗浄をより確実行うためのものである。換言すれば、条件X2は、条件X3に比して経時的な汚染のおそれが低く、簡易な洗浄でよいことから、捨水量を減らしている。
強アルカリ性水又は酸性水を取水し、止水後0秒以上30秒未満の時間が経過した場合(通水したたまモード変更した場合も含む)や、逆電待機中で止水後1秒以上30分未満の時間が経過した場合において、アルカリ1〜3水を取水する際には、所定量(本実施形態では0.3L)捨水する(以下、条件X4という。)。この条件X4は、電極部104内部や配管中に残存している飲用に適さない強アルカリ性水又は酸性水を、吐出口19cから完全に捨水し、アルカリ1〜3水が吐出される状態とするためのものである。換言すれば、電極部104内部や配管中に残存している飲用に適さない強アルカリ性水又は酸性水を、飲用に適するアルカリ1〜3水で置換するためのものである。
また、この捨水量定義テーブルには、捨水を可及的低減させるべく、以下のように定義されている。
逆電未待機で止水後30秒以上、30分未満の時間が経過した後に再び取水する場合には、最後に取水した水の種別にかかわらず、捨水しない(以下、条件Y1という。)。すなわち、警報表示制御手段は、止水後に再取水する場合、滞留排水手段によって電解槽内の排水が完了しており、かつ予め定められた設定時間内であれば、捨水警報表示手段による警報表示を行わないようにしている。この条件Y1は、電極部104内部や配管中に最後に取水した水が残存していない場合には、最後に取水した水が混入するおそれがなく、捨水の必要がないため、捨水しないこととしたものである。
アルカリ1〜3水又は浄水を取水後、再びアルカリ1〜3水を取水する場合には、逆電待機中であるか否かにかかわらず、止水後30分未満(通水したたまモード変更した場合も含む)であれば捨水しない(以下、条件Y2という。)。この条件Y2は、アルカリ1水、アルカリ2水、アルカリ3水のそれぞれのアルカリ度合いは異なるものの、いずれも飲用に適したアルカリ水であることに相違はなく、また、止水後30分未満であれば経時的な汚染のおそれもないため、捨水を可及的低減させるべく、捨水しないこととしたものである。
浄水を取水し、止水後0秒以上30秒未満の時間が経過した場合(通水したたまモード変更した場合も含む)や、逆電待機中で止水後1秒以上30分未満の時間が経過した場合において、再び浄水を取水する際には、捨水しない(以下、条件Y3という。)。この条件Y3は、電極部104内部や配管中に残存している水は浄水であり、再取水する浄水に混入しても問題はなく、また、止水後30分未満であれば経時的な汚染のおそれもないため、捨水を可及的低減させるべく、捨水しないこととしたものである。
止水後0秒以上30秒未満の時間が経過した場合(通水したたまモード変更した場合も含む)や、逆電待機中で止水後1秒以上30分未満の時間が経過した場合において、強アルカリ性水又は酸性水を取水する際には、最後に取水した水の種別にかかわらず捨水しない(以下、条件Y4という。)。この条件Y4は、飲用に適さない水を取水する場合には、飲用に適する水を取水する場合に比して、さほど高精度な純度を要求されることは少ないため、種別の異なる水の多少の混入を容認し、捨水を可及的低減させるべく、捨水しないこととしたものである。
さらに、この捨水量定義テーブルの特徴的な点として、電解水を取水した後であっても捨水することなく、使用者にできるだけ早く浄水を供給可能とするために、以下のように定義されている。
強アルカリ性水、アルカリ1〜3水、酸性水のいずれかを取水し、止水後0秒以上30秒未満の時間が経過した場合(通水したたまモード変更した場合も含む)や、逆電待機中で止水後1秒以上30分未満の時間が経過した場合において、浄水を取水する際には、逆液性浄水の生成を行う(以下、条件Z1という。)。この条件Z1は、使用者が取水する際に、吐水管路中に存在する電解水と逆液性浄水とをコップ等の容器内で混合させることにより中和浄水を生成可能するものである。
なお、図4に示した捨水量定義テーブル中の捨水量や時間条件は一例であり、整水器1の仕様等に応じて適宜変更可能であることは言うまでもない。
電解電圧値テーブルは、図5にも示すように、使用者により選択された水の種別と、その種別の水を生成する際に水に印加する電圧値及び印加状態が対応付けされたものであり、例えば、アルカリ1水を生成する場合には、電解部3にV2〔V〕の電圧をアルカリ印加する等の情報がある。
逆液性浄水係数テーブルは、逆液性浄水を生成するにあたり水に印加する電圧を決定するものであり、最後に取水した電解水の種別と、逆液性浄水生成電圧値を算出するにあたり必要となる係数及び加算値と、電圧の印加状態との情報がある。すなわち、逆液性浄水係数テーブルは、最後に取水した電解水の液性の強弱に応じて、前記逆の極性の電圧の電圧値決定するテーブルである。
具体的には、逆液性浄水を生成するために水に印加する電圧は、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧に係数を乗じ、加算値を加えた値となる。
例えば、最後に吐出させた電解水がアルカリ2水である場合には、アルカリ2水に対応する逆液性浄水を生成するために水に印加する電圧は、V3×1.8+0〔V〕となり、また、最後に吐出させた電解水が強アルカリ性水である場合には、逆液性浄水を生成するために水に印加する電圧は、V1×0+0.9〔V〕となる。
また、その際に印加する電圧の極性は、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧とは逆の極性、すなわち、アルカリ2水はアルカリ印加で生成するので逆液性浄水の生成時には酸印加を行い、酸性水は酸印加で生成するので逆液性浄水の生成時にはアルカリ印加を行う。
なお、この図6に示す逆液性浄水係数テーブルによれば、強アルカリ性水に対応する逆液性浄水の生成に要する電圧値は、強アルカリ性水を生成する際に要した電圧値にかかわらず一定値(すなわち、0.9〔V〕)となるようにしており、また、その他の値は、係数を乗じることで一次関数的に変化する値としているが、これに限定されるものではなく、適宜決定するようにしても良い。
また、本実施形態では、逆液性浄水生成電圧値を決定するために、値が離散的なテーブルとしたが、最後に取水した電解水の種別と、逆液性浄水を生成するための電圧及び極性とを対応付けるものであれば特に限定されず、例えば、電解水の種別と逆液性浄水生成電圧値との対応が連続的な演算情報(例えば、相関式)としても良い。
また、本実施形態では、逆液性浄水を生成するにあたり、係数や加算値を情報とする逆液性浄水係数テーブルを用いることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、電圧値は一定として、印加時間を情報として備えた相関情報(演算情報)を用い、印加時間の長短により最後に取水した電解水の液性の強弱に応じて逆液性浄水を生成するようにしても良い。
整水器1の電気的構成の説明に戻ると、RAM112は、ROM111に記憶されているプログラムをCPU110が実行する際に参照する各種フラグなどを記憶しておく一時記憶領域として機能する。このRAM112に記憶されるフラグとしては、例えば、逆電解の待機中であるか否かを示す逆電解待機フラグや、駆動信号を出力するか否かを示す駆動信号フラグや、電解リレーを作動させるか否かを示す電解リレーフラグや、電磁バルブを開放するか否かを示す電磁バルブ開放フラグや、捨水が終了したか否かを示す捨水終了フラグや、スリープモード中であるか否かを示すスリープモードフラグや、逆液性浄水の生成を終えたか否かを示す逆液性浄水生成終了フラグや、中和浄水の生成を終えたか否かを示す中和浄水生成終了フラグが挙げられる。また、これらのフラグ以外にも、例えば各キーB1〜B10からの入力を記憶するためのフラグなども記憶されている。なお、これらの各フラグのプログラム中での実際の取扱いについては、図7〜図13に示すフローを用いて後に詳述する。
