JP5154472B2 - チェーン伝動装置及び沈殿物掻寄装置 - Google Patents

チェーン伝動装置及び沈殿物掻寄装置 Download PDF

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Description

この発明はチェーン伝動装置及びそのようなチェーン伝動装置を備えた沈殿物掻寄装置に関し、沈殿物としての汚泥等の掻寄に使用することができるものである。
沈殿池等の下水処理設備において汚泥の掻寄装置として一対の平行配置の無端状チェーン間に掻寄板を所定間隔にて張渡し、チェーンを駆動することにより処理槽の下面に沿って位置する掻寄板(フライトともいう)が処理槽底面に沿って汚泥ピットに向け移動せしめられ、処理槽の底面に堆積した汚泥の汚泥ピットへの掻寄を行うことができる掻寄装置がある。チェーンとしては通常のスプロケット係合タイプもあるが(特許文献1)、公共の下水設備における設置例からすると所謂ノッチチェーンとしたものが最近は多い(特許文献2)。ノッチチェーンは一連のリンクを連結ピンにより無端連結した構造は、通常のスプロケット用チェーンと同様であるが、リンクの駆動ホイールに対向する側にノッチを形成し、駆動用ホイールとしてはスプロケットホイールの代わりに、一対のディスク間に円周方向に等間隔に離間した駆動ピンを備えたものが使用される。ノッチチェーンは駆動部においては連結ピンをノッチと係合させることで動力伝達するが、従動部においてはリンクの内周面を従動ホイール(シーブ)の表面に当接させる構造であり、係合部が分散されるため通常のスプロケットホイールを使用した場合と比較してチェーンの寿命が延びる利点があると言われている。他方、ノッチチェーンにおける駆動ピンとノッチとの係合は通常のスプロケットホイールと比較して浅いため駆動用ホイールの部位で駆動ピンからノッチが外れてしまうこと(所謂歯飛び)を防止するため駆動用ホイールの外周に沿ってチェーンガードを設置している。
特開平11−290846号公報 特開2006−326483号公報
チェーンによる駆動方式においては掻寄板は処理槽の底面に沿って一方向に移動することにより沈殿池等の処理層の底面に堆積した汚泥の掻寄(移送)を行う。沈殿池に堆積する汚泥は基本的には泥状であり掻寄抵抗としては大きなものではないが、汚泥中には時には石塊が含まれることがあり、掻寄板が噛み込むことによりロックしてしまうことがあった。この場合、チェーンが逆転可能であれば、逆転によりロックを解消させることで、正常な状態に復帰させることができる可能性が多いが、ノッチチェーンの場合はノッチは逆転方向においては駆動ピンとノッチとの係合が外れる形状をなしており、基本的に逆転は行えない構造になっている。そのため、掻寄板のロックが起こった場合は装置を停止及び排水し、噛み込んでいる石等を除く等の作業が必要であり、長時間停止してしまう問題があった。
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、ノッチ−駆動ピンによる駆動方式のチェーンにおいて逆転を可能とすることを目的とする。
この発明によれば、チェーンと該チェーンに係合するホイールとからなり、前記チェーンは複数のリンクを連結ピンで一連に連結して成り、かつ各リンクは一対の板状部間が少なくとも駆動ホイールに対向する側において、開口部が形成されると共に、各リンクの一対の板状部の駆動ホイールに対向する側にノッチが形成されており、他方、前記ホイールは駆動ピンと歯部とを備え、前記駆動ピンは各々が軸線方向に延び、円周方向にチェーンにおけるリンクのピッチに応じた等間隔で離間して設けられ、回転中に前記ノッチと係合し、前記歯部は前記開口部を介して半径方向に延出され、リンクのピッチに応じた等間隔で円周方向に間隔を置いて設けられ、各ノッチは回転方向に対向した第1,2面を備えた形状をなし、駆動ホイールの隣接する歯部の対向第1及び第2縁間においてバレルが取り得る回転方向両側の限界位置間の中間角度差をα、一つのノッチの第1面及び第2面間において駆動ピンが取り得る回転方向の限界位置間の中心角度差をβとしたとき、α<βの関係があり、ホイール正転時には歯部の回転方向の前縁となる第1縁がバレルと係合すると共に駆動ピンがノッチの第1面と係合し、歯部とバレルとの係合及び駆動ピンとノッチとの係合の双方の係合によるホイールからチェーンへの動力伝達が行われ、ホイール逆転時には駆動ピンはノッチの前記第2面から離間位置されるが、歯部は回転方向前縁となる第2縁がバレルと係合し、歯部とバレルとの係合によるホイールからチェーンへの動力伝達が行われるチェーン伝動装置が提供される。
