JP5101431B2 - チェーン伝動装置 - Google Patents

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この発明はェーン伝動装置に関し、汚泥掻寄装置等の下水処理設備における使用等に特に適したものである。
沈殿池等の下水処理設備において汚泥の掻寄装置として一対の平行配置の無端状チェーン間に掻寄部材を所定間隔にて張渡し、チェーンを駆動することにより処理槽の下面に沿って位置する掻寄部材が処理槽底面に沿って汚泥ピットに向け移動せしめられ、処理槽の底面に堆積した汚泥の汚泥ピットへの掻寄を行うことができる。チェーンとしては通常のスプロケット係合タイプもあるが(特許文献1)、市町村の下水設備における設置例からすると所謂ノッチチェーンとしたものが最近は多い(特許文献2)。ノッチチェーンは一連のリンクを連結ピンにより無端連結した構造は通常のスプロケット用チェーンと同様であるが、リンクの底面にノッチを形成し、駆動用ホイールとしてはスプロケットの代わりに、一対のディスク間に円周方向に等間隔に離間した駆動ピンを備えたものが使用される。ノッチチェーンは駆動部においては連結ピンをノッチと係合させることで動力伝達するが、従動部においてはリンクの内周腹面を従動ホイール(シーブ)の表面に当接させる構造であり、係合部が分散されるため通常のスプロケットを使用した場合と比較してチェーンの寿命が延長する利点があると言われている。他方、ノッチチェーンにおける駆動ピンとノッチとの係合は通常のスプロケットと比較して浅いため駆動用ホイールの部位で駆動ピンからノッチが外れてしまうこと(所謂歯飛び)を防止するため駆動用ホイールの外周に沿ってチェーンガードを設置している。
特開平11−290846号公報 特開2006−326483号公報
ノッチチェーンによる駆動は歯飛び防止のため駆動ホイールの外周部位にチェーンガードが必須であるが、沈殿池等の下水処理システムにおける使用においてはチェーンガードの駆動ホイール対向部位(隙間)に夾雑物が絡み付く懸念があった。また、チェーンガードは取り付け用のブラケットが必要で、この部位の構造が複雑化し、また、沈殿池の躯体構造によっては取り付け構造が複雑化し、極端な場合は困難となることさえあった。
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、ノッチチェーンの利点を損なうことなくチェーンガードを不要とする新規な構造を提供することを目的とする。
の発明によれば、チェーンと該チェーンに係合するホイールとからなり、前記チェーンは複数のリンクを連結ピンで一連に連接して成り、各リンクは一対の板状部を一端のバレルにて一体化し、他端に連結ピン挿入孔を芯合して形成してなり、一連に隣接するリンクにおける一方のリンクのバレルと他方のリンクの連結ピン挿入孔は連結ピンにて連結され、かつ各リンクは一対の板状部間が少なくとも下面において開口されると共に、各リンクにおける一対の板状部の下面(腹面)はノッチを形成しており、他方、前記ホイールは、各々が軸線方向に延び、円周方向にチェーンにおけるリンクのピッチに応じた等間隔で離間して設けられ、回転中に各リンクにおける一対の板状部の下面に設けられたノッチと順次係合する駆動ピンと、各々が一対のリンク間の下面の開口部を介して半径方向に延出され、リンクのピッチに応じた等間隔で円周方向に間隔を置いて設けられた歯部とを備え、ホイールの回転中に駆動ピンをノッチに、歯部をバレルに係合させることで、チェーンとホイールとの動力伝達を行うチェーン伝動装置が提供される。

この発明によれば、チェーン伝動装置用ホイールはチェーンピッチに応じたピッチの駆動ピンと歯部を備え、ノッチ部と駆動ピンとをチェーンにおける駆動側に使用することにより確実な動力伝達を行うことができ、かつチェーンガードが不要であり、しかも従動側では通常のスプロケットに加え、シーブホイールの使用も可能であり、ノッチチェーンの利点も損なうことがない。