符号115で示すRTC(Real Time Clock)は、後述のシステムタイマ割込処理を実行するための基準となるクロックパルスを発生させるためのものである。CPU110は、メイン処理を実行している状態であっても、このRTC115から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて、メイン処理を中断させ、システムタイマ割込処理を実行する場合がある。また、このRTC115は、最後に取水してから経過した時間を計測し、逐次RAM112に記憶させる機能も有している。
周辺機器用インターフェース113は、制御部7に接続された周辺機器類の動作制御や信号の送受信を担うものであり、この周辺機器用インターフェース113には、前述のゼロクロス検出部102や、電解リレー103、電磁バルブ71、流量センサC、表示部D、各キーB1〜B10、各ランプL1〜L8がそれぞれ接続されている。
電磁バルブ71は、CPU110からの指示に基づいて開閉動作を行うバルブである。
流量センサCは、浄水が配管中を流れているか否かを検出したり、流れる浄水の量を制御部7へ送信する役割を果たすものである。なお、流量センサCが送信した信号は、周辺機器用インターフェース113を介してRAM112上の所定アドレスに、流量の有無や、取水された水の各種別の積算水量として記憶されることとなる。
表示部Dは、制御部7からの情報を使用者に対して表示する役割を果たす。この表示部Dは、所定時間捨水させることを促す捨水警報や、中和浄水を生成中であることを示す第1の報知としての中和浄水報知や、通常浄水の生成であることを示す第2の報知としての通常浄水報知など、吐出した水の性状に応じた報知を行う報知部として機能するものである。また、制御部7は、後述のフローを実行することにより、電解水の吐出中又は吐出後に浄水の生成信号が入力された場合、報知部である表示部Dに報知を制御する。
各キーB1〜B10は、前述のようにそれぞれの機能を実現するためのスイッチであり、周辺機器用インターフェース113は各キーB1〜B10からの入力を検知すると、RAM112に所定のフラグを立てることで、CPU110がいずれのキーが押下されたかを認識できるようにしている。特に、ボタンB4〜B9からの入力は、浄水や電解水の生成信号となる。
各ランプL1〜L8は、前述のようにそれぞれの状態を表示するためのランプであり、CPU110の指示に基づいて、周辺機器用インターフェース113を介することにより点灯又は消灯を行う。
〔制御部の処理フロー〕
次に、整水器1における制御部7での処理について、図7〜図13を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る整水器1のメイン処理を示したフローチャートであり、図8は、システムタイマ割込処理の動作を示すフローチャートであり、図9〜図11及び図13は図7のメイン処理から分岐するサブ処理の動作を示すフローチャートであり、図12は、図11の浄水生成処理から分岐するサブ処理の動作を示すフローチャートである。
まずは、図7を用いてメインフローについて説明する。制御部7のCPU110は、まず、RAM112のアクセス許可、作業領域を初期化等の初期設定処理を実行する(ステップS10)。
また、この際、CPU110は、RAM112の逆電解待機フラグの値を「0:逆電解未待機」、駆動信号フラグの値を「0:駆動信号停止」、電解リレーフラグの値を「0:電解リレー作動停止」、電磁バルブ開放フラグの値を「0:バルブ閉塞」、捨水終了フラグの値を「0:捨水終了前」、スリープモードフラグの値を「0:スリープモードではない」、逆液性浄水生成終了フラグの値を「0:逆液性浄水生成未終了」、中和浄水生成終了フラグの値を「0:中和浄水生成未終了」に設定すると共に、各キーB1〜B10の入力を示すフラグの値の初期化を行う。
次にCPU110は、RAM112を参照し、流量センサCの設置部位に通水がある否かについて判断を行う(ステップS11)。
ここで、通水がないと判断した場合(ステップS11:No)には、CPU110は、処理をステップS12へ移す。
ステップS12においてCPU110は、RAM112を参照しスリープモードフラグの値が「1:スリープモード中」であるか否かについて判断を行う。ここで、スリープモードフラグの値が「1」ではないと判断した場合(ステップS12:No)には、CPU110は処理をステップS13へ移す。一方、スリープモードフラグの値が「1」であると判断した場合(ステップS12:Yes)には、整水器1は現在スリープモード中、すなわち待機時であるとして処理を再びステップS11へ戻す。
ステップS13では、電極の極性を反転させて所定時間電圧を印加することにより、電極に付着したスケールの除去を行う逆電解処理を実行すべきか否かの判断等を行う逆電解確認処理を実行する。この逆電解確認処理は、後に図9を用いて説明する。
その後、CPU110は、止水時確認処理を実行する(ステップS14)。この止水時確認処理についても、後に図10を用いて説明する。この止水時確認処理を終えると、CPU110は、処理を再びステップS11へ戻す。
一方、ステップS11において、通水があると判断した場合(ステップS11:Yes)には、CPU110は、処理をステップS15へ移す。
ステップS15においてCPU110は、RAM112を参照し、浄水モードであるか否かについて判断を行う。ここで浄水モードであると判断した場合(ステップS15:Yes)には、CPU110は処理をステップS16へ移す。
ステップS16では、CPU110は、浄水生成処理を実行する。この浄水生成処理については、後に図11を用いて説明する。この浄水生成処理を終了すると、CPU110は、再びステップS11へ処理を移す。
一方、ステップS15において、浄水モードではないと判断した場合(ステップS15:No)には、CPU110は、処理をステップS17へ移す。
ステップS17においてCPU110は、RAM112を参照し、電解水モードであるか否かについて判断を行う。ここで電解水モードであると判断した場合(ステップS17:Yes)には、CPU110は処理をステップS18へ移す。
ステップS18においてCPU110は、酸性水やアルカリ性水を生成する電解水生成処理を実行する。この電解水生成処理は、後に図12を参照しながら説明する。
一方、ステップS17において、電解水モードではないと判断した場合(ステップS17:No)には、CPU110は処理を再びステップS11へ移す。
次に、図8を用いて、システムタイマ割込処理について説明する。すなわち、CPU110は、メイン処理を実行している状態であっても、メイン処理を中断させ、システムタイマ割込処理を実行する場合がある。RTC115から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて、以下のシステムタイマ割込処理を実行する。
図8に示すように、まずCPU110は、各キーB1〜B10が押下された際に、周辺機器用インターフェース113によってRAM112の所定アドレスに立てられたフラグを参照する各キー押下確認処理を実行する(ステップS20)。すなわち、CPU110が本ステップS20を実行することにより、使用者がどのキーを押下したかを判断できるようにしている。
また、この各キー押下確認処理では、使用者が強アルカリ性水ボタンB4、アルカリ1ボタンB5、アルカリ2ボタンB6、アルカリ3ボタンB7、浄水ボタンB8、酸性水ボタンB9を押下したことを確認すると、CPU110はRAM112に記憶されている捨水完了フラグの値を「0:捨水完了前」に設定すると共に、各ボタンB4〜B9に対応するフラグを立てる。このフラグは、後に説明する処理においてCPU110が参照することにより、使用者が最後に取水した水がどの種類の水であったかを判断するための指標となる。また、例えばアルカリ2ボタンB6が押された場合には表示部Dに「アルカリ2」と表示するなど、表示部Dに選択されたボタンに応じた表示を行う。