この発明のチェーン伝動装置を備えた沈殿物掻寄装置にあっては、沈殿槽において前記チェーンは駆動ホイールと従動ホイールとの間に無端に巻き掛けられ、駆動ホイールは回転駆動手段に連結されて駆動ホイールの回転によりチェーンが駆動され、チェーンにおける長さ方向に間隔をおいたリンクに取り付けられた掻寄板が沈殿槽内を一方向に循環移動することにより沈殿物の掻寄を行う。
この発明によれば、駆動ホイールはチェーンのリンクのピッチと同一のピッチの駆動ピンに加えてリンクのピッチと同一のピッチの歯部を備え、他方、チェーンの各リンクには駆動ピンと係合するノッチが設けられ、また歯部は板状部間の開口部を介してバレルと係合可能である。そのため、正転時は歯部とバレルとの係合及び駆動ピンとノッチとの係合の双方の係合によるホイールからチェーンへの動力伝達が行われ、逆転時には歯部とバレルとの係合によるホイールからチェーンへの動力伝達が行われる。そのため、汚泥掻寄装置のチェーン伝動装置として使用した場合、掻寄が沈殿槽底面の石塊等によってロックした場合に、逆転させることでロック解消を図ることができ、作業性の改善を図ることができる。
図1は沈殿池に設置されたこの発明の掻寄装置の側面図である。 図2は同じく沈殿池に設置されたこの発明の掻寄装置の正面図(図1のII−II線に沿った矢視図)である。 図3はこの発明のホイールを使用するチェーンにおける隣接リンクの連結前の各パーツの断面図である。 図4は図3のチェーンの構成部品である連結ピンの正面図であり、図3のIV−IV線に沿った矢視図である。 図5は図3のチェーンの構成部品である係止リングの正面図であり、図3のV−V線に沿った矢視図である。 図6は図3のチェーンの構成部品であるロック駒の正面図であり、図3のVI−VI線に沿った矢視図である。 図7は図3のチェーンの組立て状態の断面図である。 図8は図3のチェーンの構成部品であるリンクの側面図であり、図3のVIII−VIII線に沿った矢視図である。 図9は図3〜図8のチェーンと噛合状態にある正転時における駆動ホイールの正面図であり、図11のIX−IX線に沿った矢視図である。 図10は駆動ホイールの断面図であり、図9の大略IX−IX線に沿った矢視図である。 図11はこの発明のホイールの、チェーンにおける駆動ピン及び歯部との係合状態を表す図であり、図9の大略XI方向より見た図である。 図12は図9と同様であるが、逆転方向におけるチェーンと駆動ホイールの噛合状態を示す図である。 この発明において、駆動ホイールによる正転及び逆転方向の双方でのチェーンの駆動を可能とする歯部とバレル、駆動ピンとノッチとの位置関係を説明する図である。
以下この発明を下水処理場において沈殿物としての汚泥の掻寄を行う汚泥掻寄装置に使用した実施形態について説明するが、この発明は上水処理場においても使用可能であり、沈殿槽における沈殿物の掻寄一般に使用することが可能である。
図1及び図2は汚泥掻寄装置を概略的に示す。図1において、1は汚水処理における沈殿池(この発明の沈殿槽)であり、沈殿池1の底部に汚泥ピット2が設けられ、沈殿池1の底面1Aに沈殿堆積した汚泥(この発明の沈殿物)は汚泥掻寄装置3によって汚泥ピット2に掻き寄せられる。汚泥掻寄装置3は駆動ホイール4、従動ホイール5, 6, 7、駆動ホイール4及び従動ホイール5, 6, 7に無端に巻き掛けられるチェーン8、並びに駆動ホイール4に回転駆動力を付与する回転駆動手段9から成るチェーン伝動装置と、チェーン8に間隔をおいて連結され、一方向に循環移動することにより汚泥の掻寄を行う掻寄板(フライトとも言う)10とから構成される。駆動ホイール4及び従動ホイール7が沈殿池1における上部に設けられ、従動ホイール5,6が沈殿池1の底面近くに設けられる。