図1はこの発明のチェーン伝動装置に使用されるチェーンを隣接リンクの解体状態にて示す。チェーンは全部品が合成樹脂の成形品であり、連結ピン10と、係止リング12と、ロック駒14とが基本的構成要素である。連結ピン10は軸部18と、軸部18の一端の頭部20と、軸部18の他端の縮径部22とを備える。頭部20は図2に示すように二面幅となっている。連結ピンの縮径部22には軸部18の外径と面一になるまで半径方向に延出する一対の係止突起24を直径対立位置(図5参照)に形成している。各係止突起24は連結ピン10の端面から軸線に沿って延設されるが、軸部18とは幾分離間して終端している。
図3に示すように、係止リング12はその内周に全軸長に延びる直径対立位置する一対の挿入用溝29と、溝29との間の中間に形成される有底の係止溝30とを備える。溝29, 30は連結ピン10の係止突起24を実質的なガタなく軸線方向のフリーな挿通を可能とする幅を持つ。挿入用溝29は軸線方向の全長に延びているが、係止溝30については係止リング12の外面から軸線方向の途中で終端している(図1)。
図4に示すようにロック駒14は内径Rが連結ピン10の縮径部22の外径より幾分大きいリングを円周方向で約30度の部位14Aで切除することにより構成される。そのため、ロック駒14は正面より見ると二股部32を呈する。切除部14Aが中心角で30度程度であるため、連結ピン10の縮径部22への装着は二股部32を弾性的に変形させることで行われ、装着後は二股部32は弾性により本来の内径Rに復帰し、二股部32の先端は連結ピン外径(縮径部22の外径)に対し半径方向内方の突出部となり、縮径部22との係合状態をその弾性下で維持する。更に、二股部32の先端32Aは図1に示すように先細となっており、ロック駒14の挿入作業がスムースとなる。ロック駒14は切除部14Aと直径対立位置する部位において外周に張出部34を備え、張出部34は半径方向に突出しており、張出部34は内面側はロック駒14の残余の部位と面一であるが、外面側は軸線方向外向きに幾分張り出しており、この軸線方向突出部に抜き工具との係合孔36が形成される。
図1に示すように、各リンク16は一対の板状部38を備え、板状部38は夫々狭窄部38-1と拡開部38-2とを備え、一対の板状部38は狭窄部38-1、拡開部38-2同士が対向するように配置され、芯合した連結ピン挿入孔40, 42が形成される。一対の板状部38の狭窄部38-1間に連結ピン挿入孔40と芯合するようにバレル44(筒状部)が一体成形されている。一対の板状部38間はバレルから対向する拡開部38-2までの間は隙間Sとなっており、この隙間Sに隣接するリンク16の狭窄部38-1が図5のように挿入され、隣接するリンク16間で連結ピン挿入孔40, 42が芯合状態とされる。そして、連結ピン10が、スペーサ46を介して縮径部22より、片側のピン挿入孔42, 40、バレル44及び反対側のピン挿入孔40, 42に挿入され、連結ピン10の頭部20は対向する外側板状部38の側面に当接され、反対側の板状部38の側面から連結ピン10の先端が突出する。
板状部38の側面から突出される連結ピン10の先端に他方のスペーサ48が挿入され、次いで係止リング12が挿入される。このとき、係止リング12の挿入用溝29を係止突起24に合わせることで係止リング12は連結ピン10の係止突起24から完全に抜けるまで挿入可能である。そして、連結ピン10に対して係止リング12を90度回し、連結ピン10上で係止リング12を幾分軸線方向の外側に引くように動かすことで、連結ピン10の係止突起24を係止リング12の有底の係止溝30に係合させることができる。そして、ロック駒14がその二股部32が連結ピン10の縮径部22を跨ぐように、かつ二股部32の先細先端32Aがスペーサ48と係止リング12との間に位置するように半径方向外側より装着される。ロック駒14は、その二股部32の厚みをリンク38とスペーサ48の対向面との隙間に対して適切に設定することにより、ロック駒14をこの隙間の部位にスムースに装着することができる。そのため、係止突起24と係止溝30との係合状態を保持することができる。