次にCPU110は、流量センサCが浄水の流れを検出した際に、周辺機器用インターフェース113によってRAM112の所定アドレスに立てられたフラグを参照する通水確認処理を実行する(ステップS21)。すなわち、CPU110が本ステップS20を実行することにより、流量センサCの設置部位に浄水が流れているか否かの判断を行うことができるようにしている。なお、本ステップにおいて、流量センサCの設置部位に浄水が流れていると判断した場合には、CPU110は、RAM112に記憶している電磁バルブ開放フラグの値を「1:バルブ開放」に設定する。
次に、CPU110は、RAM112の駆動信号フラグを参照し、ゼロクロス駆動信号の出力又は停止を行うゼロクロス駆動信号出力処理を実行する(ステップS22)。このゼロクロス駆動信号出力処理では、駆動信号フラグの値が「1:駆動信号出力」である場合に、ゼロクロス駆動部121へ向けて駆動信号を出力する。駆動信号フラグの値が「0:駆動信号停止」である場合には、駆動信号を出力しない。
次に、CPU110は、ゼロクロス検出信号出力部120から出力されるゼロクロス信号を検出するゼロクロス信号検出処理(ステップS23)を行う。
次いでCPU110は、電解リレー操作処理を実行する(ステップS24)。この電解リレー操作処理は、電解リレーフラグの値が「1:電解リレー作動」である場合に電極部104への通電を行い、また、ゼロクロス信号を受信している場合には、受信しているゼロクロス信号の信号電圧がHighレベルであり、かつ、電解リレーフラグの値が「1:電解リレー作動」である場合に、に電極部104への通電を行う。
ここで、電解リレー103による電極部104への通電は、選択されているモードに応じて予めROM111内に記憶されているタイミングや、電解電圧値テーブルの印加状態に基づいた極性で電解リレー103をON動作させることで行う。具体的には、現在のモードが酸性水モードである場合には酸印加したり、アルカリ1〜3水の場合には、パルス幅制御等により強アルカリ性水に比して電極へ電圧を印加する時間を短く制御する。
次に、CPU110は、電磁バルブ操作処理を実行する(ステップS25)。この電磁バルブ操作処理は、受信しているゼロクロス信号の信号電圧がHighレベルであり、電磁バルブ開放フラグの値が「1:バルブ開放」であって、かつ、電磁バルブが閉状態の際に、CPU110は周辺機器用インターフェース113へ電磁バルブ71を開動作するよう命令する。
次に、CPU110は、スリープモード処理を実行する(ステップS26)。このスリープモード処理は、所定時間(例えば1時間)使用者による通水や各キーB1〜B10等の操作がないことを条件に、RAM112上に記憶しているスリープモードフラグの値を「1:スリープモード中」に設定したり、通水や各キーB1〜B10等の操作があった場合にスリープモードフラグの値を「0:スリープモードではない」に設定する処理を行う。このスリープモード処理を終えると分岐前のアドレスに処理を復帰する。
次に、図7にて示したメインフローのステップS13で実行する逆電解確認処理について図9を用いながら説明する。
図9に示すように、逆電解確認処理においてCPU110は、まずRAM112を参照して、アルカリ1、アルカリ2、アルカリ3、強アルカリ水の各アルカリ性水の生成積算水量の総和が所定水量(例えば、10L)を超えているか否かについて判断を行う(ステップS30)。
ここで、総和が所定水量を超えていないと判断した場合には、CPU110は、処理をステップS31へ移す。
ステップS31においてCPU110は、RAM112に記憶している逆電解待機フラグの値を「0:逆電解未待機」に設定し、処理を分岐前のアドレスに戻す。
一方、総和が所定水量を超えていると判断した場合(ステップS30:Yes)には、処理をステップS32へ移す。
ステップS32においてCPU110は、RAM112に記憶している逆電解待機フラグの値を「1:逆電解待機中」に設定し、次いで、止水から所定時間(例えば30分)経過したか否かについて判断、すなわち、整水器1がしばらく使用されていない状態であるか否かの判断を行う(ステップS33)。
具体的に説明すると、例えば一般家庭などに設置された整水器1では、炊事の時や洗顔の時のように、一日の中で使用時間帯が比較的集中する時間帯と、それ以外の比較的使用されない時間帯とがある場合が多く、最後に使用されてから所定時間(例えば30分間)使用がない場合は、比較的使用されない時間帯であるものと判断して、取水の妨げにならないように後述の逆電解処理を行うようにしている。なお、この所定時間は特に限定されるものではなく、例えば10分間や1時間としたり、また、使用者が適宜設定できるようにしても良い。
このステップS33で所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS33:No)には、CPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。
一方、ステップS33において、所定時間が経過したと判断した場合(ステップS33:Yes)には、CPU110は、処理をステップS34へ移す。
ステップS34において、CPU110は、RAM112に記憶している駆動信号フラグの値を「1:駆動信号出力」に設定するとともに、電解リレーフラグの値を「1:電解リレー作動」に設定する。なお、本ステップS34にて駆動信号フラグの値を「1:駆動信号出力」に設定することにより、流量センサCからの検出信号を受信していない間(すなわち、前述のメイン処理のステップS11においてNoの判断)であっても、逆電解処理を実行する場合は、当該逆電解処理の実行に先立ってゼロクロス駆動部121へ駆動信号を出力することとなる。
次いでCPU110は、電解槽の電極に逆方向の通電を行って電極を洗浄する逆電解処理を実行する(ステップS35)。この逆電解処理では、第1電極室32、第3電極室44に配設された電極に陰電圧を印加する一方、第2電極室34、第4電極室45に配設された電極に陽電圧を印加して電極に付着したスケールの除去を行う。本実施形態では、この逆電解処理の実行時間(逆電圧の印加時間)は10秒間としているが、これに限定されるものではなく、整水器1の使用環境や水質等に応じて適宜調整するようにしても良い。
この逆電解処理を終えた後、CPU110は、RAM112に記憶している駆動信号フラグの値を「0:駆動信号停止」、逆電解待機フラグの値を「0:逆電解未待機」、電解リレーフラグの値を「0:電解リレー作動停止」に設定し(ステップS36)、処理を分岐前のアドレスに戻す。
次に、図7にて示したメインフローのステップS14で実行する止水時確認処理について図10を用いながら説明する。
図10に示すように、止水時確認処理においてCPU110は、まずRAM112に記憶している電解リレーフラグの値を「0:電解リレー作動停止」、逆液性浄水生成終了フラグの値を「0:逆液性浄水生成未終了」、中和浄水生成終了フラグの値を「0:中和浄水生成未終了」に設定する(ステップS40)。
次いでCPU110は、逆電解待機フラグの値が「1:逆電解待機中」であるか否かについて判断を行う(ステップS41)。
ここで逆電解待機フラグの値が「1:逆電解待機中」であると判断した場合(ステップS41:Yes)には、CPU110は、処理をステップS43へ移す。
一方、逆電解待機フラグの値が「1:逆電解待機中」ではない(「0:逆電解未待機」の場合等)と判断した場合(ステップS41:No)には、CPU110は処理をステップS42へ移す。