チェーン8は沈殿池1の幅方向に平行に離間して一対設けられる(図2参照)。チェーン8の詳細構造は後述するが、一連のリンクを連結ピンにより連結すると共に、リンクの駆動ホイールに対向する側にノッチを形成したものである。掻寄板10は図2に略示するように沈殿池1の幅方向に延びるように取り付けられ、後述のように、幅方向に離間した一対のチェーンにおける対向したリンクのノッチと反対側に形成された連結部に固定される。そして、チェーン8の駆動時にチェーン8における沈殿池の底面1A(図1)に対向した部位及びそれに連結した掻寄板10は沈殿池の底面1Aの上に固定された樹脂製レール11に沿って矢印aのように摺動案内され、沈殿池の底面1Aに堆積された汚泥は汚泥ピット2に掻寄される。他方、沈殿池の上部には型鋼製レール12が設けられ、チェーン8における液面Lに沿った部位において掻寄板10は型鋼製レール12上を矢印bのように摺動案内される。また、回転駆動手段9は回転駆動モータ9-1と回転駆動モータ9-1の出力軸の回転運動を駆動ホイール4に伝達するチェーン−スプロケットホイールやベルト−プーリ等の動力伝達機構9-2とからなる。
次に汚泥掻寄装置3のチェーン8の詳細構造について説明すると、図3はチェーン8の隣接したリンクをその正面より解体状態にて示す。チェーンは全部品が合成樹脂の成形品であり、リンク16と、連結ピン17と、係止リング18と、ロック駒19とが基本的構成要素である。連結ピン17は一端に頭部20、他端に縮径部22を形成する。頭部20は図4に示すように二面幅となっている。連結ピン17の縮径部22には連結ピン外径と面一になるまで半径方向に延出する一対の係止突起24を直径対立位置(図7参照)に形成している。各係止突起24は連結ピン17の端面から軸線に沿って延設されるが、連結ピン17の大径部とは幾分離間して終端している。
図5に示すように、係止リング18はその内周に全軸長に延びる直径対立位置する一対の挿入用溝29と、挿入用溝29との間の中間に形成される有底の係止溝30とを備える。挿入用溝29, 係止溝30は連結ピン17の係止突起24を実質的なガタなく軸線方向のフリーな挿通を可能とする幅を持つ。挿入用溝29は軸線方向の全長に延びているが、係止溝30については係止リング18の外面から軸線方向の途中で終端している(図3参照)。
図6に示すようにロック駒19は内径Rが連結ピン17の縮径部22の外径より幾分大きいリングを円周方向で約30度切除して成る切除部19Aを有して構成される。そのため、ロック駒19は正面より見ると二股部32を呈する。切除部19Aが中心角で30度程度であるため、連結ピン17の縮径部22への装着は二股部32を弾性的に変形させることで行われ、装着後は二股部32はその弾性により本来の内径Rに復帰し、二股部32の先端は連結ピン外径(縮径部22の外径)に対し半径方向内方の突出部となり、縮径部22との係合状態をその弾性下で維持する。更に、二股部32の先端32Aは図3に示すように先細となっており、ロック駒19の挿入作業がスムースとなる。ロック駒19は切除部19Aと直径対立位置する部位において外周に張出部34を備え、張出部34は半径方向に突出しており、張出部34は内面側はロック駒19の残余の部位と面一であるが、外面側は軸線方向外向きに幾分張り出しており、この軸線方向突出部に抜き工具との係合凹部36(図6)が形成される。
図3に示すように、各リンク16は一対の板状部38を備え、板状部38は夫々狭窄部38-1と拡開部38-2とを備え、一対の板状部38は狭窄部38-1、拡開部38-2同士が対向するように配置され、芯合した連結ピン挿入孔42が形成される。板状部38の拡開部38-2は、その外面側に、筒状突出部38-2Aを形成する。-一対の板状部38の狭窄部38-1間に連結ピン挿入孔40を有したバレル44(筒状部)が一体成形されている。一対の板状部38間はバレルから対向する拡開部38-2までの間は開口部Sとなっており、この一つのリンクの拡開部38-2間の開口部Sに隣接するリンク16の狭窄部38-1が図7のように挿入され、隣接するリンク16間で連結ピン挿入孔40, 42が芯合状態とされる。そして、連結ピン17が、縮径部22より、片側のピン挿入孔42、バレル44の連結ピン挿入孔40及び反対側のピン挿入孔42に挿入され、連結ピン17の頭部20は対向する外側板状部38の側面における筒状突出部38-2Aに当接され、反対側の板状部38の側面における筒状突出部38-2Aから連結ピン17の先端が突出する。