ロック駒14の装着時に、最初は切除部14Aにおいて二股部32の先端は連結ピン10の縮径部22に当接するが、ロック駒14をその張出部34においてプラスチックハンマーなどの工具で打撃することで、二股部32はその弾性に抗して拡開され、二股部32は連結ピン10を通過され、二股部32は弾性によって本来の状態に復帰する。ロック駒14の挿入は、同時に、その厚み分だけ係止リング12を軸線方向外側に変位せしめ、これは、連結ピン10の係止突起24と係止リング12の有底の係止溝30との係合を深める(軸方向に緩まない)。そのため、ロック駒14の装着状態では、係止突起24と係止溝30との係合状態は強固に維持される。ロック駒14は、その二股部32が弾性により本来の位置に復帰した状態では30度の切欠部14Aを除いた全周で連結ピン10の縮径部22と係合しており、ロック駒14が外れてしまうことはなく、連結ピン10により隣接したリンク16は連結状態に維持される。図5は連結ピン10により隣接リンク16の連結が完了した状態を示す。
図1及び図5から分かるように、一つのリンク16を隣接するリンク16を連結ピン10により連結した状態において、その一つのリンク16の一対の板状部38間に隙間Sが形成され、隙間Sはこの実施形態においては、上下に開口しており、後述のようにこの隙間Sにチェーンを駆動するホイールの歯部が延出位置する。後述のホイールの歯部との係合機能からすると板状部38間における歯部の係合が可能であれば、隙間Sは上面が閉じたものであってもよい。また、図6は一つのリンク16の側面図であり、板状部38の底面は連結ピン挿入孔42とバレル44との間においてノッチ50を備え、ノッチ50はこの発明のチェーン駆動ホイールの駆動ピンの係合部である。ノッチ50は前面が比較的急峻で後面が緩くなった実質的に逆Vの溝形状をなし、ノッチ50の前後の板状部38の底面38Aは幾分の凹面をなし、この凹面形状は、チェーン伝動系における従動ホイールをシーブホイールとした場合において、チェーンをシーブホイールの周面に巻きかけたとき、隣接するリンクの板状部38の底面38Aがシーブホイールの周面形状をスムースに倣うような凹面形状を呈する。
図7〜図9はこの発明のチェーン伝動装置用ホイール52を示すもので、チェーン伝動装置において駆動側に使用されるものである。チェーン伝動装置用ホイール又は組立体52は従来のスプロケットチェーン伝動装置における歯部による伝動とノッチチェーン伝動装置における駆動ピンによる伝動とを順次若しくは同時的に行うものである。即ち、チェーン伝動装置用ホイール52は、図8に示すように、円板状の支持本体54はその中心ハブ部54-1に回転軸56が挿入され、支持本体54と回転軸56はキー等の適宜の手段により固定されている。支持本体54の両側には環状の駆動ピン支持板57, 58が回転軸56と同心に配置される。支持本体54と隣接して環状のスプロケット円板60が位置され、スプロケット円板60は外周にチェーンのリンクピッチと等しいピッチで円周方向に等間隔に配置した歯部(スプロケット部)60Aを備える。駆動ピン62は歯部60Aより内側においてチェーンのリンクピッチと等しいピッチで円周方向に等間隔に配置されており、駆動ピン62は中間部はスプロケット円板60を挿通され、その両端に外径が縮小したねじ部62-1を備え、ねじ部62-1は駆動ピン支持板57, 58に形成された開口より両側に軸外方に突出している。そして、ボルト66は、駆動ピン支持板58とスプロケット円板60との間にはスペーサ64を、支持本体54と駆動ピン支持板57との間にはスペーサ63を夫々介在させて駆動ピン支持板58、スプロケット円板60、支持本体54及び駆動ピン支持板57の順に挿通され、駆動ピン支持板57から突出するボルト66の端部にナット68が螺合される。また、駆動ピン支持板57, 58から突出したねじ部62-1にナット70が螺合締結され、図1から図6のチェーンを備えたチェーン伝動装置において駆動側に使用することができるホイールとして組み立てられる。