ステップS42においてCPU110は、最後の取水から所定時間(例えば30秒)経過したか否かについて判断を行う。この所定時間は、電解部3の第1電極室32、第3電極室44や第2電極室34、第4電極室45に貯留されている水が、水抜管12a→逆止弁72→電磁バルブ71→排出口51と流れて抜けきるまでの時間であり、逆電解未待機状態の場合には、電解部3に貯留されている水が抜けてから電磁バルブ71を閉動作するようにしている。なお、本実施形態において、このステップS42における所定時間は30秒としたが、第1電極室32、第3電極室44や第2電極室34、第4電極室45の容量等に応じて時間を変更しても良い。
このステップS42にて取水後所定時間が経過したと判断した場合(ステップS42:Yes)には、CPU110は処理をステップS43へ移す。
一方、取水後所定時間が経過していないと判断した場合(ステップS42:No)には、処理を分岐前のアドレスに戻す。なお、CPU110が、前述のステップS41:No→本ステップS42:No→RETURNの流れで処理を行うことにより、止水後においても、電磁バルブが開放されたままの状態を保つこととなるため、電解槽30,40内の水を排水する排水処理の役割を果たす。
ステップS43においてCPU110は、RAM112に記憶している駆動信号フラグの値を「1:駆動信号出力」に設定し、電磁バルブ開放フラグの値を「0:バルブ閉塞」に設定する。本ステップS43を実行することにより、電解槽30,40内に水を滞留させる滞留処理の役割を果たす。また、CPU110が、ステップS41〜ステップS43の処理を実行することで、滞留処理と排水処理とを選択的に実行可能な滞留排水処理手段として機能する。
次にCPU110は、電磁バルブ71が動作するのに十分な所定時間(例えば1秒)が経過したか否かの判断を行う(ステップS44)。
ここで所定時間が経過していない判断した場合(ステップS44:No)には、処理を分岐前のアドレスに戻す。
一方、所定時間が経過したと判断した場合(ステップS44:Yes)には、処理をステップS45へ移す。
ステップS45においてCPU110は、RAMに記憶している駆動信号フラグの値を「0:駆動信号停止」に設定し、処理を分岐前のアドレスに戻す。
次に、図7にて示したメインフローのステップS16で実行する浄水生成処理について図11を用いながら説明する。
図11に示すように、浄水生成処理においてCPU110は、まずRAM112を参照して最後に取水した水の種別、最後の取水から経過した時間を確認し、ROM111に記憶している捨水量定義テーブルと照合する(ステップS50)。この際、CPU110は、捨水量定義テーブルから規定捨水量の値又は逆液性浄水の生成が必要であるかの情報を取得する。
次いでCPU110は、捨水が必要か否かの判断を行う(ステップS51)。ここで、捨水が必要ではないと判断した場合(ステップS51:No)には、処理をステップS56へ移す。
ステップS56においてCPU110は、逆液性浄水の生成が必要であるか否かについて判断を行う。ここで、逆液性浄水の生成が必要であると判断した場合(ステップS56:Yes)には、処理をステップS57へ移す。
ステップS57では、逆液性浄水生成処理を実行する。この逆液性浄水生成処理については、後に図12を用いて説明する。このステップS57を終了すると、CPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。
一方、ステップS56において、CPU110が、逆液性浄水の生成が必要でないと判断した場合(ステップS56:No)には、処理を分岐前のアドレスに戻す。なお、図4に示した捨水量定義テーブルを参照すると分かるように、前述の滞留排水手段によって電解槽30,40内の排水が完了しており、かつ予め定められた設定時間内であれば、そのまま処理を分岐前のアドレスに戻し、後述の捨水警報表示処理(ステップS53)による警報表示は行われない。
また、再取水する水の種類が、前回の取水時と同種類の水の場合、再取水するまでに経過した経過時間が前記設定時間内であれば、捨水を要しないので、前記電解槽内の排水完了の如何に拘わらず、表示部Dに捨水警報表示を行わないこととなる。
ステップS51においてCPU110が、捨水が必要と判断した場合(ステップS51:Yes)には、処理をステップS52へ移す。
ステップS52においてCPU110は、捨水終了フラグの値が「0:捨水終了前」であるか否かについて判断を行い、捨水終了フラグの値が「0」ではないと判断した場合(ステップS52:No)には、処理を分岐前のアドレスに戻す。一方、捨水終了フラグの値が「0」であると判断した場合(ステップS52:Yes)には、処理をステップS53へ移す。
ステップS53においてCPU110は、表示部Dに捨水警告表示を行う。ここでは、ステップS50にて捨水量定義テーブルより取得した規定捨水量の値等を表示して、使用者に対し、捨水を行うよう促す。
次にCPU110は、RAM112を参照し、流量センサCを流れる浄水が規定捨水量を超えたか否か、すなわち、吐出口19cから規定捨水量分だけ捨水されたか否かの判断を行う(ステップS54)。
ここで、規定捨水量を超過していないと判断した場合(ステップS54:No)には、CPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。一方、規定捨水量を超過したと判断した場合(ステップS54:Yes)には、CPU110は処理をステップS55へ移す。
ステップS55においてCPU110は、捨水警告表示を終了させるとともに、RAM112に記憶されている捨水終了フラグの値を「1:捨水終了」に設定する。そしてCPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。
次に、図11にて示した浄水生成処理のステップS56で実行する逆液性浄水生成処理について図12を用いながら説明する。
図12に示すように、逆液性浄水生成処理においてCPU110は、RAM112の所定アドレスを参照して、中和浄水生成終了フラグの値が「1:中和浄水生成終了」であるか否かについて判断を行う(ステップS80)。
ここでCPU110が、中和浄水生成終了フラグの値が「1:中和浄水生成終了」であると判断した場合(ステップS80:Yes)には、処理を分岐前のアドレスに戻す。
一方、CPU110が、中和浄水生成終了フラグの値が「1:中和浄水生成終了」ではないと判断した場合(ステップS80:No)には、処理をステップS81へ移す。
ステップS81においてCPU110は、逆液性浄水生成終了フラグの値が「1:逆液性浄水生成終了」であるか否かについて判断を行う。
ここで、逆液性浄水生成終了フラグの値が「1:逆液性浄水生成終了」であると判断した場合(ステップS81:Yes)には、CPU110は処理をステップS84へ移す。
一方、逆液性浄水生成終了フラグの値が「1:逆液性浄水生成終了」ではないと判断した場合(ステップS81:No)には、CPU110は処理をステップS82へ移す。
ステップS82においてCPU110は、ROM111に記憶している逆液性浄水係数テーブルを参照し、最後に取水した水の種別に応じた逆液性浄水生成電圧値と極性を取得する。そして、CPU110は、逆液性浄水係数テーブルから取得した係数及び加算値に基づいて、逆液性浄水生成電圧値を算出する(ステップS82)。
次にステップS83においてCPU110は、逆液性浄水係数テーブルから取得した印加状態を電解リレー103に設定し、電解リレーフラグの値を「1:電解リレー作動」に設定する。
そしてCPU110は、表示部Dに中和浄水を生成中である旨を表示し(ステップS84)、処理をステップS85へ移す。
ステップS85においてCPU110は、流量センサCを流れた水の量が、規定水量(本実施形態では300ml)まであと100ml未満であるか否かについて判断を行う。
ここで、規定水量まで100ml未満であると判断した場合(ステップS85:Yes)には、CPU110は処理をステップS86へ移す。
ステップS86においてCPU110は、逆液性浄水生成終了フラグの値を「1:逆液性浄水生成終了」に設定するとともに、電解リレーフラグの値を「0:電解リレー作動停止」に設定し、処理をステップS87へ移す。