板状部38の側面から突出される連結ピン17の先端に係止リング18が挿入される。このとき、係止リング18の挿入用溝29を係止突起24に合わせることで係止リング18は連結ピン17の係止突起24から完全に抜けるまで挿入可能である。そして、連結ピン17に対して係止リング18を90度回し、連結ピン17上で係止リング18を幾分軸線方向の外側に引くように動かすことで、連結ピン17の係止突起24を係止リング18の有底の係止溝30の底面30A(図5)に係合させることができる。そして、ロック駒19がその二股部32が連結ピン17の縮径部22を跨ぐように、かつ二股部32の先細先端32Aがリンク16の板状部38の側面における筒状突出部38-2Aと係止リング18との間に位置するように半径方向外側より装着される。ロック駒19は、その二股部32の厚みδを筒状突出部38-2Aと係止リング18との対向面との隙間に対して適切に設定することにより、ロック駒19をこの隙間の部位にスムースにかつ実質的なガタ付きなしに装着することができる。そのため、係止突起24と係止溝30との係合状態を保持することができる。ロック駒19の装着時に、最初は切除部19Aにおいて二股部32の先端は連結ピン17の縮径部22に当接するが、ロック駒19をその張出部34においてプラスチックハンマーなどの工具で打撃することで、二股部32はその弾性に抗して拡開され、二股部32は連結ピン17を通過され、二股部32は弾性によって本来の状態に復帰する。ロック駒19の挿入は、同時に、その厚み分だけ係止リング18を軸線方向外側に変位せしめ、これは、連結ピン17の係止突起24と係止リング18の有底の係止溝30との係合を深める(軸方向に緩まない)。そのため、ロック駒19の装着状態では、係止突起24と係止溝30との係合状態は強固に維持される。ロック駒19は、その二股部32が弾性により本来の位置に復帰した状態では30度の切除部19Aを除いた全周で連結ピン17の縮径部22と係合しており、ロック駒19が外れてしまうことはなく、連結ピン17により隣接したリンク16は連結状態に維持される。図7は連結ピン17により隣接したリンク16の連結が完了した状態を示す。
図1に示すようにチェーン8を無端状態に組み立てた状態において、所定の個数毎に図1で説明した掻寄板10の連結部を有したリンク16が使用される。図8はそのような掻寄板10の連結部49を有したリンク16を示しており、連結部49は板状部38と一体に成形され、板状部38より上方に突出形成される。連結部49を有したリンク16は図9にも示され、連結部49を有したリンク16は沈殿池の幅方向に離間した一対のチェーン8間で対向して設置され、この対向したリンク16間に図1の掻寄板10が固定される(図9にチェーン8の長手方向に適宜の数毎のリンク16の連結部49に対する掻寄板10の取り付け状態が模式的に示される)。その結果、図1で説明のようにチェーン8のループに沿って間隔おいて掻寄板10が位置した構造が実現される。
図1及び図7から分かるように、一つのリンク16に対し隣接するリンク16を連結ピン17により連結した状態において、その一つのリンク16の一対の板状部38間に開口部Sが形成され、開口部Sはこの実施形態においては、両側に開口しており、後述のようにこの開口部Sにチェーンを駆動する駆動ホイールの歯部(スプロケット部)が延出位置する。後述のホイールの歯部との係合機能からすると板状部38間における歯部の係合が可能であれば、開口部Sは駆動ホイールの反対側が閉じたものであってもよい。また、図8に示す一つのリンク16の側面図において、板状部38は連結ピン挿入孔42とバレル44との間にノッチ50を備え、ノッチ50はこの発明のチェーン駆動ホイールの駆動ピンの係合部である。ノッチ50は前面50Aが比較的急峻で後面50Bが緩くなった実質的に逆Vの溝形状をなす。前面50Aは90度の円周面の形態をなし、後述の駆動ピン62と密に係合することにより正転時における駆動力の効率的伝達をなしうるようになっており、後面50Bは傾斜面をなし、逆転時に駆動ピン62をノッチ50からスムースに逃すことができる形状を呈している。ノッチ50の後側に連なる板状部の駆動ホイールに対向する面38Aは幾分の凹面をなし、この凹面形状は、チェーン伝動系における従動ホイールをシーブホイールとした場合において、チェーンをシーブホイールの周面に巻きかけたとき、隣接するリンクの板状部の駆動ホイールに対向する面38Aがシーブホイールの周面形状をスムースに倣うような凹面形状を呈する(図9参照)。