本発明のホイールを図1〜図6のチェーンよりなるチェーン伝動系において駆動側ホイールとして使用することができ、図7におけるホイールの回転方向aにおいてチェーンがホイールの回りを巡る際に、スプロケット円板60の歯部60Aはチェーンを構成するリンク16における一対の板状部38間の隙間Sに入り込み、歯部60Aはその回転方向前縁60A-1がバレル44に係合する(図9も参照)。そして、バレル44に対する歯部60Aの係合に加え駆動ピン62はチェーンを構成するリンク16における一対の板状部38の底面のノッチ50に係合する。歯部60Aとバレル44との係合及び駆動ピン62とノッチ50との係合が順次若しくは同時的に発生してホイールからチェーンへの動力伝達が行われるため、ノッチのみの場合には必要となるチェーンガードの設置が不要であるにも拘わらず確実な動力を行うことができる。
チェーン伝動系における従動側については、通常のスプロケットでもシーブホイールでもよい。通常のスプロケットの場合はスプロケット外周の歯部がチェーンを構成するリンク16における一対の板状部38間の隙間Sに入り込み、バレル44に係合することになる。また、シーブホイールの場合は、チェーンがシーブホイールを巡るとき、チェーンのリンクを構成する一対の板状部38の底面38Aの凹面の連接がシーブホイールの外周とこれを倣うように面接するため、チェーンの円滑な移動が得られる。
図1はこの発明のホイールを使用するチェーンにおける隣接リンクの連結前の各パーツの断面図である。 図2は図1のチェーンの構成部品である連結ピンの正面図であり、図1のII−II線に沿った矢視図である。 図3は図1のチェーンの構成部品である係止リングの正面図であり、図1のIII−III線に沿った矢視図である。 図4は図1のチェーンの構成部品であるロック駒の正面図であり、図1のIV−IV線に沿った矢視図である。 図5は図1のチェーンの組立て状態の断面図である。 図6は図1のチェーンの構成部品であるリンク(板状部)の側面図であり、図1のVI−VI線に沿った矢視図である。 図7は図1〜図6のチェーンと噛合状態にあるこの発明のホイール6の正面図であり、図9のVII−VII線に沿った矢視図である。 図8は図7のホイールの断面図であり、図7のVIII−VIII線に沿った矢視図である。 図9はこの発明のホイールの、チェーンにおける駆動ピン及び歯部との係合状態を表す図であり、図7のIX方向より見た図である。
符号の説明
10…連結ピン
16…リンク
38…板状部
40, 42…連結ピン挿入孔
38…板状部
38A…リンクの底面
44…バレル
50…ノッチ
52…チェーン伝動装置用ホイール
54…支持本体
56…回転軸
57, 58…駆動ピン支持板
60…スプロケット円板
60A…歯部
62…駆動ピン

Claims (2)

  1. チェーンと該チェーンに係合するホイールとからなり、前記チェーンは複数のリンクを連結ピンで一連に連接して成り、各リンクは一対の板状部を一端のバレルにて一体化し、他端に連結ピン挿入孔を芯合して形成してなり、一連に隣接するリンクにおける一方のリンクのバレルと他方のリンクの連結ピン挿入孔は連結ピンにて連結され、かつ各リンクは一対の板状部間が少なくとも下面において開口されると共に、各リンクの一対の板状部の下面はノッチを形成しており、他方、前記ホイールは、各々が軸線方向に延び、円周方向にチェーンにおけるリンクのピッチに応じた等間隔で離間して設けられ、回転中に各リンクにおける一対の板状部の下面に設けられたノッチと順次係合する駆動ピンと、各々が一対のリンク間の下面の開口部を介して半径方向に延出され、リンクのピッチに応じた等間隔で円周方向に間隔を置いて設けられた歯部とを備え、ホイールの回転中に駆動ピンをノッチに歯部をバレルに係合させることで、チェーンとホイールとの動力伝達を行うチェーン伝動装置。
  2. 請求項1に記載の発明において、チェーン伝動装置は従動ホイールとしてのシーブホイールを備えており、チェーンをシーブホイールの周面に巻きかけたとき、シーブホイールの周面形状をスムースに倣うように前記ノッチの前後において板状部の底面は凹面形状をなしているチェーン伝動装置
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