一方、ステップS85において規定水量まで100ml未満ではない判断した場合(ステップS85:No)には、CPU110は処理をステップS87へ移す。
ステップS87においてCPU110は、流量センサCを流れた水の量が、規定水量を超過したか否かについて判断を行う。
ここで、規定水量を超過したと判断した場合(ステップS87:Yes)には、CPU110は処理をステップS88へ移す。
ステップS88においてCPU110は、中和浄水生成終了フラグの値を「1:中和浄水生成終了」に設定するとともに、表示部Dに通常浄水を生成中である旨表示する。本ステップS88を終えると、CPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。
一方、ステップS87において、規定水量を超過していないと判断した場合(ステップS87:No)には、CPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。
次に、図7にて示したメインフローのステップS18で実行する電解水生成処理について図13を用いながら説明する。
図13に示すように、電解水生成処理においてCPU110は、まずRAM112を参照して、使用者により選択されている水の種別、最後に取水した水の種別、最後の取水から経過した時間を確認し、ROM111に記憶している捨水量定義テーブルと照合する(ステップS60)。この際、CPU110は、捨水量定義テーブルから規定捨水量の値を取得する。
次いでCPU110は、捨水が必要か否かの判断を行い(ステップS61)、捨水が必要ではないと判断した場合(ステップS61:No)には、選択されている水の種別に応じた電解電圧値を電解電圧値テーブルから取得すると共に、RAM112に記憶している駆動信号フラグの値を「1:駆動信号出力」とし、電解リレーフラグの値を「1:電解リレー作動」に設定し(ステップS62)、処理を分岐前のアドレスに戻す。
一方、捨水が必要と判断した場合(ステップS61:Yes)には、処理をステップS63へ移す。
ステップS63においてCPU110は、選択されている水の種別に応じた電解電圧値を電解電圧値テーブルから取得すると共に、電解リレーフラグの値を「1:電解リレー作動」に設定する。そしてCPU110は、捨水完了フラグの値が「1:捨水完了」であるか否かの判断を行う(ステップS64)。ここで捨水完了フラグの値が「1」の場合(ステップS64:Yes)には、CPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。一方、捨水完了フラグの値が「1」ではないと判断した場合(ステップS64:No)には、CPU110は、処理をステップS65へ移す。
ステップS65においてCPU110は、捨水警告表示を行う。ここでは、ステップS60にて捨水量定義テーブルより取得した規定捨水量の値等を表示して、使用者に対し、捨水を行うよう促す。
次に、CPU110は、RAM112を参照し、流量センサCを流れる浄水がゼロクロス開始水量まであと100ml未満であるか否かの判断を行う(ステップS66)。
ここでゼロクロス開始水量まであと100ml未満ではないと判断した場合(ステップS66:No)には、CPU110は、処理をステップS68へ移す。一方、ゼロクロス開始水量まであと100ml未満である判断した場合(ステップS66:Yes)には、CPU110は処理をステップS67へ移す。
ステップS67においてCPU110は、RAM112に記憶されている駆動信号フラグの値を「1:駆動信号出力」とし、処理をステップS68に移す。なお、本ステップS67や、前述のステップS62にて駆動信号フラグの値を「1:駆動信号出力」と設定することにより、流量センサCからの検出信号を受信しているときにゼロクロス駆動部121へ駆動信号を出力することとなる。また、CPU110が、前述のステップS65、ステップS66及び本ステップS67を実行することにより、捨水警報表示手段(表示部D)に表示信号を出力した後に、ゼロクロス駆動部121へ駆動信号を出力することとなる。
ステップS68においてCPU110は、RAM112を参照し、流量センサCを流れる浄水が規定捨水量を超えたか否か、すなわち、吐出口19cから規定捨水量分だけ捨水されたか否かの判断を行う。
ここで、規定捨水量を超過していないと判断した場合(ステップS68:No)には、CPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。一方、規定捨水量を超過したと判断した場合(ステップS68:Yes)には、CPU110は処理をステップS69へ移す。
ステップS69においてCPU110は、捨水警告表示を終了させるとともに、RAM112に記憶されている捨水終了フラグの値を「1:捨水終了」に設定する。そしてCPU110は、処理を分岐前のアドレスに戻す。
上述してきたように、本実施形態に係る整水器1ではこのような処理を行うこととなる。
次に、上述の構成を備えた整水器1の実際の動きについて図14を参照しながら説明する。図14は、本実施形態に係る整水器1のスイッチ操作、表示部Dにおける状態表示、流量センサCにおける浄水の検出、表示部Dにおける捨水警告表示、表示部Dにおける浄水の種別表示、電解、ゼロクロス駆動信号の出力、電磁弁動作、取水後における電極部からの排水のタイミングを示した説明図である。また、図14(a)は、逆電解待機中の状態、すなわち、最後の逆電解処理を行ってから強アルカリ性水、アルカリ1水、アルカリ2水、アルカリ3水を生成した総水量が所定水量(例えば、10L)を超え、前述の比較的使用されない時間帯となれば逆電解処理を実行するために待機している状態にある整水器1の動作を示しており、図14(b)は、逆電解未待機の状態、すなわち、前述の各アルカリ性水を生成した総水量が所定水量未満である状態の整水器1の動作を示している。
この図14に基づき時系列順に説明すると、まず、使用者により例えばアルカリ3ボタンB7が押下されると、表示部Dにアルカリ3水が選択された旨が表示される。
次いで、使用者が水道蛇口11a(図1参照)を開動作させて整水器1に原水を供給すると、流量センサCが浄水の流れを検知すると共に、図16(a)に示すように、表示部Dの情報報知部85に捨水警告が表示され、電解が開始される。なお、表示部D上には、状態表示部86と、情報報知部85と、カートリッジ交換情報表示部87とが設けられており、使用者により選択された水の種別は状態表示部86に表示され、捨水警報表示や中和浄水生成表示、通常浄水生成表示は情報報知部85に表示して報知される。カートリッジ交換情報表示部87は、流量センサCからの情報に基づいて、使用者に対し、上側カートリッジ20aや下側カートリッジ20bの交換を促すための表示である。
また、ほぼ同時にゼロクロス駆動信号の出力が行われ、ゼロクロスのタイミングで電磁弁の開動作し、まもなくゼロクロス駆動信号の出力は停止される。
次に、制御部7が流量センサCを流れる浄水の量がゼロクロス開始水量を超過したと判断すると、ゼロクロス駆動信号が再び出力され、その後規定捨水量を超過したと判断すると、捨水警告表示が消える。
その後、使用者による取水が終了し、水道蛇口11aが閉動作されると、流量センサCは止水を検知し、電解が停止されるとともに、で電磁弁が閉動作される。
その後、使用者による取水が行われず、一定時間(例えば30分)経過すると、制御部7は、ゼロクロス駆動信号を出力し、ゼロクロスのタイミングで逆電解を所定時間(例えば10秒間)実行する。
逆電解が終了すると、ゼロクロスのタイミングで電磁バルブ71を開放し、ゼロクロス駆動信号の出力が停止される。
そして、排水が十分に行われる時間が経過した後、再びゼロクロス駆動信号を出力し、電磁バルブ71を閉動作させ、その後ゼロクロス駆動信号の出力を停止すると共に、スリープモードに移行して表示部Dの表示を消灯する。