次に、図1の掻寄装置3における駆動ホイール4の詳細構造について図9〜図11を参照して説明すると、駆動ホイール4は従来のスプロケットホイール−チェーン伝動装置における歯部による伝動とノッチチェーン伝動装置における駆動ピンによる伝動とを順次若しくは同時的に行うものである。即ち、駆動ホイール4は、図10に示すように、円板状の支持本体54を備え、その中心ハブ部54-1に回転軸56が挿入され、支持本体54と回転軸56はキー等の適宜の手段により固定されている。回転軸56は図1の動力伝達機構9-2におけるスプロケットホイールやプーリ等が連結され、回転駆動モータ9-1からの回転駆動力が駆動ホイール4に伝達されるようになっている。図10において、支持本体54の両側には環状の駆動ピン支持板57, 58が回転軸56と同心に配置される。支持本体54と隣接して環状のスプロケット円板60が位置され、スプロケット円板60は外周にチェーンのリンクのピッチと等しいピッチで円周方向に等間隔に配置した歯部(スプロケット部)60Aを備える(図9も参照)。駆動ピン62は歯部60Aより内側においてチェーンのリンクのピッチと等しいピッチで円周方向に等間隔に配置されており、駆動ピン62は中間部はスプロケット円板60を挿通され、その両端に外径が縮小したねじ部62-1を備え、ねじ部62-1は駆動ピン支持板57, 58に形成された開口より両側に軸の外方に突出している。そして、ボルト66は、駆動ピン支持板58とスプロケット円板60との間にはスペーサ64を、支持本体54と駆動ピン支持板57との間にはスペーサ63を夫々介在させて駆動ピン支持板58、スプロケット円板60、支持本体54及び駆動ピン支持板57の順に挿通され、駆動ピン支持板57から突出するボルト66の端部にナット68が螺合される。また、駆動ピン支持板57, 58から突出したねじ部62-1にナット70が螺合締結され、図3から図8のチェーンのための駆動ホイールとして組み立てられる。
以上の説明のように、この発明においては、チェーン8は通常のノッチチェーンと同様なノッチ50をリンクに備え、他方、駆動ホイールはチェーン8のバレル44に係合する歯部60A(スプロケット部)と、チェーン8のノッチ50に係合する駆動ピン62とを備える。図1の概略図においても駆動ホイール4における歯部60A及び駆動ピン62が模式的に図示され、これらがチェーン8のバレル及びノッチに係合することで、駆動モータ9-1の回転(正転)が駆動ホイール4に伝達され、駆動ホイール4の回転(矢印c方向)がチェーン8へ伝達される。この正転時の動力伝達方式を図9を参照して更に詳細に説明すると、矢印c方向における駆動ホイール4の回転により、駆動ホイール4のスプロケット円板60の歯部60Aはチェーンを構成するリンク16における一対の板状部38間の開口部Sに入り込み、歯部60Aはその回転方向前縁となる第1端縁60A-1がバレル44に係合する(図11も参照)。そして、バレル44に対する歯部60Aの係合に加え駆動ピン62はチェーンを構成するリンク16における一対の板状部38のノッチ50における対向面50Aにて係合する。即ち、駆動ホイール4の回りを巡る際に、歯部60Aとバレル44との係合及び駆動ピン62とノッチ50との係合が並列的(順次若しくは同時的の双方を含む)に起こり、駆動ホイール4からチェーン8への動力伝達が行われる。駆動ピンとノッチとの係合のみで動力伝達を行わせる通常のノッチチェーン方式の場合は駆動ピンとノッチとの係合がどうしても浅いため、チェーンが駆動ホイールを回り巡るときに、ノッチ(チェーン)の駆動ピン(駆動ホイール)からの離脱が起き易く、駆動ホイールに外周に近接してチェーンガードが必要であったが、本発明ではチェーン8が駆動ホイール4の回りを巡る際に、駆動ピン62とノッチとの係合に加えて、歯部60Aとバレル44との係合が起こり、歯部60Aとバレル44との係合は通常のチェーン−スプロケットと同様で深いため、通常のノッチチェーンにおいて必要となるチェーンガードはなくても、駆動ホイール4からチェーン8が離脱してしまうことは起こらない。この発明ではチェーンガードが不要なため、沈殿池における掻寄装置としての使用においてチェーンガードへの夾雑物の絡み付き等によるチェーンの噛み込み不良等の恐れがない。