このような取水を行った後、再度使用者がアルカリ3水→酸性水→アルカリ3水→アルカリ3水→浄水→アルカリ3水の順で断続的に取水した場合には、図14(a)の後段に示すように動作することとなる。
すなわち、使用者により例えばアルカリ3ボタンB7が押下されると、表示部Dにアルカリ3水が選択された旨が表示される。
次いで、使用者が水道蛇口11aを開動作させて整水器1に原水を供給すると、流量センサCが浄水の流れを検知すると共に、条件X1に合致して表示部Dに捨水警告が表示され、電解が開始される。
また、アルカリ3水の取水後、まもなく(例えば30秒以上30分未満)酸性水を取水する場合には、前述の条件Y4に合致することとなり、捨水警告表示が行われない。これにより、極力捨水の量を減らすことができる。
その後、酸性水の取水を終え、まもなくアルカリ3ボタンB7を押下して整水器1に通水すると、条件X4に合致して捨水警告表示が行われ、使用者に捨水を促す。
また、このアルカリ3水の取水後、まもなく、同じアルカリ3水を取水した場合には、条件Y2に合致することとなり捨水警告表示は行われず、極力捨水の量を減らすようにしている。すなわち、再取水する水の種類が、前回の取水時と同種類の水の場合、再取水するまでに経過した経過時間が前記設定時間内であれば、前記電解槽内の排水完了の如何に拘わらず、前記捨水警報表示手段による警報表示を行わない。
その後、アルカリ3水の取水を終え、まもなく浄水ボタンB8を押下して整水器1に通水すると、条件Z1に合致することとなる。
この際、表示部Dには中和浄水表示が行われ、電解部3に逆液性浄水生成電圧を印加することにより、逆液性浄水が生成される。すなわち、使用者に対しては、捨水を促さない。なお、この中和浄水表示、及び、逆液性浄水の生成については、後に詳述する。
次いで、逆液性浄水の生成が止まり、電圧が印加されていない電解部3に浄水が供給されるとともに、やや遅れて表示部Dに通常浄水表示が行われる。
その後、浄水の取水を終え、まもなくアルカリ3ボタンB7を押下して整水器1に通水すると、条件Y2に合致して捨水警告表示が行われ、極力捨水の量を減らすようにしている。
上述のように、整水器1が逆電解待機中の場合には、このように動作することとなる。
ここで、本実施形態に特徴的な浄水の生成、特に、中和浄水の生成と、その表示タイミングについて図15及び図16を参照しながら説明する。
図15は、図14(a)に示した生成過程Qにおける中和浄水の生成や、表示タイミング等を示した説明図である。具体的には、図15(a)は表示部Dにおける表示のタイミングを示しており、図15(b)は電解部3に印加する電圧値及び極性を示しており、図15(c)は吐出口19cから吐出される水のpHを示しており、図15(d)は中和浄水表示中に吐出された中和浄水の累積pHの変化を示している。また、図16は表示部Dの表示状態を示した説明図である。
アルカリ3水の生成中は、図15(a)及び図16(b)に示すように状態表示部86にアルカリ3水が生成中である旨の表示が行われている。
この際、図15(b)に示すように、電解部3には、電解電圧値テーブル(図5参照)から取得したアルカリ3水を生成する場合の電圧値V4で、電圧が印加されており、図15(c)に示すように、吐出口19cからはアルカリ性のアルカリ3水が吐出されている。
そして、使用者がアルカリ3水の取水を終え、中断期間Lを経て、浄水を得るために浄水ボタンB8を押下すると、図15(b)に示すように、表示部Dの状態表示部86には浄水を生成中である旨の表示がなされると共に、情報報知部85に中和浄水を生成中である旨の表示がなされ、使用者に対し報知される。
このとき、電解部3には、逆液性浄水係数テーブル(図6参照)に従い、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧に係数を乗じ、加算値を加えた電圧値で、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧とは逆の極性とした電圧、すなわち、本実施形態によれば、−V4×1.8〔V〕の電圧がアルカリ印加(V4×1.8〔V〕の電圧が酸印加)される。
すると、図15(c)に示すように、吐出口19cからは、まず吐水管路中に貯留されていた約100mlのアルカリ3水が吐出され、引き続いて、酸性の逆液性浄水が吐出される。
逆液性浄水生成電圧の印加は、吐水管路の容量(本実施形態では100ml)の2倍量にあたる200mlの逆液性浄水を生成する分だけ印加され、その後OFF状態となる。
そして、中和浄水生成中の表示がなされて300ml吐水されると、図16(b)に示すように、通常浄水を生成中である旨の表示が行われる。
ここで、中和浄水表示がなされている間に吐水された水の累積pHを見ると、図15(d)に示すように、当初アルカリ3水の吐水によりアルカリ性側に傾いていた液性が、逆液性浄水の混和により徐々にpHが低下し、300ml吐出された時点(中和浄水表示が消えた時点)で中性となり、300mlの中和浄水が生成されることとなる。
すなわち、使用者が浄水ボタンを押下した直後から、コップ等の容器に貯留しながら取水することにより、300mlを越えた時点(吐水管路の3倍の容量を超えた時点)で中和浄水を得ることができ、電解水を取水した後であっても捨水することなく、使用者に対して可及的速やかに浄水を提供することができる。
また、付言すると、中和浄水表示の表示期間は、吐水開始から吐水管路容積の3倍の水を吐出するまでの時間とするとともに、逆液性浄水を生成するための電解は、吐水開始から吐水管路容積の2倍の水を吐出する時間としている。
すなわち、中和浄水表示の期間を2:1に分け、前半3分の2は逆液性浄水の生成にあて、後半3分の1は通常浄水で吐水管路中の逆液性浄水を押し出す時間にあてている。
この2:1という期間配分は、本発明者らの経験及び鋭意研究によって求められた最適の比率であるが、整水器1の仕様等によって変更することもできる。例えば、使用者が浄水ボタンB8を押下した直後から200〜400cc程度(すなわち、コップ1杯程度)吐出される間に、吐出された水の累積pHが中性領域となるように制御しても良い。
なお、逆液性浄水を中和浄水表示中に吐水させるためには、少なくとも中和浄水表示中の累計流量を吐水管路容積より多く設定されればよく、また本発明で言う終濃度とは、中和浄水表示終了時点において使用者のコップに入っている程度の水(200ccくらい)のpH濃度のことを言い、このpHが中性領域となるように制御していれば良い。
再び図14の説明に戻ると、逆電解未待機の状態にある整水器1の場合にも、図14(b)の前段に示すように、使用者がアルカリ3ボタンB7を押下すると、前述の逆電解待機中の時と同様に動作するが、取水が終了すると、直ちにゼロクロス駆動信号を停止すると共に、電磁バルブ71は一定時間(例えば5分)開放状態を保つようにしている。
そして、上記一定時間が経過すると、制御部7は再びゼロクロス駆動信号を出力し、ゼロクロスのタイミングで電磁バルブ71を閉動作させ、ゼロクロス駆動信号の出力を停止する。
このように動作させることにより、電解部3内の貯留水を確実に排水させることができると共に、その後電磁バルブを閉動作することで、電解部3と外界とを遮断して電解部3を清潔に保つことができ、しかも、この閉動作はゼロクロスのタイミングで行うことができる。
同様に、止水後30分以上8時間未満のタイミングで再度使用者がアルカリ3水→酸性水→アルカリ3水の順で断続的に取水し、次いでアルカリ3水→酸性水→アルカリ3水→浄水→アルカリ3水の順で連続的に取水した場合には、図14(b)の後段に示すように動作することとなる。
すなわち、使用者により例えばアルカリ3ボタンB7が押下されると、表示部Dにアルカリ3水が選択された旨が表示される。
次いで、使用者が水道蛇口11aを開動作させて整水器1に原水を供給すると、流量センサCが浄水の流れを検知すると共に、条件X2に合致して表示部Dに捨水警告が表示され、電解が開始される。