チェーン伝動系における従動側については、通常のスプロケットホイールでもシーブホイールでもよい。通常のスプロケットホイールの場合はスプロケットホイール外周の歯部がチェーンを構成するリンク16における一対の板状部38間の開口部Sに入り込み、バレル44に係合することになる。また、シーブホイールの場合は、チェーンがシーブホイールを巡るとき、チェーンのリンクを構成する一対の板状部の駆動ホイールに対向する面38Aの凹面の連接がシーブホイールの外周とこれを倣うように面接触するため、チェーンの円滑な移動が得られる。図1のように二個の従動ホイール5,6を沈殿池1の底面に沿って設け、沈殿池の液面側(上部側)に一個の従動ホイール7を設け、駆動側も含めると都合4個のホイールを設置した4ホイール式の場合は、底面の従動ホイール5,6をシーブホイールとし、液面側の従動ホイール7をスプロケットホイールとするのが好ましい。即ち、従動ホイールにかかる荷重は駆動ホイール4からチェーンの駆動方向(矢印c)と反対方向に見たときの最近接の従動ホイール5>中間の従動ホイール6>最離間の従動ホイール7となる。シーブホイールは面接触であるため磨耗が少ないという利点があるが、全ての従動ホイールをシーブホイールとすると磨耗の進行が早くなる恐れがある。そこで、高荷重側の従動ホイール5,6をシーブホイールとし、低荷重の従動ホイール7だけはスプロケットホイールとすることによりシーブホイールでの荷重負担を軽減し、3個の従動ホイール5, 6, 7間で荷重の均衡化を図ることができ、ひいてはチェーン及び駆動ホイールも含めたホイールの磨耗を縮減し、長寿命化が可能となる。尚、図1において、従動ホイール7を省略した3ホイールの配置も可能であり、この場合は2個の従動ホイールはどちらもシーブホイールとする。
駆動ホイールの正転時は掻寄板10は図1の矢印aのように沈殿池1の底面1Aに沿って移動し、汚泥の掻寄を行う。この場合において沈殿池1の底面1Aに大きな塊状の固形異物(石)等がある場合、掻寄板10が異物に噛み込んでロックしてしまう場合がありえる。従来のノッチチェーン式の場合、ノッチは逆転方向においては駆動ピンとノッチとの係合が外れる形状をなしており、基本的に逆転は行えない構造になっている。そのため、従来のノッチチェーン式の場合は、駆動ホイールを逆転しても駆動力はチェーンに伝わらず、掻寄板10は動かないため、一旦ロックが発生すると沈殿池1を完全に空にし、作業員によって石等を除去し、ロックを解消する作業が必要となり、作業性が好くなかった。この発明では、駆動ホイールは駆動ピン62に加えて歯部60を備えているため、逆転時に、歯部60をしてチェーンのバレル44に係合させることで、ホイールの逆転による掻寄板10の逆行を起こさせ、ロックを解除しうる構造としている。以下、この構造について説明すると、図12は駆動ホイール逆転時(矢印c´)における位置関係を示しており、逆転方向において歯部60Aはその回転方向前縁となる第2端縁60A-2はバレル44と係合するが、駆動ピン62についていえばノッチ50に係合しないようになっている。これを図13によってさらに詳しく説明すると、図13において駆動ホイールの隣接する歯部60A間においてバレルが取り得る回転方向両側の限界位置を44a(バレルが歯部の第1端縁60A-1と係合する位置)、44b(バレルが歯部の第2端縁60A-2と係合する位置)にて示し、両者間の中心角度差(位置44aにあるバレルの中心O44aを駆動ホイール4の中心Oと結ぶ線分と、位置44bにあるバレルの中心O44bを駆動ホイール4の中心Oと結ぶ線分との角度差)はαである。