また、アルカリ3水を取水して止水後、まもなく(例えば30秒以上30分未満)酸性水を取水する場合には、前述の条件Y4に合致することとなり、捨水警告表示が行われない。これにより、極力捨水の量を減らすことができる。
また、逆電解待機中の状態と異なり、酸性水を取水して止水後、まもなく(例えば30秒以上30分未満)アルカリ3水を取水する場合には、先の酸性水の取水後直ちに排水が行われ電解部3に酸性水が貯留されていない状態であるため、条件Y1に合致することとなり、捨水警告表示が行われない。これにより、極力捨水の量を減らすことができる。
また、その後のアルカリ3水→酸性水を連続的に取水する場合、すなわち、飲用に適した水を取水し、通水状態を維持したままで飲用に適さない水を生成するモードに切り替えた場合には条件Y4に合致し、捨水表示を行わないこととしており、これによっても、捨水の量を極力減らすことができる。
また、その後の酸性水→アルカリ3水を連続的に取水する場合、すなわち、飲用に適さない水を取水し、通水状態を維持したままで飲用に適した水を生成するモードに切り替えた場合には、条件X4に合致することとなり、捨水警告表示を行って使用者に捨水を促す。
その後、アルカリ3水→浄水を連続的に取水する場合には、条件Z1に合致することとなる。
この際、逆電待機中の時と同様に、表示部Dには中和浄水表示が行われ、電解部3に逆液性浄水生成電圧を印加することにより、逆液性浄水が生成され、次いで表示部Dに通常浄水表示が行われ、通常浄水が生成される。すなわち、使用者に対しては、捨水を促さない。なお、この逆電未待機状態における中和浄水表示、及び、逆液性浄水の生成については、後に詳述する。
その後更に、浄水→アルカリ3水を連続的に取水する場合には、条件Y2に合致し、捨水表示を行わないこととしており、これによっても、捨水の量を極力減らすことができるようにしている。
ここで、前述の逆電未待機状態における中和浄水表示、及び、逆液性浄水の生成について図17を用いて説明する。なお、ここでの説明は、図15を用いて説明した逆電待機状態の際の説明と一部重複する部分もあるが、理解を容易とするために再度説明を行う場合がある。図17は、図14(b)に示した生成過程Rにおける中和浄水の生成や、表示タイミング等を示した説明図である。
アルカリ3水の生成中は、図17(a)及び図16(b)に示すように状態表示部86にアルカリ3水が生成中である旨の表示が行われている。
この際、図17(b)に示すように、電解部3には、電解電圧値テーブル(図5参照)から取得したアルカリ3水を生成する場合の電圧値V4で、電圧が印加されており、図17(c)に示すように、吐出口19cからはアルカリ性のアルカリ3水が吐出されている。
そして、使用者がアルカリ3水の吐水中に浄水ボタンB8を押下すると、図17(a)に示すように、表示部Dの状態表示部86には浄水を生成中である旨の表示がなされると共に、情報報知部85に中和浄水を生成中である旨の表示がなされ、使用者に対し報知される。
このとき、電解部3には、図17(b)に示すように、逆液性浄水係数テーブル(図6参照)に従い、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧に係数を乗じ、加算値を加えた電圧値で、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧とは逆の極性とした電圧、すなわち、本実施形態によれば、−V4×1.8〔V〕の電圧がアルカリ印加(V4×1.8〔V〕の電圧が酸印加)される。
すると、図17(c)に示すように、吐出口19cからは、まず吐水管路中に貯留されていた約100mlのアルカリ3水が吐出され、引き続いて、酸性の逆液性浄水が吐出される。
逆液性浄水生成電圧の印加は、吐水管路の容量(本実施形態では100ml)の2倍量にあたる200mlの逆液性浄水を生成する分だけ印加され、その後OFF状態となる。
そして、中和浄水生成中の表示がなされて300ml吐水されると、図16(b)に示すように、通常浄水を生成中である旨の表示が行われる。
ここで、中和浄水表示がなされている間に吐水された水の累積pHを見ると、図17(d)に示すように、当初アルカリ3水の吐水によりアルカリ性側に傾いていた液性が、逆液性浄水の混和により徐々にpHが低下し、300ml吐出された時点(中和浄水表示が消えた時点)で中性となり、300mlの中和浄水が生成されることとなる。
すなわち、使用者が浄水ボタンを押下した直後から、コップ等の容器に貯留しながら取水することにより、300mlを越えた時点(吐水管路の3倍の容量を超えた時点)で中和浄水を得ることができ、電解水を取水した後であっても捨水することなく、使用者に対して可及的速やかに浄水を提供することができる。
その後、使用者が浄水の吐水中に再度アルカリ3ボタンB7を押下すると、図17に示すように、表示部Dの状態表示部86にはアルカリ3水を生成中である旨の表示がなされると共に、電解部3に電圧V4がアルカリ印加され、吐出口19cからはアルカリ3水が吐出されることとなる。
〔他の実施形態1〕
前述の実施形態に係る整水器1では、図16(b)に示すように、中和浄水を生成中であることを示す第1の報知を中和浄水報知とし、通常浄水の生成であることを示す第2の報知を通常浄水報知としたが、使用者に対し、中和浄水の生成と通常浄水の生成との境界を報知することができれば、特にこれに限定されるものではない。
そこで、他の実施形態1では、第1の報知及び第2の報知の報知形態を変えた整水器について説明する。なお、以下の説明において、上述の相違点以外は、前述の整水器1と同様の構成を有するため、説明を省略する。
他の実施形態1に係る整水器200は、第1の報知及び第2の報知を図18に示したような捨水勧告表示と飲み頃表示とした点で構成を異にする。
ここで、捨水勧告表示とは、使用者に対し捨水を勧める表示であり、捨水警告表示よりも捨水の訴求をやや弱いものとしている。
このような構成とすることにより、使用者に対し通常浄水が生成されるタイミングを「飲み頃」として報知することができるとともに、使用者の諸事情により捨水警報表示中にコップ等の容器に取水した場合であっても、早い段階で浄水(中和浄水)を提供することができる。
なお、本他の実施形態1では、第2の表示を飲み頃表示としたが、第2の表示を図16(b)に示した通常浄水表示としても良いのは勿論である。
〔他の実施形態2〕
前述の実施形態及び他の実施形態1に係る整水器1,200では、図15や図17に示したように、中和浄水表示の期間を2:1に分け、前半3分の2は逆液性浄水の生成にあて、後半3分の1は通常浄水で吐水管路中の逆液性浄水を押し出す時間にあてることとしたが、特にこれに限定されるものではない。
そこで、他の実施形態2では、逆液性浄水の生成のタイミングを変えた整水器300について説明する。なお、以下の説明において、上述の相違点以外は、前述の整水器1や整水器200と同様の構成を有するため、説明を省略する。また、ここでは説明を簡略化するために、図14(b)に示した連続的に吐水させる生成過程Rでの動作について説明し、断続的に吐水させる生成過程Qでの動作については説明を省略する。
図14(b)に示す生成過程Rの浄水生成時において、本他の実施形態2に係る整水器300では、図19(a)に示すように、使用者がアルカリ3水の吐水中に浄水ボタンB8を押下すると、表示部Dの状態表示部86には浄水を生成中である旨の表示がなされると共に、情報報知部85に中和浄水を生成中である旨の表示がなされ、使用者に対し報知される。
このとき、電解部3には、図19(b)に示すように、逆液性浄水係数テーブル(図6参照)に従い、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧に係数を乗じ、加算値を加えた電圧値で、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧とは逆の極性とした電圧、すなわち、本実施形態によれば、−V4×1.8〔V〕の電圧がアルカリ印加(V4×1.8〔V〕の電圧が酸印加)される。
すると、図19(c)に示すように、吐出口19cからは、まず吐水管路中に貯留されていた約100mlのアルカリ3水が吐出され、引き続いて、酸性の逆液性浄水が吐出される。
ここで、本他の実施形態2における逆液性浄水生成電圧の印加は、図19(d)に示す吐水された水の累積pHが中性(pH7)となった時点で停止(図19(b)参照)すると共に、第1の報知である中和浄水表示から、第2の報知である通常浄水表示に切り替えることとしている(図19(a)参照)。
このような、制御を行うことによっても、使用者が浄水ボタンを押下した直後から、コップ等の容器に貯留しながら取水することにより、300mlを越えた時点(吐水管路の3倍の容量を超えた時点)で中和浄水を得ることができ、電解水を取水した後であっても捨水することなく、使用者に対して可及的速やかに浄水を提供することができる。
なお、図19(c)に示すように、中和浄水表示が消えた後も若干逆液性浄水が吐出されることとなり、図19(d)にて破線で示すように、累積pHがpH7を下回ることとなるが、中性領域範囲内であるため中和浄水表示終了直後(すなわち、通常浄水表示がなされてすぐ)に取水した場合であっても、通常浄水であると言える。
〔他の実施形態3〕
前述の実施形態、他の実施形態1及び2に係る整水器1,200,300では、図16や図18に示したように、表示部Dを報知部として、第1の報知及び第2の報知を行うこととしたが、特にこれに限定されるものではない。
そこで、他の実施形態3では、別の手段により第1の報知及び第2の報知を行うこととした整水器400について説明する。なお、以下の説明において、前述の整水器1や整水器200や整水器300と同様の構成については説明を省略する。
図20は、本他の実施形態3に係る整水器400の操作パネルPを示した説明図である。図2にも示したように、前述の整水器1,200,300とほぼ同様の操作パネルPの構成としているが、電源ボタンB1、強アルカリ性水ボタンB4、アルカリ性水ボタンB5〜B7、浄水ボタンB8、酸性水ボタンB9にそれぞれ発光部90を設けるとともに、捨水警報ランプL9を配設している点、表示部Dには捨水警報表示や第1の報知、第2の報知が行われない点で構成を異にしている。
それぞれのボタンに配設された発光部90は、使用者により各ボタンが押下された際に点灯するものであり、電源ボタンB1にあっては電源の投入状態を、各ボタンB3〜B9にあっては、選択している水の種別を使用者に対して報知可能としている。
また、捨水警報ランプL9は、前述の整水器1,200,300にて表示部Dに表示していた捨水警報表示を代替するものであり、この捨水警報ランプL9を点灯させることにより、使用者に対して捨水警報を認識させるものである。なお、図20中においては、電源ボタンB1と、浄水ボタンB8と、捨水警報ランプL9とが点灯している状態を示している。
このような構成を備える整水器400において、本他の実施形態3に特徴的には、浄水ボタンB8の発光部90と、捨水警報ランプL9との点灯状態及び点灯時間の組み合わせで、使用者に対して第1の報知及び第2の報知を行う。
図17を参照しながら具体的な動作について説明すると、まず、図17(a)に示すように、アルカリ3水の吐出中はアルカリ3ボタンB7の発光部90が点灯している。
次に、使用者がアルカリ3水の吐出中に浄水ボタンB8を押下すると、アルカリ3ボタンB7の発光部90が消灯し、浄水ボタンB8の発光部90が点灯すると共に、捨水警報ランプL9が点灯して、使用者に対し、中和浄水生成中である旨を認識してもらい、第1の報知とする。
このとき、電解部3には、図17(b)に示すように、−V4×1.8〔V〕の電圧がアルカリ印加(V4×1.8〔V〕の電圧が酸印加)され、図17(c)に示すように、吐出口19cからは、まず吐水管路中に貯留されていた約100mlのアルカリ3水が吐出され、引き続いて、酸性の逆液性浄水が吐出される。
逆液性浄水生成電圧の印加は、吐水管路の容量(本他の実施形態3では100ml)の2倍量にあたる200mlの逆液性浄水を生成する分だけ印加され、その後OFF状態となる。
そして、中和浄水生成中の表示がなされて300ml吐水されると、捨水警報ランプL9が消灯し、使用者に対して通常浄水の生成中である旨を示す第2の報知が行われる。
その後、浄水の吐水中に使用者によってアルカリ3ボタンB7が押下されると、浄水ボタンB8の発光部90は消灯し、アルカリ3ボタンB7の発光部90が点灯して、使用者に対してアルカリ3水が生成されることを報知する。
上述したように、このような構成を有する整水器400であっても、第1の報知及び第2の報知を行うことができる。
なお、浄水ボタンB8の発光部90と、捨水警報ランプL9とが同時に点灯している状態(以下、単に「同時点灯状態」という。)としては、上述の第1の報知の場合の他に、条件X3に合致した場合が考えられる。
この条件X3に合致して同時点灯状態となっている場合は、電極部104内部や配管中を洗浄しながら吐水している状態であり、これを飲用するのは好ましくない。しかしながら、図4に示した捨水量定義テーブルからも分かるように、捨水量が中和浄水の生成量(300ml)よりも十分多い1Lとしており、条件X3に合致して同時点灯状態となっている際に、使用者がコップ等の容器に取水した場合であっても、中和浄水生成時の時の同時点灯状態の点灯時間よりも明らかに長くなる。
従って、使用者に対し、同時点灯状態が中和浄水生成中であるのか、条件X3に合致した状態であるのかを認識させることができる。
上述してきたように、本実施形態に係る整水器1,200,300によれば、制御部は、電解水の吐出中又は吐出後に浄水の生成信号が入力された場合、報知部による報知を行わせるとともに、最後に吐出させた電解水を生成するために印加した電圧とは逆の極性の電圧を前記電極に印加させることとしたため、水の経時的汚染のおそれが少ない場合や電極の洗浄直後でない場合などに、電解水を取水した後であっても捨水することなく、できるだけ早く浄水を供給することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、上記各実施形態では、条件Z1に合致する際に、アルカリ3から浄水を生成する場合を中心に説明してきたが、他のアルカリ性水から浄水を生成する場合や、酸性水から浄水を生成する場合も、中和浄水を生成することで、使用者に対しできるだけ早く浄水を供給することができるのは勿論である。なお、酸性水から浄水を生成する際の逆液性浄水を生成する場合は、図6の逆液性浄水係数テーブルでも示すように、電解部3への印加状態はアルカリ印加となる。
また、上記各実施形態では、捨水警告表示や、第1の報知や、第2の報知を表示部Dにて表示することで行うこととしたが、例えば、ブザー音や、音楽、音声等を単独又は併用することによって報知しても良い。
また、上記各実施形態では、吐水管路の容量を100mlとしたが、異なる容量であっても良い。この際、中和浄水表示の期間を2:1に分け、前半3分の2は逆液性浄水の生成にあて、後半3分の1は通常浄水で吐水管路中の逆液性浄水を押し出す時間にあてるのが好ましいが、この比率についても適宜変更しても良い。
また、上記各実施形態では、逆液性浄水の生成における逆極性電圧の印加を、中和浄水表示の期間を2:1に分けた前半3分の2で行うこととしたが、吐出された水の水素イオンの終濃度を中性領域とすることが可能であればこれに限定されるものではなく、例えば、印加する逆極性電圧を適宜変更し、印加時間を調整することにより中和浄水を生成するようにしても良い。
また、例えば、吐出口19cにpHセンサを設けて制御部7に接続するとともに、制御部7にて中和浄水を生成可能な逆液性浄水の生成量を算出するように構成しても良い。