他方、一つのノッチ50に対して駆動ピンが取り得る回転方向の限界位置を62a(駆動ピンが面50Aと係合する位置)、62b(駆動ピンが面50Bと係合する位置)にて夫々示し、両者間の中心角度差(位置62aにある駆動ピンの中心O62aを駆動ホイール4の中心Oと結ぶ線分と、位置62bにある駆動ピンの中心O62bを駆動ホイール4の中心Oと結ぶ線分との角度差)はβである。そして、これらの中心角度差の間にはα<βの関係があり、このような関係の成立を条件に、正転時(矢印c)には歯部60Aの回転方向前縁となる第1縁60A-1は44aの位置にあるバレルと係合し、62aの位置にある駆動ピンはノッチの面50Aと係合する(図9及び図13も参照)。他方、逆転時(矢印c´)には歯部60Aの回転方向前縁となる第2縁60A-2は44bの位置にあるバレルと係合し、駆動ピンは62bで示すノッチ係合位置より幾分手前にある(図12参照)。このような関係よりして、正転時には歯部及び駆動ピンの双方によりチェーンを駆動し、逆転時には歯部によりチェーンを駆動するという本発明の作動を実現させることができる。
尚、図示実施形態では駆動ピン62は円形断面であり、正転時(図9)に駆動ピン62に係合して動力伝達を行うノッチの面50Aの形状は駆動ピン62の外周形状に準じた略90度の円周面をなしているが、駆動ピンの断面形状が円形でない場合にあってはノッチの内周形状は駆動ピンと密に係合するように駆動ピンの外周形状にほぼ合致した形状にするのが好ましいことは言うまでもない。
1…沈殿池
2…ピット
3…掻寄装置
4…駆動ホイール
5, 6, 7…従動ホイール
8…チェーン
9…回転駆動手段
10…掻寄板
16…リンク
17…連結ピン
18…係止リング
19…ロック駒
38…板状部
38A…板状部の駆動ホイールに対向する面
40, 42…連結ピン挿入孔
44…バレル
50…ノッチ
54…支持本体
56…回転軸
57, 58…駆動ピン支持板
60…スプロケット円板
60A…歯部
62…駆動ピン

Claims (3)

  1. チェーンと該チェーンに係合するホイールとからなり、前記チェーンは複数のリンクを連結ピンで一連に連結して成り、かつ各リンクは一対の板状部間が少なくとも駆動ホイールに対向する側において、開口部が形成されると共に、各リンクの一対の板状部の駆動ホイールに対向する側にノッチが形成されており、他方、前記ホイールは駆動ピンと歯部とを備え、前記駆動ピンは各々が軸線方向に延び、円周方向にチェーンにおけるリンクのピッチに応じた等間隔で離間して設けられ、回転中に前記ノッチと係合し、前記歯部は前記開口部を介して半径方向に延出され、リンクのピッチに応じた等間隔で円周方向に間隔を置いて設けられ、各ノッチは回転方向に対向した第1,2面を備えた形状をなし、駆動ホイールの隣接する歯部の対向第1及び第2縁間においてバレルが取り得る回転方向両側の限界位置間の中間角度差をα、一つのノッチの第1面及び第2面間において駆動ピンが取り得る回転方向の限界位置間の中心角度差をβとしたとき、α<βの関係があり、ホイール正転時には歯部の回転方向の前縁となる第1縁がバレルと係合すると共に駆動ピンがノッチの第1面と係合し、歯部とバレルとの係合及び駆動ピンとノッチとの係合の双方の係合によるホイールからチェーンへの動力伝達が行われ、ホイール逆転時には駆動ピンはノッチの前記第2面から離間位置されるが、歯部は回転方向前縁となる第2縁がバレルと係合し、歯部とバレルとの係合によるホイールからチェーンへの動力伝達が行われるチェーン伝動装置。
  2. 請求項1に記載の発明において、前記第1面は急峻であるが、前記第2面は駆動ピンを逃し得るように緩く傾斜しているチェーン伝動装置。
  3. 請求項1若しくは2に記載のチェーン伝動装置による沈殿物掻寄装置であって、沈殿槽において前記チェーンは駆動ホイールと従動ホイールとの間に無端に巻き掛けられ、駆動ホイールは回転駆動手段に連結されて駆動ホイールの回転によりチェーンが駆動され、チェーンにおける長さ方向に間隔をおいたリンクに取り付けられた掻寄板が沈殿槽内を一方向に循環移動することにより沈殿物の掻寄を行う沈殿物掻寄装置。
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